ダフロン

2013年05月12日

うちのメイドは不定形 2/森瀬繚 静川龍宗

4569675743うちのメイドは不定形 2 (スマッシュ文庫)
森瀬 繚 静川 龍宗 文倉 十
PHP研究所 2013-05-09

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テケリさんがトオルのもとにやってきてから一ヶ月ほど経った。魔術師を名乗る級友のあさひ・ピーバディとその使い魔バロールは、五月の事件後も彼らの家に入りびたり、ほとんど居候状態。あさひはテケリさんと、トオルはバロールとそれぞれ交流を深め、クラスメイトを自宅に招待したりと、楽しくも奇妙な日々が続いていた。 

 眠り姫は家事が好き

 家事万能だけど不定形なメイドのご主人様になった少年のちょっと不思議なオカルトライフストーリー

 3年の月日を経て帰ってきたテケリさんはやっぱり天然で不定形で理想のメイドで面白可愛かったです。
 テケリさんに加え、居候状態のあさひ&バロールとの共同生活にも馴染み始めた主人公・トオルの周囲に謎の侵入者の影が見え隠れし始めて、大切な人達との平穏な生活を守るために、危険なオカルトの世界に踏み混んでいくトオルの想いの強さに震えました。ちょこちょこニャル子さんネタが入ってる気がするのは私だけか?

 テケリさんとトオル、あさひとバロールの主人と使い魔たちの和気藹々とした生活風景が和みますね。
 初の給料を手にしたテケリさんが、あさひと一緒にショッピングに行ったり、トオルも二人に内緒でこっそりとバロールと親交を深めていたり、トオルとあさひがお互いを意識し合ったりする場面なんかは身悶えるわ。
 友人たちを家に招いてテケリさんがポカをやらかさないか、戦々恐々としているところは妙に可笑しい。

 トオルとあさひのクラスメイトたちも、ただの賑やかし役のモブキャラでもなく意外な顔を持っていて、ときにストーリー上で重要な役割を果たしてくれるから侮れませんね。残りの面々も何か隠しているのか。
 そして主人公のトオルも、テケリさんのご主人様になったもののそれ以外のスペックはごく平凡な少年かと思いきや数多くの激戦を戦い抜いた戦歴とクセ者ぶりが予想外でしたね。まさかガンノタだったとはな……。

 テケリさんやあさひに任せっきりにするだけでなく、トオルもイザというときには活躍できるキャラに化けさせたのは素晴らしかった。そしてあさひさんは切り札いっぱい持ちすぎでしょう底が見えない、恐ろしい子!
 1巻の時点で名作!と言われていましたが、2巻もいい仕事してました。『ここからが本番です』というように、シリーズの方向性を明確にしてきたのがさらに読者の期待感を煽ります。ああ、本当にまた読めて幸せ。

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2012年08月18日

かまいたちの娘は毒舌がキレキレです 反ラノベ狂騒曲/木戸実験

4569678726かまいたちの娘は毒舌がキレキレです (スマッシュ文庫)
木戸 実験
PHP研究所 2012-08-18

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「ラノベってつまんないよね」学園のアイドル的立場の裏で、暴言あふれるライトノベル批判を繰り返すクラスメイトの少女・風海きりか。秘密組織・鬼郷幇の仕事を日々こなす僕、神前静也はある日、きりかを排除せよとの指令を受ける。しかし、クラスメイトを傷つけたくない僕。そこに組織の仲間が現れ

 かまいたちの夜は泡と消えて

 ラノベ批判の少女と殺し屋の少年と妖怪異能力者たちの反ラノベ的ラブ&抗争サスペンス

 これはイイネ! スマッシュ文庫もたまにはやじゃるん! 読者の意表をつく展開が絶妙でした。
 妖怪の異能に目覚めた「憑き人」たちが隔離された街で、中国系秘密組織の殺し屋である少年・静也とヒロインのきりかが、組織と警察に追われる逃走劇の中で芽生えていく純愛に胸を打たれました。
 B級映画ではオーソドックスなストーリーラインをラノベ風にカスタマイズしているところが新しい。

 ラノベが大好きなくせに毒舌家でラノベツンデレのきりかのラノベ批判が共感し過ぎて困る。
 最近妹モノ多すぎだと俺も思うわー。それはいいんだけれどラノベ作家がみんな守りに入って、流行りものにしか挑戦しない現状は問題だわー奇作でも新しいテーマにどんどん挑んで欲しいんだよね。
 百や二百読まずして批判ができるかという主張もまったく同意。ロクに読まない奴の批判は浅いわー。

 中国系マフィアの一員で、偽りの身分で入学した高校生活に癒しを得ていた静也にとっては、きりかこそ憧れる平凡な日常の象徴で、そんな彼女を組織の依頼で殺さなくてはならなくなり、組織を裏切って手に手をとって逃げる二人の逃避行と、それを追う組織と警察たちの三すくみの抗争が見物でした。
 時系列と視点切替えを利用したトリックも意外性があって驚かされた、これは小説でしかできない話だわ。

 この物語の結末をハッピーエンドかバットエンドと受け取るかは読み手次第だと思います。私はバットエンドだと思いましたが、切なくも美しい感動的な幕引きで、決して不快な読後感ではなかった。
 しかし、問題はタイトルだ! どうしてこんなタイトルにしたのか。日常雑談系っぽくて違和感ありまくりだ。ラノベ批判は大筋のストーリーとあんまし関係ないし。それ以外はあとがきまで秀逸な作品でした。
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2012年08月17日

妹はラノベの女神ちゃん/酒井直行

4569678289妹はラノベの女神ちゃん (スマッシュ文庫)
酒井 直行 鍋島 テツヒロ
PHP研究所 2012-08-18

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ライトノベル作家を目指す九十九十九(つくもじゅうく)は最大手の撃伝文庫の編集者にヒット作が出るときは作家に「ライトノベルの神様」が降臨して書かせるのだと聞かされる。編集部からの帰り「ピキピキ」という言葉を発しながらメイド姿の美少女が空から降りてくる。

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 ラノベ作家志望の少年の元に降臨したラノベの女神ちゃんとのドタバタ喜劇風同棲ラブコメ。

 どれもラノベではやってはいけないネタばっかじゃないですかー! 意図的に、なんだろうけれど! 読んでて辛いよ! 読者の神経を逆なでしまくりだよ! 無用な反感を煽りまくりだよ!(#^ω^)ピキピキ
 本気でラノベ読者を釣りに来てますよこの本。撒き餌に真正面から食いついて反応したら負けだとわかっていても、反応せずにはいられない。いや、ここで釣られない奴は、ラノベ読みじゃない! 望み通り荒ぶってやんよ!

 作中でもメタ描写は読者が嫌がるから止めようって言っといて、その後もことあるごとにメタ描写が噴出してるじゃないですかー! わかってて、あえてやるというネタなんだろうけれど! や め ろ !w
 地味な主人公は盛り上がらないとわかってて、あえて地味な主人公を設定するなし! 地味な主人公を地味だとイジっても面白くないので。女神ちゃんが嫌がらせをしてるだけに見えちゃうんですよ……。

 いや、百歩譲って地味なのはいいんだ、ただしラノベを書きたいっていう熱意が感じられないのが難。
 どんな酷い目に遭ってもラノベ作家を目指してる主人公なら、『主人公ガンガレ!』って思えて女神ちゃんが仕掛けるドタバタが試練に見えるんだけれど、主人公は果たして本当にラノベを書きたいのか?
 とくに強い情熱もなく衝動的にラノベ書いてみた少年にしか思えなくて、とんだ災難だよねぇこれ。

 まあキャラとストーリーはともあれ、女神ちゃんの言ってることはラノベを書くための初歩のハウツーであり、重要なセオリーであることは間違いないですね。自分もラノベの神様の存在は、信じてますし。
 女神ちゃんの起こすハプニングの数々もラノベによくあるテンプレでそれ自体がダメなわけでもない。むしろ俺のところに降臨してくれよ。この主人公より面白いリアクションを取れる自信あるからカモン!

 なんだろ……。あとがきにあるように、ご当地アイドルをモデルに、担当Pが戯れに小説書いてみましたっていう域を出ていなくて、だったら最初からご当地アイドルとのラブコメものとか書けばよかったじゃないですかー! なんでこんなライトノベルの禁則事項バリバリッシュ!な作品に仕上げたあああああああああああああ!!!
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2012年04月28日

美少女と一緒にゲームを作ったら死ぬほど楽しいに違いない/大竹康師

4569678270美少女と一緒にゲームを作ったら死ぬほど楽しいに違いない (スマッシュ文庫)
大竹 康師 宮 あゆこ
PHP研究所 2012-04-27

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せっかくの青春時代を、ただなんとなく消化してしまっていた少年が、「天才ゲームプランナー」と呼ばれるスーパー女子高生「頼長ニコ」と出会う。ニコは確かに天才だけれど、性格にはかなり問題あり。しかも、「ゲームは宇宙よ! 」と語る彼女の作るゲームには、とんでもない秘密が隠されていた……!

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 天才ゲームプランナーのヒロインと出会ったゲーム少年のゲーム開発ライフコメディ。

 主人公とヒロインの会話の通じてなさが読んでいてイライラします。「一緒にゲーム部を作ろう」と美少女に誘われたのを勝手に「この子、俺に気があるんでは」と邪推して空回りする主人公がイタい。
 「男がリードしなきゃ」とありもしない甲斐性を発揮して、自分よがりな言動の連発がことごとくキモい。
 それにネトゲをやったこともない素人に、「ゲームにはちょっと自信がある」とか言われましてもwww

 ロクな説明もせずに権限を振りかざすヒロインも、魅力がないわけではないがちょっと好きになれない。
 本当にただお互い決定的に言葉が足りなくて、自分に都合のいいフィルターを通してでしか相手を見ていないし、お互いに相手を本気で理解しようと思ってないので、違和感がもにょもにょする。
 二人して目指すものがまったく違うのに、気づかずに常に行動を共にしてるからさらに居心地悪い。

 そしてゲームクリエイターは、みんな独りよがりの押しつけ屋ばかりだというのがよくわかりました。
 ゲームクリエイターの発想力の無さを少子化や消費者のせいにしないでください。仮に原因がそうだとしても時代の変化に対応できないほうが悪いに決まってるでしょう。誰のためにゲーム作ってるの?
 グラフィック? 操作性? ストーリー? 某サンドボックス型のものづくりゲームは、そんなのに頼らず、世界的な大ヒットになりましたよ? 日本ゲームがガラパゴス化したのは誰のせいだかわかってる?

 それでも中盤までは、そうしたゲーム業界の開発現場のリアルさが描かれていて興味深かったんだけれど、終盤でいきなり姉妹が登場したり、宇宙のゆらぎで新しい宇宙を創造するとか、おかしな方向に行っちゃったのがナニコレ超展開だよ。ゲーム開発はいったいドコいったあああああああああああ!!
 主人公とヒロインが作ろとしていた「斬新なゲーム」が具体的に表現できなくて、ちゃぶ台をひっくり返した展開で無かったことにして、結末をお茶を濁したようにしか思えんぞ……。このシナリオはないわ。

 まあ始めっからタイトルに釣られる覚悟だったから、大丈夫だ、問題ない( ・`д・´)
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2011年06月12日

彼女を言い負かすのはたぶん無理 2/うれま庄司

456967660X彼女を言い負かすのはたぶん無理 2 (スマッシュ文庫 う 1-1-2)
うれま 庄司 しらび
PHP研究所 2011-06-09

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ディベートの天才少女アイラに心を奪われた主人公・桜井は、彼女が自分のことをどう思っているのか気になってはいるが、結局は聞けないまま時間が過ぎていく。そんな折、先日の騒ぎ(第1巻の公開ディベート)を起こした件で桜井とアイラが職員室に呼び出される。

 学校は楽しい。是か否か。

 現代人の必須スキル、ディベートを題材にした激論ラブコメ。

 『もしドラ』フイタw フィクションに実用性だとか、現実性だとかの疑問を持ってはいけない。
 度重なるディベート騒動により、ついに停学という処罰が下されてしまったにも関わらず、懲りずに退学の危険を犯すアイラを学校に引き止めるために奔走する主人公・桜井の繰り出す舌戦が熱かった。
 今回も相変わらず屁理屈を捏ねているディベート部ですが、密かにラブコメが進展していてニヤニヤ。

 『もしドラ』はドラッカーの『マネジメント』を高校野球を通して分かりやすく解説した、物の喩えであって、作者自身も『マネジメント』を読めば甲子園に出られるなんて思ってないですよ。読んでないけど多分。
 アイラへの恋心を見透かされて彼女に手玉に取られる桜井くんが痛ましいやら羨ましいやら。すべてが演技のようでいて、どこかに本音が混じっているのではないかと彼女の一挙一動に惑わされる。

 桜井の心配をよそに勝手気ままに振舞うアイラですが、でも、何にも縛られずに自由に生きるということはアイラにとっては己のアイデンティテイそのものなので、両者どちらの意見も否定し難くもどかしい。
 教育とはなにかを問いかけるクライマックスでのディベートは、どちらが正しいとか間違ってるとかじゃなくて、お互い胸の奥に溜まった意見を吐き出して、理解し合うためのものだったんだろうなぁ。

 つくづく増岡先生も嫌味な教師のテンプレだけれど、ここまでフルボッコにされてまだアイラたちに屈しないあたり根性があるというか、恥知らずというか、いいサンドバックだなぁ。
 アイラとようやく想いが通じ合った桜井でしたが、そうとは知らない橘までが桜井に・・・・・・。
 最後の最後でラブコメが急展開を迎えてきて、これは次回が非常に楽しみ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | スマッシュ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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