ダフロン

2010年07月18日

神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと真夜中のカルテット/あざの耕平

4797360259神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルと真夜中のカルテット (GA文庫)
あざの 耕平 カズアキ
ソフトバンククリエイティブ 2010-07-15

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傲岸不遜で、唯我独尊な天才音楽家ダン・サリエル。しかし、彼に未曾有の危機が訪れていた。それはスランプ。過去にない大・大・大スランプから彼は脱出できるのか? それとも、引退するしかないのか!? 誰の言葉も耳に入らず、慰めも届かない。果たしてこの事態の顛末は!?

 白銀の旋律、最終楽章へ

 新進気鋭の天才音楽家。けれども性格は最悪なダン・サリエルと愉快な仲間たちの日常を描く短編集。

 スランプに陥るあまりロックにジャズ、レゲエと他の音楽に手を出して、完全に自分の方向性を見失っているダン・サリエル先生の迷走ぶりが痛々しいが、いつも以上に壊れた姿が笑える。
 これだから音楽家とか、芸術家って奴らは、超面倒くせぇ! とはいえ、そうやって真剣に葛藤するのも音楽に妥協を許さない彼だからこそでしょうね。自分の腕が上がれば、おのずと求める理想も高くなる。今回のスランプもそういう過去の自分を乗り越えるために必要な時期だったんじゃないかなぁ。

 「ファンなら、褒めろ!」というサリエル先生の叫びには、作者自身の声が込められているように感じられてならない。批評に対するクリエイターの憤激は、酷評サイト管理人の愛咲としては耳が痛いですが、別に作品に悪意を持って酷評をしているわけじゃないのよ?
 客からクレームのこない職業なんて、この世にないです。ならばこそ、無駄と斬り捨てるか、糧としてより一層奮起するか、あとは本人がどうそれと向き合うかの問題だと思う。

 サリエル先生の場合は自業自得というか、規則的に仕事をする習慣をつけたほうがいいんじゃないかな。仕事中に雑誌読んだり、遊んだり、そのときの気分で作曲していたら、そりゃ勘も乱れるよ!
 スランプを復活したはいいが、謙虚といいつつも、その真逆を行くサリエル先生のいつもと変わらぬ自信過剰な態度を眺めていると、余計な心配をしていたのがバカバカしくなってきました……。

 アマディアにもついに自分の将来と向き合う試練の時が来ましたが、サリエルとカルネリの言い争いは、あれでは二人して、まるで大きい子供ですね。同属嫌悪というか、同レベル?
 いつかアマディアがサリエルの『宿敵』と名乗れる日がくるのでしょうか。二人の名前の元ネタからして、そこが作者が描きたかった終着点なんだろうな。それで結局、メインヒロインは誰なんだ……。

 これにてひとまず幕を下ろすとのことですが、この4人のドタバタはいつまででも読んでいたかっただけに名残惜しい。いつか続きを書いてくれることを願っています。

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2010年05月22日

シャギードッグ V 虹の幕間/七尾あきら

4797359617シャギードッグV 虹の幕間 (GA文庫)
七尾あきら
ソフトバンククリエイティブ 2010-05-15

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あのオズが他人にふりまわされまくる大混乱の中編他、沙織とまりんの友情。異形の大家アブドーチャの過去。桂翁が師範代に指名したありえない人物と怒れる門弟たち。まりんとバイトに行くはずが手違いで……、笑いと涙のシャギードッグ番外編、全五話。満を持して登場!

 天使の奏でた五重奏

 人体改造した格闘者と遺伝子改造の異能者が蠢く近未来ハードボイルドアクション。

◆小悪魔の遁走曲
 天才児の家出人を匿うことになり、子供相手に手玉にとられてムキになるオズが新鮮だった。
 最初は疎ましがっていた同居生活にいつの間にか心地良さが生まれていくのがとても素敵でした。
 外見も能力も二人して特別なんだけれど、その生まれつきの特別さを持て余して、周囲とのギャップを感じているところに何かお互い通じ合うものがあったんだろうなぁ。
 いつか彼には、いい男に成長して戻ってきて欲しい。

◆人魚姫はそれから
 沙織と彼女の家族のすれ違いが、もどかしいなぁ。
 過去への未練を捨てて新しい道を歩み出そうとする沙織の決意は応援したいが、将来のために過去の自分を捨てるような真似をして欲しくないという、娘を想う親心をなんとか理解して欲しかった。
 でも、こうしてお互い本気の口論になってしまうのは、それだけ両親や兄弟たちが大切に思っているからですよね。それに感情の無い人形には喧嘩はできません。段々と沙織も人間に成長してますね。
 こうした騒動を積み重ねて少しずつ両者の間の溝が埋まっていけばいいと思います。

◆あなたに捧げる花束
 ただ者ではないと思っていましたが、大家さんも数奇な人生を送っていますね。
 若い頃のアブドーチャや<ウサギ>の彼ももっと自分の身の丈に合った生活をしていたら……。
 決して恵まれた人生とは言えないけれど、いまの生活には満足してるんだろうなぁ。
 最後の花束にはちょっとホロリときました。

◆一撃
 桂翁の道場に青海塊が現れて門下生とひと悶着を繰り広げるのだけれども、拳をあわせて闘っているうちに自然と塊への敬意が生じていくのは、きっと彼らは純粋に格闘技が好きなんだろう。
 格闘プログラムを使わずにあそこまで磨き上げた強さに心打たれるものがあったんでしょう。
 まあ、いまだに青海塊のキャラが掴めないから、イマイチ好きになれないのですが……。

◆たぶん、サイコーについてない日
 バイトに行くはずが、何故か災難続きでとんでもない場所で右往左往する大介とまりんが愉快だった。
 「ついてないついてない」と言いつも、好きな男の子とずっと一緒なら、それはそれで充実した一日のようにも思える。初々しいカップルを見ているようで楽しかった。

 さて、次回はいよいよ完結編か、どんな結末を迎えるのか、期待が高まる。

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2010年05月21日

ありすとBOBO 2 下町決戦兵器マスラオ/川崎康宏

4797358874ありすとBOBO2 -下町決戦兵器マスラオ- (GA文庫)
川崎 康宏
ソフトバンククリエイティブ 2010-05-15

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ある日、工場見学に来ていたアリスたちは、見学先の町工場でマスラオと名付けられたロボットを発見。工場の社長は鼻高々。だがそのロボットを奪取すべく、遺伝子操作されたアメリカの“フルチン”&“超デブ”工作員のコンビが襲来、さらには自衛隊やらシシドーやらが入り乱れての大・騒・動!

 ここにロマンあり! ニッポンの底力

 近未来の東京で探偵を営む少女としゃべるクマの巻き起こすドタバタアクションストーリー。

 日本のものづくりを底辺で支えてきたジジイの雄姿に燃える。やだ、かっこいい……////。
 社会科見学で訪れた下町の町工場がパワードスーツを作ってて、その技術を探りにきた米軍の特殊工作員とはち合わせてドンパチを始めるとか、まさにonly in japan!
 頭のネジが飛んだシュールな設定にツッコミを入れているうちにいつの間にか夢中になってました。

 片思いの鰯田君の前だと、急に普通の女の子に戻って恥じらっちゃうアリスが可愛いなぁ。
 ファッションセンスは大分改善されたけど、でも、やはりあと少し足りないのは一般世間の感覚かな。
 しかし、そうやって頑張って一般人に慣れようとしているアリスにやたらと文句つける犀象って男子はなんなんだろう。やけに含みのある素振りだったが、アリスの知らないところで因縁でもあるのかな。

 自衛隊と機雷王・魚雷王によって、下町が戦場に一変していくところは、もうなんだよこれは。
 こっそりシシドーもバトルに乱入して事態を余計に混乱させてくれるからますます収拾がつかないんだ。
 マスラオと魚雷王の大一番は、C4の爆破にも耐えた日本の底力の勝ちでしょうね。ただの機械じゃない、作り手の人々の意地と魂が宿っているのを感じました。人型は日本男児のロマン。

 一方、ボーボーは完全に蚊帳の外かと思ったら、最後のトドメだけ刺していった。なにこれ、おいしい。
 今回は成り行きで首を突っ込むかたちだったアリスですが、彼女らしい正義感もあってよかった。
 ただ、このままでいくと鰯田君よりも天竜の方にフラグが立っていきそうな……。鰯田君のキャラがいまいち掴めないので、彼についてもっとクローズアップして欲しいところ。

 非常にカオスな展開のB級アクションですが、"それがいい"ので次もこのノリで頼む。

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2010年05月20日

で・こ・つ・ん★ 6/野島けんじ

4797360240で・こ・つ・ん★6 (GA文庫)
野島けんじ
ソフトバンククリエイティブ 2010-05-15

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サリアリをなんとか退けたあと、意識を取り戻した心愛。だが、心愛の動揺を表すように、使姫がひとりも出てきてくれなくなってしまった。そんな状況のなか、寮の威信を懸け、紅愛の生徒会長選出を占う、最強ペア決定戦が幕を開ける!真心と心愛の想いの行方は―?

 兄妹の道に果てはない

 男子禁制の女子校に入学した妹と正体を偽って潜入した兄の女神召喚ラブコメディ。完結。

 これにて最終巻ということもあって、すごい超展開で締めに入ってった。
 リップの正体が真心だと知り、一時はスランプに陥った心愛が、信じあえる仲間たちと支え合い、過酷な戦いの中で誰かを守るために成長していく姿に心を打たれました。
 妹は大好きな兄への想いを叫び、兄は愛する妹のために強くなる、最後までよい兄妹愛小説でした。

 妹が重傷で臥せっているのに、兄貴は妹の同級生と混浴とか、なんとうらやまけしからん!
 南風や音恩たちみんなして心愛のことを心配して、本当に心愛はいい友達に恵まれましたね。
 コルとチャムの繋がりがバレたことで特班メンバーにわだかまりが生まれかけたけれど、バトルロイヤルに勝つために迷いを捨てた二美の見せた紅愛への信頼が素晴らしかった。

 怪士の三兄弟とのバトルは、サリエリたちのキャラが薄っぺらく感じてしまい、かつ最初から圧倒的な力量差があるために、どうにも話の緊迫感にノリきれなかったんですが、そこかしこで真心と心愛が乳繰り合ってイチャついてくれていたので、シスコン的には満足でした。そしてのぞみん報われない女。
 カノンには20体よりさらに上の段階があるんだろうなとは睨んでいたけど、予想を軽々と超えた。
 いくらなんでも、覚醒しすぎだろ!地球ぶっ壊れちまうよ!どう考えても作者の数え違いでした。

 そもそも怪士ついての生徒側の知識不足に、学園の意図的な情報操作を感じないでもない。
 寮ごとに対立させて競い合わせるのも、余計な反乱を考えさせないようにしてるんじゃないかな。
 どうして心愛だけ特別なのかとか、殺生石についてとか、その辺をもっと突き詰めて欲しかったなぁ。
 一応の大団円を迎えましたが、どうにも投げっぱなしな……。これもう本当に続きは出せないの?

 う〜ん、まあ、ヒロインはみんな可愛かったから良しとしよう。それだけだった気もするけど。次回も変態作に期待。

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2010年05月19日

織田信奈の野望 3/春日みかげ

4797358750織田信奈の野望 3 (GA文庫)

ソフトバンククリエイティブ 2010-05-15

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戦国時代に飛び込んでしまった高校生の相良良晴は、すっかり織田家の家臣としてとけこんでいた。そして、快進撃を続ける主君の織田信奈はついに上洛。そこでひょんなことから、サルこと相良良晴は明智光秀とある勝負をすることに。意外な素顔を持つ光秀にサルは勝てるのか――!?

 戦国たこやき一番勝負

 戦国時代にタイムスリップしてしまった少年と美少女戦国武将たちの天下布武ラブコメディ。

 邪気眼フイタw 歴史パロディだけでなく、戦国武将の魔改造もこなれてきましたね。
 可愛い後輩と思いきや明智光秀が予想外にウザいキャラで早速悶着を起こしてくれましたが、どんな仲間であっても決して見捨てない、強い連帯感で結ばれた織田勢のあり様を魅せてくれました。
 良晴の介入で、いい方向に信奈の気持ちが変わっていっているのに安心しました。

 浅井長政に嫁入りしていった信澄のその後が気になっていたんですが、そんなんアリかっ!
 光秀とたこ焼き勝負をすることになってしまった良晴ですが、そもそもたこ焼きってこの時代にないよねぇ!というところから時代考証を完膚なきまでに粉砕する料理勝負風景が笑えた。時代観すげぇ!
 ところで、このシリーズは、本当にこの手のご当地名物ネタを自重しないなぁ。

 金髪巨乳はともかく、おバカなロリきたあああああああああああ!!邪気眼幼女ペロペロ(^ω^)
 しかし、本来ならここで出番はないはず、さては思いついた一発ギャグを使いたかっただけでしょ!
 いつの時代にも空気を読めない光秀や周囲と馴染めない弾正のような人はいるものですが、そうした一人一人違った個性を認めて受け入れ、まとめ上げる度量が信奈に備わってきたと思います。

 いまのとこ信奈ルート一直線ですが、ここらで信奈に対するライバルキャラが出てきてもいいなぁ。
 将軍宣下も成り、今回も無事に終わるかに見えたら最後の最後で一番の見せ場が残っていました。
 信奈のために命を張って踏みとどまる良晴や男衆が格好良すぎる! これだから安易な歴史パロという言葉だけでは収まらないんですよこのシリーズは。ああ、早くこの続きが読みたい。

 ところで、感想中言おう言おうと思って言うべきタイミングが見つからなかったので、最後に一言。

 うおおおおおおおお!!半兵衛ちゃん手ブラぁああああああああああああああああああああ!!!
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2010年03月19日

這いよれ!ニャル子さん 4/逢空万太

4797358017這いよれ!ニャル子さん 4 (GA文庫)
逢空 万太
ソフトバンククリエイティブ 2010-03-16

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真尋の母は邪神ハンター!? それとも……!?邪神に襲われ、あわや危機一髪だった真尋を救ったのはクー子でも、ましてやニャル子でもなかった。――その者の名は「八坂頼子」。正真正銘・公明正大・真実一路に真尋の実の母親、その人であったのだ! しかし、彼女の正体は一体……!?

 未知なる幻想を夢に求めて

 クトゥルフ神話をネタにしたボーイ・ミーツ・邪神(ガール)なラブ(クラフト)コメディ。

 ここにきてBLルートも開拓か。いつもながらネタが旧支配者である。つまり神だけど、死後(死語)。
 よく「イドモスバーガー」とか、クトゥルフギャグが尽きないですねぇ。ニャル子が懲りずにボケを仕掛けては真尋にフォークで刺されるというお約束の掛け合いに、オチを先読みするという新技が。
 ニャル子の扱いにもすっかり馴れてきましたが、前巻と比べるとまたツンに戻っちまいましたね。何気に一番真尋の好感度を稼いでいるのはシャンタッ君なんじゃないだろうか。このキモさが癒される。

 ニャル子やクー子だけでも十分にうっとおしいのに息子を溺愛してやまない母親の登場、さらには妙に真尋に懐いてしまったハス太まで現れ、ますますカオスっぷりに拍車がかかっている。
 バカバカしい母親の設定に伏線を深読みしていたら、輪をかけてしょーもない真相が。読み手の予想の斜め下を余裕でカッっ飛んでいく悪ノリの展開力にはつくづく飽きれさせられるなぁ。
 巻を重ねるごとにストーリーに下らなさが増していくその方向性はむしろ望むところである。

 っていうか、ネタの幅が年代を遡って広いな! 実は元ネタリストを作ろうとリストアップしながら読んでいたのですが、半分もわからなかったので断念しました。古すぎですよもう……。
 ニャル子の仮想年齢がどんどん上方修正されていく。オッサン限定で釣って本当に何が楽しいのやら。
 子供の時分にもPCエンジンとメガドラを見たこともない私が挑戦するのは流石に無謀だった。

 なんというか読む度に謎の無力感と虚無感が襲ってくるんですが、SAN値の残りあとどれくらいだろう。
 レギュラー化の決まったハス太くんには、次回、是非とも女装をと期待するのは正常かね?
 マトモな要素においての期待は裏切られるとわかっているので始めからしない程度には健常だ。
 そのうち作者のネタが尽きていくと同時にメタになっていくんだろうなという不安でいっぱいです。

 ところで『這いよる!ニャルアニ』を見たんですが、本編以上に下らなかったですね。必見です。
 もうすぐ4月から『這いよる!ニャルらじ』もネット配信されるそうなので、こちらも聞かないと。本当にニャル子さん流行ってるなぁ。
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2010年03月17日

蒼海ガールズ! 3/白鳥士郎

4797359331蒼海ガールズ!3 (GA文庫)
白鳥士郎
ソフトバンククリエイティブ 2010-03-16

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アラミス少女艦隊のフリゲート艦“ビシャスホース”に拾われたシューフェンは、たくさんの少女達に囲まれつつ、順調に航海を続けていた。だが、無事本国に着いたとしても、戦争状態にあるアラミスへの外国人の入国は大幅に制限されている。そんな状況を打破するための方策はアラミス人との結婚!?

 栄光への航路に舵をとれ

 国を追われた皇子が女装して男子禁制の船に乗り込む海洋アドベンチャー。

 可愛いは宇宙最強。これだけ女の子がいて、一番可愛い子が男の子ってどういうことなの。
 シューフェンが結婚させられると聞いて暴走するアリル副長のクンカクンカコピペがキメェ……。だが、本当に恐ろしいのは乗組員の誰がやってもおかしくないということである。この船、病んでる人ばっか。
 シューたんの身体にバター塗ってペロペロ舐めるアトラクションは、どこに並べばいいですか?

 本国へ帰還した後で連れ戻されないようにファムが手柄を欲しがるのも分かりますが、艦長命令を無視して勝手に行動した挙句にピンチに陥っておいて反省がないのは、さすがに問題アリだな。
 本来ならば規則違反で軍法会議ものだと思うんですが、叱るべき姉ちゃんも、別の重篤患者か……。
 二人だけの世界でイチャつく姉妹に放っておかれて嫉妬するシューたんの姿にきゅんきゅん。

 登場人物は駄目な人間ばかりですが、帝国とアラミス艦隊の大海戦は熱かった。
 これまでの小競り合いとは比べ物にならない戦争だけあって、敵味方もバンバン死んでいく。
 しかし、ビシャスホースの乗員が誰ひとりとして死んでないのはご都合主義といわれても仕方ないな。
 セネカの武将ステータスはどんだけ知力に振ってあるんですか。そしてシューたんとストロベリーの武力値振りが無双クラスでちーとでござる。

 なんだかんだ騒動を起こしたり、自ら嵐に突っ込んでいきましたが、最後にはファムも船へ戻れたし、念願かなって彼女とも結婚できそうだし良かったねシューたん!あぁあああああ!かわいい!シューたん!かわいい!
 これでまた次の冒険へ、いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!これで最終巻なんて現実じゃない!!!!え…編集さんは書いていいって言ってるけど…き り が 良 い か ら 完 結 ?
 にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! 白鳥士郎ぉおおおおおおおお!! この!ちきしょー!やめてやる!!次回作買うのやめ…て…え!?見…てる?
 表紙絵のシューたんが僕を見てる? ウェディング姿のシューたんが僕を見てるぞ!シューたんが僕を見てるぞ!挿絵のシューたんが僕を見てるぞ!!CVくぎゅのシューたんが僕に話しかけてるぞ!!!
 よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!僕にはシューたんがいる!!やったよネルソン提督!!ひとりでできるもん!!!
 でも、もう最終巻いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああんあ番外編ぁあ!!!!外伝ぁああああああ!!!短編集ぁあああ!!
 ううっうぅうう!!俺の想いよ作者へ届け!!海のない岐阜県の作者へ届け!

 ときに、クンカクンカジェネレーター。こんなアホなツールがあるんですね……。

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2010年02月21日

織田信奈の野望 2/春日みかげ

4797357444織田信奈の野望 2 (GA文庫)

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信奈と近江の浅井長政の縁談が持ち上がった。想定外の事態に驚愕し、動揺する信奈の家臣団。良晴は縁談を阻止したいが、身分はまだ侍大将。一刻も早く美濃盗りという大功を立てなければならないと焦る。だが、その良晴の前に美濃の堅固な稲葉山城と天才軍師・竹中半兵衛が立ちふさがる。

 天下に輝く、瓢の志

 戦国時代にタイムスリップしてしまった少年と美少女化された戦国武将たちとの天下布武ラブコメディ。

 竹中半兵衛の愛くるしさに、萌えすぎて苦しいという境地を体験した。お持ち帰りしたいでござる。
 美男子の浅井長政から求婚されて、本心では応じる気もないのに思わせぶりに振る舞う信奈は素直ではありませんが、結婚を止めさせたいのに強がって本音を言えない良晴もひねくれてますねぇ。
 お互いに意地を張り合った挙句に痴話喧嘩になっちゃって、二人ともツンデレでお似合いですよ。

 でも、身分の違いを考えれば良晴が口を挟める問題ではないのも事実で、信奈の結婚話を破談にすべく、あれやこれやと理屈を並べつつ手柄を求めて奔走する姿がなんとも微笑ましい。
 生き馬の目を抜く戦国の世にあって、信奈の天下取りも恋も両立させようという良晴は、長政から甘いと言われても仕方がありませんが、もし最後まで諦めずに貫き通せれば良晴こそ勝ち組だよね。

 戦国ゲームで得た知識で攻略法がわかっているとはいえ、実際にやるのは良晴自身。
 半兵衛を籠絡するにしたって、良晴の言葉だからこそ彼女の心に響くものがあったんでしょう。
 長政のように甘い言葉で相手を釣るのは簡単ですが、良晴のようにあえて厳しい道を選んでやり遂げるのは誰にでもできるこっちゃないですよね。良晴の理想論は綺麗事だからこそ美しくて希少で、世の中の汚さに浸かった人々が自然と魅せられてしまうだろうなぁ。

 豊臣秀吉の有名な逸話である『墨俣一夜城』は、江戸時代に作られたフィクションの可能性が高いらしいですが、それでも盛り上がるエピソードであるのは変わりはありません。
 追い詰められてあわやというところで援軍がくるのはお約束ですが、戦術のセオリーから外れることでまた見えてくる勝機もあるんだよ。なにより自分が困ったときに「こういう時のために俺がいるんだろ」と言ってくれる相手をみすみす失ってしまうのは勿体無いですよね。

 義龍の命を見逃したのは、蝮に義理立てしたというのもあるでしょうけど、蝮を義父とするなら義龍は義兄にあたるわけで、身内殺しを禁じた信奈にとって斬れない相手だったんじゃないかなぁ。
 明智光秀の登場や歴史の分岐の変化など不穏な空気が漂いますが、良晴の活躍で歴史が良い方に変わっていっているということを信じましょう。ああ、続きが気になるなぁ。

 ラストは、信奈の想いが感じられて、ついホロリとさせられる素敵な光景でした。
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2010年02月19日

ありすとBOBO 猫とマグロと恋心/川崎康宏

4797358866ありすとBOBO -猫とマグロと恋心- (GA文庫)

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魚屋とマフィアがマグロの覇権を争う中、サウスエンドの狂犬女子高生・狗頭蘭子は別のことで真剣に頭を悩ませていた。―同級生の鰯田君とどうすれば仲良くなれるか―ということをだ。マグロを巡る珍騒動とアリスの恋の行方はいかに。

 みんなで守ろう! 海とマグロ!

 近未来の東京で探偵を営む少女としゃべるクマの巻き起こすドタバタアクションストーリー。

 刺身と時事ネタは鮮度が命ですが、ぶっ飛びすぎててツッコミどころが多くて困る。
 冷凍マグロの利権を争ってチャイニーズマフィアと日本の水産会社がマシンガン持ち出して抗争を繰り広げるって、なんてカオスなストーリーなんだ……。魚屋さん、パネっす!
 数年前に電撃文庫から出版された『Alice』の続編ですが、GA文庫でシリーズ化とは珍しいケース。

 好きな男子の気をひこうとイメチェンを試みるアリスが可愛いです。
 普段から十分に露出の多いパンクファッションを平然と着ているのに、女の子らしいスカートやキャミといった服装は恥ずかしがるんですからもういじらしいったらありません。
 アリスの何気ない暴露から、いやらしい妄想を繰り広げる天竜くん、君ちょっと中二病だよ。

 それはともかく、日本かぶれのカナダ産グリズリー・ボーボーは相変わらずやってくれますね。
 中国製サイボーグ兵士との押し問答は、なんというか、いままでそんなに日本人としての誇りや美徳とか意識してこなかったので、ボーボーに弁護されて逆に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 マグロ漁獲規制もボーボーから言われると妙に説得力があって仕方ない気になってくる。

 もしこれを実写映画化して、カンヌ国際映画祭とかで流したら日本人のマグロへの愛が外人にも理解を得られそうで想像すると面白いが、日本の魚屋さんは特殊部隊なのかと大変な誤解を受けそうだ。
 いや、遠洋漁業をやっている漁師の方々が海賊とかに襲われなくなるのであればそれもいいか。
 ともあれ、読み終わったら無性にマグロが食いたくなったぼくにほんじん。いつ本格的な規制が始まるかもしれないから、食べれるときに食べておかないとね。明日から我慢する。

Alice (電撃文庫)Alice (電撃文庫)


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2009年11月21日

蒼海ガールズ! 2/白鳥士郎

4797357665蒼海ガールズ!2 (GA文庫)
やすゆき
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いまやマスコット的存在として、毎日チヤホヤされたりイジられたりの日々を過ごすシューフェン。そんな中、事故によって修理が必要になったビシャスホースは、急遽最寄りの無人島へと立ち寄ることになり―突然始まった女の子だらけの無人島生活で、シューフェンを待ち受ける新展開とは。

 束の間の楽園の休日

 国を追われた皇子が女装して男子禁制の船に乗り込む海洋アドベンチャー。

 男の子だとわかっているのに、思わず守ってあげたくなるようなシューフェンの可愛さは反則だよなぁ。
 アラミスでは数の少ない男の子を大切するという名目でシューフェンにセクハラの嵐を繰り広げ、コスプレさせて大喜びしているクルーたちはマジ変態ですね。
 諌めるべきお堅い副長までも覗き魔と化している始末。駄目だこの船、早くなんとかしないと……。

 赤道祭は痴態としかいいようがないな。こいつら狂ってやがる。
 お姫さまのように甘やかされるのが不満で、どうすれば彼女たちの仲間として認められてクルーとして役に立てるのかと思い悩むシューたんはホンマ健気でいい子や。
 振り回されてばかりですが、国を出たシューフェンにとっては新たに得た大切な絆なんでしょうね。

 船の修理のために無人島に立ち寄ってのサバイバル生活は、まさに「ここが楽園か!」というような贅沢でさえある充実した暮らしぶりでしたね。クルーたちも遭難したことをまったく恐れずにむしろ楽しんですらいるのは、それだけ船長や上官を信頼しているということなのかしら。
 普段、能天気な船長のセネカですが、緊急時や海戦となると本領発揮するから侮れない。

 まあ変則的なハーレム系ラブコメだと思えばいいんだろうけれど、個人的にはもう少し航海に関することや無人島生活らしいイベントがあったほうがよかったと思う。
 南海冒険小説といえば、『十五少年漂流記』や『神秘島』などの漂流ものが好きなんです。
 それにしても、航海が終わるまでにシューフェンの貞操が心配だ。
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2009年11月19日

魔法の材料ございます2 ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚

4797357622魔法の材料ございます2 ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚 (GA文庫)
蔓木 鋼音
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ドラゴンの鱗も無事入手できて、お店に束の間の平穏が訪れました。でも、一難去ってまた一難、旦那様の身に再び難題が降りかかります!赤熱病。わたしの両親を奪った、流行病です。治療に尽くす旦那様を見て、わたしも少しでもお役に立ちたい、そう思って行動したのですが……

 国民の命は、ひとりの昼行灯に託された

 魔法を使う触媒となる魔法材料を商う店のぐうたら店主と貴族のお嬢様の冒険活劇。

 1巻から確実に面白くなった。序盤から本気モードの三代目が格好良い。
 マルブドークの町で深刻な伝染病である『赤熱病』が発生し、特効薬であるユニコーンの角を巡って金と権力が入り乱れるなか、患者を救うべく立ち上がる三代目の姿に燃えた。
 ただ目の前で苦しむ人々を助けるため、なりふり構わず奔走する魔法使いの意地に惚れます。

 権威にしがみつくだけで伝染病に対して何もしようとしない石頭の魔法協会のお偉方、他人の災難を利益に変えようとする商人たち、国の根本である国民を見ていない政治家など危機意識の欠如した連中に三代目が正面から啖呵を切って正論を叩きつけていく光景が小気味いい。
 いくら金や権力を振りかざしても、たった一人の行動で覆ってしまうということは、結局はそれだけの価値しかない、世の中の道理に通らないことだったってことなんでしょうね。

 一方、三代目の身を案じての行動だろうけれども、サシャにしては早まったことをしたと思う。
 過去に同じ病で両親を亡くした彼女の境遇を考えると、わからないでもありませんが、それでも衝動的すぎた感がありますね。というか、それを覗くとサシャって活躍らしい活躍がないな……。
 緊急時は無力ではあるから、お色気要員としてしか活かしきれていないのが残念ではある。
 あとリアがうざい。人の話を聞かないあの性格さえなければ可愛いんだけどなぁ。

 1巻のときは、いまいちジャンルが定まっておらず、なにがしたいのか不明な感じだったのですが、ようやく「人助け」をテーマにしたヒーローサーガをやりたいんだというのがわかってきました。
 戦闘シーンでは今回も圧倒してましたが、ただ強いだけが魅力ではないのが三代目ですね。
 人は強さや肩書ではななく人のため世のために何を成すか、それのみによって決まるという信念を貫いたからこそ、人々は喜んで三代目を尊敬するんでしょう。

 すでに英雄としての偉業を成し遂げてしまった三代目ですが、この先どうなっていくのか。期待。
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2009年10月22日

くりぽと すくすく☆魔法少女塾/小幡休彌

479735707Xくりぽと すくすく☆魔法少女塾 (GA文庫)
小幡 休彌
ソフトバンククリエイティブ 2009-10-15

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代々呪禁師の家に生まれた高校生・芦名春覚は、小学生の女の子たちが通う、魔法少女専門の進学塾の助講師として働く羽目になる。だが担当するクラスは一筋縄ではいかない問題児だけを集めた最下級クラスで!?ただでさえ子供の苦手な春覚は、果たして彼女たちの先生になれるのか―。

 魔法少女、教えます

 魔法少女の学習塾の講師になってしまった男子高校生と5人の女子小学生たちのマジカルコメディ。

 ロリラノベで何が悪い! 子供嫌いだった主人公・ガクが、ロリコン性癖に目覚めていく姿にニヤニヤ。
 最初はイタズラや授業ボイコットを繰り返していたナマイキ盛りな問題児たちが、次第にガクに馴れていき信頼を築いていく光景が微笑ましかった。
 教師に向いてないと愚痴りつつ、生徒を馬鹿にしたり見下したりしないのだからいい先生だと思う。

 女の子たちも、なにかしらの一芸に特化してしているだけで決して落ちこぼれじゃない。
 ただちょっと能力に偏りがあるだけで、特技を発揮すれば一人前の魔女より凄いのでしょうな。
 生徒の才能を無視して、勝手に優劣の基準を決めて、枠に押しはめようとしている大人が悪い。
 まあ、それぞれエキセントリックすぎる性格にも、問題児扱いされる原因があるような気もしますが、こういう子供たちが将来がどういう大人になっていくのかと考えると楽しいじゃないですか。

 そういう意味では、魔女教育について門外漢のガクは妙な先入観もなく、彼女らにとっては最適な教師なのでしょうね。規則でガチガチな主任と柔軟な塾長との教育論の違いも興味深い。
 些細なイタズラのつもりが思いがけず大騒動になってしまい、それぞれの特技を活かして対処するところがよかった。ガクの「おれの大事な生徒」発言にニヤニヤ。

 いつも振り回されてばかりいるガクですが、あくまで子供を見守る大人の視点で見ているので、そこまで物語は変態な感じはしない。とはいえ、いろいろとアウト!な場面があるのは確かである。
 前作『超自宅警備少女ちのり』ほどのアクはないが、造型がしっかりしていて登場人物たちの活き活きとした姿を素直に楽しめる作品になっていると思いました。続編希望。世界にもっとロリラノベを。
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2009年10月21日

ノブレス・オブリージュ 茅森楠葉の覚悟/小松遊木

4797357061ノブレス・オブリージュ ~茅森楠葉の覚悟~ (GA文庫)
甘塩 コメコ
ソフトバンククリエイティブ 2009-10-15

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ある朝、亜未は無頼の「剣士」が市民を襲っているところに出くわした。愛刀を抜いて飛びだしたまではよかったが、相手は手練。決死の覚悟を固めたところに、彼女を押しとどめる声が響いた。振り向いた先には、メイド姿の「剣士」を従えた、自分と同じ制服の少女。茅森楠葉と名乗った彼女は一体何者!?

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 超人的な身体能力を持つ「剣士」のお嬢様たちが織り成す現代剣客活劇。

 『マリみて』のお嬢様を全員女剣士にして無理矢理バトル要素を加えたような作品ですね。
 主人公が亜未なのか楠葉なのか判然としない。わざわざ二人の視点を入れ替えて何を狙っているのか、作者の意図しているものがわからない。どっち付かずで中途半端になるだけ。
 そして本人たちが思い詰めているほど、両者の関係って深く絡んできていないような・・・・・・。

 お嬢様とお付きの女の子が百合を繰り広げながら学校生活を過ごしているだけなんですよね。
 たまに剣を抜いて仕合ったりしてますが、やってることは学校行事のイベントの域をでませんし。
 せっかく「剣士」なんていうチート的存在を設定して、伝奇や現代ファンタジーもやれる下地ができているのにおおむね平穏で、世界征服を企む秘密組織や異世界からの侵略者みたいな敵対者が存在しないので盛り上がりに乏しい。わかりやすい悪役もいるにはいたが、チンピラの上に小物すぎた。

 中身がタイトルに合っていないような気がするなぁ。「貴族の義務」らしいことってあったっけ?
 剣士の名に恥じない行いをするという楠葉の誓いがそうなのか? それ武士道じゃね?
 バトルパートにしても必殺剣とかフツーに使ってきてるからなぁ。もう剣術じゃないよ。
 いっそ学園異能ものに開き直った方がよかった。みんな身体能力強化だけだとイマイチ設定が弱い。

 結局、あらすじにシリーズを通した軸がないので着地点が見えてこない。
 女の子同士がキャッキャウフフしているのは見ていて癒されるんだけど、見るところといえばそれだけだし、その百合ップルもそれぞれ安定期入っちゃってるから変化がなさそう。
 亜未と楠葉がそっくりというのは、どこかで「生き別れの双子」って言い出す伏線なのかな。ここまでバレバレなのはダメでしょう。

 う〜ん、なんというか受賞作の原稿を直さずにそのまま本に出してしまったという出来。微妙な完成度。
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2009年10月19日

這いよれ! ニャル子さん 3/逢空万太

4797356359這いよれ! ニャル子さん 3 (GA文庫)
狐印
ソフトバンククリエイティブ 2009-10-15

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相変わらずやくたいもない物ばかりを買うニャル子。生き物に憐憫と、食欲を露わにするクー子…。そんな二人のお守りにほとほと疲れた真尋は、なぜか帰路でクラスメイトの暮井珠緒と遭遇した。しかも、ニャル子の邪神レーダーがビンビンに反応!これって…!?

 超時間の影、未来から訪れたもの

 クトゥルフ神話をネタにしたボーイ・ミーツ・邪神(ガール)なラブ(クラフト)コメディ。

 『Wind Climbing』って、何年前だ。古すぎてわからないネタがいくつかあったのが悔しい・・・・・・。
 ニャル子と真尋の精神が入れ替わり、ニャル子の身体に入った真尋に肉体関係を迫るクー子が可愛く見えて、「クー子ルートもありかもしれん!」と思ってしまった私はもう駄目だ。
 ここにきてTSものとは、クトゥルフといいニッチな読者層を引き込むなぁ。

 ごく普通の日常もニャル子たちが主役ならばSAN値の下がる楽しい光景になっちゃうんですねぇ。
 ボケるニャル子&クー子に真尋のツッコミが冴えわたる。ギャグの勢いがぜんぜん落ちません。
 未来から地球を救いにやってきたイス香も、ニャル子やクー子と同列のおバカっぷりを発揮していますが、大宇宙在住の邪神ヒロインはみんなこんなヤツばっかか。

 それにしても、伏線を伏線って言ちゃったー!! 後で振り返らずとも大変わかりやすいですw
 しかし、宇宙CQCネタはもうマンネリじゃないかな。もはやそれは宇宙CQCじゃない。宇宙CQCでありながら宇宙CQC以外の何かだ。具体的にいうと平成ライダーです。アクセルフォームVSクロックアップは夢ですかロマンですかそうですか。
 そして今回も黒幕の動機がやっぱりしょーもないのもお約束。アグネスのせいで地球消滅とか、けしからんね。いますぐに児ポ法を危険思想として取り締まるべきである。
 
 というか、ニャル子は相変わらずニャル子だったが、ニャル子ボディの真尋が萌えすぎである。
 夏コミで発売してたニャル子抱き枕がもうネタになってましたね。実物を見せてもらったことがありますが、触手と肌色のコントラストが見事でした(「俺の新しい嫁」と言っていた平和さん、いま使用中だろうか)
 最後は珍しく次巻に引き伸ばしましたね。いきなり現れて事情を承知のようだが、はてさて・・・・・・。
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2009年08月22日

魔法の材料ございます ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚/葵東

4797355352魔法の材料ございます ドーク魔法材店三代目仕入れ苦労譚 (GA文庫)
葵東
ソフトバンククリエイティブ 2009-08-15

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ドーク魔法材店は三十年前に高名な魔導師が創業したお店。ところが、今の三代目店主シャルトは在庫管理はいい加減、仕入れは無計画。そんな彼が、ある日、貴族の美少女リア=メイと共にドラゴン退治に出かけることになり・・・。

 いざ行かん! ドラゴン退治へ!

 魔法を使う触媒となる魔法材料を商う店のぐうたら店主と貴族のお嬢様の冒険活劇。

 なんとなく昔の富士見ファンタジア文庫っぽい、スタンダードなファンタジーでした。
 自分の店の経営には不真面目で、いつも従業員のサシャに怒鳴られては尻に敷かれている三代目が、貴族のお嬢様リア=メイのドラゴン退治のお伴をすることになり、世間知らずで無鉄砲な彼女のムチャな要求を言葉巧みにのらりくらりとかわしながら続ける旅の様子が、とても面白かった。

 経営者としてはダメ人間のようで、実は街の顔役として多くの人々から慕われている三代目の凄さを知って急に意識しちゃうサシャが可愛いですよね。
 孤児院を立てたり、旅の道中で困っている子供にお節介を焼くのも、自分も子供の頃に苦労した経験や辛い過去があるから共感しちゃうんだろうなぁ。
 世の中の政治に対しても、安易な鍋ブタ政策ではなく、問題を原因から視野に入れた根本政策を提言できるあたり、指導者としての器もあるのかも。

 一方のリアですが、いかにも現実が見えてない箱入りお嬢様といったカンジで、ドラゴン退治の目的にしても理想ばかりを追い求めているようで、自分の目にはあまり魅力的には映らなかった。
 なんでもかんでも自身に都合がいいように幸福神の加護に結びつけるし、そのくせ足手まといだし。
 真面目ではあるんですが、やっていることに何の意味もなく、まったくの空回りで周囲に迷惑をかけているだけというのに一向に気づかないで己を過信している姿に辟易しました。
 とりあえず、この旅で現実の厳しさを思い知ってくれたらいいなと思う。

 正直、最後の第六章は、いらなかったかと。物語そのものは第五章で綺麗にまとめているので、それ以降は蛇足ですね。エピローグにしても、中途半端に長くてなんか歯切れが悪いです。
 それよりも、サシャと三代目の掛け合いをもっと見たかったですね。
 タイトルに「魔法材店」と入っているわりに、戦闘で発揮されるのは主人公補正されたチート能力ばかりでマジックアイテムっぽいものは滅多に使っていなかったような。

 読みやすいことは読みやすいですが、肝心な部分でとても味気ない印象でした。

 (3/14・追記)
 一巻の時点ではややありきたりの冒険ファンタジーといった感じだったこの作品。
 二巻から大化けします。二巻まで読んでから最終判断をお願いします。
 →二巻目の感想
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2009年08月20日

蒼海ガールズ!/白鳥士郎

4797356324蒼海ガールズ! (GA文庫)
やすゆき
ソフトバンククリエイティブ 2009-08-15

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国を追われて海を漂流していた皇子シューフェンは、アラミス王国の軍艦ビシャスホースに拾われる。だが、少女ばかりの乗組員で構成されたこの船は、「男子禁制」。男とバレたら死刑になってしまう状況で、艦長から提案されたのは、持ち前の可愛さを生かして女のフリをすることだった!

 女神の大海原に帆をあげて

 国を追われた皇子が女装して男子禁制の船に乗り込む海洋アドベンチャー。

 男の娘系主人公のハーレムものかと思いきや、意外と本格的な海洋ロマンで驚き。
 海を漂流していたシューフェンを拾った蒼目青髪の少女ファムのお転婆っぷりや他のヒロインたちも船乗りとしてそれぞれ個性的で、活き活きと航海を過ごす姿が魅力的。
 大海原に輝く太陽の下、甲板の上で飛び跳ねる少女たちの健康美溢れる肢体に目が眩まんばかり。

 「男子禁制」の船だからということで亡命先のアラミス王国に到着するまで女装をして過ごすことになったものの、その可愛い顔から百合属性の乗組員の中で絶大な人気を集めてしまい、エロいことをされそうになったり、エロいことをさせられそうになったりとラブコメ要素は尽きませんが、船の上というお互いに頼れる者のない世界だからこそ、そうして仲間との信頼や繋がりを大切にしているんでしょうね。

 しかし、なにより海戦が格好よかった。総合火力や腕力では男には勝てない彼女たちが、1対7の圧倒的劣勢から操舵と砲術の技術で戦況を覆す展開が燃えました。
 帆船での戦術や知識に詳しくない人間には、ちと専門用語がややこしいですが、それまでのラブコメ展開から180度転換して戦闘シーンはバリバリに本格派でした。

 生きるか死ぬかの戦いの前に綺麗に化粧をして煌びやかな一張羅に着替えるというのは、軍隊というよりも海賊のノリだなぁと思った。
 自分の気持ちが恋だと気付いていないシューとファムの初々しい掛け合いにニヤニヤが止まらない。
 前半はラブコメ、後半は浪漫活劇の折衷ですが、一見ミスマッチのようで妙にマッチしていましたね。
 続編があるとすれば、今後どう物語を膨らませていくのか気になりますが、続巻は売れ行き次第かな。
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2009年08月18日

織田信奈の野望/春日みかげ

479735450X織田信奈の野望 (GA文庫)
春日みかげ
ソフトバンククリエイティブ 2009-08-15

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高校生の相良良晴は気がつくと、なぜか戦国時代の合戦の真っ只中に飛び込んでしまっていた!? そこで出会った織田信奈と名乗る少女は尾張の大名だという。見た目はかわいいながらも、行動は破天荒な信奈に、良晴はサル呼ばわりされながらこき使われることになってしまう。

 第六天魔王はツンデレだった!?

 戦国時代にタイムスリップしてしまった少年と美少女化された戦国武将たちとの天下布武ラブコメディ。

 最近の流行に悪ノリした美少女化戦国武将モノでしたが、キャラはきちんと立っていましたね。
 なぜか戦国時代にやってきてしまった主人公・良晴が、ひょんなことから天下人となる木下藤吉郎の後を継ぎ、尾張の姫大名・織田信奈に仕え立身出世の道を歩み始めるのですが、煩悩全開な彼が信奈や家臣の美少女たちと巻き起こすドタバタが楽しかった。

 蜂須賀五右衛門とねねたんがロリ可愛いすぎて生きているのが辛い。
 織田信長である信奈は、口を開けば傍若無人、行動は破天荒ながらも時代の先を見据えた天才的野望家という信長のイメージそのものでしたが、なんというツンデレ。
 良晴も相手が誰でも自重しないバカだもんで勝気な彼女とはいつも喧嘩ばかりだけど、「お、お前のためじゃないんだからなっ!」と言いつつ、いつも命を張る良晴が一番ツンデレだと思いますが。

 良晴も未来を少しだけ知っているものだから、道三と信奈の会合に口を出して和解させたり、信奈に身内の粛清を止めさせたりと、彼女が『第六天魔王』と名乗って周囲と孤立していってしまわないよう、戦国ゲームの知識を活用して立ち回り、少しずつ歴史が良い方に変わっていくのが見てて面白かった。
 周囲からは理解されず疎外感を味わっていた信奈にとって、良晴という野望の理解者が得られたことが、彼女のメンタルにとっても大きな転換点だったのでしょうね。

 なんやかんや問題を起こしながらも、最後まで読んで気がつけば、「人たらしの天才」と言われるに相応しい活躍をしているんだよなぁ。
 話の流し方は上手いが、ページが会話文ばかりというのはちょっと問題あるような。
 それにしても、天下を統一したあかつきには、ういろうを全国シェアにだとか、茶うけに手羽先、土産にみそ煮込みうどんとか、名古屋人ネタが満載でふいた。ひつまぶしは美味しいよね。

 日本史には詳しくないけれど、ベタなコメディ満載で楽しめました。
 『桶狭間の戦い』まで話が進んで、さてこれからどうなるのかな。
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2009年07月17日

オルキヌス 2 稲朽深弦の調停生活/鳥羽徹

4797355840オルキヌス2 稲朽深弦の調停生活 (GA文庫)
鳥羽 徹
ソフトバンククリエイティブ 2009-07-15

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新米調停員・稲朽深弦は、ひょんなことから、小さなオルカ・マンドレイクたちと知り合った。彼女たちが問題を抱えていることを聞き、その解決のために奔走し始めた深弦だが、事態はそれほど簡単ではなく悪戦苦闘。おまけに心を読むオルカ・覚まで登場して、話は思わぬ方向に!?

 彼女の調停は、いつも超能力バトル?

 空想上の幻獣たちが暮らす島オルキヌスを舞台に新米調停員の奮闘を描くコミカルファンタジー。

 どこぞの格ゲーのような表紙ですが、戦闘シーンは一切ありません。ほのぼの生物コメディです。
 1巻はとにかく世界観の説明とキャラの紹介で手いっぱいというカンジでしたが、今回は新しいオルカの種族も多数登場し、最初は簡単なおつかいのはずが、ドミノ倒しのように次第に大きな騒動へと発展していくストーリー展開も非常にワクワクさせてくて、ぐっと面白くなりましたね。

 研究員のような白衣を着たドワーフ、暑がりのサラマンダー、寒いギャグを連発するマンドラゴラなどなど。ことオルキヌスのオルカについて、一般的なファンタジーやRPGの世界に出てくるようなイメージを持っているとよくも悪くも裏切られます。
 異なる種族同士、普段は暇つぶしに仕事を引き受けたり、それぞれ役割分担をして共棲しているオルカたちですが、些細な原因で始まった風狸と雷獣の喧嘩が、その他の種族を巻き込んで森を真っ二つに割っての対立へと発展して、止めようとしても自分たちでは止められなくなってしまうというのは、やはり種族間に上下関係というものがないことの弊害でしょうかね。

 新米ながらもこの対立を収めるために奮闘するヒロイン二人、真っ直ぐで熱血派の深弦とマイペースで冷静なセシルの息の合ったコンビプレイが実によかった。
 やっていることは話し合いや調停というより、ハッタリとでまかせなんですが、人間よりも遥かに強靭な肉体や特殊能力を持つオルカに、『知恵比べ』で挑んで勝利するというのは、まさに"ずる賢い"人間ならではですね。

 ちょっとしたネタが最後まで繋がっているとか、ベタを外しません。『地上最速の淡色野菜』とか、某炭水化物みたいな呼び名だな。
 どこまでもシュールなボケとツッコミの掛け合いと愛嬌たっぷりの可愛いオルカたちの思わずクスリと笑えるキャラクターが作品の魅力です。

 さて、ますますオルカたちの間で有名になってしまったような深弦ですが、次回は修理した空飛ぶ船で奥地にいくのかな。そろそろ朱雀や玄武といったビックネームのオルカの登場も期待したい。
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2009年07月16日

這いよれ! ニャル子さん 2/逢空万太

4797355409這いよれ! ニャル子さん 2 (GA文庫)
逢空万太
ソフトバンククリエイティブ 2009-07-15

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宇宙犯罪組織に狙われていた真尋の元へ、惑星保護機構より派遣されてきたニャルラトホテプ星人のニャル子。居着いてしまった彼女をなんとか追いやろうと思案していたところへ、炎の少女・クトゥグアまでもがやってきて……。

 夢の中で、這いましょう

 クトゥルー神話をネタにしたボーイ・ミーツ・邪神(ガール)なラブ(クラフト)コメディ。

 相変わらず、高年齢の人しかわからないネタに走り過ぎだ!(褒めている)
 ボケ倒しのニャル子に真尋のツッコミも磨かれてきました。さらにキレを増した夫婦漫才は必見です。
 さらにニャル子の天敵であるクー子まで、八坂家や学校に押し掛けてくるものだから、さらなる混沌っぷりがたまりません。

 普段は平然と真尋にセクハラしてるくせに、クー子からのスキンシップに本気で嫌がるニャル子さんが新鮮でいいなぁ。クー子の言動の突拍子の無さも大変愉快。
 いつも真尋をからかってはフォークでぶっ刺されているアホな子全開のニャル子さんですが、それでも懲りずにニヤニヤ笑って楽しそうに揺れている触手は、普通に最高可愛いだろう常考。
 本性がわかっていても積極的に迫ってくる彼女に胸のドキドキが抑えられない真尋のツンデレっぷりもまた初々しくて、これは確かにニャル子さんが萌えるのもわかりますね。

 今回も戦闘シーンは当然のようにシリアスぶち壊しです。
 というか、前巻のあとがきで『ニャル子VSアバドン王』と言っていたのが、何故、こうなった!
 そしてニャル子さんは、どうみてもアホなのに実はアホじゃなかった・・・だと・・・!?
 なんというか、ニャル子さんの非道っぷりを見ていると、敵キャラが可哀想になってきましたね。

 結局のところ、何やかんやが何やかんやで何やかんやしょーもない決着でした。
 ニャル子は真尋の嫁。そしてクー子はニャル子の嫁。それで何も問題無い気がしてきましたよ。
 そういえば、ニャル子さん手作りの邪神グルメは、ちょっと食べてみたいかも。副作用で肌に紫色の斑点とか、魚の鱗が生えてこない保障があれば・・・・・・。

 やはり緊張感ZEROのシュールなボケとツッコミの絶妙な会話がコメディとして完成されているなぁ。
 次回もこのクオリティを期待(もちろん性的な意味で)。

 そういえば、アキバBlogさんのところで取り上げられてましたが、ニコ動でニャル子さんの歌がうpされているそうで・・・・・・。


歌詞のセンスにフイタwww
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2009年06月19日

みんなのヒ・ミ・ツ/鯨 晴久

4797355395みんなのヒ・ミ・ツ (GA文庫)
鯨 晴久
ソフトバンククリエイティブ 2009-06-15

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自分のしかけた誘惑に屈しなかったことに腹を立てた悪魔リルによって「他人のヒミツを知ってしまう」能力を得てしまった草薙和人。その力で知ってしまったのは、なんと学年でも一、二を争う人気者で美人の椎名沙紀のヒミツだった! リルはそのヒミツを盾に、沙紀をモノにしてしまえとそそのかすが・・・・・・

 乙女のヒミツは恋の予感

 女の子の秘密を知ってしまう能力を持った少年と秘密を知られてしまった女の子たちのラブコメディ。

 ベタなラブコメだったけれど、ヒロインがみんな可愛かったり個性豊かで面白かった。
 夢魔リルの見せる淫夢に騙されなかったせいで、『女の子のヒミツを知ってしまう』という嫌がらせを受けるようになった主人公・和人。そのつもりもないのに次々と女の子たちのヒミツを知ってしまい、「ヒミツを盾にモノにしてしまえ」と小悪魔がそそのかしてくるという・・・・・・、これ設定だけだとモロ凌辱ゲーだよなと思ったりなんかした。

 ヒミツを知っても脅迫は一切しないという信念を貫く和人ですが、ヒミツを知られてしまった女子たちが、そんな彼をそばで見張っているうちに次第に意識し始める。
 テンプレといえばテンプレなツンデレなんだけど、恋愛オンチな椎名沙紀が初々しくて可愛かった。
 いかにもモテそうでイマドキの女子高生風なのに、中身はピュアでドジっ子なギャップがいい。
 周囲に本当の自分を偽っているという負い目もあるんだけれど、その辺りは女子の勝手な偏見の被害者とも言えて同情してしまうな。女の子の論理って不条理すぎるんだよ男には。
 和人も美少女のヒミツを知ってもそれを利用せず、守ろうと東奔西走する姿が男らしくてよかった。

 沙紀が恋心を自覚するに至って、秘密を共有するもの同士の仲も良好だったのだけれど、そんな穏やかな関係に業を煮やしたリルによってぶち壊されることになるとは思いもよらなんだ。
 というか、リルのやったことは勝負の決まった遊戯盤を引っくり返すとか、ババ抜きの手札を強引に晒すようなもんだよなぁ。リル自ら脅迫材料としての価値を無くしたんだから、あの時点で和人との勝負は反則負けじゃねぇのかよ。

 しかし、その後の和人の起こしたこぼれた水をもう一度盆を戻してしまう荒技はファインプレーだった。
 再びヒミツを共有する関係に戻りつつも、お互いに一歩近づいたかな、和人だって沙紀のことはまんざらでもない様子なのだけれども・・・・・・。
 ときに本命と言い続けていたほのかが、ラブコメパートにほぼ空気なのは残念というか、いいキャラなのに勿体無かったな。よっぽど空気でいい野郎も一名いたがな!
 それこそKNEG(=KoreNanteEroGe)な作品でしたが、ラブコメとしては心理描写も魅力的に、主人公も格好良く、全体的にはスタンダードによい出来でした。
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