羽月莉音の帝国 8 (ガガガ文庫) 至道 流星 二ノ膳 小学館 2011-08-18 by G-Tools |
ロシアとの経済戦争にどうにか勝利した俺たち。だが出された条件は、対ロシア戦で資金繰りが火の車になった革命部グループにさらに追い打ちをかけるようなもの。絶体絶命のピンチ。しかも革命部が破たんの危機にあることを嗅ぎつけてきたジャーナリストが、俺と恒太にインタビューを申し込んできて。
神が見えた
自分たちの国を建国するため、ベンチャービジネスに乗り出す高校生たちのサクセス起業ストーリー。
恒太の才能を見抜いていた俺に隙はなかった。天才は天才を知る。つまり俺も天才(洗脳されてます)
ロシアとの経済戦争には勝利したものの、疲弊しきってしまった国際商業銀行を救うため、新規事業を立ち上げるか、それとも真相を暴かれて破綻するか、これまでで一番の焦燥感に苛まれました。
いつものごとくバクチ展開ですが、負ければ世界恐慌が起きかねない規模での綱渡りが凄まじい。
危機的な状況に瀕しながら、これまでの拡大方針を変えないのは、経済に詳しくない自分からしてみると、初志貫徹でいいことなのか、単に思考停止してしまってるだけなのか、判断し辛いところですね。
またもや大胆な発想から起死回生の道を見出したものの、そのためには自分たちに思い出深い事業をすべて犠牲にしなくてはならず、身を切る痛みを堪えて突き進む彼らの姿に、こちらまで物悲しい気分に。
革命部の破綻を暴こうと立ち上がった正義のジャーナリストは、旧世界の最後の良心だったんじゃないかな。相手が国家や企業ならともかく、一個人相手に最後の一線を越えないでくれてよかった。
しかし、もし彼が革命部の真実を世界にぶちまけたとして、待ってるのは経済世界の滅亡だけだと思うんだけど、自分の正義が世界を滅ぼす引き金をとなっていたことに気づいているのかな?
革命部の仕掛けた究極のボロ儲け法に関しては、これ詐欺じゃないんですか?と言いたくなるインチキ商法だけれど、真面目に金儲けをしたいと考えているわけじゃないから、ま、いっか。
それよりも革命部の経営にのめり込むあまり、巳継が何かにつけて、「どうでもいい」を連発して、一般的な感性を失いつつあるのが不安だなぁ。さて、ついに世界の頂点に手をかけた彼らの出した答えは如何に。