ほうかご百物語 (電撃文庫 み 12-1) 峰守 ひろかず メディアワークス 2008-02-10 by G-Tools |
ぴゅあいたちの夜
高校生で美術部員の白塚真一は、夜の学校で不思議な少女と出会う。彼女の正体が"イタチ"だと見抜いた彼は、別れ際にとある「約束」を交わす。その日から、学校には妖怪が現れるようになり、彼と彼女は妖怪退治をはじめて・・・というお話。
人間に化けたイタチの妖怪であるイタチさんは、「ピュア可愛い」との言葉通り、イマドキ珍しく純情な女の子ですね。
真一のストレートなホメ言葉に、いちいち真っ赤になっている顔は確かに可愛いのですが、良い子過ぎて何故だか物足りなさを感じてしまう私はツンデレ中毒なんだろうか。
むしろ真一はイタチさんとイチャついてるよりも、経島先輩にいじられている方が面白かった。
妖怪談義も興味深いのですが、この話に出てくる妖怪は、思念体のようなものというのか、ホントなんでもありですね。
事件ネタが尽きなくていいんですけれど、消滅させても次から次に出現してくるのでは、まさに"いたちごっこ"。
ストーリーは可もなく不可もない出来の読み易い作品です。
しかし、キャラの配置や使い方もシンプルで無駄がないだけに、その平凡さが際立ってしまう。決してつまらないとは言いませんが、電撃大賞受賞作のわりにはインパクトがない。
最近のケモノ耳尻尾の流行に乗ってやれっていう狙いが見え見えでイヤですねぇ。それこそ劣化版『いぬかみ』みたいな。
この手の話はありふれてるし、とくに新鮮さは感じなかった。
これが大賞作品じゃなかったら「楽しかった、笑った、面白かった」ですむんですが、仮にも時代のオープナーを自認する電撃文庫の新人賞トップがこんな没個性でいいのかな。
まあ、最近の大賞の選考理由は、大衆ウケしやすい作風で初心者を引き込もうという考えなので、ラノベらしいスタンダードな作品が選ばれる傾向がありますけどね。
やたら大きな看板を背負わされて、今後、この作者は苦労しないかなぁ。ちょっと可哀相な気がしてきた。