神曲奏界ポリフォニカ THE BLACK 〜EPISODE 1&2 BOX EDITION〜 ocelot/KuroCo 2007-08-10 by G-Tools |
「神曲奏界ポリフォニカ」のブラックシリーズ。キネティックノベル版。大きなマナガと小さなマティアの精霊事件簿。
傷ついた心が罪の涙と出会う時、物語はここから始まる。
EPSODE 1
【惨劇からマティアを救い出したのは巨漢の精霊マナガだった。不器用だが、純朴なマナガの対応にマティアは閉ざしていた心を次第に開いていき・・・】
「言葉にならない気持ちでも、音楽にならできる」
惹かれ合う、悲しみと哀しみの魂
ソルテム山上空で起きた原因不明の旅客機墜落事故。
偶然その場に居合わせた精霊マナガにより、唯一、生き残った少女マティアは、そのときに負った怪我により入院して以降も笑顔はおろか、まともな表情すら浮かべることがなかった。
すで両親と死に別れ、彼女もまた死にたがっていたことを知ったマナガは、彼女の病室に通いつめるようになる。
マティアとマナガのたどたどしいやり取りがいいですね。
最初はいかにもぎこちなく、それが不器用でも真摯なマナガの優しさに触れてマティアが心を開いていく光景がなんとも微笑ましくて、ついついこちらの顔までほころんでしまいます。
いやー、マナガの天然っぷりは本当に癒される。
やはりポリ黒の一番の萌え要素はマナガだなー。
主治医としてマティアに接するティグレアさんの奮闘ぶりも、これぞ姉御肌というのか、凛々しくてカッコイイ!!
この頃のマティアは、マナガでなくても放っておけんですよ。
しかし、マナガが贈った沢山のお見舞いの中で、マティアがまず手にしたのがパズルっていうのが彼女らしいですね。
マティアが施設に行かされると聞いて、自分が引き取る決意を定めたマナガからマティアへの言葉が素敵です。
「自分は不器用だから沢山のことをいっぺんにはできない、
だから、すべてが終わるまで待っててくれ」
あー、不器用な彼が言うからこそグッとくるなぁ。
生きる気力を取り戻し、マナガが迎えに来るそのときまで必死にリハビリに向うマティアもこれまた健気でグッとくる。
半年後、マティアを引き取るため精霊警官になったマナガ。
それまでリハビリに専念していても、どうしても歩けなかったのに、彼に再会して初めて立って歩けるようになるなんて、まさにお約束っ!w
アパートにきたマティアの入居祝いと誕生日祝い。
マティアの両親の形見だったブルースハープをこっそり直してたとは、マナガにしては気が効いてるじゃないか。
そして響き渡るブルースの音色にマナガの力が蘇る。
ポリフォニカ恒例の口説き文句キター!
しかし、なんというクマちゃん柄!そんなところも好きだー!
;゚д゚)・:; グハッ!! ちょ、おま、犯罪、ぎゃあああああ!!
ポリ黒までこういう展開ですか、ますます「ロリフォニカ」の異名から脱しがたくなっていくじゃまいか。
いや、でも他の変態カップルとは違って、"マティアから"というのが違うか。なんですか、この新婚さんの初夜的ムードは。
3年後、マナガを追って警官になったマティア。
警官としての二人の活躍は、また、別の物語である。
EPSODE 2
【警部となったマティアは、ある日、浮浪児の少女サジ・シェリカと出会う。父の冤罪を主張する彼女を信じた二人は、すでに解決した事件の再捜査に乗り出す】
「罪ってのはな、償えるときに償っとくもんだ。
それを逃しちまうとな・・・・・・
罪は罪人を食らい尽くしちまう」
黒き断罪者訪れし刻、葬られし罪が蘇る
精霊課に配属されたばかりの二人の目の前で引ったくりの現行犯で捕まった少女、サジ・シェリカ。
行き場のない彼女を自宅に保護した二人は、ストリートチルドレンになる原因となった彼女の父親の事件の経緯を聞く。
シェリカに懇願され、事件の再捜査を進める二人は、決定的と思われていた証拠に綻びを見つける。
女の子同士の友情話っていいですな。
このサービスシーンだけで身悶えして憤死しそう。
むしろ明るくて人懐っこいシェリカに対して、マティアの方から積極的に世話を焼いているのが新鮮ですね。
事件の判決で決め手の証拠となった監視カメラの映像から不自然な点を見つけ出し、真犯人の存在を確信するにまで至るなんて、ここでもマティアの観察力は驚異的ですね。
犯行現場と逮捕されたシェリカの自宅を繋ぐルートを何度も往復したり、この二人って観察力や推理力が目立ちますが、地味な捜査にも率先して向う行動力もありますよね。
まあ当然のことながら、トリックをあっさり看破されて、二人の仕掛けた罠にのこのこやってきた真犯人さんのマヌケ面最高
そして三流の小悪党にふさわしく、開き直って襲い掛かる彼らに黒の精霊とブルースハープの旋律が立ち向かう。
一撃必殺、マナガパンチ!!!
まあ狂った精霊とかならともかく、普通の精霊ごときじゃまるで相手になりませんな。
ポリフォニカは総じて戦闘がダルイので楽勝ムードでOK。
ときに人の想いや魂のこもった楽器は、楽器の中でも特別扱いされるらしいですが、もしかするとマティアの天才的な神曲の腕前の一端は、亡くなった両親やマナガの想いがこめられたブルースハープにもあるのかもしれませんね。
しばらくの後、二人のもとにシェリカからの手紙が届く。
父親と並んで写真に写る彼女の笑顔を胸に、新たな事件の捜査へと向う二人の活躍は、また、別の物語である。
いやぁ、マティアとマナガ、このコンビは本当にいい!!
会話のテンポも素晴しいんですが、声優陣の絶妙なセリフ回しが、本で読んで想像したイメージそのままでした。
収録されているサントラも物語を引き立てていましたね。
ストーリーの細かい配慮までなされて、エピローグがそのまま第1巻の事件へと繋がり、読後の余韻も味わい深くていいです。また一巻から読み返したくなりましたよ。
さてキネティックノベルラッシュは一区切りつきましたが、
次は何色がきますかな。順当にいけば青?