ダフロン

2015年03月24日

妹さえいればいい。/平坂読

4094515070妹さえいればいい。 (ガガガ文庫)
平坂 読
小学館 2015-03-18

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荒ぶる小説家・羽島伊月は、未だ見ぬ究極の妹を創造すべく日夜奮闘する現代のピグマリオンである。彼の周りには、作家やイラストレーターや編集者や税理士など個性的な人々が集まっている。それぞれ迷いや悩みを抱えながらも、賑やかで楽しい日常を繰り広げる。そんな彼らを見守る弟・千尋には、ある重大な秘密があって

 自由な生き方のススメ

 作家に絵師に編集者、ラノベクリエイターたちの面白賑やかな日常を描いたラノベ創作青春コメディ

 相変わらず平坂さんの描くキャラクターはみんなぶっ飛んでて、些細な日常(?)シーンでも笑えるわ。
 妹属性を愛してやまないラノベ小説家・羽島伊月が、変人だらけの友人のラノベ作家たちと繰り広げる非日常な日常の中で、遊ぶときも仕事するときも恋するときも全力でドタバタと賑やかな姿が微笑ましかったです。
 っていうか、ラノベ作家ってフリーダムな生き方してんな! そこにシビれるあこがれるぅ!

 妹キャラが大好きで自分の書く小説に理想の妹を投影しまくっている伊月の一芸特化した作風は嫌いじゃないですね。コミュ障で自信過剰な性格も大人としてどうかと思いますが、この業界でしぶとく生き残りそう。
 変態だけど才能に恵まれた那由多や、向上心の塊のような努力家の春斗も、作家としてのスタイルが人間性にも現れていて、こういう奴の書いた作品なら絶対に面白いだろうから読んでみたい!と思わせる。

 仕事して、ゲームして、酒飲んで、ふと思いついたら気軽に沖縄や北海道に旅行に行って、そんなとんでもなくユルい生活をしていて、自分の夢を心に持っていて締め切りにも縛られない生き方がとても羨ましい。
 そんな彼らでも、ときにはどうしようもない才能の壁や恋愛の壁にぶつかって悩んだり苦しんだりする光景に親しみも湧き、それでも立ち止まらず思いを抱えて前に進んでいく姿に愛読者カードを送りたくなりました。

 ところで他社さんのラノベ作品名がどかどか登場するのだけれど、巻末の作家陣の寄せ書き見る限り全部掲載の許可取ってるんだろうなぁ。前々から思っているんだけど平坂さんって、絶対にぼっちじゃないよね。ファッション・ぼっちだよね。お前のようなぼっちがいるか! このラノベ作家が愛されすぎててヤバイ……。
 タイトルには番号がないけれど、表紙には@とあるから続くのだろう。千尋ちゃんの妹力がもっと見たい。

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2014年07月23日

スチームヘヴン・フリークス/伊崎喬助

4094514988スチームヘヴン・フリークス (ガガガ文庫)
伊崎 喬助
小学館 2014-07-18

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ビザーバーグで何でも屋を営むスチームシーカーコンビ、《奇術師》ニコラスと《真鍮男》ザジは、あるとき怪しげな探偵の依頼を受ける。それは、悪の秘密結社《ディスコルディア・リーグ》に関わる、とある男を保護すること。だが、ディスコルディアの遺産を狙うマフィア、世間を賑わすクラフト犯罪者とぶつかり合うことに。

 道化師たちの宴

 魔性の霧ミアズマによって発展した街で機械と神秘の怪人たちが繰り広げるスチームパンクファンタジー。

 これは面白い。異能バトル要素もありつつ、スチームパンク特有の空想科学のぶっ飛び具合がたまらない!
 正体不明の霧ミアズマをエネルギーとした重蒸気によって発展した街ビザーバーグで、何でも屋を営む主人公・ニコラスが、自分自身のルーツとなる手がかりを追って、マフィアや警察、超能力者、マッドサイエンティストたちを相手に三つ巴、四つ巴の大活劇を繰り広げる奇想天外な世界観が愉快でなりません。

 市警の捜査に協力して街に蔓延る犯罪者や悪党退治を請け負うニコラスと相棒サジですが、悪人と紙一重のアウトローであるには変わりなく、人を食ったような言動を繰り返す意地の悪さがイイキャラしてる。
 莫大な利益を産む科学技術を独占する狂科学者集団『ディスコルディア・リーグ』の手がかりを握る男ハリーを追いかけ、マフィアにマッドサイエンティストに怪しげな連中が次々と絡んでくる展開が飽きさせない。

 ミアズマによって超能力に目覚めた正義のミスティックチーム・トライデントの女の子たちと犯罪者たちを奪い合いながらも次第に騒動の核心に近づいていって、敵も味方も善人も悪人も、街中の人々を巻き込んで膨れ上がっていく大騒動と大混乱のスペクタクルショーが痛快です。蒸気機関で動く特殊な装備を使い、戦闘機械や兵器の数々とぶつかり合う姿だけでもメカフェチにとってはわくわくが止まらず、夢が広がりますね。

 味方はさっぱり信用できないロクデナシばかりだし、敵はコミカルで頭のイカれてるファンキー野郎ばかりだし、その双方が化学反応を起こして周囲の迷惑顧みず巻き込んで盛大に大爆発してるから面白いんだ。
 ニコラスとザジの正体や、『ディスコルディア・リーグ』の消失の謎、そもそも全ての元凶であるミアズマが発生したことからして今だ不明で、それだけに設定が奥深く自由度が広い。次の展開が気になります。
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2013年11月24日

殺戮のマトリクスエッジ/桜井光

4094514481殺戮のマトリクスエッジ (ガガガ文庫)
桜井 光
小学館 2013-11-19

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西暦20××年。旧東京湾上に建設された次世代型積層都市トーキョー・ルルイエ。この都市には、電脳を喰らう獣がいる。それは、電脳ネット上、どこにも存在しない、人喰いの化け物どもだ。そして、彼・小城ソーマは奴らを狩る。鮮血と電子の満ちる裏路地で、彼は独り、獣を狩る。ある晩出会った不思議な少女と共に

 その刃は、恐怖を断ち斬る

 ホラーと呼ばれる電脳の怪物を狩る少年と不思議な少女が都市の暗部に迫るサイバーパンク。

 すごく出来は良いものの、これといって面白味がなくて、「ククリちゃん可愛い!」しか残らない。
 海上に建築された近未来都市の重厚感とか、インプラント手術によって埋め込まれた電脳を用いたインタフェース技術とか、表面上は幸福に思える完全管理社会の裏のドス黒いディストピア観とか、非常に設定が作り込まれて、表現力も卓越した技術を感じるのだけれど、真面目過ぎる。もうちょっと砕けてもいいんジャマイカ。

 主人公のソーマもクールで強くて、格好良いは格好良いんだけれど、愛着がわかない。賢いようでちょっと世間ズレして常識に欠けたところが萌え要素なのはわかるんだが、人間味や人情味が見えてこなくて、ロボットが人間の真似をしているみたいで、不気味に思えてしまった。設定からしてそういうキャラを目指して作られて、その通りに描けているけれど、ククリちゃんも感情が読めない子だから二人一緒だと余計に淡白なんだよ。

 戦闘シーンも熱いは熱いのだが、普通にやってしまっているのがなぁ。リアリティはあるんだけれど、ラノベはエンターテイメントなので、もっと異能とか、ルビ文字のついた特殊武器やプログラムが飛び交うような、裏技、チート技満載な中二病っぽさが欲しかった。ソロで戦わせていると戦略戦術、仲間との連携のような描けず、駆け引き要素が薄くなってしまって、結局最後はゴリ押しで意外性がなくなっちゃうんですよね。

 もうちょっとユーノやククリをソーマと絡めて、キャラを掘り下げてくれたら。ユーノがもっとソーマの素顔に踏み込んでいくかと思えば中途半端な距離感を保ったまますれ違い、当たり障りなさすぎてモヤモヤする。
 やはりSF小説として、ジャンル・サイバーパンクの完成度としては高い。文章や設定、世界観の雰囲気に酔える人は十分満足できるんじゃないでしょうか。ただラノベ読みとしてはハヤカワでいいんじゃね?って気が。
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2013年11月23日

セブンスホールの魔女/池田朝佳

4094514503セブンスホールの魔女 (ガガガ文庫)
池田 朝佳
小学館 2013-11-19

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異世界の怪物たちが現れるようになった世界。泉野原アカザは腕利きの“魔力持ち”として活躍していたが、ある事件をキッカケに魔力を封じられてしまう。そこへ怪物退治を生業とする巨大民間企業“世界対策株式会社”の高坂ゾフィーから、ある企業の社長にならないかと誘われ、その申し出を引き受ける。しかしアカザが社長として就任した会社は落ちこぼれの魔女たちが集まる会社だった。

 魔女たちの居るべき場所

 魔法を封じられた新米社長と落ちこぼれ魔女たちが世界を救う、お仕事バトルファンタジー。

 魔女っ子だらけの職場で社長業、このシチュエーションは萌える。僕も、この会社に就職したいよ!
 異世界から来る怪獣を魔女が退治するのがビジネスとなった世界で、企業グループの中でも落ちこぼれ魔女ばかりが集められた子会社の社長になった主人公・アカザが、社員であるヒロインたちと信頼を築きつつ、いままでにない業務形態を打ち出し、傾いた会社の経営を立て直していく光景が夢があって面白かったです。

 元最強の魔法使いながらも魔法を封じられ、失意の底にあったアカザが戦闘経験を買われ、雇われ社長としてスカウトされるのだけれど、それまでフリーランスとして活動していたものだから、会社勤めの苦労や職場でのコミュニュケーションの取り方など知らなくて、それも自分以外の社員は若い女の子ばかりという事務所で、気をすり減らしながら、失敗を繰り広げながら、ゼロから経営を学んでいく姿が初々しくて微笑ましかった。

 実働部隊である魔女のハル、サカナ、フラン、オーガストは、それぞれタイプの異なる美少女なのだけれど、メンタルでの問題が仕事に影響して、些細な失敗が致命的な失敗を呼ぶ負のスパイラルがなんとも歯がゆい。
 経営方針を見直し、自分たちで出来る範囲の小さな依頼を積み重ねていくうちに、社員たちに自信が生まれて、心の余裕ができたことで前向きになり、次第に社長として受け入れられていく様子がほのぼのとした。

 ただまあ赤字経営から、順風満帆に切り替わるのが簡単すぎね、時間の経過早すぎね? ってのと、もう少しヒロイン一人ひとりのキャラの掘り下げを描いても良かったんじゃないかなぁ。気づいたら半年飛んでた。
 ハルとか、すげー可愛いんだけれど、どうにもチョロ過ぎて……な。もっとなんか恋愛イベントあるでしょ。バトル描写が厚いのだけれど、次回以降、あればもっとラブ寄せを、オフィスラヴを期待したいかなぁ。
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2013年08月26日

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7.5/渡航

4094514341やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7.5 (ガガガ文庫)
渡 航
小学館 2013-08-20

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奉仕部に送られてくるようになった「お悩み相談メール」、そして、平塚先生から持ち込まれた「結婚がらみ」の相談事……。(八幡的には)不本意にも忙しい奉仕部の活動。コスプレからガチ格闘技対決まで、多岐にわたりすぎて大変なことに。日々の些末な出来事にこそ、真実は宿る……

 スイートホームまでの距離は遠い

 ひょんなことから美少女と部活動をすることになったヒネクレ高校生の一風変わった青春ラブコメ。

 平塚先生ェ……。もうホント、誰か嫁に貰ってあげてよぅ。現実にいたらプロポーズしてもいいわ。
 平塚先生が仕掛けた「お悩み相談メール」によって舞い込む相談事を、奉仕部のメンバーがそれぞれ答えていくのですが、意見や主張の中にも各々の人生観や価値観、習慣、性格の違いが現れていて可笑しかった。
 結婚なんかできなくても、それだけが女の人生じゃないよ! 猫を飼えばいいんだよ!

 小町さん嫁度高い。妹で、嫁度も高いって、最高じゃないっすか、もう結婚を前提に一緒の家で暮らし始めるまである。ポイントをいくつためたら攻略ルートのフラグが立ちますか? 妹エンドの某ラノベに続こ。
 他のヒロインは一長一短というところですが、平塚先生は女子力じゃなくて肝心な所で男前力を発揮しちゃうから、釣り合うような相手が現れないんじゃ…男としてはすごく気軽に付き合えそうな人なんだけどなぁ。

 集団での遊びに慣れていないぼっちーズの行動がイタタ……。げ、ゲーセンなんて不良の行くところですしおすし。家庭用ゲーム機になれてると、1プレイごとに料金取られるシステムがぼったくりに思えるんだよね。
 卒業した先輩って、なんでよく部活に顔出すのか。ぼっちは卒業した母校には二度と近寄りたくないもの、トラウマだらけだから。いや、過去は振り返らない主義なんですよ。どこにいても辛い場所しかないからな。

 ちなみにラノベ新人賞の一次選考は、「日本語になっている」の他に「小説になっている」も問われる。あとパクリだとか、テンプレすぎて古臭いのとか、中二病でルビ文字全開で物語設定を説明しているだけでストーリーやキャラクターの成長や変化が描けていないのとか、一つでも大きな欠点あれば容赦なく落とすから。
 しかし、返還された評価シートのコメントは信じろ。どんなに納得出来ないことが書かれていても絶対に信じろ。諦めずに応募してくれないと困るのは出版社側なんだから、いい加減なことを書くわけがないんだよ。

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2013年08月23日

初恋コンテニュー/なかひろ

4094514333初恋コンテニュー (ガガガ文庫 な 7-1)
なかひろ wingheart
小学館 2013-08-20

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主人公・綾野 海の妹・空はそのハードにあまりにも熱中していた。彼女はゲームをこよなく愛し、どんなに理不尽なソフトでも楽しんでプレイしてきたのだ。……自分自身がゲームに取り込まれるまでは――。

 初恋のつづきはゲームのなかで

 ゲームにとりこまれた兄妹が、脱出めざして恋愛に奮闘するデスゲーム風ラブコメ

 恋愛ゲーのシステムに懐かしさすら覚える。いや、パラメータ方式って今でもあるのか?
 クソゲーばかりと評価を受けた旧式ハード機の妖精パーシィに連れられ、恋愛ゲー『ドリームメモリーズ』の世界に閉じ込められた兄・海と妹・空が、現実世界の少女たちを模したヒロインたちとの攻略を通じて、愛とは何か、彼女たちとどう向きあえばよいのかを学んでいく展開が青春ドラマのようで甘酸っぱく、眩しかった。

 閉じ込められたゲームから脱出するには、ヒロインと恋愛してゲームをクリアせねばならず、ゲームに詳しい妹の空が、ゲームに疎い兄の海をコントロールするように女の子たちを攻略していくんですが、「この娘を落とすには【運動】パラメータが必要」とか、「まだフラグが立ってない」とか、あくまでもゲームと割り切ったメタ発言が可笑しい。海は海でゲームと分かっていても現実と同じように捉えてしまうところが、ピュアい。

 攻略対象のヒロインはNPCながらも、二人が現実で関わったことのある少女たちの設定を模していて、様々な事情があって今はギクシャクしてしまっている彼女らともう一度やり直すために、ゲームを通じて相手の思いや自分の本音を理解し、付き合い方を考えなおしていく過程が切なくて、胸が締め付けられます。
 ゲームオーバーを繰り返しながらも諦めない根気は、相手を本当に想ってないとできないと思います。

 しかし、ゲームの結末はドン引きやったなぁ。これはクソゲーいわれても仕方がないぞ……。
 それと、ぶっちゃけ、テーマが古くないですかね。よくてスーファミ世代のゲームで、目新しさをそこまでカンジない。それとヒロインの何人か、秘密を思わせぶっておいて伏線回収してなかったよね。
 正直、PCゲームをそのままラノベでやっても面白く無いので、何か工夫や仕掛けが欲しかったです。
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2013年07月18日

とある飛空士への誓約 3/犬村小六

4094514287とある飛空士への誓約 3 (ガガガ文庫)
犬村 小六
小学館 2013-07-18

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四回生のバルタザール、かぐらのふたりがエアハント士官学校を卒業し、「エリアドールの七人」はついに離ればなれに。三回生となった清顕は、模擬空戦を経てイリアとの距離を少しずつ縮めていたが、ミオとは会話をすれば喧嘩という状態。久々に索敵訓練でペアになったものの、敵機と遭遇し、樹海に降下してしまう。

 この罪を抱いて、生きる

 七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語

 ラノベでの幼馴染ヒロインは噛ませ犬、と言わんばかりのミオの転落ぶりに、ぶっちゃけ泣きました。
 家族を人質にスパイ活動を強要され、葛藤で心がボロボロになりながらも清顕を密かに慕い続けるミオの想いに胸が締め付けられました。バルタザールとかぐらが卒業し、激化する戦争によって、次第に道のりが分かれてバラバラになっていく「エリアドールの七人」の少年少女たちの友情が物悲しさを加速させます。

 家族愛と友情との狭間でミオが一人で苦悩を抱えているというのに、清顕ときたらエース候補として期待され、イリアとも休日にデートに行くところまで打ち解けて、有頂天になっている姿が憎たらしくて仕方がない!
 やっと栄光の道を歩み始めた清顕に迷惑をかけまいと、本当は誰かに助けて欲しい気持ちを押し殺して大好きな清顕のために、関わらないよう身を引こうと考えてしまうミオの自己犠牲精神がいじらしくて切なかった。

 疎遠になってしまったミオとの関係を取り戻すため、清顕も方法を模索するけれども失敗続きで、無人島に不時着した一夜の出来事は最後の機会だったのだけれど、それもなかったことにされて、非常にもどかしい!
 そうこうしている間にも、危機は忍び寄っていて、突然に訪れる日常のあっけない幕切れには、世界の不条理と理不尽が満ち溢れていて、ゼノンやカーナシオンといった邪悪と悪意の権化に憤りを抑えきれなかった。

 友を裏切る罪悪感に押し潰されて、徐々に精神を病んでいくミオの心理描写を読んでて心が折れました。
 出世コースに乗って自慢気なバルタザールがツンデレ可愛いのだけが癒しです。機長かわいいよ機長。
 そういえば、表紙はメンバー七人が一人づつでてくるんだと思ってたけど、今回はどうして二人なんだ? まあそんなことはいいが、清顕そこをどけ! お前が邪魔で見えるはずのものが見えないだろ!

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2013年06月19日

恋に変する魔改上書/木村百草

4094514198恋に変する魔改上書 (ガガガ文庫)
木村 百草
小学館 2013-06-18

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女子高生・莉子には納得がいかないことがあった。突然、幼なじみの冴えない男子・諒太が3人の美少女と仲良くなり、モテモテ状態になっているのだ。目の前で繰り広げられるハーレムラブコメにイライラの莉子だったが、ひょんなことから現実を「上書き」してしまう「ラブコメの魔」の力を手に入れて…!?

 ラブコメには悪魔が潜む

 現実を上書きする「ラブコメの魔」の力を手に入れた女子高生が綴るヘンテコ学園ラブコメ

 ライトノベルのラブコメというジャンルに真っ向から喧嘩売ってるけど、自分に跳ね返ってないか?
 現実を改変する「ラブコメの魔」の力を手にした女子高生・莉子が、幼馴染の諒太と3人の美少女の日常をハーレムラブコメの世界に改変してしまい、巻き起こっていくドタバタ騒動が可笑しかったです。
 ベタなラブコメが如何に現実とかけ離れた夢物語であるかを描いたアンチラブコメディというべき問題作。

 3人の美少女にモテるようになった幼馴染の諒太に嫉妬しつつも、素直に自分の気持ちを認められない莉子がいじらしく、3人の美少女たちが急接近して振り回されていく諒太が羨ましいやら妬ましいやら。
 鬱憤晴らしに執筆したラブコメ小説がいつの間にか現実を上書きしてしまい、リアリティや整合性を完全に無視して展開されていく突拍子もない『ラブコメ』の珍妙さたるや頭を抱えたくなりますね。メタだなぁ。

 莉子に取り憑いた「ラブコメの魔」・ラブ子ですが、ラブコメを変に勘違いしているポンコツ悪魔っ娘で、面白半分で世界を改変しては事態を余計に無茶苦茶にして、コイツ早く罰が当たらないかとひたすら思ってた。
 改変した世界を、なんとか元に戻そうとするんだけれども、気まぐれなラブ子や素直になれない気持ちが邪魔をして、肝心なところで失敗を繰り返してしまう姿が、読んでいてもどかしい気持ちでいっぱいでした。

 超展開はネタとして受け入れられるんだけれど、暴走するラブ子のグダグダ展開が途中からダレました。
 これだけだと莉子が、ただ僻みっぽくて面倒臭い女になってしまっているので、3人娘のようにもう少し男性目線で可愛らしさや萌えを感じるような一面が欲しいな。諒太もよくあるツッコミ体質な平凡な男子そのままなので、こちらも「コイツならハーレム王でも許せる」と思えるような見せ場でもあればよかったかな。
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2013年06月18日

魔女は世界に嫌われる/小木君人

409451421X魔女は世界に嫌われる (ガガガ文庫)
小木 君人 そと
小学館 2013-06-18

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武器職人の父親と幼い妹と3人で暮らす少年ネロの平穏な日々は、国王軍の襲撃により唐突に終わりを告げる。
妹を背負い森へと逃げ込んだネロは、踏み入れたら二度と戻れない「不帰の谷」を抜け、とある古城へとたどり着く。そこで死の床に伏した魔女と、その娘・アーシェと出会った……。

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 魔女の存在が忌み嫌われる世界で、少年と魔女の少女の恋と成長を描く冒険ファンタジー

 冤罪によって兵士に追われる主人公・ネロが、迷い込んだ古城で出会った魔女から愛娘・アーシュを託され、彼女と共に旅に出るというストーリーなのだけれど、中身が薄くて物足りず、どうにも評価しづらい……。
 人間を支配する有角人や、魔女の産み出した影虫や月光揚羽などの不気味な魔法生物など独特の存在はありますが、人間から排斥されて魔女が隠れ潜む世界観とか、すでにありふれていて新鮮味を受けなかった。

 誠実で思いやり溢れる少年ネロと、世間知らずで外の世界に憧れる魔女の少女アーシュのキャラにも好感は持てるのですが、掘り下げが浅くないですかね。もう少し二人の相互理解が描かれているとよかった。
 妹を生き返らせる代わりにアーシュの旅に協力する契約を交わした故の同盟意識なのか、家族を亡くした者同士の連帯感なのか、はっきりしないですが、お互いに偏見を乗り越えて信頼し合うのが早すぎるような。

 兵士との戦いにしても便利な魔剣を手に入れたお陰で、いきなり強化人間相手に普通に立ち回れてしまえて、都合がいいというか、お手軽な展開に終始してしまい、アクションの戦いぶりに工夫を感じなかった。
 アーシュの未完成の死霊魔法を使ったハッタリや、地の利を活かした駆け引きで魅せるということもできたと思うんですけどね。読んでいる読者の予想や期待を越えてくれなかったのが惜しくてなりません。

 デビュー時から小木君人さんの作品は好きだし、前作の『森の魔獣に花束を』は高い完成度でまとめていて傑作だと思うんですけれど、前作ほど心に訴えかけてくるドラマもとくになく、感動するポイントに欠ける。
 シリーズもの前提での1巻目ならこんなキャラ紹介で十分だと言えなくもないですが、これを読んで続きを読みたいかと尋ねられると、ちょっと難しいな。一言でまとめると『ツカミが弱い』これに尽きると思います。
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2013年04月23日

GJ部中等部 5/新木伸

4094514058GJ部中等部 5 (ガガガ文庫)
新木 伸
小学館 2013-04-18

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部室を失い、GJ部中等部が流浪の末にたどりついたのは、校庭の隅のプレハブ小屋。みんなで徹底的に掃除して、学校の使用許可も勝ち取った! それから2か月。この部室には、不思議な女の子がときどき座っていたりする。サスペンド中の小森さんでもなく……、新入部員でもなく……なんとなくなじんでいた

 俺よりGJな奴に会いにいく

 個性豊かなメンバーのゆるふわなひとときを描いた萌え四コマ的コメディ。中等部編。

 女の子たちの恋愛観とジェンダー観の、おっけーなラインとNGなラインがわからないよぅ!
 プレハブ小屋で再始動したGJ部中等部、部員ではない新たなメンバー(?)・蛍ちゃんを加えて、恋バナに華を咲かせたり、香バナに盛り上がったり、GJ魂を追求したりといつも通りだけれど、ちょっとずつ変化していくキャラクターたちの関係や成長ぶりが愛おしい。しかし新入部員入れなくていいのかなぁ……。

 部室を奪われたGJ部でしたが、新たな部室に和服姿のロリが現れて、繁栄することは決まったな。
 男子がリップクリームを塗らないのは、唇をケアする行為に女子っぽいイメージがついてるからだと思う。
 男の子の大事なものがウィザードリングだとしたら、女の子の大事なものはラブリーコミューンか?
 My人生このときのためにある…ボカロ聞きながら、ラノベ読んで、手元で3DSいじってるときかな(3つ)

 コーヒーはミルクと砂糖を入れて飲むほうが世界的に見れば一般的である。練乳は千葉マイノリティ。
 霞ちゃんは天才だと思ってたら共感覚の持ち主さんだったかー。しかし何故金額計算はできない。
 究極の二択。しじみ汁のしじみは食べますか食べませんか。私はジャリジャリする嫌で食べません。
 秋葉原で女子中学生の耳そうじ屋を始めたらライバル店を圧倒できるという天啓。だが捕まる。

 ジンジンとケンケンの香ばしさに釣られてヒロインたちが┌(┌ ^o^)┐ホモォになる気持ちがよく分かるが、こてさしゅさんとケンケンは、ライバル心向けすぎだろう、ケンケンはみんなから愛されてるなぁチッ
 夕日をバックに河原で男たちが喧嘩して友情が芽生える…GJ魂やなぁ。この少年漫画のパティーンの原作はどこなんでしょうね。最後にこてさしゅさんのピースの仕方がビッチっぽいのがすげー気になる。

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2013年03月23日

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7/渡航

4094514031やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 ドラマCD付き限定特装版 (ガガガ文庫)
渡 航
小学館 2013-03-19

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京都への修学旅行を前に、どこか浮き足立つクラスの雰囲気。文化祭以来、教室内でさらに微妙な立ち位置になった八幡だったが、最初から地位なんてないようなもんだしな、と我関せず。ところが、奉仕部に持ちかけられた意外な人物からの「恋の相談」。そこにはまた別の人物の思惑も重なって…。

 だから誰もが嘘をつく

 ひょんなことから美少女と部活動をすることになったヒネクレ高校生の一風変わった青春ラブコメ。

 形骸化した学校教育の忌むべき悪習『修学旅行』が産む弊害についていろいろ考えさせられました。
 京都への修学旅行にかこつけて、片思いの女子へ告白を考えている葉山グループの一員・戸部の依頼を受けて、八幡たち奉仕部が彼の告白をサポートするのですが、ハナから脈がありそうもないその「恋の相談」に修学旅行の間中、振り回され傷ついていく八幡の姿が痛々しくて胸を締めつけられます。

 ぼっちにとっては四六時中疎外感を味合わされる修学旅行という苦行事にあって、文化祭以降、周囲の風当たりの強い八幡にもいつも通り普通に接してくれる戸塚やガハマさんの優しさに癒されます。
 葉山たちと同じグループに組み込まれてしまい、彼らの後ろについて回るだけの八幡でしたが、訪れた名所名石では薀蓄を披露したりして、つまらない顔して内心では楽しんでる姿にニヤニヤしてしまう。

 戸部と海老名さんを取り巻くリア充たちについては、読んでてむしゃくしゃする気持ちを抑えられない。今が大切ならそれでもいい。ただそんなに大切なら、他人に任せずに自分たちでなんとかしろや!
 自分たちが傷つきたくないから、代わりに他人に傷ついてもらって、何事もなかったかのように笑顔を取り繕うリア充どもの無神経ぶりに嫌気が差しますね。あんな臆病で卑怯な人間にはなりたくないわ。

 しかし、雪ノ下さんは、また空気っすかぁ。ちょびっと出てきては意外に残念な一面を暴露して、意地張って去っていく可哀想なヒロインになってきたな。完璧超人からは随分と遠いところにきたなぁ。
 奉仕部のメンバー以外でも、八幡を他とは一目置く存在に見始めている人たちがいて、嬉しかったわ。そして巻末の短編は、本編のストレスを吹き飛ばすめちゃ明るい話で楽しかったです。アニメも楽しみ

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2013年03月21日

GJ部◎/新木伸

409451399XGJ部◎ (ガガガ文庫)
新木 伸 あるや
小学館 2013-03-19

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いつもの放課後、いつもの部室……再び。1~9巻では描かれなかった「GJ部」2年間の出来事が、ついに語られる?謎に包まれていた京夜(きょうや)の袋詰め入部エピソードから、目的地が不明だった夏の合宿。そして、卒業後の春休みに待ち受ける、真央(まお)たちといっしょの卒業旅行まで! ……って、あれ?

 青春の大波を乗り越えて

 個性豊かな5人の美少女たちとのゆるふわなひとときを描いた萌え四コマ的コメディ。

 ついに奴らが帰ってきた! 毎週アニメで見てますけど! 来週最終回だけど!(´;ω;`)ブワッ
 GJ部無印本編では語られなかった、キョロ入部エピソードから卒業後のアレコレまで、三年間を通しての語られなかったマル秘エピソード、及び、いつもの4ページ=1話構成では語れなかった長編エピソードを収録したお話になってますが、短編でも話が長いいいい!って思えるのはこの作品くらいだよなぁ。

 キョロの入部エピソードはほぼ想像通り、GJ部の面々に馴れてない初期の感じが初々しいですね。
 他の生徒からは避けられているGJ部ですが、あんな可愛い美少女たちが揃っていて、何故避けるのかわかりませんな。噛まれるからですか、ご褒美じゃないですか。部長が噛みまくりでちっさ可愛かった。
 誤解され気味の女性陣のために珍しく怒るキョロが、やっぱり男の子だった。覇王色の覇気出てた。

 旅行話の短編は、どちらもゆるふわですねぇ。部室に違法な泊まり込みを敢行しながらも、自炊はしない。朝はカップ麺やら、昼は店屋物やら、折角のお泊りなのに料理とか頑張ったりしない感じがゆるい。
 卒業旅行は、珍しくエロいサービスシーンがあったりなんかして意外でした、こういう、如何にも男性読者が鼻の下を伸ばすようなネタとは無縁な感じだったのに、最後の最後で一体どうした!グッジョブだ!

 卒業式前日を描いたエピソードは、アニメ版のCパートと繋がって、やめろよーぅ! 泣いちゃうだろ。
 部室を離れて、横溝やら、新城やらも登場して、キョロのクラスでの扱いぶりなども垣間見られて、外伝らしい楽しさが味わえました。「つまらないけれどかわいい」と何だかんだ人気のアニメ版も、あれは狙ってやっていたんでしょうか……全員EDは神出来ですよねあれ。今度こそ、お疲れ様でした( ・`д・´)ゞ

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2013年02月21日

人類は衰退しました 8/田中ロミオ

4094513930人類は衰退しました 8 (ガガガ文庫)
田中 ロミオ
小学館 2013-02-19

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壊滅状態となってしまったクスノキの里の総人口は、激減しました。物資は豊富にあるものの、再建は進まずに、若者の里離れが加速してしまったのです。そんな折、「わたし」の祖父は、古い知人に誘われて旅行に出かけてしまいます。行き先は――月。

 夢を追いかけるほど現実は離れていく

 衰退した人類と"妖精さん"との間を取り持つ"調停官"のわたしのほのぼの活動記録。

 妖精さんが働いたら、負けだと思う。妖精さんが忙しいと人類ヤバい。薬物の乱用ダメ。ゼッタイ。
 壊滅して、住人が離れていくクスノキの里を復興させるため、"わたし"とYたちが拡張現実を活用したコンテンツで活気を呼ぼうとするも、妖精さんの介入で夢の世界まで拡張して、事態が"わたし"の手を離れてどんどん暴走していってしまう展開が、今回もメルヘンと夢と皮肉に溢れて面白可笑しかったです。

 復興しなきゃいけないのに、たっぷりの支援物資で満たされた状況で、再建への意欲を失っていく里の住民たちの姿がどこかの東北地方と重なります。実際ハイチの状況とか、こんなもんらしいし……。
 過去の技術を掘り出して里に活気を取り戻そうとするも、拡張現実の有用性が望んだ方向にはなかなか理解されず、"腐ったコンテンツ"しか流行らないこの人類はもう滅んでもいいんじゃないかなー。

 山積みの問題で不眠症に陥った"わたし"のために、妖精さんが作った睡眠薬が里中に蔓延して、現実世界そっちのけで、夢の楽園生活に没頭してしまう人々の薬物依存症が狂気的でゾッとしますね。
 強制排除で住人たちを撃ち殺し…もとい救済していく"わたし"や、いざという時にビビって頼りにならない妖精さんの姿には思わず吹き出しました。妖精さんに頼らずとも、"わたし"は頑張ればデキる子だった。

 ヤンママ妊婦さんの出産問題が夢世界に関係してるとは思いもしませんでしたし、実は重かった事情が明かされていくのにはちょっと驚き、このシリーズはときどきこういう話を混ぜてくるから侮れない。
 難産も無事に乗り切り、里の復興も軌道に乗り、万事すべて世はこともなしハッピーエンドかと思いきや、なにか忘れてると思ったら……あっ(察し) 次回の舞台は月かな。まいくろうぇーぶそうしんきちです?

 ときに作中の拡張現実アプリは欲しいですね。数年前から、これからのゲーム業界は拡張現実の時代だと考えていたのに、いざ蓋を開けてみれば、流行ってるのはくだらないソシャゲばかりという悲しい現実。
 ソシャゲに供給している資金をもっと拡張現実技術の発展に費やせば、ゲーム業界に限らず、さまざまな分野にも転用できてメリットを生むはずなのに、未来の莫大な利益が見えず、目先の小さな利益に捕らわれているゲーム会社やスポンサーは愚かで度し難い。まったくもって、脳が狭い!

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2013年02月20日

とある飛空士への誓約 2/犬村小六

4094513965とある飛空士への誓約 2 (ガガガ文庫)
犬村 小六 森沢 晴行
小学館 2013-02-19

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エアハント士官学校飛空科の「模擬空戦」において、驚異の記録を更新中のイリア・クライシュミットは、士官候補生たち「エリアドールの七人」の中では突出した存在となっていた。比して、坂上清顕は、互いに撃墜王の父を持ちながらも、イリアに実力の差ばかり見せつけられ、悩み、焦る清顕。

 きみがいるから戦える

 七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語

 七人のキャラクターそれぞれに人間ドラマが描かれて、キャラの背景や奥深さを増していました。
 模擬戦で圧倒的な戦績を叩き出すイリアに対して、人並み以下の凡庸な成績しか残せない清顕が、空で戦う理由を見出して、自分の殻を破って飛空士として成長していく姿が晴々しかったです。
 ときに悩み、苦しみ、迷いながらも、友人との生活の中で将来を見据えていく登場人物たちに魅せられた。

 元々エリートであるイリアやバルタザール、順調に成績を伸ばしていくかぐら達に比べ、実技の成績が伸び悩み、ライバルであるイリアに対して鬱屈した思いを抱えていく清顕の姿がもどかしい。
 「ウラノスを滅ぼす」という目標を掲げながらも、戦いの場で引き金を引くことを躊躇してしまう清顕でしたが、ミオとのデートをキッカケに自分の壁を越えていくところがとても男のコで初々しかった。

 最初に出会った頃ほどのわだかまりは清顕とイリアにはすでにないものの、勝手なマスコミが放っておかず、秋津と帝国を巻き込んで二人の因縁の対決を煽るような周囲の風潮が苛立ちますね……。
 イリアとしても父親を喜ばせて、自分を認めて欲しい一心で、清顕との戦いを望む思いが切ない。
 清顕とイリアの実際の対決は、怨みや憎しみとは程遠くて、お互いへの称賛が溢れていて素敵でした。

 表面は仏頂面のイリアですが、不器用な彼女なりの女の子らしさや優しさといった、人間らしさが見え隠れしてカワイイイキモノ化してました。クソ親父は育て方を間違ったよなー本当はこんなに可愛いのに。
 七人の中に潜む、旧王国の王位継承者とウラノスのスパイ・ハチドリの正体は、さほど意外でもなくほぼ予測通りだったものの、それが霞んでしまうくらいの衝撃が結末に待ち構えていて胸が痛みました。

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2013年01月21日

GJ部中等部 4/新木伸

4094513884GJ部中等部 4 (ガガガ文庫)
新木 伸 あるや
小学館 2013-01-18

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いつもの放課後、いつものせまい部室。もりもりの冬イベントをスルーしまくりで、今日も雑談中のGJ部中等部。「しちねんごろし」は愛称として成立するのか? ケンケンはジゴロなのか? ジンジンはスケコマシなのか? スケコマシとはなんなのか……。

 GJ部の新たな旅立ち

 個性豊かなメンバーのゆるふわなひとときを描いた萌え四コマ的コメディ。中等部編。

 ジンジンとケンケンが、女子に囲まれすぎて、モテすぎて壁ドン!机バン!床ゴン!の連続やったわ。
 初っ端からキョロや高等部GJ部のメンツが拝めて、やっぱり安定感ありますね。ほっとする。
 変なあだ名は男子であればネタとして笑い話になるのですが、女子だと微妙ですね。というか、みんな長いんじゃないか。本名より短くないと。というか、中学二年生ならあだ名より『二つ名』を考えるべき!

 カップリング論では、ジンジン×ケンケン、霞×聖羅はありですが、霞×ケンケンは認めぬ。小森×ケンケンは認める。小手指さんはケンケンのことを大きく誤解してるような気がする、そうであって欲しい。
 中学生なら大人ぶりたい年頃なのでしょうが、それこそ中二病ですよねぇ。ジンジンなんかまさにその傾向が強くて、周囲がちゃんとツッコミしないと黒歴史をこじらせて将来後悔しそうなキャラです。

 GJ部のイベント消化パターンでは、準備だけ描いて本番オールスルーする事が多いだけに、クリスマス話をちゃんとやったことに微かな喜び。中学生のクリスマス会にしては豪華だなー。幕間に出てきたGJ部高等部の面々に注目しました。烈斗くん入部しとる!キョロは高校では俺マンがデフォルトなのか。
 元祖ジゴロは何と言ってもキョロだよなぁ。ケンケンごときは、まだまだま小者よ…ククク 早く殴られろ

 狐面かぶってドヤ顔している聖羅ちゃんは、絵で見るとシュールですね。"中の人"を封印したことでGJ部にかつてない危機が訪れてしまったのは、可哀想やらなにやら。中等部の危機に颯爽と助けに登場して手を差し伸べる紫音さんは残念素敵可愛い。カップ麺部屋は健康に悪いから止めましょうよ……。
 次回はGJ部高等部の外伝だと!( ・`д・´) ◎の読み方は(えんかんのことわり)だと思うんですよ。

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2012年11月21日

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 2/赤城大空

4094513760下ネタという概念が存在しない退屈な世界 2 (ガガガ文庫)
赤城 大空
小学館 2012-11-20

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ペロリスト・華城綾女の起こした“谷津ヶ森のエロ本騒動”は、少年少女に多大な影響を与えた。その結果。「群れた布地」というパンツ泥棒の組織が横行することに…!?暴走に難色を示す綾女とは逆に、「SOX」の新メンバーである女子中学生・鬼頭鼓修理は、下ネタテロを加速させようとするが。

 私は下ネタになりたい!

 性知識が抑圧された世界で規制と戦う変態テロリストたちのノンストップYトークコメディ。

 存在自体が公序良俗に違反している作品である。くだらない!実にくだらないが最高に素晴らしい!
 SOXが広めた性知識に触発され、学園の内外で組織だった下着ドロが横行するようになってしまい、SOXの理念に反する彼らの暴走を止めるべく、主人公・狸吉と綾女が奮闘する姿に燃えました。
 悪は悪でも、人から求められる必要悪。壮大な革命家と矮小な小悪党の違いを思い知りました。

 新たに生まれたテロ組織「群れた布地」は、狸吉や綾女たちSOXとは違い、確固とした思想も信念もなく、ただ自分の欲望のまま他人に迷惑をかけるだけの下着ドロの集団なのに、SOXの名を勝手に借りて大義名分を偽るのだから苦々しい。さらに性知識の流布によってまともな認識を得た生徒が風紀委員として学園を取り締まるようになり、自分たちの行動が逆に首を締める結果になっていくのがやるせない。

 新メンバー女子中学生の鼓修理を加えたSOXとしても下着ドロを捕まえようと動き出すんだけれども、下着ドロよりも狸吉のトランクスの臭いに釣られてやってくるアンナ先輩の方がナニコレ怖いwww
 健全なはずの体制サイドの生徒会や善導課のキャラクターも、さらりとぶっ壊れているから油断できない。性知識の行き過ぎた規制によって悪に堕ちた者も、正義に盲目な者も同じくらい恐ろしかった。

 自暴自棄に陥った「群れた布地」の起こした事件を解決するため、生徒会と手を組むに至った交渉やら、人目を偲んで突入してくるシーンはちょっと誤魔化した感があったのだけれど、大人たちが手をこまねいてできないことを先んじてやってのける展開はスカッとした。SOXは悪だが日本の未来を守ったのだよ。
 健常と変態の区別が曖昧になって、読み手の常識を掻き回されるが、それがこの作品の個性だなぁ。
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2012年11月20日

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 6/渡航

4094513809やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。6 (ガガガ文庫)
渡 航
小学館 2012-11-20

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文化祭。面倒な仕事をスルーする方法は……呼ばれても返事をしない、なるべく面倒くさそうな気持ちを顔に出す!?ぼっちのスキルをフル活用して文化祭の準備をサボる気満々の八幡。しかし、授業をサボっていたら、不在なのをいいことに文化祭の実行委員にさせられてしまう。

 だから俺は変わらない

 ひょんなことから美少女と部活動をすることになったヒネクレ高校生の一風変わった青春ラブコメ。

 これはシリーズ最高傑作! ここまでリア充を憎らしく、そして非リアを誇らしく思ったことはない!
 一方的に文化祭実行委員を任されてしまった八幡が、同じ境遇の雪ノ下と激務に追われながら、無責任なリア充たちの仕事の尻拭いをさせられ続け、裏方役を耐え忍ぶ姿に心を揺さぶられました。
 リア充たちが青春を謳歌する文化祭。その成功を陰で支える非リアの苦悩や悲哀が切なかった。

 文化祭実行委員を押し付けられ、初めはサボる気だった八幡だけれど、周囲の文化祭実行委員は彼以上に不真面目で、カースト最底辺の彼や副委員長の雪ノ下にばかり仕事が回ってきて、他人に頼るのが苦手な二人が次第に作業に押しつぶされていく光景が不公平で、不条理で読んでいてたまらなかった。
 結束力のない委員会をまとめるため、あえて憎まれ役をかって出る八幡さんが格好良すぎて惚れる!

 なんとか迎えた文化祭当日も、クラス作業にはまったく関わる暇のなかった八幡は蚊帳の外で、お祭りを楽しむこともせず雑務に明け暮れ、それでも味わえる達成感は責任を持って仕事を全うした彼だけの喜びだろう。
 最後の最後まで他人の身勝手に振り回される八幡と雪ノ下たちだけれど、決して陽の当たらない、誰からの賞賛も受けない、自分に与えられた役割を貫く、惨めであっても気高い、その生き様に魅せられる。

 誰かが幸せを享受している時、他の誰かが貧乏くじを引いている。他人が傷つくよりは、痛みに慣れている自分が傷ついた方がいい。そう言い張って、一人で傷を負う八幡、お前って男は、まったく聖人君子か!
 それでも周囲には八幡のやったことのすごさが伝わらないどころか、非難する奴が居るのが悔しい!
 雪ノ下や由比ヶ浜だけは八幡の美徳を理解してくれているのがせめてもの救いか。ぼっちは最高だぜ!

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2012年10月21日

GJ部 中等部 3/新木伸

4094513701GJ部中等部 3 (ガガガ文庫)
新木 伸
小学館 2012-10-18

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いつもの放課後、いつものせまい部屋。ハロウィン仮装の準備にも、部員の長短所の把握にも余念のないアクティブ小森さん。さて、中等部の熟成度はいかが?霞に「妹道」を極めさせるべく、指導を買って出た聖羅。それは、妹的魅力を磨き極める道…。って、なんぞ?

 妹道を、追究せよ

 個性豊かなメンバーのゆるふわなひとときを描いた萌え四コマ的コメディ。中等部編。

 日曜日は毎週別の女の子とデートだとおおおおおおおお!! 京夜キサマアアアアアアアア!!
 秋のGJ部中等部はいつもよりスイーツ! GJ部メンバーたちのキュートな魅力や意外な一面を取り上げつつ、GJ部高等部のメンバーの噂話もチラホラと流れてきて、イベント尽くしの日常風景が楽しかった
 高等部となにかと比較されがちの中等部ですが、中等部には中等部のGJ部魂があるんや!

 二代目カワイイ生き物襲名は聖羅ちゃんじゃないのカナ。なんでジンジンやねん。
 一番女の子らしいが、一番男らしいワイルドさを併せ持つジルちゃんはしかしそこがイイ。
 霞ちゃんは立派に妹キャラやってるけれど、成長していくのがお兄ちゃんとしては悲しいよ。
 そして最もミステリアスな小森さんと森さんの関係……やはり別人か。でもそれだと知識共有の謎は。

 ハロウィンやら、小森さん感謝デーやら、脳波グッズやら、コスプレするシスターズが、ぐうかわ。
 ジンジンとケンケンも女装はよ。GJ部たるもの、女装とキャラチェンジは避けて通れない道だよ。
 ゲームは1日25時間。呼吸だって一日中してるんだ、ゲームだってやってやれないことはない。
 聖羅ちゃんの世界を滅ぼす愛が末恐ろしくも、ゾクゾクする。天使家は魔王を生み出してしまったか。

 ところで肝心のハロウィン当日がキングクリムゾンだよ! よく考えれば、なんだいつものことだった!
 中等部メンバーと高等部メンバーの初顔合わせが気になってたんですけどね。高等部は新入部員も入って賑やからしいが、あれ? 5人って言ったよな。キョロ、恵、タマと京子の他にまだあと1人新メンバーがいるとな。こうして時々、部室以外のところに飛んでいく噂話を探すのも楽しみですね。

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2012年09月24日

とある飛空士への誓約 1/犬村小六

4094513647とある飛空士への誓約 1 (ガガガ文庫)
犬村 小六
小学館 2012-09-19

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「多島海」。三つの大国が覇権を争うこの海を、七人の少年少女の操縦する大型飛空艇が親善飛行していた。いずれも、その突出した才を認められた士官候補生たちだったが、「空の一族」の強襲を受け、名も知れぬ島への不時着を余儀なくされる。脱出のために協力する七人だったが――。

 誓いの約束は永遠に

 七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語

 7人の登場人物が誰も彼もが主人公クラス! けれどその中に裏切り者が2人、これは燃える!
 飛空士を志す国籍もバラバラな士官候補生の男女7人が、力を合わせて一つの飛空艇を操縦し、『空の一族』の襲撃や度重なる困難や危機を乗り越えて、目的地を目指す光景に胸が熱くなりました。
 夢と恋に燃える未来ある若者たちが、戦火に彩られた大空で魅せる煌めき! ま、眩しい!

 父親同士の因縁から、激しく衝突し合う主人公・清顕とヒロイン・イリアの恋愛劇が美味しい。
 最初は相性の最悪だった二人が過酷な旅を通じてお互いに操縦の腕を認め合い、仲間として信頼が生まれ、ちょっとしたフラグイベントも発生して、異性として意識していく過程の一歩一歩が初々しい。
 憎しみと恨みを吹きこまれて男勝りに育ったイリアが、時折、垣間見せる女の子らしさが可愛らしい。

 幼馴染のミオとしては、イリアと急に親密になっていく清顕の姿が面白くなくて、嫉妬してしまう姿がいじらしくて、まだまだ自覚の薄い、お互いに淡い恋心のままの三角関係の恋愛模様が甘酸っぱい。
 たまたま一隻の飛空艇に乗り合わせた7人でしたが、突然の襲撃やトラブルに見舞われながらも、全員で生き残るために助け合い、友軍基地を目指して旅をする間に築かれていく友情が素晴らしかった。

 そんな固い友情で結ばれた7人の中に、正体を秘めた敵国の工作員と、身分を隠した王族が一人ずつ潜んでいるというのが、物語にいっそうの緊張感を持たせてますね。正体を推理するのも面白い。
 そして清顕とイリア、二人は本当に愛し合うようになるのか、そして本当に敵味方に別れて戦い合うようになるのか。大空の下で誓い合ったいくつかの誓約は果たされるのか。続きへの期待感が募る。

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2012年09月22日

あそびの時間/本岡冬成

4094513671あそびの時間 (ガガガ文庫)
本岡 冬成
小学館 2012-09-19

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小鳥遊優征(たかなし・ゆうせい)の夏休みは、ゲーセンバイトで始まった。進学するでもなく就職するでもなく、なにも決められずに夏を迎えてしまった彼は、特にゲームに興味があったわけではない。店長である春夏冬(あきない)さんの美しさと、そのコスプレ姿と、サービスのワンプレイ。それが決め手だった。

 そこは旅人の帰る場所

 ゲーセン嫌いの主人公とゲーム大好きヒロインのゲーセンコミュラブストーリー

 誰も知らない隠し必殺技使うとか、そんなんチートや! チーターや! でも、可愛いから許す。
 何事も真剣にやってこなかった主人公・小鳥遊優征が、些細なきっかけでゲームセンターの店員として働くようになり、そこを訪れる個性あふれるゲーマーたちに振り回されていく姿が可笑しかったです。
 ゲームセンターと、そこに集まる常連客たちの和気藹々とした楽しそうな雰囲気に和みました。

 コスプレ美人店長に釣られ、軽い気持ちでバイトになったものの、ゲームセンターに苦手意識を持っていてなかなか馴染めない小鳥遊を、それでも温かく受け入れる店員と常連客たちが素敵でした。
 コスプレ好きの店長やら、オタクのイケメンやら、金髪のエセ外人やら、変わり者だらけなんですが、そういった変人たちを包み込むゲームセンター・ミドリの雰囲気がアットホームで優しい空間でした。

 小鳥遊に一方的に因縁を持つヒロイン・ノラクロとの格ゲー対決は、素人と玄人の勝負とはいえ、素人だからこそ動きや考えが読めずに駆け引きが通じないというのは、ゲームの真理を突いていて頷けるところがあったなぁ。
 負けこそすれ、相手から逃げずに正面から立ち向かい、真剣に何かに集中するという体験を通して、それまでの不真面目な自分を改め、過去に受けたトラウマから脱却していく姿が微笑ましかった。

 ノラクロも彼女は彼女で悩みを抱えて、闇ゲームで味わえるスリルで解決しようとしたんだけれど、彼女の求めるものではないのは読んでて薄々気づいてた。ギャンブラーとゲーマーは似て非なるものだからな。
 ゲームは真剣にならないと楽しくない、でも、真剣になりすぎても際限がなくなってしまう、ほどほどに楽しむ距離感が大切なんじゃないのか。ゲームセンターで繋がる人々の輪、私も入ってみたくなりました。
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