ダフロン

2019年01月04日

青色ノイズと<やきもち>キラーチューン ワケありJKと始める男装V系バンド/総夜ムカイ


自分の声にコンプレックスがある男子高校生・大上透。かつて軽音楽部のライブで散々な思いをしたことで音楽をやめてしまう。その彼を「ボクは、君の歌声が忘れられないんだ」とバンドに誘う謎のイケメンが登場!? なんと、その正体はクラスで一番地味な女子・音子が男装した姿だった!


 弱い自分を救う歌

 ワケあり少年少女が音楽で過去の弱い自分を塗り替える学園青春ヴィジュアル系バンドストーリー。

 ヒロインがみんなカッコ可愛い! 揃いも揃って性格が面倒くさいけど、そこがいい!
 生まれつきの高い声にコンプレックスがある主人公・大上透が、クラスメイトの地味女子・化野音子にに誘われて男装Vバンドを組み、音楽を通じてトラウマを乗り越えていく姿に心を揺さぶられました。
 誰でも自分自身に嫌いなところがある。そんな劣等感や諦念を彼らのサウンドがぶち壊してくれます。

 普段は内気で人見知りな音子が、ウィッグをつけて男装をした途端に人懐っこくて陽気な王子様に早変わりするギャップが面白くて、ガーリーな魅力とボーイッシュな魅力が共存しているキャラが新鮮。
 妙に音子に信頼されてしまい、表面では適当にあしらいながらも、やたらと無防備で距離感が近い彼女に内心でドキドキしてしまってバンドの練習どころではない透の男心も初々しくて笑いを誘う。

 さらにメンバーのライオンや神原小鳥、演奏の腕前には十分だが、透と音子と同様にメンタルの問題を抱えていて、似た者同士で友情の輪が広がっていく展開に胸が弾む。けれど次第に人間関係のすれ違いを起こすようになって自分を追い詰めていってしまう光景は、やるせなくなりました。男女間のもつれ、傷つきやすい繊細な人間ばかりが集まるのもバンドあるあるなんでしょうか。

 自分に自信を持てない。弱い自分が嫌い。でも、ヴィジュアルという仮面をつければ、違う自分になれる。劣等感をエネルギーに変えて、虚勢でも勇気を出して嫌いな自分を受け入れて、仲間と支え合って舞台に立った透たちの歌だからこそ、文字だけでも読んでいて心に響くロックと感動がありました。
 本来ならライブのところで終わっていいんだけど、結末の絶妙な引きはずるいな。続きに期待。


posted by 愛咲優詩 at 00:00| MF文庫J | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする