2008年08月27日

School Heart's 月と花火と約束と/伏見つかさ、他

4758040230School Heart’s―月と花火と約束と (一迅社文庫 ん 1-1)
伏見 つかさ、他
一迅社 2008-08-20

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年に一度の満月祭り。それぞれに思いをよせる男子がいる五人の美少女たちが巻き起こすひと夏の大騒動が始まる。
伏見つかさ、みかづき紅月、内田竜宮丞、魁ら四人の作家とイラストレーターのコラボによる、オムニバスストーリー。

夏は短し、恋せよ乙女

昨年末にドラマCDとして発売されていた『萌えドラCD School Heart's』シリーズのアンソロジーノベル。
読むまでノベライズだと気づきませんでしたが、先にそちらを聞かないと話が通じないということはなく、初見余裕でした。

個人的に好きなのは、2話目の「オトメの黒き野望と小さな奇跡/みかづき紅月」ですね。
毒舌ロリ美少女・狭山千紗と超鈍感な先輩との話なんですが、一目惚れした先輩に毎日猛烈アタックをかけつつも気づいてもらえず、子供扱いされることに不満を呟きながら、胸をキュンキュンさせている千紗の反則的なまでの愛くるしさときたら。
それでいて下品にならない程度に微エロスなのもGJ!

3話目の「美里の恋愛指南塾!?/内田竜宮丞」は、千紗の姉である狭山美里が、親友の工藤たまきと告白シミュレーションを繰り返す様子を描いた話なのですが、生真面目で融通が利かない委員長キャラの良さが実感できる面白い話でした。

反対にアレだなぁ・・・と思ってしまったのは、1話目の「月夜の晩に鈴は鳴る/伏見つかさ」かな。
ドジっ娘幼馴染みにひたすら主人公が振り回されるという、なんというか典型的なギャルゲストーリーですね。
ここまでコッテコテなドジっ娘というのは、マジで頭に菌でもわいてるのかと単純に空恐ろしさを感じる。

最終話の「彼女のもとめた真の愛/魁」だと、主人公であるボクっ娘よりも、そんな彼女に女同士でありながら関係を迫ってくる電波系の生徒会長に注目がいってしまいましたね。
いいんじゃないですか、ガチ百合というのも。
プラトニックラブつーか、やたら肉体的なような気もするけど、どっちでも私は美味しくいただけますのでー。

どの娘も甘々な話ばかりで、ラブ分の過剰摂取で萌え氏ぬ。

B000ZFTGIW萌えドラCD School Heart's BOX
mana 2007-12-28

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2008年06月28日

ぶよぶよカルテット/みかづき紅月

4758040087ぶよぶよカルテット (一迅社文庫 み 1-1)
みかづき 紅月
一迅社 2008-06-20

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さあ、楽しい音楽の時間です♪

天才音楽少女でありながら校内きっての変り者、音城トリルに気にいられてしまった地梨琢己。
ごく普通の少年である彼が、常に快活、前向きなトリルの行動に引きずられていくうちに、やがて音楽の楽しさに目覚めていく、といったお話です。

音城トリルは、周囲に理解されない不幸な天才。
確かに彼女の行動は非常識だけれど、どこか一本筋が通っていて正しいと思ってしまうのは、彼女の自分の音楽に対する思いが純粋で、見栄や誤魔化しがないからでしょうね。
「変人」と周囲から揶揄されても己の信念を曲げることなく、自分の音楽に真正面に向き合っている生き様に憧れます。
そしてなにより、いつも音楽が楽しくってたまらない、といった彼女の底抜けに明るい笑顔が魅力的です。

一度は、天才のトリルと凡人の自分とのいる世界の違いに居たたまれなくなって逃げ出してしまった琢己ですが、
幼馴染の七瀬凛音とトリルとの因縁を知ってしまい、彼女らの関係を修復するべく奔走し始めるところがよかった。

トリルと凛音が何度もぶつかり合うのも、互いに自分と並び立つ存在として、その実力を認め合っていたからこそですよね。
そして意地っ張りな凛音とヒネクレ者のトリルの音楽を通した不器用なやり取りにはニヤケずにはいられません。
たとえ正反対の方向を向いていても、顔は向き合っていて相手のことをちゃんと見てるんだなぁ、と喜ばしくなりました。

ややエロティカルな表現が冗長のような気もするけれど、
大変に愉快で、軽快で、爽快で面白かったです。
天才は理屈でははかりきれない、直感で感じるしかないというように、登場人物たちの音楽へのひたむきさと楽しさが一杯につまって心と魂に伝わってきました。

最近読んだ中では、間違いなくイチオシです!
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2008年06月25日

片手間ヒロイズム/小林めぐみ

4758040109片手間ヒロイズム (一迅社文庫 こ 1-1)
小林 めぐみ
一迅社 2008-06-20

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無限宇宙で無限ループな恋をしよう

平凡な女子高生・錫木真理が、いつの間にやら異世界の住人と邂逅したり、未来人と遭遇したり、宇宙人から銀河系の危機を救ったりする、ごくごく日常的なお話。

かいつまんで言うと、一迅舎版『食卓にビールを』ですね。
ノー天気な女子高生が、未来人やら、宇宙人やら、ファンタジーの住人やらが巻き起こすSFちっくな事件に遭遇して、ベビーシッターのバイトをこなしながら、切り抜けていくといったドタバタコメディです。

いやぁ、相変わらずのシュールレアリスムっぷり。
一応はSFでありながら、魔王や勇者なんぞも登場してきたり、展開的にはもうなんでもありです。まさにカオスの権化。
小林めぐみも、もうすっかり星新一化が定着しました。

理系作家ならではの数学や宇宙に関する専門用語がしばしば飛び出てきますが、そういうマニアックなところもいい。
そして毎度登場人物が持ち込む空想科学めいたトンデモテクノロジーなくしては小林めぐみ作品の魅力は語れない。
レアメタルを採掘するために太陽系を消滅させる?
人間が成体になると天使になる?なんじゃそりゃああああw

各話もそれぞれムチャクチャで愉快なのですが、最終話のタイムパラドックスパズルがとくに秀逸ですね。
これはミステリーとも、パズルとしてもよくできています。
3回くらい読み返してようやく理解できたわ。

一迅舎でのこれからの活躍に期待します。

ちなみに小林めぐみが好きな人は、『宇宙への秘密の鍵』オススメです。

食卓にビールを 6 (6) (富士見ミステリー文庫 64-8)食卓にビールを 6 (6) (富士見ミステリー文庫 64-8)
小林 めぐみ

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宇宙への秘密の鍵宇宙への秘密の鍵
ルーシー・ホーキング

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2008年06月03日

零と羊飼い/西川真音

475804001X零と羊飼い (一迅社文庫 に 1-1)
西川 真音
一迅社 2008-05-20

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君のためなら死ねる

巨大な隕石が刻々と迫り、地球は危機にさらされていた。
人類を救う唯一の手段は、特殊な能力をもった人間を帰れないシャトルに乗せて打ち出すという残酷な計画だった。
地下施設に集められた候補者たちが、シャトルに乗る一人を選ぶために奇妙なゲームを始めて、というお話。

まずこの話の主人公って誰だよと疑問に思った。
まあ登場人物全員が主人公と言えなくはないのだけれど、あえて挙げろと言われれば、ウォルシュとシャオリーですかね。
やさぐれた感じの最初と比べて、愛に目覚めたあとの変わりっぷりが激しくて、妙に印象に残ってしまいました。
アキラとサイファはちょっとインパクト不足かな。

「誰が生きるべきか死ぬべきか、理由を挙げていき、答えられなくなった人の負け」というゲームは、発案者のアロイスの腹黒さが現れていて、悪趣味でなかなか面白いです。
「人が生きるべき理由、死ぬべき理由はそれほど多くない」というセリフは、前半は同意だが、後半は否定したいな。

人が生きるべき理由なんて、一つあれば十分です。
誰かが死ぬべき理由なんて本来ないんじゃないですかね。
愛する人がいるならば必ず生きるべきだし、愛する人がいない者は、いつかその相手と出会うために生きるべきですよ。
話が進行するにしたがって、次第にキャラの生きる活力が失われていくところが、読んでいて鬱になりました。

一番問題なのは、四章からオチまでのあっけなさ。
「そんなんできるなら最初からやれよぉ」と叫びたい。
彼らの感じたこととか、必死に考えて決意したことって、いったいなんなんだろうと、とっても不毛感が漂います・・・。
昔からこの類いの手法は繰り返されてきましたが、読者を置き去りにする最低の結末パターンだと思いますね。

まあ話の整合性からしてところどころ怪しかったですが、「ゲーム」での駆け引きはよかったと思います。
次はもっと気楽なテーマの作品をお待ち申し上げます。
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2008年06月02日

死図眼のイタカ/杉井光

4758040001死図眼のイタカ (一迅社文庫 す 1-1)
杉井 光
一迅社 2008-05-20

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大切なものから、瞳をそらすな

地方都市・伊々田市を支配する謎多き女系一族・朽葉嶺家。朽葉嶺マヒルは、家族のように暮らす四姉妹から次期当主に選ばれた一人と結婚しなければならない運命にあった。
跡継ぎを決める儀式の日が近づく頃、町で連続殺人事件が起こり、マヒルの前に不思議な少女が現れて・・・というお話。

主人公のマヒルは、ただの中二病なんじゃないかね。
周囲に流されているばかりで煮え切らない態度がイライラさせられましたが、藤咲(イタカ)と出会い、事件の犠牲者が増えるにつれて、徐々に朽葉嶺の因習に疑問を抱き、自らの判断で行動するようになるところはよかった。

一方、イタカは決して「正義の味方」ではありません。
彼女のやったことは彼女も悩んだ末のことだとは分かるのですが、マヒルにしてみればそれだけに怒りのぶつけどころがなくて、どうしようもない気持ちを持て余してしまうのでしょうね。
加えて朽葉嶺家の四姉妹もそれぞれキャラ立ってて可愛いのに、このあまりにもな扱いはちょっと引きました。

まずあらすじと口絵で誤解をすると思うのだが、ラブコメだと思ってると軽く裏切られて泣きをみます。まさに伝奇モノです。
注意事項として、『この物語は、朽葉嶺四姉妹の閉塞な日常を惨憺と描くものです、決して過度な期待はしないでください』とでもテロップを流した方がいいんじゃないだろうか。

マヒルの大切な妹達を必死に守ろうとする気概は美しいのだけれども、なにもかもすべてが遅すぎでしたね。
いままで重要なことから目をそらし続けてきたツケは、取り返しのつかないほどに大きかった。
それでも最後にその手で守れたものが一人でも残っていてくれたのは、絶望の中のわずかな救いでした。
けど、どちらかというと妹よりもイタカのことを意識しているっぽいのは、さすがに妹達も報われねぇよ・・・。

やっぱり、杉井光は『火目の巫女』なんかの伝奇小説よりも、『ピアノソナタ』みたいな青春小説の方が個人的に好みですね。
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2008年05月28日

ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。/朱門優

4758040036ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 (一迅社文庫 し 2-1)
朱門 優
一迅社 2008-05-20

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探しものはなんですか


片田舎の十五夜草町に住む、日輪と幼馴染の穂積之宮いちこは、実に仲睦まじい『主従関係』にあった。
ドSな巫女であるいちこに下僕扱いされ続ける輪。そんないちこが突然、真っ赤な顔で『お見合い』を申し込んできて・・・。
『お見合い』と呼ばれる一風変わった「お祭り」で繰り広げられる少年と少女のひと夏の青春物語です。

腹黒いドS巫女いちこと無表情クールなアネモイが魅力。
アネモイは興味はないんだけれど、思い込みの強いいちこが勝手に盛り上がって勃発する「わんちゃん」を巡る女の闘い(?)は、まったく噛み合わないやり取りが楽しかった。
どちらもマイペースな二人に振り回されて、すっかり犬根性が染み付いている「わんちゃん」のヘタレっぷりも苦笑を誘う。

ただし、面白いっちゃ、面白いんだけれど、それ以外はよくある設定とありがちな展開で話が進み、テーマ自体もギャルゲみたいな青春ノスタルジー風味で安っぽい感がつきまとう。
とりあえず、私はラノベとギャルゲは、似て非なるまったく別物だと思っていて、これはまさにギャルゲを読まされているみたいな感覚が常にあって、ラノベを読んでいる気がしない。

キャラの個性はあるんだけれども、それがストーリーの中であんまり活かされてないのが勿体無いなぁ。
この主人公、このヒロインだから、この物語はこういう結末になったんだという要因と結果が繋がってこなかった。
結果だけを見るのならば、いちこは腹黒くなくたっていいし、輪も中二病じゃなくてもいいよなぁと。
結果がテンプレとしてあって、後付でキャラを作ってるぽい。

世界観や雰囲気を楽しむ作品だと思えばいいが、物語の主軸が適当というか、判然としていない。
想像はつくのだけれど、変にぼかされていてさっぱりしない。
キャラがやたら前面に押し出されていて、作者が本当に伝えたいことがなんなのか、ちょっと理解に苦しみました。

あとタイトルが、変に長いのもセンスがなくない?
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