2008年09月29日

ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート/森田季節

4840124221ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート (MF文庫 J も 2-1)
森田 季節
メディアファクトリー 2008-09

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(あらすじとか省略、もうメンドくさい)

この本を読んで自分は不条理系が嫌いではなかったと気づいた。死ぬほど大嫌いだった。

過程がすっぽぬけて、いきなり結果を差し出される書き方が不愉快。
たとえば、どうして左女牛の携帯に神野から電話がかかってくるのだろうか。
それまでまったくと言っていいほど交流のなかった相手なのに、いかにも唐突でしょう。
怪談や都市伝説に詳しかったから? けどちょっと人より知っている程度でオカルト専門家でもない相手に、あそこまで自分のプライベートを話そうとするかなぁ。
おまけに神野って少年は、自分の悩みを積極的に他人に打ち明けるキャラにも思えない。
むしろ誰にも相談せずに自分で考えて、自分で答えを出して決着をつけようとするタイプじゃないか?

作者の脳内では話の整合性が合っているつもりなのか、意図してやってるとすれば何を狙っているの?
不条理系は、一見、斬新だが、それは話が文字通り論理的ではなく、流れに脈絡がないからです。
過程があって、結果があるのが物語。中には過程と結果がしっかりと結びついている作品もあるのかもしれないけれど、不条理系は総じてルールを無視した邪道なんですよ。
イケニエビトとタマシイビトの生態については、「そういう仕様だから」で納得できなくもないです。
でも、そういう常識的でない設定を立てたのなら、もっと細かく掘り下げて、詳しく背景を描くべき。
でないと、まったくリアリティがない、表面だけで中身が空っぽなキャラクターになっている。

そして短編ごとの登場人物たちの独白がまた非常にウザい。
なにかというと決め付け論理ばかりで視野が狭く、思い上がりも甚だしい。
とくに左女牛は、「男の子なんてみんなじゃがいもで、男爵芋か、メークインかの違いだけ」とか、
そう言い切れるほど、この女は、男を見てきたのだろうか。
そして男を見下せるほど自分がイイ女である自信があるのかと問いたい。
以降もニヒルを気取って何事にも達観したスタンスをとっているのは、彼女の場合、臆病の裏返しだ。
八方美人なカン違い女ほど、見ていてイライラするものはない。

というか、ぶっちゃけると、プロットそのものに面白味がない。
「イケニエビトは殺されても生き返りますー殺した相手以外はイケニエビトのことは忘れちゃいますー誰かに殺されないとタマシイビトに殺されて記憶を奪われちゃうんですー」なんて、どうみても毒電波を受信してるでしょう。
この設定を聞いた人が、果たして興味をもってくれるだろうか。
これで爆笑必至なラブコメだったら、それはそれで超展開だが、少なくともキャリアのある作家ならこんなダサいあらすじはありえない。

話の構成にしても、書き出しの部分からもうパルプンテで話についていけない。
なんというか、作者のひとりよがりな威勢ばかりが感じられてきて息が詰まります。
回想メインの長編なら、モノローグの一番最初に、この小説はどういう話になるのかというガイドラインを載せるべきなんですよねぇ。それだけでも先の展開への理解度が違ってくるし。

文章力はあるんだから、小説を書くなら、もっと読者のことを考えて欲しい。
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2008年09月28日

聖剣の刀鍛冶 3/三浦勇雄

484012423X聖剣の刀鍛冶 #3 (3) (MF文庫 J み 1-11)
三浦 勇雄
メディアファクトリー 2008-09

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独立交易都市・ハウスマンでは、人外による凄惨な通り魔事件が発生。セシリーたち自衛騎士団の眼前に現れたその人外は、全身いたるところから剣や槍を生やした、あまりにも異形すぎるモノだった。騎士団が懸命に包囲するも人外はこれを易々と突破し、灰被りの森へと逃走を始めるのだが・・・。

神風ガールズファイト

すべてを守りたいと願う女騎士・セシリーが、己の理想と現実のギャップの壁にぶち当たり、そのつど、気合とド根性でぶち壊して成長していく熱血ファンタジー。

これまでどんな強敵にも決して屈しなかったセシリーの信念という心の剣がついに折れる。
悪意に踏み躙られた理想。あがらえない暴力で屈服させられる恐怖。果てしない無力感と絶望。
綺麗事と理想論ばかりでどこか甘さが抜けきらない彼女が、いつか痛い目にあうんじゃないかと思っていましたが、まさかこうも彼女のメンタルを奥深く抉ってくるとは正直ビビリました・・・。
ルークからも「自分の職務を美化しすぎ」と言われてたせいで、余裕を失っていたのもあるのかなぁ。
真っ直ぐでシンプルなだけに打たれ弱い一面が、ここで改めて浮き彫りになってしまいましたね。

しかし、そうやってセシリーを貶めた憎まれっ子ジークフリートも、彼女の戦う理由である「誰かを守りたい」という気持ちだけは、奪えなかったのでしょう。
魔剣の力がなくては、悪魔や人外相手に太刀打ちできない。それでは生身の人間はいらないんじゃないかと思い悩んでいた彼女にとって、魔剣なしで悪魔と戦う騎士団の姿は輝いて見えたのか。
再び闘志を呼び覚まして立ち上がった彼女の顔は、それまで以上に力強さと覇気に満ちていました。
なんていうか言葉は悪いですが、バカは落ち込んで開き直るとその反動なのか勢いがすごいですね。
溜まりに溜まっていた思いをぶつけるが如き戦いぶりがなんとも白熱してました。
それにしてもセシリーの戦い方は、相変わらず無茶がすぎてヒヤヒヤさせる。さしずめ神風特攻だな。

今回はセシリーと並んで、リザもセシリーを助けて頑張りました。
途中、余計なちょっかいもあったけれど、リザとルークの間にあったわだかまりも一掃されたかな。
魔剣アリアも武器だからとてセシリーにまかせっきりにせず。自分の正体が何者であろうと、自分の価値は、自分で決めるという気概を持ってくれたのはありがたい。

最後のジークフリートとの決闘シーンは、ルークなりにセシリーへのけじめのつもりだったのかな。
ジークフリートも、セリフだけ聞いていると、ただの頭のイカレた悪人ですが、彼なりに歪んでしまった理由があるのだろうなぁ。
ルークの魔剣精製にかかるリスクや、リザの正体などが明かされ。そして聖剣をめぐる各国の動きもどれも活発化してきました。

絆を深めていくセシリーたちだけれど、先への不安が拭い去れません。
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2008年09月27日

ラノベ部/平坂読

4840124299ラノベ部 (MF文庫 J ひ 2-14)
平坂 読
メディアファクトリー 2008-09

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物部文香はごくごく普通の高校一年生。高校に入学して一週間、今まで通りさして特徴のないごくごく普通の毎日を送ってきた文香だが、ある時ふと気がつくと軽小説部、通称『ラノベ部』に所属することになっていた……!

ラノベ部より愛をこめて

ライトベルなんてまったく知らなかった少女・物部文香が、『軽小説部』に入部したことで、ラノベの魅力にハマっていく、パロディネタ満載の日常系コメディです。

物部文香を見ていると、初めてラノベと出会った頃の自分を思い出すなぁ。
当時、小学5年くらいだったんですけどね。タイトルは中村うさぎの『ゴクドーくん漫遊記』。
主人公がとにかく下品で、恥知らずで、ロクデナシで、むちゃくちゃ自分勝手な野郎なんですよ。
それまで国語の教科書ぐらいでしか小説を読んだことがなかった私にとって、世の中にはこんなフリーダムな小説もあるのかと強い衝撃をうけました。
読み始めたらとまらなくて、生まれて初めて真夜中の2時くらいまで夜更かしして親に叱られたっけ。

小学校、中学校は周りにラノベを読む人がまったくいなかったんですが、やっぱり高校に入ってからラノベ好きの友人と出会って、放課後なんかはラノベ話で盛り上がってました。
ちなみにそのときの自分たちのブームは『スクラップドプリンセス』。
知名度が低かった昔と比べると、いまじゃどこの本屋でも少なからずラノベコーナーがありますし、
売り切れでもAmazonで注文すれば翌々日には届きますし、いまの学生はとても恵まれてますよね。
偏見や拒否感もずいぶんと薄くなりました。ちょっと前までは、表紙むき出しでは人前で読めなかったものですが、最近は電車内で読んでいる学生なんてザラですから。

(※ただ、読んでいる本人は気にしてなくとも、周囲には気になる人がいるかもしれないので、一般的にはカバーをするのがマナーですよー)

文香と似通ったところがありすぎなんですが、一番共感できるのは、国語が苦手なところだったりする。
私も国語はいつも平均点ギリギリくらい。やっぱり答えを押し付けられるのが大嫌いでした。
登場人物の気持ちとか、作者の意図とか、そんなもの読者に訊くなと!
読んで感じた人それぞれでいいんじゃん!そんな問題に本当に正しい正解はないです!
本をたくさん読んでいるからといって、国語力が上がるというのも偏見ですね。
私の場合、本を読んでいるときは、"文字を読んでいる"という認識はないです。
文章を目にすると無意識に頭の中にはいってきて、物語の情景が勝手に映像化されるんですよ。
だから、自分で書くときは漢字や文法が出てこなくてすごい困ります。
国語テストの点を上げたいなら、文章を文章として捉えながら読まないとダメです。

それと作中では、ラノベ読みがいいたいことをいろいろ代弁してくれている。
「ライトノベルというのは何なんですか?」という質問に対し、
実際に現物をみせて「なんかそういうのがラノベ」と答える。
このやり取りに全国のラノベ読みたちの想いが凝縮されている。
だって、そうとしか答えられないです! 言葉では言い表しきれません!
そればっかりは実際に読んでもらって感覚でわかってもらうしかないです。
ライトノベルの魅力とか訊ねられても、読んだことがない人にどれほど時間をかけて説明しようと絶対に伝わるわけがないと思っています。

ということで、
この本が面白いかは、みなさんが読んでみないと本当のところはわかりません。
そしてこの本に感動するかは、すべてみなさん次第です。
自由気侭であること。それが私がライトノベルを愛する理由のひとつです。

ちなみに、ネタ元が知りたかったらネタバレしているところがいくつかあるので、みなさんもクイズ感覚で考えてみてはどうでしょうか。
KypDurron's Style 2nd
ウォーターバード

ゴクドーくん漫遊記〈13〉 (角川スニーカー文庫)ゴクドーくん漫遊記〈13〉 (角川スニーカー文庫)
中村 うさぎ

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posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする