藤堂家はカミガカリ (電撃文庫 た 21-1) 高遠 豹介 メディアワークス 2008-02-10 by G-Tools |
押し掛け家事手伝いは傍若無人
人間界とは異なる別世界「ハテシナ」の住人である建代神一郎と天霧美琴は、ある少年の護衛を任され人間界へ降りた。
その少年、藤堂周慈とその姉、春奈の住む家に押しかけて強引に同居を始める二人だったが、周慈を狙う敵が現れて・・・。
美琴と神一郎が、とにかくマイペースで突き進む。
任務だというのに普段からまったく真剣味が感じられないわ、
護衛対象の家には勝手に上がりこむわ、普段の生活費は不良からカツアゲって・・・、なにその男前な生き方。
非常識を非常識と認識していないところがタチ悪いですね。
あまりに自由奔放、勝手気ままな二人の行動に何度「空気嫁!w」とツッコミたくなったことでしょうか。
そんな二人ですが、周慈と春奈という姉弟の住む藤堂家に強引に入り込み、馴染んでいく様子がなんとも可笑しい。
親を亡くした姉弟二人だけの寂しい生活が、彼らのせいで良くも悪くも賑やかに騒がしくなっていき、いつの間にか家族のような関係に落ち着いていく過程が和みますね。
この話のメインヒロインは紛れもなく春奈。ツンデレです。
気配りとか配慮ってもんがない神一郎に最初は苛立ちを感じつつも、暖簾に腕押しな天然っぷりに次第に心を許していく。
小言は多いものの、神一郎に構われるのがまんざらでもない様子にニヤニヤ。
次点は委員長属性のレッテ。なんたって表紙ピン絵。
なぜ敵勢力の彼女が堂々と表紙なのかは絵師のみそ汁。
どっちかっていうと美琴はアホ担当・熱血要員でしょ確実に。
世界観は日本神話や東欧神話をベースにして、異能バトルっぽいことをしているけれど、それはどうでもいいや。
とりあえず、気合と根性でパワーうp!というのは萎えます。
新人の作品って、大抵アクションかバトルが含まれているけど、バトル要素って本当はまったく必要ないと思うんですよね。
日常パートがほんわかしているだけに、それを殺してしまう。
ラノベのお約束といってしまえばそれまでですが、もう読者も飽き飽きしているだろうものを無理してやることはない。
この作者はそんなものがなくても独特のキャラ回しと会話のセンスだけで十分に漫才コントとして成り立っていて面白い。
なので次回作は、是非ともバトル要素無しでお願いしたい。