ようこそ無目的室へ! (HJ文庫 あ 1-2-1) 在原 竹広 玄ペンギン ホビージャパン 2008-04-01 by G-Tools |
青春とは、無目的な日々である
高校生の男女四人組が、とくに目的があるわけでもなく放課後の部室に集まって、雑談を交わしながらそれぞれが遭遇した不思議な出来事の謎を解いていくというミステリ。
なかなか良質なミステリでありました。これはよい『古典部』。
いつも淡々としてクールな一郎、裏表のあるヤンキー肌の千尋、うっかりドジっ子のほずみ、童顔で理屈屋の桂助。
まったく毛色の異なった性格の4人が、ひとつところでワイワイ賑やかに謎解きを繰り広げる様子が楽しいですね。
部活動や何かに燃えるのも青春ですが、こうやって気の会う仲間とダベっているだけという青春もありです。
ストーリーは連作短編集風味で、出題される謎は時々でミステリだったり、論理クイズ、ひっかけ問題だったりと多彩でした。
謎解きの裏で無目的部の部員たちの人間関係なども描きつつ、最後にはしっかりオチもついててニヤリとさせられる。
一話あたり30〜40ページで非常に上手くまとまってます。
気がつくと最後まで一気に読んでしまってました。
まあ6話目の『ラブレター・フロム・誰か』は、さすがにちょっとお粗末な感じはしましたが、1話目の『教室で見たもの』と5話目の『それでいいのかの猫』がよい出来でした。
謎解き自体はちゃんと落ち着いて考えれば、あっさりと解ける程度の問題ですが、最終話だけはちょっと驚き。そうきたか。
ゆるいお話のようで、そこには男女間のすれ違いだったり、
にこやかなようでくろぐろっとしたものもあったりと、謎が解けたらといって登場人物たちの悩みの全てが解決するわけではないという、言ってみれば当たり前の学生の姿がありました。
学園ドラマとしてもなかなかですな。
軽く頭のほぐれる運動をしたい人にオススメです。