ダフロン

2019年01月05日

人形剣士<ドールブレイブ>は絶ち切れない 一等審問官ガルノーの監視記録/林星悟


人形剣士ブレイスにはある疑いが掛けられている。人形のリネットが、実は人間なのではないか、という疑いだ。本物の少女を操っているのなら、それは洗脳魔法とされ重大な犯罪行為に値する。悪行の証拠を掴むためにガルノー審問官は監視任務に当たっていた。そんな中、世間を騒がせている幻術使いのバーズ捜索に同行することに。

 憎悪の鎖を絶ち切る絆

 攻撃魔法が禁止された世界で人形を操り、剣を振るう人形剣士が繰り広げる異世界ファンタジー。

 登場人物がみんな狂信者と紙一重じゃないですかやだー。やはり宗教は悪なんだ……。
 攻撃魔法が禁止された世界で魔獣退治を生業とする人形剣士ブレイスと、彼に違法使用の容疑をかける審問官ガルノーが、魔導審問会により断罪される違法魔導士たちと関わっていくなかで魅せる信念と絆が尊かった。正義とは悪とはなんなのか、善悪の価値観が散れ散れになってわからなくなります。

 魔獣から人を守るためでも、悪人の仇討ちでも、どんな理由があっても攻撃魔法を使えば、情状酌量もなく死罪という魔導審問会の独善的な正義の押し付けに反吐が出ますね。新米審問官に罪人を処刑させる「最初の正義」とか、罪の意識を共有させて議論から目を逸らせてるんでしょう。カルト宗教と手口が同じなんだけど、ヒロインのガルノーや大衆たちが疑いもなく盲信してるから気持ち悪いんだ。

 犯罪者として魔導審問官に裁かれる魔導士たちも、過去に大切な人を審問会に殺された遺族だったりで、義憤に燃えるのも共感できてしまって、騒動の真相に迫っていくほどやるせなくなります。
 それで主人公のブレイスがマトモであればいいんだけれど、彼は彼で自分の人形のことしか頭にないし、犯罪者を叱責こそすれガルノーたちの主張を咎めることもないから収拾がつかないんだよなぁ……。

 ブレイスが犯罪者を改心させて、審問会の正義に疑問を投げかけるみたいな展開を期待したんだけど、結局、悪は悪のままだし、ガルノーの歪んた正義には振れず仕舞いなのでちょっと肩透かしな感じ。
 リネットのスーパーモードとか、正直それはいいんですよ。世界観や設定も興味深いんですけど、読者のフラストレーションを溜めに溜めておいて発散に失敗してるのが、勿体無い作品だなぁと思いました。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月04日

青色ノイズと<やきもち>キラーチューン ワケありJKと始める男装V系バンド/総夜ムカイ


自分の声にコンプレックスがある男子高校生・大上透。かつて軽音楽部のライブで散々な思いをしたことで音楽をやめてしまう。その彼を「ボクは、君の歌声が忘れられないんだ」とバンドに誘う謎のイケメンが登場!? なんと、その正体はクラスで一番地味な女子・音子が男装した姿だった!


 弱い自分を救う歌

 ワケあり少年少女が音楽で過去の弱い自分を塗り替える学園青春ヴィジュアル系バンドストーリー。

 ヒロインがみんなカッコ可愛い! 揃いも揃って性格が面倒くさいけど、そこがいい!
 生まれつきの高い声にコンプレックスがある主人公・大上透が、クラスメイトの地味女子・化野音子にに誘われて男装Vバンドを組み、音楽を通じてトラウマを乗り越えていく姿に心を揺さぶられました。
 誰でも自分自身に嫌いなところがある。そんな劣等感や諦念を彼らのサウンドがぶち壊してくれます。

 普段は内気で人見知りな音子が、ウィッグをつけて男装をした途端に人懐っこくて陽気な王子様に早変わりするギャップが面白くて、ガーリーな魅力とボーイッシュな魅力が共存しているキャラが新鮮。
 妙に音子に信頼されてしまい、表面では適当にあしらいながらも、やたらと無防備で距離感が近い彼女に内心でドキドキしてしまってバンドの練習どころではない透の男心も初々しくて笑いを誘う。

 さらにメンバーのライオンや神原小鳥、演奏の腕前には十分だが、透と音子と同様にメンタルの問題を抱えていて、似た者同士で友情の輪が広がっていく展開に胸が弾む。けれど次第に人間関係のすれ違いを起こすようになって自分を追い詰めていってしまう光景は、やるせなくなりました。男女間のもつれ、傷つきやすい繊細な人間ばかりが集まるのもバンドあるあるなんでしょうか。

 自分に自信を持てない。弱い自分が嫌い。でも、ヴィジュアルという仮面をつければ、違う自分になれる。劣等感をエネルギーに変えて、虚勢でも勇気を出して嫌いな自分を受け入れて、仲間と支え合って舞台に立った透たちの歌だからこそ、文字だけでも読んでいて心に響くロックと感動がありました。
 本来ならライブのところで終わっていいんだけど、結末の絶妙な引きはずるいな。続きに期待。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月02日

ライトノベル福袋を考えてみたA

みなさん、おはようございます。
初詣はお済みになりましたか?
おせち料理やお雑煮は食べましたか?

お正月番組はバラエティ特番が多いですね。
私はどちらかというとお笑いより、ドラマなどの物語性のある番組が好きです。
昼間は主に、こたつでぬくぬくしながらラノベを読んでいます。

さて、今日も昨日に引き続き、福袋にかこつけて、ライトノベルをオススメする突発企画をお送りします!

ルールは変わらず、予算5000円以内。
ライトノベルの定義はなんでも可。
例えば、こんなセットはいかがでしょう?

■福袋その2 "あの"人気作家の新作セット
知る人ぞ知るライトノベルの人気作家が昨年内に開始した新作シリーズのなかからオススメ作品をピックアップ。

『七つの魔剣が支配する』745円

『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』の宇野朴人の新作。キンバリー魔法学院に入学した新入生オリバーと同級生たちが繰り広げる魔法学園ファンタジー。魔法と剣戟アクションを融合させた独特な世界観が魅力。最強の魔法剣「魔剣」をめぐる魔法界の深淵に迫っていく物語は読み応えも最強。


『どらごんコンチェルト』745円

『きんいろカルテット』の遊歩新夢の新作。コンクールで大失態を犯し失意に暮れるトロンボーン奏者・遊佐響也が、神聖ローマ帝国時代のタイムスリップする。そこで竜神様へ音楽を捧げる『竜楽師』を目指す十二歳の少女・フィリーネと出会う。彼女に音楽を教えながら、再び音楽への情熱を取り戻していく異世界音楽ファンタジー。


『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 1時間目』626円

『変態王子と笑わない猫』のさがら総の新作。27歳の塾講師・天神。教育指導に長けてるが教え子への思い入れはないドライな性格だが、女子中学生・星花に弱みを握られて「特別レッスン」をさせられることに。思春期の子供を相手する塾講師の苦労と、どんな仕事でもベストを尽くす大人の男のカッコよさを描いた年の差ラブコメ。


『リオランド 01.最慧の騎士と二人の姫』691円

『ムシウタ』岩井恭平の新作。リオランド王国の辺境騎士団を率いる若き騎士団長・ミカドが戦場で拾ったのは、不慮の事態によって《科学》の異世界からやってきた少女・エチカだった。未知なる文明との衝突を避けようとするエチカとミカドだが、思いも虚しく王国と科学世界の争いに巻き込まれていく。


『ファイフステル・サーガ』670円

『タクティカル・ジャッジメント』、『僕と彼女のゲーム戦争』の師走トオルの新作。未来予知の異能を持つ公女セシリアによりもたらされた魔王の復活による人類滅亡を回避するため、傭兵団長カレルと帝国の皇子ヴァッセルら、若き英雄たちが表舞台に名乗りを上げ、時代を切り開いていく戦記ファンタジー。


『ゴスロリ卓球』637円

『ロウきゅーぶ!』『天使の3P!』の蒼山サグの新作。父親の作った8000万の借金返済のため、卓球の天才少女・斎木羽麗と主人公・坂井修が送り込まれたのは、金持ちが主催する闇賭博だった。人生と大金を賭けた危険なギャンブルがゴスロリを着て卓球バトルという、ぶっ飛んだ世界観で繰り広げられる真剣勝負が必見。


『ラストラウンド・アーサーズ クズアーサーと外道マーリン』648円

『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』の羊太郎の新作。前世の記憶を持ち完璧優秀な高校生・真神凜太朗が、次世代のアーサー王を決める『アーサー王継承戦』へ介入を決める。最弱と呼ばれる瑠奈=アルトゥールの陣営に手を貸すことにした真神だが、瑠奈は金に汚いロクでなしだった。クズなヒロインと外道なマーリンが強豪ライバルを押しのけて勝ち抜いていく様が痛快な学園異能バトルもの。

計7冊で合計4762円。

 前作も併記しましたので、「あの作品の人か〜」と思いながら眺めていただければ幸いです。前作を知っている方であれば、新作も期待を裏切ることはないと思いますので、是非、書店や電子書籍でお手に取ってみてはいかがでしょうか。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする