ダフロン

2009年11月08日

記憶の森のエリス/七瀬川夏吉

4044748020記憶の森のエリス ブラコン×記憶力ゼロ→大迷走 (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-11-02

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あらゆる記憶が収められる場所「記憶の森」。守人の少女エリスは、依頼人の記憶を探すために、全裸で「森」に入るのであった! ブラコン少女エリスと記憶力超悪少年の、凸凹めもりあるラブコメ!

 記憶の旅へと出かけましょう

 すべての記憶が集まる「記憶の森」の守人の少女と案内人の物語。

◆夏×ブランコ+天然少女
 忘れてしまった幼い頃の記憶を取り戻して欲しいと頼まれるお話。
 案内人カガミのおバカさんっぷりと、守人エリスの容赦ないツンデレっぷりの掛け合いが面白い。
 記憶力がないのに妄想力はやたら豊かなカガミがエロに暴走していく勢いがよかった。
 『ツンデレは貧乳、天然は巨乳』はラノベの定番だけど、これはもはや揺るがない大宇宙の法則。

胸フェチだからといって巨乳好きとは限らない、貧乳の胸フェチだっているよ!

◆雪×紙片+恋する少女
 失恋した少女が相手の男子のことを忘れさせて欲しいとやってくるお話。
 守人は、客の依頼を断るという選択肢はないんだろうか。依頼人の弱気娘がどうもなぁ。
 失恋すれば誰だって辛いし悲しいのに自分だけそこから逃げちゃおうなんてのは卑怯だよ。
 失恋の痛手も含めて自分の気持ちに向き合えないのであれば、そもそも恋する資格はないと思う。
 たしかに今は辛くとも、いつか時が経てば大切な思い出に代わる。それが人間の成長なのだと。

 それにしてもオチがしょうもなさすぎる。

◆カガミ×思い出×欠けた記憶
 カガミとエリスの出会いのお話。
 絶望した! カイル君の実像に絶望した! イメージとかけ離れすぎだろう!
 行方不明の理由ってそんなことなのかよ! こんなやつずっと行方不明のままでいいよ!
 こんなヤツにエリスがラブラブかと思うと、もはや殺意すら沸いてくる。

 なんかあらためてエリスに引いた。変身したアルスヴィスだけがマイエンジェルです。

◆ツンデレ×きぐるみ×謎少女
 カガミたちの住む町で起きた連続記憶喪失事件のお話。
 『武装ツンデレ純白あるばちゃん』の攻撃方法が斬新かつ酷かった。
 最初からこっちのバトルものにした方が、ウケを狙えたような気がする。
 デレないツンなんてありえません。読者を喜ばせるためにやってるんですね、わかります。

 っていうか、ココロの正体もカガミの謎も明かさずに終わったよ。次の巻に続けんなし!
 しかし、『キノ旅』を目指して書いたというわりには『キノ旅』っぽくはないなぁ。
 むしろ『あずけて時間銀行』とコンセプトがほぼ一緒なのだが、編集部内部で調整してないのか?

 う〜ん、エリス以外の守人ガールズとアルスヴィス変身のために次も買うか。
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2009年11月04日

レンズと悪魔 XII 魔神解放/六塚光

4044707200レンズと悪魔 XII 魔神解放 (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-11-02

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歴代優勝者による最後の決戦、最終八眼争覇が開始された。魔王を討つべく反旗を翻したエルバたちは、魔王側についた3人と死闘を繰り広げる。人と魔神の絆が、魔王に打ち勝つことはできるのか――。最終巻、登場!

 そして魔王は、再び眠りについた

 レンズで悪魔を喚ぶ悪魔召喚士たちのバトルロイヤル。完結。

 見開き口絵のキャラクター紹介が前巻の魔神の紹介と対照的になっていてカッコイイ。
 予想しえない展開で魔王と人間との最後の戦いとなった"最終八眼争覇"。すべての悲劇と因縁に終止符を打つべく、決意を新たに戦いに挑むそれぞれの姿が見事だった。
 それにしてもミナ・ミグの爆弾発言にフイタ。クラヴリーが勝ち組すぎて妬ましい。

 最強剣士グレン・ダールの壮絶な戦いぶりやミカルのチキュウ空手最終奥義、マモルの執念の奇襲攻撃など、さすがはいままでの八眼争覇の勝者と感嘆する活躍でした。
 しかし、魔王側もさることながら邪道のセブンディ、王道のアンテノラと隠れた実力を見せてくれましたね。契約している魔神の能力とはいえ、ルシアンは若干やることがセコくね。
 ときにエルバはゾンビに追いかけられて逃げまどって、何をやってるんだい主人公?

 しかし、プラナ・モートは魔神の力をすべて持っているからと油断しまくりでしたね。
 エルバたちと魔神が友好を結べたように、魔王も人類と共存共栄の道を歩めなかったのだろうか。人類を自分と対等に存在として認めなかったのが魔王の最大の過ちではないかな。
 エルバにとって思いがけない相手との再会は驚きでしたが、そういえばそんな伏線あったなぁ。

 いったいどうなるかと最後までハラハラしっぱなしでしたが、サクラが帰ってきて本当によかった。
 眼鏡のないサクラは妙に大人っぽいな。辛いこともあったでしょうが乗り越えて幸せになって欲しい。
 ラヴ要素では、これはサクラルートだったのかなぁ。テッキは空気でした……。まあ、いままでずっと空気な子もいましたけど、元気に帰ってきてくれてこれ以上ないハッピーエンドでした。

 あとがきでは、「完結」と宣言していますが、脇役メインでもう一冊短編集をだしてもいいなぁ。次回作にも期待しています。
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2009年11月03日

末代まで!/猫砂一平

4044748012末代まで! LAP1 うらめしやガールズ (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-11-02

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幽霊たちの祟りの罠にはまり“心霊研”に入部することになった俺は、超スピードで疾走する“老婆走”の騎手に。パートナーは幽霊のお岩。気持ちが合わなくてはレースには勝てない!?決死の特訓、意外なライバル、幽霊と妖怪たちの怪しいレースを切り抜けろ!恋とババアのデッドヒート、スタート

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 ババアレースに青春をかける男子高校生と"お岩さん"の学園スポ根ラブコメ。

 うん、普通以下だった。別に大賞への期待感が大きすぎたからとかそういう理由ではない。
 滅多に出ない大賞受賞ほど信用できないのは、どこのラノベレーベルでも共通な気がしますが、タイトルを見た時点で、「ああ、これは絶対にコケるな……」と確信していた。
 実際、ネタに走ったそのままの勢いでピリオドの向こう側へ突き抜けていってしまった感。

 そもそも設定がつまらない。『ターボばあちゃん』に乗っての競争とか絵的に地味だしダサい。
 最初読んだときはあまりの下らなさに苦笑を禁じえないが、読み進めて冷静になってくると非常に苦しいものがあります。一発ギャグを物語の根幹テーマにするのは明らかに失敗。

 というか、乗り物はババアに限定しない方が面白いんじゃないか?
 「ただ乗り物の足が速いだけでは勝てない!」みたいな異能バトル風の駆け引きを演出したいのであれば、騎手の霊能力だけでなく乗り物についてもバリエーションを持たせるべき。
 確かに最高速度としてはババアが妖怪界最速なのかもしれないが、足は遅いけれどその代わりに特殊な能力を持っていて妨害できるとか、騎手の能力と相乗効果を発揮できるなどした方がより深い駆け引きが生まれる。

 都市伝説なら『首なしライダー』でもいいわけだし、都市伝説がありなら『ねこバス』や『偽列車』でもいいはず。西洋なら『デュラハン』と『コシュタバワー』の黄金コンビですよね。
 日本の妖怪なら、炎を出して攻撃できる『火車』とか、落馬した相手を問答無用でリタイアさせる『山犬』、ライバルの思考を読める『サトリ』、一歩のスライドが大きい『手長足長』、ダメージを受けてもいくらでも再生する『八岐大蛇』、自動車が妖怪に転じた『つくも神』など、考えれば乗れる妖怪いっぱい出てきそう。むしろ霊能者なら式神くらい召喚して走らせようぜ。
 コースにも障害物があった方がいいですね。『びしゃがつくゾーン』とか、『天狗礫ゾーン』とか。給水ポイントは『迷い家』とか起伏に富んだコースがよい。ぱっと思いついただけ挙げてみたが、怪談をテーマにするのであればババアに拘る必要はない。

 当初はババアレースを嫌がっていた三号も、なし崩しにレース参加を受け入れるようになっていったり、突如として結界術の才能を発揮したり、トントン拍子に事が運ぶのでかえって張り合いがない。
 ババアレースにやる気を出すようになったり、ナイヨレンを嫌うお岩の気持ちを理解するようになったのが「記憶を追体験したから」というのも、いかにもあっけない。
 お互いに主義主張の異なる者同士がぶつかり合って、相互理解をしていく過程が青春スポ根ものの醍醐味なんじゃない? もっと彼らの葛藤や衝突を描かなきゃいけないんじゃないかと。

 むしろ主人公にハンデがあってもいい。『幽霊アレルギー』とか、『速度恐怖症』とか、「幽霊とレースするのにそれはどうなの?」と読者に思わせるようなキャラ設定をもたせた方が、それを乗り越えて成長していく姿が描ける。
 マジカルリサたんとの一騎討ちはガッカリ。最後の省略しちゃダメだろう、一番燃えるところじゃないか。

 全体的に、世界観の膨らましが足りない。この設定ならいくらでも練れるのに活かしてない。
 もっと物語の魅力を引き出せる方法もあるのに横着をして、その結果として損をしている。
 なにより発展性が感じられない。シリーズとしてやっていくなら、ここからさらにスケールを広げていかなきゃならないのに能力や目標の上限が早くも頭打ちになってしまっている。
 2巻だと、これきっとかませ役に「ババア暴走族」とか、「ババアドリフト族」とかチープな敵対勢力が出てくるんだぜきっと。おおむね先の展開が読めるんだよ。

 この作品のなにを見て、大賞にしたのか。審査員の霊感を疑う。
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2009年10月09日

放課後の魔術師 5 スパイラル・メッセージ/土屋つかさ

4044740054放課後の魔術師 (5)スパイラル・メッセージ (角川スニーカー文庫 208-5)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-01

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再び《円環》の《査問》を受けることになった遙。しかしその直前、安芸が女子生徒からラブレターを受け取るシーンを目撃する。戸惑いと不安のなか、《査問》を受ける遙は、魔術を暴走させてしまう!

 女の子だから、恋はいつだって大暴走

 同い年の女子高生と教師カップルが贈る放課後マジカルストーリー。

 ボドゲとメイド喫茶の夢のコラボ! ボドゲにハマるクラスメイト達の輪に私も入りたい。
 安芸が女生徒からラブレターを渡されている現場を目撃してしまって、動揺のあまり空回りする遥がいかにも恋する女の子の気持ちに溢れていて素敵でした。
 そして相変わらず女心のわからない安芸の朴念仁っぷりにヤレヤレですねぇ。

 自分自身のことをまったく話してくれない安芸に、自分は信用されていないんじゃないかと思い悩む遥の不安も理解できるんですが、単純にイドや≪鴉≫との問題にこれ以上巻き込まないように気遣って黙っているんでしょう。他人には知られたくないことや後悔していることも当然あるだろうし、なにより大切に思っている女の子ほど、危険から遠ざけておきたいと考えるのが男の心理だと思う。
 まあ遥は安芸の事情に首を突っ込む気満々ですが、その辺りのすれ違いが今後溝を生まないかが心配。

 ≪人形≫である香音にも諌められて、安芸はますます女性陣に頭が上がらなくなるんじゃない?
 安芸や斎条が秘密にしている2年前の事件を探り始めるベルと遥だけれど、遥の過去にも見過ごせない重要な真実が隠されているようですね。能力のリミッターは両親の仕業か? 遥の記憶力のことも何か関係していそうだなぁ。
 追い詰められた状況下、捨て身で敵前に飛び込む遥の度胸も凄かったが、姉の信頼に瞬時に応える仄香の連携プレーが素晴らしかった。本当にいい姉妹だよなぁ。

 ジェシカシステムの誕生の経緯もちょっぴり明かされたわけですが、非常にグレーゾーンな代物だったのね・・・・・・。う〜ん、≪鴉≫よりも≪円環≫の方が油断ならない相手に思えてきた。
 システムの根幹に関わる重要参考人を、みすみす≪円環≫に引き渡してしまうのは危険なんじゃないかなと思ったり。伊代の覚醒についても≪円環≫に主導権を握られてしまうしなぁ。

 次は2年前の事件の真相が描かれるイギリス修学旅行編だそうだけど、あれ? 学園祭編や体育祭編はないの!? いつか短編集での再録をお願いしたい。


 ちなみに作中に登場するゲームは、『鍵の壊れた部屋で見る夢』のリッパーさんが推理なさっています。表紙のトレイ上まで見破っているよこの人すごい。

 ボドゲ繋がりということで、紹介させて頂きますが、最近友人(@okiyama)とTCG部を立ち上げてブログを始めました。
 『ドミニオン』や『幻想の宴』関係の戦略・戦術考察や、オフのレポートなどを更新していく予定です。
 TCGに興味のある方は、どうかよろしく。入部希望もよかとですよ。ドミニオン面白いよドミニオン。

 ラ管連TCG部の日記

ドミニオン 日本語版ドミニオン 日本語版

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2009年10月08日

ばけてろ 成仏って、したほうがいいですよね?/十文字青

4044710198ばけてろ 成仏って、したほうがいいですよね? (角川スニーカー文庫 182-51)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-01

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放課後の学校で首吊り死体の幽霊を目撃した千夜子(巨乳)はオカルト好きの友人メルカ(さらに巨乳)と共に、霊能者・刑天文院景敦(やる気なし)を訪ねるのだが……。幽霊、宇宙人、雪女、ロボット、エルフと何でもあり! ポップでクレイジーなオカルトゆるコメディ!

 青春をおかしくするのはオカルトだ

 頭が悪い空耳娘とオカルト熱愛娘とグータラ霊能少年のゆるゆる退魔コメディ。

 十文字青だというのに軽くて読みやすいラブコメ。『ぷりるん』や『ヴァンパイアノイズム』を読んだ後だったのでどんなドロドロが来るかと警戒していたら、あまりのユルさにずっこけた。
 要所要所で隙あらばセクハラを試みる主人公・景敦が自重しない奴だが、オカルトの為とあらばプライドをかなぐり捨てるメルカさん、可愛いです。全体的にエロい上に巨乳率が高いなぁ。

 高校にも行かず屋敷内に引きこもって暮らしているちょっと根暗な景敦くんですが、オカルト好きで強気なメルカの気迫に負けずに丁々発止の掛け合いを楽しませてくれる。
 一方、いつもボケ倒しな千夜子の噛み合わない会話はときにウザくもあり、それが面白さでもあった。
 自称宇宙人のミポルは、個人的に好みのロリではあるんだけれど、存在自体が世界観を崩壊させますね。いろいろとやりすぎが目に余るキャラでした。

 オカルトよりも、ゆるふわご近所コメディが物語の大部分を構成していますね。
 ヒロインたちがいるところで景敦秘蔵のエロDVD観賞会とか、止めてあげてー! あまり思春期の男の子の生態について突っ込んだ議論はしないでください。男もつらいんです。
 見終わった後で、お互いにショックを受けて傷ついたような気持ちになるのは、きっと彼らがまだそういうものを平然と受け入れられるほどには精神的に大人ではないのでしょうね。その青さが甘いわー。

 スニーカー連載の短編に書き下ろしを加えたということなので、ぶつ切りチックなスタートになってしまっているが、これからシリーズとして連載が始まるようなので次回でうまく一本にまとめてほしい。
 霊能者として圧倒的な能力を備えている景敦だが、自分の家柄や血筋にコンプレックスを抱えているようで、それが今後の千夜子やメルカとの交流でどう変化していくかが興味深い。
 千夜子、メルカ、ミポルともに景敦を意識しているのでそちらの恋愛模様の進展にも期待。だが、くれぐれも修羅場は要らない。十文字青のドロ沼はマジでシャレになんねーっす!

ぷりるん。―特殊相対性幸福論序説 (一迅社文庫)ぷりるん。―特殊相対性幸福論序説 (一迅社文庫)

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ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫 し 1-7)ヴァンパイアノイズム (一迅社文庫 し 1-7)

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2009年10月07日

あずけて! 時間銀行 ご利用は計画的に/いとうのぶゆき

4044735034あずけて! 時間銀行 ご利用は計画的に (角川スニーカー文庫 205-5)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-01

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時間を集めて運用し、貸し出しもする「時間銀行」。ある理由で、時間銀行に多大な負債を抱えてしまい、口座に残り約1年分しか時間がない往時洋斗は、黒づくめの少女とともに時間を稼ぐバイトを始める!

 時間で買えない価値がある

 時間を預けたり引き出したりできる"時間銀行"の営業として時間集めに従事する少年少女の物語。

◆時は心の医者である。
 男性恐怖症になってしまった少女の幼い頃のお話。
 洋斗とシーヌのいう"営業"の目的がイマイチ説明足りてないなーと思いましたが、つまりは彼らが人の記憶を遡り、心の傷をケアしていくというテーマのストーリーなんだと納得してればよいのかと。
 銀行から時間を引き出すことで体感時間を引き延ばす。ブレインバーストですね、わかります。

◆愛は時の威力を破る。
 どこかぎこちない関係の老夫婦の戦時中のお話。
 洋斗は考えなしに時間を引き出すようでなんだか危なっかしい。
 クッタやオムカが面白すぎて、シーヌが地味に見えてしまう。ちょっとキャラが大人しすぎるな。

 過去の記憶を添削することで、その記憶を繰り返し思い出していた分の時間が得られるとのことだけれど、時間の余剰が生まれるのはそれからの時間であって、それまでの時間ではないと思う。

◆時は我らに生を与える。
 病気の妹・陽菜のために奔走する兄・洋斗のお話。
 洋斗が時間銀行に手を貸している詳しい事情がやっとわかりました。
 自分の命を犠牲にしてまで、妹を生かそうとするとは、なんというお兄ちゃんの鑑!
 こういうお互いを想い合っている兄妹愛っていいなぁ。

 しかし、家族に迷惑をかけさせまいと、寿命という運命を受け入れる妹というのも愛おしい存在ではあるんですが、やはり生きる努力もせずに諦めるのは間違っている。
 死を受け入れるにしても、それは生き続けるための可能性をすべて試してみてからだ。
 陽菜のために自分の命を差し出す洋斗にしても、あまりに自分の命を軽々しく扱いすぎてイラっときましたね。そんな捨て鉢な気持ちで与えられた命で妹が喜ぶとでも思っているのか!

 時間銀行のフィナンシアとなることで、すれ違っていた兄妹愛が修復されていくのはよかった。

◆過去を変えていこう。
 恋愛に対して拒絶反応を起こす少年のお話。
 過去の心の傷に酔っている智也に腹が立つ。恋愛を下らないと思ってるなら最初から怜子ちゃんと付き合うなよな。本心では恋愛に臆病で怖気づいてるだけだろ。格好つけるなよキモい。


 やはり時間銀行のシステムは理屈にあっていないような。「寿命=銀行の時間残高」というのなら過去の時間は生きるために消費されていないと、リコレクトでどこからともなく寿命が増えることになる。「記憶=時間」としているのがおかしくなってる原因で、本当ならば「記憶=誕生以後の引き出し額」が正しいんじゃないのか?
 あと、『時の精霊』たちの社会ではどういう法律になっているのかわからないが、本人の許可なくリコレクトを回収して自分たちのものにする行為って時間泥棒にならないの?

 各話ともイイ話なんだけれど、強引に理屈っぽくまとめようとしているのが仇になっているというカンジ。
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2009年10月06日

R-15 こんにちは、ぼくの初恋/伏見ひろゆき

4044747024R-15 こんにちは、ぼくの初恋 (角川スニーカー文庫 217-2)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-01

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芥川丈途は天才エロ小説家である! 先輩に頼まれ、クラスメイトの鳴唐吹音でエロを書こうとしたら、書けない。なぜだっ! と苦悩する丈途だが、一番大切なものを賭けての「才能テスト」への強制参加が決まり!?

 真の天才に越えられない壁はない!

 15歳のポルノ作家の少年と面白愉快な天才だらけの生徒たちが繰り広げる学園ポルノグラフィー。

 丈途がっつきすぎだろ。エロ妄想がだだ漏れでなにこれえろい。
 悪辣な先輩たちの企画により、またもや難題に挑むことになった丈途たち一年生。今回は一人一人が別の課題に立ち向かう、いわば自分との戦いですね。
 丈途に果敢にアタックしてくる謡江の猛攻にドッキドキでした。もう丈途は吹音から謡江に乗り換えることを真剣に考えてもいいと思う。

 ポルノ作家のはずが、何故かやってることはスポコン。ドラグレスク(三回転半宙返り)って、モヤシっ子の素人がちょっと練習しただけでホイホイできるもんじゃねーぞ!
 この『才能テスト』の真意はなんでしょうね。校長が言うように「壁を乗り越えるための予行演習」というのが確かに主目的ではあるでしょうが、どんな才能も努力なくしては大成し得ないということやお互いの才能を尊重しあう精神みたいなものも身に付いたんじゃないかと思います。
 まあ先輩たちは完全に私利私欲で動いてましたけどね。ここの先輩たちは、本当に酷いな!

 牡丹先輩に狙われている吹音の貞操を守るため、特訓中の丈途や蘭、来夏、成子(成樹)が団結して牡丹先輩の気をそらそうとするんだけど、いつも丈途の描いたシナリオ通りにいかないというのは、やっぱり現実はエロい妄想ほど都合良くはならないということなんだよ。
 というか、純真無垢な吹音に対し邪念を抱いているのは丈途や蘭たちも同じじゃんか!
 吹音と謡江にあれだけ高く評価されているのに自重しない丈途は少し罪悪感を覚えたほうがいい。

 いつも一生懸命な吹音の姿を見て自分を恥じ入り、丈途が本気の努力を始めるところまではよかったのに、蘭と成子が怪しげな開発に着手してからどこか方向性がズレていってしまったような。
 せっかく見直していたのに、あの小悪党は見事に裏切りやがりましたしね。
 なにもあそこでアクション要素を取り入れなくともよかったのに、この話にバトルシーンはいらない。

 相手の心を思いやるということを掴みかけてきた丈途、再び仲直りした吹音に宣戦布告した謡江の三者の動向も気になりますが、次回のメインは律なのか・・・・・・。
 それにしてもこの学園は百合とBLが多すぎである。いつから変態は天才の同義語になったのか。
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2009年10月05日

東京皇帝☆北条恋歌 3/竹井10日

4044712085東京皇帝☆北条恋歌 3 (角川スニーカー文庫 183-8)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-01

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夏の臨海学校で南の島へとやってきた恋歌たち。ところが恋歌と来珠は浮かない表情。一方、一斗はどこか懐かしい雰囲気を持った不思議な少女と出会い、彼女から自分が""運命の相手""だと言われ――!?

 天然とツンデレのXXX

 東京帝国に住む平凡な少年が東京皇帝に成り上がっていくまでを綴った帝国的学園ラブコメディ。

 南の島でイチャイチャしてるだけなのに、フリーダムに繰り広げられるボケ&ツッコミの嵐が面白い。
 一斗を巡って恋のライバル同士の恋歌と来珠の身体が入れ替わるだとか、そんな90年代のマンガでよくある無茶苦茶がまかり通ってしまうのが、この作品のいい加減さを物語っている。
 修羅場100%だが、この期に及んでまでシリアスにならずにゆるゆるとしているのはスゲェ。

 入れ替わってみてお互いを羨むのは、隣の芝生は青く見えるというやつ以外の何物でもないのだけれど、二人ともそれぞれタイプや魅力も違うのだから、自分に無いものを求めてクヨクヨするよりも、これを機会に自分にあるものを再発見してニコニコした方がいいのにな。
 しかし、身体が入れ替わっても普段と一緒で二人とイチャって惚気るのは変わらないのか。様子の怪しい二人をいろいろ勘ぐって大騒ぎする夕鶴や四菜も賑やかで楽しいです。

 恋歌や来珠よりも、次第に壊れていくゆかり子お姉さんが可愛すぎです。
 でも、一斗争奪戦に参加したいのなら、もっとドロ沼の修羅場に参戦していかないとダメだよなぁ。
 一文字満貫や雫さんにもキャラの変化が出てきているようでしたが、ラブ寄せ要員じゃないみたい。
 あっちの世界サイドもそろそろ本格的に介入してきそうな気配ですね。

 それにしても、最後に一斗はやらかしたなぁ。自分からプロポーズしたのになに考えてんだよ!
 一斗はその場の雰囲気に流されすぎ。恋歌とキスしてただけであれだけ関係がこじれたのに、全然反省してないじゃないか! 婚約者と親友のダブルで裏切られて、さすがの来珠も傷つくんじゃないかしら。これはまったく酷い。最悪だ。

 ストーリーも少しづつ進展していって、このドロ沼化はどこまで加速していくのか、見守っていきたい。
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2009年09月10日

耳鳴坂妖異日誌 2 となりにヴァンパイア/湖山真

4044744025耳鳴坂妖異日誌 となりにヴァンパイア (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-09-01

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妖異を取り締まる機関“耳鳴坂”でバイト中の草太は、雑用としてこき使われ、先輩の刹里のしごきに耐える毎日。そんなある日、迷子の少女・ルチヤと出会う。吸血鬼の妖異だというルチヤを“耳鳴坂”で保護することになるが、働き者で愛嬌のある彼女はすぐに人気者になるのだった。

 すべてを救う可能性を信じて

 世間を騒がす妖異を取り締まる退魔師の少女とその見習い少年が繰り広げる退魔アクション。

 なにかと草太の世話を焼きたがるルチヤに対抗心を燃やすミコトの姿にニヤニヤ。
 街中で行くあてのない吸血鬼少女ルチヤを保護したことから、引ったくり妖怪事件や悪戯チェーンメール事件、はたまた妖怪の人身売買など、偶然の出会いがやがて大きな事件へと繋がっていく展開は、ナルホドよく構成が練られていると感心しました。

 捜査の過程で犯人に捕まったと嘘をついたまま行方知れずになり、助けに乗り込んでみれば本人はお菓子を食べてちやほやされていたのだから、そんなミコトに刹里が怒鳴るのも当然だよなぁ。
 それだけみんなに心配をかけていたのだから仕方がない。いくら不満が溜まっていたとしても、仲間を亡くしたばかりの刹里には悪ふざけがすぎましたね。
 でも、それもミコトの妖異としての性質とも言えるからケースバイケースで難しい。

 妖異は伝承に縛られる。つまりは伝承者である人間の社会とは切り離せない存在なのでしょう。
 騒動を起こすのは妖異なのだけれど、その原因は妖異を受け入れない人間社会や寛容さのない本部の退魔師の側にあると言わざるを得ませんね。
 宿命を乗り越えて愛し合うアレシュとルチヤを取り返しのつかない事態に陥る前に止めることが出来て本当によかった。こんなラブロマンスに水を差す奴は、それこそ雷にでも撃たれてしまえと。

 しかし、二人を助けるために草太の身に起きてしまった変化が、これから波乱を呼びそうですね。刹里の抱える事情ともどう結びついていくのかが気になるところです。
 非常にテキパキと早いテンポでストーリーが進んでいくのは読み易くていいんですが、登場人物らの時間経過による心情の変化をもう少し見守りたい気持ちもあるんですよね。
 ちょっと焦り過ぎな印象があるので、シリアスだけでなくギャグやラブコメの配分も考えて欲しい。
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2009年09月09日

ブレイドライン アーシア剣聖記/水野良

4044604312ブレイドライン アーシア剣聖記 (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-09-01

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火花飛び散る刃の世界アーシア。帝都シスイを恐怖に陥れる魔物の横行。武者修行に励む少年ヒエンは、事件の背後に強大な悪鬼たちの存在を知る。やがて悪魔の横行は、アーシア全土を巻き込むものへと発展。戦乱吹き荒れる世界を駆けるヒエンの行く手には何が待ち受ける!?

 世界を切り拓く、剣の旅路へ

 襲い来る妖魔に鍛え抜かれた武術で立ち向かう武使たちの剣と刃が交錯する和風ファンタジー。

 『ロードス島戦記』の水野良の完全新作ということで期待していましたが、仕上がりは上々の様子。
 世界一の剣豪である父を越えると豪語するだけあり、若くしてかなりの剣の腕前を持つヒエンですが、反面、女の扱いが不器用でどこかヘタレたキャラが笑いを誘う。
 いかにも頼れる都会の伊達男といったアモンと比べると、まだまだ未熟さが目立って危なげだなぁ。

 小太刀の二刀流でカウンター狙いというヒエンの戦い方が渋いですねぇ。
 帝都に現れた妖魔に知り合いの娘を人質にとられ果たし合いに応じ、初めてとなる実戦に勝利をおさめたものの、助けた相手に怖がられ避けられてしまうというのは、さすがにヒエンが哀れです。
 お互いに憎からず思っていた間柄だけに、見ていて辛いものがあります。

 父の訃報を聞いて舞い戻ったアオイ島での怪獣大決戦は、もう個人の力の及ぶ範囲を超えてしまっているような気が・・・・・・。それでもまだまだ世界を揺るがす大波乱の一角でしかないんだろうなぁ。
 ところで、表紙と口絵でロリ枠ヒロインと思っていたセラとヒエンの関係は、なんというか・・・・・・斬新すぎやしませんか!? というか、伝説の剣聖ロリコンじゃねぇか!

 この御時勢にバトル中心の本格派の大河ファンタジーとは珍しい。
 恋愛要素もありますが、水野良が昨今のラブコメと張り合っていけるかは微妙かも。
 大作として長期連載見据えているのはいいいが、シリーズ序盤から「この話は長く続きますよ」と主張しすぎると、一巻完結ものに慣れ切った最近の若者の購買意欲を下げてしまうかも。
 従来の水野良ファンだけでなく、新規の読者にこの魅力をいかに理解して貰えるかが問題ですね。
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2009年09月08日

薔薇のマリア 12/十文字青

404471018X薔薇のマリア 12.夜に乱雲花々乱れ (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-09-01

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ZOOの新メンバー、ルーシー。彼の父親は、あのSIXなのか。マリアたちが息の根を止めたはずのSIXが、生きていたというのか。ルーシーにどう接するべきか戸惑うマリア。そして、真偽を確かめるために第八区へと向かい、SIXらしき男と対峙するアジアン。一方、SIXへの復讐を誓う、「秩序の番人」は……。

 君に届かぬ腕に、想いを抱いて

 無政府王都エルデンで暮らし、迷宮へ宝を探し求める侵入者たちの生き様を描く物語。

 ヨハン・サンライズがモテモテだった。イケメンの眼鏡男子は反則すぎるだろ!
 ルーシーの父親が、かつてエルデンで悪逆の限りを尽した男・SIXではないかという疑念を確かめるべく、マリアたちが動き出すんですが、その過程で相変わらずアジアンが極限愛だったり、可愛い服を着たマリアたちの写真撮影会をしたり、パーティーに参加したりと見所いろいろで飽きさせない。
 とりあえず、ユリカを惑わす飛燕は死ねという天の声がどこからか聞こえてきた。誰かー鬚呼んでー。

 いやぁ、それにしてもマリアとアジアンのスイーツ(笑)感は、どんな菓子職人でも再現できません。
 お久しぶりのリーチェですが、マリアにアピールするためにはもっと女らしさを身に付けるべき。モリー母さんの喘ぎっぷりは実にエロかった。あのチョコには、なんかヤバイ媚薬成分でも含まれているのか(いや、そもそもカカオは媚薬か・・・・・・)。

 SIXのカリスマ性も濡れますね。彼こそ無法の都エルデンをもっとも象徴するキャラといっていい。
 対抗する『秩序の番人』も、今回は魅せてくれた。すべては亡きデニス・サンライズの掲げた義を貫くため、如何なる犠牲を払おうとも「悪即斬」を実行するストイックな信念にシビレる。
 まあ、SIX抹殺から離れてアジアンを追いかけ回している姿はなんか滑稽でおちゃめ集団だったけど。

 アジ×マリが俺のジャスティスですが、対抗馬としてルーシーやリーチェ、荊王との絡みも欲しいですね。そして恋愛多角関係でもっとドロドロの愛憎劇してくれると非常に俺得!!
 『秩序の番人』とSIXとの決着は次回へ持ち越され、ルーシーとSIXの繋がりもほんの仄めかし程度でしたが、SIX復活のインパクトだけで胸焼けがするほどに満足でした。

 さあ、果たしてヨハンを取り戻すことができるか、琺琉さんそしてリーチェの逆襲に期待です。
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2009年09月06日

ヒメゴトシステム 2 ご乱心スクールデイズ/神埼リン

4044725055ヒメゴトシステム 2 ご乱心スクールデイズ (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-09-01

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桜桃学園に、お城奪還を目指して入学してきた少女、琴音。家臣団も結成し、順風満帆と思えた彼女のもとにある日、驚天動地の財力と行動力を備えた少女が現れた。琴音を、桜桃学園から「奪還」するために――。

 姫君の知らない物語

 高校の「城取り」を企む少女と軍師として抜擢された少年のラブコメディ。

 見習いお姫様・琴音、同性愛者にストーカーされるの巻。
 学園祭で行う演劇で優勝しなければ強制的に転校させられてしまう琴音のために、敵である希美子に寝返ったフリをして密かに琴音たちを手助けする隆司がすごく格好よかった。
 振り回されてばかりだったのが主体性を発揮するようになって存在感が増したカンジですねぇ。

 琴音は、幼い頃に誓った「お姫様になる」という夢を叶えようとするのはいいんだけれども、隆司が言っているように、「城取り」のための手段やどうなれば目標達成なのかというその辺りが曖昧で理解や共感を得にくいんだよなぁ。そもそも話を聞いていると琴音の目的は「正義」でもなんでもないだろう!
 なにかと言動が子供っぽい琴音ですが、純粋なだけに対応に苦慮する隆司の苦労が偲ばれる。

 なんでも他人に丸投げな琴音に比べ、陰ながら身を粉にした隆司の働きを分かってくれている律子さはエロ素晴らしい女性だなぁ。隆司をおもちゃにしていいから、どんどん琴音と張り合ってくれ。
 メイド長とバトる田中や義弟溺愛の会長やら家臣団も賑やかで騒がしくて面白かった。学園祭の準備のために大人数で集まって泊まりがけでわいわいするのって楽しいですよね。今となっては憧れる。

 まあ新キャラを出すにしても、中学一年が高校に入り込んでくるというのはおかしいような、そもそもどこで琴音とそんなに親しく知りあうようになったのかとか不自然で気になる点がいくつか。
 結局、琴音が目指している「城取り」というのも、今回はとくに何も行動起こしてませんでしたね。
 最終的に隆司にはサプライズがあったわけですが、今後もラブコメ方面オンリーに進んでいきそうだ。

 前巻もそうだったが、あんまり続きに興味を持たせるタイプじゃないんだよなぁ。2巻目でこれはシリーズとしてキツイかな。
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2009年09月05日

ミスマルカ興国物語 V/林トモアキ

4044266204ミスマルカ興国物語 V (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-09-01

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大東京王国に入ったマヒロは、王の情報をもとに、紋章があるという忍者の隠れ里に向かう。しかしその頃、大東京王国を陥落せんと、強力な武力を誇る天魔将を引き連れ、帝国三番姫のルナスも上陸を果たしていた!!

 よいとこ忍者村、一度はおいで

 口先だけで大陸の統一を目指すバカ王子の王道戦記モノ。

 えー、今回はゼンラーマンいないのかー。もしや偶数巻のみ登場なのか奴は。
 初っ端から世紀末覇王吹いた。力が全てとか言ってるくせに律儀に憲法第九条守ってんなし!
 そんな相手とガチンコバトってるルナス王女が相変わらず男前で週刊少年ジャンプだ。
 マヒロが近くに潜伏していると聞いて喜色を浮かべる彼女が可愛い。

 一方のマヒロは、憧れの忍者の里が観光地になっていたことにヤサグレ具合が酷いですね。
 マヒロとニンニンくんのエセ友情コントに大笑いました。それにしても、運動神経いいな王子。
 エミットと葉多恵の密談は、後々、大きな真相に繋がっていきそうだ。エミットの潔癖さもちょっと極端なようで気になる。今回はいい解説役してくれてた。

 帝国の天魔将がフルボッコにされてましたが、パリエルとシーナたちも本当はそれほど強くないはずなんだよなぁ、相手が勝手に力を無駄使いして弱ってただけで・・・・・・。
 一撃の攻撃力が強いキャスティやTGMが全力であればアークセラ以上に苦戦したと思う。
 そろそろ味方の戦力が頼りなくなってきたところですが、シーナの成長フラグやパリエルの覚醒に期待か。我らが勇者の影がどんどん薄くなっていくが大丈夫なのだろうか。

 いつもと比べると、物語に政治色がなかったな。しかし、水面下ではいろいろ動いていたと思うので、伏線のための巻でしたね。ここからどう大風呂敷を広げていくのか。
 またまた『おりがみ』や『マスラヲ』とのリンクがありましたが、そこは実際に読んで確認してみてください。

 ときに、本の帯がクレイジーである。集めておいて破棄すんのかよ!
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2009年08月07日

妄想少女 そんなにいっぱい脱げません!?/東亮太

4044720045妄想少女 そんなにいっぱい脱げません!? (角川スニーカー文庫)
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光宏は耳を疑った。学校一の美少女であり、清楚なお嬢様であるはずの紗衣。その正体が、カリスマ萌えイラストレーター“歌川ミウミ”だなんて。しかも紗衣の描いたイラストは光宏の妄想力に反応して実体化。二次元美少女が次から次に三次元に。世界はキャッキャウフフ一色に。

msg.jpg


 二次元専門を自任する少女と二次専を否定する少年の萌えキャラ実体化ラブコメディ。

 いきすぎたエロは、もうギャグにしかならないんだなぁというのがよく分かりました。
 部屋中に萌えキャラのポスターを貼り付け、イラストサイトの巡回を趣味にする主人公・光宏もぶっちゃけかなりのキモオタですが、自分の描いたキャラに「お姉さま」と呼ばせてハァハァして悦に入っているヒロイン・沙衣がダメ人間すぎます。
 沙衣のライバル月代もとにかくキャラをエロくして触手を絡ませたがる変人だしで、作中には変態と萌えキャラしか出てきません。

 二次元美少女萌えについては、私にも共感できる部分はあるんですが、あまりに都合がいいキャラクターへの実体化。まるで歪んだオタクの欲望の象徴のようなキャラの扱いに萎えました。
 おまけに実体化させた人間や修正によって萌えキャラの性格がコロコロ変わってしまうので、彼女たちを一己の確立したキャラクターとして見ることはどうしてもできませんでしたね。

 妄想力で萌えキャラを実体化できちゃう原理は不明。ペンタブレットで修正できちゃう理屈も不明。
 リアリティがむちゃくちゃなギャグコメディというほかありません。加えていかにもオタクが思い描いていそうなベタなエロスがてんこ盛りで胸焼けして気持ち悪くなってきた。
 そして極めつけは肝心のストーリーにオチがない。竜頭蛇尾も甚だしい。

 「萌えとエロは違う」と作中で訴えているにも関わらず、作者がこの作品でやっているのは、まさにその萌えとエロの誤った混同なんですよねぇ。
 それに「萌え」といっても、なんつーかいまさらテンプレ的なものをそのまま出すのは芸がなくないかな。
 誰かこの作者に「媚びと萌えは違う」と教えてあげてください。

 まあ口絵と挿絵は可愛いので、買ってしまったなら絵の金額だと思えばいいんじゃないかな。
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2009年08月06日

ヒミツのテックガール ぺけ計画とスパイ大作戦/平城山工

4044745021ヒミツのテックガール ぺけ計画とスパイ大作戦 (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-08-01

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悪夢のような編入試験に無事合格し、新学期に晴れて筑波音女子高専に入学した本瀬ハルミ。しかし、トラブルを招き寄せるそのすぺしゃるな体質はもちろん健在。せっかく編入した新天地でも、恐るべきトラブルがハルミを待ち受けていた。

 A・Iが止まらない!

 日本唯一の女子技術専門高等学校を舞台に理系女子がドタバタを繰り広げるSF学園コメディ。

 相変わらず、登場人物の女性比率は高いのに色気がない。メカとロボに色気を感じろということか!
 マッドサイエンティストといえどもお年頃の乙女。ヤナギに故郷の京都から幼馴染の青年が訪ねてきて、おまけにつく専への災厄の種までも運んできて、理系少女たちが発明した常軌を逸したびっくりどっきりメカたちが唸りを上げる!と、今回もまたカオスな展開にいっちゃってましたね。

 ちょこちょこ脱線しまくる彼女たちの掛け合いは愉快なのだけれど、キャラが掴み切れていないので、誰が誰だかしょっちゅう混乱するっていうでっていう。
 ヤナギは方言でわかるんだけれど、他の3人や教師が混じると口調がみんな一緒で見分けがつきません。
 キャラが立ってないんじゃないかなぁ。正直、個々のパーソナリティの掘り下げがぜんぜん浅い。

 また理系女子というテーマとドタバタコメディがうまく噛み合っていないようにも思えるんですよね。
 序盤はいかにもトンデモ科学といった要素でシナリオが進んでいくんだけれど、後半のドタバタが騒がしすぎ(?) とりあえず、技術よりも力技で解決してしまうのは盛り上がりに欠けます。

 読みやすくはなったけれど、その対価として理系っぽさみたいなものが下がってしまった。
 桜餅ミサイル製造機や下痢誘発兵器みたいなヘンテコ発明品をわんさか登場してくるのならよかったのですが、オリジナリティがあってユニークと言えるのはそれぐらいだったしなぁ。
 ヒロインたちよりも、悪企みしているオッサンたちの方が味があってオモロイと感じた。

 ちなみに余録はなんだったんでしょうか。なんだかストーリーがぶつ切りで、中途半端に見える。
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2009年08月05日

放課後の魔術師 4 ワンサイド・サマーゲーム/土屋つかさ

4044740046放課後の魔術師 (4)ワンサイド・サマーゲーム (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-08-01

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せっかくの夏休みなのに、毎日「探偵推理研究会」で論理魔術の勉強をさせられる遙。安芸との距離は一向に縮まらず、毎に誘っても効果は見られず、イライラが募るばかり。そんななか、安芸の英国留学時代のルームメイトのベルが現れ、「約束を守って」と迫り・・・・・・

 乙女の夏は、恋のシーズン

 同い年の女子高生と教師カップルが贈る放課後マジカルストーリー。今回は短編集。

◆第1話「フィルムに囚われし者達」
 映研の部室に出るという幽霊退治を頼まれるお話。
 お騒がせしたあげくに幽霊騒動の真相は、・・・・・・なんというか、男子ってバカですよね。
 しかし、女子もそんなバカな男子を可愛いと思ってくれる・・・・・・というのは男の浅ましい願望ですよねそうですよね。わかっていますよ、現実はリア充でない者に厳しいってことくらい。

 真相を見抜いていたのに犯人たちに共感してかばおうとした安芸先生も同罪と言えなくもないですが、案外、普通に男の子らしいところもあったんですね。

◆第2話「彦星達の憂鬱」
 生徒会に届けられた脅迫文の差出人を探しだすお話。
 あらためてこの学校は、本当におかしな生徒ばっかりだな!
 安芸先生の服装に対するツッコミがドライだったので、ずいぶん後の方までミスリードされていることに気づきませんでした。服装についての寛容さは、やはり海外暮らしの影響かしら。

 遥に対して解かなきゃいけない誤解って、そっちかよ!

◆第3話「虹を探しに」

 幼い頃、海で見た虹の秘密を解き明かすお話。
 夏といえば海。海といえば水着回。これすなわち論理です。そんなお約束の三段論法って、あるある。
 そして、水着で一生懸命アピールしているヒロインたちに淡泊に対応する朴念仁。まあそれもよくある。
 しかし、遥のビキニを手にしたときの慌てふためき様は可愛かった。

 それにしても、仄香はいったいどこから二人を監視していたのか気になります・・・・・・。

◆第4話「紫魔法少女、襲来」
 安芸の昔のルームメイト、ベルがやってくるお話。
 昔の女キター! だが、安芸はなんとも思っていませんでした。案の定すぎるな。
 恋敵であるはずのベルにも同情してしまう遥は、きっと同じ被害者意識があるからでしょうね。
 ベルの世間知らずっぷりも大変なものがありますが、安芸先生のズレっぷりもかなりのものですよ。

 そういえば、実際に海外でも『プリキュア』とか「魔法少女(Magic girl)」の人気はすごいそうです。ただし、『ストライクウィッチーズ』は児童ポルノ禁止法に違反して一部の国ではDVDが流通してないとか。さすがはGONZOである。

◆第5話「紫魔法少女、帰還」
 ベルが本国に帰っていくお話。
 女の子と温泉に来たんだから、安芸はもうちょっとテンションあげろよおぉおおおおおおお!!!
 思い出の大切な品を「ナニソレ」と言われたベル・・・・・・可哀想すぎる。
 やっと思い出した肝心の「約束」は、確かに男が女に言ったらプロポーズにとられるセリフですね。まあ男が男に言うセリフでもないような気がしますが。

 賑やかな魔法少女との別れにしみじみしてたのに、予想外の顛末に吹きました。
 二学期から始まる次の本編も楽しくなりそう。


蛇足その1
 ところで、作中に登場するボードゲームについてですが、後書きにも解説があるように『マンハッタン』、『ドメモ』、『いいセン行きまSHOW』、『もっとホイップを!』、『パンデミック!』と今回もマニアック。
 最近は私もラ管連の知り合いとボドゲやる機会があるのですが、いまのところプレイ経験があるのは『いいセン行きまSHOW』くらいですね。あれは人数が多いほど盛り上がる。
 今度のラ管連ボドゲオフは「放課後の魔術師」登場ゲーム中心とのことなので非常に楽しみ。参加希望はまだ受け付けているようなので興味のある方は是非リッパーさんのこちらのページへ。

蛇足その2
 そうそう、先月あたりからBSW始めました! 知らない人が大部分だと思うので軽く説明すると、オンラインでボードゲームが遊べる無料サイトのことだよ。
 今ハマっているのは『ドミニオン』。カードゲーム系が好きです。
 ほぼ毎日夜10時以降はBSWにログインしてますね。日本人村のC55-85で「aisaki」というプレイヤーがいたら私です。見かけたらどうか声かけたってください。
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2009年08月03日

会長の切り札 軍師ゲームの裏を読め!/鷹見一幸

4044257256会長の切り札 軍師ゲームの裏を読め! (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-08-01

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楢山高校の危機を救った朋絵と光明たち生徒会メンバー。ところが今度は、樫森高校と桜川女子の対決のプロデュースを任されてしまう。どうやら勝負の内容についての話し合いが決裂したらしく、光明の手腕を見込んだ藍山が依頼してきたのだ。しかもその結果は、市の合併問題をも左右するらしく!?

 そして最終決戦の幕が開く

 母校の存続をかけて、三つの高校がぶつかり合う学園戦国絵巻。

 統廃合合戦も終盤。残るは樫森高校VS桜川女子の対決。しかし、お互いが敵視しているのは勝ち抜けたはずの楢山高校の所光明という変な対立構造が出来ています。それだけ彼に負けたことが屈辱的だったということなのでしょうが、自陣に勝利をもたらした光明本人はいたってノホホンとしているから、そのギャップが可笑しい。

 最後の勝負は、樫森町を舞台としたリアルモノポリー。町内の各所に用意されたミニゲームで両校の生徒たちが競い合うことになるわけですが、そこは光明がプロデュースしただけあって単純な知力、体力だけでは勝てるとは限らない。咄嗟の機転や発想、センスやチームワークが求められる戦略性の高いゲームとなっているところが勝負の見所でしたね。まるでオリエンテーリングみたい。

 樫森の真行寺と桜川の華之宮も、光明に敗北した経験を無駄にせず、『数値で評価できない能力』を持った個性的な生徒を繰り出してくるから、シンプルなゲームでも面白い。
 なんだか二人とも考え方が光明に似てきましたね。いかに常識にとらわれず、既存の概念の壁を打ち破るかということを考えるようになってきた。今回は両者の想像力の戦いでした。
 それにしても魔王やら、悪女やら、真行寺と華之宮はどうしてそんなに言い回しが大仰なんだ!w

 この作品、わりと人気があるようです。キャラはベタなんだけれども愛着があるんだよなぁ。
 日常を面白く描くのに、異能や過度なラブコメは必要ないというのがよくわかります。大切なのは何を描くかという発想とアイデアですよね。作中で言うように、確かに素人参加型の番組って減ってきたし、芸人やアイドルをひな壇に並べるだけのトーク番組はつまらない。
 ラノベでも同じことが言える。美少女が異能を振り回して派手なバトルをしてるだけのテンプレストーリーではダメなんだ。リスクを怖れず挑戦をしなければ新境地は生まれてこないのです。

 しかし、肝心の決着は、次回に持ち越しかぁ。まさか続くとは・・・・・・。
 光明のことだから、きっとまだ何かトリックが仕掛けられてるんだろうなぁ。
 どちらかが損をするのではなく、誰もが納得できるような結末を期待したいですね。
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2009年07月09日

時載りリンネ! 5 明日のスケッチ/清野静

4044732051時載りリンネ! 5 明日のスケッチ (角川スニーカー文庫)
清野 静
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-06-30

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大晦日が過ぎ、お正月が来て、リンネの日常は変わらず楽しい毎日。そして、さらにリンネをわくわくさせる出来事が起こった!絵描きで生計を立てる、時載りの“街の住人”に絵のモデルを依頼されたのだ。照れながらもモデルを引き受けるリンネだが、実はその絵描きには、バベルの塔を出奔した、重大な秘密があったのだ。

 今日も明日も幸せ日和

 200万字の活字を読むことで1秒だけ時を止められる『時載り』の少女リンネのわくわくの大冒険。

 『時砕き』としての覚悟が芽生え始め、ちょっぴり成長したリンネの姿が見れました。
 正式に『時砕き』の仲間入りを果たしたものの、未到ハルナ直々の特訓に悪戦苦闘中のリンネからは、まだまだ『見習い』の3文字はとれないようですね。
 それでも『時砕き』になるために苦手な読者にも熱心に取り組むところは、やっぱり素直な子だなぁ。

 そしてまた新しく友達ができました。相変わらずリンネは友達を作るのが上手いです。
 自分より幼いのに父親に代わって家事を切り盛りするしっかり者のしおりちゃんを見て、「恵まれている自分」を感じ取って思うものもあったのでしょうか、遊ぶことばかり考えていた彼女の生活にも少しメリハリがついて大人っぽい表情も自然とするようになってきたかな。
 とは言え、しおりちゃんにとっては『頼れるお姉ちゃん』なのに、一転してハルナさんの前では『未熟者の弟子』になってしまうところが可笑しかった。

 年の暮れと年の始まりという特別なイベントを過ごすリンネたちの光景が、どこか素朴で懐かしく、優しい気持ちにさせてくれる。
 些細な日常も新鮮な驚きと感動に満ちたものに変えてしまう彼女は、やはりどこか我々とは違う観察眼を持っていますね。幸せを見つける視点とでも言うべきでしょうか。我々が当たり前の事として無意識に通り過ぎてしまっている風景も、彼女にとってはキラキラと光り輝く宝箱のように見えているんだろうなぁ。
 彼女を見ていると、我々の日常の中にどれだけ限りない幸せが溢れているかを思い出させてくれる。

 穏やかな日常だけではなく、シリアス面では「時砕きVS逸脱者」という重要な構図が見えてきた。
 リンネの父親である箕作剣介の謎にも言及し、凪の能力にも変化の予兆が、これは危険なフラグ?
 シリーズとしてはちょっとした転換期を迎えたといったカンジですかねぇ。
 益々、楽しみになってきました。執筆速度もちょうど良く出来も上々。この調子で頑張って頂きたい。

 ところで、「冬休み長いなー」と感じたのは私だけだろうか。物語の舞台って北海道とかだっけ?
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2009年07月08日

ガジェット 無限舞台 BLACK&WHITE/九重一木

404474601Xガジェット 無限舞台 BLACK&WHITE (角川スニーカー文庫)
九重 一木
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-07-01

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クラス一の美少女・真白に、校舎の屋上に呼び出された翔。そこで彼は“夢を見続ける神”に遭遇する。“神”は翔に、真白を“端末”の呪縛から解放することを命じ、特殊能力“傷”を与える。さらに、真白の双子の妹・黒乃が現れ、自分はバグってしまった真白の「補正プログラム」であると告げるのだった―。

msg.jpg

 典型的なセカイ系。漢字にルビだらけ。主人公は根暗、ヒロインデレデレ。嗚呼、素晴らしき中二病。

 こういった中二病ヒャッハァ!な作品がウェルカムな人ならさぞかし美味しいんだろうけれど、ぶっちゃけ、何を語りたいのかが作者の脳内だけで完結していて、さっぱり読者に伝わってないです。
 終始、ストーリーが支離滅裂で、読み手が納得できるだけの説明を示さないまま話が進んでいく。これではマトモに読んでいられません。

 誰からも特別な存在にならないよう無個性であろうとしている翔が、何故あそこまでしつこく古書店のバイトをしたがるのか、それにどうして真白に告白が誤解だと言い出さないのかなど、いろいろ矛盾する言動を多くとっている。
 敵である<侵略者>にしても、真昼間のデパートのトイレで人を殺しているのも変だし、人前や監視カメラに堂々と顔を晒しているのに警察沙汰にならないのはどうしてなんでしょう。あれだけ犯行が稚拙でよく今まで捕まらなかったものですね。殺人が嫌なら他に人のいないところで暮らすなり、殺人衝動を抑えれるように身体を縛り上げるなりすりゃあいいのに何で無対策なの?
 キャラの行動原理に深い理由付けがなく、つねに衝動的で脈絡がない。

 メインヒロインの真白よりも、「日本一包容力のある小学生」の方がキャラとして魅力的なのは誰の目から見ても明らか。次点が黒か世界ちゃんかは、人によって分かれるところだけれども、女店長や傷娘も含めたヒロイン勢の中では真白はぶっちぎって最下位でしょうね。あまりにも主人公にとって都合のよいヒロインというのは、それこそつまらない。

 問題が発生してそれをちゃんと解決しないまま次の問題が持ち上がって、事件が起きて駆けずり回っているうちに有耶無耶になって、いつの間にかなかったことになっている。
 物語に不都合な部分については、「そういう世界観だからです」で誤魔化すのは完全に作者の独り善がり。中二病がどうとか、邪気眼設定がどうとか言う以前に、理論立てて文章を書けないのならば、他人に読ませるべきではありません。
 絵師が植田亮のため絵だけは秀逸。これは『イラストに騙された名無しさん』大量発生の予感。

 続編のシリーズ2巻は秋頃の出版だそうですが、もちろん買いません☆
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2009年07月07日

R-15 ようこそ天才学園へ!/伏見ひろゆき

4044747016R-15 ようこそ天才学園へ! (角川スニーカー文庫)
伏見 ひろゆき
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-07-01

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芥川丈途は15歳にして、新聞に連載を持つ天才エロ作家。そんな彼が天才ばかりが集まる閃学園に入学した途端、女子寮のぞきの犯人にされるというエロトラブルが勃発!さらにクラス対抗オリエンテーションも開かれ、学園生活はわちゃめちゃ。果たして丈途のエロの才能で、クラスは NO.1になれるのか!?

 エロの感性が、新時代を切り拓く

 15歳のポルノ作家の少年と面白愉快な天才だらけの生徒たちが繰り広げる学園ポルノグラフィー。

 タイトルから誤解と期待を受けそうですが、エロは抑えられていますので安心と失望をしてください。
 様々な分野の天才児たちが掻き集められた特殊な学校というだけあり、一見して普通のようでも天才としてどこか凡人とはかけ離れた感性の変人ばかりで、頭のネジが数本飛んで盛大にアクロバット編隊をかましているような先輩やら級友たちのハッチャケぶりが愉快痛快でした!

 ポルノ作家として中学では周囲から非難を浴びていた主人公・丈途ですが、入学早々、"やらかして"しまったことで「のぞき魔」と疑われ、またもや針のむしろに晒される不条理に遭いますが、だって端から見ても変人の中で一人際立って変態っぽいですもん、まあ疑われても仕方がない。

 しかし、女子陣から毛嫌いされていた丈途も、新入生オリエンテーリングからエンジンがかかってくる。
 クラリネット奏者の少女・吹音に勝利の景品であるウィーン旅行をプレゼントするため、クラス対抗戦に奔走するうちに次第に彼を見る目も変わってきて、数学界の天才少年・律や天才ハッカー・蘭たちと協力するうちに、それまで個人主義の強かったクラスメイトも自然と彼を中心にまとまるようになり、最後にはクラス一丸となってひとつの舞台を作り上げていくところは素直に感動しましたね。

 出る杭は打たれず、むしろ出なければ無能として打ち捨てられる。とてもシビアな校風ですが、天才として期待されている彼らに、才能に胡坐を組んで努力を怠っていては凡人と同然ということを新入生のうちから身を持って教え込む。今回のオリエンテーリングはそんな思惑もあったんじゃないかなぁ。
 まあ先輩方はノリノリで楽しんでましたけどね。いかにも上から目線で無茶苦茶言いますねぇw

 最初、主人公をどんな方向にキャラ立ちさせたいのかが曖昧で、ファーストインプレッションが掴みづらかったのですが、ときおり妄想癖が暴走することはあるものの普通の少年として感情移入していました。
 百合や一部の腐った人たちが喜びそうなカップリングの仄めかしもあり、奇妙でけったいな人間関係が次々と構築されていくところには思わず苦笑してしまう。
 場面によって構成がゴチャゴチャしていたり拙い部分もあるけれど、この作風は好きかもしれない。

 若干、話のまとめかたが尻つぼみになってしまっている感もありますが、あとがきによるとすでにシリーズ化が決まっているようなので続編に期待。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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