ダフロン

2011年06月16日

可愛くなんかないからねっ!/瀬那和章

4048706926可愛くなんかないからねっ! (電撃文庫)
瀬那 和章 シコルスキー
アスキーメディアワークス 2011-06-10

by G-Tools

知らぬ間に学年のトップ3美少女に数えられているほどの美貌(?)の持ち主、文野ハルは、ある朝、校舎でウサギの人形を拾う。それはハルが幼い頃に出会った『月ウサギの君』との思い出の品。この学校に想い人がいるかもしれないと知ったハルだが、そんな中、クラスメイトの砂原さんに弱みを握られ・・・

 桜よりもかわいく うさぎよりも愛らしく

 美少女にしか見えない少年が街を騒がす怪異と戦う現代怪奇譚ラブコメディ。

 表紙の美少女がかわいいなぁ。だが男だ。顔も髪型もポージングも女にしか見えないが、だが男だ。
 美少女と見紛う外見と少女趣味を持つ主人公・ハルが、初恋の女の子との再会を夢見て男らしくなるため、人に仇なす怪異から街を守るために立ち上がる姿が健気でいじらしかった。だが男だ。
 本人は男の娘の自覚はないのだけれど、男と知ってて美少女扱いする級友たちの反応が愉快w

 見た目はサラサラの髪にツヤツヤのお肌のどうみても美少女で、趣味は編み物とお菓子作りって、それで「男らしくなりたい」と言い出したハルへの『お前は何を言ってるんだ』的な周囲の反応は同感。
 他のヒロインよりもよっぽど普通に女の子らしくて、ハルと長年親しくしてきたはずの幼馴染の男友達とか実の妹までがハァハァ言ってるのはさすがにヤバいが、ハルの可愛さが一番ヤバい。だが男だ。

 クラスメイトの美少女・砂原さんが、密かに街に蔓延る怪異と戦っていた事実を知り、ハル自身も怪異に対抗できる特殊体質を見抜かれ、弱みを握られて砂原さんにこき使われるハルですが、心の奥底では次第に惹かれ合っていく二人の姿が初々しかった。怪異の恐ろしさに一時は怖気づいてしまったハルだけど、たった一人で戦う女の子を見捨てずに戻ってきたのは確かに男らしかったと思います。

 童謡をテーマにした『隠れ謡』には言葉遊びがあって少し捻られていたけど、妖怪退治モノとしては、今更でありきたりな感がぬぐえない。純粋にTS系ラブコメとしてジャンルを絞った方が良かったような。
 伝奇パートではコミカルなキャラクターの存在が浮いてしまい、ラブコメパートでは怪異の存在が陰を落としてしまいイマイチ噛み合ってなかったのが惜しいなぁ。まあ男とは思えないハルの可愛さがすべて。

 もういっそ、男だからイイ!! あすたぁあああああああああああああああああああ!!
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月14日

カミオロシ 縁結びの儀/御堂彰彦

404870558Xカミオロシ―縁結びの儀 (電撃文庫)
御堂 彰彦 さらち よみ
アスキーメディアワークス 2011-06-10

by G-Tools

神社にまつわる恋愛成就のおまじないの噂。その神社に課外活動で訪れた生徒たち。その中に玖流緋澄と識読美古都はいた。学年で双璧をなす秀才、才媛の二人だが、顔を合わせば皮肉の応酬となる間柄。おまじないとは無縁の二人だった。神社に訪れたほかの生徒たちは奇妙な顔ぶれだった。

bashingtag.jpg


 うーむ、なんというかシリアスでホラーな雰囲気は伝わってくるのだが、果たしてそれが読者にとっての物語の面白さや興味を惹くものとなっているのかどうかは疑問に感じてしまった。
 まあクールだけど朴念仁の主人公と美人だけど検のあるヒロインやどうにも利己的な脇役たちが個人的に好きになれなかったという、いつも酷評してしまうときのお決まりの理由からなんだけど・・・・・・。

 あと推理パートが解決編として機能していないのじゃないかというのもある。神様を信じていないリアリニストの主人公が、自分たちが遭遇してしまったオカルト的な事件を理論的に考察していくんだけれど、結局は超常現象的な力が関わっていることを認めてしまっているので、なんだそりゃあ・・・・・・って。
 被害者たちが何故死んだのかなんてどうでもいいから、どうやって死んだのかを説明してください。

 騒動の構図が解明できても、それで誰が救われるわけでも、誰かの悪事が暴かれたわけでもなく、そもそもからして推理する必要も被害者や容疑者と関わる必要もなかったんじゃないかな。
 もし主人公がなにも行動してなかったルートを考えても、多分、エンディングはいまと変わらず、死ぬべき人間が死んで、生き残るべき人間が生き残っただけでなにも変わらないと思うんだけど?

 脇役たちも事件が起きてわかりやすくパニクって、被害者に近しい人たちが狂気に走ってと、現代の高校生にしては著しく理性の欠ける行動ばかりを取っているのもなんか素直に飲み込めない。
 最初の被害者がなんで幼馴染との口論ごときで神降ろしの儀式なんてしようと思ったのかとか、そのための正しい手順をどこで知ったのかとか、その辺りも曖昧だしなぁ。
 あとこの刑事、なんでこんな唐突にでてきて怪しさ満点なのか・・・・・・。

 前作の『付喪堂骨董店』はとても好きだったけど、このシリーズはちょっと合わなかった。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月13日

アイドライジング! 2/広沢サカキ

4048705555アイドライジング!〈2〉 (電撃文庫)
広沢 サカキ CUTEG
アスキーメディアワークス 2011-06-10

by G-Tools

アイドルデビューをきっかけに、海上都市ニライカナイの高校・鳴谷鴬へと転入したアイザワ・モモは、なんとハセガワ・オリンと同じクラスに!積極的に声をかけたり、シャワールームで裸の付き合い(?)をしたりして、なんとか仲良くなろうとするモモと、それをことごとく突っぱねていくオリンだったが・・・

 期待の新星は、ひとつじゃない!

 企業の技術の粋を凝らしたバトルドレスを着て戦う新人アイドルのサクセスストーリー。

 またしても安定の百合フィールド展開で非常に俺得。女の子たちが仲良きことは良き哉良き哉。
 突発的にタッグマッチの試合に挑むことになり、パートナーとして組むことになったモモとオリンが、お互いの性格の違いから衝突を繰り返しながらも次第に友情の絆を深めていく姿に思わずにんまり。
 持ち前の天然ぶりで美少女アイドルたちのハートをつぎつぎ落としていくモモさんパネェっす!

 同居人であるサイの乳チラをガン見したり、オリンの着替えに大興奮したり、やってることはまるでセクハラ親父なんだけど、無邪気なモモがすると可愛くてなんだか可笑しい。
 そんなモモに懐かれて学校でも振り回されるオリンも、ぼっちなんだから仲良くすればいいのに。
 しかし、本人は不本意かもしれませんが、無自覚でツンデレなオリンのキャラはすごく美味しいな!

 タッグマッチを得意とする双子アイドルを相手に一度は惨敗してしまう二人ですが、それぞれに負けられない理由を得て、リベンジを目指して猛特訓というスポ根パートもなかなか燃えた。
 家庭の事情で自暴自棄になったオリンを立ち直らせた健気なモモの献身にもぐっときました。
 そうしてがむしゃらになってもぎ取った勝利は二人の力と信頼があればこそでしょうね。

 お互いの気持ちを分かち合い、共に苦難を乗り越えた二人が最後に見せた笑顔が素敵でした。
 戦闘シーンはさすがにうまく行きすぎかもという印象は受けるが、この作品の魅力が損なうものでもないし、アイドルたちの日常風景や章の合間の二人のブログの1ページなんかが面白かったです。
 エリーとタキも出番は少ないながら存在感があった。≪オペラ・オービット≫の残り二人は次回かな?
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月17日

雨の日のアイリス/松山剛

404870530X雨の日のアイリス (電撃文庫)
松山 剛 ヒラサト
アスキーメディアワークス 2011-05-10

by G-Tools

ここにロボットの残骸がある。『彼女』の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。

 機巧少女は傷ついても立ち上がる

 仕えていた主人を亡くし、スクラップ置き場に送られたとあるロボットの少女の物語。

 これはいい話だった。ロボットなのに人間の哀愁を感じさせる登場人物たちが素敵でした。
 愛する主人を事故で亡くしたロボットの少女アイリスが、処分先のスクラップ置き場で新しい友人と出会い、共に苦難を乗り越えて自分たちの居場所を見つけにいく姿に感動しました。
 ただ生きるだけじゃなくて、生きるのが喜びになる生きがいを見つけよう、そんなことを思いました。

 ちょっと変人だけど心優しいアンヴレラ博士に養われて、大好きな主人の世話をして過ごしていたアイリスの幸福な日々の唐突な幕切れに呆然とし、その後に彼女を襲う悲劇に胸が締め付けられました。
 スクラップ同然の姿で目覚め、悲嘆に暮れるアイリスでしたが、陽気なリリスと朴訥なボルコフと出会い、ほんのひととき現実を忘れ空想に浸る夜の読書会の情景が、とても切なく美しかった。

 しかし、この世界の人間は酷いな。勝手に望んで生まれさせておいて、必要がなくなれば一方的に捨てる残酷さ、ロボットにも傷つく心があるのに、それを理解しない無神経さに嫌気が差します。
 労働力として扱うなら工業用機械でいいじゃないか、だったら最初からロボットに感情なんて植え付けるなといいたくなるんだけど、感情があったからこそ生まれたアイリス、リリス、ボルコフの友情に涙。

 ロボットは人間の奴隷じゃない、新しい友達で家族にだってなれるんだよなぁ。人間だってロボットたちに命令する前に、彼らの主人として相応しい存在にならなければ、それは恥ずかしいよなぁ。
 ってか、これで4次選考作で落選だったのか、少なくとも大賞のシロクロなんとかよりは心動かされましたけどね。それとも、もう他のレーベルでデビューしてる人だったから流しちゃったのかな。電撃での今後に期待。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月16日

夜のちょうちょと同居計画!/菱田愛日

4048704966夜のちょうちょと同居計画! (電撃文庫)
菱田 愛日 さんた茉莉
アスキーメディアワークス 2011-05-10

by G-Tools

学生が職業を持つ自立都市で、高校1年の奈斗を待っていた仕事は、キャバクラのボーイ。しかも同級生のお嬢様・瑠花が、同じ店のキャバ嬢だって!?不安いっぱいで始まった仕事。ワガママで不器用で、失敗ばかりの瑠花をなんとかサポートしようとする奈斗だったが、彼女が時折見せる弱い姿に心揺れて。

 キャバ嬢に恋して

 同い年のキャバ嬢3人と一緒に同居生活をすることになった少年の学園キャバク系ラブコメ。

 キャバクラに対する偏見が変わったかもしれない。けど、こんな可愛い子たち現実にいないわー。
 学生の職業従事が義務として定められている学園都市で、キャバクラの仕事を割り当てられてしまった主人公・奈斗とヒロインの瑠花が社会の荒波に揉まれて成長していく姿が清々しかった。
 どんな仕事でも何かしら学び取れるものがあって、一生懸命になれるのは若さだよなぁ。

 最初はキャバクラの仕事なんて……と嫌々でいたものの、実際に仕事に出てみるとわからない事や失敗だらけで凹まされて自分の未熟さを思い知り、こうなったからには絶対に何かを学んでやろうとモチベーションが段々と上がっていく奈斗と瑠花の姿が初々しかった。
 絶えず失敗して傷だらけな瑠花だけど、それでも諦めない負けん気が魅力的でした。

 ぶりっ子の真琴やクールな彩香といったタイプの異なる美少女との同居生活も、騒動は絶えずとも仕事を通して彼女らに仲間意識が芽生えていくのが見てとれてほんわかしてきますねぇ。
 お酒を飲んで会話の相槌を打ってるだけでも、お金を貰っている以上は仕事としてお客様に誠心誠意を尽くすキャバ嬢のプライドを持った少女たちの情熱が伝わってきて素晴らしかったです。

 まあ、ただ現実に彼らと同じくらいキャバクラの仕事に誇りを持ってやってる人が、どれだけいるかは知らないけれど、少なくとも就いている職業でその人を差別する人間には堕ちたくないと思った。
 今回はキャバクラという仕事にスポットが当たっていて、同居生活とか、学校生活とかからのラブコメ分はそれほどでもなかったかな。瑠花以外のヒロインたちもこれからの活躍に期待かな。

 ちなみに社会の底辺の職業って、SEじゃないんですか?とそれだけは言っておきたい。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月15日

魔王なあの娘と村人A 幼なじみは勇者です/ゆうきりん

404870513X魔王なあの娘と村人A―幼なじみは勇者です (電撃文庫)
ゆうき りん 赤人
アスキーメディアワークス 2011-05-10

by G-Tools

ここはファンタジーの登場人物を育成する学校。でも“戦士”や“魔法使い”みたいな「個性」を持った連中はごく少数。大半は“村人”程度にしかなれやしない。俺、佐東もそんな“村人”の一人なんだが、ある日“魔王”の個性を持った女の子、竜ヶ峯桜子に目をつけられちまって。

 二人で始める人類滅亡

 個性の強い魔王と勇者の間で板挟みになってしまったごく普通の村人Aがおくる学園ラブコメディ。

 これが本物の個性か……どうみても社会不適応者です、本当にありがとうございました。
 人類を滅ぼしたい魔王少女・桜子と正義を貫く勇者少女・翼。相反する性質の二人に気に入られてしまった村人Aこと主人公・佐東がアクの強い両者に振り回されつつも刺激溢れる日常が愉快でした。
 一風変わった世界観に首を傾げなくもないが、お陰でキャラ立ちはわかりやすかったので○。

 やたらと人類を滅ぼしたがる桜子ですが、"個性者"の特徴として世間の一般常識がないせいで、やることは安くて美味い学食を作って学生をメタボにするとか、その程度の悪行なのでとても微笑ましい。
 むしろ桜子の陰謀を阻む正義の味方の翼のほうがやり過ぎて大騒動を起こしているのが可笑しい。
 一般人相手の異性意識に乏しいから、下着を見られても頓着しなかったりとラッキースケベもニヤニヤ。

 目的のためには手段は強引でも無理矢理でも、その目的が間違ってても歪んでても、自分の信念の導くままに行動し、他人の意見では決して揺らがないアイデンティティを持った"個性者"に憧れる気持ちを覚えなかったといえばウソになりますが、彼らは自由だけどそういう不器用な生き方しかできないんだろうなと思うと、ちょっと彼らのことが可哀想にも……。

 どういう不満があって桜子は人類を滅ぼしたいのかとか、どういう理由があって翼は正義にこだわるのかとか、生まれつきの才能や個性という言葉で誤魔化さないで、なにかしら彼女らの心情に共感できる動機付けというか、行動原理を理解できるエピソードを付け足して欲しくはあった。
 いまのところ翼がKYで残念なカンジなので、次回は桜子と釣り合いを取ってくれることを期待。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月14日

なれる!SE 4 誰でもできる?プロジェクト管理/夏海公司

4048705288なれる!SE 4 誰でもできる?プロジェクト管理 (電撃文庫 な)
夏海 公司 Ixy
アスキーメディアワークス 2011-05-10

by G-Tools

とある出版社の本社移転プロジェクトに参画することになった立華と工兵。とはいえ請け負ったのは一部ルーターの移設作業だけ……だったはずが、あまりの惨憺たる状況にプロジェクトマネージャーが逃亡。その代打を工兵が無茶振りされることに。

 管理は人と人との結びつき

 新卒社会人の主人公とワーカーホリックな少女の新米凄腕コンビがおくる萌えるSE残酷物語。

 ついにプロジェクトを管理するPMに大出世を果たしたモテ系SEの桜坂さんがマジパなかった。
 またしても社長の無茶振りからプロジェクト管理を請け負うことになった桜坂&室見コンビが、各ベンダーからの不満や陳情と正面から衝突しながら、お互いの信頼を築いていく光景に熱えました。
 巻を重ねるごとに業務の難易度が上がっていくけれど、ウソみたいだろ、これ、新卒者なんだぜ……。

 いままでの仕事とは違う、他の人のスケジュール調整して管理するというPMの仕事に、あの敏腕エンジニアの室見ですら冷や汗を滲ませつつ、とりあえずマニュアル通りにやってみるも、ベンダーと意識のすれ違いで仕事が一向に進まないまま納期が迫っていくという状況が本当に恐ろしかった。
 しかし、仕事に追われてもプライベートでの女性との付き合いを忘れない桜坂さん、リア充だわぁ。

 慣れないながらも必死に努力して、けれどもそれが評価されないことに絶望する桜坂でしたが、PMとベンダーとが、管理する側と管理される側という一方通行の認識でいたから駄目だったんでしょうね。
 コミュニケーション不足が原因とわかれば、こちらのもの、桜坂の外交力がまたしても光ってました。
 でもやっぱり、最後は自分のところのマンパワーで解決するのか……お前ら、いつ寝てるんだ。

 工程管理の用語の部分は流石に専門的過ぎてほとんどわからなくってきましたが、仕事を振る側にも、それなりの苦労と苦悩があるんだと思い知った。唯一、お気楽なのは社長だな! こいつ自重しろ!
 室見の私生活に触れ、彼女の特殊性が具体的に見えるようになってきて、謎がさらに増えるばかり。
 さて、プロジェクト管理までクリアしてしまうと、ある程度行きつくしてしまったよう……次回どうなる?

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(2) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月16日

帰宅部のエースくん。/ハセガワケイスケ

404870432X帰宅部のエースくん。 (電撃文庫)
ハセガワ ケイスケ ヒロユキ
アスキーメディアワークス 2011-04-08

by G-Tools

中学の部活では野球部のエースだったオレ。とある事情でその晴れ舞台から去った。だから高校では、部活にも入らず放課後はまっすぐ家に帰ろうとした―矢先。背後から、突然ドロップキックされた。その犯人はとびきりの美少女で、彼女は謝りもせずオレにこう言った。「エースくん。帰宅部に入って!」

 放課後を遊びつくせ!

 帰宅部に入部したエースくんの青春ラブコメ。

 タイトルから日常雑談系かと思ったら、野球に挫折した少年の再生ものだった。釣られたザマス。
 放課後を様々なことをして楽しむ『帰宅部』に強引に入部させられた、元エースピッチャーの主人公が、美人で変人なスミレに振り回されるうちに日常を「楽しむ」ことに気づいていくのが素晴らしかった。
 まあこれだけ美少女や美人に囲まれていれば、なにをやっても楽しいだろうよ。リア充マジ爆発だわー。

 ハニコも十分に美少女なのに、その上、学校一の美人に気にいられるなんてエースさんマジパネェ。
 まあ、何故にもそんなに流され体質なのかはちょっと不満に感じるけれども、毎回スミレの思いつきに振り回されて、他の部を巻き込んでいろんな勝負に挑戦する放課後ライフは面白そうだった。
 帰宅部といいつつ、帰宅せずに学校内で遊んでるだけというのはバレテナイバレテナイ……小学生か。

 最初はみんないかにも面倒臭げでやる気がないのに、次第に熱が入って誰もが本気になっていくのは、スミレが盛り上げ上手というのもあるだろうけれど、きっと誰よりも遊びを楽しんでいるからだろうな。
 せっかくの個性的なヒロイン揃いでしたが、主人公メインの野球話になってしまって、キャラが掘り下げられていないのが勿体無かったかも。日常雑談系とスポ根と両立は難しかった様子。

 途中まではヒロインとの掛け合いもあって笑えたんだけど、終盤は主人公の自問自答というか、独白ばかりになって紙面を埋め尽くしていくのが読んでいて辛かった。
 それがハセガワクオリティなんだけど。ウダウダと取り留めないキャラの思考まで書き出さなくてもいいと思うんですけどねぇ。全体のテーマからすると重い話を置いたのはやっぱり失敗だったんじゃないかな。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月15日

変愛サイケデリック/間宮夏生

4048704184変愛サイケデリック (電撃文庫 ま)
間宮 夏生 白味噌
アスキーメディアワークス 2011-04-08

by G*ools

「ストレンジサイケデリコ」こと彩家亭理子は、その名の通り千光高校きっての有名な変人であり、変わった愛情を持った者が集まる「変恋部」の部長である。そんな変人マスターが「愛しいね」と目をつけたのは、春になると死にたがると噂のクール系男子・神宇知悠仁だった。

 春来る死にたがり

 死にたがりの宇宙人と変わり者の少女、そしてその友人たちが紡ぎ出す異色の青春“変愛”物語。

 どいつもこいつも2、3本はネジが抜けてるんじゃないかという変人ぶりが愛おしいね。
 春になると死にたくなる自殺志願男・神宇知悠仁に興味を持ったヒロイン・彩家亭理子が、彼に関わるに連れて見えてくる様々な人間関係を通じて、彼の抱えた罪悪感を晴らしていく過程が興味深かった。
 前作『月光』とは雰囲気がまるで違うけど、個性派な登場人物たちが青春してるのが愉快でした。

 美少女なのにファッションには無頓着で言動も突拍子も無い彩家亭理子は、普通の恋愛とは違った"変愛"話を好むおかしなヒロインだけれど、知的好奇心のおもむくままに行動し、ときには周囲に騒動を起こし、命を危険に晒しながらも、己の道を突き進む姿に呑まれて否応無しに惹きつけられました。
 他人を巻き込んでいくパワーがすごかった。いやぁ、こんな女の子に振り回されたい。

 姉の死に責任を感じていた神宇知悠仁ですが、どー考えても不倫していた姉とその不倫相手が悪いだろ。別に悩まなくてもいいことをずっと悩んでいたようにみえて仕方がなかった。
 彼は自分の罪を暴かれることよりも、弟を愛する姉としての姿と男に恋する女としての姿にギャップを感じて、別の顔を持った姉を知られることを恐れていたんじゃないのかな。

 誰よりそれを認めたくなかったのは自分で、姉を慕う想いは昔のままで停滞しているのだと。
 事件直後は、自分が悪かったと思い込むことで美化された姉の理想像が崩れるのを防いだのだとしても、いずれ成長して大人になれば子供心に理解できなかった姉の心がわかるようになるかもしれない。
 だから彼は自分で幻想を壊してしまう前に自分で死のうとしてたんじゃないのかな。

 春というのは進級進学で成長を意識する季節ですよね。成長したくない彼は相当なストレスを感じただろうし、それを発散させようとする、それが自殺衝動の正体だったんじゃないのかなと思いました。
 しかし、この程度の悩みを本職のセラピストやカウンセラーが解決できなかったのは疑問が残るな。
 エピローグのぶっ飛びっぷりが青臭くてよかったです。好きな人の事であんなに悩めるなんて、若いっていいなぁ(年寄り発言)
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月14日

ソードアート・オンライン 7 マザーズ・ロザリオ/川原礫

4048704311ソードアート・オンライン〈7〉マザーズ・ロザリオ (電撃文庫)
川原 礫 abec
アスキーメディアワークス 2011-04-08

by G-Tools

謎のアバターが、自身の持つ“オリジナル・ソードスキル”を賭け、1体1の対戦ですべてを蹴散らし続けているという。“黒の剣士”キリトすらも打ち負かした、“絶剣”と呼ばれるそのアバターにアスナも決闘を挑むのだが、紙一重の差で敗北してしまう。しかし、“絶剣”はアスナを自身のギルドに誘い始めた!?

 これが生きるということさ

 デュエルで無敗を誇る謎の剣豪アバター"絶剣"と出会った水の妖精のVRファンタジー。

 キリト△としか言い様がない。途中までは出番無しかと思いきや、おいしいところを持っていったなぁ!
 "絶剣"と呼ばれる凄腕プレイヤーと出会い、誘われるままに冒険に付き合ううちに現実世界で抱えていた問題と立ち向かう勇気を得たアスナと"絶剣"ユウキの隠された境遇に号泣しました。
 キリト視点だとエンタメなのに、アスナ視点だとこんなにもドラマチックになるなんて、作者すげー。

 アスナの進路をアレコレと一方的に決めてしまう母親は、一見、束縛的で冷たいに感じるかもしれないが、アスナのことが心配で神経質になりすぎて、感情表現が不器用なだけのようにも感じましたね。
 SAO事件でカウンセリングが必要なのは子供たちだけではなく、子供を奪われた親もだよなぁ。
 それにアスナはもっとワガママになってもいいんじゃないかな。キリトだって頼って欲しいと思ってるだろうし。

 ユウキや『スリーピングナイツ』に共通する秘密は、キリトの呟きからなんとなく察したけれど、そうとは思わせないほどに明るく力強い彼らの姿に幾度となく感極まって涙がこみ上げてきた。
 全身全霊で仮想世界を楽しんでるのも、そこだけが彼らが唯一自由になれる世界だったからでしょうね。
 ユウキを見送るために集まったプレイヤーたちの祈りの飛行に私も加わりたいと心から思いました。

 ユウキはいなくなっても、絶剣の伝説が語り継がれる限り仮想世界でユウキは生き続ける。
 残された人々は、ユウキがこの世界に生きた証を絶やさず、かけがえの無い今を生きて欲しい。
 この『マザーズ・ロザリオ』という物語を読めて本当によかった。シリーズダントツの最高傑作でした。
 次回からはまたキリト視点に戻ってくるのかな。できることなら他のヒロインたちにも出番を期待したい

 ちなみに私もキリトさんを見習って、モンハンでシステム外スキルを駆使したプレイを開発中。
 いまのところ、開発済みなのはこの辺。まあ一流ハンターならこれくらいはできて当たり前ですよねー



posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月13日

C3 シーキューブ 11/水瀬葉月

4048704214C3‐シーキューブ‐〈11〉 (電撃文庫)
水瀬 葉月 さそりがため
アスキーメディアワークス 2011-04-08

by G-Tools

桜咲く四月。大秋高校にも新入生が入学してくる。フィアも晴れて進級して先輩になり、すっかり浮かれ気分に。不良巫女・千早&伍鈴たちとも再会し、さらにはやたらとフィアを慕ってくる元気娘な一年生も出現して、周りはますます賑やかに!?

 いまより未来が素敵であるように

 禍具と呼ばれる呪われた道具の少女たちと主人公を巡る異能バトルアクション&学園ラブコメ。

 アニメ化だと!(ガタ! そうかーフィアの縞パンツがアニメで見れるのか胸熱だなー。
 春亮とフィアたちも二年生へと進級し、新入生の中には見知った顔もいて、ますます大所帯になって賑やかさを増していくものの、その平穏を守るために戦わなくてはいけないんだから、ままならないなぁ。
 展開は毎度ワンパターンだけど読者の心を抉っていくグロさや、さらに加速していくラブコメが見逃せない。

 千早は入学してくるんだろうなというのは読めたけど、神楽鈴までついてきたのかよ。
 メイドさんに加えて巫女さんまで常駐する学校とか……どっちも作業着だから大丈夫だ、問題ない。
 バレンタインで錐霞さんがフィアやこのはたちより一歩先んじたと思いきや春亮はまったく気づいてねぇのな。さすがにいんちょーさんが哀れすぎるけれども、異性として意識しだしたのは前進なのかな。

 今回は騎士領と師団のイザコザに巻き込まれたかたちの春亮たちでしたが、戦いを捨てて普通の人間になろうとしているという理由だけで、顔も知らない相手のために自分達が命を張るなんて馬鹿だなぁと、そんなお人好しな彼らが愛おしくてたまらない。
 守りたいものがあるからこそ、どんな相手も怖れない。それが彼らの強さの秘密なんじゃないかな。

 結末はやっぱり報われないんだけど、その中にも救いがあるような気がして、このなんともいえないような後腐れ具合が後を引く。フィアのアレは使うほどに狂気に染まっていくとかいうアレなのかな。
 まあSAN値の低下というならば、魔法少女このは☆マギカ程ではなかった。ネコミミ錐霞さんは可愛いだけだったが、伝説の妖刀はすっかり残念な子になっちゃったな。

 アニメはどの辺まで放送するんだろう。2〜3巻ぐらいかな。ってか、むしろこのエログロスプラッタをホントに放送するのか……こんな血だまりラブコメで大丈夫か?

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月12日

ご主人様は山猫姫 7 北域見習い英雄編/鷹見一幸

4048704222ご主人様は山猫姫 7 北域見習い英雄編 (電撃文庫 た)
鷹見 一幸 春日 歩
アスキーメディアワークス 2011-04-08

by G-Tools

帝国軍を退け、本当に北域に王国を作ってしまった晴凛たち。犂山の強い勧めもあって、晴凛は「北域王」を名乗ることになるのであった。引きこもりの放蕩息子が玉座につく、まさかの展開である。伏龍の宣伝工作もあり、「北域の独眼竜」の触れ込みの晴凛の許に続々と人が集まり始める。

 俺の嫁と妻が修羅場すぎる

 帝国人でありながら遊牧民の姫君に仕え、戦いの中で英雄へと駆け上がるヒロイックストーリー。

 なんだか、架空戦記ものじゃなくてお料理バトルものに思えてきたぞ。今回も読んでてお腹空いた。
 周囲の後押しを受けてついに北域全土を統べる北域王となった晴凛ですが、帝国の反対側ではさらなる大騒動が持ち上がってと、混迷の度合いを深める情勢から目が離せませんでした。
 キャラも世界観もますます広がっていくのに、さくさく読めるこのお手軽感はすごいなぁ。

 北域王になっても変わらない晴凛の誠実な人柄が好きですね。王としての統率力や威厳はないけれども、誰からも好かれて人が集まってくるのは、なにより重要な人徳があるってことじゃないのかな。
 嫁と妻の仁義なき戦いを繰り広げるミーネとシャールは、喧嘩するほど仲が良いというか、恋敵であってもお互いの実力を認め合う光景が微笑ましいですね。二人ともいい子たちだから幸せにしてやれよな。

 平和な北域とは裏腹に、南域では塩商人たちが傀儡を持ち上げて反乱を起こすんだけれど、やっぱり義のない反乱は中身が空っぽで、自分の利益だけしか考えてない商人たちの姿が醜いなぁ。
 しかし、チャラ男の面諒はこれから変われる可能性がでてきたから死んで欲しくないかも。ただし、仮面野郎、テメーはダメだ。全然こりてないなぁ。というか、むしろよくもおめおめと出てこれるものである。

 泉野家長男の登場は、このままだと中央サイドが弱すぎて話にならないからバランスを取ったのかな。
 有能な部下を無駄に使う無能な上司の姿が簡単に想像できる。皇帝のためを思えばこそ、奸臣を皆殺しにすべきだと思うのですがねぇ。忠義を尽くすのが必ずしも正義ではないことに気づいて欲しい。
 ミリンと光凛の恋模様の進展も願いつつ、この戦乱の世にどんな歴史が刻まれていくのか期待。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月17日

そして、誰もが嘘をつく/水鏡希人

4048703870そして、誰もが嘘をつく (電撃文庫)
水鏡希人 Tea
アスキー・メディアワークス 2011-03-10

by G-Tools

巨大な豪華飛行客船に乗り込む不思議な少年・アデルベールとその小さな相棒・ティッカ。その船には、世界を股にかける冒険商人、妖艶な女優、美しい謎の女性とその同行者である新聞記者、莫大な財力を誇る侯爵家など、個性豊かな人々が乗り合わせており、皆それぞれ、旅を楽しんでいるかに見えた。

 天空の歌劇船

 巨大な豪華飛行客船「ティターン」号に偶然乗り合わせた人々が繰り広げるサスペンスオペラ。

 飛行船にはロマンがある。それに可愛い女の子との出会いまであればロマン100倍ですよ。
 異国へと向かう豪華飛行客船に乗り込んだ主人公・アデルベールが、そこで出会ったご令嬢・リラと惹かれ合い、ときに悪意に引き裂かれながらも、プラトニックな想いを募らせていく姿がとても素敵です。
 いわくつきの青いダイヤをめぐるミステリと、ほのかな恋の行方から目が離せませんでした。

 女性の扱いが下手でいかにもヘタレな草食系男子といったアデルベールだけれども、貴族的な話術と得意の魔術と奇術で嫌味な金持ちの鼻を明かす手並みはスカっとしました。
 見た目は飛び抜けたお嬢様のリラも田舎の孤児院育ちが隠しきれないお転婆っぷりが愉快。
 お互いに相手に言えない秘密を抱えながらも好意を寄せていく二人が初々しくて悶えました。

 ただ、その秘密によって二人の仲が引き離されてしまうところはもどかしいですね。
 一方的に自分との関係を打ち切ってしまったリラの本当の気持を知るため、婚約者や怪盗、死霊といった人外の者まで相手にしてアデルが戦えたのも、彼女への愛があったからだと思います。
 この二人は本当にもう二度と再会しなかったのかなぁ。それはねぇ、ちょっと納得いかないかも。

 作者のデビュー作『君のための物語』の世界観を活かしつつ、以降に手がけたラブコメ作品での恋愛要素を雰囲気を壊さない程度に散りばめ、無機質な群集劇に華やかな彩りを与えていました。
 これまでの執筆経験をひとつの本に凝縮させた、作者の成長ぶりが窺えるなかなかの秀作でした。
 最後にアデルベールのキャラが崩れてしまったところを除けば、何も不満はなかったんだけどなぁ。惜しいなぁ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月16日

今どき、女中で奉公って!?/葛西メイダイ

4048703455今どき、女中で奉公って!? (電撃文庫)
葛西メイダイ 双羽純
アスキー・メディアワークス 2011-03-10

by G-Tools

借金まみれの私は、普通の高校生活をおくるはずが、気づけば女中(!?)になっていた。しかも、その奉公先は、奇妙で古風な大屋敷。借金返済のために奉公に精を出すのだが、屋敷には、美形だけど性格に相当難アリな三兄弟が。この兄弟たち、美形なのはいいんだけど、とにかく性格が×すぎる!

 家族はかけがえのない宝もの

 借金のカタに旧家の屋敷で女中奉公することになった少女のお屋敷ミステリー。

 女中じゃなくてメイドさんにすればよかったのにと一瞬思ってしまった私も×すぎる。
 現代にありながら古い因習が蔓延る名家に女中奉公に出ることになってしまった主人公・早苗が、顔はいいけど性格が悪いお坊ちゃま、お嬢様にこき使われつつも、自分を曲げない姿に励まされる。
 (注)現代日本のお話です。といいつつ、現代日本らしい要素が何一つない。大正時代でいいよね?

 使用人でありながら人として間違ったことには、相手が誰でもガンガン口答えする早苗が痛快です。
 まあ大抵やり込められてしまうんですけど、それにしても他のキャラがダメダメですね。神経質で冷血漢の長男、変人でひきこもりの次男、いじめられっ子で内弁慶の三男、イタズラ好きでワガママな双子姉妹。
 どう甘やかしたらこう育つんだよ。こんな奴らに酷使されて早苗が言い返したくなるのもわかります。

 そんなお坊ちゃまたちが、早苗に次第に心を開いてくるのも、彼女のようにズケズケと自分の部屋にやってきて、無条件に自分の身を案じたり、心配してくれる家族の愛に植えていたからだろうなぁ。
 お互いに足を引っ張り合ってばかりいた仲の悪い兄弟が、早苗の活躍で互いの素顔が垣間見えるようになってきて、血筋ではなく心で繋がった本当の兄弟となっていく光景がとても素晴らしかった。

 まあ正直、ラノベ読者のどの層にヒットするんだよ!という疑問はありますが、作品自体は悪くない。
 これにラブコメなり、異能なり、タイムスリップなりのラノベ要素を加えればちょっとは違ったのかな。もしくは、早苗が実は男の娘とか? あらすじ通り、予想通りで終始してしまったのが勿体なかったかも。
 あと一捻りの意外性と、読者ウケを考えればもっと面白く作れたような気がしました。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月15日

ぜのん様である!/おかゆまさき

4048703188ぜのん様である! (電撃文庫)
おかゆまさき よう太
アスキー・メディアワークス 2011-03-10

by G-Tools

「僕は女の子と仲良くなりたいんです!」。念じて止まないその願望を、幼馴染みの少女に相談したところ、なんと女の子を紹介してくれるとのこと。感動するユキナリの前に、いざ現れたのは、魔王と自称するちょっと変な子。具体的には、苺のショートケーキじみたスウィートな雰囲気の美幼女で…。

 半熟魔王のあかるい国家計画

 魔界からやってきた新米魔王少女とその臣民になった少年のハイテンションラブコメ。

 これはおかしい、主に頭が。オメーら、テンション高すぎです。脳みそ溶けて生クリームになったわ。
 領地と臣民を獲得するために人間界にやってきた魔王少女・ゼノンとその臣民第一号になった主人公ユキナリが、王国の建国のために騒動を繰り広げるのですが、オイ、作者、はっちゃけすぎやろ!
 おかゆ味の会話劇100%。地の文なんてなかった。おかゆ以外では許されないだろう話でした。

 女の子にモテたいがために怪しげな誘いにホイホイ頷いて下僕になってしまうユキナリはそれでいいの? いや、金髪ツインテールの美幼女(推定12才)に涙目でお願いされたら嫌とは言えないな!
 魔王なのにイジられキャラなゼノン様がかわゆいです。膝の上に乗っけて脇腹をこしょこしょしたい!
 ってか、幼女相手に好き放題やっているユキナリは、そろそろ俺と交代するべきだと思います!

 一方、そんなユキナリにメロメロな幼馴染・月子のスルーっぷりが酷いな、そして彼女の頭も酷いな!
 ゼノン付きのサキュバスメイドも肩書き通りの変態だった。誰ひとりとしてまともな人間がいやしねぇ!
 ただ、ライバル魔王のジムノペディと闘うところはなかなかに熱かった。人の上に立つ者の品格と臣民を思いやる心。為政者としての素質を見せたゼノンとそれに応えるユキナリの姿が素晴らしかった。

 基本的にキャラクター全員、他人の話を聞かなくて、ボケすぎです。ツッコミどころが多すぎて困る。
 会話のテンポがすっごくいいんだけど、「!」マークだらけのハイテンションすぎるノリに慣れないうちはちょっと圧倒されるというか、悪酔いしてくる。文章に胸焼けしました、翌日は二日酔い確定だな。
 『ドクロちゃん!』がますます自重しなくなって帰って来たという感じ。しかも、続くのかよ、これ……。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月14日

ひがえりグラディエーター/中村恵里加

404870382Xひがえりグラディエーター (電撃文庫)
中村恵里加 紺野賢護
アスキー・メディアワークス 2011-03-10

by G-Tools

突如現れた少女・アールによって、異世界へと誘われた少年・天海蔵人。そこで流行していたのは、なんと地球の人間を拉致し、互いに戦わせるという恐ろしい『娯楽』であった。一方的に銃とナイフを与えられ、見ず知らずの誰かとの戦いを強いられることに、蔵人は戸惑いを隠せないでいた。

 今日の遊び、殺し合い

 異世界人の娯楽として死なない殺し合いを強要される少年の物語。

 いま流行の邪道バトルものに入るのかなこれは、かなり描写がエグくて、心をえぐられた。
 異世界人の少女アールによって、肉体を改造された主人公・蔵人が、同じ境遇の地球人との殺し合いを強要され、相手を傷つけることに戸惑いつつも、次第に慣れてきてしまう姿がとても恐ろしかった。
 ある種の育成ゲームに対するアイロニーなのだろうけど、通りすがりに冷水を浴びせられた感じ。

 傷はすぐに治るし、絶対に死なないとしても、恨みもない相手と殺し合いなんて誰だって嫌ですよね。
 そんな異世界人の『娯楽』のなにが楽しいのかさっぱりわからないところが、不気味で薄気味悪い。
 人を戦わせたいなら人を傷つけることに躊躇しない殺人鬼や傭兵を連れてくればいいんじゃないかと思いますが、"一般的な感性を持った人物が殺し合う姿"が面白いというのだから、理解を超えている。

 既存作となんか違うなと感じていたけど、そうか、いままでの『ダブルブリッド』やら『ぐらシャチ』なりは、人とは違う生き物が登場しても、お互いに理解し会える「人の心」があった。けれど今作は同じ人の姿をしていながら「人の心」が感じられない。だから逆に人の中に怪物が潜んでいるような恐怖を感じる。
 アールは見た目はともかく、中身は可愛いとは思えませんでした。これから人間味が出てくるのかな。

 戦いの中で覚悟を決めた蔵人も次第にまともな精神を失っていくのが読んでいて悲しくて辛かった。
 なんでこういう人間性を否定するようなストーリーにしちゃったんだろう。胸の奥がむかむかする。
 このルールだと必ずしも相手を傷つけなくとも勝利を狙えると思うんだけどな。銃や刃物を用いて挑んでくる相手に、こちらは柔道や合気道で相手を傷つけず封殺して勝つとかやったら格好いいじゃない。

 異世界人たちが殺し合いを期待して見ている中、その期待を裏切って見せる。そんな話ならこんなに後味も悪くなく痛快な話になっただろうと思うのですが……。私はそういう話の方が読みたかったな。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月12日

メグとセロン VI 第四上級学校な日/時雨沢恵一

4048703862メグとセロン VI 第四上級学校な日 (電撃文庫)
時雨沢恵一 黒星紅白
アスキー・メディアワークス 2011-03-10

by G-Tools

超お金持ちのご子息ご令嬢で美男美女ぞろいの新聞部、例の6人が巻き起こす今回の騒動は―「新聞部みんなで学校主催のオリエンテーリング大会に参加し、ある事情から1位を目指す!?」と、「新聞部に短期留学生が来ていろいろあって、そしてなぜかメグとセロンの関係に変化が起きちゃったー!?」の中編2本。

 学生気分上々な日々

 格好良いけどヘタレなセロンと天然系(?)のメグと仲間たちの恋と友情とミステリーのドタバタ学園物語

 短編集の今回はいつもの事件もドタバタ騒動もないけれど学園生活満喫してるなーという感じです。
 個性のハッキリ分かれたセロンとメグたち、6人の新聞部だけど、ぶつかることなく和気藹々と楽しくやってるのは、やっぱりみんなお金持ちの子弟だけあって、大らかというか心が広いんでしょうね。
 ただ一度殺されかけた相手を許して顧問に迎えるなんてのは、いくらなんでも寛大すぎる気もしますが。

 部として正式に再建した新聞部の名声を知らしめるため、1位を目指して出場した部対抗オリエンテーリングで、道なき道をゆくセロン、ラリー、メグの奮闘ぶりがなかなかの見物でした。
 まあ、ナタリーとニックの逆取材によって明かされていくジェニーの過去話も見所でした。完全無欠のお嬢様だった彼女が何故現在のようになってしまったのかというお話はちょっぴり切なかった。

 ラプトア共和国からの短期留学生・"新人君"に首都を案内する新聞部たちの優しさがジンとくる。
 ロクシェの有名な美術館や官邸、百貨店を巡ってみたり、学園の学食から高級レストランのフルコースまで美味しい物を食べ歩いたりと、こちらまで旅行している気分で楽しめました。
 一緒にいたのが彼らだったからこそ、新人君も素晴らしい思い出が作れたんじゃないかと思います。

 あとは新人君の帰国を笑顔で送るだけかと思いきや、最後にジェニーはやってくれる。
 いまじゃあセロンもちょっとは逞しくなってきたけど、もうちょっと心の準備をさせてあげてぇ。それにそういうのはやっぱり自分の口で相手に伝えるべきものですしね。
 いったいどんな『大変なこと』が起きたんだか、続編が待ち遠しい。

 ちなみに首都名物の『揚げ菓子』の正体について、前巻の感想でいくつか推論を挙げてましたが、今回を読む限りフリッターかな。しかし、そんな変な味がするものかなぁ。う〜ん、食べてみたい。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(1) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月16日

ロウきゅーぶ! 7/蒼山サグ

4048702734ロウきゅーぶ!〈7〉 (電撃文庫)
蒼山 サグ てぃんくる
アスキーメディアワークス 2011-02-10

by G-Tools

夏休みもそろそろ終盤。最後の想い出に同好会や慧心女子バスケ部など、みんな一緒の合同試合を計画する昴なのだが、愛莉兄妹の仲違いなど悩みはつきず…。そんな矢先、オールグリーンで遭遇した生意気な少女をきっかけに、昴の中学時代の因縁との勝負に巻き込まれてしまうことに。

 コートの上のパートナー

 女子バスケ部のコーチになってしまった男子高校生と5人の女子小学生たちのスポ根コメディ。

 今回のバスケはロウではなくて、ハイでした。いつ以来だろう、ちゃんとバスケやってるのは……。
 中学時代、バスケの大会で敗北を喫した相手と再びまみえた昴が、智花たちの力を借りて雪辱を果たすべく、指導するコーチの側からチームの一員となって一致団結して立ち向かう姿に興奮しました。
 個人の能力では勝る相手にチームプレイで対抗する、これがスポ根の醍醐味ですよね。

 些細なきっかけから、因縁の相手と3on3で勝負することになった昴ですが、相手チームの強さよりも、自分達のメンタル面での弱さから惨敗してしまい、子供たちの前で打ちひしがれる姿が切なかった。
 落ち込む昴を見かねて必死に元気づけようと頑張る智花が健気です。智花も智花で、大好きな昴と一緒のコートでプレイしているから緊張して本来の実力が出せなくなるなんて可愛すぎ。

 再度のリベンジ戦に勝つため、愛莉の兄である名センター・万里を臨時コーチとして迎え、バスケを通して兄妹の間にあったギクシャクとした溝を埋めていく光景にも心温まりました。
 強敵との戦いでバスケ選手として一皮剥けた昴ですが、あと半年もすれば智花たちも中学に上がってコーチでいられなくなるんですよね。いずれ昴がバスケ選手に戻る未来を示唆してきたのかな。

 ここにきて新キャラの大量投入で登場人物の平均年齢に若干変動があったような。
 それにしても、いつもながらセリフの使い方が狙ってるな。部分的に切り取ると、「すばるさん、すごくおっきい……」とか、「俺の隣にいてくれ、智花」とか、いちいち別の意味に取れるわー。
 アニメ化するらしいですが、またこんなアグネスホイホイを……。いや、この作品はスポーツを通して児童に精神的成長を促す立派な文化作品だよ! むしろ文部科学省が推薦作品と認定してもいいね!

 『ロウきゅーぶ!』は小さいお子さんが家族と楽しめる健全な作品です。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

シロクロネクロ/多宇部貞人

4048702688シロクロネクロ (電撃文庫)
多宇部 貞人 木村 樹崇
アスキー・メディアワークス 2011-02-10

by G-Tools

「オレは死ぬ前に一度くらい、女の子とえっちしてみたかったんだよおおおッ!!」そんな強い未練を糧に普通の高校生・不二由真は不慮の死からゾンビとして蘇った。彼を蘇らせたのは善い屍霊術師・シロネクロの美少女、高峰雪路。彼女は秘宝“死者の書”を悪い屍霊術師・クロネクロに狙われていた。

 
bashingtag.jpg


 いくらなんでも主人公が駄目人間すぎじゃね? 男の目から見ても下品で気持ち悪いよ……。
 いや、男子たるもの女の子のおっぱいとパンティを愛して、四六時中、そればかり考えているのが当たり前なんだけど、この主人公みたいにその欲望をダダ漏れにしてるのは格好悪いんですよ!
 いかに禁欲が辛くとも黙って耐え忍ぶのが真の男。行為に移したらそれはただの変態で、男じゃない!

 そしてゾンビとして蘇り一応は命を救われたヒロインの恩義に報いようという気持ちはないのかなー。せっかく彼女が身を案じて言ってやってる警告すらまともに聞く耳をもたず欲情してバカかコイツは……。
 敵であるクロネクロに狙われている立場だというのに緊張感、緊迫感の欠片もなしにフラフラと行動する脳天気な振る舞いがイラ立つし、なにかにつけて考えが甘くて浅いのが鼻につきました。

 ヒロインもヒロインでツンケンしているばかりで可愛いくない。ツンデレかと思えばデレてないですし。
 主人公を生き返らせたのも、彼が好きというより、自分が孤独になりたくないからという願いだった気がする。二人の間でまったくコミュニケーションがとれてないんですよね。心を通い合わせるような恋愛描写が足りない。
 敵サイドの万里王と瑠衣の兄妹の方がよっぽどお互いを想い合っているいいカップルでしたよ。

 ストーリーや設定もいたってテンプレで、とくに新しい要素や意外性のある展開もない。
 文章の方もどうなんだコレ……主人公のエロ妄想が書き綴られているだけって、相当ですよ。
 電撃文庫は本当にこんなのが大賞でいいの?と思ったけど、そもそも過去の大賞作もほとんど面白いと思ったことがない私に隙はなかった。好きなのは幕末魔法士くらいかな。ギリでほうかご百物語か。


 ちなみに今期の受賞作で順位をつけるなら、アイドライジング>青春ラリアット>アンチリテラルの数秘術師=はたらく魔王さま>シロクロネクロ、といったところです。アイドラとラリアットまではオススメです。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月14日

アイドライジング!/広沢サカキ

4048702394アイドライジング! (電撃文庫)
広沢 サカキ CUTEG
アスキーメディアワークス 2011-02-10

by G-Tools

アイドライジング。それはアイドルたちが己の夢と希望を懸けて戦う、新時代の一大エンターテインメント!各企業の科学技術の枠を集めて作られたバトルドレスをその身に纏い、美少女たちは華麗にステージを舞う。株式会社ミニテックスのアイドルになったモモは若手Pサイと共に難敵に打ち勝つことができるのか

 戦わなければ、輝けない!

 企業の技術の粋を凝らしたバトルスーツを着て戦う新人アイドルのサクセスストーリー。

 可愛いくて綺麗なだけじゃない。ここまで燃えるアイドルは初めて見た。
 美少女たちが企業PRを賭けて戦う競技『アイドライジング』の新人アイドルとしてデビューしたヒロイン・モモが、若手プロデューサーのサイと共に強豪相手に激戦を繰り広げる光景に手に汗握りました。
 試合の外でアイドルの女の子たちがキャッキャウフフしているのがたまらない。ご馳走様です。

 まず、モモの裏表のない元気溌剌としたキャラが愛らしい。アイドルたるものかくあるべし。
 彼女のパートナーになったしっかり者のサイとの凸凹コンビっぷりも仲の良い姉妹のようで和む。
 ライバルのアイドルたちも百合だったり、無表情だったり、負けず劣らずキャラが立っていました。
 モモに一方的な敵意を向けるオリンも、始めはよくいる腹黒い性格の憎まれ役かと思いきや、いつの間にかギャグ担当になっていて、脚光を浴びるモモとは対照的に底辺から這い上がる姿にはからずも同情してしまった。

 途中でアイドルを続ける理由が無くなってしまったモモですが、過去にアイドルを目指して挫折したサイの絶えないアイドライジングへの情熱に触れ、自らも試合で得た興奮と感動や勝利の達成感を呼び起こして、アイドライジングへの気概を新たにする情景が素晴らしかった。
 モモの身体能力とサイの作戦、アイドルとプロデューサーが一心同体となってもぎ取った勝利に拍手。

 設定自体は他でもすでにあるっちゃあるんだけど、それを抜きにしてもキャラに引きこまれました。
 イマドキのラノベとしては男女の恋愛要素が薄いけれど、モモは百合百合している方があってるな。
 女の子の世界を描いているけど、ドロドロせずにあくまで優しい甘さで、例えるならば、中身はなめらかな舌触りで表面は高温で焦がしたカラメルをきらきらさせたクリームブリュレのような美味しいお話でした。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。