ダフロン

2020年06月01日

ラノベ好きVtuber本山らの公式アンソロジー本『本山らのが〇〇になったら』感想

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ラノベ好きVtuber・本山らのちゃんが編集企画した公式アンソロジー第二弾『本山らのが〇〇になったら?』。
本山らのちゃんが、もしも〇〇になったらというテーマで、アイドルになったり、女教師になったりと様々な「IF」のシチュエーションで10名の現役ラノベ作家陣が妄想を炸裂させています。
そんな本作は、リンク先から電子書籍、通販サイト「BOOTH」で販売中! みんな買ってね!

それでは感想いっきまーす。

■『夏の夜に、忘れものを取り戻しに』(神田夏生)
 記憶喪失になってしまったらのちゃんが、何度も記憶を失っても、その度にライトノベルを好きになるお話。きっと生まれ変わってもラノベを好きになるんだろうなと、らのちゃんのラノベ愛の深さが伝わってきました。そしてラノベ作家の糸述ルカも、挫折して執筆を辞めようとしているのに辞めきれずに葛藤する姿に夢への情熱があふれていました。「思い出す」は、思いを出すこと。ラノベ作家の情熱と読者の愛、記憶喪失をキーワードにそれぞれの思いを出したお話でした。

■忘れられた書庫にて、書魔と踊る(古宮九時)
 荒廃した世界の地下都市にある大図書館、誰にも読まれなかった本が魔物に変わる書魔、それを元の本に戻す魔術師「書魔士」らのちゃん。この設定で別の作品でそのまま一本書いて欲しいですね。世界観が壮大なSFやファンタジーが好きです。ただそれだけに物語が短すぎるのが惜しい。このあと、お宝を持ち帰った主人公が同業者の間で噂になって、地下都市の妖精・らのちゃんに会いにおっさんたちが行列をなして図書館を目指すんだきっと。

■灰の世界の本山らの(八目迷)
 この話も続きが読みたい! 公序良俗を掲げてラノベを弾圧する良化隊と、表現の自由を求めるらの担たちが銃撃戦を繰り広げるんですよ。物語は世界も壊すし、世界を作りもする。ウェルテル効果ともいわれるが、芸術や音楽やスポーツだって人の心を動かす。それなのに表現の自由ばかり叩かれるのはどうしてなのかと世の中に問いたい。どんなものであっても、それがその人にとっての幸せなのだとしたら、規制を作ることは他人に不幸せを強制していることになる。それこそ物語を読むと幸福のかたちはひとつじゃないということがよくわかる。ひとつの幸福しか認めない社会は、味気ない灰色の不幸で満ちた世界だろう。

■『ラノライブ!』(海津ゆたか)
 らのちゃんは元からラノベ界のアイドルでは???🤔 お歌枠待ってます。アイドルラノベって一時期そこそこ人気あったんですよね。最近のラノベはヒロインが美少女ってだけでなく付加価値を増すために、アイドルだったり、王女だったりと、高嶺の花化していると思います。音楽やダンスはテキストでは魅力が伝えられないといいますが、それなら味覚に訴える異世界グルメものとかはどうして流行ったのか説明ができないんですよね。私もカクヨムのレビューでいくつか音楽ものやアイドルもの紹介したことがあるのですが、反応が薄いのが不思議です。漫画の『AKB49』みたいに本物のアイドルが推せば流行ると思うんですよ。らのちゃんがアイドルになって流行らせてくれー。

■『青春の残滓を与えられた丸眼鏡の初恋』(あまさきみりと)
 失恋文庫の民が大歓喜するような甘く切ない青春の苦味を煮詰めたような素敵なお話でしたが、これは本当にらのちゃんなのかという根本的な疑問が……。らのちゃんからラノベと眼鏡と狐耳を取るなんてとんでもない。キャラが弱くなって弱キャラ本山さんになってしまう。眼鏡の文学少女もモテると思うんですよねぇ、私の中学校高校にはいなかったが。私はずっと図書室にいたのに見たことがない。もはや絶滅危惧種なので保護しなければ。眼鏡の文学少女は、どこに落ちているんです?

■『ムーンライトノベル』(羽場楽人)
 「プロの作品だけじゃなくて、小説投稿サイトの作品も読めてすごいなぁ」で、ほんそれなって完全同意。私もカクヨムでスコップしていると、どうしても出版されているほうのタイトルは後回しなって追えなくなってくるんだけど、両方どちらも欠かさずチェックできてるのすごい。マジ宇宙人か地球外生命体が作り出したラノベ感想botといわれても信じてしまう。空想の翼は人類を宇宙に打ち上げ月に導いた。それなら次に目指すは異世界だな! 読者の声が一番創作者のモチベーションを上げるので、小説投稿サイトで作品を読んだ人はどんどん感想や高評価をつけください。そして作家をエタらせるな! 創作沼から逃がすな!

■『あの夏、狐娘の幻覚を見た』(涼暮皐)
 一体いつから、らのちゃんが現実だと錯覚していた。らのちゃんがいる日常いいですね。とくに意味のある話の脈絡なんかなくていいからダラダラお喋りしたい。たまにウザ絡みしてもいいんだ。可愛いから。そもそも喋りが上手いから、雑談配信なんかでも人気出るんじゃないかしらと思ったりする。最近、お酒にハマっているようだし、ここらでいっちょ飲酒配信とかやってみてはどうですか?

■『らの、わたしの「好き」を見ていて』(藤井論理)
 ゲームものかと思ったら、青春ラブストーリーだったでござる。いやー、こういう一風変わった設定の恋愛ものは好きですね。おかしな奇病のせいで好きだと素直に言えない幼馴染の女の子と男の子のもどかしい関係と、気持ちのすれ違いが読んでいてエモエモで、キュンキュンします。好きなものを好きと言えないのは残酷ですね。ただ今の若い子とかは、趣味でも何でも好き嫌いをはっきり口にすることを恥ずかしいとか、周囲から非難されると思って控えるらしいから現代ではよくあることなのかも。

■『居酒屋らの』(モノカキ・アエル)
 ラノベ作家、すぐ挫折しがち。小説家って芸術肌で繊細な人が多いし、小説を一冊書くのにもすごい情熱をかけているから、それが読者に届かないと途端に燃え尽きちゃうんだろうな。そんなときはストロングゼロを飲め。そしてアエルちゃんはやはりお酒の話なのね……。私もベテランの作品を読んでいても「ピンとこない」って感じること時々あります。悪くはないけれど、なにか物足りない。分析や経験で自分の型を作るのはいいけれど、それに拘りすぎてもいけないんですよね。日本酒とバニラアイスもおすすめ。

■『やがて本山らのになる』(岬鷺宮)
 女教師と女生徒の親密な関係、古典的な「エス」ですね。清楚で美人な女教師に憧れてしまうのわかりみ。低俗だと読まず嫌いだったラノベだけれど、読んでみたらいろんな種類があるし、それらを読んでから、低俗な作品を読むと面白さがあって受け入れてしまう。それもまたラノベの魅力だ。そして本山らのに影響を受けて誕生する二代目本山らの。受け継がれるらのちゃんの意思! 六世まで続けましょう。月面でアイドルライブ配信だ!

本山らのちゃんをテーマに様々な設定や展開を組み立てる本作。まだ読んだことのなかった作家さんたちの作品にも触れる機会にもなり、ここから各人のシリーズを読み始めてもいいのではないでしょうか。
長くなってしまい申し訳ございません。この辺りで締めさせていただきます。
ここまで読んでくれた方々、ありがとうございます。
それでは最後に、

全人類これ読んで!
posted by 愛咲優詩 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする