ダフロン

2014年12月20日

ソードアート・オンライン プログレッシブ 3/川原礫

4048690965ソードアート・オンライン プログレッシブ (3) (電撃文庫)
川原 礫 abec
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-12-10

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アインクラッド第四層、そこには“水路”が広がっていた。なんとか街に到着した二人を出迎えたのは、湖水に浮かぶ白亜の街並みと、大小無数のゴンドラだった。第四層を自由に移動するためには、専用のゴンドラを入手しなければならない。キリトとアスナは、船材をゲットするために、大型火炎獣“マグナテリウム”に挑む!

 剣撃と波音の舟唄

 アインクラッドでのキリトやアスナたちの冒険を第1層から描き直すプログレッシブ編

 ついにアスナの入浴シーンへのログインに成功したキリトさん。これで夜のソードスキルも捗るな!
 第四層に突入したキリトとアスナが、水路のマップを舟で横断し、システムに隠されたクエストやキャンペーンシナリオの謎を解き明かしてゲーム攻略を進めつつ、お互いの距離を縮めていく関係が楽しかった。
 ラノベのシリーズ3巻でお約束の水着回だぁああああああ!!! アスナさんちょろかわ!

 LA取りまくりのキリトさんは廃人装備の鉄の塊や!と思っていたら、アスナも十分にガチ装備だった。
 仮想世界に慣れて、現実世界の感覚が薄れていることに危機感を抱くアスナですが、いちいちギャップを感じていたら、なおさらストレスを溜めるだけなので、状況への順応するのは正常な心理の働きじゃないかな。
 アスナはそれよりも無防備を晒してピュアなキリトさんを誘惑するのはやめ……いや、いいぞもっとやれ!

 キャンペーンシナリオに繋がる裏クエストを発見し、今まで以上に二人っきりのシーンが多くて、いろいろな思い出を積み重ねていく二人が甘ったるくてたまらない。なんで君ら付き合ってないの! もどかしいよ!
 キバオウ達、攻略組はもう放っておいていいんじゃない? ここまでの経験から何も学んでない。階層攻略やキリトの足を引っ張ってるだけでは……。死んでも自業自得だし、後の人たちの反面教師になってくれるよ。

 こんな丁寧に書いてていいのかな。もっと攻略速度を上げてもいいんじゃないかなって、1巻あたり2〜3層くらいでいいかと、このペースだと本編の75層まで追いつくのに本編より多くかかる計算になるんでは。
 ベータ版との乖離が生まれ始め、キリトのビーターとしての知識が活かせなくてってきました。やはり最後に頼りになるのはゲーマーとしての経験と感といったところでしょうか。次の階層の冒険にも期待が膨らむ。

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2014年12月19日

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 1 スクワッド・ジャム/時雨沢恵一

4048690949ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (1) ―スクワッド・ジャム― (電撃文庫)
時雨沢 恵一 川原 礫
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-12-10

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女子大生・小比類巻香蓮。長身コンプレックスが災いし“現実世界”では人付き合いが苦手な彼女を変えたのはVRMMO“GGO”だった―。身長150cmにも満たない理想の“チビ”アバターを手にした香蓮は、全身ピンクの戦闘服を身に纏い、プレイヤー“レン”となってGGO世界を駆け回る!

 ピンクのウサギ、戦場を駆ける

 仮想世界でチビのアバターを手に入れた女子大生が戦場を駆け巡るガンアクション。SAOスピンオフ。

 ゲーマーたちが純粋にゲームに熱中している王道もド王道。こういうのでいいんだよ、こういうので。
 長身コンプレックスの女子大生・香蓮が、GGOで手にれたチビのアバターを駆使し、仮想世界で行われるチームサバイバルに挑戦し、ライバルチームと技術と知略を尽くし駆け引きを繰り広げる銃撃戦に燃えました。
 SAO本編のGGOで期待していた本当のFPSゲーマーたちの硝煙と銃火の世界がここにありました。

 人並外れた長身ゆえに普通の女の子らしい可愛いさに憧れていた香蓮が、GGOの世界でチビのアバターを手に入れ、背の低さを活かした独自の戦闘スタイルで他のプレイヤーの度肝を抜いていく様が愉快です。
 なりゆきで小隊編成でのバトル大会"スクワッド・ジャム"に参加を決意し、急遽パートナーを組むことになったエムも、大男の見かけに反して慎重派の戦術家で、ゴリ押しではないテクニカルなプレイが見物でした。

 銃火器を向け合ってのド派手な銃撃戦や、人間離れしたスタントアクションは本編ほどではないものの、その分、いつ背後や死角から撃たれるか、いかに対戦相手から身を潜めるか、常に濃密な緊張感に溢れている。
 お互いに矜持や誇りをかけて真剣に相手と立ち向かい。瞬時の判断で優勢と劣勢が入れ替わるギリギリの戦いで勝利と敗北が決定づけられる、FPSならではの完全実力主義な戦闘世界観に爽快感と達成感がありました。

 様々な銃器の描写や解説が濃く、それでいて興味のない人でもわかりやすく、何ができるか、何かできないか、どう戦うのか、どう攻略すればいいのか、ゲーム要素を絡めてストーリーも展開していくから面白い。
 本編の設定を踏まえつつ、独自の捉え方でGGOを再構築していて、新しい魅力がいくつも発見できました。
 ピトさんやエムさんの現実の姿や香蓮と今後どう交流していくのか、人間関係のドラマにも期待が高まる。

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2014年12月16日

ドウルマスターズ 2/佐島勤

ドウルマスターズ (2) (電撃文庫)
ドウルマスターズ (2) (電撃文庫)佐島 勤 tarou2

KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-12-10
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人型機動兵器『ドウル』最強部隊『ソフィア』への入隊を目的とした訓練校に、早乙女蒼生が入学して丸三ヶ月が経った。蒼生の姉・朱理、『ソフィア』のエクサーという素性を隠す玲音、反体制組織『ゲノムス』加入を偽装する龍一の四人は、日々、ドウルマスターとしての訓練に励んでいた。

 戦士たちの青春

 人型機動兵器ドウルのパイロットとして少年少女が戦いを繰り広げるサイエンスロボットアクション

 蒼生×玲音よりも、玲音×朱里の百合妄想が迸って主人公がモブに見えます。主人公もっと成長しよう
 磐都アイランドにやってきて三ヶ月が過ぎ、宇宙空間での生活に慣れてきた主人公・蒼生と姉・朱里たちエクサー候補生第四班が多忙な訓練の日々の合間、遊びに恋に青春を謳歌する姿が微笑ましかったです。
 しかし、なんだろうストーリーの終着点が急に見えなくなったのだけれど、私だけですかね。

 玲音やレアという同年代の女友達を得てファッションや買い物、女子力磨きに目覚めた朱里が可愛らしく、成長目覚ましいながらも班員の中ではビリの成績に苦心する蒼生が実直に努力を重ねるひたむきさが清々しい。
 反政府組織の一員とも知らず龍一ともすっかり仲良しグループを形成してしまっていて、主義思想はともあれ龍一のアニキな性格は嫌いにはなれないだけに、敵対して欲しくないなぁという気持ちでいっぱいでした。

 素直過ぎる蒼生は玲音への好意を周囲に見抜かれていて、からかわれたり空気を読まれたりする光景が可笑しいのですが、でも、玲音本人には気づかれていないのだろうか。案外、鈍そうなので気づかれてなさそ……。
 そういえば『ゲノムス』のドウル部隊は小隊連携をきちっとしてるのに、蒼生や玲音たちエクサーは一対多の戦闘が当たり前なんですかね。正体を明かしてないからとも思えるが、バラバラに戦っててこの先いいのか?

 決してつまらないわけではないのですが、何故だか読み終わるまでにやけに時間がかかりました。SF小説に慣れていないと小難しい単語の意味や話の流れ、場面の描写を理解するだけでも四苦八苦なんですよね。
 ただ今回はストーリーが日常パートに偏っていてほのぼのとしたのですが、戦闘パートは小競り合い程度で盛り上がりに欠けて、世界観や設定のポテンシャルはあるのに活かせてないなとちょっと勿体無く思いました。


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2014年11月17日

十三矛盾の魔技使い/十階堂一系

4048690469十三矛盾の魔技使い (電撃文庫)
十階堂 一系 雛咲
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-11-08

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「魔技」―それは世界を変える技術。その最先端を走る学園の首席称号「ソルヴァナイト」こそは、魔技の世界のトップ層であることを、最上の魔技使いであることを、何より雄弁に証明する。しかし、本年の学年最優秀生徒たる順位を得た生徒は―十三人もいた!?さあ、たった一人だけが勝ちぬけられる泥試合が始まる

 一番よりも大切なもの

 13人の魔法の天才児たちが最強の称号「ソルヴァナイト」を賭けて戦うバトルロイヤルマギアクション

 登場人物が誰から、いつ死ぬか。そればかりを期待していた私は、どうやらラノベに毒されていたらしい。
 魔技使いを育成するソルヴァ三道魔技学園の最優秀生徒『ソルヴァナイト』を決めるため、実践形式でのバトルロイヤルに挑んだ13人の天才児たちが繰り広げる友情と裏切りと駆け引きとガチンコ戦闘が手に汗握る。
 登場人物みんなイイ奴すぎて好き。いや、若干、腹黒い人もいるけれど、みんな個性的で愉快でした。

 ショタっ子にクール男にツンデレ美少女に、さらにナンパ師、ヤンデレ、人見知り、お嬢様、不良、悪役、根暗などなど、成績順位同着トップの天才児13人のキャラクターが際立っていてイキイキしていました。
 強い情熱を持って『ソルヴァナイト』の称号を目指す者もいれば、それ以外の愛や友情など、それぞれの目標を胸に抱いて戦いに参戦する者もいて、裏切りと共闘を繰り返す先の読めないカオスな展開が飽きさせない。

 魔法を使ったサバゲーといえば簡単そうに思えるが、魔法の選択と使い方次第では一発逆転がありえたり、相性によって優劣がわかれたり、作戦の立案も含めて参加者の考え方の違いが徐々に見えてくるのも興味深い。
 ルールをひっくり返したかと思えば、さらにゲームそのものをひっくり返す。参加者達の発想の柔軟さ、機転を活かしたトリックプレーの数々に驚かされる。力や魔法の才ではなく知性でぶつかり合うから面白いんだ。

 バトルロイヤルを通じて移り変わっていく人間関係も見所があったし、戦いで得たもの、失うもの、あるいは変わらないもの、どれもかけがえのないもので、バトルの一つ一つに素晴らしいドラマと感動があった。
 そして戦いを終えた後も、誰一人として嫌いになるようなキャラがいなかった。皆強いところも弱いところもある人間味溢れるキャラだから嫌いになんかなれない。そこがこの作品の最も傑作なところだと思いました。
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2014年11月16日

王手桂香取り! 3/青葉優一

4048690493王手桂香取り! (3) (電撃文庫)
青葉 優一 ヤス
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-11-08

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いざ、ペアマッチ将棋大会へ! 想いを寄せる桂香先輩と優勝を目指し練習将棋を重ねる歩。そして迎えた大会当日。思わぬライバルの出現に歩はプロへの道を意識するようになる。プロになるには師匠が必要で、桂香から自分の父、大橋名人を提案される。歩にとっては憧れの名人に弟子入りするため試験対局をすることに!?

 歩は前進の天才

 片思いの先輩のために強くなることを目指した少年の恋と将棋にかける青春ストーリー。第一部完

 女王様宇宙一かわいいよ! いつも鬼教官な女王のデレが最後に全部持っていった。ご褒美すぎる!
 憧れの桂香先輩と出場した男女ペアマッチ将棋大会で、真の天才と対戦した主人公・歩が、さらなる進歩を果たすべく、弟子入りをかけて大橋名人との対局に挑む姿に胸が熱くなり、思わず声援を送りたくなりました。
 最初はただの平凡な将棋好き少年が、いつの間にか成長して、ついにここまできたかぁと思うと感慨深い。

 桂香先輩とのペアマッチ戦を控え、二人で一緒に練習する時間が多くなり、やや浮かれ気味の歩ですが、将棋の修行は真剣で、駒娘たちも厳しく指導をしつつも褒め言葉も出るようになり、歩の成長ぶりが微笑ましい。
 しかし、出場したペアマッチ大会で、まさかの年下の小学生に苦戦を強いられ、お互いに実力の白熱した者同士の一進一退の対局シーンは読んでいるこちらまで息が詰まった。実力のわからない相手が一番恐ろしいね。

 同年代ではトップクラスの棋力を身につけても相変わらず謙虚なところが好感ポイントですが、勝負師としては覇気と自信に欠けていた歩が、小さなライバルの登場で本格的にプロを目指し始める意識転換が頼もしい。
 桂香先輩のためでもなく、誰のためでもなく、自分のために強くなるために将棋に向かうことが、プロとしての第一歩なんじゃないかなぁ。駒娘のお守りを捨て、一人の棋士として大橋名人に挑む歩は男らしかった。

 父親である大橋名人より、やたらと歩に肩入れして「勝て勝て」とけしかける桂香先輩にニヤニヤ。
 歩に告白されて照れまくりの女王様が可愛らしいったらありゃしない。前巻、今巻も女王様のキャラが強くて他の娘の影が薄かったので、これからに期待だと思っていたのに、第一部完だと!他の駒娘も出ていないのに
 ヒロインが多い割にラブ寄せが少なすぎたか? いや、ただ将棋やってるこの地味さがいいんだよ!
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2014年11月11日

サディスティックムーン/出口きぬごし

4048690442サディスティックムーン (電撃文庫)
出口 きぬごし そりむら ようじ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-11-08

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幸徳秋良は稀に見る美少女である。腰まで伸びた漆黒の髪はしっとりとした光沢を放ち、切れ長の瞳と端正な顔立ちは、男女を問わず人の心を惹きつける魅力がある。けがれのない白い肌は、ほのかに光ってみえるほど美しい。まるで月のように、艶めかしく。そう、彼女は美しい―薄気味悪く、かつイタイという点に目をつぶれば

 復讐は幸福の味

 卑猥で残忍で非情でとんでもなくイタい美少女に目をつけられた少年の学園復讐劇

 これは酷い……。一生分の『処女膜』という単語を読んだ気がして、処女膜がゲシュタルト崩壊する。
 自分自身を陰陽師と主張する美少女・幸徳秋良に理想の式神として見込まれた主人公・久遠久が、卑猥で残忍な彼女に脅されるまま、身勝手で無差別な復讐テロ活動に付き合わされ振り回される姿が苦笑を誘う。
 ことあるごとに男の股間を握ってくるメンヘラなマジキチ美少女に翻弄されたい真性のドM御用達です。

 ライバルだった双子の兄の死以来、無気力で性欲すら失ってしまった久遠久と、過去のイジメ被害からサディスティックな復讐欲求に傾倒し、卑猥さと残酷さに性格破綻した幸徳秋良の奇妙な関係性に魅せられる。
 見た目は清楚で大人しげな美少女なのに、エロ本を見せつけて股間を弄るわ、レイプ冤罪をでっち上げて脅迫するわ、それでいて独占欲が激しく束縛してくる、とんでもなく厄介で危険なヤンデレぶりにゾクゾクする。

 幸徳秋良の復讐に正義などありはなく、自分とは無関係な被害者と加害者の間に介入し、ひたすら自分勝手な報復と制裁を繰り返す姿は、『腹いせ』や『憂さ晴らし』以外の何物でもなく、学校内のDQN生徒達が災害のように唐突で理不尽な不条理に見舞われ痛い目に遭う様は、滑稽さと哀れさと、そして『シャーデンフロイデ(他人の不幸は蜜の味)』とでもいうべきドス黒いエクスタシーが否が応にも心を揺さぶりました。

 幸徳秋良の久遠久に向ける鬱屈した恋心は可愛らしいといえば可愛らしいのですが、想いと行動が掛け違えていて非常にもどかしい。DQNを懲らしめるだけで十分なのに、自主規制はやり過ぎててドン引きでしたわ。
 というか、こういう作品企画はガガガ文庫に持ち込もうよ! 電撃のピュア(?)な読者層にこんな問題作を読ませたらアカンやろ……。ガガガ文庫なら大ヒット待ったなしだが……他人に薦め難いんですよ!
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2014年10月17日

エロマンガ先生 3 妹と妖精の島/伏見つかさ

4048669370エロマンガ先生 (3) 妹と妖精の島 (電撃文庫)
伏見つかさ かんざきひろ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-10-10

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無事に『妹小説』を書き上げた和泉マサムネは、売れっ子作家・山田エルフの誘いで彼女の所有する南の島にやってきていた。引きこもりの妹・紗霧の件もあり、合宿に乗り気ではなかったマサムネだが、他ならぬ紗霧からの“後押し”や、ムラマサ先輩の参加もあって、この合宿を有意義なものにしようと意気込むが

 作家の数だけ叶えたい夢がある

 山田エルフ先生マジエロフ! そしてムラマサ先輩までちょろすぎんよ。ハーレム構築ぱやい。
 山田エルフの発案で執筆合宿という名の小旅行で南の島へバカンスにやってきた主人公・マサムネとラノベ作家ヒロインたちのラブコメっぷりが愉快で、それぞれ夢を語る作家たちの姿に胸がいっぱいになりました。
 エロマンガ先生いないからお兄ちゃん浮気しまくりなんですがこれは……、ハーレムエンドはあります!

 ラノベ作家は男も女も女子力たかいのか。やっぱりマメな性格じゃないと執筆作業なんてできませんものね。獅童国光先生、前回名前だけ見て「こいつ次回悪役のゲス作家だろうな」とか思っててマジすんませんした。
 夢というプラスのモチベーションがなければ書き続けられないし、人間のできてない作家の書いた作品が読者に支持されるわけがない。だからラノベ作家に悪い人はいない。ラノベ作家は全員イケメン。いいね?

 それは山田エルフも同様で、高慢さや怠け癖という欠点を補って余りあるハイスペックとあの意識の高さは、掲げる目標の高さからくるのだろうなぁ。とてもカッコ良いのですが、いつの間に落ちてたんですか!kwsk
 山田エルフよりも闇のラノベ作家としてのスキルを積み上げていくムラマサ先輩……ちょっと引きましたが、そういう病んでるキャラもいいな!と思い直し、ああ、大和撫子キャラがどんどんキャラ崩壊していく。

 特に事件らしい事件も起こらず、主人公が水着美少女とイチャイチャするだけの激甘なストーリーを延々と流されたのですが、ラブコメの水着回はこれでいいんですよ。シリアスは物語の福神漬でメインにはならない。
 『エロマンガ先生』というタイトルなのにエロマンガ先生でてこねぇじゃんか!と思いきや、最後の最後でご褒美がありました。そうですよメインディッシュは最後にとっておくんです。ヒャッハー!へそチラだぜー!

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2014年10月16日

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 6/宇野朴人

4048690116ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (6) (電撃文庫)
宇野朴人 竜徹
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-10-10

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軍事クーデターが起こり、カトヴァーナ帝国内でイグセム派とレミオン派が激突する。イグセム家のヤトリは父のもとに戻るべく、騎士団を離脱。またレミオン家のトルウェイは、父と対峙することを決意。そしてイクタは、父バダ・サンクレイの残した独立部隊「旭日連隊」を率いて、内戦を収めようと立ち上がる。

 未来を決める天下三分の計

 のちに名将と呼ばれる怠け者な少年の激動の半生を描く壮大な架空戦記ファンタジー。

 玉音放送……、やはり精霊はオーバーテクノロジーで作られたロボットなんじゃないかなと思います。
 クーデターを実行した改革派のレミオン派、保守派のイグゼム派に割れた帝国の内乱を治めるべく、第三勢力として立ち上がったイクタ率いる「旭日連隊」が両者相手に繰り広げる駆け引きに思わず唸りました。
 本来であれば同じ帝国軍の味方を敵として戦わなくてはいけない将兵たちの思いや葛藤が切なかった。

 相変わらずのヤトリ無双。イクタと別れたら力押ししかできないのではと思ったが、そんなことはなかった。あっという間に砦を落として父親の軍と合流して体勢を盤石にするその手腕は出世も当然ですね。
 一介の尉官の身でレミオンとイグゼムの両将を相手に一歩も引かず、言葉巧みに正面対決を避けさせたイクタの交渉術も流石というべきですが、なにより父親に叱責されるトルウェイを庇う言葉が胸を打ちましたね。

 交渉カードを得るため、三勢力が総力を上げての皇帝捜索レースの狂騒ぶりが盛り上がる。別勢力の部隊と衝突することもあるんですが、パワーバランスを保つために協力することもあって、その読み合いが興味深い。
 レミオンパパはあんな堅物なのに、トルウェイの兄貴たちはどうしてあんなに不良軍人なのかと思っていたのですが、思わぬところで兄弟愛が垣間見えて、兄貴ツンデレかよぉ!とシリアス場面でニヤニヤが止まらんw

 マシューに続いてトルウェイのメンタル面の成長ぶりも見れて満足です。才能だけなら現在のレミオン家では一番なんだろうな。ヤトリも早くイクタの元に戻ってきて欲しいものです。このままだとラスボスじゃね。
 レミオン派とイグゼム派がお互いに痛み分けで、イクタ達がリードというところか。トリスナイは出番そのものが少ないので、あんまり悪役感ないんですよね。次回どのようなキャラを見せてくれるか楽しみです。

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2014年09月16日

佳麗なるソードマスターと最強なる不肖の弟子/蝉川タカマル

4048668595佳麗なるソードマスターと最強なる不肖の弟子 (電撃文庫)
蝉川タカマル 日鳥
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-09-10

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地図にもない島からきた少年。暴漢に襲われている少女を助けようとするが逆に助けられてしまう。彼女こそ剣神と謳われた武人の娘ハルカだった。ハルカは大陸でも有数の大流派、武王流の宗主争いに巻き込まれていた。当然助力を申し出るシロガネだったが、その結果はハルカにまず弟子入りすることになり!?

 零から始める最強への道

 剣神と謳われた武人の娘と、その弟子になった少年が繰り広げる武侠ファンタジー。

 ここまで血沸き肉踊るアクションものは久しぶりでした。古き良き武侠ものの王道ですね。
 海の彼方の小島から大陸にやってきた主人公シロガネが、剣神と謳われた武人の娘ハルカと出会い、武王流の次期宗主争いに巻き込まれていき、現れる刺客との力と技のぶつかり合う武侠バトルが熱かった。
 主人公もヒロインも、どちらも脳筋キャラなのでツッコミ不在で暴走しまくりで読んでて楽しい。

 大陸に住む武人たちは皆『心』という気功術で肉体を強化してるのですが、そうとは知らない田舎者のシロガネが雑魚キャラに威勢よく啖呵を切って争いに介入したかと思えば綺麗に返り討ちにあう姿が可笑しい。
 武人の娘ハルカの弟子となったものの、幼い頃より天才だったハルカは凡人に教えることが不器用で、けれど単純なシロガネは言う通りに従ってという、ズレているのか合っているのかわからない師弟関係が愉快。

 武王流の次期宗主の座を巡り、ハルカの父カナタが命を狙われ、戦う力を失った彼の代わりにハルカとシロガネが刺客に立ち向かうのですが、相手も相当な凄腕で苦戦を強いられる展開は手に汗握りました。
 刺客を倒すために修行を積み直し、リベンジを果たすハルカとシロガネの泥臭いまでの戦いぶりと瀬戸際の勝利は本当のアクションの魅力とはこういうものだと、思い出させてくれました。最近ないよこういうの。

 ただ作者はファンタジーを目指して書き始めたらしいですが、結果的に武侠ものにジャンルの方向性が偏っていると思います。まあ、いいんですけど、ありがちなファンタジーよりこっちの方が面白いし個性的だし。
 前作でも感じましたが今作は特に文章の文字運びが秀逸ですね。文章に詰まるところなくスムーズで違和感なくハイスピードなアクションに集中できて1時間で読み終わってしまいました。改めて才能を感じますわー。
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2014年09月10日

僕と彼女のゲーム戦争 7/師走トオル

4048668668僕と彼女のゲーム戦争 (7) (電撃文庫)
師走トオル 八宝備仁
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-09-10

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ゲーマーたちが最も熱くなる季節、夏。岸嶺たち現代遊戯部のメンバーは、ゲーム大会への参加を繰り返していた。そんな中、みずからの実力不足を感じていた岸嶺は、デバックのアルバイトを通じて知り合ったプロゲーマーのもとへ教えを乞いに行くことを決意する。

 勝利の道を見通す瞳

 名門女子校のゲーム部に入部した少年がチームメイトと共に世界大会を目指すゲームライフラブコメ

 まさにゲーム大会の中継を見ているかのようなライブ感が楽しい。やって楽しい、見て楽しい、ゲーム最高!
 度重なる敗北に己の力不足を痛感した岸嶺がプロゲーマーの教えを請い、現代遊戯部の実績を残すため大規模FPSのゲーム大会へと挑戦し、またひと回り成長して、因縁の相手にリベンジを果たしていく姿が熱かった。
 お互いにチームを率いての読み合いと駆け引きがリアルタイムで交錯する躍動感溢れる展開がたまらない。

 新作ゲームのデバッガーのアルバイトを引き受け、初めての労働に勤しむ岸嶺が初々しくていいです。デバック経験者からするとテスト項目表作ってないのか!と思いますが、ゲーム業界ならないのかしらん?
 岸嶺のアルバイトが現代遊戯部の活動に思わぬ危機を招いてしまって、天童の焦りを煽ることになり、勝って実績を残すためにゲームを楽しむという本質が忘れられてしまうのは虚しく思えて悲しかった。

 汚名返上のために再びプロゲーマーに教えを乞う岸嶺ですが、この熟練者に教えを乞う行為は初心者が強くなるために一番手っ取り早い方法ではあるのですが、学ぶ側にもアドバイスを受け入れる姿勢がなってないと、いくら教える側がうまくて、まともな助言をしても意味が無いんですよね。岸嶺のゲームのうまさって、あの集中力もあるけれど、素直だから他人の意見を謙虚に受け入れて学習効率が良いというのもあるんじゃないかと。

 対人戦でのコツは、経験や技術よりも読み合いと駆け引きというのも納得がいく。そして熟練者が一番怖れるのは素人の予測不可能な悪手だと、まったくその通り。相手の思考を読み切った岸嶺の策略は見事でした。
 岸嶺のプレイこそ超能力じみて見えるのだけれど、誰でも努力と判断でやってやれないことはない範疇でのスーパープレイをやっているから、読み終えた後で自分もゲームをプレイしたくなる気持ちにさせてくれます。

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2014年08月16日

青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない/鴨志田一

4048668080青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない (電撃文庫)
鴨志田一 溝口ケージ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-08-09

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麻衣先輩と、念願の彼氏彼女になり浮かれる咲太。――のはずが、翌朝起きたら付き合う前に戻っていた!? これは僕がブタ野郎だからなのか? 青春のバカ野郎! 原因は"思春期症候群"だと考えた咲太は、事象を起こしている人物を探すことに。

 青春とは、空回りするもの

 困っている美少女を放っておけない、青春ブタ野郎が女の子ために奔走する青春学園ラブストーリー。

 この女たらしのブタ野郎が!(褒め言葉) いちいちイケメンすぎるぞ! これは惚れてまうやろー!
 時間のループを起こす奇妙な現象に遭遇してしまった主人公・咲太が、その張本人である後輩・朋絵の抱える人間関係の悩みを解決するために偽の恋人となり、次第に恋心が芽生えていく彼女の姿にきゅんときました。
 孤独になったり、他人の目を恐れない、咲太の真っ直ぐな生き方が男らしくてカッコ良かったです。

 『友達の機嫌を損ねてハブられたくない』という女子の社会にありがちでくだらない、しかし、本人にとっては切実な悩みを抱える朋絵が、ワガママを押し付けてきて、最初は正直鬱陶しいなと思っていたんですけれども、咲太とデートするのにおめかししてきたり、ドキドキしたり可愛らしい一面も見え隠れして、普段は周りに合わせているだけで本当は素直で一途な女の子なんだろうなぁとわかってくると微笑ましく見ていられました。

 偽の恋人関係といっても、咲太に告白攻勢を受けている麻衣先輩にしてみれば、噴飯ものの事態なのですが、仕事で忙しそうにしながらもエサを与えに咲太の元にちょくちょく現れる姿がツンデレいじらしいですね。
 咲太と朋絵の関係が全生徒の知るところとなり、様々な陰口やデマが飛び交うようになってしまうのですが、黙って泣き寝入りせず、正面から堂々とやり返す咲太の威勢のいい態度が痛快で胸がスカッとしました。

 自分を守るために、あそこまで男気を見せられたら、好きにならずにはいられないよなぁ。咲太が格好つけすぎたせいで、最初から実るはずのない恋をして、失恋してしまう朋絵が可哀想でした。この女泣かせめ!
 時間のループは、ああ、やっぱりブレイン・バーストしてたかー。度重なる障害を乗り越えて、ようやく麻衣先輩とカップルになれた咲太は、幸せに爆発しろ! 先輩、後輩ときて、次回は同輩かね。語呂悪いな!

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2014年07月13日

電子魔法使いのトロニカ。/ハセガワケイスケ

4048667742電子魔法使いのトロニカ。 (電撃文庫)
ハセガワケイスケ 堀泉インコ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-07-10

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魔法学校に通う少女のニカ。彼女は落ちこぼれとして知られていたが、それには理由があった。現代の魔法の花形である電子魔法系にめっぽう弱く、触れるだけでデバイスを壊してしまう。そんなニカが、エリート男子生徒の爽やか金髪少年ユリアンと、無口クールな黒髪少年リドと魔法騎士の模擬実戦でチームを組むことになる。

 オタク趣味の魔法騎士

 エリート美男子二人組と魔道具オタク少女のマジカルスクールライフストーリー

 ほのぼの可愛くて、これは癒される。あ^〜心がぴょんぴょんするんじゃ^〜
 魔法学校に通い、電子魔法を操るエリート魔法騎士候補生、通称"赫服"であるにも関わらず、魔法の使えない少女トロニカが、イケメン男子二人を振り回しながら騒動を解決に導いていく姿がゆるふわで楽しかった。
 ぼっちで変わり者の女の子が、イケメンハーレムを作っていくという感じか、理解した。

 周囲の生徒から"落ちこぼれ"、英雄である兄の七光りと馬鹿にされながらも、まったく意に介さないどころか、のほほんとしてマイペースで、大好きな古魔道具趣味に暴走する天然少女なトロニカが愛らしかった。
 女子に絶大な人気を誇るクールな魔剣士リドと爽やか少年ユリアンのイケメン男子とチームメイトになり、選りすぐりのエリートであるはずの彼らも、いつの間にかトロニカのテンポに巻き込まれていく姿が可笑しい。

 なにかと学園から特別扱いされているトロニカに反感を覚えつつも、家名や大人たちの対応を見て、遠巻きにしているだけの他の生徒に比べ、トロニカに興味を持って次第に意識していくリドとユリアンが微笑ましい。
 電子端末を介した電子魔法が全盛期の現代で、電子魔法と相性が悪いトロニカは魔法騎士としては致命的なんだけれど、特別扱いされているには理由があって、本気モードのトロニカは颯爽として素敵でした。

 雰囲気は好みではあるんですが、イベント少ないなと思う。一巻だから人物紹介と心理描写にページを割きすぎてしまったから仕方なくはあるが、もうちょっと彼らの学校生活でのシーン描写が欲しかったかったかな。
 犯人探しもダイジェスト感が否めないし、犯人もあっさりと自白からの豹変で盛り上がりがイマイチ。
 世界観を広げていけばもっと魅力的な作品になると思うのですが、今回だけでは伝えきれてないなぁ。

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2014年07月10日

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 3/物草純平

4048666401ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 (3) (電撃文庫)
物草純平 藤ちょこ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-07-10

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巨大生物〈蟲〉によって変貌した近代。その右目に〈蟲〉の力を宿し秋津慧太郎は、蟲愛づる魔女アンリ・ファーブルたちとともに訪れたパリの地で、自らの秘密を探り始める。しかしその道行で彼らが出会うのは、逃げ切れぬ過去。クロエの、マルティナの前に訪れるそれは、花の都に絶望的な崩壊を呼ぶ歌へと至り

 雷鳴の鳴り響く都

 蟲と呼ばれる謎の巨大生物により変貌したもう一つの近代の世界で蒸気と蟲と恋が彩るスチームパンク

 女の子同士でも問題ないと思うよ! むしろおっぱいさんは、いくとこまでいっちゃえよ!(強制)
 花の都パリにやってきた慧太郎とアンリ、クロエがそれぞれ小旅行を楽しんでいるところに、テロ組織<ブリュム・ドゥ・シャール>の幹部総出でのテロ計画に巻き込まれ、事態に翻弄されていく姿が痛ましかった。
 役者が続々と舞台に上がってきて、物語が終焉に向かって加速し始めたこの盛り上がり感イイネ!

 慧太郎の目に埋まった<蟲天の瞳>の謎解きにお手上げのアンリがパリで訪ねたお方は、いい感じにイッちゃってますね。けどあの時代の天才、偉人たちって、みんなあんなヒャッハー!なイメージだよね。音楽家とか。
 女凶手・雪蘭と慧太郎のバトルは、読み応えあったな。これまで<裸蟲>との戦闘シーンって、身体能力頼りの力押しばかりだったけれど、今回はお互いに戦闘技術を持った者同士のいいスタントアクションでした。

 そして慧太郎にフラグ立ちまくりのクロエのときめきが可愛らしい。突然、現れた理想の許嫁の存在に心を揺らされて、しかし、理屈や常識では馬鹿げているとわかっていながらも慧太郎に想いを募らせていて、いまだに女の子だと誤解したままなのだれど、いっそ同性でも構わない!とまでの結論に達してしまう思い切りの良さがいいよ、最高だよ。こういう応援したくなるサブヒロイン好き。アンリを交えての三角関係が実に美味しい。

 脇役といえば、相変わらずヴィドックは渋い味だしてるし、ボーメスニルの脳筋具合も楽しくて面白いですね、というか、キャラクターが我がなんちゃら家に伝わりし芸術的錬金術使いのあの人まんまじゃないですか。
 みずからの上位互換であるラスボスと対峙した慧太郎ですが、まあこれは負けてもしゃーないよね。
 今回は物の見事にやられてしまった慧太郎とアンリ、クロエのリベンジに期待しましょう。
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2014年06月16日

天使の3P!×3/蒼山サグ

4048666460天使の3P!×3 (電撃文庫)
蒼山サグ てぃんくる
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-06-10

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小学生三人娘と迎える初めての夏休み。響たちの許に届いたのは南の島での島おこしイベントの出演依頼だった。だが実はそれは、響が以前よりチャットでやりとりを続けていた『霧夢』が発案したオファーであり……。演奏はもちろん頑張るつもりだが、まずは何より海遊びに興味津々な三人を連れて入り江にやってきたものの

 自由の翼に夢を描き

 動画サイトでボカロPとして活動する男子高校生とバンド少女たちのロックンロール・ラブコメディ

 小学生女子は百薬の長! 何をいってるのかわからないが、鬱病には効きそうですね、癒やし(*´ω`*)
 主人公・響のネット上でのパートナー・霧夢の招待で、離島の島おこしイベントに呼ばれた小学生バンドトリオが、夏の島で大騒動を繰り広げ、一人の幼女を古き風習から解き放つ光景に感動しました。
 天使の3Pかと思ったら、6人に増えたじゃないか、一体どうなって……あれ、誰かヒロイン忘れてるような?

 よからぬ企みを含んだ霧夢の誘いに乗って離島・双龍島に来てしまった響と小学生トリオに待ち構えていたのは、都会では味わえない大自然バカンスで、海では水着姿の小学生女子が泳いでて、ここが天国だったか。
 僕もいつか生まれ変わったらこの島で小学生女子の服を主食にする無邪気な動物になりたい。
 それにしても桜花さん、女子力の低さを小学生女子に指摘されるって、どこまで残念美人なん……。

 ひょんなことで霧夢の意外な正体と、島に隠された真実を知ってしまい、突然の絶交を突きつけられてしまう響でしたが、狼狽する彼を焚きつける希美の啖呵がキレキレで痛快でした。姉御と呼ばせて下さい。
 大人びているようで年相応なわがままぶりをみせる霧夢のキャラがギャップ萌えで、意固地に引きこもってしまった彼女を頭ごなしの説得や説教ではなく、ライブの音楽で引っ張りだす姿が彼ららしくてよかったです。

 ときに小学生女子は、神社に納めて手を合わせて崇めるものですよね。ああ、何もおかしなところはない。
 むしろ全国の寺社仏閣は、インドからきたパンチパーマのおっさんを拝むより幼女を崇拝すればいいだろ!
 幼女にお小遣いをあげると思えば、いくらでもお賽銭を弾むお兄ちゃんが世の中にいっぱいるよ! むしろそんな神社が実在すればド田舎でも、離島でも観光客がいくらでも集まるだろ! 大人はわかってないよ!

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2014年06月14日

男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (3) ―Time to Pray―/時雨沢恵一

4048666479男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。 (3) ―Time to Pray― (電撃文庫)
時雨沢恵一 黒星紅白
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-06-10

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女子高校生で新人声優をしていますが、年上のクラスメイトで売れっ子ライトノベル作家の男子の首を締めています。それが、今の私です。男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。それが今の僕だ。

 自分らしさを抱きしめて

 高校生ライトノベル作家と女子高生声優の交流を描いた奇妙な物語

 また首絞めスタートか。タイトル回収するために毎回してると、バカップルの変態プレイに思えてくる。
 男子高校生でライトノベル作家をしている主人公・"僕"と、女子高生で新人声優をしているヒロイン・似鳥が、首絞め殺人未遂事件を乗り越え、徐々に関係を深めていく姿が微笑ましくて甘酸っぱかったです。
 綺麗に終わった物語の後日談というか、二人のキャラをさらに掘り下げて新しい方向性に変えたみたいな。

 今回になって、似鳥視点の心理描写が交じるようになって、"僕"に憧れている本心を隠して、嫌われないように必死に演技している似鳥さんの乙女な姿がいじらしくて萌える。やっぱりこの娘ヤンデレで愛が重いな。
 クラスメイトの佐竹さんに『ヴァイス・ヴァーサ』の話をさせないよう、似鳥と「恋人である」と嘘を言ってしまったせいで、関係がぎゃくしゃくして"僕"は後悔するんですが、似鳥さん大喜びで、なにこの人可愛い。

 学校では話さないと決めているせいで、なかなか和解の機会が得られずにやきもきして、"僕"の部屋に遊びに行った時も母親の乱入で有耶無耶になって、新幹線の会話も"僕"の急病でお休みになって、実にじれったい。
 ホテルの"僕"の部屋にまで押しかけて、ようやく聞き出した彼の話は、薄々は想像してましたがショッキングでしたね。地雷を踏んだ似鳥が落ち込んでるのに、重い話を暴露してスッキリしてる"僕"は大物だなぁ。

 似鳥が自分の見た目を受け入れる前向きなキッカケになってよかったです。演技してない性格は、結構難しそうで繊細なカンジだけど、のほほんとしている"僕"とは似合いかな。カミシロさんのキャラも以外にざっくばらんな姉御肌で小気味よかった。"僕"に憧れるお嬢様の気持ちを快く思わないまでも、なにかと二人の関係をフォローする素振りを見せたりして、味があった。さすがに続きはもうないですよね。次回作はさて何になるのか

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2014年06月12日

王手桂香取り! 2/青葉優一

4048666231王手桂香取り! (2) (電撃文庫)
青葉優一 ヤス
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-06-10

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中学校将棋団体戦の東日本代表の座を勝ち取った歩の前に、最も偉大な駒、王の駒娘が現れる。来るべき決勝大会に向け、歩を鍛えてくれるという。そのスパルタンな指導を受け、さらに棋力をあげていく歩。一方では桂香と息抜きのお出かけをして、少しづつ距離を縮めていく。

 歩のように一歩ずつ

 片思いの先輩のために強くなることを目指した少年の恋と将棋にかける青春ストーリー。

 将棋の知識がないと、さっぱりわけがわからないが、それでも登場人物の気迫が伝わって十分に面白い。
 王の駒娘・女王の指導を受けることになった主人公・歩が、日本一を決める中学校将棋団体戦で、憧れの桂香先輩と共にチーム優勝を目指し、中学生最強の棋士を倒すべく成長していく姿が胸を揺さぶられました。
 駒の一手に全力を込め、優勢と劣勢が瞬時に入れ替わる勝負師たちの鬼気迫る駆け引きが熱かった。

 駒娘たちの頂点に君臨する女王のまさに唯我独尊といった高飛車なキャラながら、ケーキが好きで、歩のご先祖に恋をしていたという実は乙女なギャップが萌えますね。女王には頭が上がらない他の駒娘たちですが、スパルタ指導に青息吐息な歩のためにあれこれと助け舟を出してくれて、香車さんなんか小物感すら漂わせてキャラ崩壊してるけど、これまでよりもフリーダムに活動するようになった駒娘たちが人間臭くて可笑しかった。

 歩たちが日本一になるための最大の壁、中学生最強と言われる西日本代表選手・西本を警戒するのですが、将棋の実力だけでなく性格まで完璧なイイ奴で、ぶっちゃけ歩より将棋に一途でカッコイイじゃないかよおい。
 高橋名人もフランクなおじさんだったし、準決勝で戦った相手チームも爽やかだった。将棋が好きな人たちは本当はこういう人ばかりなんでしょうが、前巻のイメージが強かっただけに、勝負が清々しくて素晴らしい。

 歩の成長ぶりがぱないの。しかし、メンタル面ではまだあと一歩というところでしょうか。
 桂香先輩との恋路は、将棋ほど思うように進歩はしませんが、あの娘はあの娘で歩以上の将棋バカなので、イマドキの女の子を相手にするように小細工を弄するよりは、将棋の腕を磨いたほうがよっぽどアピールになるのではと思ったり。次回ペアマッチ将棋大会か、夏だから水着回……はこの作品に限っては必要ないと思うぜ!
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2014年06月11日

絶対ナル孤独者 1 咀嚼者 The Biter/川原礫

4048665103絶対ナル孤独者 (1) ―咀嚼者 The Biter― (電撃文庫)
川原礫 シメジ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-06-10

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二〇一九年八月。地球上の、いくつかの都市部に、人類が初めて接触する地球外有機生命体が複数落下した。のちに“サードアイ”と呼ばれるその球体は、接触した人間たちに、現代科学では解明できない“力”を与えた。十七歳の少年、空木ミノルもその中の一人だった。

 黒い孤独は砕けない

 異星生命体サードアイによって異能を得た者達が繰り広げる異能バトルサスペンス。

 表紙を飾っているメインヒロイン(?)の出番があまりなく、えらいモブだったんですがこれは……。
 宇宙から飛来した寄生体"サードアイ"の宿主となり異能を発現させた主人公・ミノルが、同じく"サードアイ"に寄生され身近な人々を捕食する怪物"バイター"と遭遇し、お互いの存在証明やアイデンティティを賭けた生存競争に挑む姿が切なく胸を揺さぶりました。寝る前に歯はちゃんと磨こうと思いました。デンタル!

 周囲から目立たず、関わらずで孤独を貫くミノルの拗ねた生き方は正直どうなの?と、いろいろ言いたいこともあるのだけれど、彼が拒否して嫌がろうとも中学時代の同級生・箕輪や義姉・典江の方は放っておかなくて、コミュニケーションを取ろうとしてきて、ミノルを悩ませるから愉快なんですよね。ミノルも、彼は彼で一匹狼を気取るには、ちょっと甘くてお人好しなところもあり、ぼっちを貫けない性根なら改善の可能性アリか。

 "サードアイ"によって何者をも阻む無敵の殻を手に入れたミノルは、何物も噛み砕く牙を手に入れた"バイター"にとって誇りを傷つける許しがたい存在として目をつけられ、戦いを強いられる展開は不毛でもどかしい。
 "サードアイ"に精神を狂わされた"バイター"の過去の境遇も胸糞でしたが、あんまり同情の余地はないかな。一戦目も二戦目も、ほとんど勝負が終わってからやってきて役に立たない"サードアイ"退治の専門家ェ……。

 "サードアイ"の異能が、願望を反映したものだとすれば、ミノルの"殻"は孤独癖が要因でないですよね。
 本心で孤独になりたいのであれば、誰にも認識されない透明人間になるとか、周囲に忘れられる能力になっているはずなので、彼はただ人間関係の摩擦で傷つくのを恐れているだけではと邪推してしまうのだけれど。
 いまのところありがちな学園異能のシナリオの域を出ていないので、お試しだったとして次回に期待かな。

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2014年06月10日

ストレンジムーン 3 夢達が眠る宝石箱/渡瀬草一郎

4048666487ストレンジムーン (3) 夢達が眠る宝石箱 (電撃文庫)
渡瀬草一郎 桑島黎音
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-06-10

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"金の記憶の彫金師"リコルドリクと記録者を巡って、対立するキャラバンと皇帝一派――その狭間で戸惑いつつも、月代玲音と仲間達は事態の収拾を目指し奔走する。騒動の中、"女王"の香恋により囚われた玲音は、皇帝一派の拠点において遂にリコルドリクと遭遇するが、不可視のその神は既にモニカの掌中にあった。

 いつか金色の思い出に

 異世界より来たりて超常の力を持つ異形の神と、その力を宿した異能者達が紡ぐ騒乱劇

 えー! 完結しちゃったよ。もっと続けてくれても良かったのに! 3巻で終わりなんて短いよ!
 皇帝一派に捕らえられた主人公・玲音が、敵陣で知恵と機転を駆使して立ち回り、片思いのクレアや妹の香恋、石を宿した友人たちを不毛な争いから救い出すべく、キャラバンとの狭間で奔走する姿が格好良かった。
 マジ天使な幼馴染とヤンデレ妹の三角関係を嗜むリア充ですが、確かにこいつはモテても仕方がないな…。

 迷宮神群リコルドリクを確保し、巫女としてその力を操るモニカに記録者の石を奪われかけた玲音でしたが、皓月に取引を持ちかけ、出し抜くチャンスを窺うところは、彼にしては冴えていて感心しました。
 戦闘力は無いに等しいものの、戦況をひっくり返すキーマンとしての重要性を理解して立ち回る玲音と、皇帝一派、キャラバン派の優勢劣勢が場面ごとに入れ替わり、思惑が絡み合う群像劇となっていくから面白い。

 脱出に成功し、夢路の元へ身を寄せた玲音が仲間と力を合わせて、油断している皇帝一派の裏をかいて不意打ちを仕掛ける急展開は燃えますね。いやそれよりクレアと香恋の修羅場の方が燃えるか。美味しいですね。
 三つ巴の乱戦の中、暴走した皇帝の異能を抑えこむために、命の危険を冒して死地に飛び込む玲音。事態に翻弄されるばかりで戸惑っていた少年が、いつの間にか男気のあるイケメンに成長していたのがよかったです。

 平穏な日常生活を暮らしてるだけではわからないだけで、元から玲音に備わっていた素質なのかもしれませんが、そんな彼の良さをちゃんと見抜いて惚れているクレアと香恋は男を見る目があるなと思いました。
 皓月は惜しかったですね。でもウィスカさんいるから絶対に生きてるでしょあれ。キャラクターの中でも一番哀れな存在だったので、敵でもいいから生きてて欲しい。続編を、この世界観での続編を下さい!

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2014年05月14日

エロマンガ先生 2 妹と世界で一番面白い小説/伏見つかさ

4048665316エロマンガ先生 (2) 妹と世界で一番面白い小説 (電撃文庫)
伏見つかさ かんざきひろ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-05-10

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『兄妹の夢』を叶えるため『妹小説(仮)』の出版を目指す俺とエロマンガ先生―和泉紗霧。担当編集を説得するべく、和泉兄妹は協力して企画書を作り始める。どうしても今年中に新作を発表したいマサムネは、優勝者に出版枠が提供される『ラノベ天下一武闘会』に挑む!

 ノーパンツ・ノーラノベ

 ラノベ作家の兄とイラストレーターの妹が繰り広げる兄妹ラブコメディ。

 俺の妹がこんなにパンツ好きなわけが……あった。だめだこの妹はやくなんとかしないと。
 兄弟の愛の結晶『妹小説(仮)』を出版化すべく、兄・正宗と絵師・紗霧が担当編集を説き伏せるための企画書作りに取り掛かり、新旧ヒロインたちを巻き込んで繰り広げるドタバタコメディが面白可笑しかった。
 フライゴンは先制技とんぼ返りあるし、大文字とソラビ覚えて岩地面耐性あるから晴れパだと強いフリャ!

 告白小説事件以降、正宗を意識するようになった紗霧の仕草や反応がいちいちエロ可愛いくてニヤニヤ。
 本音と衝動全開で生きているような山田エルフが、空気を読まずに兄妹の間にぐいぐい入ってきて二人の仲をかき回してくれるから楽しくて、少しくらい生意気で厚かましいキャラでも許せちゃうんですよね。
 パンツ見たさで暴走する紗霧は、中学生女子じゃなかったら捕まってるわ。ハッ! つまり中学生女子は正義。

 リア充中学生めぐみを、ラノベにハマらせてラノベ中毒の沼に引きずりこんでしまう智恵さんよくやった!
 そうだラノベ読者は面白い本の続きが読めなくて欠乏症で死にたくなるけれど、読むまでは死ねないという生き地獄を、修羅の道をあえて選んでいるのだ! なんてマゾだよ。よくよく考えたら引くわ。出版できないのであれば、web上でいいので書いてください! 諸先生方! おねがいします! 読者の精神死を防げます!

 出版枠を賭けて上位互換の人気作家・千寿ムラマサと争うことになった正宗たちですが、両者のスタンスの違いは、やはり山田エルフ戦の時同様、どちらが正しいとも言えないですね。そうしたセオリーがなく、作家が独自の主義思想を持っているからこそ多彩な物語がラノベには生まれてくるし、そのほうが燃えます。
 さて三巻はどうなるのか。お約束の水着回はあるのか。エロマンガ先生外でないじゃんどうすんの……。

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2014年05月13日

アナザー・ビート 戦場の音語り/佐原菜月

4048665561アナザー・ビート 戦場の音語り (電撃文庫)
佐原菜月 尾谷おさむ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-05-10

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“旋律士”生まれながらにして旋律器官と呼ばれる特殊な紋様を身体に刻み、その器官から“音楽”を生み出すことのできる特別な存在。類まれなる才能を秘めながらも上手に音を操れない落第音学生の少女コハクと、貴族ご用達の有名作曲家・ヂェス。出会った二人の運命は、やがて大国が争う新たな戦乱へと巻き込まれていく。

 戦場に響く天使と悪魔の合唱歌

 音楽を奏でる旋律士の少女と作曲家の青年が繰り広げる音楽と歴史のファンタジー。

 絵師効果もあってか、読んでいてなんだか懐かしい気持ちにひたれる素朴な雰囲気のファンタジーでした。
 旋律士の落ちこぼれの少女・コハクと作曲家の青年・ヂェスが出会い、二つの大国の思惑に巻き込まれ引き離された二人が戦争を止めるため、音楽の力で戦場に集まった人々の心を動かす光景に胸を揺さぶられました。
 人々に想いを伝え、心を動かす音楽の力をテーマにした、久しぶりに読み応えのある作品でした。

 ヒロインのコハクは、良く言えば自由奔放な女の子、悪く言えば無作法な問題児なんですが、楽団に合わせる貴族音楽よりも、町中の平民に混じって即興演奏している姿のほうが親しみやすくて魅力に思えました。
 一般的な旋律士としては落ちこぼれのコハクの才能をヂェスだけは見抜いて、ヂェスとの出会いから少しづつ変わり始めたコハクですが、馬鹿な貴族のせいで事態が徐々に悪い方へと転がっていくのがもどかしい。

 貴族音楽も旋律士もいない外国に来て、ようやく本来の自分の音楽を奏でて人々に認められるようになったコハクの姿が喜ばしく、けれど彼女を利用して私利私欲の戦争のきっかけとする悪しき王の企みが許せない。
 自由気ままな青年かと思いきや実は一枚もニ枚も裏の顔を持っているヂェスのキャラが意外で、コハクを捕らえた神国の思惑を読んで彼とともに王国の秘密部隊として動く旋律士たちの姿に一杯食わされました。

 歴史の謎を紐解いて、王国と神国に隠された伝説の真実を解き明かす歴史ロマンとしても読めましたね。
 ただ作中の音楽描写は、文章だけだとわかりづらかったな。いや、あまり専門用語を使われてもわからんのだけれど、こうした音楽ものは実際にある曲を元ネタにしないとイメージしにくいから難しいですね。またこれだけ音楽が重要視された世界なのに楽器が発達してないのが不思議すぎる……イッツファンタジーですわ。
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