![]() | レジンキャストミルク 7 (7) 藤原 祐 メディアワークス 2007-06 by G-Tools |
【連れ去られた芹菜を奪還するため。晶たちは、反撃を開始する。しかし晶を憎悪する無限回廊もまた、次の一手を打っていた。思惑と策略が交差する戦いの先に待ち受けるものとは】
失敗作にも意地がある
まったりほのぼの、しかしてダークな学園異能もの。
ツギハギだらけの日常でも、硝子にとって大切なものとなりつつあるその平穏を守るべく、晶は反撃の機会を探る。
芹菜を奪還すべく仲間達とともに二面作戦を開始するが、
敵もまた、さらなる手駒を送り込んでくる。そして戦いの中で、
彼らは仲間のひとりと永遠の別れを経験することになります。
これまでドヘタレだった晶が逞しくなったよなぁ。
いままで一方的にやられてばかりだったのが、完全に日常と決別したことで、吹っ切れた強さをみせてくれました。
『無限回廊』との戦闘そのものは途中で水が入りましたが、
戦いの主導権は譲らず、精神面でも圧倒していましたね。
というか段々と『無限回廊』の小物っぷりが増していくな。
日常パートは本当にほのぼのしているからこそ、それが崩れたときの不条理ややりきれない思いが際立ちます。
何かを得るためには、何かを差し出さなくてはならない。
しかし芹菜を救うために、今回の晶たちが支払った代償はあまりにも大きいものでした。
失って初めて自分の思いに気づく者。
あと少し力がおよばなかった自分を責める者。
生まれたてた感情に流されてただ泣き崩れる者。
そして仲間の死を無駄にしないために前へ歩む者。
死んでいった者のために残された人々は何ができるのか。
それぞれが抱える切なさ、悲しさが胸に突き刺さります。
異常な世界で生きる晶たちの友情や絆の尊さを感じました。
蜜が犠牲を払って手にいれた虚界渦開放の力。
『無限回廊』の元から解き放たれた良司と芹菜。
度重なる修正により弱まる世界の修正力。そして狙われる芹菜と君子の命は。本物と贋作の決着の行方は。
そんな事柄も絡んで、次回はいよいよ最終巻となります。