![]() | スイート☆ライン 5 メモリアル卒業編 (電撃文庫 あ 13-36) 有沢 まみず 如月 水 アスキー・メディアワークス 2012-06-08 by G-Tools |
声優5人によるユニットが結成された! お披露目を兼ねた初イベントの日も決まり、永遠たちはイベントの成功を目指して泊まり込みで特訓を始める。5人の実力に周囲の人々は誰もが成功を確信するが、正午だけはユニットのメンバーたちに不安を覚え……。そして、イベント当日、とんでもない事態が!
勇気の矢は天を昇る
夢に向かって頑張る女の子とそれを応援する熱血バカの男の子のハートフル・ラブストーリー。
大人の世界で必死に自分の可能性を試そうと努力する少年少女たちの汗と涙に感動した!
周到に準備を重ねた『スイート☆ライン』のデビューイベントで大失敗をやらかしてしまった声優5人のために、一時は崩壊しかけたユニットの存続をかけ、主人公・正午が彼女たちの問題の解決に奔走して、眠っていた自分の才能を開花させて企画を成功へと導いていく姿が素晴らしかったです。
永遠たちヒロインらをプロデュースする手助けを依頼された正午が、仕事現場や練習場で真剣に打ち込む彼女たちに魅了されつつ、『スイート☆ライン』始動に向けて盛り上がっていく周囲の熱に当てられて、不安と期待がごちゃ混ぜのままイベントへ向けて突っ走っていく光景に心が浮き立ちますね。
皆必死にやっていたのに不運が重なってそのイベントが失敗に陥ってしまったのがとても悔しい。
一時休止状態になった『スイート☆ライン』に、メンバーそれぞれが責任を感じて思い詰めていってしまうのは辛かった。そんな中、正午にしかできないやり方で彼女たちをまとめ上げていく復活劇が燃える。
彼一人の力だけではないけれど、周囲の力を動かすキッカケとなって彼女たちの抱える問題や障害をひとつずつクリアしていって、そのたびに頼れる大人の男へと成長していく姿に感激しました。
好きという気持ちを完全に抑えきれなくなって、告白の後に前よりも正午に依存するようになってしまった永遠に正午が取った決断は、必要な最善の手段であったけれども切なくて胸が締めつけられる。
大切な存在となった相手を思えばこそ離れなければならない二人がもどかしい、非常にもどかしい。
有沢まみずさんはラブコメもいいのですが、こういう心に沁みるラブストーリーをもっと書いてくれないかなぁ。