ダフロン

2019年06月03日

ラノベ好きVtuber本山らのちゃん公式アンソロジー本『本山らのと先生と』感想

【BOOTH】本山らの文庫公式アンソロジー「本山らのと、先生と」
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 ラノベ好きVtuber・本山らのちゃんが編集企画した公式アンソロジー本『本山らのと先生と』
 活動開始1周年記念&令和最初のラノベレーベルとして先月の第二十八回文学フリマ東京で頒布され、ガチ恋勢の現役ラノベ作家による「俺の考えた最強の本山らの」妄想が綴られています。
 創作総合通販サイト「BOOTH」で販売のほか、アニメイト一部店舗でも発売予定。みんな買ってね!
 
 というわけで遅まきながらを『本山らのと先生と』を読んでの感想を挙げさせていただきます。
 SNSだとネタバレ問題とかあるから、久々に感想ブログ更新しました。はい、皆さま、お久しぶりです。私です。別に閉鎖してるわけじゃないんだよ? あれ? 前はどんな口調で書いてたっけ忘れちゃった。ええい! もうフリーライティングでいいや、いくぞいくぞ!

■『Lのための物語〜ハジマリノベル〜』(相生生音)
 らの×書太郎ですよ、らのしょた! 一作目ですが、この作品が一番共感できたかもしれません。レビュアーの精神について。AmazonなどのAI分析による自動選書は便利な面もありますが、デジタルで無機質な紹介は引力が弱い。やはり紹介する者の熱い想いがないと心に響かない。例えば、食品成分表を見れば人間に必要な栄養が入ってることはわかるが、それだけで何かを食べようとは思わない。食べた人が美味しいそうな顔をしてるから、それを見た人が食べてみたいと思うのですよ。

■『仮想世界で狂気』(うさぎやすぽん)
 画面の前の俺らなニート兄を冷ややかに見つめる現実的な妹の視点が辛いので止めたげてよぉ! その幻想をぶち壊さなさいでよ! 現実逃避なのはわかってるんですよ。でも、妹ちゃんの生き方は余裕がないし、逃げ場がなくて生き辛いと思う。ネットの世界にもやりきれない理不尽や事件や騒動はあるけれど、みんなやりたいことをやって現実よりも自分らしく生きている。現実だとできないこともできる可能性がある。そういう可能性を人間は物語に描いて、現実の可能性と、いつか繋がるために発展してきたんじゃないだろうか。

■『本山羅野神社昔話』(折口良乃)
 らのちゃんロリババア(女子大生ババア?)だった。大先輩と呼ばねばなるまい。漫画の祖ともいわれる江戸時代の黄表紙は、挿絵付きがデフォルトだったんですよね。ちなみにキャラは当時人気の歌舞伎役者をモデルにすることが多くて読者の大半は女性だったとも。布教も大事だけど、女性ラノベ読み人口も増やしておいてくださいよー。江戸時代に大量にいた女性ラノベ読みはどこいったんだ?

■『好きなことして消えていく』(空伏空人)
 毎朝のおはらのはbotがつぶやいてるんだぞ。俺は詳しいんだ。バーチャル世界のネクロフォビアを表現してますね。恐怖症には、暴露療法が効く。古来、死の恐怖を乗り越えるために人類はどうしてきたかっていうと、宗教で死んだ後の世界を想像することで受け入れてきた。現実の自分が死んでもバーチャルの世界で作家としてVtuberとして輪廻転生する、まさにバーチャル宗教ですね。らの神社にお参りしないと。

■『本山らの異伝 ライブラリシーカー』(瘤久保慎司)
 ドリルアームらの。スコッパーじゃなくて、ドリラーだった。明らかに我々の知っているらのちゃんではないが、お前のらのちゃんがナンバーワンだ。そして『スレイヤーズ』は16巻よりさらに続くらしいぞ。SF作家も予想できなかった未来に生きてるなう。本気玉!ブック・エンド!( `・ω・´)o📖」」」」」(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ

■『本山らのの分裂』(紺野天龍)
 自分が何人もいればいいのにとは思ったことありますが、読んだ本の記憶は共有されるんでしょうか。皆さんは、ラノベを読んで感情摩耗します? 私はどちらかというと熱せられて金床の上で叩かれている感覚ですね。自分という存在が折り畳まれて叩かれて伸ばされて成形されて読後に生まれ変わった気になります。残った熱量を発散したくてラノベレビューやってるところありますね。

■『本山らのと学校図書館(と司書のぼく)』(佐伯庸介)
 ここまでで一番自然な作品じゃない? みんな奇を衒いすぎなんじゃよ。こういう外連味のない日常系でいいんじゃよ。普通の日常を面白く描くのがなによりも難しいんじゃ。図書館は学校教育で学べないものを学びに来るところなので、不必要な本こそ充実させるべきだと思います。ただ図書室で購入するのは1巻目だけにして、続きは本人に買わせようね。

■『僕は本山らのに恋をする』(斜線堂有紀)
 #買ったよらのちゃんはbotがいいねを返してるんだぞ。俺は詳しいんだ。話は聞かせてもらった。人類は滅亡する。らのちゃんポストアポカリプス好きだから、こういう話本当に好きそう。自分ももし続きが読めるなら、この作品の続きが読みたい。この主人公がここから自分の運命を打ち破る物語が読みたいですね。それがラノベでしょう。

■『仮想の狐』(周藤連)
 最近の女子高生、おっさん臭いな。狐の糞尿は作物を噛るネズミを遠ざける効果があるから豊作の守り神とされてきたといわれる。らのちゃんの糞尿はラノベアンチを遠ざけるご利益があるぞ知らんけど。出版業界に就業時間がないのはマジです。私も日曜日や深夜の午前3時に担当編集からメールを受け取ったことがある。らのちゃんも編集者を目指すなら夜の狐(意味深)になるぞ。

■『【らのちゃんを実況する企画】今日も編集がんばらの』(時田唯)
 あ、らの動画実況プロのT先生とS先生だ。最近、らの動画RTA開始されませんね。生放送のほうがゲスト呼んだり、コメント読んだりして双方向のコミュニケーションができて撮れ高あるのはわかるんですけど、マイペースにまったり紹介動画を見るのも好きなんですよね。らのちゃんの生配信の裏で知り合いと雑談しながら聞いてたことあるんですけど、だいたいこんな感じです。仕事を抱えてる大人は、だいたいこんな感じに寄り道しながら作業してるから、らのちゃんも誘惑に負けても気にすることなかれ。そっちのほうが意外といいものが作れたりする。俺は詳しいんだ。


 さて、全話読んでみました。作者さんの目線から見た少しずつ違ったらのちゃんが描かれつつも、どんならのちゃんも可愛いがすぎるな。
 本誌は重版も決定したそうで、これは2巻目も期待できるのじゃないか。カクヨムに挙がってる作品を取りまとめて書籍化すれば、すでに2巻目いける気がする。
 本山らの文庫新人賞は編集長が全部読むと聞いているので、みなさんどしどしカクヨムに投稿してください。私も喜びます。

 それでは長くなりましたがこの辺りで締めさせていただきます。ここまでは『本山らのと先生と』愛咲がお送りしました。

 全人類これ読んで!
posted by 愛咲優詩 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月19日

トモハメ 2 友情音痴でぼっちな僕が、クラスで一番人気な彼女に懐かれたワケ/懺悔


幼少時のほろ苦い記憶から他人に興味が持てずにいた土屋だが、ただ一人だけ心を動かされる人がいる。それは行きつけの書店で働く『三つ葉ちゃん』。本名も知らない彼女に何も出来ない状況を鈴音に相談すると、ハイスペックな彼氏持ちの恋愛強者な彼女から告白の練習を勧められる。しかし練習するも中々自信が付かない土屋。そこで鈴音は『恋人になった後』のイメージを持たせて奮起させようと、より親密な特訓を提案する


 友情も恋愛も越えた男女の愛

 地味で冴えない男子高校生の土屋巧と、明るくてコミュ力があって学園のアイドルな女子高生・鈴音真理のちょっと変わった友情と恋愛の狭間の物語です。
 接点のなさそうな二人だが、お互いに大の親友だと思っている二人の交流が微笑ましかった。

 最近、ラノベ界隈では、ギャル系美少女ヒロインの波が来ています。
 消極的、内向的なコミュ障のオタク男子にとっては、相手から積極的に話しかけてくれる女子というのが魅力的に見えるのでしょう。
 自分としては陽キャのノリで話しかけられるのは、相手してて疲れそうだなと思うのですが、この作品のヒロイン・鈴音は会話のテンポが良く、どこまでも自然体です。

 他人と距離を置くタイプの土屋だが、天性の魅力で全校男子に惚れられて男友達ができない鈴音にとっては特別な存在で、土屋にとっても面倒な性分の自分と真正面から向き合ってくれる大切な存在。
 ことさら男女の性差を持ち出すでもなく、どちらかが一方に甘えすがったり、一方的に振り回すような上下関係がない。そんな関係がなんとも心地良い。

 鈴音には両思いの年上の恋人がいて、土屋にも片思いの女の子がいて、恋愛感情とは別腹の友情でお互いの恋を応援している。信頼し合っているからこそ、何でも隠し事が言えて、何でも受け入れて通じ合っている関係が心温まります。

 そして自分たちの友情がどこまで維持できるのか、お互いを試す行為が次第にエスカレートしていって、やがて一線を踏み越えていくところに、ただの友情では計れない深い愛情を感じます。
 けれど、不思議と彼らの行為には性的な卑猥さ、いらやしさは感じず、満足感と肯定感に溢れていて胸がいっぱいになります。

 友達としての心の交流が身体の交流に変わっただけで、彼らの中では友達へのスキンシップと性行為がシームレスに繋がっている。本能からでも理性からでもない情動から生まれていて、彼らにとってはあるべき姿、自然な行為なのだと納得してしまう。

 色々な好きがあって良いと思うよ。

 というのが、この本の帯にも書かれているテーマですが、まさに今の自分の思いが集約されていると思います。

 確かに、この二人の距離感で友達というのはおかしい、という感情はありますが、人間関係には友情とも、恋愛とも異なる愛情がある。男と女だからと無理して友情と恋愛の2択の枠にハメなくても、こういう男女の関係だってアリなんじゃないかと示してくれています。

 正直、前作は性欲が先に来ていたけれど、今作は青春物語として洗練されてて、お世辞でなく感動しました。

 シミルボンにも掲載しております。トモハメ 〔2〕(友情音痴でぼっちな僕が、クラスで一番人気な彼女に懐かれたワケ)
posted by 愛咲優詩 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月14日

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王/冬月いろり


空間が意思と魔力を持ち、様々な魔物が息づく世界・パライナの北端に、誰も訪れない《最果て図書館》はあった。記憶のない館長ウォレスは、鏡越しに《はじまりの町》の少女ルチアと出会い「勇者様の魔王討伐を手伝いたい」という彼女に知恵を貸すことに。


 それは物語の勇者のように

 勇者と魔王の決戦を影で支えた少年と少女の《誰にも語り継がれないお伽噺》

 タイトルでピンときた方もいると思いますが、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』ですね。
 いつの頃からか《最果ての図書館》の館長をしている少年・ウォレスが、ある日、倉庫で見つけた姿見が、何故か遠くの街に住む少女ルチアの元と繋がって、離れた場所で紡がれる交流が優しい。
 世界観はファンタージエンではありませんが、その影響を思わせるオマージュになっています。

 落ち着いて大人びた少年ウォレスと、お転婆で活発な魔女見習いのルチアの掛け合いが愛らしく、ルチアの悩み事をウォレスが知恵を出して解決するという相棒と呼べるような関係性がいいですね。
 図書館の外に出ることができないウォレスと、魔物が活発したせいで街から出れないルチア、お互いに遠くの土地への憧れを持っている者同士が交流する文通のような楽しさや喜びが伝わってきます。

 魔王の存在によって世界に危機が迫っている。魔王を倒すために勇者が旅立つ。英雄譚とは無縁の脇役のつもりだったウォレスもルチアですが、勇者を影で支えていくようになっていく構成が巧みでした。
 勇者と魔王の立場がひっくり返るというのは、まさに『はてしない物語』で描かれていたストーリーですね。ウォレスの過去が明かされ、物語の重要な役割を担うところは思わず会心の笑みが浮かびました。

 飛竜に乗って駆けつける場面とか、まさしくフッフールで夜空を飛ぶ映画の名シーンじゃないですか。
 お守りとか、魔法の剣とか、隠れ蓑とか、登場するアイテムの数々も「そういえばこういうの、あったあった」と、懐かしさがこみ上げてきます。ライトノベルとしては、現代風ではないかもしれません。派手さはありませんが、綿菓子のようにふわっと甘い作者のファンタジーへの愛が感じられる作品でした。

ファンタージエン 秘密の図書館
ファンタージエン 秘密の図書館
posted by 愛咲優詩 at 00:00| 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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