ダフロン

2020年06月01日

ラノベ好きVtuber本山らの公式アンソロジー本『本山らのが〇〇になったら』感想

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ラノベ好きVtuber・本山らのちゃんが編集企画した公式アンソロジー第二弾『本山らのが〇〇になったら?』。
本山らのちゃんが、もしも〇〇になったらというテーマで、アイドルになったり、女教師になったりと様々な「IF」のシチュエーションで10名の現役ラノベ作家陣が妄想を炸裂させています。
そんな本作は、リンク先から電子書籍、通販サイト「BOOTH」で販売中! みんな買ってね!

それでは感想いっきまーす。

■『夏の夜に、忘れものを取り戻しに』(神田夏生)
 記憶喪失になってしまったらのちゃんが、何度も記憶を失っても、その度にライトノベルを好きになるお話。きっと生まれ変わってもラノベを好きになるんだろうなと、らのちゃんのラノベ愛の深さが伝わってきました。そしてラノベ作家の糸述ルカも、挫折して執筆を辞めようとしているのに辞めきれずに葛藤する姿に夢への情熱があふれていました。「思い出す」は、思いを出すこと。ラノベ作家の情熱と読者の愛、記憶喪失をキーワードにそれぞれの思いを出したお話でした。

■忘れられた書庫にて、書魔と踊る(古宮九時)
 荒廃した世界の地下都市にある大図書館、誰にも読まれなかった本が魔物に変わる書魔、それを元の本に戻す魔術師「書魔士」らのちゃん。この設定で別の作品でそのまま一本書いて欲しいですね。世界観が壮大なSFやファンタジーが好きです。ただそれだけに物語が短すぎるのが惜しい。このあと、お宝を持ち帰った主人公が同業者の間で噂になって、地下都市の妖精・らのちゃんに会いにおっさんたちが行列をなして図書館を目指すんだきっと。

■灰の世界の本山らの(八目迷)
 この話も続きが読みたい! 公序良俗を掲げてラノベを弾圧する良化隊と、表現の自由を求めるらの担たちが銃撃戦を繰り広げるんですよ。物語は世界も壊すし、世界を作りもする。ウェルテル効果ともいわれるが、芸術や音楽やスポーツだって人の心を動かす。それなのに表現の自由ばかり叩かれるのはどうしてなのかと世の中に問いたい。どんなものであっても、それがその人にとっての幸せなのだとしたら、規制を作ることは他人に不幸せを強制していることになる。それこそ物語を読むと幸福のかたちはひとつじゃないということがよくわかる。ひとつの幸福しか認めない社会は、味気ない灰色の不幸で満ちた世界だろう。

■『ラノライブ!』(海津ゆたか)
 らのちゃんは元からラノベ界のアイドルでは???🤔 お歌枠待ってます。アイドルラノベって一時期そこそこ人気あったんですよね。最近のラノベはヒロインが美少女ってだけでなく付加価値を増すために、アイドルだったり、王女だったりと、高嶺の花化していると思います。音楽やダンスはテキストでは魅力が伝えられないといいますが、それなら味覚に訴える異世界グルメものとかはどうして流行ったのか説明ができないんですよね。私もカクヨムのレビューでいくつか音楽ものやアイドルもの紹介したことがあるのですが、反応が薄いのが不思議です。漫画の『AKB49』みたいに本物のアイドルが推せば流行ると思うんですよ。らのちゃんがアイドルになって流行らせてくれー。

■『青春の残滓を与えられた丸眼鏡の初恋』(あまさきみりと)
 失恋文庫の民が大歓喜するような甘く切ない青春の苦味を煮詰めたような素敵なお話でしたが、これは本当にらのちゃんなのかという根本的な疑問が……。らのちゃんからラノベと眼鏡と狐耳を取るなんてとんでもない。キャラが弱くなって弱キャラ本山さんになってしまう。眼鏡の文学少女もモテると思うんですよねぇ、私の中学校高校にはいなかったが。私はずっと図書室にいたのに見たことがない。もはや絶滅危惧種なので保護しなければ。眼鏡の文学少女は、どこに落ちているんです?

■『ムーンライトノベル』(羽場楽人)
 「プロの作品だけじゃなくて、小説投稿サイトの作品も読めてすごいなぁ」で、ほんそれなって完全同意。私もカクヨムでスコップしていると、どうしても出版されているほうのタイトルは後回しなって追えなくなってくるんだけど、両方どちらも欠かさずチェックできてるのすごい。マジ宇宙人か地球外生命体が作り出したラノベ感想botといわれても信じてしまう。空想の翼は人類を宇宙に打ち上げ月に導いた。それなら次に目指すは異世界だな! 読者の声が一番創作者のモチベーションを上げるので、小説投稿サイトで作品を読んだ人はどんどん感想や高評価をつけください。そして作家をエタらせるな! 創作沼から逃がすな!

■『あの夏、狐娘の幻覚を見た』(涼暮皐)
 一体いつから、らのちゃんが現実だと錯覚していた。らのちゃんがいる日常いいですね。とくに意味のある話の脈絡なんかなくていいからダラダラお喋りしたい。たまにウザ絡みしてもいいんだ。可愛いから。そもそも喋りが上手いから、雑談配信なんかでも人気出るんじゃないかしらと思ったりする。最近、お酒にハマっているようだし、ここらでいっちょ飲酒配信とかやってみてはどうですか?

■『らの、わたしの「好き」を見ていて』(藤井論理)
 ゲームものかと思ったら、青春ラブストーリーだったでござる。いやー、こういう一風変わった設定の恋愛ものは好きですね。おかしな奇病のせいで好きだと素直に言えない幼馴染の女の子と男の子のもどかしい関係と、気持ちのすれ違いが読んでいてエモエモで、キュンキュンします。好きなものを好きと言えないのは残酷ですね。ただ今の若い子とかは、趣味でも何でも好き嫌いをはっきり口にすることを恥ずかしいとか、周囲から非難されると思って控えるらしいから現代ではよくあることなのかも。

■『居酒屋らの』(モノカキ・アエル)
 ラノベ作家、すぐ挫折しがち。小説家って芸術肌で繊細な人が多いし、小説を一冊書くのにもすごい情熱をかけているから、それが読者に届かないと途端に燃え尽きちゃうんだろうな。そんなときはストロングゼロを飲め。そしてアエルちゃんはやはりお酒の話なのね……。私もベテランの作品を読んでいても「ピンとこない」って感じること時々あります。悪くはないけれど、なにか物足りない。分析や経験で自分の型を作るのはいいけれど、それに拘りすぎてもいけないんですよね。日本酒とバニラアイスもおすすめ。

■『やがて本山らのになる』(岬鷺宮)
 女教師と女生徒の親密な関係、古典的な「エス」ですね。清楚で美人な女教師に憧れてしまうのわかりみ。低俗だと読まず嫌いだったラノベだけれど、読んでみたらいろんな種類があるし、それらを読んでから、低俗な作品を読むと面白さがあって受け入れてしまう。それもまたラノベの魅力だ。そして本山らのに影響を受けて誕生する二代目本山らの。受け継がれるらのちゃんの意思! 六世まで続けましょう。月面でアイドルライブ配信だ!

本山らのちゃんをテーマに様々な設定や展開を組み立てる本作。まだ読んだことのなかった作家さんたちの作品にも触れる機会にもなり、ここから各人のシリーズを読み始めてもいいのではないでしょうか。
長くなってしまい申し訳ございません。この辺りで締めさせていただきます。
ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。
それでは最後に、

全人類これ読んで!
posted by 愛咲優詩 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月16日

ドМでちっこい先輩とお付き合いすることになりました/高橋徹


大学に入学した幸太郎は新歓ラッシュの洗礼をかろうじて抜け出した先で、背がちっこくて驚異の胸囲、幼い印象だけど凛とした表情、矛盾する要素を奇跡のバランスで体現した美しい先輩・美咲と出会う。美咲の強引なサークル勧誘を受け、もっとお近づきになりたいと思った幸太郎は入会を決意する。その後、新歓飲み会で酔った美咲を介抱しているうちに距離が縮まり…

男子大学生とロリ巨乳先輩のイチャイチャラブコメ

 大学に入学した幸太郎はサークル勧誘で出会った先輩・美咲に一目惚れしてしまう。酔った勢いでなし崩しに交際が始まった二人が繰り広げるイチャイチャなキャンパスライフのとんでもない甘さの惚気っぷりに、口から砂糖を吐きました。

 ヒロインの美咲先輩は、小学生と見紛う低身長に不釣り合いな巨乳のいわゆるロリ巨乳。表情豊かでノリの良い性格で誰からも愛されるマスコット的存在で、なにより性別の壁を感じさせないフレンドリーさがモテない男子マインドにクリティカルヒット!

 美咲先輩の側は、低身長をイジられて子供扱いされることにコンプレックスを持っていたのだけれど、幸太郎だけは年上の女性として見てくれることが嬉しくて、それがいつしか恋に変わっていってという、乙女心がいじらしい。

 お互いに初めての恋人だけに、付き合い始めはキスにも戸惑って恥じらう様子が初々しかったのに、次第にお互いの部屋にお泊りするようになって、いつの間にかどこでも二人だけの世界を展開するようになっていく姿にニヤニヤしてしまいます。

 普段の大学生活やサークル内では、年上の美咲先輩がリードして草食系の幸太郎が振り回されているのに、二人きりになると立場が逆転し、途端に美咲先輩がしおらしく受け身になり幸太郎が攻める、というギャップが萌えますね。

 最初はちょっとした言葉責めや、くすぐり合いだったのが、大人の道具を使うようになり、露出や目隠しにもハマってしまって、ここだけ切り取ると一気にインモラルな感が出てくるのだけれど、嗜虐心や苦痛感はまったくなくて、ただただ甘い……!

 なにより美咲先輩の感度が良すぎるのか、毎回毎回いいリアクションをしてくれるんだなこれが。未知の快楽を次々に知ってしまい、進んで開発されたがる美咲先輩、チョロすぎでは?

 好きな女の子に意地悪したくなってしまう男心を刺激するとでもいいましょうか。何をしても受け入れて最高に悦んでくれるから、幸太郎も調子に乗っていろいろと試してみたくなってしまうんですよね。

 痴話喧嘩のひとつもせずに、お互いの好感度だけが上がり続けて、ついには同棲するに至り……。

 こ、これが青春……。

 こ、これがリア充か……チクショウ!!

 綺麗で可愛くてエッチな先輩と爛れた生活を過ごす。男子大学生の理想の大学生活ってこうだよなぁ!

 ひたすら砂糖の塊を食べさせられているようで、人によっては辛いかもしれませんね。

 いや、私は何も考えずに読めるラブコメが大好きなんで、まったくウェルカムなんですけど。

 あー、私もこんなドMでちっこい先輩とお付き合いしたかった!
posted by 愛咲優詩 at 14:43| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月17日

トモハメ 修羅と呼ばれた喧嘩無敗のお嬢様を友情で躾ける方法/懺悔



義勇の為に拳を振るっていた俺は、ある日絶体絶命のピンチに陥ってしまう。そこに現れたのは俺と同じく正義感を持つ白雪百合(しらゆき ゆり)だった。可憐な見た目からは想像も出来ない強さで不良を蹴散らし、俺と共に窮地を脱する。それから俺達はコンビを組み、街からゴロツキを駆逐していった。それは荒っぽくも痛快な日々だった。しかし青春はいつか終わってしまう。いつまでも子供のままではいられない。そんな戦友の背中を押す為に俺が取った手段とは――。


 ヤンキー漫画だこれ!

 作者がツイッターで「トモハメ1、2は友情や相互理解、3は殴り合いです」と語っていましたが、その通りヤング系漫画誌に載るようなヤンキーたちの意地と根性のバトル漫画の世界観でした。

 幼い頃から恵まれた体格で拳を振るって地元の不良たちを黙らせてきた青年・犬飼京助。
 見た目は清楚可憐なお嬢様でありながら内に凶暴な闘争本能を抱えた女子高生・白雪百合。

 義侠心から近隣の不良グループを敵に回して喧嘩三昧の日々を過ごし、お互いに背中を預け合って幾度も修羅場をくぐり抜けてきた二人の火花散る決闘プレイが熱い!

 ある日、喧嘩の後の身体の火照りが抑えられず、男女の関係を持ってしまう二人。
 言葉よりも拳で語る二人の性行為は本能を剥き出しにした全力のぶつかり合いでした。
 対等だからこそ相棒であり、お互いに相手に意地を張ってどちらも譲らないせめぎ合いが激アツ!
 相手が強ければ強いほど燃え、どこまでもお互いを追い込んで高めあっていく。
 どちらが先に相手を屈服させるか、雄と雌のプライドを賭けたタイマン勝負!

 手加減無用のノーガードの殴り合い!

 ここに至って性交は格闘技に達した!

 いやぁ、確かにセックスはセックスなんですが、卑猥さ、淫らさを感じさせない熱血キャラクターと描写についつい手に汗握ってしまいました。

 普段はサバサバと男勝りで勇ましい百合が、情事の最中は女の子らしく可愛らしい態度を垣間見せるギャップに脳天を撃ち抜かれますね。
 京助も口では粋がりつつも、いままで経験した女性とは違い、自分の全力を受け止める百合に、改めて無二の相棒として認めて、愛や友情や性別を越えた信頼を寄せる姿に魅せられます。

 京助と百合は、これまでのトモハメシリーズで一番アウトローなカップルなのですが、おかしなことに一番常識があるように思いました。

 二人とも喧嘩で荒んだ青春に後悔はなく、自分の信念を貫いたことに満足している一方で、路上で喧嘩に明け暮れることに虚しさを感じ始め。この日々から卒業しないといけないと薄々気づいている。
 お嬢様である百合には親が決めた許嫁がいて、親に迷惑をかけている自覚もあり納得はしている。しかし逃げてばかりで向き合おうとしない彼女の将来を心配した京助は、彼女の更生の手助けをしつつ、自分の将来についても考えていく……。

 たんなる考えなしのヤンキーではない、乱暴者でも悩みや葛藤に揺れる人間味の溢れるキャラクターに唸らされました。エロ要素に目がいきがちですが、毎回違うタイプのカップルを描き、物語テーマの目つけどころもユニークで、やはり非凡な作家だと思います。

 電子版では人気ランキングに入ったりしてなかなか好調のようですが、あとがきによれば厳しいと聞きます。気になった方は、是非この巻から読んでみてください。


posted by 愛咲優詩 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月03日

ラノベ好きVtuber本山らのちゃん公式アンソロジー本『本山らのと先生と』感想

【BOOTH】本山らの文庫公式アンソロジー「本山らのと、先生と」
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 ラノベ好きVtuber・本山らのちゃんが編集企画した公式アンソロジー本『本山らのと先生と』
 活動開始1周年記念&令和最初のラノベレーベルとして先月の第二十八回文学フリマ東京で頒布され、ガチ恋勢の現役ラノベ作家による「俺の考えた最強の本山らの」妄想が綴られています。
 創作総合通販サイト「BOOTH」で販売のほか、アニメイト一部店舗でも発売予定。みんな買ってね!
 
 というわけで遅まきながらを『本山らのと先生と』を読んでの感想を挙げさせていただきます。
 SNSだとネタバレ問題とかあるから、久々に感想ブログ更新しました。はい、皆さま、お久しぶりです。私です。別に閉鎖してるわけじゃないんだよ? あれ? 前はどんな口調で書いてたっけ忘れちゃった。ええい! もうフリーライティングでいいや、いくぞいくぞ!

■『Lのための物語〜ハジマリノベル〜』(相生生音)
 らの×書太郎ですよ、らのしょた! 一作目ですが、この作品が一番共感できたかもしれません。レビュアーの精神について。AmazonなどのAI分析による自動選書は便利な面もありますが、デジタルで無機質な紹介は引力が弱い。やはり紹介する者の熱い想いがないと心に響かない。例えば、食品成分表を見れば人間に必要な栄養が入ってることはわかるが、それだけで何かを食べようとは思わない。食べた人が美味しいそうな顔をしてるから、それを見た人が食べてみたいと思うのですよ。

■『仮想世界で狂気』(うさぎやすぽん)
 画面の前の俺らなニート兄を冷ややかに見つめる現実的な妹の視点が辛いので止めたげてよぉ! その幻想をぶち壊さなさいでよ! 現実逃避なのはわかってるんですよ。でも、妹ちゃんの生き方は余裕がないし、逃げ場がなくて生き辛いと思う。ネットの世界にもやりきれない理不尽や事件や騒動はあるけれど、みんなやりたいことをやって現実よりも自分らしく生きている。現実だとできないこともできる可能性がある。そういう可能性を人間は物語に描いて、現実の可能性と、いつか繋がるために発展してきたんじゃないだろうか。

■『本山羅野神社昔話』(折口良乃)
 らのちゃんロリババア(女子大生ババア?)だった。大先輩と呼ばねばなるまい。漫画の祖ともいわれる江戸時代の黄表紙は、挿絵付きがデフォルトだったんですよね。ちなみにキャラは当時人気の歌舞伎役者をモデルにすることが多くて読者の大半は女性だったとも。布教も大事だけど、女性ラノベ読み人口も増やしておいてくださいよー。江戸時代に大量にいた女性ラノベ読みはどこいったんだ?

■『好きなことして消えていく』(空伏空人)
 毎朝のおはらのはbotがつぶやいてるんだぞ。俺は詳しいんだ。バーチャル世界のネクロフォビアを表現してますね。恐怖症には、暴露療法が効く。古来、死の恐怖を乗り越えるために人類はどうしてきたかっていうと、宗教で死んだ後の世界を想像することで受け入れてきた。現実の自分が死んでもバーチャルの世界で作家としてVtuberとして輪廻転生する、まさにバーチャル宗教ですね。らの神社にお参りしないと。

■『本山らの異伝 ライブラリシーカー』(瘤久保慎司)
 ドリルアームらの。スコッパーじゃなくて、ドリラーだった。明らかに我々の知っているらのちゃんではないが、お前のらのちゃんがナンバーワンだ。そして『スレイヤーズ』は16巻よりさらに続くらしいぞ。SF作家も予想できなかった未来に生きてるなう。本気玉!ブック・エンド!( `・ω・´)o📖」」」」」(゜Д ゜ ;;;).:∴ドゴォォ

■『本山らのの分裂』(紺野天龍)
 自分が何人もいればいいのにとは思ったことありますが、読んだ本の記憶は共有されるんでしょうか。皆さんは、ラノベを読んで感情摩耗します? 私はどちらかというと熱せられて金床の上で叩かれている感覚ですね。自分という存在が折り畳まれて叩かれて伸ばされて成形されて読後に生まれ変わった気になります。残った熱量を発散したくてラノベレビューやってるところありますね。

■『本山らのと学校図書館(と司書のぼく)』(佐伯庸介)
 ここまでで一番自然な作品じゃない? みんな奇を衒いすぎなんじゃよ。こういう外連味のない日常系でいいんじゃよ。普通の日常を面白く描くのがなによりも難しいんじゃ。図書館は学校教育で学べないものを学びに来るところなので、不必要な本こそ充実させるべきだと思います。ただ図書室で購入するのは1巻目だけにして、続きは本人に買わせようね。

■『僕は本山らのに恋をする』(斜線堂有紀)
 #買ったよらのちゃんはbotがいいねを返してるんだぞ。俺は詳しいんだ。話は聞かせてもらった。人類は滅亡する。らのちゃんポストアポカリプス好きだから、こういう話本当に好きそう。自分ももし続きが読めるなら、この作品の続きが読みたい。この主人公がここから自分の運命を打ち破る物語が読みたいですね。それがラノベでしょう。

■『仮想の狐』(周藤連)
 最近の女子高生、おっさん臭いな。狐の糞尿は作物を噛るネズミを遠ざける効果があるから豊作の守り神とされてきたといわれる。らのちゃんの糞尿はラノベアンチを遠ざけるご利益があるぞ知らんけど。出版業界に就業時間がないのはマジです。私も日曜日や深夜の午前3時に担当編集からメールを受け取ったことがある。らのちゃんも編集者を目指すなら夜の狐(意味深)になるぞ。

■『【らのちゃんを実況する企画】今日も編集がんばらの』(時田唯)
 あ、らの動画実況プロのT先生とS先生だ。最近、らの動画RTA開始されませんね。生放送のほうがゲスト呼んだり、コメント読んだりして双方向のコミュニケーションができて撮れ高あるのはわかるんですけど、マイペースにまったり紹介動画を見るのも好きなんですよね。らのちゃんの生配信の裏で知り合いと雑談しながら聞いてたことあるんですけど、だいたいこんな感じです。仕事を抱えてる大人は、だいたいこんな感じに寄り道しながら作業してるから、らのちゃんも誘惑に負けても気にすることなかれ。そっちのほうが意外といいものが作れたりする。俺は詳しいんだ。


 さて、全話読んでみました。作者さんの目線から見た少しずつ違ったらのちゃんが描かれつつも、どんならのちゃんも可愛いがすぎるな。
 本誌は重版も決定したそうで、これは2巻目も期待できるのじゃないか。カクヨムに挙がってる作品を取りまとめて書籍化すれば、すでに2巻目いける気がする。
 本山らの文庫新人賞は編集長が全部読むと聞いているので、みなさんどしどしカクヨムに投稿してください。私も喜びます。

 それでは長くなりましたがこの辺りで締めさせていただきます。ここまでは『本山らのと先生と』愛咲がお送りしました。

 全人類これ読んで!
posted by 愛咲優詩 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月19日

トモハメ 2 友情音痴でぼっちな僕が、クラスで一番人気な彼女に懐かれたワケ/懺悔


幼少時のほろ苦い記憶から他人に興味が持てずにいた土屋だが、ただ一人だけ心を動かされる人がいる。それは行きつけの書店で働く『三つ葉ちゃん』。本名も知らない彼女に何も出来ない状況を鈴音に相談すると、ハイスペックな彼氏持ちの恋愛強者な彼女から告白の練習を勧められる。しかし練習するも中々自信が付かない土屋。そこで鈴音は『恋人になった後』のイメージを持たせて奮起させようと、より親密な特訓を提案する


 友情も恋愛も越えた男女の愛

 地味で冴えない男子高校生の土屋巧と、明るくてコミュ力があって学園のアイドルな女子高生・鈴音真理のちょっと変わった友情と恋愛の狭間の物語です。
 接点のなさそうな二人だが、お互いに大の親友だと思っている二人の交流が微笑ましかった。

 最近、ラノベ界隈では、ギャル系美少女ヒロインの波が来ています。
 消極的、内向的なコミュ障のオタク男子にとっては、相手から積極的に話しかけてくれる女子というのが魅力的に見えるのでしょう。
 自分としては陽キャのノリで話しかけられるのは、相手してて疲れそうだなと思うのですが、この作品のヒロイン・鈴音は会話のテンポが良く、どこまでも自然体です。

 他人と距離を置くタイプの土屋だが、天性の魅力で全校男子に惚れられて男友達ができない鈴音にとっては特別な存在で、土屋にとっても面倒な性分の自分と真正面から向き合ってくれる大切な存在。
 ことさら男女の性差を持ち出すでもなく、どちらかが一方に甘えすがったり、一方的に振り回すような上下関係がない。そんな関係がなんとも心地良い。

 鈴音には両思いの年上の恋人がいて、土屋にも片思いの女の子がいて、恋愛感情とは別腹の友情でお互いの恋を応援している。信頼し合っているからこそ、何でも隠し事が言えて、何でも受け入れて通じ合っている関係が心温まります。

 そして自分たちの友情がどこまで維持できるのか、お互いを試す行為が次第にエスカレートしていって、やがて一線を踏み越えていくところに、ただの友情では計れない深い愛情を感じます。
 けれど、不思議と彼らの行為には性的な卑猥さ、いらやしさは感じず、満足感と肯定感に溢れていて胸がいっぱいになります。

 友達としての心の交流が身体の交流に変わっただけで、彼らの中では友達へのスキンシップと性行為がシームレスに繋がっている。本能からでも理性からでもない情動から生まれていて、彼らにとってはあるべき姿、自然な行為なのだと納得してしまう。

 色々な好きがあって良いと思うよ。

 というのが、この本の帯にも書かれているテーマですが、まさに今の自分の思いが集約されていると思います。

 確かに、この二人の距離感で友達というのはおかしい、という感情はありますが、人間関係には友情とも、恋愛とも異なる愛情がある。男と女だからと無理して友情と恋愛の2択の枠にハメなくても、こういう男女の関係だってアリなんじゃないかと示してくれています。

 正直、前作は性欲が先に来ていたけれど、今作は青春物語として洗練されてて、お世辞でなく感動しました。

 シミルボンにも掲載しております。トモハメ 〔2〕(友情音痴でぼっちな僕が、クラスで一番人気な彼女に懐かれたワケ)
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2015年05月06日

屍鬼祓師 塩飽島の巫女/粟生慧

4881442058屍鬼祓師−塩飽島の巫女− (クリスタルブックス)
粟生 慧 おおぐろてん
創芸社 2015-03-30

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黄泉の鬼・屍鬼を祓う、美少女の屍鬼祓師・一宮晶良。そのマネージャー兼相棒をしている俺・諏訪陽仁の二人は、行方不明者を捜す依頼を受けて岡山県の孤島・塩飽島に巣くう、妖しげな新興宗教・眼暗教の調査に向かった。そこで俺たちの行く手を阻んだのは、全身が鳥肌になるような不気味な異形の姿だった!

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 孤島に蠢く闇を討つ

 美少女屍鬼祓師が現代社会の闇に潜む黄泉の鬼を祓うオカルティック・サスペンスアクション

 今回は作者様から献本いただきました。粟生慧先生、ありがとうございます。
 日本の各界に絶大な影響力を持つ霊能者の一族一宮家の末娘・晶良と相棒の少年・陽仁が、岡山の孤島・塩飽島で起きた集団失踪事件の調査を依頼され、島の伝承と新興宗教の謎に迫っていく展開に引き込まれました。
 王道的な現代伝奇ファンタジーで、最近だとラノベというよりはキャラ文芸に分類されるんでしょうか。

 ヒロインの晶良は一族で最強の霊能者でありながら、世間知らずなズレた感性の持ち主で、年齢不詳な見た目とボクっ娘な不思議ちゃんぶりも相まって妙にあどけないのが魅力ですね。そんなマイペースな晶良に振り回される陽仁くんは怪異退治にも同行するものの、異能などない一般人の身で、仕事といえばもっぱら彼女の食事の支度をしたり、お節介を焼いたりで、相棒やマネージャーというよりは、うん、どうみても家政婦だこれ!

 孤島・塩飽島に本殿を構える眼暗教という怪しげな新興宗教の信者たちが連続して失踪しているという怪奇事件の調査を依頼され、教祖である巫女が悪しきものにとり憑かれているのではないかと晶良と陽仁だけで島に乗り込んで潜入調査を始めるのですが、島の伝承を手がかりに史跡を探索する2人の前に次々と妖魔が現れて、グレーだった疑惑が黒を通り越して深い冥府の暗黒色に変わっていくおぞましさに背筋がゾッとしました。

 美しい風光明媚な島を舞台に名探偵が隠された事件の真相を暴くといったストーリー構成で、推理小説か2時間サスペンスドラマを見ている気分になりました。同タイトルの作品がすでに出版されいるそうですが、あとがきによると時系列としてはこちらが先とのことで、この巻から読んで構わないそうです。晶良や陽仁を取り巻く環境や家庭事情も興味深いので、次回はもう少し掘り下げて欲しいと思いました。一宮五人姉妹が気になります。
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2014年09月29日

ログ・ホライズン 8 雲雀たちの羽ばたき/橙乃ままれ

4047299278ログ・ホライズン 8 雲雀(ひばり)たちの羽ばたき
橙乃ままれ ハラカズヒロ
KADOKAWA/エンターブレイン 2014-09-29

by G-Tools

マジックバッグを入手するクエストのため、トウヤら年少組はアキバを離れてはじめての五人旅に出発! 訪れた村や町で<吟遊詩人>の五十鈴を中心に音楽を演奏するライブツアーのような旅路。初めての旅と出会いが、五人にこれまでと違った世界の景色を見せる。胸が高鳴るまま、西を目指して進む年少組の成長と変貌!

 小さな雲雀の四十三番目の歌

 オンラインゲームの世界に閉じ込められたプレイヤーたちが世界を変える冒険に挑むファンタジー。

 旅と冒険は子供を少しだけ大人にする。世界の広さ、人々の主義主張の多さを知って、新しい自分を作る。
 マジックバッグ入手クエストの旅に出発したミノリ、トウヤ、セララ、五十鈴、ルンデルハウスの五人組が、旅で出会う様々な人々との交流を経て、ときに喜び、ときに傷つきながら成長していく姿が愛おしかった。
 自分自身も不確か故に戸惑いと不安を抱える思春期の少年少女たちの思いに胸を締め付けられました。

 いつの間にかレベルが50台後半まで上がり、すっかり一人前の冒険者になっている年少組の姿に頼もしさを感じつつ、大人のいない初めての旅行に浮かれ騒ぐ様子に、中身はまだ子供だなぁと微笑ましさを感じます。
 キャンプ経験も少ない子だらけだから、旅の道中もいろいろ失敗続きなんだけど、それすらも楽しい旅の思い出に変えてしまう若さが眩しい。立ち寄った村でコンサートをして、周囲に笑顔を振りまいてる光景が素敵。

 五十鈴が音楽をやるのは、自分達が楽しいからという理由だけだったのだけれど、大地人にとってはそれすらも大いなる恩恵であって、彼らからの過大な賞賛を受けることに罪悪感を感じてしまう姿がもどかしい。
 その冒険者の中でも考え方は様々で、この世界での現実から背を向け、人道や倫理を説くトウヤやにゃん太の言葉から耳を塞ぎ、死という幻想にすがるオデッセイア騎士団やロンダークたちの現実逃避がやるせなかった。

 まあ他人に迷惑をかけておいて、自分は悪くない悪いのは世界の方だなんて、まるで中学生の言い訳ですけど。自分は被害者だから何をしても許されるなんて論理展開の自己正当化は義務教育までにしておこうよ……。
 冒険者の恩恵を暮らしに活用する者もいれば、戦争の道具として用いようとする者もいるし、思考の極端さに引きますね。年少組を見守るアキバの大人たちがわりと正常な人たちで本当によかったと思いました。
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2014年04月01日

本日発売レーベルAF文庫を全巻レビュー!

本日発売のAF文庫の新刊をゲットしたので、全巻レビューするよ!

◆幕天席地のこのまたさん
松島遊撃(まつしまゆうげき) nauribon
 500年分の封印されていた悪霊を開放してしまい、主人公・弧月御利も、狐憑きとなって悪さをする悪霊退治に奔走するドタバタが可笑しい。「悪霊の棲む田舎」としてTVや雑誌に取り上げられ、オカルトスポットとして国内外から観光客が集まり、御利も地元アイドルとして祭り上げられ、悪霊退治が人気イベントになって、過疎の農村が活気を取り戻していく、災い転じて福となす展開に思わず笑みが浮かびました。

◆マシナリズム・ハンティネーション -スプレッディド・ディザスター-
香州幾摩 Spe(すぺ)
 マザーコンピュータ『デルタ』の構成する一部の回路が変性・脱落し、機械性ハンチントン舞踏病(マシナリズム・ハンティネーション)を発症してしまい、ドローンを巻き込んで次第に暴走し始める『デルタ』に外科治療を施すため、ゲーマーの主人公と天才科学者のヒロインがロボットに乗り、強固なセキュリティに守られた『デルタ』の最深部へと挑むメカアクションに手に汗握りました。

◆ケモサーガ  kemosaga
十模妹子 ともいもこ
 ケモノっ子だらけの異世界へと迷い込んだ家物図家柔子と、ケモノっ子たちとの交流が和みました。自他共に認めるケモノ好きで、バイトで磨いてきたトリミングやペット料理等の動物お世話スキルを発揮して、たちまちもふもふたちの『ご主人様』になっていく姿がうらやましい。蟲国にも彼女と同様、昆虫好きの少年が来ていて、ケモノっ子たちの暇つぶしに遊ばれる虫の権利を守るために戦っていて、どっちもどっちで、人の好みの違いって面倒だなと思いました。

◆女王陛下は下町にご執心
ふりすく
 異世界からやってきた女王陛下ソフィアが、自国とまったく異なる下町の文化に驚いたり、感動する姿が愛らしい。こちらの世界と異世界を行き来しつつ、銭湯や下町文化を持ち帰り、異世界に文化革命を起こしていくのが見ていて楽しい。ついには雷二までも異世界に連れ行ってしまうのですが、戦争で疲れた兵士たちが銭湯に入って生きる喜びを感じ、串団子やたい焼きといった下町フードを食べて活力を取り戻していく様に、それまで下町を嫌っていた雷二が下町の良さを再認識していく姿が心に染みました。

◆アイスケイス バッドケイス
井上サニー 3211
 コンビニのアイスケースに中に入るという、ちょっと問題ありすぎな異世界間移動に苦笑。アイス一生分という報酬に釣られ、地球の温暖化とも密接に関係している妖精の国の温暖化を防ぐべく、アイスの妖精ヒョウケツの出す無理難題に応えていくレイコですが、真夏の日本と極寒の妖精の国の気候の差で夏風邪をひいて、ストーリーが進むごとに悪化してヘロヘロになって、報酬のアイスを食べれないオチに、そりゃあそうだよ!とツッコまずにはいられなかった。

◆妹と言えば? -三女だよね! お兄ちゃん-
雨野春風 川味ヒロ味
 平行世界からやってきた3人の妹が、誰が一番妹に相応しいかを決める『兄争奪戦争』を繰り広げ、兄である主人公にイタズラを仕掛けたり、ワガママを言って妹らしさを競う光景が微笑ましい。それぞれの平行世界で兄である主人公を亡くし、兄の温もりを求めるあまりに世界をも越えた3人の妹の気持ちが切なくて、兄妹喧嘩と騒動を通じて家族になっていく姿にちょっと泣きそうになりました。妹って、いいもんですね。

◆こいつの御茶は物凄く不味い
音妥史羅 エナ ぴよのすけ
 江戸の町角で茶店を営む主人公の元に未来から送り込まれた茶々子。彼女の煎れる茶はとんでもなく不味くて、江戸の人々を絶句させるのですが、お客のために精一杯に尽くす茶々子の「おもてなしの心」に感銘を受け、評判の看板娘となっていく光景が心温まった。消費者を支配するビッグストップとは真逆の、消費者をもてなすセボンイレブゥンの経営理念に繋がっていく茶々子の思いやりに胸がいっぱいになりました。

◆くりえいてぃ部
アシダタカシ くろんこ
 思いついた発想を形にせずに居られない発明少女・関本操の飽くなきチャレンジ精神がぶっ飛んでて、痛快でした。おかしな発明品ばかりを作って他の生徒からは『ガラクタ部』とも揶揄されても、自分が満足できるものが作れればそれでいいという操の「ものづくり魂」が、画家を目指して周囲の評価を気にする長谷川裕には眩しくて、いつのまにか好きになっていたことに気づいた彼が彼女の絵を描くまでの青春ストーリーが甘酸っぱかった。

◆戦闘する茅冬さん↑↑
卯月オロカ ザザ
 萌えイラストを書くことでスーパーヒロインに変身できるラノベ絵師・茅冬さんシリーズの2巻目。前巻にも増して、カオスなことになってます。涼風リリトと名乗る白セーラー少女に変身に必要なスケッチブックを奪われ、応援してきた絵師仲間が卒業して同人界から去っていったり、魔界に封印したはずの魔王が軍を率いて攻めてきたりと、ピンチの連続に思えたものの、絵師からレイヤーに目覚め、コスプレヒロインとして悪者を粉砕していく姿が勇ましかったです。

◆腐女子(物理)
大厩 建牙 JUGGERNAUT
 腐女子の頭の中の妄想が現実世界に次々と溢れ出して現実化していく光景がもはや悪夢。カップリングを考えれば、道行く人同士が赤の他人であってもその瞬間から同性カップルが成立し、やおい穴を考えれば男性にやおい穴の存在が確認されるし、腐女子によって好みが違うことは瞬時に入れ替わり、昨日受けだった人が、今日には攻めになって、明日には総受けになって、怖い……やおい世界怖いよ。

◆雪女は夏がお好き?
おおもり小森 りょう@涼
 日本の夏を経験するため街へ出てきた雪女・雪菜と、プロサーファーを目指す常夏の男・海里の一夏のラブロマンスがときめきました。狭いアパートで同棲生活を送るうちに、料理は美味いし家事も万能な雪菜のことを意識していき、雪菜もサーフィングの大会目指して毎日波に乗る海里の姿に惹かれていき、想いを言葉にできなくても相思相愛の二人の姿が初々しい。しかし、雪菜が故郷の雪山に帰る日が来て、冬の女と夏の男、本来相容れない二人が引き裂かれていく光景が胸に詰まりました。

◆犯人はハートのようなものを盗んで逃走しました
真井田 紗優希 着物屋大門
 女性のハートは、どんな美術品や金銀財宝よりも価値ある宝だと考えるイケメン怪盗・さきたま四世と、恋を知らない少女探偵・熊谷華子の掛け合いが笑いました。一ヶ月以内に華子のハートを盗めなけば、大人しく捕まるという約束をして、頭はいいが天然で恋を理解できてない華子に恋の何たるかを教えるべく、あの手この手を尽くすのですが、いつの間にかさきたま四世の側が華子に惹かれていて……うわ、ロリコンだ。おまわりさんあいつです。

◆MagicBullet
咲夜 猫水なごみ
 両親を殺したテロ組織と戦うため、狙撃手となった主人公・沙霧陽平が、幼馴染の少女・紫藤雪菜の護衛として、彼女を狙うテロ組織と密かな死闘を繰り広げるハードボイルド。幼馴染の雪菜は陽平がいつか帰ってくると信じて恋人も作らずに一途に待っていて、死んだ人間として敵の警戒をすり抜けるゴーストソルジャーである陽平は会いに行けず、スコープ越しに愛する少女の暮らしを見守る陽平の姿に切なさがこみ上げてきました。

◆黒神のお嬢様
軍路美香六 大瑠璃
 突如空から降ってきた黒髪美少女の奴隷になってしまった少年が繰り広げる学園コメディ。この世の女性の神をすべて黒髪にという目標を掲げる黒髪の女神・姫乃の活動によって瞬く間に黒髪人口が増えていくものの、彼女の行動を良しとしない、金髪の女神が立ちふさがり、黒髪女神派と金髪女神派の信者の抗争に主人公・望月青が巻き込まれていく様子がシュールでしたが、黒髪と金髪どっちがいいかと問われて、ピンク髪を支持する望月青さんパネェっす。

◆コーヒーヌガーの攻略法
ふじぱん 藤乃色
 チロルチョコ擬人化コメディ第二弾。前回のアーモンド騒動も一段落ついたと思いきや、今度はコーヒーヌガーが落ち込んで、美味しく食べる方法を模索したものの、芳しい結果が得られず、そうこうしている間に、引きこもっていたコーヒーヌガーが粘り硬さをこじらせてヤンデレ化し、お客様の口にコーヒーヌガーをぶち込む暴挙に発展。しかし、その濃いキャラが新たなファンを獲得して……、お菓子業界なにがヒットするかわからないものですね。

◆ヨビコエ
桐野陽誠 もるのきり
 主人公の汐崎詩子の日常が、次第に大いなる別次元の何ものかに侵食されていく世界観に背筋が寒くなる。変化をもたらすものの存在に気づいているのは詩子だけで、行方不明のクラスメイトのように自分も消されてしまうのではないかと、背後に忍び寄る恐怖を感じつつも、居なくなったクラスメイトの足跡を追い、残されたノートの記述の解読を進め、真実に近づいていくサスペンスが、スリルと緊張感をかき立ててページをめくる手がとまらない。

◆にゃんとめ
まりぽっこ山本 りま
 元フリーターの香山伊吹が僧侶としてお務めすことになった神納寺は、妖怪たちが集まる「物の怪寺」。この街の生き字引きである化け猫のトメを頼ってくる妖怪からの相談事の解決に伊吹も次第に関わっていくようになり、美人姉妹の史香・美佳に支えられながら、妖怪と人間の折衝役として、二つの種族の共存を目指して奔走する光景がほのぼのとして和みました。

去年もやったが、相変わらず自分では考えずに他人の考えたネタに乗っかっていくスタイル。

 AF文庫のみなさん
 本当に申し訳ありませんでした
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2013年12月30日

ログ・ホライズン 7 供贄の黄金/橙乃ままれ

4047291765ログ・ホライズン7 供贄の黄金 【ドラマCD付特装版】
橙乃ままれ
エンターブレイン 2013-12-20

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シロエは、八兆の金貨を求めて北の大地に旅立った。だが、そこで突きつけられたのは大規模戦闘(レイド)の予告。アキバを頼れない状況下で、シロエがレイドメンバーに選んだのは、マサチューセッツ率いる<シルバーソード>、未だシロエを恨むデミクァスら。一度は別の道を進んだ男たちが協力し、最難関のレイドに挑む。

 泥まみれの英雄たち

 オンラインゲームの世界に閉じ込められたプレイヤーたちが世界を変える冒険に挑むファンタジー。

 熱い! これがMMORPGガチ廃人の大規模戦闘だ! レイド攻略こそネトゲの華!
 とある目的を成し遂げるため、八兆の金貨を求めて新たに解禁された最難関レイドに挑む主人公シロエと、ウィリアム率いる<シルバーソード>たち、廃人ゲーマーのレイドにかける思いに胸を打たれました。
 ゲーマーという大人になれないダサ格好良い男たちの生き様。ゲーマーの思いを代弁してくれていました。

 デミクァスさんがデレクァスさんになってた。シロエに激おこだけれど、ツンデレですねわかります。
 ウィリアムの協力を取り付けレイド攻略に挑むものの、シロエと戦闘系ギルド<シルバーソード>という歴戦の猛者が揃っていても攻略が思うように進まず、さらにはレイドボスがこれまでのシステムにはない行動を取るようになってゲームバランスが崩壊し、突如として無理ゲーと化した世界の裏切りに愕然としました。

 これまで意地と誇りのすべてをかけてぶつかってきたレイドバトルを根本から否定され、レイドを通して戦うことでしか他人と向き合えない、自分を好きになれない不器用なウィリアムの慟哭が心に突き刺さる。
 ダサくても、みっともなくても、どんなに周囲からくだらないとバカされても、自分には価値があると信じる大切なもののために、力尽きた心に再び闘志を燃え上がらせるゲーマーたちの姿に魂を揺さぶられました。

 「勝たせてやりたい」という読者の思いを叶えてくれたシロエの入れ知恵GJでした。ウィリアム再登場希望。
 死ぬことで、自分に欠けているものを見せつけられる。新しい一歩を踏み出すためには、人生を振り返り、いままでの自分を捨て去る覚悟が必要ですが、そうして生き返った後は、少し成長しているんじゃないかなぁ。
 クラスティのほうでも異変が起こっているようですが、次回は年少組のお話か、なんかスゲェlv上がってね?

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2013年07月05日

丕緒の鳥 十二国記/小野不由美

4101240582丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫 お 37-58 十二国記)
小野 不由美 山田 章博
新潮社 2013-06-26

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「絶望」から「希望」を信じた男がいた。慶国に新王が登極した。即位の礼で行われる「大射」とは、鳥に見立てた陶製の的を射る儀式。陶工である丕緒は、国の理想を表す任の重さに苦慮する。希望を託した「鳥」は、果たして大空に羽ばたくのだろうか表題作「丕緒の鳥」ほか短編4編を収録。

 名も無き偉人の伝記

 国家の中で己の役割を全うすべく、走り煩悶する、名も無き男たちの清廉なる生き様を描く短編4編

1話目『丕緒の鳥』
 「大射」と呼ばれる儀礼を監督する丕緒が、王に民の苦しみを伝えようと苦心するお話。
 華やかさや娯楽性が求められるようになった「大射」の儀に、時代が進むにつれ失われていた本来の意を見出した丕緒が、下級役人ながらも民と国の惨状を憂いて新たな王にその思いを託す姿が心を揺さぶりました。
 国典とはいえ、皿一枚に様々な工夫を凝らす人々の技術が人間国宝級。これ産業にしたら国支えれるよ。

2話目『落照の獄』
 重罪人に死刑を与えるか、無期懲役とするかで民意と司法の狭間で懊悩する判吏の瑛庚のお話。
 死刑制度と更生についての倫理上の深い論旨が展開されて、現代の日本にも通じて読んでいてあれやこれやを考えさせられました。人を裁くことは人の手に余る。司法の限界に立たされた男の無力感が痛ましかった。
 刑罰に犯罪を抑止する威嚇力がないのであれば、犯罪を起こさせない治安維持をまずは作るべきだった。

3話目『青条の蘭』
 山毛欅の木を枯らす奇病に立ち向かい、里を救おうとする地方役人の標仲と友人二人のお話。
 深刻な危機が迫っているのに村人や周囲が危険を理解できないのが歯痒くて、たった三人で野山を駆け巡り、根気のいる繁殖作業を繰り広げ、やっとの思いで根付いた苗を王へと献上して危機を打開しようと奔走する姿が焦燥感にかられる。標仲から苗を受け取った名も無き人々が繋いでいく願いのリレーに胸が熱くなった。

4話目『風信』
 自然現象を観測し、人々が生きる道標となる暦を作る気象官の嘉慶たちのお話。
 国が傾いて皆が大変な時だというのに、現実離れした気象観測ばかりにのめり込む嘉慶たちの姿に憤慨する蓮花の気持ちはわかる。けれど、他に何もできない彼らの苦悩もわかって欲しかった。自分たちの仕事が理解されずに批判を浴びても、それが人々の役に立つと信じて職務に準じる嘉慶たちは十分に立派だと思った。

 地位は低くとも国を憂う男たちの姿に感銘を受けました。国のあり方を魅せる十二国記のシリーズ通じたテーマが込められてて、上から国を見ていたこれまでとは逆の視点で下から見た国を描いた珠玉の1冊でした。

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2013年04月05日

ログ・ホライズン 6 夜明けの迷い子/橙乃ままれ

4047282359ログ・ホライズン6 夜明けの迷い子
橙乃 ままれ
エンターブレイン 2013-03-30

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アキバの街中で起こるはずのない殺人事件が発生! アカツキは「天秤祭」を機に芽生えた焦燥や戸惑いを抱えたまま、震える心を駆り立てアキバの夜を奔走する。力を得たい──彼女は今までためらっていた一歩を踏み出した。

 女子力を上げて、小太刀で殴る!

 オンラインゲームの世界に閉じ込められたプレイヤーたちが世界を変える冒険に挑むファンタジー。

 女子会パワーおそるべし! アカツキさんカッコカワイイ! 恋する乙女はやっぱり最強でした。
 アキバの夜を恐怖に変える謎のプレイヤーキラー・殺人鬼が出没し、アカツキとレイネシアを中心とした女性プレイヤーたちが殺人鬼捕縛のために一致団結することで成長していく姿が胸を打ちました。
 人気投票結果第1位のアカツキさんが、さっそく主役のエピソードで、アカツキ分を大量に補給できました。

 力不足な自分自身に対するアカツキの焦燥や葛藤がもどかしくて、周囲を羨んで嫉妬してしまう自分によけい自己嫌悪に陥って、自分で自分を追い込んでいってしまう姿が痛々しくて読んでて辛かった。
 生まれながら大貴族としての責務を背負わされ、ある種の諦観を身につけてしまったレイネシアも、冒険者と大地人とを区別する壁を作って、自ら進んで何かを求めようとしない空虚な生き方がもどかしい。

 レイネシアの護衛のためにギルドの境を越えて女性プレイヤーたちが一同に集まり、毎日のように開かれる女子会は楽しげですが、それだけにアカツキとレイネシアだけが沈んでいるのが浮きますね。
 殺人鬼の正体が、冒険者と大地人の関係に亀裂を生むものだと知って、事態を収拾するためにシロエならどうするかと考えて、女子会メンバーの手を借りて犯人を狩りたてていく戦闘シーンは興奮しました。

 アカツキが得た新技"口伝"は、そりゃあ、技術や魔法の開発がアリなら、技の開発だって出来るよなぁと想像通りでしたが、そうしたシステム外のチートを許容してしまう大災害の影響が気がかりですね。
 死したアカツキが束の間、静かな渚で出会ったシロエですが、そういや出番がないなぁと思ったら、いったいどこにおんねん。次回は、シロエ側のエピソードらしいですが、そうしたらアカツキ出てこれないじゃんヲイ!

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2013年04月01日

本日創刊レーベルAF文庫を全巻レビュー!

本日創刊のAF文庫を全巻フラゲしてきたので、全巻レビューするよ!

◆機壊紀行エルコガベル
著者:大納言鉄平 イラスト:軍島曹一郎 [ Website ]
 『ビデオの録画予約ができない』程の機械音痴で機械を逆恨みする少女エルコと、解体用重機に憧れる愛玩用ロボットのガベルが、「この世はもうすぐ機械に喰われる」という思い込みで暴走していくところが面白かった。世界を機械から解き放つ旅に出るんだけれど、機械音痴でナビなんか使えないからいつも道に迷って、その度に困っている二人を助けてくれる親切な人間や機械との出会いが心温まりました。隣国から侵略してきた巨大人型ロボット・カンナムを目覚めたエルコの異能≪機巧狂い(グレムリン)≫で破壊するラストは爽快でした。

◆お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?
著者:あるてぃめっと☆るいるい [ Website ] イラスト:nauribon [ Website ]
 女子校の保険室の先生になった主人公・男(女)が、保健室に訪れる百合っ子たちの恋愛関係に巻き込まれていく光景がかしましくて楽しい。眼鏡、黒髪、ツインテ、金髪、栗毛と、それぞれ個性的で魅力的なヒロイン(+男の娘)たちの矢印が絡み合う複雑な女女関係の倒錯っぷりが見所です。そして女同士のイチャイチャした光景が繰り広げられる一方、どうしてこのような入れ替えが起こってしまったのか、この事態を企んだ紳士は何者なのか、事の真相に迫っていくうちに、重くのしかかっていく緊迫感に唸らされました。

◆60秒で支度しな!!
著者:JUGGERNAUT [ Website ] イラスト:JUGGERNAUT [ Website ]
 60秒で仕事の説明を受け、60秒で仕事を完遂し、客の文句を60秒だけ聞く。まさに3分間だけ現れて人々を助けて去っていくウルトラマンのような仕事請負人・月時刹那が、普通の業者には頼れない変人奇人たちから持ちかけられるおかしな依頼に超速解決で応じていく掛け合いとアクションのテンポの良さが持ち味です。ときには悪人たちが悪事の片棒を担がせようとしてくるんだけれど、上手くかわして逆に相手をハメてやるのが痛快でした。1ページで約60秒で、3ページで1エピソードという超々短編集で、これ1冊で120話も収録されているのには驚いた。

◆先日、うちの妹が魔法少女になってたらしいです。
著者:座椅子 [ Website ] イラスト:猫水なごみ [ Website ]
 ユビキタス・コンピューティングが発達した未来で、魔法少女になったものは周囲のコンピュータを自在に操れることから魔法のような事象を引き起こすことができ、同じく魔法少女化してしまった幼馴染や生徒会長、お嬢様、ツンデレたち5人で力を合わせて、悪い魔法使い・魔法少女たちを懲らしめていく、大きいお友達大興奮のエンターテイメントでした。魔法少女になってしまったヒロインたちを元に戻すため、天才プログラマーである慧人が、ワクチンプログラム「Re's」の開発を成功させて戦いを停める結末は、一番の見せ場で主人公の満目躍如といったところ。

◆あの子の相棒はかなりのSでした
著者:四条右多 イラスト:Spe(すぺ) [ Website ]
 清楚可憐な女子大生・鏡佳が、実は濃ゆい車ヲタで、車のハンドルを握ると性格がスピード狂に変貌し、その道では知る人ぞ知る『伝説の走り屋』というギャップが萌え。さらりと日常会話に出てくる走り屋用語ネタが興味深く、坂道発進、縦列駐車の簡単なやり方など運転の小技や、V字ドリフトやスピンターンなど必殺技と言ってもいいような高等テクニックの数々に魅了されました。走り屋界の支配を企む暴走族長・Mとの峠の頂点を極めるデッドレースは手に汗握り、最終コーナーでインコースをウィリー走行で抜き去る奥義『スラッシュ&ダッシュ』が完成した場面では、読んでいて思わず歓声を揚げてしまいました。

◆いんふぇくてっど!! ゾンビガールは屍肉の香り
著者:参弐壱 壱 イラスト:3211 [ Website ]
 南の島にバカンスにきたら、ゾンビウイルスが蔓延していて主人公の市太郎一人だけ取り残されていてと、これだけならよくある話なのですが、その島が女しかいない女人島で、市太郎を性的な意味で"食おう"と襲ってくる肌もあらわな大量の淫乱ゾンビガールたちがエロかった。彼女たちを正常に戻すには市太郎の唾液に含まれる消化酵素を摂取させる必要があって、ヒロインを始め女の子にキスしまくる逃走劇がテラシュール。恐怖した、パニックホラーならぬパニックポルノを生み出した作者の妄想力に恐怖した。

◆魔法学校の生徒達
著者:ともいもこ [ Website ] イラスト:tomo
 ドラゴンに跨ってやってきた転校生・魔王さまが、毎度ドタバタ騒動を起こし、平穏で退屈な日常にちょっとした刺激を与えて、登場人物たちの恋模様を変化させていく光景が青春で眩しかった。魔法の箒に乗って通学する学生たちに、ペガサスに乗って世界樹に通勤するサラリーマンと、ファンタジーと現実が混ざったような世界観に夢がありました。web小説からの文庫化で、ありがちな俺TUEEE系主人公無双ではなく、ほのぼのとした癒し系ハートフルストーリーが和む。勇者×魔法使い、武闘家×踊り子、生徒たちがカップルで結ばれていくのに、未だにアラサー独身の賢者先生は、誰か早く嫁に貰ってあげて……。

◆変身する茅冬さん↑↓
著者:卯月オロカ イラスト:ザザ [ Website ]
 周囲に隠れてラノベ絵師として活躍する女子高生・瀬名茅冬が、変身スーパーヒロインとなって異世界から現れる敵を相手にバトルアクションで、変身手段が萌えイラストを書くことという手間暇のかかる方法なのですが、描ければ何にでも変身できるという設定の汎用性を上手く活用しているのがポイントでした。ミクロサイズに変身して先輩の体内でウイルスを撲滅したり、巨人サイズで大怪獣と町中で大乱闘したり、変身ごとに戦闘シーンの描き方も様々で飽きさせなかった。気になる先輩との恋の行方でしたが、まさか先輩が茅冬の描いた二次元キャラに目覚めてしまうとは想定外やった……。

◆貴方の為の便利屋です!
著者:曖昧味昧 イラスト:川味ヒロ味 [ Website ]
 謎の片眼鏡の男に寿命を奪われ老人になってしまった主人公・地紙迅之介の境遇が不条理で、引っ越してきたばかりで頼るべき家族や友人もいなく、絶望していた彼の前に現れた便利屋・矢井優の優しさにホロリときました。地元の土地神でありながら、姿を人間の身にやつして人助けを行う彼女と、その眷属たちの手を借りて、奪われた寿命を取り戻すために片眼鏡の男を捕らえるために動き出すのですが、日を追うごとに被害者の老人たちが加速度的に増えていき、神様である優でも手に負えなくなっていく様は、日本の抱える超高齢化社会の未来を暗示しているかのようで予想以上に社会的な作品だった。

◆全ての大和撫子(笑)に告ぐ
著者:黒江しずる イラスト:ミカドロボ [ Website ]
 少女漫画のような純愛に憧れる主人公・絢辻深祐が、自分好みの女の子がいなければ自分で作ってしまえと、道行く女の子の中から、これはと光る原石を見つけて徹底的にスパルタ教育を施し、本人にも無自覚な眠れる素質や秘めた魅力を見出して才能を開花させていく手腕が見事でした。魅力を引き出したからといってイコール自分好みの大和撫子になるわけではないというのミソで、女の子の魅力は女の子の数だけあるということに気づかずに、「理想とは程遠い、失敗だ!」と嘆く深祐が可笑しかった。どんなイケメンでも女の子に自分の理想を押し付けてはいけないなぁと改めて教えられました。

◆霧隠し
著者:桐野 陽成 イラスト:もるのきり [ Website ]
 人々を消していく怪現象「霧隠し」と、消えた人々の行方を求めて女子高生・梅雨李雫が、父の遺した「霧隠し」研究を受け継ぐのですが、霧の正体を見極める実験中にアクシデントが起こり、協力者たちが次々と雫を庇って消えていき、次第に狂気に犯されていく彼女の姿に思わず目を背けたくなった。意思を持った生物のように都市に広がり、隙間から入り込んで人を消していく霧の不気味さに背筋が凍る。スティーブン・キングの「The Mist」のオマージュといったクトゥルフ神話系作品で、この現実世界の存在感を薄れさせていくような描写に\(・ω・\)SAN値!(/・ω・)/ピンチ!

◆ロボな少女に教育を
著者:アシダタカシ イラスト:くろんこ [ Website ]
 ロボット恐怖症の主人公・橋田優治が、ロボットの女の子・ハルカと同棲生活をすることになり、ロボットとは思えないドジっ子っぷりに振り回されながら学校や家庭で生活を共にするにつれ、人間の女の子らしい羞恥心や恋愛観を育てて、優治自身もかつてのトラウマから解き放たれていく光景が清々しい。大切な家族となったハルカを守るため、ロボットを憎むロボット廃棄主義者たちが起動させた電磁パルス爆弾を命がけで止めに走るクライマックスシーンは、優治の成長ぶりが現れてて胸を打ちました。

◆バケツは防具に入りますか?
著者:若鶏野易夫 イラスト:コニシ [ Website ]
 古の重装歩兵の戦いを模した新スポーツ『ヘヴィファイト』同好会に入部させられた主人公が、ヒロインと共に全国大会を目指すスポ根もので、鎧を着て戦う登場人物たちの汗と涙で、読んでいるこちらまで手汗で蒸れた。タイマン勝負でジャンケンで受け手と攻め手を交代し、ジャンケンで勝った者は相手を一回だけ大剣や戦斧、長槍でぶっ叩き、負けたものは攻撃を全力でガードする。どちらか立てなくなった方の負けというシンプルなルールの『ヘヴィファイト』ですが、力が強くてもジャンケンに勝てなければ攻撃できず、ジャンケンに弱くとも力が強ければ一撃で勝てるという戦略性が面白味を出してました。

◆ダブルアーモンド
著者:藤乃色 [ Website ] イラスト:藤乃色 [ Website ]
 人気チロルチョコ五人組、天然巨乳のミルク、褐色美人のヌガー、黒髪白皙のホワイト&クッキー、栗毛ロリのビス、そしてみんなのまとめ役アーモンドたちの仲睦まじい姿が微笑ましいです。責任感の強いアーモンドは、自分のビジュアルが仲間に迷惑をかけているのではないかと思い悩み、それが他のチョコたちのストライキに繋がり、『バラエティパックから5人組が消える!』という噂がネットで拡散して全世界を巻き込んだ大騒動に発展していく過程がなんとも壮大でありながら小さい彼女らが可愛いらしい。アーモンドのパッケージのアーモンドに「ジョージ」って名前があるのは初めて知りました……。

◆その証明にアリシアは物申す。
著者:ふりすく [ Website ] イラスト:ふりすく [ Website ]
 数式で事件の真相を解き明かす天才数学少女・アリシアと、へっぽこ探偵クリスの凸凹コンビっぷりが愉快でした。この世のすべてのものが数字に見えるという超感覚を持ち、事件の手掛かりを数式と変数に当てはめ、公式で犯人を導き出す手法は、まさしく推理ではなく計算だった。あらゆる謎を証明の光で照らし出すアリシアの才能に驚きつつ、天才であるが故に孤独な彼女の心の傷に触れて次第に惹かれていくクリスの想いも初々しかったです。アリシアも自分を偏見や奇異の目で見ないクリスにだけは心を許していくんだけれど、そんな自分の気持ちだけは数学で証明できないところが愛らしかった。

◆鴉奈さんとお巫山戯
著者:甲乙平帝 イラスト:りょう@涼 [ Website ]
 経営していた会社が倒産し莫大な借金を作って蒸発してしまった両親の代わりに、その負債を背負うことになった主人公・八旗将也。彼の元に現れた謎のメイド・鴉奈さんが負債を無くす条件として持ちだしたのは、日本一の大財閥の転覆。将也を創始者家系の末端に潜り込ませ、派閥闘争を煽って内部分裂させる鴉奈さんのやり口が悪どくて、後継者候補として目立たせた将也の陰で暗躍する卑怯さが素敵。駆け落ちで家を出た母親を見捨てた実家に復讐するためとはいえ、血の繋がった親戚を躊躇なく貶めて、「おちゃめなお巫山戯よ」と言い切る鴉奈さんにはシビレるわぁ。

◆オール・ブラック
著者:軍路美香六 イラスト:大瑠璃 [ Website ]
 髪の色ごとに4つのグループに分けられ、お互いの利権を競い合う髪色学園に入学した主人公・工藤青が、黒髪の統一・オールブラックを目指す黒神姫乃と出会い、学園の謎に迫っていく王道学園異能バトルもの。赤髪・青髪・白髪・黒髪がそれぞれ朱雀、青龍、白虎、玄武に対応して、それぞれの属性に応じた異能を使うことができ、学園を一色で支配したとき施された風水術によって召喚される神獣・麒麟が勝者の願いを叶えてくれる。大衆受けの学園異能のお約束をバッチリ捉えてますね。主人公がヒロインに手を貸す動機が黒髪フェチだからってのは、一番共感できた。黒は至高にて究極。

◆淫魔と上手く暮らす方法
著者:りま [ Website ] イラスト:りま [ Website ]
 極度の人見知りな淫魔少女ルカの人間に馴れない臆病な猫のような振る舞いがとにかく可愛らしい。精気を奪えずに行き倒れていたところを一人暮らしの主人公に拾われ、好きなだけ居ていい許しを得たものの、主人公が家にいるときは家具の影に隠れたり、押入れの中に引き篭って、姿すら現さない潜伏スキルは忍者かMGSか! 主人公が寝付いたところをコッソリと出てきてキスで精気を吸って赤面してすぐに姿を隠しちゃう初心な淫行ぶりに身悶えする。主人公がいない間は、掃除や洗濯したり、料理を作っておいたり、お淑やかで慎ましくて家事万能で完璧な女の子やんけ……こういう嫁が欲しい。

◆俺の嫁の伝説
著者:すもやゆうき イラスト:蟹殻 [ Website ]
 人類最強の嫁エリとその主人で主人公のマモルが奇想天外な出来事に巻き込まれて、毎度嫁無双で解決していくストーリーがシュールでコミカルでした。宇宙から異星人が侵略してくるわ、異世界から怪物が襲ってくるわ、ゲーム世界からラスボスがやってくるわ、未来から自分たちの娘がやってくるわ、平行世界からもう一人のエリがやってくるわ、ブッダとゴッドとゼウスとその他、八百万の神々がご光臨されるわ、リアリティのぶっ飛んだ世界観が笑うしかねぇ! マモルの奥さんになるために時空を越えて竹刀で無を打ってビックバンを起こしてこの宇宙を作った彼女の愛が大きな感動を生みました。

◆シュバルツ・ビルダーブーフ
著者:鶴木野麻 イラスト:月出里まる [ Website ]
 古ぼけた絵本の世界に引きずり込まれた主人公・籐堂剛が見せられた、暗く冷たく残忍な物語たちに怖気だった。人を信じられなくなって国民を虐殺する王様。他人の顔を盗み人気の絶頂で顔を盗まれた女優。運勢を操り人々の運命を弄ぶ占い師。身ぐるみを奪い客をサメの海へ突き落とす船乗り。貧しさに絶望し小麦や家畜に毒を混ぜて売る農家。しかし、物語を読み進めるうちにこれらの物語が改変されている事実に気づいて、書き直した本来の正しい結末にはちゃんとした救いがあって、読み終えた時には心の澱みを洗い流したかのような爽やかな気分に浸れました。

◆有生性阿タラクシア
著者:科野河太朗 イラスト:himesuz [ Website ]
 自らを『神』と騙る人外の妖たちが世界の覇権を巡り、近代兵器や異能を授けた人間たちを率いて飽くなき争いを繰り広げる世の中で。平安時代、源頼光によって封印されていた古の妖・土蜘蛛を覚醒めさせた主人公・駒木が、彼女から与えられた力を用いて、長きにわたる騒乱に終止符を打つべく立ち上がるのですが、相手を支配し束縛することのできる土蜘蛛の能力を使うためには、相手の正体を見破らなくてはいけなくて、アクションよりも推理と駆け引きが繰り広げられるミステリとなっているのが興味深い。

◆こちら第3211輸送飛行小隊★でした
著者:ルナ・わせりぼん イラスト:piyonosuke [ Website ]
 戦線の片隅に配備された『第3211輸送飛行小隊』が偶然拾った爆弾を狙って、基地を占領したテロリストから仲間を開放すべくヒロインが乗り出すのですが、そこはやる気と覇気の無さには定評のある『第3211輸送飛行小隊』の一員で、ハナからダメ元のゆるーいテンションがどうにもツボでした。まさか自分が持ちだした非常用持ち出しバッグの中身が、テロリストの狙っているマイクロブラックホール爆弾だとは気づかずに銃弾の盾にしたり、階段から投げ落としたり、爆弾の爆風避けに使ったりと、超危険物の扱いの悪さに始終ヒヤヒヤさせられっぱなしでした。テロリストよりも、ゆとりがこわい。

◆三○二号室の同居人
著者:七海茶屋 イラスト:上弦 [ Website ]
 幽霊の見える主人公・瀬能達也が、契約した部屋に憑いていた幽霊少女・橘華を成仏させるため、彼女の現世に残した未練を叶えてやることになるのですが、彼女の願いは「お嫁さんになること」で、お互いに恥じらいながらも新婚生活を演じる光景は頬がにやけて仕方がなかった。愛のない演技では成仏しない、本当の愛が生まれてしまったら成仏してしまうことがわかって。それでも華のことを徐々に好きになって別れたくない達也と、一方的な願いで達也に迷惑をかけていることに罪悪感を抱く華とで、お互いを想っているからこそ、すれ違っていく気持ちが切なく、胸を締め付けられました。

◆狐の一家
著者:参弐壱 壱 イラスト:3211 [ Website ]
 絵師が締め切りを破った罰で、挿絵が上下反転しているという、発売前からラノベ読みの間で話題になり「読者に負担をかけるのはおかしい」との非難が集まっていた今作ですが、実際に挿絵を見ると普通にヒロインの顔で、上下逆さまにすると主人公の顔になっている……逆さ絵…だと!? ラノベの挿絵でこの発想はなかった、っていうか、絵師すげええええええええ!!!こんな無駄な細工してるから締め切りに遅れるんだよ! またやったら今度は上下反転じゃなく90度横向きにされるぞ!って、横向きにしたら場面風景が見えるんだが俺の眼が狂ったのか!絵師すげええええええええ!!!(; д ) ゚ ゚


 というわけで、AF文庫の新刊、計24冊をざっくりとレビューしたわけですが、言いたいことがあります。







 AF文庫のみなさん
 本当に申し訳ありませんでした


 無許可で勝手にネタに乗っかって、好き放題書いてしまってごめんなさい。
 とっても楽しい企画でした。できれば、いくつかの作品は本当に文庫にして欲しいくらい。
 力の入った素晴らしいネタをありがとうございました。

 ちなみにニコニコ静画でやってる似た企画の『卯月文庫』ですが、そっちは他の人に任せた。
 本文がある作品をいちいち読んでたら間に合わないよ。というかそれ嘘感想にならないよ。

 ラノベ界隈のエイプリルフールネタまとめは、こちらの方がまとめて下さってるよ。こっちも必見だよ!
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2012年06月20日

レッドドラゴン 1 第一夜 還り人の島/三田誠 他

4061388304RPF レッドドラゴン 1 第一夜 還り人の島 (星海社FICTIONS)
三田 誠 虚淵 玄 奈須 きのこ 紅玉 いづき しまどりる 成田 良悟
講談社 2012-06-15

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世界の覇権を懸けて争う巨大国家・ドナティアと黄爛との狭間に位置する謎めいた島国、ニル・カムイ。その守護神とも言える〈赤の竜〉に突如生じた異変が招く、さまざまな策略― 。救うのか。滅ぼすのか。それとも、“革命”か― 。最高の布陣が織りなす、最高のフィクション。

 冒険の夜が降りてくる

 第一線で活躍する人気クリエイターたちが登場人物になりきって繰り広げるTRPGリプレイストーリー。

 プレイヤーの演じる各々のキャラクターにそれぞれの味や個性が出ていて面白かったです。
 長きにわたって覇権争いを続ける西方の帝国・ドナティアと東方の大国・黄爛。その緩衝地帯にある島国・ニル・カムイに住まう<赤の竜>が突如狂い始め、<赤の竜>を討伐するためにドナティアと黄爛、ニル・カムイそれぞれ集まった選りすぐりの精鋭たちの群像劇にも似た冒険活劇に胸が躍ります。

 GM兼司会進行役を三田誠さんとして、ドナティアの騎士を演じる奈須きのこさんは慣れた手つきで、ニル・カムイの獣人の獣使いを演じる紅玉いづきさんや伝説の皇統種を演じるしまどりるさんは初心者らしくおっかなびっくりといった様子で、プレイする参加者の素の表情が浮かんでくるかのようです。
 王道プレイを行く他者に対して、黄爛の暗殺者を演じる虚淵玄さんが邪道プレイばかりして笑えるw

 ゲームの初期段階からキャラクター作成に深く関わっていたということで、演じるキャラクターの人物背景にプレイヤーの趣味嗜好が現れているのも興味深いです。各々の作品を知ってると実に"らしい"。
 表面上は協力プレイをしつつも、隙あらばお互いを出し抜こうと仲間の腹を探り合っている姿がなんとも怖い人たちですね。虚淵玄さんの婁とか、絶対に仲間を裏切る展開しかイメージできない!

 ただ書籍化するにあたって、小説仕立てに再編集してくれたらよかったのにな。
 プレイヤーの肉声が混じっているのもいいんですが、それだと無料で読めるWeb連載と変わらないですからね。お金を取るのであればCD付きにしてBGMも入れて欲しかったかな。描きおろしイラストも多数追加されてますが、逆に消えてしまってる絵もありますからね。プラマイゼロと言ったところか。
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2012年05月30日

「も女会2」の販促POPに参加したよ

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5月30日にファミ通文庫から発売されます、
『も女会の不適切な日常 2』の公式販促POPが完成しました。
おそらくは、そろそろ各店舗に新刊とともに配布され始める頃かと思います。

この度、ファミ通文庫の編集者さまから、是非に使いたいと言って頂きまして、
「ラノベ365日」からの推薦コメントが載りました。
そして、こんな素晴らしいPOPができてしまいました。

POPといえば、せいぜいポストカード程度かとおもいきや、デッカイです。
縦18.2cm×横12.8cmのB6判です。これは、目立ちますね。
ただ、一般的な針金型のクリップじゃあ、立たないんじゃないか?

ちなみに献本も頂戴しました。ありがたや。
ちらっと見せるとカラー口絵はこんな感じです。

12051002.jpg


店頭で見かけましたら、是非眺めて、手にとってレジへ持っていって下さい( ・`д・´)オナシャス!
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2011年11月01日

ラノベニュースオンラインOPEN

ラノベニュースオンライン
11110101.jpg


ライトノベルの新しいニュースサイト『ラノベニュースオンライン』が本日オープンしたそうです。
最新ニュースに新刊情報、イベント情報、グッズ紹介、インタビュー特集を載せていくとのこと。
各レーベルの公式サイトとも連携しているようで、これさえ見ていれば、ライトノベル業界の動向をチェックできる?

ラノオンでは毎月読者アンケートを行なう予定で、
11月分アンケートのプレゼントは、
『12月発売予定のお好きな新刊10冊』10名様

らしい。興味がわいた方は、応募してみたらいかがでしょうか。
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2011年10月04日

ログ・ホライズン 4 ゲームの終わり(下)/橙乃ままれ

4047275433ログ・ホライズン4 ゲームの終わり(下)
橙乃ままれ
エンターブレイン 2011-09-30

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モンスターの大量発生は、異常事態に発展。チョウシの町を救うべく急ぐ新人チーム、大遠征軍を指揮する“狂戦士”クラスティと参謀の“腹ぐろ眼鏡”のシロエ、そして貴族の誇りをすて声をあげる〈大地人〉の姫。異世界の危機に、〈冒険者〉と〈大地人〉が手を取りあった共同戦線がはじまる!!

 義を見てせざるは勇なきなり

 オンラインゲームの世界に閉じ込められたプレイヤーたちが世界を変える冒険に挑むファンタジー。

 オンラインゲームの一番の見せ場ともいえる多人数vs多人数の大規模戦闘の光景に胸が躍る!
 モンスターの大量発生により存亡の危機を迎えたイースタルの都市連合を守るべく、アキバの街の冒険者たちが立ち上がり、戦闘系も職人系も一丸となって挑む総力戦が燃えに燃えて大興奮祭り!
 地位や金などでは飼いならすことはできない、自由を何よりも尊ぶ冒険者たちの心意気に惚れます。

 冒険者だからといって、誰かを助ける理由もなければ義理もない。けれども、助けたい気持ちはある。ただ強いだけでなく、その思いを知ってこそミノリとトウヤは真の<冒険者>になったんじゃないかな。
 自分たち新米プレイヤーたちでは、襲い来るゴブリンの群れから村を守り切れない。しかし、そこで諦めずに勝てる作戦を見出したミノリは、さすがはシロエの弟子。まったく中学生は、最高だぜ!

 一方、この危機にも政治争いをしている貴族連中には、ほとほと呆れ果てる。
 一言、「助けてくれ」と言えばいくらでも助けに行く用意はあるのに、すべてをアキバの街に押し付けるかのような、身勝手な言い分を振り回されたんじゃあ、シロエたちだって苛立つし、もどかしいよなぁ。
 そんな停滞した状況をひっくり返したぐうたら姫・レイネシアの行動は痛快だった。

 普段は貴族らしくない彼女が、一番貴族としての魂を備えていました。そんな彼女がその身を張った懇願だからこそ、アキバの街の冒険者たちの義侠心に火が点いたんじゃないかな。
 死を軽く考えがちだった冒険者にも死の重みがのし掛かってきましたが、それでも彼らは危険への冒険に挑み続けるのだろうなぁ。死ですらも、彼らの自由なる意志は侵せない。そう信じている。

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2011年09月01日

ログ・ホライズン 3 ゲームの終わり(上)/橙乃ままれ

4047274135ログ・ホライズン3 ゲームの終わり(上)
橙乃 ままれ
エンターブレイン 2011-08-31

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シロエたち【円卓会議】の代表らは、大地人同盟との交渉にのぞむため、アキバを離れた。同じ頃、新人プレイヤーを鍛える夏季合宿が開始。同レベルの仲間とともに、トウヤとミノリもダンジョンに挑むものの失敗の連続。戸惑い、衝突、敗北……新人プレイヤーに訪れた初めての試練。彼らの力が、今、試される!

 仲間がいるから、戦える

 オンラインゲームの世界に閉じ込められたプレイヤーたちが世界を変える冒険に挑むファンタジー。

 これを読むとオンラインゲーマーの血が騒ぐが、同時に畑を耕したり、物づくりに挑戦してみたくなる。
 新人プレイヤーのための夏季合宿に参加したトウヤとミノリの双子が、即席パーティで初めて挑むダンジョンで失敗と挫折を繰り返しながら、仲間との信頼を深め、共に成長していく姿が素晴らしかった。
 一方、シロエも政治という大きな舞台に出て、大地人との駆け引きを繰り広げる場面が見所でした。

 誰が悪いわけでもないんだけれど、何故か上手くいかないという、ミノリとトウヤたち新人プレイヤーの失敗談は、オンラインゲームの経験がある読者ならば、誰しも一度は味わったことのある話でしょうね。
 自分はベストを尽くしているつもりなのに、結果が伴わないもどかしい思いで一時は気分が沈んでしまった彼らだけど、自分たちの問題に気づいてからの大進歩は読んでいるこちらまで嬉しくなりました。

 大地人の領主たちとの交流を重ね、腹の探り合いをするシロエは妙に活き活きとしているなぁ。
 <大災害>について大地人側からの情報が得られたのが大きかったかな。まだまだ謎が尽きない。
 シロエにどこか似て"イイ性格"をしているクラスティと綺麗なのにものぐさな大地人の公女・レイネシアのやり取りが可笑しかった。次回はこの二人がメインということらしいので次回に期待。

 ちなみに実際のMMOでは、高レベルになってもPTで連携のできないプレイヤーはかなり多いです。
 ジョブチェンジのできないシステムのゲームタイトルだとそれが顕著ですね。オフラインのRPGでも、同じようにPT内の役割分担ってのはあるはずなんですが、その感覚を自分に置き換えるということができないらしい。あとはプレイヤーの性格とジョブの役割との相性にもよります。

 これは私の考えた役割区分ですが、一般的なジョブってのは受動職と能動職に分かれるんですよ。
 壁役のタンクと回復役のヒーラーは、敵の攻撃を受け止めたり、減ったダメージを回復させたり受動的な動きをメインにするので受動職。アタッカーと支援職はヘイトコントロールやサポートをしたり能動的な判断で動かなくてはならないので能動職。

 受動職が自分勝手な判断で動くとPTが混乱するし、能動職は受け身で動いてからでは遅いのです。
 受動職はルーチンワークをこなせる精神力と忍耐力、能動職は戦況を把握して最善手を行う分析力と判断力が求められます。また受動職は反応速度、能動職は先読みの素質もかなり大切ですね。
 そうして考えてみると、この作品のキャラクターはそれぞれジョブに見合ったキャラで描かれてるよなぁ。

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2011年05月03日

ラノベディア-Lanovedia-オープン

ラノベディア-Lanovedia- ライトノベル専門情報&コミュニティ

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 ラノベディアってどんなサイト?
 楽しい!!好き!!でつながりあう!!
 ライトノベルを100倍楽しむ
 ラノベ情報専門&コミュニティサイト!!


 ラノベディアというSNSサイトがオープンしたそうです。
 twitter、google、mixi等のOpenIDを持っていれば誰でも簡単に登録できて、マイページに読んだラノベを登録して蔵書管理ツールのように使えるみたい。
 読み終えた作品に簡単なコメントをつけて感想文を投稿できるところは、『読書メーター』や『MediaMarker』といった他の蔵書管理ツールと一緒だが、ユーザーの登録と連動した人気ランキングなどのコンテンツが新しい。

 現状「PROTO TYPE」となっており、スーパーダッシュ文庫、GA文庫、一迅社文庫、HJ文庫は未対応であるが、『まだ登録できてないところもこれから早めに対応予定です』とのこと。

 ちなみに運営者は、作家の壱月龍一(@ryuichi_itsuki)氏であるとか。

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2011年04月07日

ラノベを送ろう

 この度の東日本大震災に際し、犠牲となった方々のご冥福をお祈りし、被災された現地の方々には心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興と安息をお祈り申し上げます。

 当『ラノベ365日』からは支援物資として、蔵書のラノベの一部を被災地に送らせて頂きます。
 ─というのは迷惑以外の何物でもないので、蔵書を古本屋に売って、そのお金を寄付させていただきました。

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文庫冊数
電撃文庫185
角川スニーカー文庫66
富士見ファンタジア文庫66
MF文庫J130
ファミ通文庫66
ガガガ文庫37
GA文庫46
HJ文庫48
一迅社文庫32
スーパーダッシュ文庫38
その他4
合計718


 いまさら寄付なんて遅せーよとか言われるのも承知の上だけど、言い訳をさせてください。
 「ヤシマ作戦だー」とか節電してファンヒーター切ってたら風邪を引いてダウンしてたり、銀行の取引業務が中断して振込みができなかったり、たまたま計画停電で日の出てる時間にコツコツやるしかなくて、整理するのに時間がかかったんだ……すみません、一番最後のが主な原因です。普段から本棚を整理しなかった私の不徳の致すところ。
 まあまだ赤十字に集まった寄付金の県ごとの割り当ても決まってないみたいだし、セーフだよね。ね?

 写真の1箱あたり200冊ほど入ってます。99%が初版本で95%帯付きでどれも1、2回しか読んでませんし保管には気を使ってるから、減額対象になる汚れや歪みなどは一切ないはず。
 箱に詰め終わった後、本棚のある2階から下ろせないことに気づき、さらにダンボール箱の底が抜けそうになったので、一旦すべて出して玄関先に箱だけ持って行って小分けに下ろして詰めなおしました。
 さらに宅急便で引き取りに来てもらったものの、「配達員一人で待てないものは集荷できない」と言われて、急遽、箱をもう一つ増やして分けました。何度手間だよ……。40キロくらい持ってください(無茶)

 買取に関しては、ネットショップの『駿河屋』さんを利用しました。ラノベの高額買取をいろいろしてくれるのと、一番の理由は30冊以上の買取の場合は送料が無料になるのが大きかったので。
 『駿河屋』さん、一度に大量の書籍を送ってしまい、大変ご迷惑をおかけました。

 後日、メールで送られてきた査定額はこうなりました。

11040703.jpg

 26,443円か、3万くらいはいって欲しかったんだけど、まあ古い本が多いから仕方ないか(´・ω・`)
 さすがに少なすぎるので、これまで皆様から頂いた五年分のAmazonアフィリエイト代135,137円をこれに上乗せして、少額ですが合計161,580円を日本赤十字東日本大震災義援金に寄付します。

11040704.jpg

 今後、うちから購入していただいた分の紹介料も、義援金が終了するまで寄付させていただきます。
 「ラノベなんか買うお金あったらその金を寄付しろよ」とか、それは言わないでください。
 日常生活に負担をかけない範囲で自分の余剰を他人に回すのが寄付なんですよ。
 それにホラ、新しいものにもお金を使わないと景気も良くならないでしょ(詭弁)

 ちなみに私は市の防災ボランティアに登録しているので、そっちでも支援活動は続けていくつもり。いまやってるのは、地元の防災意識教育(?)かな。防災マップとか作って地域に配布してるんだぜ。
 ……あんまり被災地の人の役に立ってないなウチの市は。もっと被災者を受け入れてもいいのよ。

 もし皆さんも読み終わった本や遊びつくしたゲーム、トレカなんかがあれば、それを売って義援金に寄付してみてはどうでしょうか?

【義援金・募金・寄付できるサイトまとめ】東日本大地震
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2011年01月26日

祝100万PV達成

 100万PV達成!してたみたい



 いつも『ラノベ365日』をご覧の皆様。
 本ブログは本日をもちまして累計100万PVを達成しました。
 ここまでやってこれたのもひとえに皆様のお陰です。
 本当にありがとうございます。今後ともなにとぞよろしくお願いします。

 まあこのアクセスカウンター、TOPページにしか対応してないっぽいんで、正確な数字かどうかは不明です。
 アクセス解析みると平均4500PV/日くらいなんですが、seesaaのアクセス解析は累計をカウントしてくれないからなぁ。とりあえず、最低でも100万PVは達成してんじゃないですかね。

 しかし、このブログ、ラノベ感想サイトの中でも酷評や批評が目立って、わりとダーティーな部類に入ると思うのだけど、よくもまあ皆さん来ますね。
 そんなに酷評が読みたいのだろうか……。いつもコメントで反論くるだろうなあと思いながら書いてるけど、誰も何も言い返してこないし、スルーされている可能性が大かな。
 たまには釣り針に食いついてくれてもいいと思うの……。

 基本、「この感想はひどいwww」と言われるような感想を目指しています。
 作品の真面目な分析とかできません。感想なんて主観でいいじゃないですか。
 評価なんてわりと適当です。というか、感想サイトの発言をあまり鵜呑みにしないほうがいい。
 面白いか、つまらないかは皆様が実際に読んでみて判断しましょう。

 などと、感想サイトの存在意義を崩壊させるようなことを言ってみる。
 うんまあ、興味があったら実際に本を買ってあげてください。
 それが業界全体の利益に繋がって、面白い作品もたくさん出てきますよ。

 こんな私ですが、改めてよろしくお願いします。ありがとうございました。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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