ダフロン

2019年02月14日

鏡のむこうの最果て図書館 光の勇者と偽りの魔王/冬月いろり


空間が意思と魔力を持ち、様々な魔物が息づく世界・パライナの北端に、誰も訪れない《最果て図書館》はあった。記憶のない館長ウォレスは、鏡越しに《はじまりの町》の少女ルチアと出会い「勇者様の魔王討伐を手伝いたい」という彼女に知恵を貸すことに。


 それは物語の勇者のように

 勇者と魔王の決戦を影で支えた少年と少女の《誰にも語り継がれないお伽噺》

 タイトルでピンときた方もいると思いますが、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』ですね。
 いつの頃からか《最果ての図書館》の館長をしている少年・ウォレスが、ある日、倉庫で見つけた姿見が、何故か遠くの街に住む少女ルチアの元と繋がって、離れた場所で紡がれる交流が優しい。
 世界観はファンタージエンではありませんが、その影響を思わせるオマージュになっています。

 落ち着いて大人びた少年ウォレスと、お転婆で活発な魔女見習いのルチアの掛け合いが愛らしく、ルチアの悩み事をウォレスが知恵を出して解決するという相棒と呼べるような関係性がいいですね。
 図書館の外に出ることができないウォレスと、魔物が活発したせいで街から出れないルチア、お互いに遠くの土地への憧れを持っている者同士が交流する文通のような楽しさや喜びが伝わってきます。

 魔王の存在によって世界に危機が迫っている。魔王を倒すために勇者が旅立つ。英雄譚とは無縁の脇役のつもりだったウォレスもルチアですが、勇者を影で支えていくようになっていく構成が巧みでした。
 勇者と魔王の立場がひっくり返るというのは、まさに『はてしない物語』で描かれていたストーリーですね。ウォレスの過去が明かされ、物語の重要な役割を担うところは思わず会心の笑みが浮かびました。

 飛竜に乗って駆けつける場面とか、まさしくフッフールで夜空を飛ぶ映画の名シーンじゃないですか。
 お守りとか、魔法の剣とか、隠れ蓑とか、登場するアイテムの数々も「そういえばこういうの、あったあった」と、懐かしさがこみ上げてきます。ライトノベルとしては、現代風ではないかもしれません。派手さはありませんが、綿菓子のようにふわっと甘い作者のファンタジーへの愛が感じられる作品でした。

ファンタージエン 秘密の図書館
ファンタージエン 秘密の図書館
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2019年02月12日

つるぎのかなた/渋谷瑞也


かつて“最強”と呼ばれながら、その座を降りた少年・水上悠。もう二度と剣は握らないと決めた彼はしかし、再び剣の道に舞い戻る。悠を変えたのは、初めて肩を並べる仲間たち、彼に惹かれる美しき剣姫、そして高校剣道界最強の男・快晴。二人が剣を交えた先で至るのは、約束の向こう、つるぎのかなた。


 蒼天の剣が嵐雲を斬る

 つるぎのかなたを目指し、剣道にすべてを捧げる高校生たちの青春剣道物語。

 この話の本当の主人公は最強に憧れを抱いて成長した剣道少年の快晴くんだと思う。悠がラスボス。
 かつて最強と称されながら剣の道を捨てた主人公・水上悠が、高校の剣道部に勧誘され、様々な仲間と出会い、試合を繰り広げるうちに眠っていた闘志に火がつき、再び剣の頂きを目指す勇姿に痺れました。
 ちなみに私も元剣道少年でしたが、作中の描写は誇張無しでありえます。リアリティに忠実です。

 正直、悠とかいう鬱屈ヤローはどうでもいんだ。快晴くん、悠の前に立ちはだかる強面なライバルキャラかと思っていたら、実は悠に憧れるガチファンで、ものすごい純情な青年で愛着がわいてしまった。
 その妹の吹雪ちゃんも可愛いのに剣道一筋で、それ以外は不器用な何もできない残念美少女だけれど、何かというと斬るか殺すかで考えるマジ物騒な思考回路が見ていて楽しいんです。この兄妹しゅき!

 なにより試合の立ち回りの剣劇描写が傑出してるんですよね。足運び、竹刀の打ち方、受け方、選手が一瞬で判断し、相手を追い詰めていく攻防を卓越した疾走感、重厚感で見事に描ききっています。
 心は相手への敬意と高揚感に溢れていながらも、鬼の形相と野獣の咆哮で剣を振るう姿に圧倒されます。相手が憎いからではなく、お互いに高め合うために剣を交える。これぞまさしく剣道の理念。

 しかし剣道用語や習慣を普通に使いすぎて、経験者でもないと理解が難しいところがあります。団体戦を描く上で登場させる必要があるにしても、脇役が多すぎてキャラ書き分け切れてないのが惜しい。
 それでいて一人称の視点が一貫していないので読んでいると忙しなく感じてしまいます。猛々しい勢いが文章全体から伝わってきますが、もう少し読みやすく整理できていればなぁと。次回の団体戦に期待。
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2019年01月02日

ライトノベル福袋を考えてみたA

みなさん、おはようございます。
初詣はお済みになりましたか?
おせち料理やお雑煮は食べましたか?

お正月番組はバラエティ特番が多いですね。
私はどちらかというとお笑いより、ドラマなどの物語性のある番組が好きです。
昼間は主に、こたつでぬくぬくしながらラノベを読んでいます。

さて、今日も昨日に引き続き、福袋にかこつけて、ライトノベルをオススメする突発企画をお送りします!

ルールは変わらず、予算5000円以内。
ライトノベルの定義はなんでも可。
例えば、こんなセットはいかがでしょう?

■福袋その2 "あの"人気作家の新作セット
知る人ぞ知るライトノベルの人気作家が昨年内に開始した新作シリーズのなかからオススメ作品をピックアップ。

『七つの魔剣が支配する』745円

『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』の宇野朴人の新作。キンバリー魔法学院に入学した新入生オリバーと同級生たちが繰り広げる魔法学園ファンタジー。魔法と剣戟アクションを融合させた独特な世界観が魅力。最強の魔法剣「魔剣」をめぐる魔法界の深淵に迫っていく物語は読み応えも最強。


『どらごんコンチェルト』745円

『きんいろカルテット』の遊歩新夢の新作。コンクールで大失態を犯し失意に暮れるトロンボーン奏者・遊佐響也が、神聖ローマ帝国時代のタイムスリップする。そこで竜神様へ音楽を捧げる『竜楽師』を目指す十二歳の少女・フィリーネと出会う。彼女に音楽を教えながら、再び音楽への情熱を取り戻していく異世界音楽ファンタジー。


『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか? 1時間目』626円

『変態王子と笑わない猫』のさがら総の新作。27歳の塾講師・天神。教育指導に長けてるが教え子への思い入れはないドライな性格だが、女子中学生・星花に弱みを握られて「特別レッスン」をさせられることに。思春期の子供を相手する塾講師の苦労と、どんな仕事でもベストを尽くす大人の男のカッコよさを描いた年の差ラブコメ。


『リオランド 01.最慧の騎士と二人の姫』691円

『ムシウタ』岩井恭平の新作。リオランド王国の辺境騎士団を率いる若き騎士団長・ミカドが戦場で拾ったのは、不慮の事態によって《科学》の異世界からやってきた少女・エチカだった。未知なる文明との衝突を避けようとするエチカとミカドだが、思いも虚しく王国と科学世界の争いに巻き込まれていく。


『ファイフステル・サーガ』670円

『タクティカル・ジャッジメント』、『僕と彼女のゲーム戦争』の師走トオルの新作。未来予知の異能を持つ公女セシリアによりもたらされた魔王の復活による人類滅亡を回避するため、傭兵団長カレルと帝国の皇子ヴァッセルら、若き英雄たちが表舞台に名乗りを上げ、時代を切り開いていく戦記ファンタジー。


『ゴスロリ卓球』637円

『ロウきゅーぶ!』『天使の3P!』の蒼山サグの新作。父親の作った8000万の借金返済のため、卓球の天才少女・斎木羽麗と主人公・坂井修が送り込まれたのは、金持ちが主催する闇賭博だった。人生と大金を賭けた危険なギャンブルがゴスロリを着て卓球バトルという、ぶっ飛んだ世界観で繰り広げられる真剣勝負が必見。


『ラストラウンド・アーサーズ クズアーサーと外道マーリン』648円

『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』の羊太郎の新作。前世の記憶を持ち完璧優秀な高校生・真神凜太朗が、次世代のアーサー王を決める『アーサー王継承戦』へ介入を決める。最弱と呼ばれる瑠奈=アルトゥールの陣営に手を貸すことにした真神だが、瑠奈は金に汚いロクでなしだった。クズなヒロインと外道なマーリンが強豪ライバルを押しのけて勝ち抜いていく様が痛快な学園異能バトルもの。

計7冊で合計4762円。

 前作も併記しましたので、「あの作品の人か〜」と思いながら眺めていただければ幸いです。前作を知っている方であれば、新作も期待を裏切ることはないと思いますので、是非、書店や電子書籍でお手に取ってみてはいかがでしょうか。
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2018年12月10日

ソードアート・オンライン 21 ユナイタル・リング/川原礫


《アンダーワールド》から帰還して1カ月。キリトとアスナの傍らには、現実世界で実体を得たアリスの姿があった。しかしその平穏は突如破られる。3人が突如巻き込まれた謎のゲーム、《ユナイタル・リング》。それはザ・シードプログラムで構築された全てのVRMMOが融合した“サバイバルMMO”だった。


 統一世界を生き残れ

 全てのVRMMO世界が融合したSVG『ユナイタル・リング』の謎に黒の剣士が挑む。

 正直、読んでいて途中から辛くて耐えきれませんでした。猫耳アリスが可愛すぎて生きるのが辛い!
 突如としてアインクラッドが崩壊し、ザ・シードの全てのVRMMOが統合されて開始した『ユナイタル・リング』の世界で、サバイバルを余儀なくされたキリトたちが試行錯誤する姿が新鮮で面白い。
 この生活基盤をコツコツ作っていく地道で地味な作業。箱庭ゲーム好きとしてはたまらない。

 RPGとサバイバルあるいはサンドボックスはとても近しいジャンルですが、もっとも大きな違いは衣食住のインフラから自分たちで整備しないとフィールド上での活動すら困難というところ。
 戦闘では他の追随を許さない最強クラスのキリト、アスナ、アリスの三人が、今更になって低レベルな生産に挑戦して苦労する光景がなんだか可笑しい。肝心のシステムの解説すらないこの世界ベリハ。

 そしてリズベッドとシリカの出番がちゃんとあるだと!? これまでと違ってこの世界では、リズベッドの鍛冶スキルが大活躍でしょうなぁ。まず生産スキルを上げるには大量の資材と時間が必要になるし。
 PK集団は先行者有利を取りに来たわけですが、スキルの一部持ち越しがあるので、鉄ごときではアドバンテージにならない気がする。スタート地点で生産スキル持ちを多く囲っておくのが正解では?

 ただ新章への導入は、さすがに唐突すぎる感が否めない。ゲームデータでもプレイヤーにとってはかけがえのない資産だし、それが消滅なんて運営訴訟案件ですよ。後々辻褄を合わせてくれるんだろうか。
 けれど全てのVRMMO世界が統合されたということは、スピンオフ・シリーズのレンやナユタといったキャラクターも、もしかしたら登場する可能性がある? この世界観をどう活かすのかが楽しみです。
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2018年08月18日

錆喰いビスコ 2 血迫!超仙力ケルシンハ/瘤久保慎司


「錆喰い」由来の特殊体質を治すべく、大宗教国家・島根を訪れたビスコたち。しかし―そんな一行の前に野望の不死僧正・ケルシンハが立ちはだかる。不意打ちで胃を盗まれたビスコの余命は、僅か―五日!?宗教ひしめく島根の中枢“出雲六塔”に潜入した彼らは、はたして無事、元の身体を取り戻せるのか。


 人食いキノコ、神を破る

 まさに圧巻! 熱血マンガか映画を見ているかのような爽快感。脳内で快楽物質ドバドバでてすごい。
 錆喰いによるビスコの特異体質を治す手がかりを得て、宗教国家・島根の総本山「出雲六塔」にやってきた二人が、信仰によって世界を牛耳ろうと企む怪僧ケルシンハに立ち向かう大活劇に手に汗握る。
 文明が荒廃して人心も荒んだ殺伐とした世界で、どこまでもまっすぐで純粋な二人の姿が愛おしい。

 改めてミロの成長ぶりが目覚ましいですね。ビスコに女の子が近づくと不機嫌になる嫉妬ぶりにニヤニヤ。ビスコは相変わらずバカで乱暴なんだけれど、ミロを相棒として命を預けていて、いざとなれば心中する覚悟まで決めてるんだから、もうお前ら付き合っちゃえよ! お互いに足りないところを支えって、信頼しているけれど頼り切りにはならず、相棒に相応しくあるように高めあっている姿が眩しい。

 前巻の舞台だった忌浜がSFの世界なら、今回の出雲六塔は宗教と精神の世界。信仰を強調しながらも都市に住む人々の根底には人間の欲望や煩悩が渦巻いていて、弱者を踏みにじる特権者たちの歪んだ支配や不条理を、ビスコとミロの若いキノコ守りの二人が真正面からぶち壊していくところが痛快なんだ。
 悪役ケルシンハも狂ってはいるけれど、世紀末覇者の如き強烈な個性と迫力に魅せられました。

 すでに超大作クラスだった前巻からのスケールダウンを危惧していますがまったくの杞憂でした。引き続いて物語世界観を広げつつ、また別の切り口でストーリーを展開していったところがすごい。まったくの別物といっていいテーマをとり上げながら、新しい事実や謎を提示して想像を膨らませて、さらに勢いが加速していくんだから、こちとら乗り遅れないように必死ですよ。みんな『錆喰いビスコ』はいいぞ!
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2018年07月21日

パパ!パパ!好き!好き!超超愛してる/なめこ印


夏目此葉にはふたりの娘がいる。ファザコンの姉・キララと反抗期(?)の妹・セイラは年頃の中学生。オンボロ女子寮・陽ノ目荘の管理人となった此葉の日常は、娘達からの過剰な愛情にいつもふりまわされちゃって?

 お父さんだけど愛さえあれば関係ないよね

 ファザコンな姉と反抗期な妹の美少女姉妹を娘に持った父親の親子ラブコメ。

 JCに甘えられたいんじゃー! 年頃の女の子の間で板挟みになるシチュが美味しすぎです。
 故郷の栃木に戻り、女子寮の管理人となった夏目此葉が、しっかり者でファザコンな姉キララと、反抗期になクールな妹セイラの二人の可愛い娘と暮らすドタバタな日常が賑やかで楽しかったです。
 娘ちゃんの他にも女子寮のメンバーは変わり者だけど美人と美少女ぞろいで、なんだここが天国か。

 ファザコンをこじらせて「パパと結婚したい」と考えてる姉キララがガチでヤバイ。問題なのは赤の他人が見て聞いてるところでセリフや行動に移しちゃうところですね。社会的に殺しにきてる。
 そんな節操のない姉を冷ややかに見ている妹セイラは、反抗期に入って父親を避けるまっとうな感性をもった常識人かと思いきや、盗撮してたり、においフェチだったり、姉に負けず劣らずヤベー奴だった。

 その二人に惚れられる父親の此葉は、娘に振り回されるヘタレ系の平凡パパに見えるんだけれど、予想外の過去や意外な経歴を持っていて、女子寮の子たちの心を開いていくのがニヤリとさせられるんだ。
 女子寮メンバーに混じっていてもキララとセイラの双子が浮いちゃわないところがいいね。夏目家の親子仲を奇妙に感じないで普通に流してる時点ですでに彼女らも一般世間で浮いちゃってそうだけど。

 娘とイチャイチャしても実は血が繋がってないから問題無いとか言い出すテンプレ予想をしていたんだけど、最後に驚愕の事実をぶっこんできて血縁とかどうでもよくなるな。美少女JC姉妹は宇宙の奇跡。
 ちなみに本作はカクヨムからの書籍化ですが、WEB版を読んでいないどころかノーチェックでした。こんな作品を薦めないなんて公式レビュアーはいったい何をしてるんだ怠慢だな。あっ、俺だった!
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2018年07月14日

「好きなライトノベルを投票しよう!!2018上半期」に投票します

好きなライトノベルを投票しよう!!」に投票します。

長い感想を書く時間がなかったので、感想は一言コメントで。

『錆喰いビスコ』
【18上期ラノベ投票/9784048936163】

新人とは思えぬキャラ、ストーリー、文章力がいずれも高い次元で融合した完成度、そして独特の世界観に圧倒される。

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!
【18上期ラノベ投票/9784094517323】

ラノベ業界をぶった切るストーリーが衝撃的。内容の正否については賛否両論あるけれど、業界に関わる者であれば必読。

『青春失格男と、ビタースイートキャット。』
【18上期ラノベ投票/9784040728032】

正直、キャラや展開については煮え切らない点もあり不満もあるが、ぶっ飛んだ性癖をためらわず読者の顔面に投げつけてきたところが個人的には高評価。

『ミリオタJK妹!』
【18上期ラノベ投票/9784797394306】

異世界でミリオタを無双させるという、誰もが考えついたけど誰もまともにやれずにいるネタをど直球にやっているのがよい。ファンタジーで対空戦術を議論する前にまず読んでおいて欲しい一冊。

『ファイフステル・サーガ』
【18上期ラノベ投票/9784040726991】

王道戦記もの。半年に1作品くらいはこういう王道のファンタジー戦記ものが出てこないと不安になる。いい意味でクレイジーな主人公がお気に入り。

『真・三国志妹』
【18上期ラノベ投票/9784040726243】

どうして三国志と妹を混ぜようと思ったのか。『織田信奈の野望』がシリアス路線に行ってしまったけど、本当は妹のおっぱいを書きたいんだよという作者の真摯な思いは伝わった。

『オタギャルの相原さんは誰にでも優しい』
【18上期ラノベ投票/9784040699547】

ギャルがオタクに流行っているという噂を聞きつけた取材班は、その真相を探るべくオタギャルの生態に迫った。結局、オタクの僕らは積極的でヲタトークができる美少女に弱いことがわかった。

『教え子に脅迫されるのは犯罪ですか?』
【18上期ラノベ投票/9784040691794】

働く大人の男の格好さが現れた年の差ラブコメ。作者本人も塾講師の経験がありそれがリアリティに生かされている。変態王子シリーズの世界観と若干リンクしている(?)のが気になる。

『西野 〜学内カースト最下位にして異能世界最強の少年〜』
【18上期ラノベ投票/9784040698595】

「小説家になろう」で二回も警告を受けてカクヨムから出版化したという怪作。世にスクールカーストもの学園ラブコメは数あれど、主人公がまったく救われないスクールカーストの最底辺主人公である。主人公の西野とバーテンダーのマーキスとの茶番が唯一の癒やし。それ以外、ヒロインも同級生も全員クズ野郎でストーリーも始終不愉快すぎる。誰一人好きにはなれないが、だからといって作品に低評価をつけたら負けかなと思っている。マイナス方向に振り切っているとは言え、物語に心を揺さぶられ、感動させられたということには違いない。読者がどこまで許容できるか、寛容さを試されている。西野はズレたところもあるが他人にないセンスの持ち主であり、主人公として濃いキャラに自分は好感を持っている。ただ「西野も気持ち悪い」という他の人の感想を否定はしない。それもわかる。評価が真っ二つに割れるというか、この作品を純粋に楽しめるのは絶対に少数派だ。わかりきっている。それでもこの作品に目をつけて出版化にゴーサインを出したMF文庫は英断だった。このような作品が世に出ることで読者の凝り固まった価値観や意識を変えてカテゴリエラーの壁を壊し、新しい作風を吹き込んでいくのだ。この作品は壁に空いた穴そのものだ。穴であるから何かがあるわけでも何かを得られるわけでもない、空白の虚無だ。しかし穴は確かにそこにある。自分たちは穴を通していままでにない世界を垣間見ているのだ。

以上です。
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2017年03月21日

キラプリおじさんと幼女先輩/岩沢藍


女児向けアイドルアーケードゲーム「キラプリ」に情熱を注ぐ、高校生・黒崎翔吾。親子連れに白い目を向けられながらも、彼が努力の末に勝ち取った地元トップランカーの座は、突如現れた小学生・新島千鶴に奪われてしまう。クリスマス限定アイテムを巡って巻き起こる、俺と幼女先輩の激レアラブコメ!

 俺より可愛い奴に会いに行く

 女児向けアーケードゲームに情熱をかける男子高校生と女子小学生のラブコメディ。

 うわ、幼女先輩つよい。女児向けアーケードゲームは可愛さで相手を殺すゲームだったのか。
 女児向けアーケードゲーム「キラプリ」ガチ勢である主人公・黒崎翔吾と女子小学生の新島千鶴がぶつかり合いながら、ゲームを通じて年齢の差を越えた友情を築いていく姿が微笑ましかったです。
 しかし女児向けゲームにルナティック級の難易度を設定するキラプリ制作スタッフは絶対頭おかしい。

 女児向けゲームをプレイするためにバイトしたり、ファッション誌を読んだり、生活をかけている翔吾の廃人っぷりが可笑しいです。どう見てもアブない奴ですが、ここまでやってるなら逆に尊敬するわ。
 そんな翔吾を小さな女の子がコテンパンに叩きのめすから面白いんだ。格下にプレイする権利はないとばかりに翔吾を鼻であしらうドS幼女な幼女先輩の毒舌の嵐がご褒美すぎます。俺も罵られたい。

 負けず嫌いで意地っ張りで生意気な千鶴ですが、お嬢様らしく変なところで世間知らずだったり、背伸びしていたり、まれに弱みを覗かせたり、年相応の女児っぽいところもあって本当に可愛いんです。
 初めはお互いにいがみ合って敵視していた二人が、己の可愛さを競い合ったり、映画館に行ったりするうちに、対等な相手として認め合い、力を合わせて困難を乗り越える展開に胸が熱くなりました。

 本気の趣味をバカにされ理解されない辛さや孤独は、オタクやゲーマーなら誰でも身に沁みて感じた経験があるんじゃないでしょうか。カラオケやパーティも結局は達成感や充実感を得るために参加するわけで、目的や行動が違うだけでゲームだってアイドルのライブだってみんな同じだと思うんですけどね。
 千鶴の境遇が明かされておらず、まだポテンシャルを隠しているようなので次回に期待です。
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2016年09月12日

クロバンス戦記 ブラッディ・ビスカラ/高村透

4048923501クロバンス戦記 ブラッディ・ビスカラ (電撃文庫)
高村透 p19
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2016-09-10

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革命勢力「黄金の地平」の一員である少年ビスカラは、クロバンス王国を変えるために、多くの少女たちとともに命を省みず戦っていた。のちの歴史家は言う。「ビスカラは英雄だ」と。しかし、若きビスカラの前に広がっているのは、普通の人間では耐えられないような血塗られた道だった。

 最大多数の幸福のやむなき犠牲

 過去に遡る「リテイク」の力を得て、のちに英雄となる少年の血塗られた道を綴る悲壮なるファンタジー戦記。

 ハーレムものかと思いきや、ヒロインがどんどん死んでいくやつだわー。こういう救われないの好きです。
 時間を遡って失敗をやり直す「リテイク」の力を与えられた革命家の主人公ビスカラが、政府軍と戦い、貴族によって腐敗した現政権を打倒していくのですが、リテイクの代償として愛する人を犠牲にしなくてはならず、最大多数の幸福のために大切な人をその手で殺していく、理想と現実の間で懊悩する姿に胸が痛みました。

 ビスカラは新興貴族の生まれで、貴族や金持ちが通うエリートの高等学校で主席をとるほどの優等生ながら、素行不良で民主主義に傾倒して、反体制運動にも参加する問題児なんですが、『血の行進事件』という政府軍による市民虐殺を機に、美しき指導者ラスカリナと共に革命軍を立ち上げ国家に戦争を挑むことになる。
 病弱なのに性格は苛烈な絶世の美少女ラスカリナの民主論の信念や熱血的な言動に惹かれますね。

 もともと長引く戦争と内戦によって労働適齢期の男性人口が極端に減り、革命軍といっても貧困層の子供や女性たちばかりで、指導者ラスカリナを始めとして、ビスカラの周辺は女の子揃いなんですが、どの娘も理想に酔っていて現実が見えておらず、戦術もなしに本職の正規兵相手に玉砕特攻をしかけていくような視野の狭さが危なっかしく、士気は高いにも足元がグラグラで、いつ破綻してもおかしくない組織像がヒヤヒヤさせらる。

 幹部の中では唯一、政治や経済に通じ、理想を掲げながらも現実的な判断ができるビスカラにさまざまな負担がのしかかっていくのですが、実働部隊を率いる副長ベルナレットと派閥争いを繰り広げることになってしまい、ビスカラなしでは資金も資材も整わず運営が立ち行かない組織を支える要でありながら、強権を振るう者として同胞からもよく思われていない人間関係がなんとも報われません。

 政府軍と比べれば、力でも数でも装備でも劣る革命軍を率い、奇抜な戦術を駆使して奇跡的な勝利を繰り返し、一見すると革命軍が勢いに乗って絶好調のよう見えても、すべては「リテイク」によって知り得た相手の策を逆手に取っているだけで、戦のたびにその生け贄としてビスカラが大切に思う人がひとりずつ亡くなって、周囲が、勝ち戦の喜びに沸くなかで一人、誰にも知られずに苦悩を抱える姿がやるせない。

 ビスカラも革命が掲げる最大多数の幸福を実現するためのやむなき犠牲と理性では割り切りつつも、本当は殺したくなんてなくて、しかし、すでに払ってしまった命を無駄には出来ず、悲しみと罪悪感で自分を責めながら止まることも引くことも許されず、少女たちを手にかけていく、しかしビスカラのことを誰も責めずに粛々と死を受け入れる献身がまた切ない。稀代の戦術家としての栄光の道を歩むと共に、引き返せない孤独の道を歩んでいく展開が読んでいて辛かった。

 英雄とは孤独なものであると言われるが、誰しもが臨んでそうなるわけではないというのを思い知らされる一冊
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2015年05月16日

僕と彼女のゲーム戦争 8/師走トオル

4048651315僕と彼女のゲーム戦争 (8) (電撃文庫)
師走トオル 八宝備仁
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-05-09

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秋葉原のゲーセンで遊んでいたことが父にバレてしまい、部活禁止を言い渡されてしまった天道。天道の部活復帰のために、世界レベルで商業的に成功したゲームの例を提示することで、どうにか天道の父の理解を得ることに成功する。しかし天道が部活に復帰するためには、大会で結果を残すという、交換条件が出されてしまう。

 時空を超えた戦い

 名門女子校のゲーム部に入部した少年がチームメイトと共に世界大会を目指すゲームライフラブコメ

 カラー口絵の男女の格差ワロタwっていうか誰だ!? これは人物紹介の意味をなしているのだろうか。
 ゲーセンで遊んでいたことが父親にバレてしまい、部活禁止を命じられた天童の部活復帰を賭け、ユーザー数最多タイトル『リーグ・オブ・レジェンド』の大会で実績を残すため、団結する5人の姿に胸が熱くなった。
 やはりチームワークが重要なチーム戦は、それぞれのキャラが相乗効果でより魅力的に映えますね。

 『電撃FC』は、いつか登場すると思ってました。『電撃FC』は従来の格闘ゲームと違って、初心者でも勝ちやすい仕様になっているから岸嶺向きですが、対人戦の駆け引きはなんかちがくないかそれ……。
 天童父のゲームへの偏見は古臭すぎますが、こういう大人いるいる。ゲームは遊びだけれど娯楽だって立派な産業だってことがわかってない中年が多過ぎる。そういう大人が日本をゲーム後進国にさせてるんですよ!

 『リーグ・オブ・レジェンド』の大会に向けて戦術や立ち回りを研究するシーンだけですでに面白い。キャラクターが100体前後で技も4つずつしかないと知って「少ないな」と思ったのは私だけでしょうか。
 またもや《宵闇の魔術師》チームと対決することになり、どちらのチームも譲れない思いを抱えて勝負に挑み、ゲーマー全員が仲間のためを考えて勝利を目指し、技術と知識と意地でぶつかり合うから素晴らしいんだ。

 『リーグ・オブ・レジェンド』は興味はあるんですけど、チーム戦が重要なゲームで言葉の壁があるとそれだけでハードル高いんですよね。あと私自身が海外ユーザーのチームワークを信頼してないってのもある。
 ゲームの上級者になるのには、経験も知識も必要ですが、私の意見としては自分に合ったスタイルを見つけてそれを磨くことだと思います。まあ考え方はいろいろあるでしょうけど、さて岸嶺はどんな道を選ぶのか。

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2015年05月14日

魔法科高校の劣等生 16 四葉継承編/佐島勤

4048651161魔法科高校の劣等生 (16) 四葉継承編 (電撃文庫)
佐島勤 石田可奈
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-05-09

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司波深雪の許へ、四葉本家から一族の有力者が顔を揃える新年の集い「慶春会」の招待状が届く。それが意味するものは、四葉家次期当主の指名。―自分が後継者に選ばれれば、兄も日陰者に甘んじなくて済む。―次期当主の地位にはきっと、それに相応しい「婚約者」が付いてくる。深雪の心は千々に乱れる。

 氷の心に秘めし想い

 近未来のエリート校である魔法科高校に入学した兄妹が繰り広げるマジカルバトルアクション。

 表紙からにじみ出る少女漫画のバカップル臭。そりゃお前らもう婚約しちゃえよ!といいたくなりますよね。
 四葉本家の新年行事「慶春会」への招待を受けた達也と深雪が、次期当主の指名を快く思わない分家筋から度重なる妨害を受けながら「慶春会」ヘ挑み、そこで明かされる兄妹の出生に関わる四葉の闇に驚愕しました。
 冒頭の人物紹介と解説で25ページも使ってる、巻を重ねるごとに順調に長くなっているなぁ。

 四葉の次期当主の地位には執着が無いが、お兄様の扱いが改善されるならばと思いつつも、お兄様以外の男性を婚約者に決められるのは耐え難い。口に出せず胸に秘めたまま散れ散れになる深雪さんの乙女心が切ない。
 兄妹の「慶春会」出席を拒む分家にまんまと利用されるかつて達也に敗れた組織の残党の皆さんが哀れ。負けフラグを自分から立てていく出来たモブ。候補者たちも家のしがらみに巻き込まれていい迷惑でしょうね。

 生まれてくる子供にドロドロした恨みを押し付ける四葉の大人たちの醜悪さが胸糞。身勝手だなぁと思いますが、十師族なら身内にも非情にならねばならないものかと、改めて常識の欠如を見せつけられましたね。
 けど真夜さんの笑顔で周囲の人物を掌の上で躍らせる悪女感は好きですね。他人に翻弄される兄妹というのも珍しいし、深雪さんの思わぬ愛の告白に戸惑う達也が久しぶりに人間っぽくてニヤニヤしてしまいました。

 達也と深雪の関係については、読者によって批判あるようですが、私は『別にいいんじゃない。そっちの方が人間関係がややこしくなって面白い展開なりそうだし』です。深雪さんが幸せそうだからいいんだよ!
 ついに兄妹と四葉家の関係が世間にも明らかになり、知人友人たちの反応が楽しみでなりませんが、クリプリさんまだ諦めてなかったの……。いまのところ達也に勝ったためしがないのですがまた恥を上塗りするのか。

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2015年04月18日

竜は神代の導標となるか/エドワード・スミス

4048650556竜は神代の導標となるか (電撃文庫)
エドワード・スミス クレタ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-04-10

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地方郡主の子カイ。武道はだめだが、頭は回り口も達者。幼馴染のエレナを許嫁とし、ささやかな領地を継ぐ。待つのは平凡だが幸せな人生。だが、事態は一変する。王国軍戦略参謀ウェインが王位を狙い挙兵したのだ。エレナが王位継承権を持つ血筋であったことから、カイは戦乱の只中に巻き込まれていく。

 かの竜は世界の守護者か破壊者か

 戦乱に陥った王国を立て直すため地方貴族の少年が王位をかけて鉄の竜を駆る英雄たちの物語

 ドラゴンとロボットは男の子のロマン! それが融合してるんだから、好きにならずにはいられないな!
 謀反によって勃発した内乱に巻き込まれた地方郡主の少年カイが、許嫁であるエレナを守るため祖父の残した騎士竜レイバーンに乗って反乱軍に立ち向かい、巨大兵器が大激突するバトルが手に汗握りました。
 戦記ファンタジーかと思いきや、熱いロボットアクションものでした。敵も味方も魅力的でこれはいい!

 武芸はへっぽこだが弁が立ち領民に好かれるカイと、そんな彼のぐうたら振りを叱りつつも長所を理解するエレナの気心の通じあった幼馴染みの関係が微笑ましく、いまどき珍しいくらい王道な主人公とヒロイン。
 クーデターが起き、反乱軍の操る鉄騎竜に故郷の街を焼かれるなか、祖父の研究していた新兵器である騎士竜レイバーンを起動し、見事に敵を撃退したはいいものの、平穏な日常が崩れていく展開がやるせない。

 遠縁ながらも王家の血筋であるエレナの命を狙ってくる反乱軍に対し、ゴタゴタを繰り広げながらも地方郡主たちが一致団結して、エレナを旗頭に政権争いに名乗りを上げる光景がなんともロマンと野望あふれる。
 これまで鉄騎竜を持てない下級の地方群主は、中央政府や大領主の横暴に大人しく従うしかなく、悔しい思いをしていた郡主や領民たちと力を合わせ、積年の鬱憤を晴らすカイとレイバーンの無双ぶりが痛快でした。

 反乱の首謀者であるウェイン・クローザの傑物っぷりや、王国最強の騎士ルガールの天才ぶりも敵として実に手強く、配下の戦力も強大で付け入る隙がなく、そんな相手にどうやって立ち向かうのかと期待が高まる。
 戦略面での駆け引きというのはそれほどでもなく、戦術的なアクションに重点を置いているっぽいですが、それだけでは物足りないので、綺晶機関を活かした技術攻めプレイでもしたら面白いんじゃないだろうか。
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2015年04月15日

このラブリードールは俺の妹ですか?/芦屋六月

4048650629このラブリードールは俺の妹ですか? (電撃文庫)
芦屋六月 わだつみ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-04-10

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日々魅力的に成長していく妹への劣情を抑えきれない俺は、その背徳的なリビドーから逃れるように、偶然出会った自主映画製作チームに参加することにする。美しくも凜々しい乙黒監督、幼女にしか見えないもちこさんなど、個性豊かな人たちと映画作りに没頭していたある日、運命の出会いを果たす。

 ラブドールより妹がいい

 妹LOVEの少年が変人集団と自主映画作りに挑むコミカル青春ストーリー

 兄妹愛はこの業界では合法だから。むしろ兄妹は結ばれるべくして結ばれる運命だから。幼馴染?知らんな
 妹が好きすぎる不登校の主人公・恋木杳一郎が、ひょんなことから自主映画制作にたずさわることになり、アクの強いスタッフたちに翻弄されながらも他者との関わりを得て引きこもりから脱却していく姿がよかった。
 最近ラノベの妹ブームの再燃がキテる? いや、もはや定着したジャンルとして確立してるのだろう。

 両親の離婚や自由奔放な兄に代わって妹の世話をするようになり、そうした兄妹愛をこじらせて実の妹みさらに恋するようになって悶々とした気持ちに耐えながら妄想小説を綴る日々を過ごす杳一郎の姿が痛々しい。
 想われてるとは知らない妹のみさらもブラコン気味で、兄と同じく友達のいないゲームオタクのぼっちで、忙しくて構ってくれない兄に嫉妬したり、杳一郎も真に受けて狼狽えたり、微笑ましい兄妹関係が和みます。

 杳一郎を映画作りに誘ったスタッフも、ハゲのオカマだったり、ネットアイドルの衣装係だったり、合法ロリの音響担当だったり、レンズ越しにしか女性を愛せないイケメンだったりと変わり者揃いで、監督と主演女優が演技を巡って大喧嘩したり、大道具として妹そっくりのラブドールを使っていることが妹にバレてしまったりとハプニングに振り回されながらも映画製作に奔走し、仲間として受け入れられていく光景が素敵でした。

 ただ脇役の乙黒組の面々が濃すぎて、メインであるはずの杳一郎とみさらのキャラが負けているんですよ。
 題材やキャラや物語要素はいいのに詰め込みすぎて方向性がとっちらかってる感じが残念ですね。映画制作をテーマにしていたはずなのにキャラに焦点が当たりすぎて、撮影風景が駆け足気味で結局ダイジェストになってしまっているように思います。もう少し彼らが映画制作にかける思いや情熱を掘り下げて欲しかった。
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2015年04月12日

俺の人生は神ゲーである!/末羽瑛

4048650734俺の人生は神ゲーである! (電撃文庫)
末羽瑛 U35
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-04-10

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青春の二文字とは無縁のゲームバカ・有野晴希の前に変な美少女が現れた!“コマンド?→はなす にげる”「私は神聖でありがたーい女神です。人間は神様がプレイするRPGのキャラで、晴希さんは私が操るキャラなんですよ」―どうやら神々しい姿の少女は、神様の学校に通う運命の女神…の卵で

 人生は神様のゲーム

 ゲームバカと運命の女神候補生がおくる青春ロールプレイングコメディ

 過去の歴史を見ても運命の神様たちはゲームが下手すぎる! にわか神はまず攻略wikiを読めよ!
 プロゲーマーを目指す主人公・有野晴希の前に彼の人生をゲームとしてプレイする運命の女神(候補生)プルミエールが現れ、協力プレイでそれぞれの夢を目指して努力する姿がドタバタでコミカルで楽しかったです。
 どんなクソゲーでも誰かと一緒にプレイすればクソゲーも神ゲーになる。それは人生も同じなのだろう。

 プロゲーマーを目指す晴希は、RPGのタイムアタックで全国大会でも好成績を残すほどの腕前なのですが、大企業を運営する兄社長の妨害によって毎度チャンスを潰されて夢を断ち切られる苦悩がやるせない。
 そんな晴希の現れた女神プルミエールは落ちこぼれの運命の女神候補生で、試験課題として晴希の人生を操作することになるのですが、生来のゲーム下手でことごとく選択行動が裏目に出てしまう天然ぶりが可笑しい。

 晴希に青春をおくらせるため、政略結婚の相手だった大企業のご令嬢・夏目川凛子が転校してくるのですが、こちらはこちらで裏表が激しい性格で、絶賛反抗期な晴希と意地を張って口喧嘩を繰り返しながらも、本音で向きあえて自分の夢をしっかり持って努力している彼に徐々に惹かれていく乙女心がときめきますね。
 デートの約束をした前日にプルミと晴希のデートを目撃してしまい三角関係にこじれていくのも実に青春!

 オタクなゲーマーにとって可愛い女の子との青春というクリア目標はクソゲーすぎ。勝手に運命をいじくる神様たちの介入に翻弄されながらも夢も青春も諦めずに正面から立ち向かう晴希の真摯な姿が胸に迫りました。
 ただプルミと晴希の関係にクローズアップした結果、凛子の立ち位置が当て馬で終ってしまった。ステータスの「うん」の少なさとか、彼女の夢はあるのかとか、晴希と対照的なキャラに描く予定だったんじゃないかな。
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2015年03月14日

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン U セカンド・スクワッド・ジャム/時雨沢恵一

4048690957ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン (2) ―セカンド・スクワッド・ジャム (上)― (電撃文庫)
時雨沢恵一 川原礫
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-03-10

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第二回スクワッド・ジャム。知らせを受けた前回優勝者のレンこと小比類巻香蓮だったがあまり気が乗らない様子。しかし、「第二回スクワッド・ジャムの夜に、人が死にます」敵として出場するピトフーイを《SJ2》内で倒すことでしか、"最悪の事態"を避けられないと告げられ。香蓮は苦悩の末、大会への参加を決意するのだが

 戦場の美しき殺戮姫

 仮想世界でチビのアバターを手に入れた女子大生が戦場を駆け巡るガンアクション。SAOスピンオフ。

 また幼女詐欺かよぉおおおおお!? これだからゲームのアバターの見た目は信用出来ないんだって…。
 第二回スクワッド・ジャムの開催が告知され、その大会中、友人であるピトフーイが死ぬかもしれないという話を聞いた香蓮が再び『ガンゲイル・オンライン』の世界へ舞い戻り、大暴れする姿が痛快で爽快でした。
 参加者たちも個性豊かでアクが濃い! 新体操チームのメンバーのなかではミラナちゃんが一番好きです!

 ゲームに文字通り命をかけるピトフーイの情熱は、狂気とも思える徹底ぶりにビビリつつも、理解できるところもある。デスゲームだとしてもSAOの世界に行けるなら私だって行きたいですよ。VR技術実現しないかなぁ。
 そんなピトフーイに惚れるエムさんの愛も同じくらい狂気めいていて、できるならお近づきになりたくない種類のカップルである。ゲーマーとしては優秀でも味方もろともというスタイルではゲー友少なそう。

 エムの代わりとして助っ人に呼んだ香蓮のリア友・美優のアバターもレンに劣らずチビのアバターで、ダブルグレネードというロマン装備で榴弾をバラ撒いて遠距離から一方的に虐殺しまくるプレイが、スピード重視のレンのスタイルとも違った爽快感があってスカッとする。一方、エムの率いるチームは、ベテランプレイヤーならではの相手の意表をつく作戦で数の不利を覆すプレイングが玄人好みで、どちらも甲乙つけがたい。

 見事にピトフーイのかませ役になってしまった7チームのモブプレイヤーたちですが、こういうゲーマー同士の友情が感じられるシーンはいいですね。モブだけど。でも、一緒にゲームするならこういう人たちに限る。
 上下巻構成ということで、ライバルチームである新体操部JKチームや新顔の狙撃手チームたちの見せ場はほどほどですが、次回は熱い激突を期待したいですね。エム&ピトフーイの牙城をいかに崩すのか、楽しみです。

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2015年02月19日

天使の3P!×5/蒼山サグ

4048692577天使の3P!×5 (電撃文庫)
蒼山サグ てぃんくる
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-02-10

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お互いを意識し始めた響と桜花。そんな中、学園祭でのクラスの出し物担当になってしまった響のことを桜花も気にしてくれているのだが、ぎくしゃくは続いたままで―。案を練る響を応援しつつ、学園祭を楽しみに待つ潤たち。そこにキッズバンドフェスの話が舞い込んできた。さらなる成長を目指し、動き始めた結末は

 迷ったときは小学生を見つめよ

 動画サイトでボカロPとして活動する男子高校生とバンド少女たちのロックンロール・ラブコメディ

 ついにライブしなくなった! 幼女とデートしてるだけだこれ! それもよろしいんじゃないでしょうか。
 些細な一言で桜花との間に気まずい空気を抱えてしまった響が、コンテストを目指し作曲作りに励む少女たちを指導する一方で、彼女らの助けを借りながら桜花の気持ちと正面から向き合う姿が心温まりました。
 引きこもりから一気に女子に囲まれるリア充にクラスチェンジしてるんだけど、これが音楽の力か!

 部活動に入ってないことを理由にクラス展示の代表者を任されてしまう響の境遇が「ぼっちあるある」ですが、それにしても周囲も丸投げもいいところで助けを求められる友達も少ない元引きこもりにはキツイなぁ。
 唯一、頼れる桜花とはぎくしゃくとした関係が続いていて、さいわい優しい女子陣の助っ人が現れて二人の仲を取り持とうとしてくれるのだけれど、そのお節介に意固地になってしまう桜花の乙女心がもどかしい。

 キッズ限定のライブコンテストに出場するため、『リヤン・ド・ファミユ』と貴龍率いるライバルバンドに作曲指導を始めるのですが、『道に迷ったら小学生を見つめよう』とか、真面目なシーンでさらりと上級者発言が飛び出してくるから侮れないな。小学生優秀すぎて、響きがあっという間に追い抜かされてデート相手くらいしか役割が回って来なくなるんじゃないかと危惧している。というか、響さん女子小学生とデートしすぎぃ!

 響と仲直りをして関係を少し進めて、このシリーズにおける本妻の座をかろうじて死守した桜花ですが、ヒロイン勢では希美の方が精神年齢高くてお姉ちゃんしていて、むしろ読者としては希美の株が上がったのでは。
 お互いの新作発表とバンド対決は次回へ持ち越しとなりましたが、外部でのライブに出て行くとなると、また新しい幼女が登場してテコ入れする可能性もありえそうだなぁ。次は小学生の学校行事もやろうそれがいい。

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2015年02月16日

ひとつ海のパラスアテナ/鳩見すた

404869247Xひとつ海のパラスアテナ (電撃文庫)
鳩見すた とろっち
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-02-10

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透き通る蒼い海と、紺碧の空。世界の全てを二つの青が覆う時代、「アフター」。セイラー服を着た14歳の少女アキは、両親の形見・愛船パラス号で大海を渡り荷物を届ける『メッセンジャー』として暮らしていた。ある日、アキは航行中に恐るべき『白い嵐』に遭遇、船を失って浮島に取り残されてしまう。

 運命という荒波を越えて

 海しかなくなった世界で船乗りの少女が苦難と挫折の嵐の中を旅する海洋冒険ファンタジー。

 これは実に卑怯な作品だ。こんなん読んだら嫌でも泣いてしまうに決まってるやん( ;∀;) イイハナシダナー
 すべての文明が海に沈んだ世界で、性別を偽ってメッセンジャーとして生きる船乗りの少女・アキが、過酷な運命に翻弄され、大切な人との出会いと別れを繰り返して世の中を知り成長していく姿が胸に迫りました。
 ただ平凡に生活することさえ困難な世界で、精一杯に懸命に生きる少女の生き様に心を揺さぶられました。

 海賊に両親を殺され天涯孤独となり、両親の形見の双胴船パラス号で細々と島から島へ物資を運ぶメッセンジャーとして生きているアキの悲惨な境遇が哀れで、もうそれだけで目尻に涙が浮かびそうになるのですが、嵐の中で大切なパラス号を失い無人の漂流ゴミ島へと漂着して、助けも呼べないサバイバル生活の中で唯一の友人だったキーちゃんを亡くしてと、次から次に災難が襲いかかってくるから読むのが辛くて耐えられない。

 そんな時にアキと同じく難破中の船に乗った少女タカと出会い、勇敢で聡明な彼女と二人で助けあって海域を脱出し、女二人旅が始まってかけがえの無い親友となっていく二人の関係がとても色めいていて甘酸っぱい。
 旅の途中、またしても海賊と遭遇してしまうのですが、今度こそ大切な人を守るために大人の集団相手に孤軍奮闘し、臆病な子供から勇敢な海の男(女の子だけど)へと大きな成長を遂げるアキの勇姿に感動しました。

 まあ世界観はSFとしては奇妙な部分が多々あって、食品の永劫腐敗処理が可能なほど発達した科学文明があったのに完全に断絶して失われていて、原始的な生活をしているのはさすがにやり過ぎじゃないですかね。
 普段、現代人が忙しさや便利さの裏で忘れている命の重みや生きることへ執念を感じさせてくれるいい作品だとは思うのですが、世界観の設定は大航海時代とか、異世界じゃダメだったんでしょうか。なんか非常に惜しい。
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2015年02月14日

ラテラル 〜水平思考推理の天使〜/乙野四方字

4048692496ラテラル 〜水平思考推理の天使〜 (電撃文庫)
乙野四方字 おかだアンミツ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-02-10

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瑞平すすめ。極限まで肌を隠し、合成音声で自己紹介する不可思議な少女。アクシデントがきっかけで論がその肌に触れた瞬間、突如世界が暗転した。『天使』が支配する闇の空間に引きずり込まれた論は、その空間とすすめの謎を解き明かすため、『天使』が生み出す謎の【状況】の【解明】に挑む――

 何故、少女は沈黙を選んだのか?

 奇妙な空間に閉じ込められた少年少女たちが水平思考推理ゲームに挑む謎解き系学園ミステリもの

 前作は個人的に辛い部分が目立ち、自分とは合わない作家かなと思ってたのだけれど、これは面白かった。
 他人との接触を避ける不思議な少女・瑞平すすめに触れると引きずり込まれる異空間で、主人公・論と級友たちが、難問に挑んで友情を築き、過去に現実世界で起きた事件の真相に迫っていく過程が興味深かった。
 人の死なないパズルミステリ。人の生き死にが関わってないのでゆっくり推理や思考に集中できました。

 マイペースで理知的な論と感情豊かな幼馴染みの結瑠のバカップルぶりにほっこりしつつ、言葉を無くした不思議な少女・瑞平すすめと彼女の親友・晴希の秘密をひょんなことから知ってしまい、彼女らの抱える問題に関わるようになって、周囲と壁を作る彼女らと衝突しながら関係を発展させていく四人の姿が微笑ましかった。
 四人とも普通とはちょっと変わった感覚や感性の持ち主なので、変人同士が合わさる化学反応が可笑しい。

 瑞平すすめの作り出す異空間では、ウミガメの天使ウミエルが出題する問題に正解するまで出られず、『ウミガメのスープ』という表題で有名な水平思考推理ゲームに挑むのですが、登場人物らの掛け合いの中からヒントが芽生えて、突拍子もない答えに行き着く思考展開が毎回意外であっと言わされる。読んでいて『自分は頭が固いなぁ』と何度も悔しい思いを味わいますが、次こそは問題を解いてやると推理意欲を駆り立てますね。

 ただ頭の良い論だけ活躍するのではなく、女子ならではの考えをする結瑠や脳筋の晴希の素直な発想力が活きたり、お互いに力を合わせて問題に取り組み、正解への道筋を作っていく思考の共同作業が不可欠で、いつの間にか相手への警戒心や猜疑心も忘れて謎解きに夢中になってしまう水平思考推理ゲームの魅力が素敵でした。
 これ人狼などの対話型ゲームが好きな人は楽しめると思いますね。彼らに混ざってやってみたいなぁ。
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2015年01月15日

魔法科高校の劣等生 15 古都内乱編 下/佐島勤

4048691678魔法科高校の劣等生 (15) 古都内乱編 (下) (電撃文庫)
佐島勤 石田可奈
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-01-10

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四葉家当主・四葉真夜による「横浜から逃亡した周公瑾の捕縛に関する協力依頼」を受けた司波兄妹は、京都で九島光宣と出会う。その光宣と共に周の捜索を行うも、手がかりは未だ掴めなかった。そんな折、七草家のボディガード・名倉の訃報が達也たちのもとへ届く。弔い合戦として、周捜索に真由美も参戦、事態は動き出す。

 古都の闇を照らす三つ星

 近未来のエリート校である魔法科高校に入学した兄妹が繰り広げるマジカルバトルアクション。

 やだ…このイケメントリオ……かっこいい。クリプリさんもちゃんと十師族やったんじゃなぁ。
 逃亡中の周公瑾を追って京都にやってきた達也たちが、古式魔法師たちの妨害を退けながら足取りを探し、内乱の種を摘み取るべく、九島光宣や一条将輝らと共闘しての周との対決に挑む姿が格好良かった。
 四葉家を始め、十師族と国家を巻き込んで様々な思惑が絡み合う追走劇の展開に引き込まれました。

 周公瑾を追う達也たちの前に、捜索を妨害する古式魔法師たちが次々に現れ、論文コンペの警護にやってきたレオやエリカ、幹比古たちもお鉢が回ってくるのですが、この3人は戦闘中でも言葉の掛け合いが楽しいな。
 たまたま居合わせた一条将輝も巻き込んで、上手いことパシリに利用するなんて流石はお兄様。極秘情報や機密事項をさらっと口にしてしまわれるなんて流石はお兄様。今に始まったことではない。もはや鉄板ネタか。

 京都の行く先々で魔法師との大立ち回りを演じているのですが、当然だけど犯罪捜査とか高校生のやることじゃない。取り締まりや尋問、鑑識作業も1人でできるなんて流石はお兄様ですわ。それ以外、何を言えと?
 お兄様が市内を走り回ったことで周公瑾の潜伏場所を突き止めることに成功し、敵地へ乗り込むのですが、クリプリさんがお兄様無双に驚くだけの役割しか与えられてなくて草。お兄様なら燃料も分解できそうじゃね。

 お兄様のご活躍ですべて世はこともなし大団円なんだけれど、魔法科生の大イベントである論文コンペが1ページくらいで終わってしまった。そしてカーディナルなんとかさんは今年も優勝できなかったのか……。
 光宣くんに見惚れてる美波ちゃんが人間味あって可愛かったけど、光宣くんも何やら裏がありそうなキャラですね。クリプリさんにもこの大物オーラを見習って欲しい。登場する度にチョロくなってますよね彼……。

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2015年01月13日

がて魔剱のアリスベル 5 必殺の時刻/赤松中学

4048690434やがて魔剱のアリスベル (5) 必殺の時刻 (電撃文庫)
赤松中学 閏月戈
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-01-10

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仍島での激闘から、急造した"暦鏡"でさらなる過去へと逃げ延びた静刃たち。何度も時間を跳躍したため、自然から"異物"と見なされ始めた彼らが辿り着いた場所――それは2009年のドイツだった。"極東戦役"と呼ばれる抗争の只中で静刃たちは、抗争の敵方にいる『呪いの男』の暗殺を依頼される。

 過去を欺け、未来を掴め

 異能を持つ少年少女たちが、それぞれの願いをかけて戦い合う学園異能バトル・ラブコメ。

 真・お嬢様アリスベルがかわいすぎるんじゃ〜そしてエロい。ありがとうございますありがとうございます
 さらに時間を遡り、極東戦役真っ只中のドイツへとやって来た静刃とアリスベルが、時間の修正力に抗いつつ、キンジやアリアといった緋弾のアリアシリーズの登場人物たちと交戦を繰り広げる戦いぶりが胸熱でした。
 MF文庫Jの『緋弾のアリア』を読み込んでると、このキャラ同士の遭遇戦はニヤケずには読めませんね。

 刹那の生存が気になりますが、暦鏡でかろうじて生き延びた静刃たちも度重なる時間跳躍で歴史の修正力の影響を強く受けて、見知らぬ土地で傷ついた身体に不運と困難続きの状況を強いられてハラハラさせられる。
 元の世界に戻る資金を稼ぐため、『眷属』の傭兵として魔女連隊に雇われ、『呪いの男』キンジを狙うことになるのですが、こうやってキンジやアリアとの因縁が生まれていくのかと時間軸のねじれ具合が興味深い。

 時系列は『緋弾のアリア』のXVI巻と同じで、戦闘パートも静刃とアリスベル視点で描いていて、ああ、こんなこと考えていたのかと読み比べると面白いのですが、結果は知っているのでそれはともかく、お城に泊まっている時も、クリスマスで街歩いてる時も、こいつらいつもイチャイチャしてるなと静刃とアリスベルのバカップルっぷりに惚気けられました。他のヒロインたちが頑張ってるのに、主人公と本妻はエンジョイしてんなぁ。

 無事に任務を終えて、あとは魔術を起動して元の時間に帰るだけのはずが、またしても想定外の事態が起こってという赤松先生お約束のクリフハンガーエンドですが、ここでビビたちの計画が加わってくるのかとパズルのピースがハマるような快感があります。静刃たちは無事に帰れる見込みは立ちましたが、あとは刹那の行方がどうなったかですね。本妻優遇すぎるのでサブヒロインたちにも静刃とのラブコメを与えて欲しいところ。

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