ダフロン

2013年11月11日

ストレンジムーン 2 月夜に踊る獣の夢/渡瀬草一郎

4048661051ストレンジムーン (2) 月夜に踊る獣の夢 (電撃文庫)
渡瀬草一郎 桑島黎音
アスキー・メディアワークス 2013-11-09

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十和田静枝の中で遂に目覚めた“皇帝”ブロスペクト―その桁外れの能力に動揺しつつ、月代玲音は静枝の説得を試みる。だが、キャラバンを憎む皇帝にその言葉は届かず、更には将軍・周皓月と因縁を持つ異能者の参戦により、戦況は激しさを増していく。そして戦いの中、玲音の身に宿った“星詠みの加護”にも覚醒の時が!

 狂乱の宴が始まる

 異世界より来たりて超常の力を持つ異形の神と、その力を宿した異能者達が紡ぐ騒乱劇

 アホの子かわいい。幼馴染で巨乳で天然って、あざとすぎぢゃのう……。すっごくイイです!
 復活した皇帝・ブロスペクトとキャラバンとの戦争に巻き込まれた主人公・玲音が、敵に回った妹と友人を取り戻すため動き出し、様々な思惑が入り乱れるなか仲間集めとリコルドリク探しに奔走する姿に胸が躍ります。
 心弥に続き、次々と登場してくる懐かしいキャラたちの成長した姿にほっこり和みました。

 異界の気象現象を操る皇帝に超人的身体能力を持つ燕人張燕に樹木の腕と槍を振り回す羽矢多と、びっくり超人異能バトルが繰り広げられるなか、星詠みのエスハから渡された力ときたら愛らしすぎてギャップに笑う。
 危険な戦場から一時離脱には成功し、キャラバンに保護されたものの、石に寄生された自分とクレアの身柄を巡り、一枚岩とは言いがたい組織内の駆け引きに振り回され、果たしてどっちについた方が幸せだったのか。

 ブロスペクト側に留まった妹や友人たちを助けるため、キャラバンのどこの勢力からも独立している夢路派のメンバーに協力を仰ぎ、榊真砂に水本冬華とサプライズなキャラの出演の連続にテンション上がりまくり!
 しかし、愛する兄の説得にも一切聞く耳持たぬ妹様ヤンデレ素敵こええー。美女に甘いリア充は膝に矢を受けて死ねばいいのに……。というか、この作品、リア充が多すぎだろ! 矢がいくらあってもたんねーよ!

 妹を取り戻すつもりが、まんまと罠にかかって囚われてしまった玲音は、イマイチ主人公としては、頼りなくて地味だけれど、やるときはやってくれると信じている。けれど、内心正直一番応援したいのは羽矢多さんなんだよなぁ。キャラバン裏切っちゃったし、静江さんは皇帝になっちゃうし、無関係だった子供たちを巻き込んじゃったし、玲音以上にいろいろ背負いすぎてて、胃腸薬差し上げたい。頑張れおじさん超頑張れ。

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2013年09月16日

ロストウィッチ・ブライドマジカル/藤原祐

4048919431ロストウィッチ・ブライドマジカル (電撃文庫)
藤原祐 椋本夏夜
アスキー・メディアワークス 2013-09-10

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“魔法の国”で起きた“女王のための統合戦争”に巻き込まれた、鍛冶目山市の少女たち。魔女となった彼女らが身の裡に宿すのは、殺し合いの螺旋を紡ぐ奇跡と罪の力―魔法。魔女のひとりである咲森水奈は、行方不明となった親友の少女、早良坂人魚を捜していた。

 少女は罪を抱えて、魔女となる

 魔法の国の女王を決める戦争に巻き込まれた少女たちが繰り広げるマジカルサスペンス

 ヒロインは全員女子中学生以下で魔法少女。変身後コスチュームがみんなエロかわいいすなぁ……。
 異界"魔法の国"で端を発した“女王のための統合戦争”に巻き込まれ、魔女となってしまった主人公・水奈たち女子中学生が、生き残りをかけて殺し合う無差別サバイバルの中で見せる絆や成長に魅入られます。
 魔法少女は殺し合うものという昨今の流行に、藤原祐ならではの殺伐とした世界観が合致して、これは愉悦

 人を殺さない魔女のコミュニティに属している水奈ですが、他の魔女の大半は殺し合いが当然だと思っていて、比べれば甘い理想論に思えるのだけれど、彼女には理想を実現させる力と覚悟があって凛々しかった。
 魔女候補である器の欠片を所持した少女・柊を自分たちのコミュニティに保護したものの、彼女を狙って襲ってきた他の魔女たちに身柄を奪われてしまい、敗北感に打ちのめされる希亜や舞衣子の姿が痛々しい。

 柊を攫った魔女の薫や寧々も、また上位の魔女からの一方的な命令に従うしかない哀れな身の上で、実力が全てのドライな魔女たちのヒエラルキーに背筋が寒くなる。魔女たちが互いに互いを利用し合うなかで、魔女に力を与える"魔法の国"の住人たちの独自の思惑もからみ合って、精神の病んで歪んだ非現実的な人間ドラマを展開していく争いが、悲痛と哀愁、そして友情と決意に満ち満ちていて素晴らしかった。

 理不尽と不条理の絶望の中だからこそ、ひときわ輝しく光る水奈たちの理想や希望が眩しかった。
 しかし最初から希亜や舞衣子といった良き仲間に囲まれている光景を見てると、「藤原さんだから、この何人かは確実にエンディングまで生き残れないんだろうなぁ」などとメタな予想をして悲しくなってしまう。
 今回は、キャラ紹介として、さて次回はどんな殺伐とした争いを見せてくれるのか、楽しみ。

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2013年09月13日

やがて魔剱のアリスベル ヒロインズ・アソート/赤松中学

4048919415やがて魔剱のアリスベル ヒロインズ・アソート (電撃文庫)
赤松中学 閏月戈
アスキー・メディアワークス 2013-09-10

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アリスベル、ビビ、キリコ、矢子&祈…ヒロインたちと静刃の、本編では描かれなかった日常シーンのアソートメント!アリスベルの錬金術の助手に、キリコの体育のコーチに、ビビのストーカー対策にと静刃は多忙でキケンな日々を送る。

 少女たちはいつでも全力疾走

 異能を持つ少年少女たちが、それぞれの願いをかけて戦い合う学園異能バトル・ラブコメ。

 異能を取り締まる影の国家機関公安0課や作中のそこかしこに見知ったキャラがいてワクワクしました。
 メインヒロインのアリスベルの他、ビビ、キリコ、矢子&祈、さらに獏といった女性陣の本編では見せられない日常編で、殺伐とした世界に身を置きながらも年頃の少女らしい彼女らの魅力を押し出していました。
 サブキャラは今後はおそらく滅多に見られないでしょうからね。いまのうちに拝んでおきましょう。

 練金釜を手に入れたアリスベルが錬金術に必要な静刃の感情を引き出すためにアレコレと攻撃を仕掛ける姿が危なっかしく、容赦がないのは静刃の力を信じているからだと、お互いの絆を感じられて微笑ましくなった。
 鉄棒の逆上がりが出来ないキリコの特訓に付き合う話では、無表情な彼女のかすかな気持ちの揺らぎが見え隠れして、静刃に嫌われないように機械に頼らずに自分の力だけで挑戦しようとするところが可愛い。

 ストーカー被害にあっているビビの家を助ける三話目は、カロリー高いファーストフードが好きだったり、可愛いもの好きのオタクだったりする彼女の一面を知って、気まずいような、呆れるような残念な気持ち。
 静刃に格闘術を教えるため、矢子&祈が一肌も二肌も脱ぐ話では、この三人、いったい何やってるんだろうなと。途中からいろいろおかしすぎるのに気づかない、兄も姉妹もよく似た天然ぶりがダメだこいつらと失笑。

 最終話では、神戸で獏とアリスベルが遭遇した凄腕武偵が登場するのですが、お互いに時間軸のズレに気づかずに戦いをはじめてしまって、目も当てられない。恨み辛みを膨らませて復讐を誓う獏さん、超ゲスいい顔。
 別シリーズ『被弾のアリア』で静刃とアリスベルが登場するには、本編からまたまた時間移動しなければ、向こう側での遭遇は出来ないのですが、この時間軸のミステリーにどう辻褄を合わせてくるのか……。

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2013年09月11日

僕と彼女のゲーム戦争 6/師走トオル

4048919075僕と彼女のゲーム戦争 (6) (電撃文庫)
師走トオル 八宝備仁
アスキー・メディアワークス 2013-09-10

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1泊2日の「学校対抗戦」に参加した現代遊戯部の面々。岸嶺以外はみんな女子という状況で、初日の個人戦の日程を終了する。その夜、岸嶺は持っていた写真を巡って、天道とぎくしゃくしてしまう。そして合宿2日目。チーム戦でゲームをプレイをする中、天道は昨夜のことが気になりゲームプレイに精彩を欠いてしまう。

 女子高生たちの世界戦争

 名門女子校のゲーム部に入部した少年がチームメイトと共に世界大会を目指すゲームライフラブコメ

 Civilizationキタ━━(゚∀゚)━━!!! 夜のない世界へようこそ。英国王、軍事ユニットの貯蔵は充分か?
 学校対抗戦の二日目、チーム戦に挑む伊豆野宮学園現代遊戯部ですが、前夜の出来事により岸嶺と天道の仲がぎくしゃくしてしまい、チームワークを欠いて思わぬ大苦戦を強いられる激闘に手に汗握りました。
 急にお互いを意識しあって距離感に戸惑う少年少女たちの恋愛模様が甘酸っぱかったです。

 なによりもチームワークを重視していた岸嶺たち伊豆野宮チームなのに、色恋沙汰で肝心のプレイに精彩を欠いてしまう姿がもどかしいながらも、こういうラブ寄せ展開を待ち望んでいただけにニヤニヤがとまらない。
 予選の『ゴーストリコンフューチャーソルジャー』は、からくも通過したものの、二人の不和は他のメンバーにもバレバレで、事情を問い詰めて初心な天道に女としての心得を指導する杉鹿さんビッチ!(褒め言葉)

 決勝戦の『Civilization5』では岸嶺だけが仲間と離れた立地にスポーンしてしまい、孤立無援の状況に陥るものの、そこから外交的駆け引きで世界大戦を起こし、他チームを撹乱するプレイが秀逸で目を引きました。
 お互いに決勝戦に納得できなかった伊豆野宮チームと甲斐ヶ原チームで、最後に挑んだ『アサシンクリード3』では、双方ともアビリティをフル活用した戦術を駆使しての大接戦で、緊張感に引き込まれました。

 しかし女子高生が「戦争よ!」、「殺せ!」とか叫んでる姿って、結構アレですね、ゾクゾクきますね。
 甲斐ヶ原の最強プレイヤー・『吹き抜ける風』の正体には驚きつつも、二つ名好きなところで、ああそうかと納得した。祇方院の腹黒いところは好きになれないけれど、負けて本気で悔しがる姿は同類なんだと感じた。
 次回ゲームの熱い夏がくるその前に、短篇集か。さてそれまでつー助教授のcivi動画を見返すか。



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2013年09月10日

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 4/宇野朴人

4048919067ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (4) (電撃文庫)
宇野朴人 さんば挿
アスキー・メディアワークス 2013-09-10

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北域での過酷な戦争を生きぬき、多くの犠牲を払いながらも生還したイクタたちを待っていたのは、厳正なる軍事裁判だった。そして裁判のあとに開かれた軍議で、サザルーフは、イグセム元帥やレミオン大将といった高官たちに、ある突飛な要請を提案する。実はそれは、密かにイクタから託されたもので―。

 皇女殿下の世直し旅

 のちに名将と呼ばれる怠け者な少年の激動の半生を描く壮大な架空戦記ファンタジー。

 我が友マシューがモテモテで人気者…だと…新ヒロインともイイ仲になって、いつの間に勝ち組に!?
 北域動乱をかろうじて生きて戻ったものの、シナーク族の難民問題が持ち上がり、イクタたち『騎士団』のメンバーが奔走して受け入れ先を用意する間にも、政府の上層部では新たな戦争の準備が進められていて、さらなる動乱に巻き込まれていく少年少女たちの戦いと冒険、そして出会いに興奮と興味が尽きない。

 ヤトリやトルウェイのオヤジーズがダンディすぎて、もう脳内麻薬ドバドバですよ。軍部から国を思えど、腐敗した官僚や貴族たちに政治を牛耳られ、規律によって領分を越えようにも出来ない思いがもどかしい。
 シナーク族の難民問題を片付けるため、マシューの故郷へと帰るのだけれど、そこでも腐敗した代官によって密かな悪事が行われてて、シャミーユ殿下の指揮で解決に乗り出すのだけれど、アナタは『水戸黄門』か!

 新天地でシナーク族ともうまく付き合い始めたのも束の間、唐突にキオカへの出兵が始まって、慣れない海軍船でのシゴキに悲鳴をあげる男子組だけれど、イクタだけは悪ふざけで逆にやり込める姿が可笑しい。
 船員との溝が埋まらないままキオカ艦と遭遇戦が始まってしまい、またも無警戒だった新兵器で手痛い敗北をみてしまう帝国艦の惨状がやるせない。初陣で自信喪失に陥ったポルミを慰めるマシューがイケメンだった。

 今回はこれまで大活躍していたイクタ、ヤトリ、トルウェイは一休みし、彼らの存在に隠れがちのシャミーユ殿下とマシューの出番がようやく巡ってきて……あれ、ハロは? ええ、サリー姿がエロかったですはい。
 北で山に登ったと思ったら、南で田んぼを歩きまわり、今は東の海ですか、あっちこっち移動して徐々に世界観が広がってきましたが、果たして彼らのこの旅の終わりはどこにあるのか。最後まで見届けたい。

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2013年08月19日

最弱無敗の神装機竜/明月千里

4797374667最弱無敗の神装機竜《バハムート》 (GA文庫)
明月 千里 春日 歩
ソフトバンククリエイティブ 2013-08-12

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遺跡から発掘された、古代兵器・装甲機竜《ドラグライド》。かつて、最強の機竜使い《ドラグナイト》と呼ばれたルクスは、一切の攻撃をしない機竜使いとして『無敗の最弱』と、今は呼ばれていた。五年前、革命によって滅ぼされた帝国の王子・ルクスは、何故か、機竜使い育成のための女学園に入学することに…!?

 乙女の園のヘタレ王子

 美少女たちに囲まれた、没落王子の王道と覇道が交錯する学園バトルファンタジー

 落ちぶれた王子の第二の人生どんだけリア充やねん、と突っ込みたくなるほどの充実ぶりでした。
 古代遺産である機竜の乗り手を育成する女性だけの王立士官学校に入学した主人公・ルクスが、国民に圧政を敷いた旧帝国の元王子という偏見を覆して、乙女たちの心を掴んでいく光景に妄想が広がってニヤリとくる。
 人類を襲う幻神獣と、それと戦う機竜の乗り手、ファンタジーとメカバトルの融合に夢が広がる。

 滅ぼされた帝国の没落王子ルクスですが、ヘタレで温厚な人柄と他人からの頼み事を嫌といえないお人好しの働き者ぶりから、本来なら憎まれるべき一般市民からも好かれて人気者になっている姿が微笑ましい。
 決闘で戦ったことで彼のことを意識し始める新王国の王女リーズシャルテや、幼馴染だったお嬢様のフィルフィに懐かれて女性だけの士官学校に入学することになって、可愛い女子に囲まれる生活が羨ましい。

 ルクスの機竜使いとしての才能を見込んで、彼の力が活躍する場につけたいと思うリーズシャルテだけれど、ルクス本人は実力を出すことに消極的で、咬み合わないながらも関係を深めていく二人が初々しかった。
 王国でも数少ない神装機竜の乗り手にして、さらに天才技術者として実績を残しながらも、かつての戦時中の悲惨な出来事から、王女として振る舞い、責任を果たすことに迷いを抱くリーズシャルテの懊悩が痛ましい。

 「最弱」と言われるルクスですが、やっぱり強いんじゃねぇかというところまで王道でよかったです。
 しかし、ルクスは幼い頃の方が頭脳明晰でプリンスオーラでてたような。成長してどうして劣化した。
 テンプレなハーレムもののようだけれど、ヒロインにそれぞれシリアスなバックボーンやら隠された設定が用意されているのが、また先の展開への期待を掻き立てられますね。他のヒロインとの絡みが楽しみです。

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2013年08月16日

魔法科高校の劣等生 11 来訪者編 下/佐島勤

4048916106魔法科高校の劣等生 (11) 来訪者編(下) (電撃文庫)
佐島勤 石田可奈
アスキー・メディアワークス 2013-08-10

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ヒューマノイド型ホームヘルパーロボット。付近にいた光井ほのかのパターンをコピーしたパラサイト=ピクシーは、その出自から、達也に付き従うことを決める。ピクシーからの情報により、『パラサイト』を理解した達也は、深雪らを連れ、残りの『パラサイト』を退治すべく、夜の青山霊園へと赴くが―。

 人と魔の新しき時代

 現代のエリート校である魔法科高校に入学した兄妹が繰り広げるマジカルバトルアクション。

 秘密兵器まで持ちだしてきても惨敗するリーナちゃんカワイソス。達也さん容赦無さすぎんよ。
 ピクシーに憑依したパラサイトを囮に、残りのパラサイトを一網打尽にしようとする達也と、米軍部隊を率いるリーナ、そしてパラサイトを利用しようとする十師族の思惑が絡み合う駆け引きに引き込まれます。
 魔法とはなんなのか、魔法師とはなんのか、パラサイトの来訪によって心揺れる若者たちが見所です。

 いつものことながら、達也さんは自分から秘密を明かしておいて、それで口止めしとこうってのは、ちょっと何言ってるかわからないですね。賢いように見えるけれど、本気で気づいてないとしたら天然なんだろうか。
 軍属なのに甘さがあって失態を演じるリーナ、一方、高校生のくせに覚悟完了している達也やエリカたちの違いは、魔法師としての育てられ方の違いでしょうか。日本の高校生は意識の高い若者揃ってるからな。

 パラサイトと決着をつけようとするも、十師族のさまざまな勢力から横槍が入って、大人の世界って奴は汚いなぁ。エリカ、美月、ほのか、レオに幹比古といつものグループの中にも役割分担ができているのが好き。
 深雪さんのブラコンはブラコンの域を過ぎているのには分かりますけれど、男性の理想も高すぎる。毎日、達也と暮らしていたら、そりゃあ他の男なんて目に入らなくなるだろうよ。兄離れするには先が長そう。

 さて、ようやく『来訪者編』が完結したわけですが、当初ライバル視されていたリーナと米軍は、達也と深雪にフルボッコされるためだけにやってきた感がありますな。リーナは戦略級というには疑問もあるが。
 短編の真由美さんの休日は、『来訪者編』の後始末、双子ちゃんの顔見せという意味合いが強かったかな。次回は二年生編。ときに、もうタイトル変えていいんじゃね? 『魔法科高校の革命児』にしようよ。

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2013年08月13日

フルスケール・サマー/永島裕士

4048918184フルスケール・サマー (電撃文庫)
永島裕士 紅緒
アスキー・メディアワークス 2013-08-10

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夏の始め。転入生の少年・慶介は席が隣になった少女に懐かれた。昼休み、彼女に案内された先には、なんと、90式戦車が!!どう見てもホンモノのそれを、鮎美はなんと“プラモ”だと言う。すごいけど迷惑なこれらの作品たちのせいで生徒会から目を付けられた模型部を守るため、慶介は協力を求められることになるが

 
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 廃部寸前だった模型部を蘇らせるため、主人公・慶介とヒロインたちが力を合わせて、かつての先輩たちが道半ばで挫折していた等身大ロボットを完成させ、東京で行われるロボットコンテストでの上位入賞を目指し、様々なアクシデントに遭遇しながらも乗り越えてがむしゃらに駆け抜ける姿が、いやぁ、青春だな……。
 って、これまんま『ROBOTICS;NOTES』じゃねえかあああああああ!! 読む人にとってはアウトだと思う。

 ガノタの鮎美やミリオタの美樹とかキャラはいいんですよ。可愛いけれど中身がどうしようもなく残念で、周囲にバカにされても、自分の好きなことに一途に取り組んでる姿が活き活きしてとっても眩しい。
 慶介も平凡な高校生活を過ごしたいとは言ってても、一人で頑張る女の子を放っておけない優しさと、生徒会の一存で理不尽に取り潰されようとしている模型部の現状に義憤を燃やす熱い心を持った真の男だよ。

 ただ、やっぱり設定の類似性が気になるし、ストーリーも先の展開が読めてしまうのが問題です。
 しかし、面白かったか聞かれたら、正直、面白かったと言わざるを得ない。素人集団が知恵を絞って、プロも納得するクオリティの高い外装を作り上げる工程とか、コンテストの予選クリアするための試行錯誤とか、アクの強いキャラがわいわいハイテンション、ノンストップで全力疾走している光景が、すげぇ楽しかった。

 設定でワンアウト、ストーリーでツーアウト。物語の途中からオチにかけてはまた違う方向に行って、そこは評価できるんで、スリーアウト直前で持ちこたえたという感ですが、それでもロボノを連想させちゃう時点でいろいろマズイんじゃないかと思う。まあ廃部の危機だったり、突発的なアクシデントはスポ根もののお約束で、ロボットを主題にしたら自動的にロボノと似てしまう、と言われたらその通りなんだけど……うーん。

 似ていてもいい。むしろ似た作品が読みたいという人にはオススメです。それ以外にはオススメしません。

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2013年08月12日

ソードアート・オンライン 13 アリシゼーション・ディバイディング/川原礫

4048917579ソードアート・オンライン (13) アリシゼーション・ディバイディング (電撃文庫)
川原礫 abec
アスキー・メディアワークス 2013-08-10

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カセドラルの外へと投げ出されてしまうキリトとアリス。キリトと離ればなれになったユージオは、相棒の存命を信じ、単身塔を上り続ける。そんな彼の前に現れたのは、最古にして最強の整合騎士、ベルクーリ・シンセシス・ワン。子供の頃から憧れていた伝説の武人を前に、ユージオは青薔薇の剣を抜く。

 騎士の使命と果たすべき誓い

 現実に限りなく近い仮想世界《アンダーワールド》に閉じ込められた黒の剣士のVRファンタジー。

 で、でたーライトノベル主人公の最強の技『説教』からの『仲間に引きいれる』の連携技だー!
 塔から落ちたものの協力し合い壁を登ろうとするキリトとアリス。たった一人で塔を登るユージオ。それぞれのルートに分かれながらも、思いを一つに頂上を目指す三人の姿に、今は無き幼き頃の絆を感じました。
 キリトの戦いとは別のユージオの戦い、二人の主人公がそれぞれの道を歩み出す巻でした。

 高いところに剣一本でぶら下がっているのにのんきに口喧嘩だなんてアリスとキリトは元気だなぁ。
 一時休戦として力を合わせて壁を登る合間に、アリスにキリトへの信頼が生まれ、公理教会への疑念が湧きあがっていくのはよかったが、出会って2、3日程度の相手との説得で解けちゃう洗脳って、最高司祭と元老院は普段、整合騎士たちからどんだけ胡散臭いと思われてんの……正直、疑ってるのアリスだけじゃないし。

 ユージオと騎士団長ベルクーリとの一騎打ちは、技術も経験も武器も遥か格上の相手に、その場にあるリソースをすべて使って立ち回り、冷静な分析で駆け引きを制しての予想外の大健闘に興奮しました。
 キリトの活躍の陰に隠れてやや見劣りしがちだったのを改めて見直したところだったのに、「お前ら簡単に洗脳されてるのが許せないんすよ」とか言ってたユージオは自分だって闇堕ちしてるじゃないですかやだー。

 公理教会の闇がまた明らかにされましたが、独裁者と宗教の組み合わせは本当にタチが悪いですね。
 色仕掛けにハマり敵になってしまったユージオと対面したキリト、薄々、予感がしていた対決ですが、それでも親友として以心伝心、共にここまで苦難を分かち合って歩いてきた二人だけに、やるせなさが募ります。
 キリトの説得は通じるのか、それとも剣士同士の会話は剣を交えなければいけないのか。続きが気になる。

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2013年08月11日

放課後の魔法戦争 2/鈴木鈴

4048918559放課後の魔法戦争(アフタースクール・ブラックアーツ) (2) (電撃文庫)
鈴木鈴 さらちよみ
アスキー・メディアワークス 2013-08-10

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辛くも前回《魔法戦争》を生き抜いた三九郎たちの前に、先の戦争で共闘した呉葉の所属する工房《マーチラビット・ワークショップ》の長・蜜月蕩乃が現れた。彼女は父・団慶亡き後の工房運営に支障をきたしていた三九郎へ協力するかわりに、子を作らせてほしい(!)という驚愕の交渉を持ちかける。

 男とは、戦うたびに強くなる

 魔術の使えない主人公が魔術師たちと命がけのバトルロイヤルを繰り広げる学園魔術バトル

 伏桜製作所の一番の人望ってか、権力を持っているのって、三九郎じゃなくて、ねねこじゃね?
 不調の続く工房の設備の修理を依頼したところ、手違いからメイジたち狙われる存在になってしまった幼馴染ねねこ、襲い来るメイジたちから幼馴染を守るために力を合わせて奮闘する三九郎たちの姿が熱かった。
 残酷で不条理に満ちたメイジの世界で、信念と愛を貫こうとする少年少女たちの姿に魅せられる。

 ごく普通の一般人なのに、またしても海千山千のメイジたちのド肝を抜く幼馴染のねねこが痛快です。
 故障した設備の修理の報酬として三九郎との性交渉を求めてきたマスターメイジ蜜月蕩乃の企みを、予想外の方法でぶち壊す天然さが小気味いいが、工房長相手に一歩も譲らない向う見ずさがハラハラさせられる。
 三九郎の心配通りに、またしてもメイジから狙われる状況に陥っていく光景は目も当てられない。

 奪われたねねこを追いかける三九郎と妨害をするメイジとの追走劇に、他勢力である雷火やその姉の仄火までもが参戦して三つ巴に発展して、一般市民を巻き込んでさらに激化していくメイジたちの戦争に息を呑む。
 親友でありながら、お互いに譲れない意地を張って殺し合う三九郎と雷火をバカらしいと思いつつも、親友を認めているからこそ対等でありたい、メイジとして誇りを賭け全力をぶつけ合う男たちの友情に燃えます。

 熱血臭くて汗臭い男どもに比べ、お互いに助け合う女の子たちの友情は微笑ましいですね。それぞれ男子顔負けに勇ましいのだけれど、本当に友達のことを思いやっていて、特に呉葉株がウナギのぼりです。
 華夜はデレ化すぎてこっそり三九郎のシャツをクンカクンカする残念なヒロインになってきたけれど、いいんじゃないですかね。本妻と愛人の修羅場がもっとみたいです。本妻は雷火だろって気がしないでもない…。

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2013年07月13日

ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?/聴猫芝居

4048917994ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? (電撃文庫)
聴猫芝居 Hisasi
アスキー・メディアワークス 2013-07-10

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ネトゲの女キャラに告白!→残念!ネカマでした☆そんな黒歴史を秘めた少年・英騎はある日、ネトゲ内で女キャラに告白された。ネトゲでの「嫁」になったアコ=玉置亜子は本物の美少女で、しかもリアルとネトゲの区別が付いていない…だと…!?「おはようルシアン!」って、や、やめて!ハズイから名前で呼ぶなっ!

 これはリアルであって、ゲームではない

 ネトゲの嫁にリアルでも振り回される主人公の学園ラブコメディ。

 こいつら早く垢BANされればいいのに! ネトゲでもリアルでもバカップルすぎてむず痒かった。
 オンラインゲームで結婚している女性キャラ・アコに現実世界でも懐かれてしまった主人公・英騎が、リアルとネトゲの区別がついてない彼女の悪癖を直そうと仲間と四苦八苦する姿が面白可笑しかったです。
 ネトゲ好きの美少女と恋人扱いされて何が不満なのかよくわかりませんね。BOT通報されればいいのに!

 オフ会で顔を会わせたギルドメンバーが全員美少女で、ゲームでの『俺の嫁』のアコのオタク趣味のメンヘラっぷりは確かに強烈だけれど、美少女だからいいだろ!(怒)ゲーマーなら現実よりゲームの方が大事だろJK
 ネトゲとリアルの区別がないアコに無防備に好かれて、ストーカーのようにリアルで付きまとわれるようになって、「いやいや、さすがにこれはダメだろ」と自制する英騎は正しいが、リアルなんて投げ捨てろ!

 ギルメンと結託してアコを矯正しようとするんだけれど、危なくて放っておけなくなるアコのキャラにほだされて、逆に英騎の方がネトゲとリアルの垣根を忘れてしまいそうになるのがニヤニヤ。アコの中毒性ぱない。
 別の女性キャラに相談していたところをアコに浮気を疑われて、ヤンデレ化していくアコと、思い込みの激しい『俺の嫁』を守るために立ち上がる英騎のラブラブっぷりにすっかり惚気られました。お腹いっぱいです。

 アコは超面倒くさいヒロインですが、旦那がしっかりしていれば最高の嫁なんじゃないですかね(適当)
 ゲームでどんなプレイをしようが本人の自由ですよ。自分なりの主義主張やポリシーを持つのもいいが、それを嫌がる他人にまで押し付けるのは、直結厨以上に最悪のプレイヤーだと思います。ネトゲはあくまでネタとして使われてるだけで、基本はラブコメなので気楽に読めますね。ネトゲ好き女子とか最高だろ。
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2013年07月11日

ブラック・ブレット 5 逃亡犯、里見蓮太郎/神崎紫電

4048917617ブラック・ブレット (5) 逃亡犯、里見蓮太郎 (電撃文庫)
神崎紫電 鵜飼沙樹
アスキー・メディアワークス 2013-07-10

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蓮太郎や木更、延珠、そしてティナは、楽しく平和な時間を満喫する。しかし蓮太郎のもとへ、小学校時代の友人が久しぶりに訪ねてきたことをきっかけに、彼らの日常は暗転する…。いわれなき殺人の容疑をかけられることになった蓮太郎。孤立無援の状態で決死の逃亡を図るものの、かつてない強敵が次々と襲いかかってきて

 闇に堕ちた救世主

 人類を脅かす怪物と戦う少年少女の近未来ヒロイック・アクション。

 相変わらず幼女が無残に死んでくけれど、この作者は幼女を殺さないと済まない病気か何かなの。いいね!
 何かの秘密を知ってしまった小学校時代の友人・水原が殺され、殺人容疑の冤罪で指名手配された蓮太郎が、警察組織の包囲網を躱し、襲い来る刺客を退けながら、事件の真相に迫っていく逃走劇が手に汗握りました。
 また蓮太郎は新しい幼女と出会って、二人っきりで逃避行とか、そのロリを呼び寄せるスキル欲しいわー。

 木更さんにお見合い話が持ち上がり、恋人でもない蓮太郎には「行くな」と言い出すことができなくて、木更さんも止めて欲しがっているのだけれど、お互いに意地を張ってしまう二人の恋愛模様がもどかしい。
 さらに蓮太郎の元にはかつて友人だった水原が訪ねてきて、事情がありそうな彼の態度も気になって、気掛かりに捕らわれているうちに冤罪事件に嵌められていく展開が、うん、これどこのミッションインポッシブル?

 冤罪を晴らすために脱獄した蓮太郎ですが、警察との逃走劇の合間にも、人助けに必死になる筋金入りのお人好しぶりですが、そうした行為が捜査員や民間人に好感を与え、ファンを増やしていく光景が微笑ましい。
 水原のパートナーだった少女・火垂と合流し、真相を求めて反撃に動き出すうちに、蓮太郎を嵌めた謎の組織も口封じとして次々に刺客を送り込んできて、追う者、追われる者が入れ替わる水面下での暗闘が熱い!

 都市の英雄として祭りあげておいて、あっさりと切り捨てる政治家連中の切り替えの速さには反吐が出る。
 それにしても落ち込んでばかりの木更さん、役立たずだなぁ……。こうも自分たちばかりに災難が続いたら、さすがに誰かの関与を疑いません? さらに空気の延珠にティナ。深刻なヒロインの無能化がパない。
 まあ次回で蓮太郎がヒロインを立ち直らせて、悪そうな謎の組織をぶっ潰してくれるのを期待しましょう。

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2013年07月10日

巨大迷宮と学園攻略科の魔術師/樹戸英斗

4048917978巨大迷宮と学園攻略科の魔術師 (電撃文庫)
樹戸英斗 玲衣
アスキー・メディアワークス 2013-07-10

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私立天乃川学園―異世界ゼラに広がる巨大地下迷宮の攻略を目指す生徒達が集う学園。その名も「攻略科」では、生徒たちが大規模サークルやパーティーを組んで、未踏のダンジョン制覇を目指していた。今年入学した荒田維留もまた、ダンジョン攻略を目指す魔術師であった。

 異星の迷宮を踏破せよ

 惑星ゼラに広がる地下世界の攻略に挑む少年少女の波乱万丈リアルRPGストーリー

 ウィザードリィじゃないっすかーもろウィザードリィじゃないっすかー。大好きですよこういうの。
 広大な地下迷宮が広がる惑星ゼラにゲートで繋がる天乃川学園攻略科に入学した主人公・維留が、そこで個性豊かな同級生たちと出会い、お互いの背負った苦悩をわかちあう仲間へと成長していく姿が胸に迫りました。
 最近では高校生が生きるか死ぬかの冒険に出かけることに、さっぱり違和感を感じなくなってしまったなー。

 行方知れずになった姉の後を追いかけ、天乃川学園にやってきた維留ですが、魔術師の家系としては落ちこぼれの役立たずでしたが、スピードを活かした前衛アタッカーに転向してからの活躍ぶりが晴々しいですね。
 タンクの健吾、補助系魔術師の紗夜香、医療系魔術師のリオと、優秀で信頼できる仲間たちに惠まれるのだけれど、彼らもそれぞれに重い事情を抱え学園に来ていて、次第に明かされていく境遇や過去が物悲しかった。

 維留と同じ寮に住む万能魔術師の少女・織姫も、魔術の才能を持ちながら過去のトラウマとパーティ戦では問題となるデメリットを抱えていて、周囲から忌避され危険なソロでの冒険を強いられている現状が切ない。
 新入生パーティの中で次第に頭角を現していく維留たちのパーティに入り、少しずつ仲間と慣れていく織姫だけれど、突然モンスターに襲われ魔法を暴走してしまって維留を傷つけて自分を責めてしまう姿が辛かった。

 維留もまた周囲から忌避されるような秘密を抱えていて、その秘密を知られてしまった織姫とぎくしゃくしてしまうのだけれど、少しずつ歩み寄り、慰め合い、励まし合い、お互いを受け入れていく光景が感動しました。
 攻撃系、精霊系、召喚系、封印系と様々な魔術師がいるのに加え、前衛も普通の人間からサイボーグや自動多脚兵器なんてのもあって実に様々。ウィザードリィではなくファンタシースターオンラインだったかー。
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2013年06月27日

覇剣の皇姫アルティーナ V/むらさきゆきや

4047289779覇剣の皇姫アルティーナIII (ファミ通文庫)
むらさきゆきや himesuz
エンターブレイン 2013-06-29

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難攻不落の敵要塞を見事に制圧したアルティーナ。そこへ一通の書状が届く。それは第二皇子ラトレイユから建国記念祭に出るようにとの要請だった。宮廷には軍権を握るラトレイユだけでなく、その参謀ジェルマン、第一皇子オーギュスト、地方貴族を束ねる公爵家の女傑など、幾つもの勢力が策謀を巡らせていた。

 陰謀の宴を斬れ

 読書狂の青年軍師と伝説の宝剣を振るうお姫様が織り成す戦記ファンタジー。

 戦場から離れた途端、役立たずなアルテーナがおバカ可愛い。君はピュアなそのままでいればいいと思う。
 功績を立てたことで一躍名を上げた第四皇女アルテーナと軍師レジスが、陰謀渦巻く宮廷での晩餐会に招待され、第一皇子と第二皇子の政争の駆け引きに巻き込まれていく中で見せるレジスの閃きが秀逸でした。
 ついに皇位継承争いの渦中に飛び込んだアルティーナとレジスの出たとこ任せの活躍が面白いです。

 帝都へ里帰りするのにも貴族的な贅沢や虚飾を嫌い、最低限の装いで帰還する庶民的なアルティーナの姿に改めて好感を抱くのですが、腐った貴族ばかりの宮廷でのかつての彼女の暮らしぶりを思うと非常に痛ましい。
 そしてやっぱりアルティーナを始めとした皇族は、みんななんらかの特異体質なんでしょうね。病弱な第一皇子はともかく、第二皇子、第三皇子の身体能力は、いやいや、お前ら人間ってレベルじゃねーぞ……。

 南部の新興貴族の取り込みに成功した第一皇子オーギュストと、差をあけられ焦る第二皇子ラトレイユとの政治争いに翻弄されるアルティーナでしたが、国民のための皇帝になるという初志を貫く姿勢が勇ましい。
 切り札を持ちだそうとするラトレイユに対し、後手に回り続けていたレジスが相手の持ち札を先読みし、逆転に回る一手は、単純明快にして相手の次の手を封じる巧妙さ、狡猾さ、性格の悪さが現れていてニヤリとくる

 しかし、アルティーナは剣と力で解決できない問題に関してはまったくの無能なんですね……。これが皇帝になって本当にいいんだろうか。レジスがついてないとホイホイ騙されそうで危なっかしいですね。
 戦争を止めるとしても、それで生まれる失業者問題をどうするか、最後にそうこう言ってはいられない事態が起きてしまいましたが、さて今後の展開にどう影響してくるのか。それよりラブコメしようぜラブコメ!



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2013年06月14日

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園/物草純平

404891703Xミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル) (電撃文庫)
物草純平 藤ちょこ
アスキー・メディアワークス 2013-06-07

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18世紀に発生し、瞬く間に世界中へと広がった謎の巨大生物“蟲”。異国への航路上で蟲を操る男たちに襲われた少年・秋津慧太郎は、ある海岸に流れ着く。その左目に奇妙な力を得て―そして辿りついた荒地で慧太郎は、蟲たちを愛し、その研究と対処とを生業とする美少女アンリ・ファーブルと出会った。

 楽園を目指す昆虫記

 蟲と呼ばれる謎の巨大生物により変貌したもう一つの近代の世界で蒸気と蟲と恋が彩るファンタジー

 魔法と科学に、ちょっと不気味で妖しい蟲の存在があわさった世界観がロマンたっぷりです。
 巨大昆虫・蟲が蔓延する世界で、単身、異国の地フランスにやってきた日本人の少年・慧太郎が、蟲を愛する少女・アンリと出会い、国家を巻き込むテロ騒動の渦中で、お互いの絆を深めていく姿に胸を打たれました。
 昆虫学の世界から魔術と科学、歴史、人々を取り巻く自然学へと話を広げていくテーマが興味深い。

 魔女であり昆虫学者の卵のアンリのあけっぴろげな明るさが魅力的で、剣の腕は立つものの蟲を殺せないほどお人好しな慧太郎の生真面目な誠実さも好感を抱けて、故郷の薩摩に居場所が無く追い出されるようにして異国にやってきた少年と、名門女学院に通いながらも変わり者で友達がいない少女との似た者同士な二人が、互いにとってかけがえのない理解者となり、押し込めていた自分の理想を貫いていく姿が活き活きして眩しかった。

 蟲に寄生され変異した人間<裸蟲>のテロ組織の、自分たちの人権を求める犯行動機は、人情的に理解できなくもないけれど、事件を起こせばそれが悪者の偏見を産み、彼らの首を締めていく負の循環がやるせない。
 組織と政府のどちらが善か悪かは決めきれずとも、目の前で起きていることから間違いを正そうと立ち上がる慧太郎とアンリの正義観は、綺麗事と言ってしまえばそれまでだけれど、それだけに希望を感じました。

 蟲とは一体何なのか、という謎については、不明なまま、さらに新たなワードと謎を残されてしまって、勿体ぶられている感があるのですが、おいおいストーリーで解明されていくのを期待しましょうか。
 おっぱいクラス委員長とのラブコメがもっと見たいぜとも思うんだけれど、この設定だと百合だよなぁ……。
 そしてそして、前作の『スクロリ』の続きはいつになったら出るんでしょうかヒーホウ……。
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2013年06月09日

魔法科高校の劣等生 10 来訪者編 中/佐島勤

4048916092魔法科高校の劣等生 (10) 来訪者編(中) (電撃文庫)
佐島勤 石田可奈
アスキー・メディアワークス 2013-06-07

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『吸血鬼』事件の全容は次第に明らかになりつつあった。達也のヒントと幹比古の古式魔法によって、『吸血鬼』の正体が『パラサイト』と呼ばれる『魔性』であることを突き止める。しかし、別次元から意図せずに招かれたその『来訪者』は、ついに魔法科高校に襲来する。その『吸血鬼』の正体(宿主)は、意外な人物で―!

 見えざる魔を討て

 現代のエリート校である魔法科高校に入学した兄妹が繰り広げるマジカルバトルアクション。

 リーナのポンコツ美少女ぶりが笑えてきます。いや、ポンコツなのはリーナだけじゃないのですがね。
 魔法師を襲う『吸血鬼』の正体が異次元から侵入した情報体だと見抜き、包囲網を狭めていくUSA軍と日本の魔法師たちですが、その吸血鬼が達也の通う高校にも現れて、次第に身近に迫る危機にやきもきさせられる。
 そんな騒動を抱えつつも、バレンタインデーに一喜一憂する少年少女たちの姿が微笑ましくてなりません。

 達也との戦いの敗北でリーナのメンタルの弱さ、幼さが改めて浮き彫りになって、普通の女の子にしか見えなくなってきたなぁ。達也の周囲のヒロインたちよりよっぽど女の子してると思うんですがどうだろうか。
 魔法界全体で『吸血鬼』に厳重警戒を敷いているなか、あっさりと学校に侵入されちゃうのは、正直ないなぁ。魔法師の密度が高くて腕が未熟な学生が集まってる格好の狩場じゃん。なんでそんな警備がザルなんだよ。

 まあ一高に限っては、達也を始めとする一般の魔法師のレベルを超越したチート級の魔法師がわんさかいる魔窟なわけで、なんでよりにもよって一番の危険地帯に来たんだと戦慄を隠せない。逃げてー吸血鬼超逃げてー。
 実体のない精神体であるパラサイトには、物理的なエネルギー攻撃はおろか、視認すら困難という状況で、地味カップルが珍しく面目躍如大活躍を見せてくれた。地味な者同士、早くくっついてしまえばいいのにね。

 バレンタインエピソードでは、ほのかのストレートな片思いが甘酸っぱくて、七草先輩が腹黒さを発揮したかと思えば、最後にやはり深雪さんが本妻の風格を窺わせてきたりと、ニヤニヤしっぱなしで美味しかった。
 しかし、こままでとは違って設定の穴……もとい、お笑いポイントはそれほどなくて、ちょっとお堅いんじゃねという雰囲気になってきたな。次回はもっと読者にシリアスな笑いを提供して欲しいです。

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2013年06月07日

ストレンジムーン 宝石箱に映る月/渡瀬草一郎

4048916947ストレンジムーン 宝石箱に映る月 (電撃文庫)
渡瀬草一郎 桑島黎音
アスキー・メディアワークス 2013-06-07

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妹と二人暮らしの高校生、月代玲音。ある日の放課後、彼は友人の文槻クレアに連れられ、地元の紅街中華街を訪れる。異変の刻は彼の知らないうちに着々と近づいていた。封印を解かれた「マリアンヌの宝石箱」。その内側に封じられていたのは、かつて欧州を席巻した異能者、“皇帝”のブロスペクトとその部下達だった。

 災厄の箱は、開かれた

 異世界より来たりて超常の力を持つ異形の神と、その力を宿した異能者達が紡ぐ騒乱劇

 全世界の渡瀬ファンが夢にまで見た! 『パラサイトムーン』の世界が帰ってきた! もう感無量です!
 神具『マリアンヌの宝石箱』に封じられていた迷宮神群の一柱・リコルドリクと、かつてキャラバンと対立していた権力者ブロスペクトとその部下たちが解き放たれ、キャラバンと彼らの抗争のキーマンになってしまった主人公・玲音が、大切な人々を守るため、非日常へと飛び込んでいく物語に幻想が溢れて陶然に浸ります。

 名前が少し変わっているということ以外はごく普通のイマドキの高校生だった玲音と幼馴染クレア、その友人たちの平穏な日常が微笑ましく、そんな平和を一変させてしまう一部の異能者たちの悪意が憎らしい。
 不慮の事故でキャラバンの一派が長らく隠してきた神具『マリアンヌの宝石箱』に封印されていた人物の記憶と能力を宿してしまい、状況によって玲音と友人たちの繋がりが敵味方に引き裂かれていく姿がやるせない。

 キャラバンを敵視するブロスペクト派と、事態を抑えこもうとするキャラバンとの間で衝突が巻き起こり、戦いの鍵をにぎる"記録者"と呼ばれる特殊な位置づけの能力を得た玲音が、両陣営から正体を隠しつつ、騒動の中心へと迫っていく緊張感に手に汗握る。『夢を具現化する』という能力を持つリコルドリクの異能者たちのバラエティに富んだ能力と、おなじみの異能者たちの都市全土を巻き込んだ大激突が興奮を煽ります。

 鈍感な玲音を巡って好意を寄せる幼馴染クレアと義妹の香恋の三角関係が興味を掻き立てますね!
 それまで一般人だった人物、あるいは一般人だと思っていた人物、争いからは身を引いていた人物も運命のイタズラに翻弄されるかのように騒乱の渦中に放りこまれ、奇妙な縁で結ばれていく人間関係の群像劇となって、一人一人の行動がどう全体に影響するのか、今後の展開が読めなくて面白い。これは新たな名作生まれたな。

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2013年05月14日

魔遁のアプリと青炎剣 2/天鴉蒼

4048915975魔遁のアプリと青炎剣(アウローラ) (2) (電撃文庫)
天鴉蒼 ねりま
アスキー・メディアワークス 2013-05-10

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鳰の街に鐘の音が鳴り響く。それは、ユマの父が遺した極秘研究データ『エリアス・ライラの遺産』が10年もの眠りから目覚める予兆だった。封印されていた遺産を巡って不穏な動きを見せる人権団体「ホワイトドーン」。それぞれの思惑が交差する中で迎えた四季競技祭。橋が爆破され、街から孤立した学園島で壮絶なバトルが

 街を照らす希望の光

 様々なアプリを駆使してランクを競い合う、異能を持つ少年少女たちの近未来ガジェットアクション。

 あ、あれ? なんかいろいろ謎が解明されたし事件も片がついて完結ムードだけれど、これで終わり???
 高天原学園の体育祭・サマーオリンピアを襲った人権団体「ホワイトドーン」の威盗人たちを相手に、青龍院と白虎院の垣根を越えて主人公・拓真たち学生が団結し、学園を取り戻すために立ち上がる姿が燃えました。
 旧文明崩壊の理由、10年前の父親の死、そしてアプリとは、次々と明かされる真実に引きこまれました。

 拓真とユマと彩華の三角関係が可愛らしくてずっと眺めていたいですね。ヒロインたちは、それとなく好意を向けてるのに、拓真は父親の死の真相を突き止めるために必死で気づきもしない朴念仁ぶりが呆れます。
 極秘情報を賭けてサマーオリンピアに出場したものの、EXランカーの数で劣る青龍院は、団体戦では苦戦を強いられてしまうのですが、一発逆転を狙って持てるアプリを駆使して試行錯誤する駆け引きが面白いです。

 体育祭も平穏無事に終わるかと思えば、謎の集団が学園を占拠して、ユマの父親の遺産を横取りされてしまい、さらに頼りのEXアプリまで使えなくなり、アウローラという相棒を失って失意に暮れる拓真の姿が切ない。
 互いの父親が犠牲となって救った街を再び守るため、タッグを組んだ拓真とライバルである菊之進、そして特別な力を持った者の責務として、違法者に対して反撃を開始する学園の生徒たちの光景に胸が熱くなります。

 伏線回収やストーリーはそれなりいにまとまっていましたけれど、どうにも駆け足で消化した感があるな。
 本来なら、もっと舞台の世界観を広げて、登場人物も戦わせたり動き回らせて徐々にヒントを散りばめつつ、もっと事件のスケールを広げてから解答編をすべきなのに、話の膨らまし方が小さくなってしまったな。
 設定や世界観は斬新なんだけれど、活かしきれなかったのが残念ですね。次回作に期待しましょう。
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2013年05月11日

一つの大陸の物語 下 アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他/時雨沢恵一

4048916009一つの大陸の物語 (下) ~アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他~ (電撃文庫)
時雨沢恵一 黒星紅白
アスキー・メディアワークス 2013-05-10

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トラヴァス少佐を乗せた軍用機が突如爆発。制御を失ったその機体は、人里離れたルトニ河の川縁に墜落してしまう。その頃、ロクシェ首都では、消息を絶ったトラヴァス少佐が麻薬犯罪に関与したという疑惑が持ち上がり、過剰とも思える証拠が次々と明らかになっていく。

 ハッピーエンドは結婚式のあとで

 一つの大陸を舞台にしたアドベンチャー・ストーリー×ドキドキハラハラワクワクドタバタ学園物語

 まさかあの時のあんな脇役にまで、もう一度出番が!というようなサプライズが満載でした。
 ルトニ河に墜落し、瀕死の重傷を負いながらも生き残ったトラヴァス少佐ことヴィルが、昔のツテを頼って、自らに書けられた冤罪の容疑を晴らし、黒幕を追い詰めていく展開にハラハラドキドキさせられました。
 変わり者の両親が隠していた真実をいっぺんに明かされて戸惑うリリアの姿が可笑しいです。

 航空機墜落による重傷に苦しみながらも冷静に状況を分析し暗殺のターゲットが自分だと推察して、何が何でも生きのびて、巻き添えになった操縦士たちの仇討ちを誓うトラヴァスの強い執念に思わず身が竦みます。
 幸運にも善意の人々に助けられ、予想外の人物との再会に涙するヴィルの姿にはもらい泣きを誘い。イクストーヴァの二人の力も借りて、黒幕の手掛かりを探っていく先での刺客との遭遇戦には息が詰まりました。

 これまでのヴィルとアリソンの道順を逆に辿っていくかのような場面転換は歴史の流れを感じましたね。どんなときもヴィルを信じてあっけらかんとしたアリソンのポジティブさだけは変わらないのが魅力的でした。
 ヴィルとアリソンの悪巧みを知らされず、次々と巻き起こる衝撃的事件が振り回されて心労を募らせていくリリアが哀れでなりません。トレイズはこういう時に頼れる男アピールをすればいいのに、甲斐性ないなぁ。

 学園の新聞部や大使館の仲間たち、王族関係者たち関係者を一同に集めての、ネタばらしと真相究明は、我々、読者だけは真実をすべて知っているだけに、お前らようやく気づいたのかと、ニヤリときますね。
 アリソン組やリリトレ組だけでなく、さらりと爆弾発言をかましてくれるメグに噴き出した。作者はやり切ったようですが、いち読者としてはメリエル王女の話がもっと読みたかったですね。とまれ新作に期待しましょう。

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2013年05月10日

僕と彼女のゲーム戦争 5/師走トオル

4048914227僕と彼女のゲーム戦争 (5) (電撃文庫)
師走トオル 八宝備仁
アスキー・メディアワークス 2013-05-10

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関東ゲーム部ネットワークのメンバーである甲斐ヶ原女学園の祇方院つかさは、「学校対抗戦」への参加を呼びかけにきた。二つ返事で快諾し、現代遊戯部は一泊二日の学校対抗戦へ参加することに。だが、伊豆野宮学園以外の参加校7校は、すべて女子高。ということは……男は岸嶺ひとり!? 果たして無事に一晩過ごせるのか

 そこはゲーマーたちの幻想郷

 名門女子校のゲーム部に入部した少年がチームメイトと共に世界大会を目指すゲームライフラブコメ

 ホントに女子高生が東方やってる……( ゚д゚) ラノベでの東方ネタは、多分これが一番濃いと思います。
 関東にある7校のゲーム部が一同に集まる一泊二日の「学校対抗戦」に招かれた主人公・岸嶺たち伊豆野宮学園現代遊戯部のメンバーが、同世代の強豪を相手に繰り広げる熱戦に次ぐ激戦に手に汗握りました。
 参加者はすべて女子、男子は岸嶺ひとりだけのお泊りゲーム大会というシチュエーションが美味しいです。

 女子校だけの「学校対抗戦」に特例として参加を認められた岸嶺ですが、豪華な旅館に一人だけ狭い物置部屋に押し込められ、けれども遊びに来る女子高生がひっきりなしにたむろし始めて、なんともうらやま死刑。
 一日目の個人戦トーナメントは、ゲーム知識や実戦経験で劣る岸嶺には不利な展開に陥るも、持ち前の集中力と特訓の成果により任意で発動可能になった≪魂転生≫を駆使して勝ち抜いていく展開に胸が躍ります。

 岸嶺の地力だけでなく、このシリーズのお約束の『初心者でも勝てる方法論』や相手の油断や隙を突く奇襲を用いて、実力も経験も格上の対戦相手たちを手玉にとっていく光景も、若干ズルいですけれど痛快です。
 お泊りという非日常イベントを通じて、お互いに男女を意識していく岸嶺と天道が初々しくてたまらない。杉鹿と鷹三津は喧嘩しあってる場合じゃないですね、もっと胸チラすべきだと思います!浴衣フオォォォォ!!!

 今回の岸嶺は≪魂転生≫や≪走馬燈≫といった特殊能力をガンガン使って勝ち進んでて、チートとか読者から叩かれそうですが、訓練されたポケモントレーナーは未来を読み取れるし、決闘者は伏せられた罠カードを透視できるし、ハンターは画面外の敵に矢を命中させれるし、そうした超能力が使えて初めてゲーマーとして一人前でしょう。むしろ超能力も使えないとか、にわか乙!wと言わざるを得ない! 次回、後編のチーム戦が楽しみです。

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