ダフロン

2008年02月13日

君のための物語/水鏡希

484024166X君のための物語 (電撃文庫 み 13-1)
水鏡 希人
メディアワークス 2008-02-10

by G-Tools


彼氏と私の事情、あるいは怪奇事件簿

ひとりぼっちの寒い冬の夜。ひょんなことから死にそうになった私を救った男、レーイ。それが「私」と「彼」の出会いだった。
やがて「私」は「彼」まつわる不思議な事件に巻き込まれ・・・。
作家志望の「私」と不思議な「彼」の奇妙な友情物語。

人の命を自らの糧として長い時間を生きる「彼」、レーイ。
一方的なところもあるけれど、相手にとって何が望ましいかを考え、契約としてその願いを叶えようとする。
果たして「彼」は優しいのか冷たいのか。ついつい本音を知りたくなってしまう。そんな一風変わった魅力があります。

語り手である「私」が、「彼」に関わる様々な事件に遭遇し、
「彼」の境遇や秘めた想いを知っていくうちに、やがて奇妙な友情が育まれていく光景が、優しくて、美しくて、尊くて・・・。
なぜだか無性に切ない気持ちにさせられます。
いきなり一話目から泣かされました。綺麗で明るい口絵とにギャップがありすぎて涙が堪えられません。

ストーリーは怪奇小説なのですが、何故か心温まりますね。
二人の関係は、例えるなら無愛想で偏屈な名探偵と、それに振り回されるお人好しな助手といったところでしょうか。
長く生きて、それだけ多くの別れを体験してきた「彼」だけど、「私」との出会いが少しでも「彼」の救いになればと思います。

タイトルの由来が最後の締めで判明しますが、格好つけすぎです。けど、こういう演出は嫌いじゃありません。
作家というのは、本を書くときに誰か読み手を考えて書いたりしているのでしょうか。もしそうであれば、この本のように特別な存在に向けて綴ったものであったらいい。そう思いました。

そういえば、「私」の名前が出てないなとよく読み返したら、1ページ目に書いてあったやと苦笑い。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック