ダフロン

2010年10月07日

A&A アンドロイド・アンド・エイリアン 星にいくつかの願いを/北川拓磨

4044748209A&A アンドロイド・アンド・エイリアン 星にいくつかの願いを (角川スニーカー文庫)
北川 拓磨 MAaYA
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-09-30

by G-Tools

光輔の意識がアンドロイドに転移してしたのは、どうやら疑似生物を発生させている“スイッチ”と関係があるらしい。そして地球の知識がハチャメチャな宇宙人少女イリアたちと学園生活を送る光輔に異変が!!

星に願った約束

 ネコ耳型宇宙人の少女とアンドロイドの少年のボーイミーツガール。完結。

 まずまずの出来かな(ホジホジ→「本書でひとまずお終いです」→えええ!?
 「スイッチ」が意識の転移のカギとなる可能性を得て、光輔にもやる気が出てきたものの、恋愛を学ぼうとするイリアによってミステリー研究会の内で恋バナの華が咲いていくのが面白かった。
 よく考えると日常パートでのラブコメが多すぎて、ストーリーがまったく進展してねぇ。これでいいの?

 光輔の身体に新機能がどんどん追加されていくが、透視能力とかまさに男の夢ですよ。
 なんで彼はそんなステキ能力を日常生活で使うという発想がないんだ、宝の持ち腐れじゃないか……。
 それにしてもアンドロイドの身体は便利ですね。いっそ戻らなくてもいい気がするんだけれども。イリアと一緒に宇宙を旅するのもとても楽しそうな気がするんですよね。

 恋愛、恋愛と言っているわりには、ラヴ分がもうちょっと欲しかったなぁ。
 デートでもドキドキしているのは光輔ばかりで対するイリアは非常に淡白で、途中で照れ顔のひとつでも見せれば萌えるところを全力スルーしてしまって、これではどうにも肩透かし感が……。
 アホな子ちっくな言動や仕草が面白くはあるんですが、ヒロインとしてはそれだけではねぇ。

 いやぁ、でも、この2巻での打ち切りは早かったなぁ。まだまだ話を広げられそうだったのに。
 今回でも伏線を大量に残していたのに……。ドールの出現とか、まさに意味ありげじゃない?
 『疑似人格プログラム』という言葉も出てきたあたりから、将来、光輔が自分は本当に神崎光輔の意識なのか、作り物のプログラムじゃないのか、と我思う故に我あり的な葛藤に行くと思ってました。

 凄まじく尻切れトンボですが、まあ次回作を星に願って待ちますか。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月06日

放課後のダンジョンにほまれはよみがえる魔物を見た/築地俊彦

4044748225放課後のダンジョンにほまれはよみがえる魔物を見た (角川スニーカー文庫)
築地 俊彦 H2SO4
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-09-30

by G-Tools

香原乃歩は、入学した高校で幼馴染みのほまれと再会する。だが、「人間暴風雨」と異名を取った彼女に引きずり込まれ、そのまま学校の地下に広がる迷宮の「測量」を手伝うはめに……。

 そこに穴がある限り

 学校の地下を探検する「測量部」の少女たちが人生を棒に振る勢いで繰り広げる、放課後探検コメディ

 ナニヨコレェ……(;゚д゚) いや、マジで俺はいま何を見たんだ? 誰かテロップで解説頼む。
 学校の地下に広がる旧日本軍の研究施設を主人公たち「測量部」の面々が探索していくんですが、生物兵器は出てくるわ、魔界の住人はおいでなさるわ、甲冑は踊り出すわ、なんでもありかい!
 常識を外れたあまりのシュールな展開に呆然としてしまいました。いや、ホント、なんなんだこれ……。

 他人の迷惑を顧みず、面白全部で地下迷宮に突進していくトラブルメイカーのほまれがウザいようにも感じるけれど、ここまで自分の望むままフリーダムに開き直って生きたらきっと楽しいだろうなぁ。
 巻き込まれる乃歩や測量部の仲間たちはたまったもんじゃないだろうけれど、彼女がいると毎日がスリリングな刺激の連続で退屈しないでしょうね。それはそれで充実した青春か?

 しかし、学校の地下洞穴を探検して、測量部の名の通りマッピングしてるだけの話ならいいんだけど、出てくるものが大変おかしい……。いろいろ崩壊してっぞ……。具体的にはリアリティ。
 せっかくだから測量技術や探索術について、もう少し真面目な描写でもあればよかったのになぁ。冒険の準備といっても、安全靴を履くくらいだし、そもそも測量してました?

 いやぁ、一発ギャグなお話でしたねー。これはコメディとしてはアリでしたが、この一冊で封印しておいた方がいい……。続編は、どう考えても苦しいだろ。
 そういえば、作者の築地俊彦さんって、これがスニーカー初参戦でしたか。かなり前から多岐のレーベルに渡って名が知られていた人だったので、ちょっと意外でした。

 今回はまあ小手調べということで、次回作に期待したい。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月08日

"菜々子さん"の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕/高木敦史

404159510X“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫)
高木 敦史 笹森 トモエ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-08-31

by G-Tools

“菜々子さん”が、突然3年前の事故は「事件だった」と語り出した。それは病床の僕にとってもはや検証不能な推理だけど、自然と思考は3年前に飛んでいた。彼女が語る情報の断片は、なぜか次第に菜々子さんが犯人だと示し始める。しかしそれは、菜々子さんの巧妙なる“シナリオ”だった!

 天使で小悪魔な彼女

 3年前の事故により全身麻痺に陥った僕と呪いをうけた"菜々子"さんが真実に迫る学園ミステリー。

 とても難しく一読しただけでは理解できたとは言えないが、醜悪で秀逸な作品であることは間違いない。
 可愛くて人気者な菜々子さんが、当時自分たちに起きた事故を振り返って推理を組み立てていくごとに、粘着質で陰険な小悪魔の顔を覗かせていく様子が恐ろしくもありつつ、過去の真実を論理によって導き出していく展開に引きこまれてページをめくる手が止まらなかった。

 語り手である坪手くんに執着する菜々子さんは、周囲を操って蜘蛛の糸で巻きつけて捉えようとするヤンデレの顔を窺わせる露悪的な少女だが、同時に自分の欲望に忠実な人間らしいヒロインでもある。
 現実であれば彼女ほどに策謀を巡らせている小学生はいないし、中学生でもいるかは危うい。だが事件の動機の根っこにあるのは子供らしい善悪を知らない残酷な人間関係であった。

 一見すると、菜々子さんさえ黙っていれば、このまま事故として忘れ去られたであろう出来事を事件として掘り返してしまった彼女は、自分で自分を追い詰めるという非常に余計なことをしていた。
 だが坪手くんと菜々子さんが過去と決着をつけて前に進むためには、どうしても真相を解明することが必要だったことが後々になって頷ける。

 そして秘密を共有したことにより、ついに菜々子さんは念願であった坪手くんを掌握するに到った。
 それこそが菜々子さんの最終目的だったのではないだろうかと読み終わってから彼女の真の狙いがふと浮かび上がる。歪んだ関係ではあるが、現代の複雑な子供の恋心の象徴しているかのように思う。
 文章という媒体で読むからこそこの味が出せるんだろうなぁ。久しぶりに凄いものを読んでしまった。
 しかし、いまさらだがこの物語を角川スニーカーで出す必要は無かったような気がするのだが……。
 どう考えても、レーベルの読者層が違くないか? もっとミステリーの玄人向けじゃないのかなぁ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月07日

サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ

4044740089サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ (角川スニーカー文庫)
土屋 つかさ 杉基 イクラ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-08-31

by G-Tools

ネット上の仮想世界OZで、“キングカズマ”として名を馳せる佳主馬は、ちょっとドジなアバター“マキ”と出会う。しかも“マキ”の本体である真紀は佳主馬がいるネットカフェの隣席におり、彼女が兄から預かったデータを狙う男たちに襲われていた。真紀とOZを守るため、佳主馬と“キングカズマ”は戦いに挑む。

 OZの白い伝説

 OZ最強の戦士キングカズマがOZを守るために立ち上がる映画『サマーウォーズ』のスピンオフ。

 佳主馬きゅんマジキングカズマ! キングカズマフォロワーに俺はなる!
 偶然出会った女子高生・真紀と供にOZをサイバー犯罪の陰謀から守るため、多くの人々に助けられながら突き進んでいくうちに、戦う理由を見失いかけていた佳主馬に再び闘志が蘇る姿に燃えました。
 『サマーウォーズ』の世界観は、人と人との繋がりの力を魅せてくれるのが素晴らしい!

 普段は大人びてクールな佳主馬が、年上のお姉さんである真紀に振り回され、ドキドキしている様子が思春期の男子らしくてとっても可愛い。初々しい恋愛模様が青春でよいジュブナイルですね。
 『サマーウォーズ』本編の表の主人公が健二であれば、裏の主人公は佳主馬でした。そして今回はそれが逆転した形で佳主馬をメインに陰で支える健二の活躍も描かれていて、これには胸が熱くなる。

 そしてなにより、栄ばあちゃんの登場が心憎い演出! 相変わらず、このばあちゃんは素敵すぎる!
 大人に任せればもっと上手に事は運ぶだろうに、佳主馬を信じて彼の手で決着をつけさせてやるために、あえて少し手を貸すだけに留めるおばあちゃんの懐の大きさには尊敬の念を禁じ得ない。
 真紀が香水や携帯を大切にするのも、それだけ家族との絆に飢えていたからじゃないかなぁ。一人きりの食卓に慣れた真紀に温かい食事の団欒を与える光景もしみじみ感動しましたね。

 クライマックスでは、佳主馬がOZを自分の大事な物と思っていたことが嬉しかったな。
 【カズマ】を応援するアバターやOMCプレイヤーたちの画面の向こうの温もりや息遣いを感じました。
 『サマーウォーズ』本編ともいくつかのリンクや重なる部分も多くありそうなストーリーでした。
 徳川家康の軍を撃退した武田家の子孫の佳主馬の敵が、葵の御紋のアバターをしたイエヤスを名乗るのも何らかの暗喩のようにも思えますね。読み返してそうした伏線を探してみるのも面白そうだ。

 角川文庫から発売中の岩井恭平版『サマーウォーズ』と比べると、多すぎる登場人物の登場を絞ったことで地の文も読み易く、一人称も感情移入しやすくなっていたかと。
 すでに『サマーウォーズ』を知ってる人にも、これから『サマーウォーズ』を知る人にもオススメです。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月09日

おやすみ魔獣少女 暗黒女神の《領域》/川人忠明

4044748160おやすみ魔獣少女 暗黒女神の《領域》 (角川スニーカー文庫)
川人 忠明 紺野 賢護
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-07-01

by G-Tools

辺境の村に住む少女エストは二人組の男女に連れさられ、領域魔術師になれと迫られる。領域魔術師は己の命と引き替えに、自身を“魔獣”化する絶対的な存在だった――。三人の少年少女の絆が熱い、戦乱ファンタジー!!

 魔獣召喚の夜

 大陸最強の殺戮者「領域魔術師」となり戦場に送り込まれた少女の生きるための戦いの物語。

 戦うヒロインはいいですよね。生き残るために必死なればこそ、その生き様が輝いて見える。
 戦争のための兵器<領域魔術師>として戦場に赴き、過酷な現実に怯えるだけだったエストが、目の前で殺されていく兵士を死なせないために、勇気を振り絞り立ち上がる姿に燃えた。
 呼び出した魔獣を通して亡き姉の優しさと温かさを知ったエストの喜びがなんとも切なかったなぁ。

 明るく勇敢で家族思いなエストのキャラは好感触で、折れても強くなって立ち上がる精神力は素晴らしい。他人を生かすために自分の身を投げ打つ健気なところもまたいじらしいな。
 戦闘メイドのニビさんもいいキャラだった。戦えば間違いなく命を落とすであろう相手にも顔色一つ変えずに挑んでいく姿が格好良すぎる。一家に一人は欲しいですね。クールな顔で毒舌吐いてくれー。

 ただし、軍の指揮官であるスハイツの無能っぷりは如何ともしがたいな。
 素人をロクな訓練もさせずにいきなりの実戦投入は無茶だろう。それに作戦をヒミツにして何かいいことあるの? 意思伝達を怠っていたせいで、エストと連携がまったく取れてないじゃない。
 そもそもエストを村から連れ出した時も、どうして後々にまで禍根を残すような強引な方法をとったのかな。あの状況なら、恩を着せて自分から来るように誘導することもできたような気がする。
 不確定要素だらけのバクチを戦術といっちゃいけない。恋人を殺された復讐に燃えるのは構わないが、だったらもっとマシな復讐計画を練りなさいよと思った。

 シリアスなダークファンタジーですが、キャラのコミカルな掛け合いで相殺していますね。
 ただし、それがいいことなのか、悪いことなのか、こればかりは読む人の好みだからわからない。
 緊張感がなくなって、折角のギリギリに張り詰めた雰囲気がぶち壊しになったりするので、作品の持ち味をこれと決めたら一貫するべきだと思うんですけどね。コメディなら、また別の話でやらないか?

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月09日

放課後の魔術師 7 スマイル・ウィズ・ユー/土屋つかさ

4044740070放課後の魔術師 (7)スマイル・ウィズ・ユー (角川スニーカー文庫)
土屋つかさ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-01

by G-Tools

“島”に潜入した遙だったが、肝心の安芸は記憶喪失に。脱出までの制限時間は「10日」。記憶を取り戻すべく奮闘するなか、遙は安芸の人生を変えた “ヴェニスの悲劇”の真相を知ることになるのだった―。次第に明らかになる真実は、ふたりにどのような結末をもたらすのか。

 紅と蒼の望む未来

 同い年の女子高生と教師カップルが繰り広げる放課後マジカルストーリー。完結。

 ツンツン尖った妹様が素晴らしい。外へ出てきてもイメージ通りで安心した。
 時間の流れが異なる≪島≫での遥と安芸のイチャラブっぷりに惚気られつつも、いかなる障害をも跳ねのけてお互いを求めあう揺るぎない想いの強さに魅せられました。
 事態の収束に向け、勢力の垣根を越えて一致団結する仲間たちの活躍ぶりも輝いてました。

 姉妹だからいいものの、仄香は予想以上にとんでもないストーカーだったなぁ。遥と安芸の前ではいつも強気なのに、仄香相手だと一方的に押されっぱなしのイドとで、いい漫才コンビでした。
 一方、さらりと口説き文句が出てくる記憶喪失の安芸Bは、朴念仁な安芸Aより期待できて困る。
 遥のために今の自分が消える覚悟で記憶を取り戻す決意をした安芸Bが、とてもいい奴で泣けてくる。
 前もってあんなメッセージを残していた遥の母親は、どこまでこの事態を予測していたんだろう。

 『ヴェニスの悲劇』の詳細が明かされましたが、当事者たちは、ほかに手段はなかったのかなぁ。
 塊斗だけを仲間外れにして安芸や絵理子たちだけで重荷を背負うことはなかった。魔術の才がない彼を巻き込まないようにしたつもりでも、後で己の無力さを一番悔やむのは他らなぬ彼自身だろうに。
 ≪円環≫の決定がどれだけ絶対はわからないが、死んだフリをして逃げるとか、いっそ≪鴉≫に亡命するという手もあったと思う。最善の策を取ったつもりが、少しずつすれ違ってしまったんでしょうね。

 遥と仄香の決断は、ちょっとあれ?って思ったけど、ハッピーエンドなら文句はないです。
 しかし、これで完結にしちゃうのはちょっと勿体無い気がするなぁ。まだ≪紅≫が完全に安全とは言えないし、弱体化した≪蒼≫の今後や≪鴉≫と≪円環≫との決着も気になります。
 ジェシカシステムから出てきた伊代や引きこもりから立ち直った仄香が、学校に通い始めるお話とか読んでみたかったなぁ。いずれ後日談が出ることを祈ります。

 読後感のいつも心地良い、ボーイミーツガールの傑作でした。ひとまずは、おつかれさまでした。そして次回作も頑張ってください。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月08日

ダンタリアンの書架 5/三雲岳斗

4044241171ダンタリアンの書架5 (角川スニーカー文庫)
三雲岳斗
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-01

by G-Tools

幽霊列車の記事を新聞で見つけたダリアンとヒューイ。貨物専用のはずの路線にあらわれた特別急行。飛び乗ったダリアンたちは、車内で幼い少女と出会う! 謎の鍵を握るのは一冊の時刻表? 人気シリーズ第5巻!

 人は揚げパンのみにて生きる

 人の欲望に応え、不思議な力を発揮する悪魔の本が巻き起こす事件を追う少女と青年の物語。

◆第一話 時刻表
 小さな子供と背の高さで張り合うダリアンが可愛いすぎてニヤニヤしちまう!
 かつて危機を前に職務を放棄して逃げてしまった己の行動を悔やみ、幻書の力を借りて過去を変えられはしたものの、そのために払った代償は大きかったですね。
 ただ、幻書を使わずにずっと後悔し続ける人生を送るよりは、彼はあれで幸せだったのかも。悲劇の代わりに、彼の名はあの街と人々の記憶に永遠に残るのでしょう。

◆断章一 水辺の花
 「この世で最も危険な動物」という注意書きの置かれた檻のある動物園の話を思い出した。
 とりあえず、それは本か?という疑問が。

◆第二話 猫と読姫
 猫とダリアンなんて、最高の組み合わせじゃないか! 萌えすぎて身悶えた。
 ダリアン自身が、猫みたいな子ですからね。こちらから構うと嫌がるくせに無視してると寄ってくる。
 夢の話はちょっとSFだったけど、その猫がヒューイに拾われたのも何かしらの運命だったのかしら。

◆断章二 愚者の本
 常に作者の思惑とは別に読者は作品を読み取る、という小説家としての苦悩を表しているのかな。
 読者の受け取り方なんて、作者がいちいち気にしなくていいと思いますがね。

◆第三話 航海日誌
 大根娘再登場! すっかりダリアンにいじられるアホな娘で定着しちゃいました。
 ロールプレイングは自分からする分には楽しいけれど、こうやって強制的に役割を押し付けられて、終わりも見えずに延々と演じなければならないとなると、ただの苦痛にしかならないでしょうね。
 毒舌を吐きつつもジェシカを思いやるダリアンがよかった。

◆断章三 観測者
 1日1頁でも、最後まで読んだら死んでしまうのであれば、約束を守ったところでいつかは……。
 というか、観測できるだけじゃなく本から飛び出てくるんですか?

◆第四話 つながりの書
 焚書組に続き、幻稿組との遭遇ですが、顔を合わせた途端に低レベルな口喧嘩をおっ始めるロリっ子たちの姿に、こういうのを待ってましたと歓喜の俺。読姫たちはやっぱり仲悪いんだなぁ。
 しかし、この時代にダリアンとヒューイの口からネットワークだの、ノードだのというIT用語が出てくることに違和感を禁じえない。よくもまあグリッドコンピューティングなんて推理に結びつきましたね。
 帝国(ライヒ)という言葉から、教授は未来からきたナチス信奉者かなにかだろうか……。

 コミカライズ、おめでとうございます。しかも二誌で。これでダリアンの可愛さが2倍味わえる!
 早く読みたくてたまらないのですが、単行本になるまでは我慢して揚げパンを食べて待ってる。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月07日

東京皇帝☆北条恋歌 5/竹井10日

4044712107東京皇帝☆北条恋歌 5 (角川スニーカー文庫)
竹井10日
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-01

by G-Tools

九州を巻き込んだ三角関係も落ち着き、東京帝国への帰途につく恋歌たち。ところが帝国では新皇帝が即位していた! 超VIPから一転お尋ね者になってしまった恋歌たちはひとまずゆかり子の屋敷に潜伏するのだが――。

 世界はそれを愛と呼ぶのでしょう

 平凡な少年が東京皇帝に成り上がっていくサクセスストーリーを描いた帝国的学園ラブコメディ。

 ゆかり子さんの乙女ちっくな醜態が見られて、もうそれだけで大満足でした。
 東京帝国の政権を取り戻すため、ゆかり子の家に潜伏したものの、一斗を気に入ったゆかり子の父親が婿候補として縁談を進めてしまい、急な話に戸惑う一斗たちとは逆に有頂天になったゆかり子さんの浮かれっぷりが大変面白可愛らしかったです。

 ヒロインたちにとっては、政権争いなんて一斗争奪戦に比べれば取るに足らない些事なんだろうな。
 そして一斗は、来珠や恋歌たちがちょっと目を離した隙に、すぐに新しいフラグを立ててしまうんだから、本当になにかの引き寄せフェロモンでも出てるんじゃないか。これがg適正か……。
 いつの間にか以前の学園生活に戻ってきている皇帝部。あの駆け落ち騒動はなんだったー。

 ツンデレは来珠とキャラが被るんじゃ……という不安もあった愛梨珠でしたが、ヤンデレでしたかー。
 一斗はいつか刺されると予想はしていました。誰にでも優しい顔してるからそんな目にあうんですよ。
 たまに毅然として格好いいところもないわけではありませんが、普段の優柔不断で状況に流されるままの彼は、毎度、騒動の元凶になっているだけだし、いい加減学習して欲しいですね。
 ちょっとシリアスで悲しい結末になってしまったけど、愛梨珠が最後に抱いた一斗への想いはまさしく無償の愛でした。これで一斗が成長してくれれば……。

 う〜ん、一斗には早いところ東京皇帝になってもらって、ハーレムを築いて欲しいのですが、なかなか進展しませんね。オープニングのナレーション通りの未来が訪れるのは、いつのことやら。
 ギャグコメディとしては今回も爆笑モノでした。いやぁ、さらりと挿入されるボケがシュールでいい。
 ただネタが尽きてきた感があります。異世界関連ではやたらパワーインフレが激しかったけど、そろそろラブコメ以外の進展があってもいい頃。まあ、ラブコメも結局なにも進展してないんだけどね。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月04日

薔薇のマリア 13 罪と悪よ悲しみに沈め/十文字青

404471021X薔薇のマリア 13.罪と悪よ悲しみに沈め (角川スニーカー文庫)
十文字青
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-04-01

by G-Tools

ヨハンを失った秩序の番人は弱体化の一途をたどり、街にはSIXの唱える悪徳再生の声が響く。渦中のでマリアとトマトクンは決断する。悩めるルーシーは街をさまよい、ベアトリーチェは秘めた想いをマリアに明かす。そして、街が喊声と殺気に沈む決戦の時、アジアンはマリアのために疾っていた。

 我らのすべては義のために

 無政府王都エルデンで暮らし、迷宮へ宝を探し求める侵入者たちの生き様を描く物語。

 アジアンがますますおバカさんに……この、可愛い奴め。
 SIXとの泥沼の激戦がエルデン全土で繰り返されるなかで、義のために己の命を投げ打つ『秩序の番人』の隊長たちの燃え盛る情熱と猛々しい生き様に圧倒されます。
 ベアトリーチェやヨハン、SIXに虐げられてなお立ち上がる人々の心の強さを見せつけられました。

 それにしてもトマトクンはどこまでが天然でどこからが演技なのか読めない男だなぁ。
 『秩序の番人』の隊長格と渡り合った時も、相手を焚きつける挑発の仕方をよくわかってるなぁと感心したものだけれど、総長として就任したあとも組織を仕切って見せた手腕には驚かされました。
 いつもマリアローズに任せて怠けてばかりだったけど、締めるべきところはきっちりやれるんですねぇ。

 これまで『秩序の番人』といえば、羅叉や琺瑠くらいしか目立たなかったけど、グレシャやアシャー、ユキシなど個性的な面子が揃っていた。それぞれ思いも境遇も様々な者たちが、『秩序の番人』に集ってトマトクンの指示の元、SIX打倒とヨハンの救出に一つになっている光景に胸沸き躍ります。
 弱体化したと言われる『秩序の番人』ですが、亡き義父デニスを敬愛しているからといって、いつまでも過去の栄光にしがみついていてはいけないのかもしれませんね。これからはヨハンや羅叉、琺瑠たち若い世代が新しい『秩序の番人』を創っていかないといけないんだろう。

 そして長き休息の末に、ついにベアトリーチェがヒロインに返り咲いたよ!
 かつて凌辱を受けたSIXを前にして一歩も怯まずに自分の信念を貫く姿が格好良かった。
 マリアローズのファンは何故か変態ばかりでマトモな常識人が少ないんだよなぁ。
 私としてはアジマリ派ですが、リーチェのような一途で健気な女の子には幸せになって欲しいな。

 SIXの起こした悪行の数々は決して許されることではないけれど、彼が執拗に悪逆の限りを尽したのも、自分を救ってくれなかった正義に対する善への憧れの裏返しじゃなかったのかな。
 そんな彼でもルーシーの母親のように愛してくれる人々がいたのならば、過去を忘れて更生するチャンスもあっただろうに。どこかでそのことに気づいていたら、死ねない身体を持ってしまった彼もまた違う人生を歩めたかもしれない。

 マリアローズの秘密の一端がまたもや仄めかされましたが、トマトクンは本当に何かを隠しているのかな。ジョーカーが見つけた古代の歴史とどう繋がってくるのか、さらなる今後の展開も気になるところです。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(2) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月03日

ベリーベリーエンジェルス 理事長閣下の特務機関!?/藤本圭

4044741042ベリーベリーエンジェルス 理事長閣下の特務機関!? (角川スニーカー文庫)
藤本 圭
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-04-01

by G-Tools

高校に復学したシュンタローは、強大な権力で学園を支配する生徒会と対決するため、理事長が設立した15番目の文化部──通称『壱伍機関』のリーダーに任じられる。しかし、所属する部員は、変人揃いの美少女達で…

bashingtag.jpg


 学園を影で牛耳る黒幕の正体を突き止めるために主人公とヒロインたちがミッションを繰り広げいくというあらすじですが、それはただの体裁で結局はありがちなハーレム系ラブコメというガッカリ感。
 スパイなのに全然スパイらしくない。調査対象にスパイの存在やその正体を掴まれないのが肝心だと言うのに部活動として看板ぶら下げて、いったいどーしたいんですか……。

 ヒロインたちも個性的を通り越して騒がしくて鬱陶しい。絶対にスパイに向いてないわ。
 それでもなにか特殊技能があればいいんだろうけど、役に立たない微妙なスキルばかりだし。
 むしろ主人公だけで楽にミッションをこなせるのに、余計なお荷物になっているだけじゃないかなぁ。
 まあ、そんな周囲に認知されまくってる三流スパイにしてやられる生徒会側も意味不明ですが……。

 些細な校則違反で退学させられ、明確な差別をつけられる普通科と特進科の格差をなんとか是正しようとスパイ活動に勤しんでいるけれど、ぶっちゃけ、こんな高校退学してもっとマシな高校に転入した方がいいんじゃないかなぁ。放置したからといってなにか主人公たちに不都合があるわけでもなし、だいたい高校を乗っ取ったくらいでなにができんのよ。スケールが中途半端でピンとこない。
 ヒロインたちもどこか遊び半分で真剣味が窺えない。

 ストーリーは先の展開が読めるし、ラブコメシーンは安っぽいし、アクションもお約束。
 『この作品のここが!』と強く物語に引き込まれるような魅力を感じなかった。
 どうせB級スパイ映画ならもっとド派手なアクションをやっちゃっていいと思うんだけどなぁ。
 変なところで常識のストッパーが働いて小奇麗にまとめようとしているから盛り上がらないんだよ。
 『チャーリーズ・エンジェルズ』や『007』をパロった程度で満足してないで、もっと読者の興味を掻き立てるようなマニアックなネタを次々に打ち出さないとすぐ飽きます。
 なにより安易なラブコメに逃げているのがいただけない。こんなラブコメで喜ぶ読者はいないだろうさ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月11日

サクラダリセット 2/河野裕

4044743029サクラダリセット2 WITCH, PICTURE and RED EYE GIRL (角川スニーカー文庫)
河野 裕
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-27

by G-Tools

記憶保持の能力を持つ少年・浅井ケイと「リセット」能力を持つ少女・春埼美空は、管理局の要人に呼び出される。「魔女」と名乗るその初老の女性の能力は、未来を見ること。その役割は、咲良田の未来を監視すること。そして魔女は、自身の死期が近いことを知っていた

 過去と未来を繋げる絆

 三日分の時間を「リセット」することで現実世界の問題や困難を乗り越えようとする少女少年の物語。

 異能者たちの対決を描きながら、単なる異能バトルとならずに頭脳戦となっているのがすごい。
 かつてのケイの強さに憧れ、美空の持つリセット能力を奪うと宣言した岡絵里。お互いに相手の先を読み応じ手を打ち合う駆け引きは、あたかも囲碁か将棋の達人の試合を見ているかのようでした。
 パズルのピースをひとつひとつ当てはめていくような緻密で精巧な構成力に驚かされます。

 記憶保持とリセット。二人一緒でこそ最大の効果を発揮するケイと美空の関係は、能力だけで繋がっているわけでもないだろうけど、「リセット」を奪われ思わず揺らいでしまう心がとても切なかった。
 本当は男女が一緒にいるのに理由なんて必要ないはずだけれど、咲良田で暮らしている彼らにとって能力というものは、自分と切り離しては考えられない大切なアイデンティティなんでしょう。

 自分なしに能力はありえないし、能力なしに自分はありえない。未来視で咲良田を監視してきた「魔女」も、能力のために自分を押し殺せなかったからこそ、最後に自分を通すことを選んだんじゃないかな。
 リセットだけでは無理なことも異なる能力を組み合わせることで問題をクリアするケイの智略に脱帽ですね。よくもまあこんな完全犯罪じみた脱獄計画を思いつけるものだと感心します。

 未来視やリセットは万能に思えますが、村瀬の消去能力の応用性も幅広すぎますよね。
 能力消去を身体に使って、手に持っているものまで効果範囲に含まれるのは便利すぎる。
 リセットを無効にしたときも、本来なら地球は公転しているから時間を戻った村瀬は宇宙空間に放り出されてないとおかしいんですよね。
 その辺りの矛盾はリセット側の仕組みに理由があるのかな?

 さて、今回でシリーズの大筋が見えてきました。果たしてケイの望みは叶うのか、次巻に期待です。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月09日

円環少女 11 新世界の門/長谷敏司

4044267138円環少女 (11)新世界の門 (角川スニーカー文庫)

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-01

by G-Tools

“魔術師”王子護は、浮島“アトランチス”を房総沖に浮上させ、テレビ中継を通じ全世界に魔法使いの存在を公開した。戦争の橋頭堡として、商売の材料として、それぞれの思惑が島に焦点を結ぶなか、仁は、きずなに、自分自身と大切な人を守るために闘う覚悟を問う!

 神の存在証明

 ヘタレ教師とドS美少女魔導師のウィザーズバトルファンタジー。

 正直に白状すると、いい加減ストーリーを追えなくなってきました。複雑すぎるだろこれ……。
 初めて人殺しを経験したばかりのきずなちゃんには辛いけれども、仁やメイゼルたちが守ってあげられる段階はとうに過ぎ、彼女が魔導師としての運命に立ち向かうときが来たんでしょうね。
 生き残るために殺し合いに身を投じた再演魔導師の壮絶な戦いが印象的でした。

 もうメイゼルや鬼火衆たちを率いるリーダーのくせに、古巣のアパートを追い出されてすぐに路頭に迷う仁も相変わらず甲斐性なしですが、あっさり見捨てる京香姉ちゃんも薄情だなぁ。
 力を失いつつある《公館》の立場が国家と魔導師の間で揺れているから仕方がないのだろうけれども、それにしても各勢力が入り乱れすぎて、もはや誰が味方で敵なのか信じられなくなってきました。

 生きるために敵を撃てと銃を渡されて、すぐに切り替えられるものではないきずなちゃんの葛藤もわかりますが、さすがにこの状況で自分だけ手を汚したくないというのは許されんでしょう。
 しかし、本人は使うつもりのない再演魔術を恐れる神音魔導師が、一方的に敵視して襲いかかってくるのを撃退しているだけなのに、それでさらに憎悪を煽ってしまっているのだから悪循環だよなぁ。

 元々の文章が読みづらいからなのか、私の読解力がないからなのか、どうしてこうなった的な部分が多々あったのですが、とりあえず仁の小児性愛が全世界規模で知れ渡ったってことでOK?
 最後に降臨してきた神が再演の神ということは、仁たちの世界は新しい再演体系の世界になってしまうんだろうか。果たしてその奇跡が仁たちを幸せな結末へ導くのか、はたまたさらなる地獄へと突き落とすのか……。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月08日

ばけてろ 影の大統領はとてつもなく偉いのだ!/十文字青

4044710201 (角川スニーカー文庫)
十文字青
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-01

by G-Tools

自らを「影の大統領」とよぶ少女、大良権有華央!有華央は、景敦、千夜子、メルカを、とあるシェルターに連れて行く。そこには、千五百年前の石棺があった!皆が見守る中、大良権家特製の人型ロボが石棺をバラバラにすると、中から全裸女性姿の青い謎の生き物(?)が現れ…!

 これはオカルトですか? いいえ、エロスです

 頭が悪い空耳娘とオカルト熱愛娘とグータラ霊能少年のゆるゆるオカルトコメディ。

 シリアスよりもまったりエロくて、ヘンテコなキャラたちがわいわい賑やかにしてる光景が楽しい。
 古代の石棺から出現した生物兵器と対決したり、幼い頃の思い出探しに出かけたり、怪しげな霊感商法詐欺を暴いたり、いろいろやってるけれど相変わらず男性読者へのサービス精神が旺盛ですね。
 景敦がもうムッツリを廃業してオープンスケベになってきたんだけど、まあ男ならば目の前に肌色があればついそちらに視線がいってしまうのも仕方ない……のか?

 学校内でクルピナに下着を溶かされてノーパン授業を強いられるメルカさんが可愛かったですね。
 周囲に悟られないように表面はいつも通りに高圧的な態度をとりながらも、内心ではいつバレるかハラハラ、ドキドキと羞恥に耐える姿が、なんというか、大変そそりますなあ!
 うっかり天然娘の方は無防備すぎて逆に張り合いがないというか、むしろ和んでしまう。

 エロツールを一周しちゃった景敦の感慨は自分も覚えがありすぎて身につまされるなぁ。
 エロゲやエロDVDの片手間に因縁だか宿命だかの相手の手掛かり探しって優先順位そんなかよ。
 疑惑を感じたとある新興宗教の調査に向かった先でも、女子更衣室を覗いたり、露出度の多い女の子ばかりガン見したり、主人公なのにどこまで悲しい習性をしてるんだよお前は……。
 自分も景敦を非難できるほど聖人君子ではないが、ここまであからさまだとさすがに引くわぁ。

 現役女子高生の巨乳ポロリもいいけど、望むならばミポルや有華央みたいなつるぺたロリもね!
 読む前はミポルに期待したのに出番なしだなんて、一体どういうことなんですかううう……(泣)
 カオス風味なエロコメディですが、最後にはきっちり締めているし、大筋ではストーリーも進展しているようだし、このシリーズはこれでいいんじゃないか?

 なんだか次第に混乱してきてこの作品とどう向き合えばいいのかわからなくなってきた感があるけど。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月07日

レンタルマギカ 銀の騎士と魔法使い/三田誠

4044249237レンタルマギカ 銀の騎士と魔法使い (角川スニーカー文庫)
pako
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-01

by G-Tools

京都でのあの出来事から季節は過ぎ、“アストラル”はいつもの賑やかさを取り戻しつつあった。しかし“アストラル”のメンバーは大きな変化を受け入れざるをえなかった。右目の力は薄れ、トレードマークでもあった眼帯は無くなったが、自らの力だけで試練に挑んでいく!

 伝統をくつがえす革新

 東洋と西洋の魔術が交錯するハイブリットマジカルアクション。第三部始動。

 社長としての落ち着きだけでなく、したたかさまで身につけたいつきの急成長ぶりに目を瞠ります。
 猫屋敷、穂波、アディリシアが<アストラル>からいなくなって、妖精眼も前ほどの力はなくなってしまったけれども、残ったメンバーたちが挫けることなく研鑽を積み、若い者たちの才能が芽吹いていく姿が<アストラル>の再生の息吹を感じさせました。

 スーツ姿で<協会>の裏方に徹する猫屋敷や穂波、<螺旋の蛇>対策に追われるアディリシア、<アストラル>から引き離された彼らも、いつきたち<アストラル>の動向を気にかけていて、離れていても想いは一つなんだなと安心しました。
 しかし、頭ごなしに叱る相手がいない方が、いつきが伸び伸びやっている気がしないでもない……。

 <銀の騎士団>と業務提携をすると思わせて、魔術決闘を挑むとは予想もつかなかった!
 <アストラル>を完全に侮っているジェラールの驕りを逆手にとった作戦は、自我に凝り固まった魔術師では考えもつかない発想でしょう。前哨戦の駆け引きだけでなく、真っ向からぶつかり合う実力勝負での決着も凄かった。決め台詞の「社長命令」も健在で嬉しい限り。

 個々が心身ともに成長して、さらには信頼できる新たな仲間も得て、魔術結社が一丸となって<螺旋の蛇>と戦う体制を備える構えもあり、不安よりも期待が多く持てる好調なスタートでした。
 <螺旋の蛇>の誕生の秘密や行方不明中の"あの人"など、新事実も明かされてきましたが、みかんとラピスの可愛い掛け合いももっと見たいし、オルト君の学生生活が気になりますね。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月10日

ミスマルカ興国物語 VI/林トモアキ

4044266212ミスマルカ興国物語 VI(角川スニーカー文庫)
林トモアキ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-01-01

by G-Tools

帝国とは停戦状態のまま、中原は諸国の王の誕生日が集中する“黄金月間”に入る。王に代わって諸国の挨拶回りを始めるマヒロだったが、それは各国の実情を見極め、帝国へのカードにするための布石だった――。

 愉快で奇天烈なお国事情

 口先だけで大陸の統一を目指すバカ王子の邪道戦記モノ。

 サバ缶は、やはり醤油だろ! 醤油が一番サバの脂の旨味がわかると思う。
 みそ煮がマズイとは言わないが、やはりご飯にのけて食うのであれば醤油がベスト。缶のつゆごと空けて御茶漬けにすると身も柔らかくなって、ダシを吸った米をかっこむのがまた格別である。
 味が濃くこってりとした感じのみそ煮はやはり酒のおつまみ用かな。しかし、晩酌にビールって、シャルロッテ王女、おっさん臭い……おや、誰か来たようだ。

 帝国との和平のために自分の父親を取引材料にと考えるマヒロも性格歪んでますが、そんな息子の成長を喜ぶミスマルカ王も相当な悪人だなぁ。つくづく腹黒い親子だこと。
 しかし、近隣の大国に脅かされ続ける小国の王としては綺麗事だけではやっていけませんよね。若い頃のラヒルも戦争を終わらせるためにもっとも有効な方法を取ったつもりでいたのでしょう。
 それが大切な友を死なせ、息子のマヒロに重荷を背負わせる結果になってしまったのは、人の身には過ぎた力を求めたことへの罰なのでしょうか、マヒロがその二の舞にならぬよう願いたい。

 それにしても中原の連合国はみんなして変人、型破りな王族ばかりですね。
 ぶっとんだ人たちに囲まれて生真面目なリーゼルなんかは気苦労が多いんだろうな。そんな疲れをリフレッシュするためにもエロ本は必要だよ王子様。
 ジェス君も拾われたのがあんなキレた人で大変でしたね。そりゃあ、若くして人生を達観しちゃうよ。

 参加者全員がイカサマ上等の麻雀シーンがまたよかった。賭けているものが国土とか紋章とか壮大すぎるが、師匠の予想外の要求に凍てつく場が笑えました。
 そんな不信人たちをバッサリと斬り捨てるエミットも格好良かった。ドラ十四の数え役満なんてどう考えても無理でしょ。信仰心とか未来視とかそんなオカルトありえません。

 今回は紋章探しを一旦休み、王族の誕生日でお祭り騒ぎの諸国を漫遊するインターバル的なストーリーでしたが、大風呂敷をさらに広げたり、伏線の回収をしたかと思えば、新たにキャラ追加したりフラグを立てたりと水面下での政治的な進展はいつもより密度が濃かった。
 次巻で第一部完だそうですが、このまま帝国の思惑通りに戦端が開かれるのが早いか、紋章を得たマヒロが和平交渉に向かうのが早いか、もはや猶予は許されません。
 この危機に果たしてどう立ち向かうのか、我らがヒーロー・ゼンラーマンの活躍に期待です。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月07日

ブレイドライン 2 アーシア剣聖記/水野良

4044604320ブレイドライン2 アーシア剣聖記 (角川スニーカー文庫)

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-01-01

by G-Tools

妖精族の力を開放し、故郷の島々を津波で壊滅させたセラ。あまりにも危険な彼女を生家に押しつけるべく、ヒエンは帝都を目指す。だが、彼らの行く手を聖都ナユタの軍勢が阻む。少数民族“沼人”を虐げるナユタ軍に対し、義をもって刃を振るうヒエンだったが、その前に意外な人物が立ち塞がる!

 剣が見合わす、一期の出会い

 襲い来る妖魔に鍛え抜かれた武術で立ち向かう武使たちの剣と刃が交錯する和風ファンタジー。

◆第一章 レイヴン
 若い娘を差し出せという領主の命令に頭を抱える村のお話。
 ミナセのような美少女を目にして、はやる気持ちはわからないでもないけれど、ヒエンがっつきすぎ!
 それなのに、いざ据え膳スタンバイとなったときに怖じ気ずくとは…このヘタレめ……。
 自分の気持ちよりもまず相手を思いやる優しさが先にあるのは母親の躾がいいんだろうけど、女心がわからないようじゃねぇ。もう少し時間をかけていればミナセの気持ちも通じただろうに惜しいな。

◆第二章 ドリームキャッチャー
 村人や旅人を惑わす妖怪退治を依頼されるお話。
 スズリさん、あつかい易いなー。思い込みが激しいとそのうち人に騙されるよ。
 もし依頼を受けたのがスズリだったら最後まで山賊たちの企みに乗せられていたでしょうね。
 そしてセラ母さんは、いつもお気楽でいいなぁ。ヒエンの苦労と等価交換ですけれど。これで母親じゃなければ萌えなくもないんですが、どうして設定を親子にしたんだろうね。

◆第三章 ホーリーダンサー
 故郷に帰ってきたスズリとかつての女友達のお話。
 女に弄ばれているという認識ぐらいはあるのかヒエン。相手が器量良しなら誰でもいいなんて節操なしと言われるのも当然。少しぐらい選り好みというか、女を見る目を鍛えた方がいい。
 一緒に旅をしてるのにスズリにはそういう浮ついた気持ちを抱かないのはどうしてだろ。美人なのに。

◆第四章 ウォーターランド
 湖沼地帯に住む沼人たちを虐げるナユタ軍との戦に巻き込まれるお話。
 弱い者を犠牲にする戦争に義もなにもあったもんじゃないですよ。神職のくせに人種差別とか人間的に終わってる。こんな頭の足りない輩を司令官にするなんてナユタ国も先行きやばいな。
 アモンも掟や習わしだからと唯々諾々と命令に従うばかりではなく、それが本当に正しい行いなのかどうかを自分で判断しなくてはいけないよ。それが力を持つ者の責任でしょう。
 その過ちを正すために払った代償は大きかった。しかし、大切なのはこんな悲劇を二度と起こさないために各人が努力することだと思う。そのためにもヒエンにはさらに強くなって欲しい。


 スケールの大きかった1巻に比べ、2巻でいきなり短編集というのは偏ってるような気がする。
 それよりも、今回やらなきゃいけなかったのは、PTメンバー集めじゃないかな。いくらなんでも冒険の主要メンバーが3人だけっていうのは寂しい気がする。馬と牛は役立たずなので除く。
 MMOでいえば、ヒエンがMTでスズリがアタッカー、セラがウィズという感じだから、あとは弓術使いや隠密、癒しの術が使える神官といった支援・ヒーラー職のキャラが欲しいと思った。

 う〜ん、世界観はいいんだがシリーズ全体の構成や人物設定が不格好に感じるなぁ。もうシリーズの目的が鬼道衆との戦いよりもヒエンの嫁探しになってるじゃないですか。いっそヒエンの旅は早めに終わらせてしまって、別主人公で再スタートした方がいいんじゃない?


posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月06日

放課後の魔術師 6 ミスティック・トリップ/土屋つかさ

4044740062放課後の魔術師 (6)ミスティック・トリップ (角川スニーカー文庫)

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-01-01

by G-Tools

秋を迎え、遙たちはイギリスに修学旅行へ向かう。気分が開放的になる海外旅行なので、安芸との嬉し恥ずかしなハプニングに期待し心躍らせる遙だったが、イギリスは《完結した円環》の本拠地であり、ふたりを巡る暗躍がすでに始まっていた!

 陰謀蠢く霧の街へ

 同い年の女子高生と教師カップルが繰り広げる放課後マジカルストーリー。

 安芸と遥もますますお似合いのカップルになってきて、すっかり惚気られましたね。
 修学旅行でイギリスへとやってきて、楽しい滞在になるかと思いきや安芸と斎条の師匠が登場したり、《円環》の内部抗争に巻き込まれたりと急展開に次ぐ急展開に目が離せませんでした。
 ってか、5巻との間にいろいろありすぎw 先にそっちを短編集で出すべきだったんじゃないかな。

 しかし、ベルも大概世間知らずでしたが、あの師匠はまさに常識外れだなぁ。
 外見から性格までやることなすことエキセントリックですが根はいい人だと思うよ。
 あの姉がいてこの師匠に育てられたのなら、安芸が朴念仁になってしまったのも少し納得。
 《紅》の事情を師匠や《円環》の上層部も知っていたとなると、遥を論理魔術の世界に巻き込んだ責任を安芸がことさら感じる必要はないような気がする。

 むしろ《円環》は《鴉》対策の不始末を毎度尻拭いしてもらってる安芸に恩を感じてもいいくらいだ。
 それなのに瀕死の安芸に対してのあの扱いは酷い。《鴉》よりも《円環》の方が陰険に思えてくる。
 《蒼》の次期当主なのにいつもハブられていないか安芸。イドのこともあるし、他の《血族》の間では肩身が狭いんだろうか。独善的な《円環》の支配に若者たちがどう抗っていくのかが見物ですね。

 初の上下巻でしたが、衝撃的ラストで終わってるので非常に続きが待ち遠しい。妹様の出陣に期待。
 ときに作中で女の子たちがプレイしているペンギンのボードゲームは、『HEY! THAT'S MY FISH!』かな。毎回どんなボドゲが登場するか楽しみです。

 そういえば、作者の土屋つかささんと去年の暮れにリッパーさん主催のボドゲ会でお会いしました。
 名刺まで貰ってしまって恐縮です。いくつかゲームをご一緒しましたが、空気を読まずに勝利してしまいサーセンw 『アラカルト』面白かったです。是非、また卓を囲みましょう。

当日のボドゲ会のレポート:
 土屋つかさの今か無しか
 ラ管連TCG部の日記

 
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月05日

ダンタリアンの書架 4/三雲岳斗

4044241163ダンタリアンの書架4 (角川スニーカー文庫)

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-01-01

by G-Tools

郊外の寄宿学校に招かれたダリアンとヒューイ。上流階級の令嬢が集まる女子校で、“幻書”を探す二人は、中等部五年のジェシカと出会う。ジェシカの狙いは、学園に“幻書”を持ち込んだ、連続猟奇殺人犯ディフリングを見つけ出すこと。学園で相次ぐ神隠し事件、その被害者の一人はジェシカの親友だった。

 そこには喜びも悲しみもすべてが詰まっている

 人の欲望に応え、不思議な力を発揮する悪魔の本が巻き起こす事件を追う少女と青年の物語。

◆第一話 間隙の書
 女子校に潜伏する幻書を持った殺人鬼のお話。
 相変わらず罵倒と毒舌の尽きないダリアンが可愛いですが、そんな口の悪いダリアンに真っ向から食ってかかるジェシカも可愛いですね。というか、大根大根言うからすっかり大根のイメージがw
 犯人を捕まえるためにダリアンが仕掛けた罠は、読姫ならではの荒業だけれど、ただ隠れられないようにするだけだったら扉に鍵でも締めればそれで済むんじゃないかとも。

 ヒューイと思わぬ繋がりのできた大根娘の再登場が楽しみです。

◆第二話 幻曲
 誰にも演奏不可能と言われる楽譜を弾く演奏者のお話。
 難解な曲であるというよりも、弾いている演奏者自身にも影響が出てしまうだろうから、そもそも人間には困難なんだろう。過去に演奏に挑んだ人もそれで精神を病んでしまったんでしょうね。
 人の心を惑わせる幻曲とはいえ、音楽は魂が籠ってはじめて音楽たりえるとも言いますし、最初からクリスタベルには心と魂があったんじゃないかと思います。

◆第三話 連理の書
 所有者同士を結びつける幻書を手に入れたアルマンの話。
 幻書の力で恋人を手に入れたくせに自慢げなアルマンがウザすぎる! リア充爆発しろ!
 しかし、やっぱりうまい話には落とし穴がつきもの、ですよねーw
 アルマン側には変化がないということは、彼女がヤンデレなのは幻書のせいではなく元からでしょう。

 彼女に問題があったというよりは、アルマンに相手の内面を受け入れる器量がないだけな気がする。恋人が実はヤンデレだったとか美味しい展開だろう、逆に。

◆断章1 催眠の書
 いつもながら秀逸なオチでした。自分の望むままにリアリティ溢れる妄想を見れて使用するにもペナルティがないとしたら、意外と有益な本なんじゃないかな。エロ的な方面で。

◆第四話 調香師
 特殊な香水を調合する女調香師のお話。
 うーん、切ないいい話だとは思うんだけど、なんというか第二話と被るような気がする。
 あれだけ様々な効能があるとなると、もはや香水というよりは魔法薬ですね。
 香りを嗅いだダリアンはどんな記憶を思い出したんでしょうか、もし嘘をついていないとしたら、ヒューイと一緒にいる現在が一番幸せっていうことなのかな。

◆断章2 屋敷妖精の受難
 うちの本棚も整理してくださ……どこへいく。

◆第五話 幻書泥棒
 幻書を盗む怪盗と焚書官のお話。
 ハルが予想外に冴えていた。文字も読めない単純バカだと思っていました。
 個別シナリオに分かれているのもいいですが、ヒューイとの絡みもまた見たいですね。
 さらに幻書泥棒が主人公の話とかもあれば世界観がより広がって面白くなっていくんじゃないかなとスピンオフを期待したいです。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月06日

シュガーダーク 埋められた闇と少女/新井円侍

4044748047シュガーダーク 埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫)
mebae
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-11-28

by G-Tools

えん罪により逮捕された少年ムオルは、強制労役で送り込まれた共同霊園で、自らを墓守と名乗る、美少女メリアと出逢う。死なない怪物“ザ・ダーク”を埋める穴を掘る日々のなかムオルは彼女に惹かれていくが――。

 闇よりも黒く、夜よりも深く

 人間の天敵"ザ・ダーク"を葬る『墓守』の少女とその墓穴を掘る『墓堀り』の少年の物語。

 スニーカー大賞の暗黒ラノベ枠。よくも悪くもライトノベルらしさからかけ離れたタイプの作品。
 自分の脱走に利用するつもりで墓守の少女メリアに近づいたはずが、いつしか彼女のために自分ができることはないかと変わっていくムオルのまぎれもない愛の強さに打ちのめされました。
 ページを読み進めるたびに背筋をゾクゾクさせてくる不気味な不条理感がよかったです。

 冤罪により墓掘りの苦役を任じられた元兵士の少年と共同墓地から出たことのない墓守の少女との心の交流。次第に明かされていく怪物"ザ・ダーク"と墓地との関係。魔物に翻弄される墓守の宿命から解き放つために少年が決断した選択、そして予想を上回る怒涛の急展開へと転がっていく驚きの結末に引きこまれました。

 ただ売れる作品かというと非常に疑わしいでしょうね、というのも物語の傾向からして特定の読者群を狙いに絞っていて、『ハルヒ』のような全年齢に広くウケる作品じゃない。
 好きな人は「まさにこういう作品を待っていた!」と絶賛するかもしれませんが、それ以外の大多数にとっては『愉快で楽しく、続きが待ち遠しくてたまらない作品』では決してない。
 角川スニーカー文庫というレーベルの方向性や特色を考えると、これを大賞に選ぶべきではなかったんじゃないかな。例えば、ガガガ文庫なら大賞でおかしくはないんだけれども……。

 後書き読んで、2巻の出版がすでに決定していることに驚いた。続けようがなくないですか……。
 うまくハッピーエンドにもつれ込ませて一巻完結させているように思えましたけどね。これより先は無罪になってメリアと城に住んで一生キャッキャウフフしている絵しか想像がつきません。
 「アニメ化も視野に入れている」とか受賞式で言っていたらしいですが、『ハルヒ』とこの作品を同列に扱っている編集部や審査員は気が狂っているとしか思えない。

 なんというか、紅玉いづきのときの電撃大賞と同じ轍を踏みそうだ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年12月05日

ピーチガーデン 1 キスキス・ローテーション/青田八葉

4044748039ピーチガーデン 1.キスキス・ローテーション (角川スニーカー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-11-28

by G-Tools

恋人が欲しい! そう願う隆の前に現れた、ウサギと名乗るアヤシゲな9歳児。願いは叶えられたというのだが、「運命の恋人候補」は昔フラれた初恋の人や転校生の男子で!? 第14回スニーカー大賞《優秀賞》受賞作!

 桃園は修羅場真っ盛り!

 恋の呪いにより、周囲の女子から『運命の恋人』選ばなくてはいけなくなった少年のラブコメディ。

 初っ端からクライマックス! 最高の修羅場を味わいました。
 『恋人候補』のヒロインとキスをしてから24時間以内に他の誰かとキスをしないと『運命の恋人』として確定してしまうため、常に複数のヒロインとキスをし続けなくてはいけないっていう設定がうまい!
 まさに《優秀賞》に相応しく、終始安定した出来のハーレム系ラブコメディでした。

 初恋の人だった近所のお姉さんと転校生の美少女との間で気持ちが揺れ動き、その優柔不断さから修羅場を招いてしまう隆はヘタレ以外の何物でもないんですが、妙に同情的に感じましたね。
 彼の場合、勇気や決断力がないというよりも、どちらかのヒロインを選ぶことで、もう一方を裏切ることになってしまう自分自身が許せないんじゃないのかな。そうした女性に対する誠実さや頑固さが伝わってきたので、他の作品のヘタレ系主人公とは一味違って見えました。

 ヒロインもみんな可愛いんだが、その中でもまかみさんは仕草や言動のひとつひとつがエロすぎる。
 犬養も小犬っぽいキャラクターが魅力的といえば魅力ですが、それでも女としてのクオリティを比べると、読者は圧倒的にまかみさん人気に傾いてしまうような気がする。
 まあロリ属性な私としてはイチオシはウサギしかあり得ないわけですが、扱いが残念すぎる……。

 タイトルの『桃園の誓い』が、今のところ犬養しか当てはまっていない気がするんだけれども、それともこれから出てくるヒロイン全員と愛を誓わせるという暗喩なのかなぁ……。
 「これからどんどんヒロイン増えるよ、増やすよ!」と開き直っちゃってるところが逆に感服したよ。
 十二支だからきっとあと8人までヒロインのストックを用意しているんだろう。

 ヒロインとイチャイチャするシーンよりもなによりも修羅場に必見の良作ラブコメでした。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする