ダフロン

2013年04月15日

氷の国のアマリリス/松山剛

4048915789氷の国のアマリリス (電撃文庫)
松山剛 パセリ
アスキー・メディアワークス 2013-04-10

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氷河期が訪れ、全ては氷の下に閉ざされた世界。人類は『白雪姫』という冷凍睡眠施設で眠り続け、そして、それを守るロボットたちが小さな村を形成し、細々と地下での生活を続けていた。副村長の少女ロボット・アマリリスは『白雪姫』の損傷や、村人たちのケアに心を砕く日々を送っていた。

 ひとつの命をわけあう方法

 人間と共に歩む未来を夢見て地下シェルターで暮らすロボットたちの感動の物語。

 これは泣ける。冬にできた氷が春になってゆっくりと溶けていくように、ホロリと涙がこぼれる。
 氷河期が訪れた未来の地球で、地下シェルターで暮らすロボットの少女・アマリリスと村人たちが、人工冬眠ポットに入った人間を生き残らせるために次々に犠牲となっていく姿に心を揺さぶられました。
 人間よりも思いやりと優しさに溢れたロボットたちの生き様と精神性が素晴らしかったです。

 氷に覆われた地表から地下深いシェルターで、生き残った人間の眠る冬眠ポッドを百年以上維持しながら、人間とほとんど変わりない感情を持つアマリリスたち、ロボットの村の暮らしぶりが微笑ましい。
 平和だけれど物資不足で大人も子供も故障や異常が絶えず、不安を抱えて過ごす日々にも限界がやってきて、人類を存続させるか、それとも自分たちを犠牲にするか選択を迫られる場面が辛かった。

 ご主人様と暮らしていた氷河期前の記憶を呼び起こして、もう一度、その幸福な時間を取り戻すために、氷が溶け始めた地上を目指して村人一丸で動き始めるシーンは胸に熱いものがこみ上げた。
 地上に行くまでも様々なアクシデントで多くの仲間が脱落して、それでも諦めずに仲間の遺志を継いで、バッテリーを人間の眠る冬眠ポッドに使って笑顔で倒れていくロボットたちの献身に魅せられました。

 しっかり者のアマリリスとお調子者のアイスバーンの恋愛の結末は、ただただ美しいですね。
 アマリリスたちの決死の行動によって、生き残った人類が地上で再び生活を取り戻していく未来の光景は、亡くなった者たちの願いがまさに実現していて、それだけでも救われた気持ちになりました。
 分け合うことの大切さ、命の重みが心に染み入りました。ああ、なんて清々しい、いい話だった。
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2013年04月14日

ソードアート・オンライン 12 アリシゼーション・ライジング/川原礫

4048915290ソードアート・オンライン (12) アリシゼーション・ライジング (電撃文庫)
川原礫 abec
アスキー・メディアワークス 2013-04-10

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“公理教会”の象徴“セントラル・カセドラル”の地下牢に繋がれたキリトとユージオだが、キリトの機転でどうにか脱出を果たす。キリトが“外部”の人間であることを見抜いた謎の少女・カーディナルの助けをかり、二人はアリスを“本当の姿”に戻すため、塔の頂点を目指す!

 神の塔を駆け登れ

 現実に限りなく近い仮想世界《アンダーワールド》に閉じ込められた黒の剣士のVRファンタジー。

 また表紙の女の子をキリトさんが攻略するんだろうなと思って読んでました。やっぱり攻略してました。
 カーディナルによってアンダーワールドの真実を知ったキリトが、ユージオと共に力をあわせて"セントラル・カセドラル"を駆け上がり、待ち構える整合騎士たちと激戦を繰り広げる展開に熱くなりました。
 アンダーワールド編もクライマックスが近づいて、テンションも最高潮に盛り上がってまいりました。

 公理教会の歪んだ成り立ちや、差し迫ったダークテリトリーからの侵略の脅威など、恐るべき新事実が立て続けに明かされて、予想以上に危うい薄氷の上に成立っていたんだと、穏やかじゃないですね。
 二百年以上もの間、アドミニストレータが産む過ちをどうすることもできず、見守り続けるしかなかったカーディナルの心中は察して余りあるが、キリトとの出会いで少しは報われたんだと思うと救われます。

 新技・武装完全支配術をそんな簡単にゲットしちゃっていいんだろうかとも思いましたが、それくらいないと整合騎士に立ち向かえないよなというのと、神器と普通の武器って、どこが違うの?ってことをわかりやすく説明できてるからいいか。必殺技を会得しても、整合騎士の強さは飛び抜けていて、彼らを真っ向からぶつかるキリトとユージオの連携、アインクラッド流の意表を突く戦いの智恵が光っていました。

 カーディナルの長い解説にちょっとダレつつも、中盤以降はフルスロットルで駆け抜けるキリトとユージオらしい勢いがあって痛快でした。そういえば今回もアスナさんまったく出てきてない。完全空気嫁。
 再会したアリスが最強の剣とか持っててボスっぽい。相打ちとなったキリトの運命や如何にというところで引いてるけれど、きっと直前に登場したあの人が助けてくれるんじゃないかとメタな裏読みをしてみる。

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2013年04月12日

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 3/宇野朴人

4048915339ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (3) (電撃文庫)
宇野朴人 さんば挿
アスキー・メディアワークス 2013-04-10

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アルデラ神軍の大軍と向かい合う、疲労困憊の帝国軍。勝ち目の見えない状況で、イクタは起死回生の奇抜な作戦を決行する!そして、帝国軍を攻めるアルデラ神軍の中に、ひときわ目を引く一人の軍人がいた。彼こそ、『不眠の輝将』と讃えられる英才。強敵としてイクタの前に立ちはだかる男であった。

 白き英雄と黒き英傑

 のちに名将と呼ばれる怠け者な少年の激動の半生を描く壮大な架空戦記ファンタジー。

 天才軍師VS天才軍師! これだよ! こういう知能の戦いが戦記ファンタジーの醍醐味だよ!
 アルデラ神軍の侵攻により、追い詰められた帝国軍を救うべく、イクタたち騎士団と僅かな手勢だけで大軍を食い止める作戦に奮闘し、そこで起こる敵将とイクタの仕手戦の駆け引きに唸らされました。
 前巻も十分に殺伐としていましたが、今回はさらに血生臭い最前線での戦ぶりに背筋が凍った。

 アルデラ神軍との戦いにシナーク族の力を借りるため、和解を申し出たイクタの取った手段は常軌を疑うもので、効率のために自分すらも犠牲にする彼の計算づくの誠実さが悲しくて腹立たしい。
 敵の進軍を炎上網によって阻み、時間稼ぎを行う合間にも日毎に部下たちに犠牲が増え続けて、ただ防御に徹して耐えるしかない戦いに置かれた兵士たちの悲哀と絶叫に身が引き裂かれる思いでした。

 敵側について帝国軍を攻める『不眠の輝将』ジャンも、イクタに匹敵するほどの策士で、最新兵器を惜しまず投入してくる彼とイクタの互いに互いの手を読み合う知略戦には引きこまれましたね。
 当初の不利を覆せずついにジリ貧になったイクタの作戦は、相打ち狙いのチキンレースとでもいうべきものでゾッとする。ジャンの敗因は頭がいい奴が頭のおかしい奴にまともな戦いを挑んだことでしょうかね。

 イクタの切り札としてトルウェイやヤトリにも格好良い見せ場があり、マシューやハロも過酷な戦場で成長していく姿に心を揺さぶられた。こんな部下たちに恵まれたサザルーフ大尉は幸運なのか不運なのか。
 命からがら凱旋できたものの、失った犠牲はあまりにも多く、代わりに得たものは少ない不毛な結末でしたが、シャミーユ殿下が労ってくれると信じよう。次回は殿下の出番がもっとあるといいなぁ。

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2013年03月14日

放課後の魔法戦争/鈴木鈴

4048914723放課後の魔法戦争(アフタースクール・ブラックアーツ) (電撃文庫)
鈴木鈴 さらちよみ
アスキー・メディアワークス 2013-03-09

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世界の裏側で暗躍する“魔術師”。日夜抗争を繰り広げる彼らは、ある学園を舞台に“魔法戦争”を開始した。“魔術師”の父を持ちながら魔術の才に恵まれず、また“魔術師”の世界を嫌い、日常に身を置いていた少年・三九郎は、幼馴染みの少女・ねねこと共にその『戦争』に巻き込まれてしまう。

 伏してもなお咲く桜

 魔術の使えない主人公が魔術師たちと命がけのバトルロイヤルを繰り広げる学園魔術バトルもの

 少年少女が欲望のままに殺し合う、これぞ鈴木鈴だなというサツバツとしたアトモスフィア全開でした。
 魔術の使えないおちこぼれの主人公・三九郎が、亡き父親の遺した魔術工房の遺産相続の争いに巻き込まれ、幼馴染・ねねこを守りながら魔術師を相手に命がけで戦い抜いていく展開が燃えました。
 キャラ設定といい、主人公たちの能力といい、直球の王道異能バトルもののお約束を心得てますね。

 魔術が使えず、魔術師を嫌う三九郎にやる気を起こさせるためだけに、殺し合いに巻き込まれた一般人のねねこですが、ただの食いしん坊キャラかと思えば、天然ぶりを発揮してライバルの魔術師とも仲良くなってしまったり、バカに見えて三九郎を信頼しているが故の脳天気だったりと、ヘタレで逃げ腰の三九郎に比べて肝が据わっていて、こやつなかなか侮れぬ……。本妻の余裕の輝きが眩しいよ。

 魔術師たちは、それぞれ自分の所属する工房の利益や自分の欲望のために殺し合いを楽しんでたりする性格破綻者なんだけれども、"魔法戦争"の参加者の中には切実な願いを抱えている者たちもいて、それぞれが一時的、永続的に駆け引きを繰り広げ同盟を組みながら戦い抜いていく様に魅せられた。
 三九郎の能力は升気味だけれど……まあ、よくある話ですようん。あえて誉めも貶しもしない評価。

 お互いに一進一退のせっかくの好勝負を、汚い大人たちに横槍を入れられたのは残念でしたが、親友同士で殺し合い……と虚しい鬱エンドにならなくてホッとしたようなガックリきたような複雑な気持ち。
 三九郎は工房がいらないなら、相続権を担保にもっと有利に立ち回れたと思うんだけどなぁ。
 これ続編はどうなるのか。気の合う友人だけを集めて、工房を運営していくのも、面白そうだが。

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2013年03月13日

一つの大陸の物語 上 アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他/時雨沢恵一

4048914383一つの大陸の物語<上> ~アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他~ (電撃文庫)
時雨沢恵一 黒星紅白
アスキー・メディアワークス 2013-03-09

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アリソンに見送られたトラヴァス少佐は、軍用機に乗り旅立つ。しかし機体はその後、爆発とともにルトニ河へと墜落。一方、リリアの通う第四上級学校では、“謎の転校生”トレイズを巡って新聞部メンバーが校内の大調査を開始する。すると、思いがけず臨時ロッカーで起こっている不審な現象が明らかに。

 事件はロッカー室で起きている

 一つの大陸を舞台にしたアドベンチャー・ストーリー×ドキドキハラハラワクワクドタバタ学園物語

 冒頭でいきなりトラヴァス少佐が出落ちならぬ、出落死してるじゃないですかやだこれふきんしーん。
 謎の多い転校生・トレイズの正体をスクープしようと、セロンたち新聞部が身辺調査を進めていくうちに、学園のロッカーに隠された事件に気がついて、思わぬ方向へ転がっていく事態に引きこまれました。
 しかしまあ挿絵がリア充だらけで、ライフルで狙撃してやりたくなりますね。おっと誰か来たようだハーイ!

 シリーズのカップルの中では、リリアとトレイズの組み合わせが一番好きですね。また会えて嬉しい。
 イクス王室の隠し子という国家級のスキャンダルとは知らず、トレイズを追いかける新聞部の野次馬精神ときたら、勘がいいのか悪いのか。ぶっちゃけ、暇を持て余してるだけだろ、学生は勉強しろよ!
 取材とは別に、リリアとメグ繋がりで、友好を深めるトレイズとセロンのだらだらとした姿も和みます。

 何故かいつも使用中になっている共用ロッカーが犯罪に利用されているのではと、調査を始めると一人の男子生徒が容疑者に浮かび上がってきて、こっそりと尾行しているうちに口封じに命を狙われた彼を偶然助けることになってと、大勢集まって裏でコソコソ暗躍している姿がスパイ映画みたいで楽しい。
 予想を超えて凶悪な刺客の存在にビビリましたが、そうとは知らず、間一髪でアシストする殿下グッキル!

 トラヴァス少佐の死亡連絡を聞いても、まったく心配してないアリソンがいい。そうかいつものことか。
 大人組ほどの信頼関係と比べると、子供組はまだまだですね。別々の事件に思えたトラヴァス少佐の墜落事件と学園で起きた事件が裏で繋がっていきそうで、いったいどんな結末が待っているのかなぁ。下巻が待ち遠しいです。なんかもうこのままオールキャストであと5、6冊書いてくれないかなぁ。

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2013年03月11日

魔法科高校の劣等生 9 来訪者編 上/佐島勤

4048914235魔法科高校の劣等生(9) 来訪者編<上> (電撃文庫)
佐島勤 石田可奈
アスキー・メディアワークス 2013-03-09

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アンジェリーナ=クドウ=シールズ。雫がアメリカに渡り、入り替わりで魔法科高校に入学したのは、金髪碧眼の留学生。彼女を見た達也は、瞬時にその『正体』に気づく。大規模破壊兵器に匹敵する戦略級魔法師「十三使徒」の一人、USNAの魔法師部隊『スターズ』総隊長、アンジー・シリウス少佐。

 金色の一等星

 現代のエリート校である魔法科高校に入学した兄妹が繰り広げるマジカルバトルアクション。

 アメリカ最高戦力すら手玉に取りますか、真綿で首を締めるように追い詰めていく達也さんおにちく。
 魔法師の血液を奪う『吸血鬼』による連続殺人が発生し、日本とアメリカの魔法師の間で犯人狩り競争が起こって、達也とアンジェリーナの互いに鎬を削る魔法師の東西対決に手に汗握りました。
 新ヒロインは戦略級魔法師。ついに達也さんに匹敵するライバルが現れたかと思いきや……。

 金髪美少女の留学生・アンジェリーナとして一高に潜入したアメリカ軍の戦略級魔法師アンジー・シリウス少佐でしたが、達也さんにあっさりと正体を見抜かれるわ、任務は邪魔されるわ、魔法を破られるわ踏んだり蹴ったりで、アメリカの最高戦力とは思えない無残な扱いに可哀想なぐらいでした。
 確かにバレバレな彼女や任務を命じた政府にも問題あるけど達也さんは女の子にも容赦無いなぁ。

 アンジェリーナ視点で捉えると、達也と深雪は完全に悪役ですわ。彼女としては、やりたくもない脱走兵の処分や慣れない潜入捜査でイッパイイッパイなのに、達也さんの存在でさらに調子を崩されて、魔法戦でも達也と深雪に連敗して、スパイとしても魔法師としてもフルボッコで立ち直れねぇわ。
 学校で親しくしている留学生だと知った上で本気で心を折りにいくこの兄妹、まさに悪魔である。

 というか、達也さんはアンジェリーナと戦う必要性は特になかっただろ。先に犯人捕まえましょうよ。
 っていうか、相変わらず実力を隠さないな! ここまでやったらもう『普通の高校生』じゃ通じないでしょ。一高のメンバーならともかくアメリカ軍相手に知られるのはマズイでしょ。秘密主義とはなんだったのか。
 えっ、それで今回は上中下構成なの? そんなに本気出せるなら、とっとと解決してよねーもー。

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2013年02月16日

ロウきゅーぶ!/蒼山サグ

4048914111ロウきゅーぶ! (12) (電撃文庫)
蒼山サグ てぃんくる
アスキー・メディアワークス 2013-02-09

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公式戦に向け慧心女子バスケ部の練習メンバーも十人になったのだが、チームワークはいまだガタガタのまま全く進展を見せず。おまけに昴に対する五年生の信頼度も万全とは言えない状況で…。そんな折、紗季の商店街主催のお祭りで屋台勝負が始まった。

 幼女たちのメシがウマい100の理由

 女子バスケ部のコーチになってしまった男子高校生と5人の女子小学生たちのスポ根コメディ。

 グルメ漫画かっ! もう『ロウきゅーぶ!』は、バスケじゃなくて料理させてればいいと思うよ!
 ようやく部員が十人揃い、公式戦へ出場できるようなった慧心女子バスケ部が、難点だった六年生と五年生の溝を埋め、ライバル・硯谷女子のメンバー達を一致団結して迎え撃つ光景に燃えました。
 いざ行かん、小学校という希望の大地へ! 今回も、すばるんコーチの名言がキレキレでした。

 紗季の商店街のお祭りで屋台を出すことになり、六年生と五年生で勝負をしようと、女の子たちが料理特訓してる間に、すばるんは何一人だけ人ん家のメイドさんとキャッキャウフフフしてん…ロリコン許すまじ!
 お祭り当日、アクシデントが起きて屋台勝負どころではなくなってしまうんだけれど、助け合って問題を解決していくうちに、六年生と五年生の間に絆が生まれて一つにまとまっていく友情が素晴らしかった。

 硯谷の問題児・葦原怜那を警戒して、五年生のためにアレコレと策を練るすばるんコーチがまたしても冴えていた。幼女のことと、悪巧みをさせると頭が回りますね。むけられる好意や女心には鈍感なのに。
 いざ、試合本番で、脅威だった怜那を作戦通り翻弄してても、これでいいのか、それで勝って満足かと葛藤して、彼女の実力を引き出して『本当のバスケ』で勝負しようとする五年生の姿に感動しました。

 個人技だけではない、チームワークで戦うバスケの戦術がわかりやすく描かれていたのがよかった。
 第二クォーターまで終了して、大差で勝ち越した五年生の大健闘に、先輩たち六年生が、続く第三、第四クォーターでどう応えるか。本気を出してくる強豪・硯谷にいかに食らいつくかが見どころですね。
 公式戦後半戦、宿命のライバルとの戦いの決着は! ところで個人的には、愛莉×綾がみたいです。

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2013年02月14日

塔京ソウルウィザーズ/愛染猫太郎

404891331X塔京ソウルウィザーズ (電撃文庫)
愛染猫太郎 小幡怜央(スクウェア・エニックス)
アスキー・メディアワークス 2013-02-09

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ここは「塔京」。ソウル・ウィザーズが集いし魔法の都。自分の魂を改造し、死者のソウルを消費し『奇跡』を起こす者達をソウル・ウィザードという。黒乃一将は、『自由騎士』として、自身の守護霊である不死の魔犬ブリュンヒルデと共に「児雷也」討伐クエストの任務に就く。

 魂を喰らいて、神の頂を目指せ

 動物霊専門の魔術師の少年が使い魔たちと神の頂を目指す、オカルティック・アクションファンタジー

 これは魂が震えて、奮えた! おぞましくも妖しく眩しい世界観に魅せられます。
 死者の魂を消費して魔法を使うソウル・ウィザードの主人公・黒乃一将が、使い魔の少女たちともに犯罪魔術師との死闘を経て、新たな主従関係の絆を結び、さらなる高みを目指す光景が胸を打ちました。
 作り込まれた魂と魔術の設定と、作品内に漂う場面の不気味な雰囲気にくらくらしました。

 時計塔学園の12派閥に属する魔術師達が貴族として大都市・塔京を支配していて、そこでは人間の魂すらもデータとして改造が可能で、人々はファッション感覚で霊を憑依させたり、ペットとして飼っていたり、そうした魂を基盤とした経済活動が循環している、ぶっちゃけグロキモくて、おどろおどろしい世界なのだけれど、様々な分野が現実にはない発展を遂げていて、夢があるんですよね。

 元は普通の犬だったヒルダが、使い魔として過ごすうちに人間にも劣らない知性を身につけて、主人への愛から人間の少女になって、彼を支える存在に生まれ変わるところなんてロマンスじゃないかよ。
 魂改造手術の失敗で使い魔となってしまった真央も、殺伐とした魔術師の生活の変化に戸惑いながら、家族として受け入れてくれた一将のために弟子として成長して強敵に一矢報いる展開も熱かった!

 黒乃一将も嫌いではないんですが、主人公が霞むほどにヒロインのキャラが強いのが悪いですよ!
 一将のライバルであるはずの水樹瑠璃が最後までモブだったのがちょっと勿体無かったですね。いいツンデレちゃんだったのに。続編はちゃんと真央とヒルダたちの一将争奪戦に絡んできて欲しいなぁ。
 電撃大賞の最高傑作は、大賞や金賞ではなく、銀賞にこそ登場するという私の仮説をまた証明してしまったか……。
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2013年02月12日

明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。/藤まる

4048913298明日、ボクは死ぬ。キミは生き返る。 (電撃文庫)
藤まる H2SO4
アスキー・メディアワークス 2013-02-09

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生まれつきの恐い顔のせいで、学校で浮きまくっている坂本秋月はある夜、一人の少女の事故現場に遭遇し、謎の人物から究極の選択を迫られる…。秋月は寿命と引き換えに少女“夢前光”を救った、はずだったのだが…なぜか秋月の体は1日おきに光の人格に乗っ取られるというおかしな展開に―!

 俺たちは二人で一人のヒーロー

 一人の肉体に二人の魂を宿した少年が繰り広げる人格乗っ取られ型青春ストーリー

 笑わせて、泣かせて、最後には笑わせて、すっきり爽快な清々しい成長物語でした。
 事故で死んだ少女・夢前光と一日ごとに人格が入れ替わるようになってしまった主人公・秋月の学園生活が、お節介な彼女の暴走で一変してバラ色の青春ライフに変わっていく光景が愉快痛快でした。
 亡くなった少女を巡って奔走する残念男たちの盛大な空回りっぷりも切なさと、笑いを誘いますね。

 正義のヒーローに憧れる夢前光の変人ぶりと、それに振り回される秋月のニ心同体コンビが滑稽。
 人格が入れ替わる度に事件を起こす夢前光の奇矯な言動のせいで、女好きの変態と噂されるようになったり、全身タイツの覆面ヒーローをやらされたり、これまでの孤高の不良のイメージをぶち壊す善行三昧を経て、女の子に惚れられたり、クラスの人気者になっていく秋月の境遇がニヤリとさせられます。

 自分の生活を良きにしろ悪きにしろ変えてくれた夢前光に、次第に感謝と仄かな恋心と抱くようになって、自分を好きだと言ってくれるクラスメイトをフってしまう秋月の不器用な恋愛模様がもどかしいです。
 生前の夢前光のことを調べていくうちに、彼女の死に影響を受けた一人の少年の存在が浮かび上がり、彼を救うために夢前光から偽りのない真実を引き出す展開は胸が苦しくて息が詰まりました。

 てっきりヘヴィな話かと思えば、いやー笑撃のオチだったなー(棒) なんてしょーもない死因だよ!
 まあ暗く鬱々するよりも、脱力で気を抜けさせるほうがこの作品にはあってるのかもしれませんね。
 しかし、人づてか、交換日記を会しての伝聞でしか夢前光のキャラが見えなくて理解しにくい。それと生身の女の子よりも人格だけの女の子を好きになるかなぁというのがちょっと共感しにくかったかも。
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2013年02月10日

アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム/茜屋まつり

4048913328アリス・リローデッド ハロー、ミスター・マグナム (電撃文庫)
茜屋まつり 蒲焼鰻
アスキー・メディアワークス 2013-02-09

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わたしの名前はミスター・マグナム。偉大なる魔女によって生み出された魔法の銃だ。最悪の魔女《ゾォード》により引き起こされた災厄により相棒を失ったわたしは、不思議な運命により過去の世界で意識を取り戻す。

 世界を我が手に、未来を撃ち抜け

 魔法の銃を手にしたおてんばアホ娘が世界を救うために立ち上がるマジック・ガンアクション。

 西部劇、タイムリープ、ファンタジーが融合した、作者のチャレンジ精神が感じられる意欲作ですね。
 伝説の女ガン・ファイター<ライトニング・ワイルド>の愛銃・ミスターマグナムが、過去の世界へと戻り、おてんばアホ娘のアリスと出会い、災厄の魔女ゾォードの陰謀から救えなかった世界を救うために、アリスとその仲間たちと西部の各地を奔走して繰り広げるドタバタアクション珍道中が面白かったです。

 主人公のミスターが高い知性を持って喋る魔法の銃というのがユニークでした。ごく普通の田舎娘アリスに拾われ、アホとしか言いようがない彼女の無計画、無分別、無茶無謀に付き合わされているうちに、自分が過去の世界へと遡っていて、そのアリスこそがかつての主人その人の少女時代だと気づいて、頼りない彼女をガンマンに鍛えながら、未来をより良く変えるために動き出す展開にワクワクしました。

 ミスターの冴え渡る戦術眼と、アホ娘のアリスの突拍子も無い行動が組み合わさって、西部の街のあちこちで歴史を変える騒動や革命が起きて、正義の英雄として名声を得ていく光景が笑いを誘います。
 復讐の末に身を滅ぼしてしまったかつてのアリスと、暗い感情を知らず天真爛漫ないまのアリスを比べて、いまのアリスを主として認めていくミスターがツンデレで萌えました。なんというガンデレ。

 しかし、時間移動したミスターが都合よくアリスに掘り出されたり、この展開を仕組んだホークアイが何故か秘密を隠していたりするのが謎でした。≪聖鳥≫の弾が必要なら、必要って教えておけよ!
 さて、この作者さん、新人かと思いきや実は執筆歴が相当長いベテランのようですね。道理で文章表現が小慣れていると思った。作家としてもリローデットしたこの作者、次はどんな作品を読ませてくれるのか。
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2013年02月09日

ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー 3/三河ごーすと

4048914081ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー3 (電撃文庫)
三河ごーすと 切符
アスキー・メディアワークス 2013-02-09

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皿次と陽月は“独自解釈”の致命的な弱点を発見され、苦戦を強いられるようになっていた。そこへ現れたのはダブルス・マネーの運営を手掛ける秋保光流と天空高等民街最強のペアである二人の少女。陽月の天空高等民街行きと引き換えに彼らが提示した条件は、皿次とのペアを解消することだった。

 想いは、遥か彼方の天空へ

 TCGをベースにした人気競技で少年と少女が格差社会をのし上がるバトルエンターテイメント。

 終始、皿次がヘタレ化しすぎててイライラしました。何故これまでの成長を逆戻りさせた……。
 独自解釈の弱点を研究され、苦戦するようになってきた皿次と陽月に、天空高等民街行きの話が持ちかけられ、このままペアを組んで戦っていけるのか、それぞれの心が揺れる姿がもどかしかったです。
 主人公とヒロインはgdgdしてましたが、その二人を支える友人たちの献身が身に沁みました。

 強敵相手に対策を取るのはゲームの世界では当たり前。自分たちがこうするという思考停止した戦術しか頭にないのだから、コレでは勝てないのも当然だわ。ゲーマーとしての未熟さを露呈してましたね。
 陽月の弱点を突かれただけで一気に弱体化してしまうのは、皿次が陽月に頼り切りだからでしょうに。ここが自分たちの強さの限界だからとお前は何もしてねぇクセに勝手に諦めるなよ! ダメだコイツ!

 陽月にプロポーズをした秋保光流の策略を知っても、陽月を止めないどころか、ウダウダと無気力に陥って引き篭っている理由がわけがわからないよ! そこは怒りに燃えないといけない場面だわー。
 ティアや委員長の後押しで、ダブルス・マネーの決闘にこぎつけるまで相当やきもきさせられました。
 皿次も陽月に気持ちを伝えましたが、速さが足りない! まあそれでも告白が実ってトントンですかね。

 最強ペアと戦うにも、これまでと戦術がそれほど変わってるようには思えませんが、むしろその場しのぎのチートだったし。最後に自分たちの弱点を克服するような展開を見せて欲しかったなぁ。
 このシリーズは、この3巻で完結だそうです。これも唐突ですねぇ。何やら『打ち切り』といういやーな単語が思い浮かばずにはいられないのだけれど、それならもっと派手な結末があっても良かったなぁ。
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2013年01月15日

煉獄姫 六幕/藤原祐

404891300X煉獄姫 六幕 (電撃文庫)
藤原祐 kaya8
アスキー・メディアワークス 2013-01-10

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完全なる存在となったユヴィオールは玉座にあって、瑩国をその手に掴むべく動き始めた。幽閉されたアルトが恐怖に耐えながら助けを待つ中、すべてを喪ったフォグはキリエの介抱によって目覚める。絶望的な状況にあって決死の覚悟で城へ突入しようとしたふたりに、ひと筋のか細い糸が垂らされる。

 神なき煉獄に光を

生まれつき異界の毒気を纏う王女と彼女に付き従う少年が戦いに身を投じていく異世界ファンタジー。

 ユヴィオールの陰謀によって瑩国が支配されようとするなか、自分たち人造人間作った父・ローレンの本当の目的を知ったフォグたちが、新たな力を得て、過ちを正しに立ち上がる姿に奮い立ちました。
 絶望の中でも諦めず、それぞれが残された希望をかき集めて、邪悪を打ち倒す光景にシビレます。

 禁術に手を染めた犯罪者でありながら、純真さと誠実さを感じるローレンのキャラは意外でした。人でなしと思われていたのに、実に人間味ある人でフォグやキリエが父の愛情に戸惑う姿が微笑ましい。
 囚われの身でありながらも、ユヴィオールに対して一歩も引かないイオとアルトの毅然とした態度も凛々しかった。イオとアルトの結びつきも、フォグとアルトの絆の強さに勝るとも劣らず圧倒されます。

 父ローレンの遺した新たな力を得て、まずは逆転のための一手として、やり遂げてみせたアルト救出 劇は鮮やかでした。逆転要素を見出して起死回生を図る展開ってのは無性に盛り上がりますね。
 カルブルック、アイリスやキリエの支援を受けながら、ユヴィオール&ティ・キとフォグ&アルトのタッグ・マッチは、苛烈、壮絶で、煉術を駆使した駆け引き、超人同士の奇想天外な戦いぶりは圧巻でした。

 ユヴィオールのやったことは許されないけれど、そこまで追い詰めてしまったのは人間たちで、フォグももしかしたら彼のようになっていたかと思うと、彼にもアルトのような存在がいればよかったのにと思う。
 フォグとアルトが幸せな結末を掴み取れたことは喜ばしいけれど、そこに至るまでの犠牲が痛々しかった。そうした傷跡を癒していくまでにも、また物語があるんだろうけど、この物語は割り切って次回作に期待

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2013年01月13日

私とあなたの青春革命。 2/広沢サカキ

4048912909私とあなたの青春革命。(2) (電撃文庫)
広沢サカキ CUTEG
アスキー・メディアワークス 2013-01-10

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一般生徒とアイドルの自由―“青春革命”を掲げ戦う先輩・麒麟堂奏子の闘争に巻き込まれてしまった天道優馬。ある日二人は「コレクター」という、アイドルの直筆メモから下着まで、様々な物品を収集する謎の人物と遭遇する。そのコレクターが今回盗んだのはなんと超人気アイドルの新曲の歌詞で

 君の瞳にうつる歌

 一般生徒とアイドルの自由恋愛を守る主人公とヒロインの繰り広げる青春革命ラブコメディ

 アイドルなのに脱ぎすぎだろ! これはけしからん! まったくけしからんね! いいぞもっとやれ!
 アイドルの日用品を盗む怪盗「コレクター」によって盗まれた物品を巡り、ひとりのアイドルの純愛を守るため、主人公・優馬と麒麟堂が危険に晒されながら生徒会を相手に立ち向かう姿に胸を躍らせました。
 アイドルの下着姿は元より、お風呂シーンまでバッチリ完備とは……一気にエロ寄せしてきたー!

 普通科とアイドル科の生徒が秘密裏にやり取りする交流掲示板で、メッセージが盗まれるという事件が起こり、その犯人「コレクター」を捕まえるために、優馬と麒麟堂が一計を案じるのですが、「コレクター」の被害にあった盗品の中には、人気アイドル・カルテットベリーの一人、ゲンブの秘めた恋心を綴った新曲の歌詞ノートがあってと事態の重大性が徐々に大きくなっていくストーリー展開が盛り上がります。

 歌詞ノートを取り戻すためには、それが保管されているアイドル科の寮に忍び込まなくてはいけなくて、厳重なセキュリティを突破しアイドルの秘密の園に潜入する場面は男ならば燃えずにはいられない!
 恋愛を規制する生徒会と対立して、一時は依頼を取り下げられ、事件から手を引こうとした優馬と麒麟堂でしたが、騒動の裏にある真実に気づいて、一人の少女の恋を取り戻す様は素晴らしかった。

 生徒会側も、青春革命側も、両方の掲げる主義主張は、どちらもそれほど間違ってはいないんですが、行動が極端すぎて限度を超えてて、行き過ぎる故の危うさはどちらの側にもあり得ると思います。
 どちらのやり方が正しいかではなくて、どちらのやり方が先に破綻するかなんですよね。どちらにせよ均衡が崩れたら学園を揺るがす大騒動になるだろうけど、次回はそのあたりの事態が動くかなぁ。

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2013年01月11日

やがて魔剱のアリスベル U 蒼穹の戦線/赤松中学

4048913239やがて魔剱のアリスベルII 蒼穹の戦線 (電撃文庫)
赤松中学 閏月戈
アスキー・メディアワークス 2013-01-10

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静刃の『義理の義理の姉』―矢子がやってきた。優しく、美人で、白魔女としての腕も確かな矢子と、静刃は次第に打ち解けていくが…それが気に入らないアリスベルは矢子を逆恨みする。仲間内の人間関係がドロドロしてくる中、女王様気質の生徒会長・瑠姫ハニーリズが静刃に決闘を挑んできた。

 世界よりも大切な想い

 異能を持つ少年少女たちが、それぞれの願いをかけて戦い合う学園異能バトル・ラブコメ。

 桃井矢子エロ可愛いすぎる! ぐう聖。やばい危険だ。これは姉萌えに目覚めてしまう!
 女王様タイプの生徒会長・瑠姫ハニーリズの反感を買ってしまった主人公・静刃が、義理の義理の姉・桃井矢子とペアで学校公認の決闘に応じることになり、連携力を高めるため彼女と二人きりの同棲生活を始めるのですが、それに嫉妬する他のヒロインとのラブコメぶりが大変美味しー!

 アリスベルやビビをも凌ぐ驚異の胸囲の持ち主・桃井矢子の登場に、静刃を横取りされないかと戦々恐々で、いがみ合っていたアリスベルや祈まで休戦協定を結んで警戒する光景が可笑しいです。
 白魔女として性格は天然でドジっ子、家庭的で理想的な姉キャラで、静刃に対してアレコレとお姉ちゃんぶって自爆するところなんて、イタ可愛いですね。無防備な彼女に振り回される静刃もニヤニヤ。

 二人きりでの同棲生活を送るうちに、いつの間にか静刃を男として意識していくようになって、静刃の側も彼女を他の子と同じく、自分が守るべき存在へと変わっていく関係が初々しすぎて身悶えします。
 瑠姫との決闘も、お互いに支え合いながら力を引き出しあってて、正直、アリスベルとのコンビよりも息が合ってるんじゃないのか。アリスベルが奪われたのは静刃ではなくメインヒロインの座やったな……。

 途中までアリスベルが空気でしたが、最後に本妻としての見せ場を与えられてよかったですねー(棒)
 鳳凰の欠片の大部分が集まってしまって、展開はええ、シリーズ完結しちゃう!と思ったけど、そうかこれはあれだ、「鳳凰を復活させるまでがプロローグだったんだよ!」のパティーンだな。すでに作者には前科があるわけだし、今回の作中に張られた伏線からそう推理しました。この勝負もろたで工藤( ・´ー・`)

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2012年12月14日

魔法科高校の劣等生 8 追憶編/佐島勤

4048911589魔法科高校の劣等生(8) 追憶編 (電撃文庫)
佐島勤 石田可奈
アスキー・メディアワークス 2012-12-08

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中学一年生の司波深雪は、自分の兄が苦手だった。一体何を考えているのか分からないから。家族でありながら使用人同然の扱いを受けているにもかかわらず…全く意に介さない。『ガーディアン』として完璧に付き従う兄。理不尽だとは分かっていても、深雪は兄に苛立ちをぶつけることしか出来なかった。

 お嬢様と呼ばないで

 現代のエリート校である魔法科高校に入学した兄妹が繰り広げるマジカルバトルアクション。

 深雪さんってば、幼い頃からブラコン全開だったんじゃないですかやだー。
 三年前、達也と深雪が中学一年生だった時、家族で訪れた沖縄旅行で遭遇した事件を通じて、血の繋がった兄妹でありながら、どこかぎこちなかった二人の関係が変わっていく姿が微笑ましかったです。
 このシリーズを通して感じる、どこか歪な魔法師たちの家族関係が如実に現れているのが印象的でした。

 兄である達也を苦手にしていると言い訳しながらも、兄に対する敬愛の想いを素直に認められなくて、キツい態度で接してしまい、後で深く後悔して自己嫌悪のループに嵌る深雪さんが初々しくて可愛い。
 達也も将来の四葉当主候補である深雪の『ガーディアン』として、優秀であればこそ愛する妹とも距離を置いて無愛想に接してしまうために、ますます兄妹の思いがすれ違っていってしまうのがもどかしい。

 中学一年生にして、本職の軍人が目をつけるほど達也の優秀さが際立った異常レベルに達しているんですが、護衛なら自分の特殊性をもう少し目立たないように力を隠したほうがいいんじゃないかね。
 突然のテロに襲われ、傷つけられた深雪の報復のため、先天的に備わった二つ魔法で撃退する達也だけれど、大盤振る舞いしすぎやでぇ。妹が怪我してキレたお兄ちゃん見境が無くなってて怖かったです。

 四葉の家が、どうして身内を改造してまで『ガーディアン』などという護衛をつけるに至ったかについては、短編『アンタッチャブル』にて過去の四葉の双子に起きた事件が描かれているのだけれど、深い事情を知れば四葉の異常性も、自分たちの身を守るために仕方のない行為だと頷けることが多くて。でも、それでも家族をもっと大事にしろよ!と憤りを隠せない。深雪さんが当主になって四葉を変えて欲しいね。

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2012年12月12日

魔遁のアプリと青炎剣/天鴉蒼

4048912054魔遁のアプリと青炎剣 (電撃文庫)
天鴉蒼 ねりま
アスキー・メディアワークス 2012-12-08

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対立する巨大メーカーの影響で東西2区に分裂した都市。その中央に位置する高天原学園では、能力者が互いの個人成績を競い合っていた。東区傘下の青龍院に所属する祇堂拓真の前に現れた謎の転校生・奏咲ユマは、学園生に必要不可欠なある能力を失っていて―。

 その風は、未来に吹いている

 様々なアプリを駆使してランクを競い合う、異能を持つ少年少女たちの近未来ガジェットアクション。

 学園異能に近未来サイバーパンクの要素を融合させてバージョンアップした作風で、これは新しい!
 生徒同士が東西2区に分かれて競い合う学園で、主人公・拓真が転校生・ユマと出会い、彼女の秘めた強大な力を利用しようとする悪人たちから守るため、仲間と共に奮闘する光景に熱くなりました。
 登場人物たちが己の身体と技術を駆使し縦横無尽に都市や遺跡を駆け抜ける姿に胸が踊りました。

 学生全員異能者と言っても、強靭な肉体を持つ『素戔鳴』、鋭敏な五感を持つ『月夜見』という二種類しかないと聞くと、とても単純に思えるんですが、学園のスポンサーについている二大企業が提供する様々なアプリやガジェットが組み合わさることで、ド派手な異能バトルが展開されるところが新しい。
 特にAR(拡張現実)の技術を子供たちの視点で活用した世界観がユーモラスで面白い!

 アルバイトや課題で入り組んだ都市部や遺跡内部を走って、飛び回るアクションシーンは、ベースジャンプやフリーランニングといったエクストリームスポーツに通じるダイナミックさと痛快さがありました。
 トレジャーハントで旧時代の遺跡に潜るのもロマンがありますね。ライバルよりも目的地にたどり着くため、アプリやガジェットを用いた情報戦、騙し合い、駆け引きも読者の意表をついて飽きさせない。

 メインキャラクターは奇をてらわないシンプルな王道キャラで、熱血少年の拓真やドジっ子ヒロインのユマ、勝気系美少女の彩華、オタクの優介といった、クセのないわかりやすいところも好感が持てる。
 学園異能というジャンルに飽きてきたラノベ読みにも新鮮で、これから学園異能を読み始めるラノベ入門者にもオススメです。物足りないところもあるけど今後に期待が持てる新人が出てきてくれたかな。
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2012年12月11日

ソードアート・オンライン 11 アリシゼーション・ターニング/川原礫

4048911570ソードアート・オンライン11 アリシゼーション・ターニング (電撃文庫)
川原礫 abec
アスキー・メディアワークス 2012-12-08

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上級修剣士となったキリトと親友ユージオの二人は、整合騎士目指し、修行の日々を過ごしていた。上級修剣士の二人には、身の周りの世話役があてがわれる。キリトにはロニエ、ユージオにはティーゼ。四人は互いに絆を結び、充実した修士生活を過ごしていた―その時。突然、悪意はやってきた。

 法よりも守るべき正義

 現実に限りなく近い仮想世界《アンダーワールド》に閉じ込められた黒の剣士のVRファンタジー。

 キリトさんだけんじゃなく、ユージオさんもモテモテやった。キリトさんに弟子入りしたい……。
 上級修剣士に昇格し、傍付きの少女たちとも仲良くやっているキリトとユージオですが、そんな二人をやっかむ貴族の仕掛けた罠にハメられて、栄光の道から堕ちていく姿がやるせなかったです。
 禁忌目録によって争いのない完璧な理想郷と思われた世界に潜む悪意に怖気が走ります。

 庶民でありながら実力で上級修剣士に上り詰めたキリトとユージオが下級生から尊敬を集める一方で、それが面白くない貴族たちから嫌がらせを受けるようになり、正面からの剣の打ち合いでは分が悪いと見るや、攻撃の対象を弱い者へと変えて追い詰めていく陰険さと下劣さに吐き気がしますね。
 規則の悪用を正した行為が罪となってしまい、罪人になってしまうキリトとユージオがもどかしい。

 探し求めていたアリスと思いがけない形で再び巡り会えたものの、感動の再会とは程遠くて、両者に生まれた齟齬の原因を突きとめるべく、牢を抜け出す脱走劇には緊張感が張り詰めました。
 整合騎士に追い詰められ、あわやという寸前で救われたものの、公理教会の生い立ちに関わる世界の真実が明かされ、箱庭のようなアンダーワールドを支配する悪意の強大さに愕然としましたね。

 アンダーワールドの問題と連動して、現実世界の側でも事件が起きそうなフラグがビンビンなんですが、ここのところ空気嫁と化しているアスナさんになんとか頑張って活躍していただきたい所存。
 さすがにラスボスとはパワーバランスが違いすぎるんだけど、外部からの支援がないことにはどうしようもならなくないかこれ。果たして巨悪の根源を倒すことが出来るのか、後半戦に期待。

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2012年12月10日

ご主人様は山猫姫 11 南北雌雄決戦編/鷹見一幸

4048911651ご主人様は山猫姫11 南北雌雄決戦編 (電撃文庫)
鷹見一幸 春日歩
アスキー・メディアワークス 2012-12-08

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南域の反乱軍と晴凛率いる北域国軍がついに激突する。数では反乱軍に分があるものの、皇帝を擁することに成功した北域国軍と帝国軍の士気は高い。合戦のすう勢は予断を許さないものだった。軍師の知恵比べが戦況を左右する。伏龍、崇鳳。二人の先の読み合いは熾烈を極める。

 帝国の興亡、この一戦にあり!

 帝国人でありながら遊牧民の姫君に仕え、戦いの中で英雄へと駆け上がるヒロイックストーリー。

 ヒロインたちの熱い視線を受け、主人公たちが戦いに挑み立つ! これぞ漢の晴れ舞台!
 北域王・晴凛と長嶺帝がもたらした援軍により、息を吹き返した帝国軍がついに反乱軍に反撃を開始し、伏龍と崇鳳の二人の天才軍師による、お互いのすべてを賭けた大激突に血が滾ります。
 勝つのは兵の数で勝る反乱軍か、それとも質に優れる帝国軍か、天下分け目の大戦に刮目です。

 兵たちに食事を振る舞うミーネが微笑ましいですね。戦場に女の子がいることで潤いがあるだの、糧食として理にかなってるだの、将軍たちの考察がやたらと深いけれどあまりに深読みしすぎで笑える!
 士気が高く熟練した帝国軍を率いる伏龍の作戦に、反乱軍が面白いようにハマっていくのが痛快なんだけど、相変わらず兵士を数としか見てないような無慈悲な崇鳳の人海戦術が悪辣でぞっとするなぁ。

 戦いの中で読み合いを続けるうちに、伏龍も崇鳳も、敵軍を指揮している軍師の正体に気づいて、闘争心を燃え上がらせる場面は熱いですね。なにからなにまで正反対な二人の姿が印象的です。
 戦場を読み、未来を予測できる伏龍にも予想外の事態がいくらでも起きるんだけれど、その都度、現場の兵士たちが臨機応変に処理して、ただの烏合の衆と訓練を受けた正規兵の違いに感服しました。

 近衛騎兵を率いる総凛の圧倒的な存在感を放つ戦いぶりは息を呑むほどでしたし、何をしたわけではないにせよ、兵たちと共にいる覚悟を決め立ち上がる長嶺帝の健気さにも胸を打たれました。
 いつものように晴凛無双とはいかず、活躍は控えめでしたが、アーマード晴凛はかっこいいですね!
 次回が最終巻となるようですが、反乱軍との戦も一段落して、帝国を変える瞬間が待ち遠しい。

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2012年11月16日

五線譜なんて飾りですっ!/一色銀河

4048911481五線譜なんて飾りですっ! (電撃文庫)
一色銀河 wingheart
アスキー・メディアワークス 2012-11-09

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日野正輝は入学した高校の吹奏楽部で、ある『天才』なトランペット吹きの少女と出会った。指揮者を見ないし。しかもクラシック音楽が苦手で、愛器を吹けば出るのはアニソンばかりという有様。でも秋築律夢の音には、思わず聞き入ってしまうような、人の心を揺さぶる不思議な力が確かにあるんだ。

 向かい風に立ち向かえ

 問題児の天才トランペット弾きの少女と出会った少年の音楽の楽しさを知る学園青春ラブコメディ。

 高尚な音楽、格式ある音楽。そんなの人の勝手。本当に優れた音楽家ならアニソンを弾くべき!
 幼馴染の幽霊に取り憑かれている主人公・正輝が、アニソン大好きなトランペット少女・律夢と出会い、演奏者としては問題ありまくりな彼女の個性を認めて音楽の楽しさを広げていく姿が素晴らしかった。
 スポ根青春物語に定評のある作者の新たな挑戦。吹奏楽部でも熱血と根性と友情でした。

 優れた表現力を持ちながらも、欠点だらけな律夢と、彼女に振り回される正輝が可笑しかったです。
 演奏するとトリップして周囲の音を聞かない、指揮者もメトロノームも見ないからテンポがズレる、アニソンは完璧なのにクラシックはボロボロと、どうして性格は純粋無垢ないい子なのにトランペットを持つとこうも残念なのかと、彼女の扱いに悪戦苦闘する正輝と吹奏楽部員たちの奮闘ぶりが愉快でした。

 律夢にとってはトランペットが大好きで、アニソンが大好きというだけなのに、なまじっか才能があっただけに期待した周囲が枠にはめようとして、実力を発揮できないでいる彼女の苦悩がもどかしい。
 しかし独りよがりになって演奏に入り込んでしまうのは、それだけアニソンの持つ物語が好きだからなのでしょうね。彼女の音楽性を理解して、受け入れてくれる正輝の存在がいて本当によかった。

 もう一人のヒロイン・桜乃香も、時には厳しい言葉を吐くけれど的確なアドバイスで律夢と正輝を応援して、ツンデレ可愛かった。しかし現状のままだとこの幼馴染幽霊かませ臭しかしないぞ……。
 吹奏楽部の顧問や先輩たちもユニークで和気藹々とした放課後の活動風景が読んでて和みました。
 ラノベの音楽ものというと軽音楽部がメジャーですが、吹奏楽部ならではの良さが伝わって来ました。

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2012年11月14日

完璧なレベル99など存在しない/周防ツカサ

4048911295完璧なレベル99など存在しない (電撃文庫)
周防ツカサ 明坂いく
アスキー・メディアワークス 2012-11-09

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ある日ゲーマー少年・裕貴が目覚めると、そこは異世界だった。自分がいままでプレイしてきたゲームのキャラクターたちが集まっている状況に戸惑う彼は、少女騎士・シャノンに助けられながら、何とか現実に帰還する方法を模索しはじめる。森の中で遭遇した怪物との戦いで裕貴は驚愕の事実を知ってしまう。

 千人の勇者を導く、一人の廃人

 古今東西のRPGが融合した世界で主人公がキャラを率いてクリアを目指すゲーミングファンタジー。

 並外れたゲームへの愛情、特にRPGへの情熱が詰まって、弾けて、ぶっ飛んでました。
 様々なRPGの登場人物とモンスターがごちゃ混ぜになった世界に飛ばされた一般人の少年・裕貴が、ゲームの勇者たちの信頼を得ながら、彼らと共に世界の謎を解き明かしていく光景にワクワクします。
 俺TUEEEですが、強くても、それだけではどうにもならない様を描いた、まさにアンチ無双ものでした。

 周囲のキャラは初期レベルばかりの中で、裕貴だけカンストのレベル99。最強だけれど、何故か彼ではモンスターを倒せなくて、戦闘に加われない代わりに、攻略情報を教えたり、互助組織を作ったり、軍師として千人の英雄たちを導き、キャラを操作するプレイヤーの立場からゲームのクリアを目指す展開が面白い。
 冒険を進めるうちに次第に信頼できる仲間も増えて、友情や愛情を育んでいく姿も微笑ましかった。

 集まった勇者の中には性格の嫌な奴も居るんだけれど、それはゲームの製作者がそのようなキャラ付けをしただけで本人には罪がないと相手の侮辱を許すどころか、そいつが危機に陥れば救おうとするのだから裕貴のゲーム愛には感心する。どんなキャラでも彼にとっては憧れの英雄なんでしょうね。
 大好きなキャラ達を生かすことが裕貴の指針になって、だからこそ仲間を救えなかったのは辛かった。

 どんなに強くとも、ゲームシナリオで定められた強制イベントには介入できないプレイヤーの哀愁を感じました。システムには逆らえないから最強であっても不死ではないというのも忘れてはいけない。
 ひとまずは困難を切り抜けたけれど、裕貴や英雄たちを影から干渉してくる何者かの悪意も垣間見えて、必ずしも順風満帆とはいえないのが逆に興味深い。さて次はどんな冒険を見せてくれるのかな。

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