ダフロン

2019年06月17日

トモハメ 修羅と呼ばれた喧嘩無敗のお嬢様を友情で躾ける方法/懺悔



義勇の為に拳を振るっていた俺は、ある日絶体絶命のピンチに陥ってしまう。そこに現れたのは俺と同じく正義感を持つ白雪百合(しらゆき ゆり)だった。可憐な見た目からは想像も出来ない強さで不良を蹴散らし、俺と共に窮地を脱する。それから俺達はコンビを組み、街からゴロツキを駆逐していった。それは荒っぽくも痛快な日々だった。しかし青春はいつか終わってしまう。いつまでも子供のままではいられない。そんな戦友の背中を押す為に俺が取った手段とは――。


 ヤンキー漫画だこれ!

 作者がツイッターで「トモハメ1、2は友情や相互理解、3は殴り合いです」と語っていましたが、その通りヤング系漫画誌に載るようなヤンキーたちの意地と根性のバトル漫画の世界観でした。

 幼い頃から恵まれた体格で拳を振るって地元の不良たちを黙らせてきた青年・犬飼京助。
 見た目は清楚可憐なお嬢様でありながら内に凶暴な闘争本能を抱えた女子高生・白雪百合。

 義侠心から近隣の不良グループを敵に回して喧嘩三昧の日々を過ごし、お互いに背中を預け合って幾度も修羅場をくぐり抜けてきた二人の火花散る決闘プレイが熱い!

 ある日、喧嘩の後の身体の火照りが抑えられず、男女の関係を持ってしまう二人。
 言葉よりも拳で語る二人の性行為は本能を剥き出しにした全力のぶつかり合いでした。
 対等だからこそ相棒であり、お互いに相手に意地を張ってどちらも譲らないせめぎ合いが激アツ!
 相手が強ければ強いほど燃え、どこまでもお互いを追い込んで高めあっていく。
 どちらが先に相手を屈服させるか、雄と雌のプライドを賭けたタイマン勝負!

 手加減無用のノーガードの殴り合い!

 ここに至って性交は格闘技に達した!

 いやぁ、確かにセックスはセックスなんですが、卑猥さ、淫らさを感じさせない熱血キャラクターと描写についつい手に汗握ってしまいました。

 普段はサバサバと男勝りで勇ましい百合が、情事の最中は女の子らしく可愛らしい態度を垣間見せるギャップに脳天を撃ち抜かれますね。
 京助も口では粋がりつつも、いままで経験した女性とは違い、自分の全力を受け止める百合に、改めて無二の相棒として認めて、愛や友情や性別を越えた信頼を寄せる姿に魅せられます。

 京助と百合は、これまでのトモハメシリーズで一番アウトローなカップルなのですが、おかしなことに一番常識があるように思いました。

 二人とも喧嘩で荒んだ青春に後悔はなく、自分の信念を貫いたことに満足している一方で、路上で喧嘩に明け暮れることに虚しさを感じ始め。この日々から卒業しないといけないと薄々気づいている。
 お嬢様である百合には親が決めた許嫁がいて、親に迷惑をかけている自覚もあり納得はしている。しかし逃げてばかりで向き合おうとしない彼女の将来を心配した京助は、彼女の更生の手助けをしつつ、自分の将来についても考えていく……。

 たんなる考えなしのヤンキーではない、乱暴者でも悩みや葛藤に揺れる人間味の溢れるキャラクターに唸らされました。エロ要素に目がいきがちですが、毎回違うタイプのカップルを描き、物語テーマの目つけどころもユニークで、やはり非凡な作家だと思います。

 電子版では人気ランキングに入ったりしてなかなか好調のようですが、あとがきによれば厳しいと聞きます。気になった方は、是非この巻から読んでみてください。


posted by 愛咲優詩 at 00:00| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする