ダフロン

2007年11月12日

富士見ミステリー文庫の敗北

富士見ミステリー文庫ついに勝つ@一本足の蛸

富士ミス文庫はどこで間違ってしまったのかという話。
ちなみに私としては、なんだか変な方向性に行ってしまった原因となったのは、↓じゃねぇかと思うわけですよ。

@2003年09月
ROOM NO.1301 おとなりさんはアーティスティック!?
著:新井輝/イラスト:さっち

A2004年08月
描きかけのラブレター
著:ヤマグチノボル/イラスト:松本規之

B2005年12月
ニライカナイをさがして
著:葉山透/イラスト:山都エンヂ

C2006年12月
ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン
著:新井輝・築地俊彦・水城正太郎・師走トオル・田代裕彦・吉田茄矢・あざの耕平/イラスト:駒都え〜じ / ほか


富士ミスは当初から、『ハード・デイズ・ナイツ』、『Dクラッカーズ』、『東京タブロイド』の三強タイトルが大ヒットして、それから続く作品も、ちゃんとした純ミステリやってて、そこそこ高水準で安定していたのですよ。

そんな穏かな水面に一石を投じた問題作がエロス全開ギャル満載ミステリ要素皆無の『ROOM NO.1301』だったわけです。ミステリの文庫で完全に場違いな作品ながらも無視できないその内容が当時は相当騒がれたものです。

翌月から『かりん増血記』や『がらくたのフロンティア』といったミステリとは関係のない話もボチボチ出現しはじめるわけですが、2004年01月『GOSICK』と『平井骸惚此中ニ有リ』という傑作誕生で決定打にはならず、影響は相殺できていたのです。

その後も『さよならトロイメライ』、『タクティカル・ジャッジメント』のおかげでなんとかミステリ文庫として軌道を修正していた矢先に、そのときすでにツンデレ作家として名を馳せていたヤマグチノボルの『描きかけのラブレター』の不意打ちを食らったのです、そしてここから徐々にミステリ文庫にLOVEの嵐が・・・。

『ハイスクール・ミッション!』、『カラっぽの僕に、君はうたう。』等純愛路線が強みを見せるなか、2005年02月に『キリサキ』、2005年06月『ロクメンダイス、』といった名作と地雷作が混交して登場し、気風はおりしも『食卓にビールを』のごときカオスな様相を呈していきます。

そんな文庫全体が不安定だった2005年12月、『ニライカナイをさがして』という純愛モノが2ch大賞TOP10にランクイン。そうしてここから「ミステリの文庫でも、ラブコメがあってもいいんじゃないか」というような肯定的意見も出始め、富士見ミステリ文庫が、"L・O・V・E文庫"としてのレールを珍走し始める。

2006年01月からは、メイド萌え狙いの『ぼくのご主人様!?』。学園ラブコメの『待ってて、藤森くん!』、『うれしの荘片恋ものがたり』といった作品が、富士見ミステリ文庫をオタク色に染め上げていき。
ヤマグチノボルの『遠く6マイルの彼女』や新井輝の『さよなら、いもうと。』といった人気作家による支援砲撃を受けて、2006年07月『初恋セクスアリス』、『ヒドラ-HYDRA』といったまったくわけのわからない作品が堂々と出版されるようになる。この頃は本当に酷かった・・・。

この同時期、『エクスプローラー』、『SHI−NO』、『空とタマ』、『トキオカシ』といった良作も出てはいたのですが、地雷原化した文庫を警戒して一般人がその価値に気づくのは、もう少しシリーズとして巻を重ねてからの話。

2006年12月暮れ、富士ミス文庫史最高の地雷作と言われる『ネコのおと』が発表され、さすがに浮かれてた読者もこれに「はっちゃけるのもいい加減にしろ!」と総ツッコミが入り、まいじゃーさん辺りが地雷原認定を取り下げたりなんかして、「ライトノベル界の火薬庫」とまでいわれた去年までと比べれば、今年は恋愛路線も若干下火にはなってきたのですよ。

とりあえずフォローしておくと、上で挙げた4つのターニングポイントとした作品は、Cをのぞき、決して地雷作ではなく、それどころか稀に見る名作だったと断言して構わないでしょう。
しかし、富士見ファンタジア文庫で本にすればいいものを、ミステリ専門の文庫でやってしまったことが事態をややこしくしてしまい、結果的に富士ミス文庫の迷走化の引き金になってしまったのではないかと思う次第。

今後も完全には恋愛路線からは抜け出せないなという諦めに似た気持ちと、新刊がどうにもパッとしないものばかりで、なんというか"力尽きた"感があるのだが、大丈夫なのか?

まあ、私としてはヴィクトリカと志乃ちゃんの御身さえ拝めれればそれでいい。富士ミス文庫はロリで勝つ!

4829164034SHI-NO支倉志乃の敗北 (富士見ミステリー文庫 76-6)
上月 雨音
富士見書房 2007-11

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posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | ラノベ評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ゴシックなんざゴミだ。
Posted by 荒垣 at 2012年06月01日 02:33
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