ダフロン

2008年06月03日

零と羊飼い/西川真音

475804001X零と羊飼い (一迅社文庫 に 1-1)
西川 真音
一迅社 2008-05-20

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君のためなら死ねる

巨大な隕石が刻々と迫り、地球は危機にさらされていた。
人類を救う唯一の手段は、特殊な能力をもった人間を帰れないシャトルに乗せて打ち出すという残酷な計画だった。
地下施設に集められた候補者たちが、シャトルに乗る一人を選ぶために奇妙なゲームを始めて、というお話。

まずこの話の主人公って誰だよと疑問に思った。
まあ登場人物全員が主人公と言えなくはないのだけれど、あえて挙げろと言われれば、ウォルシュとシャオリーですかね。
やさぐれた感じの最初と比べて、愛に目覚めたあとの変わりっぷりが激しくて、妙に印象に残ってしまいました。
アキラとサイファはちょっとインパクト不足かな。

「誰が生きるべきか死ぬべきか、理由を挙げていき、答えられなくなった人の負け」というゲームは、発案者のアロイスの腹黒さが現れていて、悪趣味でなかなか面白いです。
「人が生きるべき理由、死ぬべき理由はそれほど多くない」というセリフは、前半は同意だが、後半は否定したいな。

人が生きるべき理由なんて、一つあれば十分です。
誰かが死ぬべき理由なんて本来ないんじゃないですかね。
愛する人がいるならば必ず生きるべきだし、愛する人がいない者は、いつかその相手と出会うために生きるべきですよ。
話が進行するにしたがって、次第にキャラの生きる活力が失われていくところが、読んでいて鬱になりました。

一番問題なのは、四章からオチまでのあっけなさ。
「そんなんできるなら最初からやれよぉ」と叫びたい。
彼らの感じたこととか、必死に考えて決意したことって、いったいなんなんだろうと、とっても不毛感が漂います・・・。
昔からこの類いの手法は繰り返されてきましたが、読者を置き去りにする最低の結末パターンだと思いますね。

まあ話の整合性からしてところどころ怪しかったですが、「ゲーム」での駆け引きはよかったと思います。
次はもっと気楽なテーマの作品をお待ち申し上げます。
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2008年06月02日

死図眼のイタカ/杉井光

4758040001死図眼のイタカ (一迅社文庫 す 1-1)
杉井 光
一迅社 2008-05-20

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大切なものから、瞳をそらすな

地方都市・伊々田市を支配する謎多き女系一族・朽葉嶺家。朽葉嶺マヒルは、家族のように暮らす四姉妹から次期当主に選ばれた一人と結婚しなければならない運命にあった。
跡継ぎを決める儀式の日が近づく頃、町で連続殺人事件が起こり、マヒルの前に不思議な少女が現れて・・・というお話。

主人公のマヒルは、ただの中二病なんじゃないかね。
周囲に流されているばかりで煮え切らない態度がイライラさせられましたが、藤咲(イタカ)と出会い、事件の犠牲者が増えるにつれて、徐々に朽葉嶺の因習に疑問を抱き、自らの判断で行動するようになるところはよかった。

一方、イタカは決して「正義の味方」ではありません。
彼女のやったことは彼女も悩んだ末のことだとは分かるのですが、マヒルにしてみればそれだけに怒りのぶつけどころがなくて、どうしようもない気持ちを持て余してしまうのでしょうね。
加えて朽葉嶺家の四姉妹もそれぞれキャラ立ってて可愛いのに、このあまりにもな扱いはちょっと引きました。

まずあらすじと口絵で誤解をすると思うのだが、ラブコメだと思ってると軽く裏切られて泣きをみます。まさに伝奇モノです。
注意事項として、『この物語は、朽葉嶺四姉妹の閉塞な日常を惨憺と描くものです、決して過度な期待はしないでください』とでもテロップを流した方がいいんじゃないだろうか。

マヒルの大切な妹達を必死に守ろうとする気概は美しいのだけれども、なにもかもすべてが遅すぎでしたね。
いままで重要なことから目をそらし続けてきたツケは、取り返しのつかないほどに大きかった。
それでも最後にその手で守れたものが一人でも残っていてくれたのは、絶望の中のわずかな救いでした。
けど、どちらかというと妹よりもイタカのことを意識しているっぽいのは、さすがに妹達も報われねぇよ・・・。

やっぱり、杉井光は『火目の巫女』なんかの伝奇小説よりも、『ピアノソナタ』みたいな青春小説の方が個人的に好みですね。
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2008年05月28日

ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。/朱門優

4758040036ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 (一迅社文庫 し 2-1)
朱門 優
一迅社 2008-05-20

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探しものはなんですか


片田舎の十五夜草町に住む、日輪と幼馴染の穂積之宮いちこは、実に仲睦まじい『主従関係』にあった。
ドSな巫女であるいちこに下僕扱いされ続ける輪。そんないちこが突然、真っ赤な顔で『お見合い』を申し込んできて・・・。
『お見合い』と呼ばれる一風変わった「お祭り」で繰り広げられる少年と少女のひと夏の青春物語です。

腹黒いドS巫女いちこと無表情クールなアネモイが魅力。
アネモイは興味はないんだけれど、思い込みの強いいちこが勝手に盛り上がって勃発する「わんちゃん」を巡る女の闘い(?)は、まったく噛み合わないやり取りが楽しかった。
どちらもマイペースな二人に振り回されて、すっかり犬根性が染み付いている「わんちゃん」のヘタレっぷりも苦笑を誘う。

ただし、面白いっちゃ、面白いんだけれど、それ以外はよくある設定とありがちな展開で話が進み、テーマ自体もギャルゲみたいな青春ノスタルジー風味で安っぽい感がつきまとう。
とりあえず、私はラノベとギャルゲは、似て非なるまったく別物だと思っていて、これはまさにギャルゲを読まされているみたいな感覚が常にあって、ラノベを読んでいる気がしない。

キャラの個性はあるんだけれども、それがストーリーの中であんまり活かされてないのが勿体無いなぁ。
この主人公、このヒロインだから、この物語はこういう結末になったんだという要因と結果が繋がってこなかった。
結果だけを見るのならば、いちこは腹黒くなくたっていいし、輪も中二病じゃなくてもいいよなぁと。
結果がテンプレとしてあって、後付でキャラを作ってるぽい。

世界観や雰囲気を楽しむ作品だと思えばいいが、物語の主軸が適当というか、判然としていない。
想像はつくのだけれど、変にぼかされていてさっぱりしない。
キャラがやたら前面に押し出されていて、作者が本当に伝えたいことがなんなのか、ちょっと理解に苦しみました。

あとタイトルが、変に長いのもセンスがなくない?
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 一迅社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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