ダフロン

2018年08月06日

陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ/佐倉唄


陰気な少年・九条静紀はひっそり学生生活を忍んでたが校内一陽キャラな女子・春日陽奈から突如告白される! 陽キャのノリに辟易して断るも「あたしを理想の陰キャに変えてください!」と陽奈からまさかの宣言が!?

 陰キャと陽キャはどこまでも平行線

 陽キャラなヒロインと陰キャラな主人公のすれ違い陰陽学園ラブコメディ

 最近のラノベ、陰キャと陽キャの対立構造を煽りすぎじゃね。なにが始まるんです? 陰陽大戦だ!
 陰キャラな少年・九条静紀が、学園一陽キャラな女子・春日陽奈に告白され、理想の陰キャラな彼女を目指して交際が始まるのですが、陰キャと陽キャの価値観の違いですれ違う二人がもどかしかった。
 陰キャラと陽キャラ、どっちがいいとか悪いとかじゃなく、どっちも同じくらい面倒くさいな。

 教室ではぼっちで趣味は読書という陰キャの静紀と、明るくて友達が多い陽キャな陽奈という正反対な二人なだけに水と油のように思ってる常識が合わなくて、次々と巻き起こす事故が目も当てられない。
 そんなことされたら繊細な陰キャラは死んじゃう!っていうリア充ムーブを完全な善意でやってくるからキツイ。仲良く一緒にお昼ご飯とか、同じイヤホンで一緒に音楽を聞くとか、えっちすぎますよ!

 それだけならまだマシで親切心から仲良しグループに加えようとしてきて、静紀にしてみればノリも合わない集団に放り込まれて疎外感を味わうだけで、もしこれが自分だったらと思うと背筋がゾッとする。
 陽奈さん、空気を読んでください。陽キャでしょ! けれど気を使われるとコミュ障な自分の不甲斐なさを突きつけられて、それはそれで辛いというダブルバインド。もうやめて陰キャのライフは0よ!

 陰キャのSAN値をゴリゴリ削っていくけれど、すべては一途な恋心からの行動だから無下にもできなくて余計にタチが悪いんですよね。積極的になるほど理想から遠ざかって空回りしていくのが痛々しい。
 それにしても静紀はデレるのが早くね! お前、あれだけ陰キャにこだわっていたのに、ツンデレかよぉ! しかし、やっぱり個人的には陽キャラガールよりもミステリアスな黒髪ロングかロリータ社長のほうが好きだなーと思いつつ。陽キャラは暑苦しい。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| 富士見ファンタジア文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月29日

空飛ぶ卵の右舷砲/喜多川信


『大崩壊』から数十年。小型ヘリ<静かなる女王号>を操り、樹竜狩りを生業とするヤブサメ。彼は師であり相棒でもあるモズとともに仕事をこなしながら、日本各地を飛び回っていた。そんな中、二人は東京第一空団副長セキレイに、その腕を買われて旧都市・新宿での大規模探索作戦への同行を依頼される


 呻れ、回転翼! 鳴らせ、砲口! 空飛ぶ卵の竜殺し

 植物のモンスター樹竜に支配された未来の日本で小型ヘリを駆って戦う近未来アクションSF

 大自然によって文明が衰退した世界でもしたたかに生き抜く人間の力強さに圧倒されました。
 若くして凄腕のヘリパイロット・ヤブサメが、美人だけれど破天荒な師モズに振り回されながらも、小型の武装ヘリを操り過酷な依頼に挑み、機転と度胸でピンチをくぐり抜けていく様がスリル満点でした。
 怪奇な樹竜とヘリとの空戦の描写から伝わる作者の情熱と想像力に引き込まれます。

 小型ヘリ<静かなる女王号>の船長モズは、いい年してどこかに大人の節度を置き忘れ、ギャンブルや酒で借金まみれのダメ人間の典型なんだけど、荒廃世界でも楽しく生きる自由人な生き方に憧れる。
 常識人のヤブサメは苦労させられるのだが、そんなダメ師匠でも戦闘では天性のセンスを発揮して、そんな師弟が窮地をくぐり抜けて人知を超えた怪物である樹竜を打ち倒していく勇姿が興奮するんだ。

 海上都市を守る空挺兵団が計画する大規模作戦の協力を依頼され、民間でフリーランスの二人は最初は味方である兵団の堅物パイロットたちに疎まれてしまうんだけれども、小型ヘリで樹竜を駆逐するその常識はずれの戦闘力でもって次第に認められていくのが痛快で、いつの間にか官民の垣根を超えてお互いに連携が通じ合い、助け合う戦う光景が、まさにプロフェッショナルって感じで全員格好いいんだ。

 総じて完成度は高いんだけれど、審査員特別賞にとどまっているのは、やはり中高生向けとしてはハードボイルドを貫きすぎているストロングスタイルが良くいえば拘り、悪くいえば足かせになってる。
 ヒロインとのラブ要素とか、主人公の成長要素とか、あまり必要としないタイプのストーリーだから、少年向けラノベで重視される読者の親近感を得にくいのが残念に思います。それでも十分に面白いのでオススメです。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月21日

パパ!パパ!好き!好き!超超愛してる/なめこ印


夏目此葉にはふたりの娘がいる。ファザコンの姉・キララと反抗期(?)の妹・セイラは年頃の中学生。オンボロ女子寮・陽ノ目荘の管理人となった此葉の日常は、娘達からの過剰な愛情にいつもふりまわされちゃって?

 お父さんだけど愛さえあれば関係ないよね

 ファザコンな姉と反抗期な妹の美少女姉妹を娘に持った父親の親子ラブコメ。

 JCに甘えられたいんじゃー! 年頃の女の子の間で板挟みになるシチュが美味しすぎです。
 故郷の栃木に戻り、女子寮の管理人となった夏目此葉が、しっかり者でファザコンな姉キララと、反抗期になクールな妹セイラの二人の可愛い娘と暮らすドタバタな日常が賑やかで楽しかったです。
 娘ちゃんの他にも女子寮のメンバーは変わり者だけど美人と美少女ぞろいで、なんだここが天国か。

 ファザコンをこじらせて「パパと結婚したい」と考えてる姉キララがガチでヤバイ。問題なのは赤の他人が見て聞いてるところでセリフや行動に移しちゃうところですね。社会的に殺しにきてる。
 そんな節操のない姉を冷ややかに見ている妹セイラは、反抗期に入って父親を避けるまっとうな感性をもった常識人かと思いきや、盗撮してたり、においフェチだったり、姉に負けず劣らずヤベー奴だった。

 その二人に惚れられる父親の此葉は、娘に振り回されるヘタレ系の平凡パパに見えるんだけれど、予想外の過去や意外な経歴を持っていて、女子寮の子たちの心を開いていくのがニヤリとさせられるんだ。
 女子寮メンバーに混じっていてもキララとセイラの双子が浮いちゃわないところがいいね。夏目家の親子仲を奇妙に感じないで普通に流してる時点ですでに彼女らも一般世間で浮いちゃってそうだけど。

 娘とイチャイチャしても実は血が繋がってないから問題無いとか言い出すテンプレ予想をしていたんだけど、最後に驚愕の事実をぶっこんできて血縁とかどうでもよくなるな。美少女JC姉妹は宇宙の奇跡。
 ちなみに本作はカクヨムからの書籍化ですが、WEB版を読んでいないどころかノーチェックでした。こんな作品を薦めないなんて公式レビュアーはいったい何をしてるんだ怠慢だな。あっ、俺だった!
posted by 愛咲優詩 at 00:00| 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする