ダフロン

2014年10月20日

祓魔科教官の補習授業 2 優等生は振り向かない/すえばしけん

4758046328祓魔科教官の補習授業2 優等生は振り向かない (一迅社文庫)
すえばし けん NOCO
一迅社 2014-10-18

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異世界との亀裂から現れる異形―魔禍魂を狩る“祓魔技能士”を養成する天原学園。教官を務める“常人”にして最強の祓魔技能士、日垣悠志朗は、稀有な才能や能力を持つドロップアウト組5人の生徒と合宿を行うことに。しかしそこでは、フィオと因縁浅からぬ男と、謎の組織が暗躍していた

 才能を超える者

 最強の教官と落ちこぼれ咒禁師たちが戦いの中で成長していく学園育成退魔バトル。

 神和強すぎ怖すぎワロタ。魔禍魂とか、戦争屋より主人公たち神和の方がよっぽどこえーわ。
 補習授業という名目で強化合宿へやって来た教官・日垣悠志朗と生徒たちが、犯罪組織の陰謀に巻き込まれるなかで、祓魔技能士としては未熟ながらもチームワークで強敵に立ち向かう成長ぶりが頼もしかった。
 チームに新規加入したフィオと木竜が悠志朗と落ちこぼれトリオに馴染んていく姿が微笑ましかったです。

 前回の事件の機密保持という名目で落第生チームに組み込まれた優等生フィオと問題児木竜の先輩組にフォーカスが当たり、人物背景や内面描写でより人間味が出て、親しみがわいて好きになってしまいました。
 学園屈指の実力者のフィオですが、伸び悩む自分の限界を感じ始めていて、才能が開花しつつある落第生三人組に追いつかれる焦りを抱き自信を無くし、完璧に思えても優等生なりの苦悩を抱える姿がもどかしい。

 木竜くんは硬派を気取っていたのに、怪我を治療してもらった優しい女医さんにいつの間にかデレていて、彼女のピンチには幾度となく前に出て庇う姿にニヤニヤ、これ裏で女性陣に恋話のネタにされてますね。
 悠志朗不在の状況で学生たちが急事に対して独自の判断で動き、騒動を巻き起こしたプロの傭兵団の裏をかいて立ち回る機転、それぞれの固有咒術を組み合わせて魔禍魂を討伐する連携プレーが素晴らしかった。

 早くも水着回かよ!という唐突な合宿イベントでテコ入れ感漂う展開なのですが、シリアスな戦闘を乗り越えて心身共に成長して、信頼関係を築いた落第生チームが一つにまとまって、話の中身は充実しててよかった。
 かがりさんや悠志朗に加え、新しく登場した神和も壊れてて、「うわぁ…」と背筋が凍ります。境遇が悲惨なだけに仕方がないのかもしれませんが、花耶には悠志朗だけと言わず神和全員を救って欲しいと思います。
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2013年06月21日

小悪魔どもが俺の部屋を溜まり場にしている/むらさきゆきや

4758044309小悪魔どもが俺の部屋を溜まり場にしている (一迅社文庫)
むらさき ゆきや きみづか 葵
一迅社 2013-06-20

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俺に義妹ができた。それはいいんだが、最近、学校から帰ると、義妹の鈴華とその友だちが遊んでいるんだ―なぜか俺の部屋で!みんな中学生で将来有望なアイドルらしい。一緒にゲームやったり、マンガ読んだり、お菓子を食べたり…でも鈴華とは仲良くなれないまま。えっ、この部屋で水着の品評会!?

 俺の義妹は、宇宙一

 義妹とその友人の中学生アイドルたちの溜まり場にされた義兄が織り成すゆるラブコメディ

 女子中学生がクッソかわええええええええええええええええ!!! やっぱり中学生は最高だな!
 普通の男子高校生・綾人の部屋に毎日のように遊びにやってくる美少女中学生アイドルたちの可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をたっぷり、ねっぷりお楽しみいただきましたよ!
 これでもかというほどピュアな萌えを堪能したーいやー、満足だわーストーリーとかマジいらないわー。

 何かと生意気なお年頃の義妹・鈴華ですが、新しくできた義兄の綾人にベタ惚れな本音がダダ漏れで、素直になれずに毎度意地を張っては、少し甘やかしただけで簡単にデレてしまうところがチョロチョロしすぎる!
 毒舌キャラでいつも鈴華と張り合う親友の洋琴は金髪碧眼のロリ巨乳で、アイドルとして天才的な才能を持つ美少女な反面、とてつもないアホな子なだけに空気も距離感も読まずに綾人に接してくる姿がドキドキです!

 つるぺたロリっ子の風子ちゃんの純真無垢な可愛さと天然っぷりにも胸がときめき、彼女から展開されていく不思議ワールドに脳が溶ける! 楽園はここにあったんだ! というか風子ちゃんがパライソだったんや!
 ひかえめでお淑やかでお嬢様の麗韻などは、これぞ美しき日本女性のあるべき理想と断言していい、スタイルも中身も完璧超人なのにやたらと自分を過小評価して後ろ向きで卑屈屋なところが残念で、だがそこがいい!

 ヒロインたちみんな可愛さ炸裂大爆発でしたが、とくにネコミミモードのスズカは死ねる! あまりの愛くるしさに身悶えて死ぬ! 私にもこんな可愛い猫が……ネコミミをつけて語尾が『にゃん』で、甘えてすり寄ってきて撫で撫でしたらゴロゴロして喜んで最高に可愛い笑顔を向けてくれる義妹が欲しかったあああああ!!
 ━━みたいなカンジで、ヒロインにひたすらブヒるラブコメで絶賛オススメです。物語性など不要!

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2013年05月20日

俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件 6/七月隆文

4758044317俺がお嬢様学校に「庶民サンプル」として拉致られた件6 (一迅社文庫)
七月 隆文 閏 月戈
一迅社 2013-05-18

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ついに―ついに、あの九条さんがデレる!?毎朝目覚めのキスをされていたことを知ってしまった公人に、九条さんが残した謎の言葉とは!?戸惑う公人の脳裏に甦る、失われた過去とは―全26話+αでおおくりする、見逃し厳禁の第6巻。

 真冬の星を眺めて

 お嬢様だらけの名門校に「庶民サンプル」として放り込まれた少年とお嬢様たちの学園ラブコメディ。

 これは秀逸なジュウシマツ。相変わらずメインヒロインのはずの愛佳の扱いが酷い。もっと酷くなれよ!
 ドSメイド長こと九条さんの寝キスに始まったすれ違いの日々と、徐々に蘇っていく公人の過去の記憶と、そんな裏事情はつゆ知らず、世間知らずを暴走させていく残念お嬢様とのギャップが笑いを誘いました。
 しかし、お嬢様萌えやメイド萌えよりも、太ももフェチに目覚めそうになるな。ニーソはいいものです。

 お嬢様たちにTwitterを流行らせてみたら、麗子と愛佳の格差が余計に際立って……、まあ匿名でもなく現実の交友関係をそのまま持ってきたらこうなるでしょうね。愛佳の対人恐怖症はネットでも健在なのか。
 お嬢様がTwitter依存症みたくなるのかと思っていたら、こう流行ったか……。流行に敏感といえば聞こえはいいですが、釣られやすいのが難点ですよねぇ。恵理も早速失敗をやらかしていそうで、うん、わかってた。

 メイドさんたちも洒落っ気があるお茶目なところがいいですね。20歳オーバーでもいいじゃん。お嬢様たちを愛でるのを心の底から楽しんでるのがわかります。確かに眺めてると愉快でしょうね、ここのお嬢様たちは。
 ようやく公人との関係が明かされ、デレ期投入の九条さんですが……やべぇ、予想と期待を遥かに越えてやべぇな。背筋の凍るいい笑顔してやがる……これは重症ですわぁ。お嬢様ズ以上の覇王色の覇気を放ってやがる。

 盛大なギャグとラブコメディとちょっぴりのシリアス。離陸した後にどこへ着地するのかわからない意外な展開が待ち受けているから侮れない。今回明かされた真相にももう一捻りあり、恵理の騒動も途中経過とあっては、次の巻が待ち遠しいですね。いやぁ、一巻の頃からすると近くても大分遠いところへ来てしまった気がします。7巻でついにクライマックスとなるのかどうなのか。それにしても中の人の絵うめええええええ!!!

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2011年03月22日

五年二組の吸血鬼/糸緒思惟

4758042179五年二組の吸血鬼 (一迅社文庫)
糸緒 思惟 小路 あゆむ
一迅社 2011-03-19

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小学五年生の上原翔が地下室で発見した棺桶の中で眠る裸の少女は、隣のクラスの松沢桃子だった!動揺する翔は、目覚めた桃子によって吸血鬼にされてしまう。さらに翌日、桃子は小学校で決起し、生徒と先生全員を吸血鬼化してしまった。ちょっとエッチで退廃的な吸血鬼小学校生活が始まる。

 突然吸血鬼になってムフフな僕がいる

 吸血鬼の下僕となってしまった小学生がおくるちょっとエッチな肌色学園物語。

 美少女文庫が一迅社を乗っ取ったのかと。一迅社にはとてつもない変態が生息しているようだ。
 小学校を丸ごと支配した吸血鬼・桃子によって、主人公の翔が同学年の女子に混じってエッチな遊びを繰り広げるんですが、とにかくぽっこりお腹の幼い女の子たちの全裸率の半端無さに驚いた。
 小学五年生の女の子を脱がせてセクハラ三昧とか、けしからん!まったくもってけしからんね!

 桃子に血を吸われて吸血鬼の仲間になってしまった翔ですが、特殊な体質によって理性だけは元の人間のままなものだから、彼女の度の過ぎた悪ふざけに戸惑ったり、ときには横暴な命令に反発したりするけれども、片思いの万里衣のあられもない姿やクラスメイトの女子の裸に囲まれて、なし崩しに従ってしまうところがなんとも初々しくてニヤニヤでした。

 それにしても全裸水泳大会とか、ヌードデッサンとか、野外放尿とか、やることが普通じゃない。18禁でないにしろ年齢制限が必要じゃないか? 絆創膏貼ったり、マント着てればいいってもんじゃない。
 翔たちをオモチャにして性的に弄ぶ桃子ですが、いつか終りが来ると覚悟していたからこその乱痴気騒ぎだったんだろうなぁ。吸血鬼として生まれてしまった彼女にちょっと同情を感じてしまいました。

 まあでも、ストーリーなんてあってないようなものでした。幼女を素っ裸にして現実ではできないことをしてやろうぜ的な願望が渦巻いて、フィクションとは言え実際にやっちまった感がすさまじい。
 いやはや、これは思っていてもなかなかできるもんじゃないですよ。というか、内容といい、イラストといい、これに一迅社がゴーサインを出したこと事態が変態だよ! これからも頑張ってください!!

 この作品のおかげで、これからも『YES!ロリコン NO!タッチ』の精神で生きていく気力がわいた。
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2011年02月23日

土属性はダテじゃない! 5/葉原鉄

475804211X土属性はダテじゃない!5 (一迅社文庫)
葉原 鉄 八坂 ミナト
一迅社 2011-02-19

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豪道連主催の格闘技トーナメント「ブラックアルティメット」。そこは高額のマネーと名誉と欲望が渦巻く裏興業。なぜかそのリングに麒一郎と雪乃は覆面レスラーとして立っていた。それもこれも発端は、赤島浦からやってきた水属性の天才少女・渦美が裏興業の世界に入りこんだことを知り─

 悪役だってラクじゃない!

 土水火風の精霊使いの少年少女たちが繰り広げるドタバタ青春ラブコメディ。

 埴本さん、女湯を覗くのにどんだけ決意と気概を溢れさせてるんですか……。
 渦美を連れ戻しに来たエージェントに脅され、不良たちの賭け試合に出場することになった埴本ですが、自分の命を握っている相手のことまで気にかけるんですから、まったくお人好しというか。
 交錯する恋模様もさらにヒートアップして、ヒロインたちから眼が離せません(主におっぱいから)。

 あの渦美が不良の集まりに参加していると聞いて心配して駆けつけたものの、渦美と朧夜叉の和気藹々とした姿を見て、不良でも彼女に友達ができたと喜ぶ埴本の鷹揚さがいいですね。
 渦美を連れ戻すのに反対する麒一郎を無理矢理従わせて、渦美が帰るように仕向けるディレイとブリッカーの卑怯なやり方には腹が立ちますが、埴本と雪乃ももっとマシな変装はなかったのか……。

 精霊に好かれているのに精霊嫌いという霊響矛盾を起こしているブリッカーを能力の暴走から助け、敵なのにちゃっかりフラグを立てている埴本さんのモテ属性っぷりには恐れ入る。
 まあ敵味方関係なく苦しんでいる人がいれば手を差し伸べる、そんな埴本の一本気なところに渦美も憧れたんでしょうね。いまはわからなくとも、他人の痛みを理解しようと努力することが大切ですよ。

 埴本ハーレムに風属性ヒロインが追加かと思ったけど、実はそうでもなかった?
 今回は、というか最近はバトルが多めだなぁ。学園パートでのラブコメももっと欲しいなぁ。
 雪乃にチューさせただけでも大進歩ですかね。ファーストキスはのづちが美味しく頂きました。
 雪乃の能力にも変化が現れて、ますます人間関係も複雑化していき、続きが気になるところです。
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2011年01月22日

萌えるゴミは火曜日に/川波無人

4758042047萌えるゴミは火曜日に (一迅社文庫)
川波 無人 瑠奈 璃亜
一迅社 2011-01-20

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勇者の血統と信じてやまない酔狂な親父に育てられた主人公・英継。同じく魔王の血統を主張する酔狂な母親に育てられたヒロイン・魔亜子。両家の仲が悪いうえに、町でも学校でも疎まれがちなふたり。でもお互い事情は知っていて、仲良くなりたいと思い続けていた。

 魔王と勇者は戦わない

 ヤンキー魔王少女とヤリ捨て勇者少年の分別無用の王道ラブコメディ。

 魔王と勇者がひたすらイチャイチャと同棲生活をするだけの簡単なお話でした。
 残念な親たちのせいで周囲からレッテルを貼られ、嫌な思いを味わって育った主人公・英継とヒロイン・魔亜子が、お互いに惹かれ合い、親の影響から抜け出すために成長していく姿が眩しかった。
 ただタイトルが話の中身を1%も表してない。一迅社らしく『魔王と勇者は戦わない』とかでいいじゃん。

 学校や人目のあるところでは暴力的で狂暴なヤンキー少女の魔亜子ですが、英継と二人っきりのときは家庭的で健気な理想の幼馴染キャラという見事なツンデレぶりにハートを撃ち抜かれました。
 なにこの可愛いいきもの。なんだか無性に抱きしめたくなる、この湧き上がる衝動を抑えきれない。
 普段のツンツンも、それはそれで我々の業界ではご褒美です。一粒で二度美味しいヒロインでした。

 英継もいたって平凡な少年で、ただ穏やかに暮らしたいだけなのに、自分勝手な親父の因縁で完全なとばっちりを受けることになるわけですが、そんな不幸にも嘆かず、常に誰かのために、常に誰かを救うためにと考えられる彼こそ、血筋なんか関係なしに本当の「勇者」だと思います。
 もし幼い頃に助けられたのが英継だったら、冥皇も世界征服には走らなかったでしょうね。厄介事を生み続ける親父こそ勇者として討つべき悪の権化に思えてくる。

 しいて言えば、設定やリアリティが貧弱でキャラクターの勢い任せな面はありますが、そこそこ満足。
 作者は、エロゲのシナリオライターさんらしいですが、エロゲに詳しくない私は過分にして知らない。そっちの業界では知る人ぞ知る人なのかな? 今度エロゲマニアの友人に聞いてみよう。
 最近、魔王と勇者のロミジュリ系のラノベが増えてきたような気がするけど、やっぱりファンタジーにおける魔王と勇者の対立っていうのは、ロミジュリと親和性が高く感じられるのでしょうか。
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2010年12月23日

名門校の女子生徒会長がアブドゥル=アルハザードのネクロノミコンを読んだら/早矢塚かつや

4758041970名門校の女子生徒会長がアブドゥル=アルハザードのネクロノミコンを読んだら (一迅社文庫)
早矢塚 かつや 下弦 ひらぎ
一迅社 2010-12-18

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名門校「九頭竜学園」の生徒会長、久東亜依。成績優秀・スポーツ万能で容姿も可憐と非の打ちどころのない美少女だが、史上最悪の魔道書「ネクロノミコン」を所持していたのです!ひょんなことから生徒会長の秘密を知り、生徒会に無理やり引きこまれた敏史の運命はいかに!

 生徒会長が、校則を破るわけがない

 『ネクロノミコン』を持つ生徒会長と供に外宇宙の怪物たちと戦いを繰り広げる学園バトル・ラブコメ。

 タイトルと帯がウケを狙いすぎて肝心の内容を想像しづらいが、だいたいあってる。
 『ネクロノミコン』を所持した美少女生徒会長・亜依と主人公・敏文が己の武器となる魔刀を探し求めつつ、学園に巣食う外宇宙の怪物たちと戦っていく中でお互いの距離を縮めていく過程がよかった。
 クトゥルフ神話+ラブコメ+バトル=これ、という感じだがシリアスにはやってない、むしろエロです。

 容姿端麗、成績優秀なお嬢様だけど、ちょっと天然入ってて大食いな亜依さんが、とにかくエロカワイイったらないですよ。敏文がラッキースケベ属性なのもあるが、これで惚れるなという方がムリダナ。
 亜依ラブな百合少女の一二三や男の娘なのかそうでないのかはっきりしない小文吾など、他のヒロインもなかなか個性的で愉快な面子を揃えているが、敏文のキャラのブレ幅が凄い。

 序盤はごく一般的な感性の持ち主かと思えば、中盤から終盤にかけてはモロ変態じゃないか?
 どの時点からSAN値が下がっていったのかは分からないが、そもそも元々変な奴だったんだろうか。
 敵サイドも一応は切実な犯行動機があるものの、亜依や敏文への対応手段がふざけてるようにしか思えない。媚薬入り混浴風呂トラップってなんだよ……サービスシーンが美味しいじゃないか。

 しかし、クトゥルフ神話やら、学園ラブコメやら、バトルやら、刀集めやら、神選組やら色々と要素を詰めすぎて"名状しがたいカオスのようなもの"になってしまってる感は否めない。
 もうちょい設定を整理すればよかったと思うんですけどね。それでも、物語が破綻するギリギリ一歩手前で必死に踏みとどまっている絶妙なさじ加減がある意味では奇跡である。

 とりあえず、作者の妄想エロ描写を忠実に挿絵に表現した絵師はGJである。
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2010年07月20日

宝城瑠璃華は止まらない!/箕崎准

4758041652宝城瑠璃華は止まらない! (一迅社文庫)
箕崎 准 あおな まさお
一迅社 2010-07-17

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宝城瑠璃華。完全無欠のお嬢様を幼なじみに持つ水月君人は、高根の花になっていた瑠璃華が突如、平凡極まりない自分と同じ高校へ入学したことを知る。あの瑠璃華がなぜ、この高校に?幼なじみの意外な秘密を知った君人は、理由あって瑠璃華と一つ屋根の下で共同生活を送る羽目になるのだが。

bashingtag.jpg

 幼馴染のお嬢様と突然同棲することになった庶民の少年が頑張るラブコメディ。

 「幼馴染のお嬢様が零落して、一人暮らしの主人公の家で同棲生活」って、そんなのエロゲでやれ!
 大財閥内の権力争いで狙われる身となったお嬢様が堂々と学校に通っていいものだろうか。普段の生活ぶりも隠れ潜む身分となったにしては無警戒すぎて危機感が感じられないんですよね。
 それに誰もが想像するお嬢様ヒロインとヘタレ主人公という感じで、キャラに個性らしい個性がなかった。

 クラスの人気者になっている瑠璃華の姿を眺めて、「あんな美少女と俺は同棲してるんだー」と隅の席で一人優越感に浸ってニヤニヤしている君人がキモいな。それフツーにダメな奴でしょう。
 まず幼馴染なのはお前の力ではないし、逃げてきた瑠璃華と胡蝶を匿える家を持っているのも親のお陰だからね。君人が特別なことは何もしてないのに自惚れるなよ……。

 それでも瑠璃華の母の形見の首飾りを買い戻すために、バイトを始める君人の姿に少しは見直しましたが、今度は一転して面倒事を起こし始める瑠璃華がウザかった。
 「首飾りと自分とどっちが大切なのか」とか機嫌を損ねて、そもそも誰の為に働いてやっていると思っているんだよ! 君人を労わる気持ちが少しでもあるなら、そんなことは言えないでしょうよ。

 本当に君人に感謝しているならこちらが手料理を食べさせてやろうぐらいの器量を見せて欲しかったなぁ。いくら外見はよくても、中身が伴わなければ見掛け倒しも同然でかえって幻滅しちゃいますよ。
 タイトルとスパッツが魅力的な表紙から、ヒロインがひたすら我が道を突っ走る陸上部のスポ根ものだと予想していたが、そんなことはまったくなかったぜ。スパッツはあんまり話に関係なかった。


PS
 ちなみに本日の感想は作者本人のリクエストがありましたのであえて酷評しました。



 こんなことばっかやってたら訪問者も呆れて、私の信頼性が失われるよ! 誰が酷評サイト管理人だ!
 いや、ホント何やってるんだろ……どこで道を間違えたんだろうか……。
 こ、こんなことするの箕崎さんだけなんだからねっ! どう見てもツンデレです、本当にありがとうございました。
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2010年03月20日

シオンの血族 1 魔王ミコトと千の花嫁/杉井光

4758041253シオンの血族 1 魔王ミコトと千の花嫁 (一迅社文庫 す 1-5)
一迅社 2010-03-20

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帝都東京。皇統を異形の敵から護る吸血鬼の家系“シオンの血族”が、そこで密かに息づいていた。その若き女当主、紫苑寺有葉のもとに、ひとつの棺が運ばれる。封印された、有葉の弟、紫苑寺ミコト。封を解かれ、よみがえったその少年は凶暴、好色、残忍、色々やりすぎな魔王へと育っていた!

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 封印を解かれた吸血鬼の少年がハーレム目指して美少女たちを襲いまくるハーレム伝奇アクション。

 女の子を手当たり次第に押し倒してフラグを立てていくだけで、風情も情緒もへったくれもないなぁ。
 ミコトの毒牙にかかったヒロインたちが、都合よく彼の虜になっていくのが出来レースでなんだかなぁ。
 本番シーンこそないが、エロシーンはバンバン出てくる。実際、あとちょっとエロ度を上げれば一迅社よりも美少女文庫で出版するのが相応しい内容だから困る。

 そして今回もまた『さくらファミリア』のときと同じく背信者ネタという。この人、ユダさん好きだなー。
 パロディなら面白いんですが、シリアスだとキリストと悪魔系統はありふれてるんで飽き飽きします。
 キャラクター造形はそんなに悪くはありませんが、アクションばかりでそれを活かしきれていない。
 死んだはずのミコトが復活してきたのには「なんだそりゃあ!」と叫びました。なにこれ、わからない。

 グロい世界観とシリアス風味がとても余計。物語に深みを出すどころか、かえって味を濁してます。
 いっそのこと、『吸血鬼』と『ハーレム』だけにテーマを絞って学園ラブコメとして展開させていく方がよかったんじゃないか。写本の設定を活かしておくとしても、アクションパートはおざなり程度で十分。
 それよりももっとヒロインとの掛け合いを盛り込むべきですよ。シリアスの毒が相殺できてないです。

 杉井光は芸風が広いのはいいんですが、当たり外れのバラつきがありすぎる。
 というか、彼はシリアスとファンタジーの食い合わせが破滅的に悪いんじゃないだろうか。
 評価している人もいなくはないだろうけど、彼にはもっと向いているジャンルがあるんじゃないかな。
 さらにはこれでメディアミックス企画を仕掛けるとか、死亡フラグとしか思えない。
 イラストはともかく、肝心の中身には人気の出そうな要素がまったく見あたらないぞ?

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2009年09月21日

えでぃっと! ライトノベルの本当の作り方?!/箕崎准

4758041040えでぃっと!―ライトノベルの本当の作り方?! (一迅社文庫 み 4-1)
一迅社 2009-09-19

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一迅社文庫大賞を受賞し、ラノベ作家となった高校生羽沢雛太。ある日、僕の新担当としてやってきた編集者は、僕と同じ高校一年生の美少女、片桐文香だった。さらには次回作のイラストレーターが同じ学校の芸術科に通うお嬢様。宝泉院弓佳だと判明して、また新たな騒動が…。

 こんな作家生活したかった!

 現役高校生のライトノベル作家と編集者、イラストレーターの少年少女が贈るドタバタラブコメ。

 「これは酷い!」とラノベサイト界隈で物議をかもしている今作ですが、個人的にはアリでしたね。
 ラノベ業界をネタにした作品はすでにいくつか出ていますが、この『えでぃっと』のは内輪ネタどころか暴露本に近く、仮名で登場するリアル作家や一部の業界人には"笑えない"作品らしいですが、そんな薄汚れた裏社会とは無関係な私には作家や編集者の実態を笑って学べるよいラブコメでした。

 締切間際の雛太を苦しめた作品のネタ被りですが、過去の映画にひとつやふたつ被ったところがあっても現実は読者が目くじらを立てるほどのことではないんじゃないか。
 問題とすべきは「最近はこの傾向の作品が売れているから、方向性はこれでいこうと」とか、わざとプロットを似せて作るパターン。利益重視の作品作りは、思惑が透けて見えるんですよねぇ。
 
 イラストへの批評によって思い詰める弓佳ですが、大勢から「失望した」、「裏切られた」と言われるのは、それだけファンに大きな期待をされている証拠でしょう。
 ですが、言わせてもらえば酷評されたくらいでいちいちスランプに陥っている作者や絵師は覚悟が足りなさすぎますね。仕事に対して他人から文句を言われない仕事なんてありません。社会に出ればそれがわかります。作中で先輩作家たちが大学卒業後の就職を勧めるのも、それを経験させたかったのではないかな。

 暴露らしい暴露は前半に集中していて、後半はいたって普通のラノベらしいウフフ展開の嵐。
 美少女三人と一緒に温泉宿で合宿とか、湯上りの浴衣姿がうらやまけしからんエロさ。
 担当と絵師と幼なじみとで四角関係なんて、ラノベ作家がこんなリア充なわけがない。つまりはそういう理由で、リアル作家や業界人は自分の現状と比較してしまって笑えないんですね、わかります。

 ドタバタを繰り広げながらも力を合わせ、ときにはぶつかり合いながらもひとつの作品を作りあげていく4人+1柱は、なんだかんだいいチームじゃないかと思ったり。
 全体的にコミカルなようで雛太の家庭環境だけヘビィなのがちょっと浮いているカンジでしたが、それより酷いのはサブカルネタの出現頻度が、どこぞの逆書評ラノベを凌駕するレベル。

 こういう作品を読むと、元ネタを解して並べて揃えて晒してやりたくなるのは私だけだろうか。
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2009年05月22日

イスノキオーバーロード/貴島吉志

4758040745イスノキオーバーロード (一迅社文庫)
貴島 吉志
一迅社 2009-05-20

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双子の妹であるメイド・ユスハと共に、サングリア商王国の幼き姫・ヴェセルに仕えることとなった剣士・スティロス。わがままにも思える態度に振り回されながらも、王国に迫る不穏な影との戦いの中で、ヴェセルと心を通わせてゆく。そのような日々の中で、王国、そしてヴェセルに隠された「イスノキの儀」なる秘密が明かされてゆき…。

 君と繋がる、心と身体

 王国に隠された秘密を狙う侵略者から幼い姫を守る剣士とメイドの双子のお話。

 ロリロリなお姫様ヴェセルと新たに護衛役となった剣士スティロスのカップリングが美味しかった。
 思いがけない最初の出会いの悪さから、当初は二人していがみ合っていたものの、城への侵略者の侵入事件を通して、幼いながらも一国を背負うヴェセルの重圧とか、護衛役という職務に対するスティロスの覚悟の強さを知ってしまい、相手を見る目が変わって、お互い過剰なほど意識し始める様子が初々しくて可愛かった。

 第4章からが本領発揮ですね。ヴェセルがスティロスに心を開いているのが仕草に現れはじめ、いままでとはまるで態度が軟化して無防備に振る舞うようになり、それがお年頃のスティロスくんの眠っていたロリコン心まで刺激してしまい、守るべき対象であるヴェセルに欲情してしまって、なんとか悟らせまいと内心で激しく懊悩を繰り広げている姿が萌えます。
 ヴェセルもある程度は期待してやってるんだから、もう本当にご馳走様というカンジですw

 もう一人重要なキャラとしては、メイド長のアザレアさんは十分に裏の主人公だったと思います。
 元々はヴェセルの命を奪いにやってきた暗殺者でありながら、彼女と過す間に人間としての心を取り戻していき、最後には自分を犠牲にしてまでヴェセルのために命を投げ打つその献身と愛情に燃えました。
 その愛はきっとヴェセルが与えたんでしょうね。居場所を与え、仕事を与え、共に城に住む家族を与え、そうして生きる喜び、人間の温かさが宿っていった。
 そうやって人の優しさを思い出させてくれるのがヴェセルが城の人々から愛される理由なんだろうなぁ。

 平和な貿易商国としても国土が小さすぎ、兵隊少なすぎ、最後も「イスノキの剣」というチート能力で強引に解決してたりと、設定は大ざっぱでしたが、登場人物はおおむね好印象でした。
 いわゆるロスト・プラネットものですが、基本的には剣と魔法(っぽいもの)のファンタジーかなこれは。
 口当たり甘く、ほんの少し苦く、身体の奥でじんわりと温まるホットココアのような一冊でした。
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2009年05月21日

文芸部発マイソロジー/早矢塚かつや

4758040753文芸部発マイソロジー (一迅社文庫)
早矢塚 かつや
一迅社 2009-05-20

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黙っていれば美少女なのに、口を開けばクトゥルー神話だの何だのクセのありすぎる話しかしないという、須弥伊緒たち第二文芸部員。彼女たちと過ごす近藤寛二は、部活動の一環で創作した神話世界が本当に生まれてしまったことを知ってしまう。しかも、いろんな世界の神様を連れて来られるという設定にしたばかりに、その世界が大変なことに…。

 ようこそ創作世界へ!

 自分たちが創作した世界の神となって、外の世界の神々の侵略から守る文芸部員たちの物語。

 創作した神話の世界で神になって戦うというロール・プレイスタイルの作品コンセプトが面白かった。
 ヒロインたちも無表情クールだったり、クトゥルフ信者だったり、お気楽極楽娘だったり、あまつさえ自分たちが作った創作世界の巫女さんだったりと、彩り豊か。
 部内ハーレム全開なのも、ややテンプレだが、主人公の寛二以上に女子部員たちがハーレム参加にノリノリムードなのが可笑しい。

 完全に創作の世界なのだから、どうせなら既存の神話の設定をパクってくるだけではなく、もっとオリジナリティな神やら、アイテムやら、中二病展開が欲しかったところ。
 せっかく「邪眼ノート」という便利なひみつ道具があるのだから、もっと珍妙奇天烈な世界を思い描けなかったのかなぁ。文芸部のわりにちょっと妄想力が乏しいなとは思いました。
 中二病とか、邪気眼というより、神話オタクの集まりみたい。

 ドラえもんの映画は、『雲の王国』が一番好きです。子供たちだけの王国を作るという夢あふれるテーマと、当時から環境破壊を題材にしていたのがすごい。ドラえもんがタンクに突っ込むシーンはいまでも泣けるんだぜ!
 子供たちだけの箱庭を作るという点では『日本誕生』、『ねじ巻き都市冒険記』、『創世日記』も同じかな。どれも独自の世界観を作りだそうとしていて面白い。
 でも、『太陽王伝説』以降の作品は、好きじゃないんですよね。なんだか話の起伏に欠けてて・・・・・・。
 やはり藤子・F・不二雄という人物は、偉大なクリエイターだったんだとお亡くなりになってから思いました。

 学生が趣味で書いて楽しんでるうちは、どんな自慰小説、中ニ病小説でもそれは構わないと思う。
 さすがにちゃんとしたレーベルから出版していて、読者から金をとるのなら第一に読み手が楽しめるものを書くのは、プロの作家として至極当然ですけれど。
 中ニ病な物語はいつもは「嫌い」と断言している私ですが、一応は自分の中で「つまらない中ニ病」と「面白い中ニ病」の区別はあるんですよね。
 『ビター・マイ・スウィート』や『この広い世界にふたりぼっち』なんかは、作者の脳内だけで世界が完結し切っていて不条理極まりなく読んでいてひたすらイタいだけなのですが、『とある魔術の禁書目録』や『灼眼のシャナ』なんかは絶賛中ニ病であっても面白いと言わざるを得ないでしょう。
 というか、よく考えたらライトノベルの大半は中ニ病ですね。中ニ病なライトノベルは、ライトノベルぢゃない!と言ってしまってもいいかも。
 だから問題なのは、どんな読者でも楽しみを見出せる作品作りを一番に考えるべきということかな。

 作者の早矢塚さんは、青春小説にちょっとの非日常を絡めたカンジのストーリーが持ち味ですが、肝心の非日常パートの方が、いつも無理矢理な設定なんですよね。ある意味、不条理系っぽい。
 この非日常パートの部分にしっかりと説得力のある設定を与えられるようになれば、いまより売れる可能性もあると思うのですけど。

 ときに、神様の数え方は「人」ではなく「柱」だよねぇ。どうでもいいけれど、なんか読んでて気になった。
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2009年03月24日

読書の時間よ、芝村くん!/西村 悠

4758040613読書の時間よ、芝村くん! (一迅社文庫 に 2-2)
西村 悠
一迅社 2009-03-19

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再会をはたした幼なじみの芝村和樹は、早崎夏耶をすっかり忘れていた。約束を思い出させようと和樹を追い図書室に足を踏み入れた彼女は、謎の文学少女「春奈」に出会う。そして本の世界に入ってしまうという不思議な体験をすることに・・・。

 愉快で楽しい読書のお時間です

 『マギノビ』と呼ばれる物語に寄生するウィルスを追って、現実と本の世界を行き来する少年少女たちの冒険文学ファンタジーです。

 冒険家な幼馴染みをとるか、文学少女なお嬢様をとるか。まさに究極の選択を迫られるお話です。
 幼い頃に結婚の約束をした幼馴染みに相応しい女になるべく必死に努力してきて、ついに念願の再会を果したのに、相手はすっかり自分のことを忘れて、他の女子(しかも、美人!)と仲良さげにしていたら、そりゃあ、夏耶がショックを受けるのもわかります。
 ただ、春奈のような文学美少女に「読書の時間よ、芝村くん!」と、大好きな本の世界に行く興奮を抑えきれない笑顔で手を引かれたら、もう、火の中、水の中、本の中、どこにだって連れて行ってください!となっても仕方がないと思うんだよ。

 架空の物語に寄生し、現実世界に実体化させる『マギノビ』と呼ばれるウィルスを探すために、物語の中の世界に入り込み、大冒険を繰り広げるというのがこの話の本筋ですが、むしろ気になるのは、和樹をめぐる二人のヒロインの女の戦いですね。
 けれど、当の和樹は、鈍感なのとも違うが、わりと淡白な性格で、お節介焼き体質のおかげでフラグをおっ立てるも、二人をどう思っているのかはあんまり書かれていないので、どうにも煮え切らない気持ちにさせるなぁ。
 そもそもタイトルでは芝村和樹が主人公だと思えるが、実際は活躍するシーンとかも全然なくて、春奈に振り回される夏耶のド根性ストーリーとなっている気がしないでもない。というか、そうなっている。

 にしても、本の世界で出会うシンドバットやアーサー王がヘタレすぎる・・・が、そこが人間味あっていい。
 特にアーサーは最初は臆病者の少年なのだれけど、一目惚れしたギニヴィアのために勇気を奮い起こす姿は、オトコノコらしくてよかった。男子とはかくあるべし!
 単なるエロジジイになっているマーリンとか、一般的なイメージとギャップがあってよかった。

 まあ、何万冊も読んできた春奈が、アーサー王物語を知らないというのは、ちょっと不自然な気もしましたが、本来、巻き込まれただけの夏耶が自分の意志で『マギノビ』探しに関わる決意を描くためには、そういう事実も必要だったのかもと、渋々、納得。
 春奈と夏耶も友情めいた絆が芽生えて、現実嫌いの春奈を現実に繋ぎ止める一助になったのかと温かい気持ちになりました。

 どこかで読んだような話だなぁと思いましたが、『ブック×マーク』、『司書とハサミと短い鉛筆』あたりかな。
 似たような設定はいくらでもありますが、古典的な世界名作シリーズが好きな人なら、この作品もそれなりに楽しめるかも。

 ちなみに自分は、冒険ものなら『神秘島物語』、中世なら『三銃士』が好きです。
ブック×マーク! (ガガガ文庫)ブック×マーク! (ガガガ文庫)
さくや 朔日

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司書とハサミと短い鉛筆 (電撃文庫)司書とハサミと短い鉛筆 (電撃文庫)
ゆうき りん

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神秘島物語 痛快世界の冒険文学 (5)神秘島物語 痛快世界の冒険文学 (5)
井上 ひさし 椎名 誠 山中 恒

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三銃士 痛快世界の冒険文学 (21)三銃士 痛快世界の冒険文学 (21)
井上 ひさし 椎名 誠 山中 恒

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2009年03月23日

タイム・スコップ!/菅沼誠也

475804063Xタイム・スコップ! (一迅社文庫 す 2-1)
菅沼 誠也
一迅社 2009-03-19

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ひょんなことから「時空間に穴を掘る」能力を手に入れてしまった女子高生・空掘すずめ。うっかりタイムスリップしたあげくにうっかり歴史を変えちゃったりするので(うっかりで済ませていいことではない気もするが)、幼馴染みの石垣島さとるを巻き込んで今日も始まる一騒動。

 歴史の改変を求めて

 スコップで時空を掘る能力を持ってしまった女の子と変な幼馴染みのタイムトラベル・ラブコメディ。

 過去に起きた出来事を知っていたら。そしてもしその時代にいけたら。どうします?
 この物語では、本人はまったく望んでいないんだけれども、ときたま偶発的に発生してしまう時空移動能力の所為で、改変されてしまった現代を元に戻すため、当事者である空堀すずめと幼馴染みの石垣島わたるが、なんやかんや狂った事態の収拾に走るんですが、その解決法がこれまた下らなくって面白い。

 第二次大戦末期のヒトラーを暗殺しちゃう第一話『ヒトラー殺っちゃいました』では、すずめのうっかりでほんの少し、正しい歴史からヒトラーの死が早まっただけで、現代日本が軍国主義チックだったり、ソフトドラッグ合法だったり、児ポ規制が発動していたりと、大変おかしい事態に陥ってますなぁ。
 過去を自由に行き来する時空移動能力は最強の能力ですが、タイムパラドックスが起きてしまわないようにいちいち気を使わないといけないとなると、とても面倒なものですね。

 しかし、第二話『俺の嫁だよフランケン』では、本来、恐ろしい「怪物」を生み出すはずのフランケンシュタイン博士に、幼馴染みのわたるが入れ知恵し、「ブルマの似合う美少女」を作らせるという、夢とロマンあふれる展開となっております(ブルマには夢があるよね! 私は間違ってないよね!)
 過去の歴史の悲劇が一転してハッピーエンドに。こういう前向きな能力の使い道はいいなぁ。

 最後の『安土桃山スーパーウォーズ』では、歴史の改変で空掘すずめ当人が消滅してしまい、すずめの代わりに現れた同じ時空移動能力者(但し、道具はノコギリ)の少女とわたるが、戦国時代に飛んで歴史を修正するのですが、この少女・空掘小梅ちゃんが素敵な子なんだ。
 歴史を直してしまったら、自分が消えてしまうかもしれないというのに、わたるの願いを聞き入れて力を貸す、一途さ、健気さ、そして芯の強さ。まったくなんて出来たヒロインなんだろう。
 ぶっちゃけ、何故こんなにいい子より、すずめを選ぶんだ!と途中で思ったこともしばしば。

 もし人間がタイムマシンを手にしたら、歴史を変えずにはいられないのでしょうかね。
 その時に選んだ選択肢を信じて、未来で後悔しないように生きるというのは、今も昔も難しいことなのでしょう。
 しかし、悲惨な過去があったからこそ、再びその過ちを繰り返さないように、よりよい未来を夢見ることができるとも言えるのではないのかな。
 まあ、いまのところ、よりよい未来とは程遠く、過ちを繰り返しまくった末に、現代があるわけですがね。
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2009年02月25日

さくらファミリア! 3/杉井 光

4758040559さくらファミリア! 3 (3) (一迅社文庫 す 1-4)
杉井 光
一迅社 2009-02

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聖姉妹の絆を守るため、罪を負って天界に連行されたガブリエルさん。このままでは翼を斬られて地獄に堕とされてしまうという。あんなセクハラ天使でも、ぼくらの大切な家族。無情な裁きの手から救い出すため、ぼくらは無謀にも天界に赴く。

天使と悪魔の無駄遣い

 双子の美少女として転生した救世主と天使や悪魔だらけのハーレムラブコメディ。
 相変わらず内容が酷い・・・、これはバチカン市国から異端審問官がやってきても文句いえないレベル。

 天使にとっ捕まったガブリエルさんを助け出すため、地獄を通って天国へ不法入国するわけですが、天使も悪魔も、そろいもそろってアホばっかりですか。
 地獄の軍勢はるーしーのロリぷにボディ目当ての性犯罪者だらけだし、天国はモロ不況大国日本でやる気をなくしたニート天使たちで溢れてるし・・・。
 かろうじて真面目に働いているものもいるかと思えば、ミカエルはただのシスコン、宰相メタロトンはおっぱい好きという、政治家はなにやってんだよ! まだ神様は借金取りから逃げ回ってやがのか。

 ガブリエルさんだけが特別頭おかしいわけじゃなかったんだなーと、なんだか親近感沸くけれど、行きたくないよこんなダメ楽園。
 しかし、天使もユーザー登録しているニコニコ動画。どんだけニコ動ネタが好きなんだ・・・。
 そういえば、ニコ動画を保存するときって、ダウンローダ何使ってます?
 私はいつも「Craving Explorer」使ってますが。音声だけ抜いたり、ファイル形式変えるのが楽です。
 まだエコノミーで画質は悪いけれど、落としてしまえばそんな変わらないしー。

 今回はるーしー大人気、そして最近都合のいい女と化しているレマが二号さんとしての面目躍如というところ。
 るーにゃんは大変面白い子でした。少しくらい腕白でいい、ただ貧乳のまま育ってくれなければ。
 レマの自己犠牲は彼女らしい尊い精神でしたが、家族を助けに天国まできたのに、そうやって自分がすべてを背負って身代わりになればいいというのは、大きな思い違いだよなぁ。

 そして最後はやっぱり金で解決なのか。この世は所詮、金と借用書なのか・・・・・・。
 そんなに金のことばっかり作品のネタにして、この子の将来が不安だわ、と思ってしまっただわ。
 まあコメディだから、これくらい適当にいい加減でいいんですけどね。
 で、なんとなく綺麗に締めていますが、これで完結ですか? でも、帯には『天界編』って書いてあるし、もうちっと続くんじゃよ的なカンジ?
 ちょい駆け足気味でラブコメ分は物足りなかった気がするので、もうちょっとダラダラと続いてもいいなぁ。

 ときに、またしても登場した美少年の話。「これは最近の作者の趣味だ、三ヶ月連続で可愛いオトコノコが大活躍」って、まあユーリも鴻池ジンも可愛いかったけどさ。そんなだからイヅナに誤解されるんだと。
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2009年02月23日

あまがみエメンタール/瑞智士記

4758040575あまがみエメンタール (一迅社文庫 み 3-1)
瑞智 士記
一迅社 2009-02

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全寮制の小中高一貫校、青嵐女学院。外界から完全に隔離された少女たちの園で、ロリータファッションに身を包む少女・橘地莉子は今日も、ルームメイトである渡会心音の肌に歯を立てる。それは、何年にもわたって続く、二人だけの秘密の「儀式」。奇妙な絆で結ばれた少女たちの向かう果ては……?

キスマークは歯形

 噛み癖のあるロリータ少女・莉子とルームメイトである心音との日々を綴った百合モノです。

 ってゆーか、最初に言っておきたいが、『あまがみ』っていう、レベルじゃねーぞ!これは!!!!

 ロリータファッションを着た肉食獣・莉子と、そんな猛獣に身体を差し出すことに喜びを感じている世話係・心音。小中高一貫校でずっと同室のこの二人。
 噛み癖のある莉子の欲求が高まると、部屋の中だろうが、外だろうが、心音の柔肌に歯を立て、よくもまあ歯形が残るほど容赦なくガジガジと。そして噛まれている心音も、最初こそ流されて身体を齧らされるものの、それが徐々に快感に変わっていっているという・・・・・・。どっちも十分病んでるみゃー。
 なんと倒錯した関係だろうかと思って読んでいたが、まあ美幼女なら齧られても快感を覚えるのは仕方がない。

 心音以外に懐かない莉子の凶暴性故に、周囲から浮いて目立ってしまう二人に対し、奇妙な関係を知りながらも興味を抱き、憧れをもつようになる少女たちもいるのですが、莉子の母親の心境になってしまっている心音は、彼女らの忠告も聞きやしない。
 はっきりいって典型的な「共依存」ですね。加害者と被害者が納得ずくで二人の世界で完結してるんだもの。
 しかし、自分よりも莉子のことを大切に思う心音の気持ちは紛れもない"愛"で、一概に依存と切り捨ててしまうのもイマイチ釈然としないものはあります。

 こんな面倒な黒ロリータ放っておいて、親はどうしたかと思えば、なにやら怪しげな展開に・・・。
 うーん、ちゃんと親離れさせておけよーと。こういう自立できない甘やかした育て方も、今はネグレクトなんですよね。莉子ママは親としてどうなんだろう。
 そして行き場のない悲しみが衝動的に心音に向かい・・・・・・────
 やはり『あまがみ』どころぢゃないよコレ・・・・、壮絶すぎるぅうううううううう!!!!

 もしかしたら彼女たちの一緒に過ごした数年間は、すべて間違っていたのかもしれないけれど、それでも最後は綺麗にまとめて希望を感じさせるエピローグがよかったです。
 あとがきを見て知りましたが、作者は『幽霊列車とこんぺい糖』の木ノ歌詠の変名だそうです。
 そういえば、話の雰囲気が同じだなぁ。「同系統の作品です」とは本人も仰ってますが、どうして名前変えたんだろう? こういう排他的な物語も嫌いではないんだけれども、次はこれよりももっと明るくて笑えるライトな百合モノも読んで見たかったり。

 ときに巨乳でロリータというのもいいもんだね。シートベルトでπ/の食い込み具合がいいです。

幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ (富士見ミステリー文庫)
木ノ歌 詠
482916400X
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2009年01月06日

銀世界と風の少女/松山剛

4758040451銀世界と風の少女 (一迅社文庫 ま 1-1)
松山 剛
一迅社 2008-12-20

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果てなく広がる銀色の大砂漠。異常進化をした奇怪な巨大生物から交易のキャラバンを護衛する少女・ソレイユ。幼馴染みの少女・イブが、砂漠で行方不明になったことをきっかけに、砂漠の謎へと迫ることに・・・。

白銀を駆ける金の華

 銀色の砂漠で交易キャラバンを護衛するマタドールの少女の物語。

 褒めるべきところと、ちょっと文句をいいたいところが分かれる作品ですね。

 まず脇役の数が多いにもかかわらず、それぞれにしっかりと過去を描いているのがとても面白い。
ソレイユのいる護衛団に所属するまで、団員たちがどんな境遇を過ごしてきたのか、そこからくる個々の人生観が一人一人に反映されていて、キャラクターを理解しやすかった。
ほんの少しずつ関わりあっていて、現在に繋がっているというのは、ある種の運命めいた結びつきを感じます。

 ほとんどの登場人物が過去の戦争の影響で身体に傷を負ったり、手足を失くしたり、大切な人を失ったりしているのに、それでもみんな笑顔で逞しく生きていて、こんなにも人間って強いのかと圧倒されます。
 失うことの傷の痛みを知っているからこそ、いま大切なものを守るため、なにかを得ようと努力するため、あるいは自分自身を救うため、そのために強くなろうと願った結果なのでしょう。

 持ち上げるのはそれまでにして、こっからツンデレのターン。
脇役は個性豊かなのだが、肝心の主人公・ソレイユが引っ込み思案なせいか、やや地味に見える。
そして流石に出てくる脇役が10人を超えると出番が少ない。
あと銃弾を余裕で弾くような砂漠の巨大ガニや巨大サソリを素手で殴り飛ばす、謎の怪力はなんなのだろう。
ところどころ、明らかに世界観に合わない魔法とか、オーバーテクノロジーっぽいものが登場するのだけれども、それについても華麗にスルーされた!

 そもそもあえてそんな地雷原だらけ、巨大生物だらけの危険な砂漠を行き来しなくても、迂回路を作ればいいんじゃないかとか思うんですけれどもね。
そこまで気になるほどのことでもないので、私が穿ちすぎているだけなのですが、あともう一手間あるとよかった。
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2008年08月27日

School Heart's 月と花火と約束と/伏見つかさ、他

4758040230School Heart’s―月と花火と約束と (一迅社文庫 ん 1-1)
伏見 つかさ、他
一迅社 2008-08-20

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年に一度の満月祭り。それぞれに思いをよせる男子がいる五人の美少女たちが巻き起こすひと夏の大騒動が始まる。
伏見つかさ、みかづき紅月、内田竜宮丞、魁ら四人の作家とイラストレーターのコラボによる、オムニバスストーリー。

夏は短し、恋せよ乙女

昨年末にドラマCDとして発売されていた『萌えドラCD School Heart's』シリーズのアンソロジーノベル。
読むまでノベライズだと気づきませんでしたが、先にそちらを聞かないと話が通じないということはなく、初見余裕でした。

個人的に好きなのは、2話目の「オトメの黒き野望と小さな奇跡/みかづき紅月」ですね。
毒舌ロリ美少女・狭山千紗と超鈍感な先輩との話なんですが、一目惚れした先輩に毎日猛烈アタックをかけつつも気づいてもらえず、子供扱いされることに不満を呟きながら、胸をキュンキュンさせている千紗の反則的なまでの愛くるしさときたら。
それでいて下品にならない程度に微エロスなのもGJ!

3話目の「美里の恋愛指南塾!?/内田竜宮丞」は、千紗の姉である狭山美里が、親友の工藤たまきと告白シミュレーションを繰り返す様子を描いた話なのですが、生真面目で融通が利かない委員長キャラの良さが実感できる面白い話でした。

反対にアレだなぁ・・・と思ってしまったのは、1話目の「月夜の晩に鈴は鳴る/伏見つかさ」かな。
ドジっ娘幼馴染みにひたすら主人公が振り回されるという、なんというか典型的なギャルゲストーリーですね。
ここまでコッテコテなドジっ娘というのは、マジで頭に菌でもわいてるのかと単純に空恐ろしさを感じる。

最終話の「彼女のもとめた真の愛/魁」だと、主人公であるボクっ娘よりも、そんな彼女に女同士でありながら関係を迫ってくる電波系の生徒会長に注目がいってしまいましたね。
いいんじゃないですか、ガチ百合というのも。
プラトニックラブつーか、やたら肉体的なような気もするけど、どっちでも私は美味しくいただけますのでー。

どの娘も甘々な話ばかりで、ラブ分の過剰摂取で萌え氏ぬ。

B000ZFTGIW萌えドラCD School Heart's BOX
mana 2007-12-28

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2008年06月28日

ぶよぶよカルテット/みかづき紅月

4758040087ぶよぶよカルテット (一迅社文庫 み 1-1)
みかづき 紅月
一迅社 2008-06-20

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さあ、楽しい音楽の時間です♪

天才音楽少女でありながら校内きっての変り者、音城トリルに気にいられてしまった地梨琢己。
ごく普通の少年である彼が、常に快活、前向きなトリルの行動に引きずられていくうちに、やがて音楽の楽しさに目覚めていく、といったお話です。

音城トリルは、周囲に理解されない不幸な天才。
確かに彼女の行動は非常識だけれど、どこか一本筋が通っていて正しいと思ってしまうのは、彼女の自分の音楽に対する思いが純粋で、見栄や誤魔化しがないからでしょうね。
「変人」と周囲から揶揄されても己の信念を曲げることなく、自分の音楽に真正面に向き合っている生き様に憧れます。
そしてなにより、いつも音楽が楽しくってたまらない、といった彼女の底抜けに明るい笑顔が魅力的です。

一度は、天才のトリルと凡人の自分とのいる世界の違いに居たたまれなくなって逃げ出してしまった琢己ですが、
幼馴染の七瀬凛音とトリルとの因縁を知ってしまい、彼女らの関係を修復するべく奔走し始めるところがよかった。

トリルと凛音が何度もぶつかり合うのも、互いに自分と並び立つ存在として、その実力を認め合っていたからこそですよね。
そして意地っ張りな凛音とヒネクレ者のトリルの音楽を通した不器用なやり取りにはニヤケずにはいられません。
たとえ正反対の方向を向いていても、顔は向き合っていて相手のことをちゃんと見てるんだなぁ、と喜ばしくなりました。

ややエロティカルな表現が冗長のような気もするけれど、
大変に愉快で、軽快で、爽快で面白かったです。
天才は理屈でははかりきれない、直感で感じるしかないというように、登場人物たちの音楽へのひたむきさと楽しさが一杯につまって心と魂に伝わってきました。

最近読んだ中では、間違いなくイチオシです!
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2008年06月25日

片手間ヒロイズム/小林めぐみ

4758040109片手間ヒロイズム (一迅社文庫 こ 1-1)
小林 めぐみ
一迅社 2008-06-20

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無限宇宙で無限ループな恋をしよう

平凡な女子高生・錫木真理が、いつの間にやら異世界の住人と邂逅したり、未来人と遭遇したり、宇宙人から銀河系の危機を救ったりする、ごくごく日常的なお話。

かいつまんで言うと、一迅舎版『食卓にビールを』ですね。
ノー天気な女子高生が、未来人やら、宇宙人やら、ファンタジーの住人やらが巻き起こすSFちっくな事件に遭遇して、ベビーシッターのバイトをこなしながら、切り抜けていくといったドタバタコメディです。

いやぁ、相変わらずのシュールレアリスムっぷり。
一応はSFでありながら、魔王や勇者なんぞも登場してきたり、展開的にはもうなんでもありです。まさにカオスの権化。
小林めぐみも、もうすっかり星新一化が定着しました。

理系作家ならではの数学や宇宙に関する専門用語がしばしば飛び出てきますが、そういうマニアックなところもいい。
そして毎度登場人物が持ち込む空想科学めいたトンデモテクノロジーなくしては小林めぐみ作品の魅力は語れない。
レアメタルを採掘するために太陽系を消滅させる?
人間が成体になると天使になる?なんじゃそりゃああああw

各話もそれぞれムチャクチャで愉快なのですが、最終話のタイムパラドックスパズルがとくに秀逸ですね。
これはミステリーとも、パズルとしてもよくできています。
3回くらい読み返してようやく理解できたわ。

一迅舎でのこれからの活躍に期待します。

ちなみに小林めぐみが好きな人は、『宇宙への秘密の鍵』オススメです。

食卓にビールを 6 (6) (富士見ミステリー文庫 64-8)食卓にビールを 6 (6) (富士見ミステリー文庫 64-8)
小林 めぐみ

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宇宙への秘密の鍵宇宙への秘密の鍵
ルーシー・ホーキング

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