ダフロン

2009年12月31日

“文学少女”見習いの、傷心。/野村美月

4047260304“文学少女”見習いの、傷心。 (ファミ通文庫)
竹岡美穂
エンターブレイン 2009-12-26

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「きみが大嫌いだ」―心葉にそう告げられてしまった菜乃。その日以来、心葉は本心を見せず、取り繕った笑みで菜乃に接するようになる。そんなのは嫌だ!と夏休み、菜乃はある行動に出るが…。傷心の夏が過ぎ、秋。文化祭に向け賑わう校内で、菜乃はまた新たな出逢いを体験する。

 わたしたちは"想像"する

 文学見習いの少女が事件に隠された真実を探し出す、もうひとつの”文学少女”の物語。

 心葉先輩がドSすぎる……。しかし、後輩は後輩でドMなので相性はいいのか?
 遠子先輩がいた頃は、"文学少女"に振り回されるのを嫌がっていたのに、いまでは「遠子先輩じゃないと嫌だ! "文学少女"じゃないと嫌だ!」とはワガママな言い分だなぁ。
 遠く離れていてもこの依存っぷり……。すっかり心葉は調教されてしまってるんだな。

 けれど、そんな理不尽な理由で一方的に敬遠されていたら、菜乃だって振り向いてもらうために無理をするしかないじゃないですかねぇ。女の子を追い詰めてそんなに楽しいか……、鬼畜だな……。
 しかし、そんな後輩イジメにもめげない菜乃の能天気な明るさに救われる。頭は悪いし空気を読まないかもしれないが、健気で一生懸命な子は応援したくなってくるじゃないですか。

 "怪物"騒動によって真っ直ぐで純粋な菜乃の心にドロドロと沁み出してきた想いが辛かった。
 誰しもが人の心の奥底に眠らせている悪意に、一度は逃げ出してしまった菜乃が、恐れながらも勇気を持って立ち向かう場面に心が震えましたね。まるで少し前の心葉を見ているみたい。
 むしろ心葉よりも復活が早くてタフのような、さすが雑草少女……。

 "文学少女"シリーズは、この修羅場と愛憎劇の入り混じった青春分がたまりません。
 物語は読者の望むように自由に読んだらいいと思うな。本来の作者の意図なんか、読者にとってはなんの価値もありませんから。むしろ読者が想像する余地のない物語のほうが問題じゃないかえ。
 相変わらず琴吹さんは可愛いし、本編終了後のあの人たちのその後の姿も垣間見れてそれだけでも満足です。それにしても、もう季節が秋なのか……。ちょっと時間の流れが速いような。

 最後の最後で予想外の急展開に。どうしてこうなった……。親友の裏切り(?)に菜乃はどんな想いを抱くのだろうか。次巻で心葉と菜乃がさらに成長してくれることを期待して。

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2009年12月04日

彼女は戦争妖精 小詩篇1/嬉野秋彦

4047261416彼女は戦争妖精 小詩篇1 (ファミ通文庫)

エンターブレイン 2009-11-30

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父・康頼の手がかりを探すため、古い手紙を頼りに父の恩師を訪ね鎌倉へ。大人の女を相手に日々を過ごす由良健二に赤い髪の美少女が彼の運命を変える。傷ついた伊織のため、宮本家に通う常葉。しかし伊織のクラスメイト・山崎が現れて。妖精たちと“鞘の主”の秘密と絆を奏でる、待望の小詩篇。

 妖精とうまい話には裏がある

 "妖精の書"を巡って繰り広げられる戦争妖精と主人であるロードたちのバトルロイヤル。短編集。

◆Lebor Caointeach
 父の恩師を尋ねた先で秘密を抱えた少女と遭遇してというお話。
 クリス可愛いよクリス。食いしん坊でやたら手がかかるところが大好きすぎる。
 話も聞かずに一方的に襲ってくる方が悪いとは言え、無用な争いを避けたいと本当に考えているのならば、伊織はもう少し『鞘の主』であることを隠すようにした方がいいんじゃないかね。

 ウォーライクはいつも騒動の種にしかならないけれども、それでも幸福を得ている人もいる。戦わせるばかりではなく、もっとお互いに建設的な関係を築けないのかなと感じずにはいられない。

◆Lebor Geancannah
 出張ホストとして過ごす由良健二の元に少女が現れてというお話。
 なんというか改めて由良健二のキャラが小さくなってしまったような感じ。隠れヘタレか。
 母親に虐待された過去に囚われて自暴自棄になっているチンピラとしか見れなくなってしまった。
 色々とぐだぐだ言っているけれど、結局何がしたいのか信念が感じられないんだよなぁ。

 マラハイドの前では格好つけているけれど、命を狙われたのも自業自得じゃねぇか……。

◆Lebor Cermait
 伊織の友人・山崎に恋人ができるがその正体は……というお話。
 な、なんて頭が可哀想な奴なんだ、山崎……。むしろこれは人間としてダメだろういろいろと。
 女の子とデートするために場所を選ぶ気遣いを見せるのはいいんだけれど、それよりまずはその煩悩まみれの性格をなんとかしないと彼女どころか、男友達も離れていってしまうような。
 山崎の甘えた性根を叩き直す常葉先輩が格好良すぎました。これは惚れる。

 それにしても今回は性格に裏表の激しいウォーライクが多かったなぁ。クリスやリリオの精神は年相応なのにここまで違うというのは、生まれつきなのか、それまでの生活が性格を変えたのか。
 本編への伏線もちょこっと混じって、さらに続きが気になってきました。

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2009年11月05日

魔王城三限目/田口仙年堂

4047260932魔王城三限目 (ファミ通文庫)

エンターブレイン 2009-10-30

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魔王にもなり得る魔力を秘めた「魔人」たち。けれどその力を良い方向に向ければ、英雄にもなれる。その思いを伝えたいと、今日も今日とて苦心しながら授業を進めるエイゴ。だが一番年下のユーニィはまだ六歳。なかなかうまくは伝わらない。悩むエイゴの前に、あるチャンスが訪れる。

 末は魔王か英雄か

 子供は何者であれ無限の可能性を秘めた金の卵。しかし、腐った大人は平然とそれを踏みにじる。
 「魔人」に備わった強大な魔力を正しい方向に導こうとするエイゴとその期待に応えようと頑張る子供たちの姿が微笑ましいだけに、彼らを貶めようと画策する大人たちの存在が腹立たしい。
 自分を正しいと思うのは勝手。だが、正しいからといって人を傷つけていい「正義」はどこにもない。

 傷ついた生き物を守ろうとするユーニィとリタの気持ちは、大人が頭ごなしに否定してはいけない。
 たしかに相手は危険な魔物かもしれないが、それでも今にも泣き出しそうな子供の願いをなんとか叶えてやるのが大人ってもんじゃないのかよ! 正論だけでは、子供は幸せになれないんだよ!
 魔人とか魔物とか抜きにして、まず人間として正しい行いをしているのか、子供たちを非難する大人たちは我が身を振り返って見つめ直すべきだと思う。

 そもそもハイナートが魔人にちょっかいをかけるのは、ちゃんと勝算があってやっているのかな。
 彼らを本気を出せば、どんな軍隊でも対抗できないし、国くらいは軽く消し飛ぶんだぜ?
 ワーズ准将とかは「触らぬ神に祟りなし」を分かっていて、魔人たちを刺激しないように監視までつけているのにハイナートの行為はまさに「藪を突いて蛇を出す」ことになるんじゃないかしら。

 英雄を崇拝するのはいいが、彼女の行為は平和な世の中に新しい魔王を生みだそうとしていることと同じなのよねぇ。それをわからずに感情で暴走しているからイマイチ小物なんだよなぁ。
 それはアプリールの純粋な心を利用する錬金術師たちも同様。あの子供たちに手を出すとどうなるか、少しくらい"見せしめ"も必要なんじゃないかと思いはじめてきた。
 でも、やらないでしょうね、あの子たちは優しいから。一方的に虐げられる子供たちの無力が悔しい。次巻こそは、この気持ちをエイゴが晴らしてくれることを期待したい。
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2009年09月03日

彼女は戦争妖精 4/嬉野秋彦

4757750439彼女は戦争妖精 4 (ファミ通文庫)
フルーツパンチ
エンターブレイン 2009-08-29

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妖精の書”について考える暇もなくクリスとルテティアの世話に追われていた。そんな伊織の様子を気遣う常葉、伊織の気持ちを知りたいさつき、不穏な行動を重ねる薬子…。“妖精の書”を巡る様々な思惑とネパトリックの執念の刃が伊織たちに襲いかかる

 災いを招く妖精たち

 "妖精の書"を巡って繰り広げられる戦争妖精と主人であるロードたちのバトルロイヤル。

 クリスがロリ可愛すぎて生きているのが辛い。膝の上に抱っこしてもふりたいいいいいい!!!
 ルテティアに挑発されたさつきが、ようやく伊織に自分の気持ちを伝えましたが、それにしても惚れた相手が最悪だったな。伊織、君はどこまで冷血漢なんだ……。
 振るにしてもあの素っ気なさは酷いとは思うが、ある程度の予想はできてました。

 一緒にプールなんか行っちゃって、常盤先輩が本命すぎるなぁ。っていうか、当初は色気のないキャラだった常盤先輩が、このところどんどん可愛く見えてきてやばい。
 伊織の鉄面皮と真正面から張り合えるほどの相手は、元々常盤先輩か薬子さんくらいだし。
 その点、さつきは完全に力不足だよなぁ。でも、伊織がさつきと距離を置こうとしているのは、ウォーライクの戦いに巻き込まないためで、実は彼なりに配慮してるんだよなぁ。

 ルテティアにしても、さつきを使って振り回したことについての憤りはあるものの、敵に捕らわれた彼女を救いにいくなんて、とんだツンデレですよね。
 ツンデレは、いつも無茶するから危なっかしいんだよなぁ。今回も、都合よく力の暴走が始まったからよかったものを、普通ならあのまま胸に風穴を開けて死んでたよなぁ。ツンデレは悪運まで強いのか。

 "妖精の書"と伊織の命を狙うパトリックをかろうじて撃退したはいいものを、それ以上に薬子さんが、ラスボスのフラグを屹立させてしまったようです。
 事情を少しだけ知ってしまったさつきですが、さらにまさかの参戦フラグとかないですよね。
 今回に懲りてルテティアが少しでも殊勝になるといいんだけれど、それこそ無茶なんだろうなぁ。

 とりあえずは、一段落。次は短編集だそうです。ファミ通文庫WEBの方はあまり読んでいなかったらから新鮮ですね。なんでも海外にいたころのルテティアのお話とか。はやく読みたい。
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2009年09月02日

バカとテストと召喚獣 6.5/井上堅ニ

4757750404バカとテストと召喚獣 6.5 (ファミ通文庫)
井上堅ニ
エンターブレイン 2009-08-29

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ついに登場!秀吉の姉・優子がFクラスに!?『アタシと愚弟とクラス交換』、夏休みはみんなで海にバカンスだ!衝撃シーン満載の『僕と海辺とお祭り騒ぎ』前後編、神童と呼ばれていた少年と物静かな少女、二人の学校生活で起こった小さな事件『雄二と翔子と幼い思い出』の4本で贈るショートストーリー集第2弾。

 海と太陽とバカの夏

 学力は最底辺、けれども愛すべきバカたちが巻き起こす大騒動を描いたお気楽極楽学園喜劇。

◆アタシと愚弟とクラス交換

 文月学園のPVを撮影することになり、歌の苦手な優子が秀吉と入れ替わるお話。
 秀吉の方がスタイルが良くて、女の子らしくて可愛いとか、優子の女としての尊厳がピンチw
 さらには秀吉のうっかり発言のせいで、優子がノーパン主義者で同性愛者またはショタコンであるという疑惑の三重苦まで。普段、秀吉が自分の姉をどのように見てるのかよくわかりましたw

 もっと生真面目な優等生だと思ってたんですけどね、優子さん。まあこの学園の中では、BL腐女子程度ではまだまだ正常の範疇かな。

◆僕と海辺とお祭り騒ぎ(前編)
 夏休みにいつものメンバーで海に遊びに出かけるお話。お昼編。
 玲姉さんの天然ボケのキレがすげえ。バカなのではなく、わかっていて本気なところが恐ろしい。
 そしてお約束通り、性別を誤認されて上半身にトップスを強制される秀吉。ですよねー。
 っていうか、女の子と一緒に海に行ってる時点で十分にリア充なのに、さらにナンパとか! 明久と雄二は、死にたいのか! 逝っちゃらめええええええええええ!!!

 でも、ムッツリーニが可愛いく見えるとか、それは幻想じゃないか・・・・・・?

◆僕と海辺とお祭り騒ぎ(後編)
 夏休みにいつものメンバーで海に遊びに出かけるお話。夜編。
 いかにも楽しげな夏祭りの風景から、一転男子にとっては羞恥プレイに等しい地獄に突き落とされる姿に、やはりあの女性陣は決して怒らせてはならない存在なのだと再認識。
 しかし、アキちゃんの人気っぷりは相変わらずですが、またしてもムッツリーニが意外な高評価。

 これからどこかで「香美は俺の嫁!」とか言い始める人がきっと出てくるんだろうなぁ。

◆雄二と翔子と幼い思い出
 小学5年生の雄二と翔子が遭遇した小さな事件のお話。
 なんかもう、雄二と翔子がお似合いすぎてどうでもよくなってきました。
 翔子のお陰で思い上がってた自分の眼を覚ますことができたのに、いつまで雄二はツンデレるのか。
 きっと翔子にとって、このときから雄二はずっと彼女のヒーローなんだろうなぁ。
 バカテス史上、一、二を争う感動のお話でした。

 アニメ化のキャスト発表も行われ、波に乗っていますね。このままどこまでも行ってほしい。
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2009年09月01日

"文学少女"と恋する挿話集 2/野村美月

4757750390“文学少女”と恋する挿話集 2 (ファミ通文庫)
野村美月
エンターブレイン 2009-08-29

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親切だけどお節介で早とちりなななせの親友・森ちゃん。そんな彼女に恋する少年・反町の前に、“文学少女”が現れて!? 心葉に恋するななせの切ない胸の裡を描くほか、心葉のクラスメイト達を中心に、時に本編で語られなかった秘めた想いまでもが描かれる、珠玉のエピソード集待望の第2弾!

 詩人は生涯恋して、永遠に愛を詠う

 "文学少女"本編では語られなかった恋の物語を綴った小話集。

 琴吹ななせの親友・森ちゃんに恋する反町くんの恋愛模様がもどかしい。
 一途に森ちゃんのことを想っているのに、何故か琴吹ななせのことが好きだと誤解されて、いざ勇気を出して告白しようとしてもなかなか思い通りにいかない姿には共感を覚える。
 やっと付き合い始めても、いつもいいところでキスを邪魔されたり、またもや琴吹ななせ絡みで誤解を与えてしまったりと、悩みの尽きない彼に同情しつつも思わず苦笑してしまった。

 落ち込む反町くんの前にどこからともなく現れてハイネやバイロンの詩集を押し付けてくる遠子先輩は、相変わらず自分の世界にINして突っ走ってますね。
 私もハイネの詩はピュアで好感が持てましたが、バイロンと中也は好きになれそうに無い。タゴールは感性が違いすぎるというか、嫌いではないんだがいまいちピンとこなかったかも。
 しかし、反町くん、君ってヤツは本に影響されすぎだろう。それよりも、押しの強い彼女に遠慮していないで、男らしく言いたい事をハッキリ言えば解決できる問題もあったんじゃないかなぁ。

 閑話として収録されていた"おやつ"の中での井上の境遇には大笑いしてました。
 案外どれもこれも根も葉もない噂話とは言い難いんじゃないかな、本人が気付いてないだけでそのケはあるような気がする。噂話を信じ込んでアレコレ忠告してくる遠子先輩最高です。
 おまけに心葉に疑惑が持ち上がるたびに恐る恐る訊ねてくるななせがいじらしいのなんのって!

 やはり今回のメインは、『ななせの恋日記』ですね。久しぶりにななせ分を補充できた。
 というか、メールの文面やカレンダーの書き込みとか、性格変わり過ぎでしょう。ななせがあんなに顔文字を使っているなんて、ちょっとショックを受けましたよ。
 心葉もあそこまで想われていたらさぞかし幸せだろうと思いますが、でも、ぶっちゃけ重いだろうというのは納得。いつツンデレがヤンデレに転化してしまうのかとヒヤヒヤものです。

 恋をしている女の子って、いいですよね。ななせも森ちゃんも可愛かった。反町くんもヘタレだけど単純なところが憎めなくていいヤツだった。心葉のいい友達になれないかな。
 森ちゃんと反町くんの恋愛模様の続きは、『"文学少女"見習い』の方で期待しますかね。

 ときに心葉の妹の舞花タンかわいいよ舞花タン。イラストで出てきたのって、初めてじゃない?
“文学少女”見習いの、初戀。 (ファミ通文庫)“文学少女”見習いの、初戀。 (ファミ通文庫)
竹岡 美穂

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2009年08月02日

オオカミは懐かない!? 5/高崎とおる,黒川実

4757749295オオカミは懐かない!? 5 (ファミ通文庫)
高崎 とおる,黒川 実
エンターブレイン 2009-06-29

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宵見里の旧い体制に異を唱え、ヒナの兄、和臣が篭城事件を起こした。長老衆は怒り戸惑い、里は内部分裂の様相。さらにそこへ突然、防護服を着た政府の人間たちが現れ「宵見里は未知の病原体に汚染された、早急に退去しろ」というのだ。まさか政府の里への介入が始まった?

 すべての者に祝福の鐘を

 異能と怪異が共存する宵見里を統べる諏訪部のお姫様とその護衛役の少年の物語。完結。

 ハッピーエンドでしたが、すべては鬼畜眼鏡の手の上で踊らされていた感が・・・・・・。
 宵見里を支配する古い考えに凝り固まった大人たちに、これまで迫害されてきた"流れ"の者たちと反乱を起こした和臣だけれども、普段が腹黒いもんだからヒナや勇太たちからは『絶対に何か裏がある』と、ちょっとおかしな信頼を得ている光景に思わず苦笑。

 和臣が政府を介入させてきたのは、"流れ"を異端視している大人たちに、一般人からしてみれば自分たちも異端の存在であるということを思い知らせるためですかね。
 そもそも"流れ"を里に住まわせると、里に混乱を招くという理屈に説得力を感じない。この風習って、里の住人の優越感を満たすだけのものじゃないかなぁ。
 だって、"流れ"の方が、里の住人より強かったり、有益だったりするじゃないですか。それってある意味で、彼らは異能の天才児なんですよ。でも、里の住人は、代々受け継いできた能力や技術がそれよりも劣っていると認めたくなかった。だから、一方的に悪者にして見て見ぬフリをしてきたんじゃないかと思うんですよねぇ。

 でも、檸檬と薫子の爺ちゃんズの言うように、『女子供を守るのは男の役目』という考えは、男女平等になった現代でも、絶対に残すべきだと思いますね。それがなかったら男の存在価値はなんなのか。それを見失っては男としておしまいだろうよ。
 そして婚約者より妹を優先させる和臣もどうなんですかね・・・・・・。信頼しているのはわかりますが、いきすぎたシスコンっぷりで伊吹さんに愛想を尽かされないか心配です。というか、わざと怒らせようとして迷惑かけてるでしょ。好きな子に意地悪する小学生男子ですか。

 檸檬を狙うシープランドからの侵入者たちの仕業で、一旦は追い詰められたかに思えた宵見里の人々でしたが、里の住人と"流れ"の者が一致団結して猛反撃を開始するところは燃えましたね。いつになくキレていた狐狩田先輩も洒落じゃなく怖いわ!
 しかし、クライマックスにしては危機的ハプニングもなく予定調和すぎたかもしれませんね。相手が弱すぎたのと、悪役としてあまりに下品で格好悪かったというのもあります。

 エピローグは、まさに誰もが幸福になるグッドエンディングなんだけれど、出来過ぎな気持ちも。
 檸檬派の自分としては、最終的に誰ともくっつかなかったのが嬉しいような悲しいような。
 思えば、案外長く続いた方かな。なんにせよ無事にシリーズが終われて、よかったと思います。次回作への期待はモノによる・・・・・・。
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2009年08月01日

学校の階段 10/櫂末高彰

4757749848学校の階段 10 (ファミ通文庫)
櫂末 高彰
エンターブレイン 2009-07-30

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刈谷との階段レースに敗れるも、再戦を渇望する幸宏。勝負にこだわるあまり周囲から孤立していく幸宏を気にかける階段部の面々――。しかし、彼等は知らなかった。二人の決戦に呼応するかのごとく創設以来最大の危機が階段部に迫っていることを!

 駆け抜けろ! はるかゴールのその先へ──

 学校の階段を駆け上がる階段レースに青春をかける少年少女たちのスポ根学園グラフィティ。

 まさに長いレースを走りきったという表現がふさわしい見事な大団円でした。
 刈谷との階段レースでの再戦を果たすため、卒業生を送る会での対戦を準備するも、勝負の決め手が掴めず他人を避けるようになり、さらには生徒会の仕事が疎かになってしまい、それが後々に生徒会長リコールや階段部存続の危機を招いてしまうところは、まだまだ幸宏も未熟で危なっかしいなぁとは思うものの、みんなそんな彼だからこそ放っておけないんでしょうね。

 階段部を待ち受ける精鋭たちとのミニゲームは、まさにこれまでの総集編といったカンジでした。
 泉と美冬のテニス対決、井筒と凪原の盗撮鬼ごっこ、刈谷と合田の筋肉番付(?)、三枝と電脳研とのフリースロー対決、九重は因縁のある陸上部の後輩二ノ宮とのハードル競争、そして幸宏は三島との階段レース。
 きっとそれぞれいつかは決着をつけなければならない勝負だったんでしょうね。筋肉部は謎ですが。まあいつものことか。相変わらず、彼らは筋肉の妖精さんでした。

 そして刈谷と幸宏のファイナルレース。そこに至るまでの長さと比べるととても短い戦いでしたが、それだけに階段レースにかける二人の純粋な思いがそこにありました。
 二人が見ようとしていた"なにか"については明確な答えは出ませんでしたが、たぶん「自分の力を信じる勇気」みたいなものではないでしょうか。
 自分に何が出来るかは分からない。でも、何もしないままではいられない。失敗や挫折を怖れず、とにかく一歩を踏み出してみる。それが自己の可能性を目覚めさせる。

 "なにか"を掴んで『先』へ行った刈谷、いまだゴールの見えないレースの最中にある幸宏。
 同じ道を走る二人が送辞と答辞を読み上げた卒業式は、この一年間、階段部を見守ってきたすべての生徒と教師にとって、特別な意味をもった卒業式になったんじゃないかな。
 ただ、あくまでこれは区切りであって、三年生がいなくなっても幸宏たちの学校生活は続いていく。幸宏の恋愛問題もまだまだ加熱を帯びて、階段を駆け上がる彼の青春は終わらない。

 文句なしの完結でした。惜しむらくは、マンガ化もアニメ化もしなかったことかな(実写化は黒歴史)。この作品については絵がついた方が面白いだろうなと期待してたんですけどね。残念。
 櫂末高彰先生の次回作にご期待ください。
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2009年07月31日

モンスターハンター 疾風の翼 5/氷上慧一

4757749899モンスターハンター 疾風の翼 5 (ファミ通文庫)
氷上慧一
エンターブレイン 2009-07-30

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雪山深奥への道が開いた―。追い求めていた情報を手にしたテアンとマディリアは、駆けつけたクルトアイズと共に、すぐさまフラヒヤ山脈へ向かった。だがその地で彼らが見たものは、真に目覚めた崩竜ウカムルバスとナゼルの残した驚愕の痕跡だった…。

 絶対零度の死闘

 太刀使いのマディリアとライトボウガン使いのテアンの狩猟冒険記。完結。

 最終巻にMHP2Gの最強モンスター・スコ・・・・・・ウカムをもってくるあたり、空気読んでますね。
 そして話の舞台もポッケ村ということで、我らが双剣パパことキオきたー! 前回に続きロッシィやエーデリカ、ミモリ、クルトアイズといった懐かしの顔も揃い、いやがおうにも気分を盛り上げる。
 しかし、もちろん主役はマディリアとテアン。すべてはこのときのために、鍛え上げてきた武器とハンターとして経験を重ねた二人の成長ぶりがうかがえる素晴らしい戦いでした。

 兄ナゼルが生きていると信じていたマディリアですが、対峙したウカムにナゼルの敗北の痕跡を見つけてしまい、兄の死を悟ってしまうところは辛かったですねぇ。
 でも、そこで立ち止まることなく進むことができたのは、テアンと一緒に過ごした数年間があったからなんだろうなぁ。

 それにしてもテアンの観察眼は攻略本でも読んでるのかというほど正確ですよね。
 腹下縦斬りとか、後ろ脚乱舞とか、突き上げに忍耐の種とか、あまりにウカム戦の定石すぎるかもしれん。バーストストリーム時の音爆弾は、実際プレイするときは誰も狙いませんが。というか、大タル爆弾Gの使い方はそれでいいのか・・・・・・。爆弾は雪中泳ぎのときの壁として使うんじゃないかなぁ。私はそれでよく怯みを狙っているけれど。

 テアンやマディリアの活躍がクローズアップされてますが、多分、一番のダメージ源はキオ・・・・・・。
 銘火竜弩も強いんだが火事場なし・サポート重視ではコウリュウノツガイの火力には勝てない(?)
 そういえば、マディリアとキオは装備品で切れ味レベル+や心眼ついてるのに何故弾かれる!?
 双剣は乱舞中は弾かれ無効だから、心眼いらないんだがなぁ。まあ、必ずしもゲーム通りにしなくてはいけないわけじゃないけれどね。

 ちなみに私はウカム戦はミズハ真一式+ヴォルカニック=ギグでPTのサポートに徹することが多いです。旋律は、「紫紫黄黄紫空空黄空」。ヴォルカニック=ギグはウカム専用といっても過言ではない。ドドブランゴでも使いますが、あまり接近戦で戦いたくはないです。

 MHP2G編もこれにて完結。そしてついに明日にはMH3も発売ですね。
 小説版もあるとしたら、今度はキオの息子のサイル編かなぁ。
 けど3の武器ジャンルが大幅削減とかどうなんでしょうね? 笛とガンランス削られたのがなぁ。スラッシュアックスなんて大剣と被るしいらないんだけれども・・・・・・。
 買うとしたらPSP版だと思いますが、MH3PはやはりMH3を踏襲するのだろうか。

 それともまさか、噂の新型ハード機で・・・・・・ハハハ、まさかな・・・。
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2009年07月02日

耳刈ネルリと奪われた七人の花婿/石川博品

4757749325耳刈ネルリと奪われた七人の花婿 (ファミ通文庫)
石川博品
エンターブレイン 2009-06-29

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いつものように農芸隊の活動に勤しむレイチとネルリ。そんなある日、彼らは舞姫チェリの華麗な踊りを目の当たりにする。彼女に感心しきりのネルリだったが、なりゆきでチェリと演劇大祭の舞台で勝負すると宣言!問題児たちの舞台は八高に何をもたらすのか!?

 今宵は、一世一代の革命劇

 諸国の王族も通う"八高"で、個性豊かな問題児たちが繰り広げるドタバタ学園コメディ。

 相変わらずどこかヘンテコな歌やら文化やらに吹き出してしまう。なんで古文にウィキがあるねん!
 ネルリの負けず嫌いから始まった十一組の『耳刈ネルリ』のミュージカル化計画ですが、あの個性派揃いのイロモノ集団がここまで本気で演劇に打ち込んで、ちゃんとした舞台になるとは思ってなかった。
 なんともユニークでネルリの勝手なアドリブで右往左往する仲間たちのドタバタっぷりが楽しかったです。

 歌劇で演じる初代ネルリの気持ちに悩むネルリに、男性陣がネルリにハーレムのすばらしさを知ってもらおうと個々にアプローチを仕掛けるところなんて、急にモテモテになったネルリ自身も満更ではなく途中まではいいムードだったのにあっさりバレてお仕置き部屋行きに。コイツら本当に馬鹿だなぁと思うけれども、そんな下らない事で大騒ぎできる彼らの若さがうらやましい。

 それにしても、お調子者レイチの妄想っぷりは際立って変態ですね。欲望に衝動的すぎるだろ。
 自分らしく生きろという二人の兄の教育方針が、なんか別方向に練成されてしまっている気がする。
 でも、とっさのネルリのアドリブにも対応してみせる状況判断はなかなかだし、目立つ人物でもないのに自然と人が集まってくるし、土壇場でこそ胆が据わるあたり、案外、大物なのか?

 舞台で初代ネルリを演じていても、いつものネルリそのままってカンジですね。
 目立ちたがりで融通がきかなくて癇癪持ちで頑固。でも女の子らしさを隠し持っている。暴君だけれど人間臭い。舞台パートを読んでいると、そんな彼女がなんだか可愛らしく思えてきちゃいました。
 しかし、ただの学校の演劇が、ネルリの国で文化革命を起こすまでになるとは、影響力が恐ろしい。

 レイチもネルリもお互いの想いに揺れ始め、また二人の距離感が縮まったことですし、このままなし崩しにイチャラブ化していくのかはわかりませんが、まだまだ二人の生まれや文化や風習の違いなど立ち塞がる壁は多そうなので、それらをどうやってブレイクスルーしていってくれるのかが見物ですね。続きを期待しています。
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2009年06月03日

ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc2/田尾典丈

4757748906ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc2 (ファミ通文庫)
田尾 典丈
エンターブレイン 2009-05-30

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みんなを幸せにする!―誓いを胸に激甘なハーレムライフを送る俺だったが、近頃学校では奇妙な噂が流れていた。「伝説の木で恋愛成就」?ちょっと待て、そんなゲームなかったか?まさか誰かが“世界改変”を!? そして、このタイミングでリアル幼馴染との再会なんてイベントも発生! どうする俺!?

 〜そして伝説の樹の下で〜

 現実世界に具現化したギャルゲーのヒロインたちと織り成すラブストーリー。

 ひと騒動過ぎて主人公の武紀とヒロインたちの関係もネクストステージへというカンジですねぇ。
 ヒロインたちは、すでに自分たちが虚構の存在だということを理解しているので、現実世界との齟齬を意識するようになったり、幼馴染の理恵とすれ違っていったりと、ストーリーとしてはギャルゲはギャルゲなんだけれども、妙に生々しくリアルなのが深いんだよなぁ。

 自分と武紀との間にある思い出が偽りだという事実にコンプレックスを抱いている理恵にとって、本物の幼馴染みの登場は、武紀との絆や繋がりを横から奪われたようなものですからね。記憶の改竄を望むほど思い詰めていた理恵の気持ちを考えるとつらかった。
 その一方でリアルの幼馴染みも、いつの間にか幼馴染として武紀の傍にいた理恵に対して同じ気持ちだったんでしょうねぇ。いやぁ、武紀も罪作りな男だ。もう裁判なしで有罪で死刑でいいよ。

 しかし、武紀の方も、美少女たちから好かれているのに胡坐を組んでヘラヘラ笑っているだけでなく、彼女らに相応しい主人公になろうと努力しているのがよかった。
 そこが昨日のエントリで書いた『ふらぐ//ON』の主人公との決定的な違いなんですよね。
 苦しくとも決して諦めず、ピンチのときこそまず行動。解決に導く手段がなくとも選択肢は自分で作る。コレですよ。主人公というのは、ヒーローなんですから、まず第一に格好良くなくちゃ。

 『もしギャルゲーが現実になったら』というテーマで、そこから起こりうるであろう問題や出来事を描いていて、なにかの思考実験を見ているかのような面白さがあるんですよね。
 「フィクションのように、なんでもかんでもうまくいくわけねーぞ」という皮肉もあって、タイトルとは裏腹に、あくまでもリアリティに沿っているのが、そこらのラブコメとは一線を画す要因なんじゃないかと。

 それはそうと、俺の愛【マナ】ちゃんをもっと出せぇえええええ!!!! このシリーズはもっとツンデレ分を添加するとさらに良くなると思うんだぜ!
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2009年06月02日

ふらぐ//ON! シナリオが破綻しています。/高崎とおる,坂東真紅郎

4757749244ふらぐ//ON! シナリオが破綻しています。 (ファミ通文庫)
高崎 とおる,坂東 真紅郎
エンターブレイン 2009-05-30

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ゲームシナリオライターのバイトを始めた昴は設定をみて驚いた。“ヒロイン:高城みなも”?クラスの憧れの子と同姓同名だ! 依頼主は何と「天国」で、書くのはリアルみなもの「人生のシナリオ」。つまり俺の書く通り彼女が行動するって!しかも“恋人”は俺!? 無理ムリ、ライターも恋愛も初心者なのにっ!

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 天国からの依頼で駆け出しライターの高校生が憧れの女の子の運命を操っちゃうラブコメディ。

 ぶっちゃけ、駄作だわぁ。可哀想と同情する気も起きないくらい酷い出来でした。

 シナリオライター見習いの主人公・森永昴が、天使に頼まれてヒロイン・高城みなもの人生のシナリオを書くことになり、自らが恋人役になってラブラブになるという趣旨のお話なんですが、森永昴の書くシナリオが「これはないわ・・・・・」というほど強引、不自然、無理矢理、ご都合主義全開なもので、シナリオライターとしての才能の無さを知らしめてくれる。
 まるで中学生の書いた妄想小説みたいで、正直、唖然としました。

 とにかく、森永昴という人間性の低さ、屑っぷりが際立っています。
 自分でラブイベントを書いておきながら、土壇場になって怖気づき、シナリオ通りに行動しなかった所為で、次第にシナリオが狂って高城みなもの身が取り返しのつかない事態に陥っていくんですが、自分に都合の悪いときだけ、「彼女の自由意思を尊重したんだ」とか言いやがって、いまさらかよ!
 ますます事態が悪化し、そこで取った手段が「シナリオを書かずに逃げ回っていればなとかなるだろう」とか、なんなのその日和見主義は!? この切羽詰った状況で職務放棄とは、さすがの読者も思いますまいよ!

 ひと一人の人生のシナリオを書くということは、その人間の運命すべてを背負うということであるのに、本人があまりにも無自覚、無責任、卑怯極まりない。
 高城みなもに対しての切実な愛情というものを感じないんですよね、なんせ始めっから不誠実なんだもの。
 彼女を救うために必死になっているのも、自分の失敗で彼女を死なせたと認めたくないからじゃないかな。彼女の気持ちというのを想像しようともしない。まさに自分本位。
 修正後のシナリオが変えられないとわかっての自殺騒動も、投げやりというのか、行動が浅薄というのか、悲愴感をまったく抱けないんだよなぁ。子供が駄々こねてるみたい。

 一番最悪なのが、最後のオチのつけ方ですよ。本当のギャルゲーでこんな頭の悪いネタを使ったら、ユーザーから間違いなくクソゲー認定されます。
 こんな主人公がライターやっていけるんなら、本職から「ライター馬鹿にすんな!」って苦情がきます。まあ原作者は本物のシナリオライターなわけだが、書いていて何も思わなかったんだろうかね。
 これは制作段階で担当者、編集者がチェックしてストップをかけないとダメだろうファミ通編集部。

 ちょっとP72で社長の語ってる、シナリオを書くときの心得を読み返して欲しい。
 私はこの作品を読んで、「なんでだYO!」と何度も叫ばずにはいられなかったのですが・・・・・・。
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2009年06月01日

モンスターハンター 疾風の翼 4/氷上慧一

4757748930モンスターハンター 疾風の翼 4 (ファミ通文庫)
氷上慧一
エンターブレイン 2009-05-30

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ナルガクルガ討伐から4年。単独での依頼も受るようになったテアンは、一人のハンターとしてその頭角を現してきていた。ある日、街の周辺で謎の爆発事故が多発する。そして時を同じくして目撃される、正体不明のモンスター。その異変は、炎を纏う古竜、テオ・テスカトル襲来の前触れだった

 灼熱の防衛戦

 太刀使いのマディリアとライトボウガン使いのテアンの狩猟冒険記。

 今回の標的は全モンスターの中でも致死率トップクラスのモンスター、炎王龍テオ・テスカトル。
 ハンターたちの集まるドンドルマの街に、突如、テオ・テスカトルが接近し、非常事態宣言が布かれる中、ハンターたちが一致団結して街を守るために立ち向かうんですが、前巻で活躍したハンマー使いのホルト、さらには前シリーズの大剣兄貴ロッシィまで再登場とくるんですから、これは燃える!

 もう、ロッシィとか懐かしすぎる! 相変わらずの大剣バカっぷりと俺様口調がいい味出してるぜ! 彼がいるだけで場のテンション上がる!上がる! 本当にいいキャラですよね。まさに怖いものなしといったカンジでパーティでは攻撃の最大の要。溜めの豪快な一撃はやはりモンハンの華です。
 ガードできないハンマー使いのくせにやたらモンスターの目の前に出るホルトも、戦いぶりは無鉄砲で危なっかしいんだけれど、それがチャンスを切り開くキッカケになって毎回「おおっ!!」と唸らせる。
 マディリアとテアンに欠けているのはこの熱血なんですよね。マディリアはクールだし、テアンも慎重派だから、戦いの中で勝負の流れを引き込むにはイマイチ勢いが足りないと感じるときが。

 しかし、それはパーティ内の適材適所でもある。やはり闇雲にぶつかっていくだけがハンターではなく、経験と知識を重ね、道具を使いこなし、モンスターの挙動を少しずつ見極めていって、攻撃によるダメージを蓄積していくというのがセオリーであり王道。
 ハンター一人一人が自分のすべき仕事をこなし、仲間の足りないところを補い合う。何も言わずともお互いの意図を汲み、そして見事に連携が噛み合って成功したときの快感! これがモンハンの面白さですよねぇ。

 モンハンは古龍クエが一番盛り上がる。というか、何十人もの大人数で集団戦を仕掛けているのが超燃える!
 ひと回り成長したテアンもマディリアに認められて、ついに一流のハンターの仲間入り。テアンの片思いもこれで少しは進展するのでしょうか。
 次回はついにシリーズクライマックスか? うーん、早いなぁ。できればMHP2Gで初出のモンスターをもっと行って欲しかったし、大連続クエも見てみたいのですが・・・・・・。
 テアンはそろそろライトからヘビィに持ち変えないと、スコップ相手は辛い気がするが、どうなるのか。
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2009年05月06日

"文学少女"見習いの、初戀。/野村美月

4757748299“文学少女”見習いの、初戀。 (ファミ通文庫)
野村美月
エンターブレイン 2009-04-30

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聖条学園に入学した日坂菜乃は、ひとりの上級生と出会う。文芸部部長、井上心葉。遠い人を想い時折切ない目をする彼に、強く惹かれる菜乃だったが、まるで相手にされず、落ち込む日々を過ごしていた。けれど、菜乃がある事件に巻き込まれ・・・。

 天然女と文学男

 文学初心者の少女が事件に隠された真実を探し出す、もうひとつの”文学少女”の物語。
 
 遠子先輩はいないけれど、マイペースな菜乃に振り回される心葉のツンデレっぷりにほっとする。
 心葉が自分のことを「温厚だ」と認識しているところに、「おいおい、何を言い出すんだ。お前は、どうみても性格悪いだろHAHAHAHA!」と思わずにはいられなかった。
 よく言えば繊細、悪く言えば幼稚。どちらにせよすぐに弱音を吐いて、ネチネチ、グダグダと根暗ね。
 しかし、文学少女の立ち位置を引き継いだ心葉のちょっと成長した姿が格好良かったり。事件解決のために立ち回る探偵役も、なかなか堂にいってました。

 相変わらず、2名しかいない文芸部。まだ部として成り立っているのかと不思議でしたが、そういえば事実上、同好会に格下げされてるんだっけ・・・・・・。
 心葉が文学ネタの蘊蓄を垂れている部活風景も新鮮ですね。珍妙な三題噺を書きあげる菜乃に、かつての自分を棚に上げてダメ出しするところなんてニヤニヤ。
 それに菜乃の感想が遠子先輩と違っててもいいじゃないかと。読書の楽しみ方は、いろいろあっていいはず。菜乃の感想も個性的で面白いですよ。スプラッター的な意味で。
 読書は先入観を持たずに直感で読んで、まず楽しむことが第一だと思いますけれどね。まあ私なんかそれで後で感想を書くときに、気持ちを言語化するのに毎回苦労してますが。

 それにしても読んでいて気になったのが、心葉がすっかり遠子先輩の崇拝者となっている部分。
 まあ、心葉って過去を美化して酔いに浸るタイプですよね。美羽のときもそうだったし。
 "文学少女"本編では、遠子先輩の卒業と共に、残りの高校時代は割愛されていましたが、遠子先輩はいなくなっても、琴吹ななせは高校3年生の間も心葉と一緒にいたわけで、振られても好きな気持ちを忘れられない相手がずっと近くにいるというのは、相当辛いでしょうね。
 積極的に自分の想いをアピールする菜乃に対し、嫉妬する琴吹ななせが可愛かったー!

 キャラクターが変わっただけで、やっていることは本編と同じですが、大好きな”文学少女”シリーズが帰ってきたようで楽しかったです。
 スピンオフだか、セカンドシーズンだかわかりませんが、是非とも心葉が卒業するまで続けて欲しい。
 本編の方は、コミックの1巻がすでに発売され、さらには劇場アニメ化まで発表がされました。
 私としては映画ではなく、隔週のTV番組枠の方向で制作して欲しかったところですが、まあ文句は言ってはいけない。もっと売れれば企画編集部も考え直すでしょう。売れろ〜(電波送信)

 ときに劇場版はオリジナルストーリー補整ということで、琴吹ななせエンドというのはどうだろうか。
 彼女にもちょっとは良い目をみせてあげたってバチはあたらないと思うんです・・・・・・。
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2009年05月05日

バカとテストと召喚獣 6/井上堅二

4757748272バカとテストと召喚獣 6 (ファミ通文庫)
井上 堅二
エンターブレイン 2009-04-30

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夏休みに入ったものの、鉄人の暑苦しい補習を黙々と受けていたある日、召喚獣を喚び出してみると、そこに現れたのは古今東西の物の怪に姿を変えた召喚獣たちだった。補習をサボリたい彼らの願いにより、急きょ2、3学年をあげての「肝だめし」が開催されることになり・・・。

 学校のバカらしい怪談

 学力は最底辺、けれども愛すべきバカたちが巻き起こす大騒動を描いたお気楽極楽学園喜劇。

 なんといってもラスト終盤の明久のかっこよさは異常。やるときは決める男だと信じてました。
 召喚システムの異常で、何故か文字通りモンスターの姿に変わってしまった召喚獣を用いて、「肝試し大会」が開催されることになり、いつも通りの召喚獣バトルも顕在ながら、お化け屋敷と化した教室に設けられた障害を突破し、徐々にゴール地点へ向けて攻略していくというRPG的な面白さも加わりました。

 しかし、「バカとハサミは使いよう」という言葉は、まさにこのこと。
 成績は悪けれども、それぞれの特技や持ち前の特性を駆使して、途中のトラップをクリアしていく。
 メンバーを適材適所で割り振る坂本雄二の指揮官としての腕の見せどころですね。
 「世の中学力が全てじゃない」という持論を掲げる彼の真骨頂というカンジ。

 新バージョンの召喚獣の姿は、キャラにハマりすぎていて笑った。秀吉ー!w
 でも、姫路さんはまだマシだが、美波のアレはイジメじゃね? さすがに可哀想・・・・・・私も笑ったが。
 召喚システムは貧乳が嫌いか? もっと女の子らしいトランスフォームにしてあげてください。

 幕間のバカテストの珍解答にもいつも笑わせてもらっていますが、ときどき、意表をつく答えが出てくるからバカにできないんですよね。
 「バカの一念岩をも徹す」を地で行く明久の奮闘っぷりに燃えました。
 最初は補習をサボリたいだけだった雄二も明久を勝たせるために新たな策を練り、自分は控えて勝負の行方を相棒に託すというのも、それなりの信頼がないとなかなかできませんよね。
 この二人は本当にナイスコンビだと思いますよ。明久×雄二派大喜び。
 
 作品を読んでいてつねづね感じますが、井上堅二さんは話作りが上手いなぁ。
 「肝だめし」なんて、本来ならなんてことのない話を、これだけ笑えて、熱く書けるんですから。
 こういったシリーズとしての本筋のないラブコメ作品は、たいていワンパターンになってdgdgしてしまうものですが、学生として起こりうるイベントの範囲を超えずに、かつそこに斬新な要素を取り入れる発想力がすごい。

 三角関係の行方も気になるところですが、召喚システムに怪しげなフラグが立ちましたね。今後、これがどういった展開に繋がっていくのか・・・・・・。
 次巻で何事もなかったかのようにあっさり直っている可能性もなきにしもあらず。姉さんカムバック楽しみ。
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2009年02月04日

耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳/石川博品

4757746474耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 (ファミ通文庫)
うき
エンターブレイン 2009-01-30

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僕レイチ。今年から“八高”に入学する本地民(コネだけど)。植物でも愛でつつ妄想の中で暮らしていきたかったのに、クラスメイトは王国民流モラルハザードなヤツばっか! とくに何、この幼女? 耳刈? ネルリ? せっかくの高校生活、痛いのはイヤ―!(耳だけに)

 はじめて八高物語

 諸国の王族ばかりが通う"八高"で、個性豊かなクラスメイトたちが繰り広げるドタバタ学園コメディ。

 某国の独裁者の王女様やら、一夫多妻制の国家から妻連れでやってきた旧王やら、ヘンテコな冠かぶった三人娘やら、野心家な本地民の委員長やら、生まれた国や文化もごった煮なクラスメイトたちの中に放り込まれた主人公・レイチが語る学園闘争の日々とでも題せばよいのでしょうか。

 レイチが所属する十一組は、みんな仲良く和気藹々としたニコニコ学級。
しかし、学園内では、共和制を布く本地からきた本地民が運営する自治委員会と、独立した国家群からやってきた王国民が率いる学生防衛隊とで対立の火種が燻っていて、見えないところに存在する悪意や差別があったりと、決して面白可笑しいばかりでない重苦しい要素も加味した内容となっています。

 クラスメイトと比べるとレイチは一般ピープルではありますが、話が進んでいくにつれて、バカな妄想ばかりしているお調子者という正体が読み取れるかと思います。何気にコイツが一番、変だよ!
どんな場面でも、その場のノリとハッタリで突っ走るために、新たな騒動の原因にもなりかねないのですが、そんなレイチの勢いに、感染していくバk・・・・・・ゲフンゲフン・・・・感化していく同級生たちの間に絆が芽生えていくところに感動しました。

 それぞれの故郷の国の風習や文化の差に驚きこそすれ、本地民と王国民で態度を変えずに、相手がどんな立場であろうとも間違いを訴え、自分が正しいと思ったことを貫く姿勢は、ただの日和見主義のお調子者にはできませんよ。
物語のメインは耳刈ネルリという独裁少女に視点をあててはいるものの、レイチ本人も非常にユニークなキャラの持ち主で人間的魅力に溢れています。

 上昇志向が高いようで友人を捨てきれないカミレ、普段は女性好きなのにいざというときに友情を優先できるサンガ、ネルリの護衛役で堅物だけれど主人想いなナナイなど、通常なら憎まれ役どころの人々たちも、なかなか好感がもてました。

 キャラのアクが濃い印象があり、語り手のレイチの一人称が受け入れられるかで、意見がわかれると思いますが、個人的にはとても面白かった! 今年になって初のイチオシです!

 ときに「八高」は旧制高等学校のナンバースクールからきているんだろうか。
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2009年02月03日

ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!/田尾典丈

4757746466ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! (ファミ通文庫)
有河 サトル
エンターブレイン 2009-01-30

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ある日突然に世界改変の機会を得た俺は、躊躇なく願望を具現化した。『エターナルイノセンス』の現実化である。目指せメインヒロインルート――と思いきや、まさかの複数同時攻略ルート突入! しかもゲームにはないイベント発生! はたして俺と愛するヒロイン達はトゥルーエンドを迎えることができるのか!?

ギャルゲも、ひとつの人生です

 現実世界に具現化したギャルゲのヒロインたちと織り成すラブストーリー。
ギャルゲのヒロインを現実に召喚しちゃうお話といえば、本田透の『らぶジェネ!』もアホな話だと思いましたが、それ以上にいろいろとダメな作品。それなのに、なんか面白いから困る!

 朝の起床は幼馴染みの目覚ましから、勝手にベットにもぐり込んで居眠りしている義妹、家庭的な義姉の手作りの朝食を食べて登校すれば、クラスメイトには明るい学園のアイドル、そして謎の美少女転校生・・・・。
大好きなゲームに登場する女の子たちを実体化させ、そんな夢の生活が始まるかと思ってみれば、そうそう美味い話があるわけがなく、現実世界にゲーム世界のキャラを投影してしまったことで、ヒロインの周囲の人間関係に不和が広がっていく、現実とゲームとのギャップが物語のポイントになっています。

 ゲーム世界とは違って、現実世界では誰かの攻略ルートに入っている間も、当然ながら他のヒロインの時間も同時に進行しているので、不運や災難といった数々のイベントがヒロインたちに次々と襲う。
さらには元から現実に存在していた生徒たちとも人間関係が破綻していき、現実がゲームのシナリオから大きく外れてバグが広がっていく。
「ギャルゲ世界における『ご都合主義』がなくなったら、現実世界においてヒロインたちはどうなるのか」というのをシミュレートしているのが興味深いです。

 シナリオを知っている主人公・武紀とっては、ある程度の未来がわかっているようなもので、ヒロインたちにどんな運命が待ち構えているのかを知っているはずなのに、本人は事態を防ごうともせずに、怖気づいてヘタレてばかりいるのには流石に辟易しました。
しかし、「自分はギャルゲの主人公にはなれない、でも、ゲームとは違って現実世界での選択肢は無限大!」というところに気づいてからは、まさにギャルゲの主人公キャラもかくやという行動力でヒロインたちの窮地を救っていく様は、少しくらいスマートでなくとも十分に男らしくて格好よかったと思います。

 ヒロインたちも、ただ守られているだけじゃなく、芯の強いところがまた良いんですよねぇ。
 ヒロインの設定とストーリーの展開はベタすぎるほどにベタです。というか『Kanon』そのまんまじゃ・・・。
現実的といえば、これほど夢と妄想に現実を叩きつけているお話もないでしょう。
タイトルと表紙だけで、「これはちょっとなぁ・・・」とスルーしてしまうのは、惜しいかもしれない。

 ときに私はゲームのヒロインズよりも、ツンデレ少女の高橋さんを攻略したいところです。
態度は乱暴だけれど、親しくなれば思っていたよりいい子で、気風のよいところや照れ屋な一面なんかに思わずフラグが立ってしまいそうです。

私のところにもこないかな、不思議なメール。そしたら、俺、新世界の神になるわ。

らぶジェネ! (MF文庫J)らぶジェネ! (MF文庫J)
本田 透

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2008年09月08日

ひな×じん/紙吹みつ葉

4757744072ひな×じん 鎖の少女と罪悪感の天秤 (ファミ通文庫 か 11-1-1)
紙吹みつ葉
エンターブレイン 2008-08-30

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ネットカフェに寝泊りする少女、山野井雛菊は故郷から離れ絶賛一人ぼっちな生活中。その放浪生活の目的は、懐中時計に宿ってしまった不思議な人格(?)ジンを成長させる《部品》を回収すること。しかし《部品》を作り出すためには、人の心に渦巻いた欲求を解放してあげなくてはならなくて……。

懐中時計俺

不思議な懐中時計とネットカフェ難民少女がおくるハートウォーミングファンタジーです。

懐中時計に宿った意思・ジンにとり憑かれたせいで、人間の欲求を石として取り出してしまう力を得てしまった少女・山野井雛菊が、親しい人の願いまで取り出してしまわないよう、放浪生活を送りながら邪な願いや負の欲求に囚われている人間を懲らしめていく、といったお話なのですが、こころ温まるような、軽く鬱になるような、なんともいえない読感でした。

ヒロインの雛菊は元気で、ハキハキとして物怖じしない、とても好感のもてる女の子です。
相棒のジンはいたって無愛想な電子人格っぽい喋りをするキャラなのですが、イザというとき以外はあまり頼りになりませんし、雛菊に部品集めを強制していることに言葉では謝られても誠実さを感じないしで、正直、親しみはもてませんでした。
部品集めも雛菊に見返りがあるわけでもなく、デメリットばかりというのもむなしい行為に映ってしまう。
そもそもジンの正体は、謎の思念体というだけで最後まで明らかにされてません。
そこに納得がいかなかったというか、わけのわからない理不尽なキャラに振り回されるように進んでいくストーリーというのが、喉につまったように飲み込めなかったんですよね。

「例え悪いことでも、それもその人を形成する大事な要素、それを無理矢理奪うのは正義ではない」というような主張が語られますが、いかにも甘えた現代社会の人間らしい言い分に聞こえます。
周囲に迷惑をかけたり、嫌な思いをさせてまで尊重される人権なんてないですよ。
「何をしたって個人の自由だ、それが個性だ」という主張は、自由の意味を履き違えている馬鹿ですよ。
誰かが悪いことをしていたら、それに気づいたひとが諫めるのはどう考えても正当な行為じゃない?

それ以前に雛菊の出会う人々は、どうしてか自分が傷つくことばかりに敏感で、他人の気持ちに鈍感な甘え腐った人間ばかりで、自分で状況を改善しようという意志がみられないのが滅入ります。
でも、そんな嫌な人間ばかりでなく、中には優しい姉のカンナや、ぶっきらぼうでも心配性な幼馴染の郁人、チャッ友のカズミのようなマトモな人間が雛菊を見守ってくれていることに、とても気持ちが安らぐんですよねぇ。

しかし、最後はそんな善人からも願いを奪ってしまわないといけないような事態に陥ってしまって・・・。
う〜ん、本当にそんなことまでして、ジンの一方的で理不尽な要求に応じなければならない理由が何かあるんでしょうか、疑問に思えてきました。

その懐中時計、叩き壊してしまえ。多分、それで万事、解決する。
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2008年09月07日

"文学少女"と神に臨む作家 下/野村美月

4757743718“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫 の 2-6-8)
野村美月
エンターブレイン 2008-08-30

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「作家にならなくても一緒に居る」そう告げたななせに救われた心葉。だが、そんな二人の仲を流人が脅かす。そんな時、空っぽの家に切り裂かれた制服だけを残し遠子が姿を消して・・・。


それは青いすみれの季節

"文学少女"が紡ぎ出す、青春モラトリアム・ミステリー。完結。

読み始めるまではちょっと覚悟が必要だったのですが、ページを繰り出すとまさに怒涛の急展開でエピローグまで余裕でした。とても濃密な時間を味あわせていただきました・・・。

上巻あれほど恐ろしかった流人くんが、ただのヘタレに・・・。
琴吹さんにしてきた事を考えるとムカつくが、なんだか妙にカワイイなコンチクショウ!
散々、心葉の周囲を引っ掻き回しておいて、いまさらその情けない様はなんだとツッコミたくなりましたが、そんなダメ人間を愛するヤンデレ竹田さんのNiceBoatっぷりには、言葉を失うしかなかった・・・・・・。
もう他人に迷惑をかけない範囲で好きなだけイチャイチャしてなさいこのヤンデレカップルめ。

というかこれは本当にライトノベルですか?
ティーン向け小説で、ここまで人間のぐちょぐちょした感情をリアルに描写するっていうのはスゴイ。
それでいて甘く切なく、透きとおるように澄んだ情景に映るのだから野村さんの表現力には脱帽です。
登場人物たちが抱く思いに、読んでいて何度、胸を締めつけられる痛みに駆られたことか。
作家としての孤独、男女間の愛と憎しみ、そして満たされぬ愛への渇望。
それらも最後は幸福の中で溶け合って美味しいスープになりました。

心葉も琴吹さんをとるか、遠子先輩をとるか、途中まではいつものようにうじうじと悩んでいましたが、それでも遠子先輩と叶子さんとの繋がりを見抜いたことからの名推理はすっげーかっこよかったです。
それまでは完全にバッドエンドに思えていた遠子の両親の事件が、心葉の解釈で違った結末になってしまうんですから、ここにきてようやく主人公の面目躍如というところですね。
彼もやっと辛い現実から眼を背けず、『真実と向き合える人間』へと成長したのでしょうか。

ただ心葉は琴吹さんの扱いについてはズルいと思うんですよね。
回想シーンを読むと、心葉の気持ちは最初から遠子先輩にあったんじゃないかと思うんです。
たまたま落ち込んでいたところを琴吹さんに優しくされて、「作家にならなくてもいい」と言ってくれる彼女に甘えて、泣きついて、苦しいことからの逃げ道にしてしまっていた。
作家に戻ると決めたときも、別れなくたっていいのに。用済みになったらポイですか・・・。
琴吹さんはシリーズ通してとても頑張ったヒロインだったのに、もっとも恵まれないキャラだったなぁ。
それでもエピローグでは心葉の前で笑っていられるんですから強いですよね。
次はもっと彼女を第一に考えてくれる相手が現れることを願うばかり。臣くんなんてどうです?

結局、誰ともくっつかなかったからこそ、こうして綺麗な結末になったともいえるので、文学少女派とツンデレ派の賛否両論の議論については、とくにどちらにも加勢する気はありませんね。
それなら『どちらも派』だった俺のこの行き場のない憤りはどうすればいいんですかっ!!( ゚д゚)
シリーズ中どの巻も十分に傑作級でしたが、これまでのすべての伏線を使い切って描き上げた、この最終巻こそシリーズ最高傑作であるのは間違いありません。
ときに6巻のエピローグでレモンパイを焼いていた人の正体は、絶対に野村さんの悪ふざけだと思う。

新刊が出るたびに大興奮で買いに走ったこのシリーズも、これで終了かというと名残惜しいものがありますが、早くも来月発売のコラボ短編集で登場だそうです。心葉の○○シーンもばっちり挿絵になるとか。

女装ですね、わかります。
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2008年07月07日

世界の危機はめくるめく!/藤真拓哉

4757742886世界の危機はめくるめく! (ファミ通文庫 さ 5-3-1)
藤真 拓哉
エンターブレイン 2008-06-30

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「俺に力を貸してくれ!そしてみんなで、世界を救う方法を見つけ出そう!それができるはずだ!何と言っても、俺たちは神に選ばれたヒーローなんだから!」

スカートめくりで世界を救え

「世界に危機が迫っている」と神様から夢のお告げを受けた宮田真吾は、"選ばれた者"として特殊能力を授かった。
どうせ夢だと適当に「スカートをめくる力」を望んだら、本当に女の子のスカートがめくれるようになって大喜び。
だが、やがて本物の世界の危機が訪れて・・・。

主人公の真吾は、「スカートをめくる程度の能力」の持ち主。
他の仲間は、瞬間移動やら、分身やら、バリアやら強力な能力を持っているのに、よりにもよって「スカートをめくる力」という、世界の危機になんの役に立ちそうにもない能力を望んでしまったがために、肩身の狭い思いをするのですが、そこをフォローするヒロイン穂香の気配りがいいですね。

まあテレポートしたらパンツは飛ぶし、バリアは女性限定だしで、他の仲間もダメさ加減ではどっこいどっこいですが。
世界の危機を救うために選ばれた五人の戦士たちと言うと、
格好良く聞こえるが、こいつら揃いも揃ってヘンタイ野郎。
何度となく繰り返される穂香へのセクハラの嵐がひどいw
神様は与えちゃいけない人間に力を与えちまったな。

いや、でも好きな能力を与えてやるといわれて、そう答える気持ちはわからないでもない、むしろ男ならわからいでかっ!
戦隊ヒーローとかけて女子のパンツととく、その心は、どちらも『男のロマン』!彼らは決してただの変態じゃない!
もし変態だとしても、変態という名の英雄だよ!
ヘンタイの頭文字HにEROを足せば『HERO』さ!

それにしてもスカートめくりなんかでどうやって世界を救うのかと思っていたら、まあ予想通りのお約束な展開で・・・。
途中いつのにかラブコメになっていったかに見えたら、急にシリアスになって、一度は敵対したリーナと協力して世界を滅亡から救うために戦うという男子マンガ的場面は燃えますね。
学園異能ラブコメとしてもわりといけました。

最後は「オラたちの可能性を信じてくれ」で終わってますけれど、これはこの後どうなるんでしょう。まだ続ける気なのか?
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ファミ通文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする