![]() | 学校の階段 6 櫂末 高彰 甘福 あまね エンターブレイン 2007-07-30 by G-Tools |
【いつものように部活後の階段掃除をしていた幸宏を、抑えようのない虚無感が襲う。突如として情熱を失ってしまった自分に戸惑いながらも幸宏は休部を決意するのだが・・・】
この思いは止められないんだ!あまりにも衝動的で、制御不可能なんだよ!
若人よ!燃え尽きよ!
山上桔梗院との再戦に燃える階段部のメンバーをよそに、ひとり階段レースへの意欲を失ってしまった神庭幸宏。
そんな彼の前に現れた編入生の少女・御神楽あやめ。
編入早々、生徒会長に立候補した彼女にはある思惑が・・・。
各メンバーの過去話や井筒の恋愛騒動も一区切りついて、ようやく我らが主人公・神庭幸宏がメインのお話です。
いわゆる「燃え尽き症候群」にハマってしまった幸宏。
盛り上がる仲間たちの横で、ひとり冷めた自分に愕然とし、走ることを止めた途端に押し寄せる焦燥、こみ上げる苛立ちにもがき、理由もなく沸きあがる衝動とひたすら葛藤する。
どんなスポーツでも、趣味でも、誰でも身近に起こりうることだけに、苦しむ彼の胸の内が痛いほど伝わってきますね。
なにが理由で急に階段熱が冷めてしまったのかは、曖昧で唐突ですが、順風満帆な人ほど突然ガス欠に陥るものですか。
起きたときは無我夢中で気にしなくても、これまでの様々な問題が過ぎたあとで疲れがきたんじゃないでしょうかね。
まあ筋肉部がしょぼくれてしまっているのとは、また違いますがね。なんだよ筋肉断ちって。アキレス腱断絶か。
青春とは、湧き上がる己の衝動のままに駆けること。
そしてときには立ち止まって悩むこともまた青春。
走って転んで、痛みをこらえて、また走り出すの繰り返し。
暴走か、停滞か、その両極端しか選べないのが若さですよね。
生徒会長になるべく暗躍する御神楽あやめの策略は、中途半端に転びかけていた幸宏をどつき倒してしまったんですね。
それが返って燻っていた彼の心に火を点けてしまうとは、姦計もどう転ぶかわかりませんね。彼の心の叫びが熱いです。
男子は、転んで泣いて立ち上がってからが本領発揮ですよ。
なんだか天馬グループの騒動が、山上との階段レースにも関わってきそうな伏線が張られましたがどうなるんでしょう。
このシリーズのノリだと次回の生徒会長選挙は階段レースで決めるとか言い出しそうなんですが。ありうるすぐる展開。
それにしても若いっていいですよね。この本を読むたびにそう感じさせてくれます。