ダフロン

2014年08月13日

トゥルークの海賊 4/茅田砂胡

4125012881天使たちの課外活動4 - アンヌの野兎 (C・NovelsFantasia か 1-67)
茅田 砂胡
中央公論新社 2014-08-07

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アンヌとの約束を果たすべく怪獣夫婦がテオドール・ダナーに子連れでやって来た。「子」の方が年長に見える「子連れ」だけれども。店には高名な投資家であるシメオン・パラデューがやって来たり弟子入り希望の料理人が押しかけて来たりで、かなり騒がしい。ところがある日、店主がダナーを息子に任せて行方不明に…?

 幸福は食卓に宿る

 宇宙最強の怪獣夫妻が見守る、おっさんと爺さんコンビが行くご当地食材グルメ紀行……なにこれぇ

 おっさんと爺さんコンビが行く『田舎に●まろう!』だったんですが、金銀天使でてこねぇじゃん! タイトル詐欺でしょ! 怪獣夫妻メインは海賊シリーズでやりましょうよ! うん、面白かったんですけれども!
 完全復活した名店『テオドール・ダナー』を抜けだしたテオを追いかけて行った義父のパラデューが、食材を育てる田舎の生産者の元を渡り歩き、自然と人間の付き合い方を学んでいく姿がほのぼの和みました。

 前回、あれだけ嫌っていたのに今ではすっかり娘婿のテオドールに心酔してしまっているパラデューさんのジジデレが萌えますね。70過ぎの爺様が無愛想な定食屋の親父の元に足繁く通い詰めるという、とんでもなく奇妙な光景なんですけども。料理だけでなく美術品の目利きまで神がかっているとなれば、美食家で美術蒐集家の彼としては、魅力的に感じるのもわかりますが、それにしても手のひらを返したベタ惚れぶりに笑う。

 そんなテオが勝手に店を休んで食材を作る生産者の元へ小旅行に出てしまうのだけれど、口下手な彼が行く先々で騒動を起こして、保護者として同行したパラデューを驚かせたり呆れさせたりする姿が可笑しい。
 普段は共和宇宙でも十指にはいる投資家として忙しく働いているパラデューが、田舎で過ごす農家や牧場主の生活を体験し、山の幸や自然の恵みを味わい、スローライフの素晴らしさに触れていくのも微笑ましかった。

 穏やかに旅を終えようとしたころ、怪獣夫妻の見ている前でテオが誘拐されてしまって、そこから始まる銀河を巻き込むドタバタ騒動はまた盛大に笑わせてくれましたね。胃袋を制するものは宇宙を制する。
 あからさまな前フリがあったので、事の真相は予想済みだったのですが、最後の最後まで無自覚に周囲の人々を驚かせる続けるテオの無茶苦茶っぷりは、リィや怪獣夫妻とは違った切り口からの面白味で楽しめました。

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2014年01月04日

トゥルークの海賊 3/茅田砂胡

4125012733トゥルークの海賊3 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡
中央公論新社 2013-12-19

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人質をとった偽シェンブラック海賊団に対し、トゥルーク政府は人質の命が最優先であることを表明。そのため連邦軍の討伐艦隊はカトラス星系外縁部に待機せざるを得なくなった。トゥルークの巧みな交渉のもと、資材を積んだ大型コンテナ船と人質とが順調に交換され最後の一隻となった時、なぜかコンテナ船が一斉に消失し

 地獄の釜の蓋が開く

 女王と海賊王。常識外の怪物夫婦が繰り広げる痛快SFスペースアクション

 海賊の時間だ! 古き良き時代の伝説の男たちの意地と誇りが渋くて格好良さにしびれる。アニキ!
 二代目シェンブラック海賊団を名乗る者達によって封鎖状態に置かれたトゥルークで、誰もが緊張感漂う人質交換の最中、次々に巻き起こる異常事態の連続が読者の度肝を抜き、豪快な展開が飽きさせませんでした。
 表題の「トゥルークの海賊」が誰を指したものだったのか、理解したときはニヤリとせずにはいられない。

 トゥルークをこっそり抜け出し、麻薬製造の追跡調査を進めるゴジラ夫妻は、まさに捜査員顔負けですね。しかし、彼ら自身が行動しなくとも手がかりだけ渡して情報局の人たちにやらせればいい気もしますけどね。
 トゥルーク側も、大人しく海賊の言いなりになるだけではないだろうなと期待していただけに、エルヴァリータさんの巧みな交渉術からの華麗なガンアクションに改めてこの世界の女性のたくましさを思い知らされる。

 人質と物資の引き渡しを連邦政府の討伐艦隊が見つめるなか、偽物を退治に本物のグランドセヴンの生き残りが現れ、憧れの存在を目の前にして声を掛けたくても立場が許さない軍人さんたちの懊悩が可愛かった。
 ケリーにとっては懐かしい顔との再会なのだけれど、かつての同胞たちの思わぬ現在の姿に悲喜こもごもで、老いてなお伝説の男に相応しい貫禄は偽物なんかとはまるで違う迫力と魅力があって男が惚れる男ですねぇ。

 トゥルークを襲う未曾有の天災に対し、まるでちょっとしたお祭りが来たかのように、あっけらかんと対応してやり過ごしてみせる人々やお坊さんたちに驚く連邦政府の高官たちの唖然とした様子がこれまた可笑しい。
 ライジャの姉エレクトラの結婚騒動も相応のオチがついて、彼女には災難だけれど、両親への反感を見直して、男を見る目を養うきっかけになればいいと思います。さて次はまた課外授業の方かな?

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2013年08月01日

トゥルークの海賊 2/茅田砂胡

4125012555トゥルークの海賊2 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡
中央公論新社 2013-07-27

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探索の依頼を受けてトゥルークに赴いた怪獣夫婦は連邦軍の駆逐隊が壊滅する現場に行き合う。その襲撃者は恥知らずにも伝説の大海賊の名を口にした。―その時、ケリーの顔から表情が消えた。一方、大いなる闇の顕現を告げられたトゥルークの僧侶たちは大混乱。ついにはサリース・ゴオランの僧籍離脱問題へと発展…?

 神を信じて疑うべからず

 女王と海賊王。常識外の怪物夫婦が繰り広げる痛快SFスペースアクション

 ゴジラ夫妻も、黒い天使も、みんな激おこ。その人たちキレさせたら宇宙が滅んじゃうらめぇ。
 二代目グランドセブンの名を口にした海賊たちにケリーが激怒し、クーア財閥の関係者が不祥事を起こしてジャスミンが憤慨し、サリース・ゴオランを非難する僧院にルゥが憤怒し、普段は絶対に怒らせてはいけない人たちが、そろってマジギレしていて読んでてハラハラしっぱなしでした。心臓に悪いがすげー楽しいわw

 初代グランド・セブンとは比べ物にならない自称二代目たの三下ぶりに、怒りを露わにするケリーだけれど、そう名乗るだけのゲートの知識や戦力を整えていて、目の前で取り逃がしてしまうところが口惜しい。
 馬鹿御曹司のトゥルークへの領海侵犯が、思いもよらずクーア財閥に関係してて、騒動の処理を考えていた矢先に、追いかけている麻薬事件とも繋がってと、意外な所で事態が結びついていく展開に興味をそそられる。

 一方、トゥルークでは、ルゥと会ったことや、彼の漏らした発言がアドレイヤの進退問題に発展していて、それを知ったライジャの相談を受けたリィが、ルゥをお得意の"あの手段"で拉致してくるから懐かし可笑しい。
 トゥルーク行きを嫌がっていたのに無理矢理に連れて来られて怒りのオーラ全開のルゥと、そんな彼の前に引き出されて戦々恐々としている三十一人大師たちとの問答面談が痛快すぎて、もう笑いが止まらないw

 地上で騒動が解決している間にも、宇宙で事態が急転して、海賊たちが良からぬバカなことを企んでで……。よりにもよってゴジラ夫妻だけでなく、金銀黒天使がいるときになんとも間の悪い。過信は身を滅ぼすって。
 身内を人質にまで取ってさらに自分たちの死亡フラグを積み上げていく自称二代目さんたちの蛮行に、もはや呆れるほかありませんね。せめて読んでる我々が楽しめるようケリーたちにやられてもらうのを期待しよう。

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2013年03月28日

天使たちの課外活動 3 テオの日替り料理店/

4125012423天使たちの課外活動3 - テオの日替り料理店 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡
中央公論新社 2013-03-26

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リィとシェラに社会体験学習の順番が回ってきた。中学生と高校生に義務づけられた授業の一環で、実際の職場に働きに行って経済活動を勉強するものだ。人前に出る仕事は避ける方向で(目指せ一般市民なので)悩んでいると、ひょんなことから潰れかけた料理店の立て直しという話が舞い込んだ。

 こころを満たす魔法の料理

 課外活動として人助けを行う、見た目だけは天使な少年たちのスラップスティックミステリー。

 最高傑作級の飯テロだな。何故ここにフルコース料理のディナーがないのか!と嘆きたくなりました。
 社会体験学習の一環で、潰れかけた料理店『テオドール・ダナー』の臨時従業員となったリィとシェラが、持ち前の破天荒な行動力を駆使して、お店に客の笑顔を取り戻していく光景がこころ和みました。
 非常識な生徒を受け持って気苦労の絶えないエリオ先生がお気の毒すぎて慰めてあげたくなった。

 無愛想な頑固親父の店長テオドールを上手く御してお店を繁盛させる過程が面白可笑しかった。
 学園祭のときにも披露したメイド服を着て客寄せをしたり、ルウやシェラがお菓子を作ってティータイムを設けたり、訪れるお客を驚かせながらも日毎にお客を増やしていって、中学生とは思えない経営視点や営業力で、単なるウェイトレス以上の働きぶりを披露してくれるのだから愉快でしかたがない。

 そんな二人が不思議がるくらい、『テオドール・ダナー』も普通とは違った奇妙な料理店で、倉庫にはテオドールの妻アンリの遺した高級家具や美術品が山のようにあるし、かつてのリピーターには政府の要人もいるしで、でも料理以外には無関心なテオドールはそのおかしさをまったく気にもとめていなくて、世間知らずにも程がある!とツッコミたくなりましたわ。職人ってのはこういう変人のことを言うのだろうなぁ。

 『料理の神様』ことテオドールの料理にかける情熱と亡き妻アンリの深い愛情が素晴らしかった。
 アンリの死で失われかけていた家族の絆が、再び料理で結ばれたところが感動を呼びました。
 ジェイソンや二世おじさんたち脇役の人々も、意外な人間味が感じられて温かかったなぁ。
 料理の描写よりも、料理を食べた人物のリアクションの描き方が巧み。ああ、読んでたらお腹が空いた。

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2013年01月09日

祝もものき事務所 3/茅田砂胡

4125012261祝もものき事務所3 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡
中央公論新社 2012-11-29

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あの無能で怠惰な百之喜に、なぜ真面目で前途有望な雉名や隠しワザ満載の鬼光、かわいい顔して武芸百般の犬槇と舞台の上なら千の仮面を持つ芳猿たちは協力するのだろうか?まして―超有能で超美人、引き手あまたは絶対確実の凰華が百之喜ごときの秘書に甘んじてくれているのか?

 神さまの道具は気まぐれ屋

 無能な探偵"もどき"百之喜太朗と友人たちの織り成す、スラップスティック・人間ドラマ。短篇集。

 偏見や欲望にまみれた人間の醜悪さがあからさまで、盛大にもにょもにょするー!
 無能で役立たずな百之喜太朗を取り巻く、有能で魅力溢れる友人たちが、それぞれ遭遇した不可解な事件を通じて、どうして彼らが太朗を頼りにしているのか、その理由が描かれるのですが、幼馴染同士、お互いの信頼と理解が通じ合い、損得を抜きにして助け合う姿が微笑ましく心温まりました。

 犬槇くんの事件は、もっとも茅田砂胡らしいエピソードですね。強くて精神的に自立している女性を、碌でもない男が甘く見て手を出して、痛い目にあうというお約束をニヤニヤしながら読んでました。
 芳猿が不運にも巻き込まれた空き巣事件は逆パターン。外面の良い女子が男を食い物にして……というものでしたが、良家のお嬢様が軽い気持ちで程度の低い犯罪に走るんだから女は恐ろしいなぁ。

 鬼光の恋愛観は、私としては非常に頷ける、常識的な男の平均的な価値観だと思うんだけど、ただ女心がわかってないだけなのか。最近の女の子が理解し難い存在になったなぁと思わされる話だった。
 雉名さんがこのシリーズでは一番気苦労を背負わされてるような気がしますね。のほほんとしている百之喜に振り回されやすい性格だけど、絶対に見捨てないのだから、なんてツンデレでいい人なんだ。

 幼馴染ズに比べると、付き合いの浅い花祥院さんが百之喜の実用性に疑問を抱くのはよく分かる。すぐに彼の特異性を身を持って体験して背筋を震わせることになるのだけど、助かってホッとしたわー。
 『神さまの道具』としての百之喜の特性よりも、幼馴染ズは裏表のない彼の人徳に救われているところもあるんじゃないのかな。花祥院さんも百之喜に影響されてもっと力を抜くようになればいいのだけれど。

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2012年07月31日

トゥルークの海賊 1/茅田砂胡

4125012083トゥルークの海賊1 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡 鈴木 理華
中央公論新社 2012-07-24

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一世に呼ばれて赴いた先には、ものすごくド派手で威厳と風格と静寂を纏ったトゥルークの僧侶がいた。実は連邦の上層部でとある大事件が進行しており、惑星トゥルークが深くかかわっているらしい。それでケリー・ジャスミン夫婦と僧侶(とその一行)とのご対面となったわけだ。

 神と恋の信仰心

 女王と海賊王。常識外の怪物夫婦が繰り広げる痛快SFスペースアクション

 世の中にはぶっ飛んだ夫婦がケリーとジャスミン以外にも、案外いっぱいいるもんだ。
 中央政府の上流階級で蔓延しはじめた奇妙な麻薬の出処を突き止めるべく、渡航の制限された現代の秘境惑星トゥルークへと向かったケリーとジャスミンの夫妻が、そこで暮らす人々と僧侶たちの特殊性に戸惑い、捜査を進めるうちに現地の人間関係の揉め事に巻き込まれていく光景が興味深かった。

 『天使たちの課外授業』でもよく語られているように、惑星トゥルークの僧侶さんたちの特異性に中央政府の役人たちが頭を抱えるエピソードがブラックユーモアに満ちていて笑いを誘い、本質は善良だがどこか強かでちゃっかりしている国民性が侮れない。過酷な風土がこういう人柄を磨いたのかな。
 大らかな態度で油断しているとケリーたちもいつの間にかいいように利用されていて愕然としそう。

 目的は麻薬捜査のはずが、ライジャの姉の結婚相談や両親の僧籍復活で揺れる宗教問題まで首を突っ込むようになってきて、騒動の行方がどーなっちゃうのと、まったく麻薬捜査どころではないよ!
 ことに異性を見る目のない恋に盲目になっている人間は厄介ですね。うまく彼女の感情を刺激して別の方向に暴走させてやるジャスミンの手口はうまかった。ありゃ男のボロが出て簡単に終わりますね。

 麻薬捜査の方は、最後でようやく進展があったけれど、身の程知らずな海賊さんの弁が恐ろしや。
 しかし、携帯サイトでの読み切り短編を前提にして書かれているって、どうなんだろう。せめてPCから読めるようにして欲しいのだけれど、スマホが対応してないってどういうことですか(バンバン
 しかもこんなところでぶった切っておいて次は『もののき』の方ってどういうことだ楽しみにしています。

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2012年03月30日

天使たちの課外活動 2 ライジャの靴下/茅田砂胡

4125011923天使たちの課外活動2 - ライジャの靴下 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡 鈴木 理華
中央公論新社 2012-03-27

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リィたちは『困ったときはご相談ください』という大雑把な課外活動を始めた。そこへさっそく依頼を持ち込んだのはライジャで、どこの誰ともわからない相手を捜せというものだった……?

 かけた情けは忘れても、うけた恩は忘れない

 課外活動として人助けを行う見た目だけは天使な少年たちのスラップスティックミステリー。

 毛糸を編みたい。やったことないのに何故だか読んでて無性に毛織物が編みたくなりまする。
 ライジャの元に匿名で寄進された靴下の送り主を探すうちに、奇妙な事件の気配を嗅ぎつけていって、誰にも知られず密かに解決に一役買うリィたちのまったく普通じゃない課外活動ぶりに大笑い。
 ライジャを仲間にしてますます「一般市民」からかけ離れていく彼らの姿がもう可笑しい。

 それにしてもライジャの高潔ぶりは度を越してますね。息苦しいくらいなんだけれど、贈り物に礼を言うのは人として当たり前と正論を言われると、こちらこそ襟を正さなければいけないように思えてくる。
 靴下の毛糸の入手ルートを遡っていくうちに、ひとつの手芸クラブに行き着いて、その繋がりで偶然出くわしたニコニコ顔のヴァンツァーが不気味。女性に微笑むヴァンツァーなんて恐ろしいだけですん。

 再登場のビアンカは相変わらず気持ちのいい女の子だなぁ。このシリーズには、彼女のように"話のわかる"、"マトモ"な感性を持った女子が少ないせいか、いっそう魅力的に見えるわ。
 人探しを続けて歩きまわる内に、そこかしこで事件の残滓を見つけて、いつの間にか黒幕にマークされていくんだけれども、刺客を返り討ちにして情報源ゲット!って、ここまでお約束って流れでニヤった。

 事件の背景はまたまた姑息な素人犯罪のしょうもない真相だったけれど、その過程までが面白い。
 リィたち個性的なキャラクターが非凡な一般人の日常に乗り込んでいって、悩める人々の背中をときには強引に押して立ち上がらせて、事態を前向きに好転させていく光景がやはり見ていてスカッとする。
 靴下に込められた、温かい気遣いにこちらの心までほんのりと温かくなりました。もうすぐ春ですねぇ。

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2010年11月28日

祝もものき事務所/茅田砂胡

412501129X祝もものき事務所 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡 睦月 ムンク
中央公論新社 2010-11

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やる気なし、根性なし、能力なしの事務所の所長が、凶器あり、指紋あり、目撃者あり、動機もありで現場不在証明なしの有罪確実な殺人事件の被告人の無罪証明を頼まれた!?

 華麗なる一族の不都合な真実

 やる気も根性も能力もない主人公のなんちゃってミステリー。

 主人公、役立たず過ぎる……。ってか、周囲の友人や秘書がチートすぎるやろ。
 裁判で有罪確定な証拠が揃っている殺人事件を巡って、とてつもなく無能な探偵(?)・百之喜太朗が容疑者の冤罪を解くために捜査を始めるんですが、ミステリーというよりは火サス風味?
 これまでにない新境地と見せかけて、いつもの茅たんらしい皮肉とエスプリの効いたお話でした。

 推理力も観察力もない、それどころか極端な面倒臭がりのダメ人間のくせに、行く先々でトラブルを起こしては何故かそれが事件の真相に繋がっていく、不思議な運命力を持った百之喜の行動が読めなくて面白い。いい年した大人なのに色々と抜けて残念なところも読んでいるうちに次第に可愛くみえてくるから困ります。

 ストーリーの展開とともに明かされていく旧家のお家事情にゾッとする。
 現代社会から取り残されたかのような旧態依然とした『しきたり』や時代錯誤な体面を重んじる吾藤田一族の非常識さにある種の可笑しさがあるけど、笑えない…これは重すぎて笑えない……。
 自分の人生も自分で決められない情けない草食系男子たちに比べ、非常に現実的で行動的な女性陣が逞しくて格好良かった。こんな女性になりたい。

 真犯人の目ぼしが二転三転して、残りページ数的に「そんなテンポで大丈夫か?」と不安になったんですが、まさかの最後のどんでん返しに呆然となりましたよ。運510振りも甚だしい。推理なにそれおいしいの。
 無能な百之喜をフォローする幼なじみ多すぎじゃないかな? こんなにいてもキャラ立っていないし。
 っていうか、百之喜含めてイケメン&美少年多すぎやろ。どこのアイドルグループですかー。

 新シリーズとして続けていくのかわからないけど、次回のデフィニア番外編は期待しています。

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2010年08月01日

クラッシュ・ブレイズ ファロットの休日/茅田砂胡

4125011168ファロットの休日 (C・NovelsFantasia か 1-54 クラッシュ・ブレイズ)
茅田 砂胡 鈴木 理華
中央公論新社 2010-07

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レティシアのことを死ぬほど恐れているニコラは、実は連邦大学惑星を震撼とさせた連続猟奇殺人事件の犯人のひとりである。そのニコラがレティシアの前に現れて、頼み事を……? 休日のヴァンツァーにぶつかってきた少女ビアンカ。目の見えない彼女の命を狙う誰かがいて……?

 殺人鬼の救世主

 暗殺者一族の二人が、人助けに奔走する休日を描いた中編+短編連作集。クラッシュ・ブレイズ完結。

 これまで人殺しばかりしてきたレティシアとヴァンツァーの二人が、今度は人を救うために動く姿に、変わらないようで少しずつ社会に溶け込んでいっている彼らの成長が見られました。
 それにしてもルーファの使い易さは異常。あの占い師は万能すぎてご都合主義もいいところだが、それを言ったら登場人物全員がチートなのでいまさらであった。

 かつて猟奇殺人事件の犯人でありながら見逃された少年ニコラが、よりにもよってレティや金銀コンビ相手に脅迫まがいの取引を持ちかけてくるんですから、いつ彼らの逆鱗に触れてサクっとやられてしまうのか、ハラハラしっぱなしでしたよ。これだから身の程を知らない子供は恐ろしい。
 事件解決後には、傲慢で尊大だったニコラもちょっとはマトモになり、あのレティが他人に何かいい影響を与えるなんてと思わず感動してしまった。意外と向いてるかもしれませんよ、家庭教師。

 ヴァンツァーが偶然出会ったローリンソン親子の人柄は、あの女嫌いの彼が好意を抱くのも頷ける。
 目が見えなくなったことで本当に大切なものに気づいたビアンカや確固として揺るぎない自分というものを持っているブリジットは、読んでいてこちらの心が洗われるような素晴らしい人たちでした。
 ビアンカを助けに動いたのは、きっと本人も意識してないことだったんじゃないかな。ビアンカであればヴァンツァーにも釣り合うと思うのに、お互いに友達で終わってしまったのが惜しい。

 どうせ完結なら金銀コンビと黒赤ゴジラ夫婦も含めたオールスターで盛大にやって欲しかったなぁ。
 人知れず任務を遂行する暗殺者の話ならばということなのか、いつもよりはちょっと地味だったかもしれませんが、推理小説やサスペンス映画のようで、それはそれで楽しめました。
 一旦、休止というのであれば、またいずれシリーズが再開することを願おう。

 次回は漢字表記のお話を書くということでしたが、カッパで出るのか、他のレーベルから出るのか。
 できれば、角川スニーカー文庫のレディ・ガンナーシリーズの続編もよろしくお願いします……。

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2009年03月25日

クラッシュ・ブレイズ 海賊とウェディング・ベル/茅田砂胡

4125010676海賊とウェディング・ベル (C・NovelsFantasia か 1-51 クラッシュ・ブレイズ)
茅田 砂胡
中央公論新社 2009-03

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辺境宙域ガリアナ星系では、海賊が大活躍中である。やんわりと大手保険会社に"お願い"されて、ダン・マクスウェルは調査を手伝う羽目に。そこへ乗り込んできたのはあの「海賊」と「女王」で・・・。

 『レディガン』の新作キタァアアアア!!!

 諸君! 角川靴から六月に『レディガンナーと虹色の羽』が発売だそうですよ!
 『レディガン』の存在を覚えていてくれてありがとう。茅タソ!
 前巻の発売が2006年の3月だから、丸3年も空いてたじゃないか!
 一時は、本当に打ち切りかと・・・・・・、生きる希望を見失ってた(つω;`)
 いまほど六月が待ち遠しいと思ったことはないですよ!!
 しかし、あと二ヶ月先か・・・長いな。誰かキンクリ一丁頼む。

 それだけです。正直、この本について、もう、とくに言いたいことはないよ?




 まあ、↑それだけ言って終わるのも難なんで、ここから↓は、蛇足です。後は自己責任で(・ω・)ノシ

 というわけで、今回は宇宙海賊を相手に大暴れするゴジラ夫婦の回。表紙のいかにも悪巧みしてそうな笑みが怖い! これがラブラブに見える作者の眼は腐っている! いいぞ、もっと腐り堕ちれ!

 いつもながら、無茶で通理を通す非常識っぷりに呑まれて一気読みしてしまった。
 辺境の航路に横行する海賊団に囚われたある家族を助け出すために、ジャスミンとケリーが海賊の巣窟に潜入するわけですが、こんなに態度がデカい人質がいてたまりますか!
 まあ、相手も誇り高き宇宙海賊というイメージとはほど遠く、場末のギャングか、チンピラみたいな連中だから仕方がないのかもしれませんが、あきらかに二人の"格"に負けてるんだもんなぁ。
 海賊たちそろって「姉ご」、「兄キ」と懐いてしまう始末。本能で力の差を察したか?

 しかし、ジャスミンの危険性に気づけないのが、本当に恐ろしい。
 武装した海賊に囲まれた街で、着々と人探しと人質解放を企むジャスミン、ケリーもちゃっかり人相偽って侵入してきてるし・・・。海賊どもは金に目がくらんで、なんて疫病神を呼び込んだし!
 家を食い荒らすシロアリどころか、家ごと踏み潰すゴジラですよ。しかも二匹。
 助け出す対象のロイドとスキップにしても、あんまりな仕打ち。まあ自業自得だけれど。基本、ジャスミンは残された彼らの花嫁のために動いてるからなぁ。五体満足で顔さえ無事ならいいんだろう。流石に惨い。

 そして人質救出後の暴れっぷりが、さらに酷い。正規の軍艦乗っ取って、脅迫って・・・、いや、アナタそれこそ海賊のやり方じゃあ・・・。ジャスミンには借りのある相手だったのが運のツキか。
 ケリーと組んで海賊たちと大立ち回りを繰り広げた後に、韋駄天もかくやという強行軍でのカムバック。
 一般人が乗り込んでいてもお構いないしですか、海賊たちに受けたものより、よっぽど精神的にダメージを受けている姿に可哀相になってきたが、そこが面白い。
 ときに、ロイドとスキップは結婚式の後、軍艦を略奪した罪で逮捕されないのかな・・・。フォローを忘れていそうな、ゴジラ夫婦に冷や汗。

 うむ、やはりキャラパワーがもの凄いなこのシリーズは。
 非常識のキワミだけれど、それでも非現実に感じないのは、やっぱりキャラクターが持つ圧倒的な迫力からくる説得力というか、納得力みたいなものが強烈なんだよなぁ。
 むしろ、それでもっていて、それがすべてなのですが、よくもシリーズが続くもんだ。
 まあ、毎回かなり売り上げはすごいのですがね。きっとまだ続くんだろうなー。そして次が出たら買うんだろうな、私も・・・。惰性で買ってるが、後悔はしてないぜ!

 執筆ペース速いけれど同じ執筆速度で『レディガン』も書いてくださいよ!
 どうせだし、既刊宣伝しとこう。
レディ・ガンナーの冒険 (角川スニーカー文庫)レディ・ガンナーの冒険 (角川スニーカー文庫)
茅田 砂胡

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レディ・ガンナーの大追跡〈上〉 (角川スニーカー文庫)レディ・ガンナーの大追跡〈上〉 (角川スニーカー文庫)
茅田 砂胡

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レディ・ガンナーの大追跡〈下〉 (角川スニーカー文庫)レディ・ガンナーの大追跡〈下〉 (角川スニーカー文庫)
茅田 砂胡

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レディ・ガンナーと宝石泥棒 (角川スニーカー文庫)レディ・ガンナーと宝石泥棒 (角川スニーカー文庫)
茅田 砂胡

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レディ・ガンナーと二人の皇子 (上) (角川文庫―角川スニーカー文庫)レディ・ガンナーと二人の皇子 (上) (角川文庫―角川スニーカー文庫)
茅田 砂胡

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レディ・ガンナーと二人の皇子 (中) (角川スニーカー文庫)レディ・ガンナーと二人の皇子 (中) (角川スニーカー文庫)
茅田 砂胡

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レディ・ガンナーと二人の皇子 (下) (角川スニーカー文庫)レディ・ガンナーと二人の皇子 (下) (角川スニーカー文庫)
茅田 砂胡

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2009年03月02日

誰かのリビングデッド 3/海原育人

4125010668誰かのリビングデッド〈3〉魔性 (C・NOVELSファンタジア)
海原 育人
中央公論新社 2009-02

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デルの正体を知るエスケを追ってケルプ都リンジット県に辿り着いたプラスたち。ここに本拠を置くのが、エスケやオールトたちの師匠『最果て』。プラスとの再会にブラコン・オールトの妄愛はますます暴走、エスケの殺意も最高潮!関係者一同うち揃ってのバトル勃発?デルの創造主捜しの決着は―。

 すべてが生きた証にかわるまで

 迷子のリビングデッドの飼い主探しの旅物語。完結。

 やけにあっさりデルの主が見つかったなぁと思いきや。ちょっと事態がこじれて、無難に収めるつもりがよけいに事態を大きくしてしまって大事に、というカンジ。
 プラスはデルに肩入れし過ぎていますよね。彼がゾンビっぽくないから、人間扱いしてしまうのも仕方がないのかもしれませんが、すでに死んでいる者ために、自分や仲間の命を危険に晒すというのは、なかなか共感しずらいところがあったり。

 まだオールトの方が気持ちはわかるんですよね。彼はそのあたりシビアな切り替えができているというか、本当に大切なものだけを一番に考えて、行動がブレないじゃないですか。
 まあその情熱の大部分が弟に向けられているというのが、いろいろ問題ですけれど。
 いい兄貴だとは思うんですが、そんなオールトの色仕掛け(?)にひっかかって上司を裏切るエスケさんは、正直、男の趣味が悪いと言わざるをえない。だって、いかにもダメな大人の典型だよ、あれは・・・。

 ストーリーからして、やや強引に締めに入っている印象を受けたのですが、捻りが足らなかったかも。
 この作者の持ち味はピカレスクロマンであり、確かに作中に登場する魔法使いたちは、皆、人格破綻者ばかりのロクデナシなのだけれど、やることはワンパターンで力技一辺倒なだけに、先の展開が読めてしまって面白くないんだよなぁ。
 『ドラゴンキラー』のときみたいに敵味方騙し騙され、パワーバランスが二転三転する方が見ていてハラハラするものなのですが、『リビングデッド』の方は登場人物が見たままのキャラで、裏を読むという楽しみがない。物語展開も起伏に欠け、素直すぎたかもしれません。

 イマイチ「ここが面白かった!」というのが見つけられなかったのが残念でありますが、まあ経験値は積んで来ているだろうし、執筆も順調のようだから、次回シリーズは新たな境地を見せて欲しいなぁ。

4125009929ドラゴンキラーあります (C・NOVELSファンタジア)
海原 育人
中央公論新社 2007-07

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2008年11月02日

フーバニア国異聞 水の国の賢者と鉄の国の探索者/縞田理理

4125010544フーバニア国異聞―水の国の賢者と鉄の国の探索者 (C・NovelsFantasia し 3-1)
縞田 理理
中央公論新社 2008-10

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父に命じられ、未開の地・フーバニアに赴くことになった、<役立たずの男>エラード。着いた早々、巨大生物に襲われ、不思議な森で迷い、底なし沼にはまって死にそうになり・・・・・・。しかもエラードを救ったのは<人食い人種>で<邪悪な魔法を使う>とされるフーバニア人だった。

まずは一報、神秘の国より

蛮族の住む土地と恐れられているフーバニアへ調査に赴いた博物画家の青年の異聞ファンタジー。

 ありえない生態をした動物、植物、そして人々の驚くべき暮らしぶり。フーバニアはまさに人外魔境。
 紡績技術と鉄鋼産業が発達した大国カリカテリアからやってきたエラードにとっては、見るもの触れるものすべてが新鮮で、初めて出会った神秘の数々に眼を輝かせる彼の驚きと感動が伝わってくるようです。奇妙でヘンテコだけれど夢があって、これはとても楽しかった。

 一年中を通して雨が降り続け、危険な底なし沼が点在する草原、巨大な毒キノコの森。人間まで餌にする大鳥、昆虫、食人植物が数多く生息する過酷な自然の中で、動物と対話し、植物と調和をはかりながらゆったりと暮すフーバニアの人々の穏かな人柄に惚れました。
 なにがあってもいつも自然体に構え、来るものは拒まず「そうしたいのなら、すればいいさ」と些事にはこだわらない大らかな器量の持ち主ばかりで、一緒にいて心が安らぐんですよね。

 エラードが祖国カリカテリアに資料を持ち帰ったせいで、フーバニアに侵略戦争の危機が訪れてしまうわけですが、普段は従順なフリをして侵略してきた兵士たちに一杯食わせる村人たちは善良な顔して実に「イイ性格」をしていて思わずニヤリ。

 フーバニアに行く前は、周囲の誰もが<役立たず>と言われ続けていたエラードが、勇気を出してフーバニアの地を訪れたことから発して、様々な立場にある人々が動き始め、影響を与えていく。
 なんの力もない一人の青年の行動が、時代の新たな流れを生み出していくところにこの作品の魅力を感じましたね。
 この世のどこかにもしかしたら実存するかも、と思わせる不思議な世界観がよかったです。ファンタジーらしいファンタジーですね。

 ひとつ不満があるとすれば、もうちょっとエラードとニアのラブラブ路線で行って欲しかったかな。
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2008年09月30日

〈本の姫〉は謳う 4/多崎礼

412501048X〈本の姫〉は謳う 4 (4) (C・NovelsFantasia た 3-5)
多崎 礼
中央公論新社 2008-09

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バニストンに戻ったアンガスを待っていたのは、戒厳令の布かれた街で地下活動を続けていたアンディだった。エイドリアンとウォルターが収容所に送られたことを知ったアンガスは、街の開放のために行動を開始するが・・・。

そして世界は、恋をして・・・

人に害をなす邪悪な文字(スペル)を回収するため、本に封じられた「姫」と旅を続ける少年アンガスの物語。シリーズ完結。

読んでいてすごく胸が苦しかったけれども、最後まで読むと素直によかったと思えた。
弾圧を受けて燻っていたバニストンの人々が、「姫」の歌声によって希望を抱き、一斉蜂起する。
一人一人はちっぽけな存在でも、歌が彼らの魂を繋ぎ、やがて大きなうねりを生み出す。
「我々は一人ではない」。その言葉は、友が、恋人が、兄弟が、息子が、娘が、前にも先にも果てしなく続いていくたくさんの命の連なりを高らかに謳い上げている。
人間がもつ生命力の力強さ、逞しさ、雄々しさが満ち溢れ圧倒されてしまいました。

しかし、直後バニストンを襲った悲劇は喜びに沸く人々をより深い絶望のどん底に叩き落とす。
大切な人を失って初めて他人への殺意の重みを知り。憎悪に黒く塗りつぶされていってしまうアンガスの心中を見ているのは、正直しんどかった。
私もアンガスの持つ希望を信じていただけに残念な、とても切ない思いにかられました。
作者は、世の中には綺麗事ばかりでなく、それでもどうしようもない悪しき不条理が満ちているということを、とても真剣に伝えようとしてくれたのでしょう。
それでも失ってしまったもののあまりの大きさに打ちのめされます。

そしてバラバラだったアンガスとアザゼルの物語が、ついに融合するクライマックスは圧巻でした。
姫の歌にそれまでの恨みも、憎しみも、怖れも、すべてが消え去り、ただ世界の美しさを知る。
すべての文字(スペル)を回収した姫の魂は役目を終え、愛する人の元へと帰っていく。
この『世界』で生きるアンガスとセラは、未来へと歩みを進める。

たった四巻なのに信じられないほど緻密かつ精巧、壮大なハード・ファンタジーでした。
むしろ全体的に展開が駆け足気味で、これだけではあまりに短すぎてあっけないと思ってしまうくらい。
もっとアンガスと愉快な仲間たちと旅をして、この美しい物語の世界に浸っていたかった。

この本のことは絶対に忘れない。姫の歌声は私の魂にいつまでも響いていることでしょう。
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2008年08月01日

翡翠の封印/夏目翠

4125010404翡翠の封印 (C・NovelsFantasia な 1-1)
夏目 翠
中央公論新社 2008-07

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その瞳にうつるもの

神殿で巫女姫として一生を終えるはずだった王女セシアラは同盟の証として、新興国ヴェルマに嫁がされた。
麗しき美貌と緑の瞳をもつ少女は、悲壮な決意を秘めて政略結婚に赴くが・・・。人の死期が見える不思議な能力をもった少女と自由奔放な少年王との王室ロマンスです。

文章はともかく、登場人物がいただけないなぁ。
ヒロインのセシアラはまだしも、彼女のお相手である少年王テオの思考レベルがまるでガキんちょなんですよね。
ただの金持ちのボンボンならこのキャラで納得なんだが、一国を背負う者としての重みみたいなものが感じとれない。
若さというか、単に人間としての未熟さ、狭量さが鼻につく。

王族を働かせるのは畏れ多いといいながら、医者の真似事をさせている家来なにこれ? 身分制度が崩壊してるじゃない。
一国の妃とはいえ、女性が外交の場で他国と条約を結んだりできるほど、女性の地位って高いのかなぁとか。
そもそも生まれてこのかた神殿暮らしで、俗世間と離れてた人間がいきなり、政治ができるっていうのも出来すぎでしょう。
肝心のそのシーンはカットされてるしね。

別にリアリティに固執しろというわけじゃないが、"本格"とか、"王道"的なファンタジーに余計な『親しみやすさ』を加えた結果、作品を中途半端なものにさせてしまっている。
なんというか、作者はファンタジー小説を書いているつもりが、実際の中身は少女小説になってしまってるんですよね。

これがコバルト文庫とかだったならまだしも、C☆NOVELS大賞というには、さすがに乙女ちっくすぎる。
対象年齢はせいぜい中学生くらいまでだなぁ。
男が読んでこれに共感するのは難しいでしょう。

ストーリーもやっぱりコバルト文庫によくありそうな流れ。
『燃え』というには、展開も演出も生温くて盛り上がらない。
厳しく言えば、設定に酔っていて、作り込みがいい加減だ。
どこがオリジナルかと考えても、独自性が見つからん・・・。
やっぱり既存のファンタジーを焼き増しして、ただ味付けを甘くしてみたってカンジですね。
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2007年11月06日

〈本の姫〉は謳う 1/多崎礼

4125010064〈本の姫〉は謳う 1 (1) (C・NovelsFantasia た 3-2)
多崎 礼
中央公論新社 2007-10

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すべての本は読まれるためにある

呪文を唱えることで映像と音声を再生する、「本」。
かつてこの世にいた天使達が作り出したその遺物が、現代のの人々にとって最高の娯楽であるそんな世界。
人に害をなす邪悪な文字(スペル)を回収するため、本に封じられた「姫」と旅を続ける少年アンガスの物語です。

高飛車な本の「姫」とお人好しな少年アンガス。
そしていつの間にか旅の仲間になっていく、ややヘタレな優男ジョニーのトリオのかけ合いが愉快で楽しい。
様々な場所に隠された文字(スペル)を見つけ出す謎解き、
文字(スペル)を悪用する強敵とのバトルも飽きさせません。

とくに魅力的なのが、この世界の「本」というアイテムの存在。
DVDのようなものなんですが、希少価値ゆえに高価な芸術品のような扱いでもって人々に愛されているところが、本好きとしては、なにやら微笑えましいやら、嬉しいやらですね。

人気を博した前作『煌夜祭』が、いわゆるハイファンタジー系であったのに、今回は、やや文体を崩したライトノベルテイストの冒険モノに仕上がっています。それでも一種独特の世界観を色鮮やかに描写するその表現力の高さに脱帽です。
まさに「本」の如く、物語の情景がありありと浮かんできます。

また物語構成においても、過去と現在の二つの物語が同時進行していき、絡み合ってアンガスの旅の行方と世界の謎が徐々に明らかになっていくといった形式になっています。
この構成力の高さもこの作者の持ち味ですね。

文章は読み易く、ストーリーもシンプルにまとめたことで、
より親しみやすく、世界観の奥深さはより広がっています。
まだまだ物語は序盤。セラやランディ兄弟の経緯、アンガスと「姫」の過去になにが起きたのか興味は高まるばかり。
これからどう盛り上げていくのか、続きが非常に楽しみです。

煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)煌夜祭 (C・NOVELSファンタジア)
多崎 礼

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2007年07月31日

ドラゴンキラーあります/海原育人

4125009929ドラゴンキラーあります
海原 育人
中央公論新社 2007-07

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【元軍人で便利屋ココが、ある日助けたのは亡命中の皇女と護衛の少女リリィだった。そしてリリィは竜をも素手で殺せる肉体をもった超人・ドラゴンキラーで・・・】

新ジャンル「ドラキラ」!w


治安の悪い無法地帯で便利屋を営む青年ココと竜の肉を食って超人となった少女リリィとの大逃亡劇とでもいいましょうか。
ダーティなペアがおくるハードボイルド風味なファンタジー。
これは素直に「面白すぎー!」と叫ばずにはいられなかった。

竜も殺せるドラゴンキラーのくせに人が殺せないリリィ。
序盤は、いかにも馬鹿正直で甘っちょろい彼女が、ココと組んでドンパチやらかしている間にどんどん悪影響を受けていき。
最後には見事に腹黒くなってココをやり込めるようになるリリィがいい味してましたね。

ドラゴンキラーを憎んでいたココが、リリィと打ち解けていく様子は、自分の復讐のためとかじゃなくて、彼なりの不器用な思い遣りや気遣いを感じさせましたね。
なにかと『無敵の超人』ってイメージとはほど遠く、むしろ頼りない彼女の姿を見て、ドラゴンキラーも自分と同じ人間だってことを悟ったからでしょうね。

目的のためにはどんな手段でも取ってみせる登場人物たち。
その時その場面でのお互いの利害関係、金や力のあるなしで敵味方が入れ替わる。裏切り騙し打ちが当たり前のゴロツキどもの駆け引きに目が離せませんでしたよ。
とくにラダーマンは恥ずかしげもなく自分に正直というか、どこか妙に憎めない愛嬌があって好きだわ。

念願の宿敵との決着は、予想通りの展開というか、やっぱりこれだけ強い相手を倒すには、この方法しかないよな。
無敵の超人を倒すのは、神話でも昔話でも猛毒なんすよ。
なし崩しに便利屋を共同経営することになったココとリリィ。
二人の活躍がもっと読みたいなと思ったら、なんと来月早くも続編の情報が。これは期待してお待ち申し上げます。

しかし、パパとママが仕事中。あのスプリングとボニーに預けられることになるアルマの将来が心配なんだが・・・。
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2007年07月30日

ミラージュの罠/茅田砂胡

4125009910ミラージュの罠 (C・NovelsFantasia か 1-46 クラッシュ・ブレイズ)
茅田 砂胡
中央公論新社 2007-07

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【リィのことをモンドリアンを呼ぶ少年は何者かに狙われていた。しかもその奇妙な事件はまだ終わっていない。むしろここからが始まりだった】
「・・・・・・悪魔の所行だ」

天使の顔をした悪魔

以前、別の事件でリィが出会った青年ダグラスが、何者かに理由も分からずに命を狙われている。
それを知った金銀黒天使が人助けに暴走するお話です。
最初ダグラス誰?と思ったら、前にリィのぱんちゅ盗んだ人か
変態の嗅覚でここまで追っかけてきたのかとオモタヨ。

リィは、まさに史上最強のボディガードですね。
でも命を狙われてるよりも、一番心臓に悪いのはリィだなぁ。
非常識の塊のようなリィに振り回されて、眼を白黒させているダグラスが可哀想といえば、これが非常に面白い。
リィの方が絶対に変なのに、彼の言い分を聞いていると、何故かダグラスや自分たちの考えの方が非常識に思えてくるから恐ろしい。

しかし、そんなに一般人として過ごしたいのなら、ダグラスが誘拐されかかっても見て見ぬ振りをすればいいものを。
まあ「自分より弱い者を放っておけない」病の縛りがあるか。
でも、リィより強い人間が、この宇宙にどれだけいると・・・。

リィはやはり大自然の中が生き生きとして似合いますね。
またもやリィを外見で見くびったお偉いさんがフルボッコされてますが、何度も暗殺を失敗させられて、いい加減相手が普通じゃないってことに気づきましょうよ。
まあ彼らを敵に回した時点で、もう敗北は決まってましたが。

面白いことは面白いんだけれど、やっぱり最後は腕力勝負になっちゃってるのがワンパターンかな。
茅タンが自分の作ったキャラにハァハァしたいのはわかるんだけれども、よくも悪くも変化がないじゃないですか。
最初から完成されすぎていて、成長する要素がない。
ファンとしては、できたらもっと新しい彼らが見たいなぁと。

まあ今回で一番の変化は、ハンスとファビエンヌがいつのまにか付き合ってるよオイオイというところ。
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2007年03月23日

大峡谷のパピヨン/茅田砂胡

4125009783大峡谷のパピヨン
茅田 砂胡
中央公論新社 2007-03

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【惑星ブラケマリで大人気のキャニオンレース。複雑な渓谷をジェット機で駆け抜けるその競技に驚異の新人が現れた。その選手の名はパピヨンルージュ。彼女がレースに参加した理由とは・・・】
「・・・金が欲しいわけじゃないのか?」
「ああ。わたしには必要ない」
「じゃあ、何でだ?」
「生き別れになった『相棒』を捜している」

蝶人あらわる!w

ゴジラ夫婦の赤い人が大暴れの巻。
旅行中、税関の不始末で盗難にあってしまったクインビー。
なんとしても愛機を取り戻すべく、ジャスミンはこの惑星ブラケマリで流行のキャニオンレースへと参加する。
本職の選手をまったく相手にしない蝶人っぷりが痛快です。

それにしても赤ゴジラさんがいつになく凶悪。
まず表紙。着てるのは可愛い妖精ルックなのに眼が肉食獣。
奪われたクインビーの無事を聞き、すがりついたケリーの胸元で「ふっふっふっ」笑い。怖っ! ヤバいスイッチ入ってる!
そんな状態のジャスミンを「ちょっとは可愛いところもある」なんて周囲に惚気られるケリーはさすがですな。

ジャスミンの機体を整備する爺さんがいい味出してます。
自分も物を作る側の人間だから、こういう職人気質の人間って好きなのだよなぁ。
ダンもジャスミンの勝利に迷わず全財産賭けるくらいには彼女の行動に馴れてきたようですね。
ファンから散々に言われてる小心者の汚名も返上ですか。

話の展開は見えているのに何故かワクワクが止まらない。
毎度毎度、ワンパターンな展開のに文句を言うどころか、もしそうでなかったら期待外れと感じてしまうくらいには、俺も茅タン色に染まっているということか・・・。
ジャスミンが飛行を趣味と思ってるように、このシリーズも完全に茅タンの趣味で描かれてるよね。まあ面白けりゃいっか。

ときに、やっぱりジャスミンのレースネームは『蝶のように舞い、蜂のように刺す』からきてるのかな。
まあ刺すどころか、いつも戦艦ブチ抜いてますが・・・。
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2006年12月24日

ユーフォリ・テクニカ―王立技術院物語/定金伸治

412500966Xユーフォリ・テクニカ―王立技術院物語
定金 伸治
中央公論新社 2006-12

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【19世紀末、叡理国。東洋人として初めて王立技術院に講師に赴任したネル。だが、研究員の募集に応募してきたのは、情熱はあるが破天荒な少女エルフェールのみ。しかも彼女は王女だというのだ!?】
「わたしは、新しい技術が見たいんです!前進するものが見たいの!切り開くものが見たいの!新しい世界が見たい!」

変態王女、暴走!暴発!大爆破!

頼りなさげな教授と押しかけ研究員の少女の空想科学。
真空からエネルギーを取り出す新技術『水気』を応用した『打ち上げ花火』の研究にまつわるお話です。
『制覇するフィロソフィア』で熱い男たちの世界を魅せた作者が、今度は技術者、研究者たちによる熱い世界を描きます。

女性技術者が、男性たちから蔑まれる産業革命の時代。
王立技術院に就任した主人公ネルに憧れて、ストーカーまがいの行為の末、強引に研究員になってしまった王女エル。
十八歳で博士号を取った才女でありながら、性格は感情的で喜怒哀楽が激しくて、その行動はいつも体当たりで破天荒。
実験装置をなで回しては、えへえへ笑ってる変態です。

なんていうか、科学への情熱が行き過ぎちゃったDQN女。
しかし、未知の技術、未知の研究に憧れるその熱意は本物。
国際花火大会を目指し、執念深さを根気強さに繋げ、失敗を繰り返しながら、髪はボサボサ、白衣は汗でドロドロになるまで『花火』開発に打ち込むその姿が、まさに活き活きと輝いてとても魅力的。

技術的な障害と悪意ある妨害。それらに生来の負けん気と突拍子もない発想力で次々にブレイクスルーを成し遂げていく。
読んでいるうちに、何を見せてくれるんだろう、何をやらかしてくれるんだろうと、ワクワクする気持ちにさせてくれました。
そして最後にエルたちが打ち上げた花火は、優しく人々の心に夢と希望を残す、身震いするほど美しい情景でした。

私も技術者の端くれとして、技術開発にとりつかれたこの研究中毒者たちの生き様が眩しく、非常にうらやましく感じました。
優れた技術は人の心を揺さぶり、感動させることができる。
そんな新技術への憧れと情熱が込められた作品でした。

制覇するフィロソフィア制覇するフィロソフィア
定金 伸治

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2006年12月05日

翼は碧空を翔けて 1/三浦真奈美

4125009619翼は碧空を翔けて〈1〉
三浦 真奈美
中央公論新社 2006-11

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【天真爛漫に育った王女・アンジェラだが、最近は縁談やら開戦の噂やらでうんざり気味。そんなある日、飛行船が王宮に不時着。心魅せられた彼女は、大空へと飛び立つ】

王女と飛行船の冒険ロマン!

窮屈な王族の身分でも自由奔放に育った王女アンジェラ。
ある日、王宮に飛行船が不時着し、興味津々の彼女はなんとその船に密航。そして外の世界の広さを知っていきます。
名作『女王陛下の薔薇』、『アグラファ』の三浦真奈美と、
C☆ノベルスにも進出した絵師、椋本夏夜のコラボレート。

船長の青年実業家セシル・マクレガー、蕩れ。
国内唯一の飛行船会社の経営者であり、地元の名士。
政府にもパイプを持ち、偉ぶってるわりに叔母さんに弱かったり、皮肉屋でツンツンして大人げないのが逆にいい。

反面、主人公でありヒロインであるアンジェラはどうにも好きになれなかったり・・・。
王女様らしく世間知らずで始終タカビーなのは許すとしても、
(というか、そんなぐらいじゃないとキャラが立たない!)
無自覚に周囲を引っ掻き回して事態を進んでややこしくするような彼女の言動が正直、かなりウザかったりする。

そんなアンジェラにメロメロな従僕少年ランディは、彼女のために自らの身体を張ったり、色々と頑張りはするけれども、
つまりそれは行き当たりばったりで無計画なアンジェラの尻拭いなワケで、まったく釣り合いが取れていないのが哀れだ・・・。
まあ可愛い女の子に振り回されるのは男の宿命だよ。

少しは冒険をして経験値を稼いだつもりでも、
遥かにセシルは大人で、アンジェラはまだまだ子供。
顔を合わせば口喧嘩ばかりのセシルとアンジェラだけれど、
まあこの二人がこの先なんやらでラブコメってくんだろうなぁ。
いや、ランディがセシルに負けない頼れる男に成長してくれるパターンも美味しそうで、それはそれでありです。

次回、一時帰国したアンジェラが、どれくらい成長して帰ってくるかが楽しみです。
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