さちの世界は死んでも廻る (ガガガ文庫 み 3-1) 三日月 maruku 小学館 2007-08-17 by G-Tools |
【恋に恋する夢見がちな高校生、吉岡さち。あこがれの同級生、高田アツミに一歩ずつ近づけたと思った。それなのに、両想いになったばかりの相手を憎み、恨み、戦うことになってしまい・・・】
恋する乙女はバーサーカー
片思いの少年に告白してOKをもらった日に死んでしまい、
世界の理に反した既死者となって蘇った少女さち。
既死者を消滅させるためやってきた執行人と戦闘になるが、その正体は恋人になったばかりの少年アツミだった。
狩る者と狩られる者になってしまった恋人たちの物語です。
さちのキャラがどうにも定まらなくて掴みにくいな。
最初は天然ドジっ子属性でうまくキャラが立ってたのが、
既死者覚醒後、凶暴性剥き出しのバーサーカーモードだし、
デフォルトの性格も後半になると崩れてきているのがどうも。
暗いなー。無理にシリアスさせる必要もなかったのに。
アツミ君もどんだけ世間知らずの坊ちゃんなんだか。
単純さと天然っぷりは、さちより上なんじゃない?
告白されたからって、いままでそんなに知らなかった相手を、大事な己の使命を捨ててまで命懸けで守ろうとするかな?
さちの惚れっぽさも納得し難いが、アツミの行動原理も理解し難いところがあるのは否定できない。
中盤まではいかにも青春って感じですが、その後の愛憎サスペンスが爽やかさを濁すようで余計だったな。
ところどころ不自然なキャラの発言も読んでてひっかりました。「えー、お前らそれで本当にいいのかよ」みたいな。
まあ結末を高校生カップルの痴話喧嘩みたいなオチでまとめたのは、ラストが重くならずによかったと思います。
まあデビュー作ってことを考慮すると、ぼちぼち。