![]() | 携帯電話俺 水市 恵 小学館 2007-06-19 by G-Tools |
【ある朝、目が覚めると藪沢大地は携帯電話になっていた。しかもその使用者も、自分(のニセモノ?)だった! いったい誰が何のためにこんなことを? もとのカラダに戻れるのだろうか?】
自分がもう一人、これが2in1です
朝起きたら身体が携帯電話になっていた大学生のお話。
自分とそっくりな使用者に持ち歩かれながら、元の身体に戻る方法を探しつつ、携帯電話の視点で自分自身の交友関係を客観的に見つめていくという青春・世にも奇妙な物語?
最初のうちは大学生が主役の恋ドラっぽい恋愛模様が描かれるのですが、後半にかけていきなり魔術がどうのこうのという話に転がっていって、なにがなにやら・・・。
まあ書きくだりから先の展開は簡単に読めるんですが、話の繋がりがまったくなく。前半はいったい何だったんだろうと・・・。
マリアとエリスの主張については、エリスに賛成かな。
もし人間の精神がデジタル化されれば、確かに便利は便利になるだろうけど、精神をコピーしたロボがいるなら、生きてるだけで余計な資源を浪費する元の人間は用済みじゃない?
あと優秀な人間が1人いれば、その他の人間は不要だよね。
そこら辺の危険性をマリアはちゃんと認識できてるのか。
「世界を変えるパラダイムシフトだー」とか言っておきながら、
「自分は技術を確立するだけで、使い道を考えるのは私じゃない」とか、それはあまりにも無責任すぎやしませんか・・・。
なんというか自分の才能を世に知らしめたいだけ、みたいな。
姉妹が対立する原因の肝心の問題が解決していない。
せめて作者なりの納得できる解答を提示すべきでしたね。
まず作品の物語構成から考え直すべきだと思いますが。
冴子とミエがそっくりだという要素は何の意味もないのか。
とくに粗があるというわけでもないのだけれど、物語を十分に練れていない読感を受けましたね。
とりあえず、「私たちの心の中に生きている」はオチにしてはイタいから止めてくれ。