ダフロン

2017年02月05日

建築士・音無薫子の設計ノート あなたの人生、リノベーションします。/逢上央士

4800267382建築士・音無薫子の設計ノート あなたの人生、リノベーションします。 (宝島社文庫)
逢上 央士
宝島社 2017-02-07

by G-Tools

産後クライシス(?)で妻子に出て行かれた男性、サモエドと暮らす老夫婦、自宅カフェ開業を考える二人の主婦……。音無建築事務所には、今日もさまざまなワケありクライアントが訪れる。天才的な観察眼を持つ音無薫子(おとなし・かおるこ)は、彼ら自身も気付いていない真の問題に、建築士として切り込んでいく。

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 あなたの人生の設計プラン教えます

 依頼主の要望を聞くが決して要望通りにしない女性建築士が家に秘められた謎を解き明かす建築ミステリー

 この作品に登場する依頼主に必要なのは建築士じゃなくて心理カウンセラーなんじゃないかなとオモタ。
 建築士である薫子さんと助手の今西くんが、さまざまな理由から家や過去に囚われた人々の心の問題を解き明かし、ユニークなリノベーションによって新しい自宅で新しい人生を歩み出していく光景が感動でした。
 家や部屋はそこに住む人の内面を映し出す鏡であり、人生を積み上げていく土台でもあるんですね。

 研修生だった今西くんが設計を任されるようになり、最初はやる気に満ちていたのに希望が曖昧だったり、意見がコロコロと変わる依頼主に振り回されて青息吐息な姿に社会人ってそんなものよと微笑ましくなった。
 依頼主も問題を問題として認識してないから困っちゃうんですよね。現実で遭遇したら間違いなくこじれる沼案件だ。薫子さんもそんな依頼主のアンタッチャブルな領域に踏み込んでいくから毎回ハラハラさせられる。

 いい意味で空気を読まない、妥協せずに自分が納得いくまで追求する薫子さんの仕事の流儀が潔くて気持ちがスカッとする。こういう上司は部下は大変だろうけど仕事に自信が持てるだろうなと羨ましくなったり。
 依頼主だけでなく、建築士もそれぞれ夢や理想を抱えて設計に携わっている。プロでも悩むこともあって完璧な存在じゃない、でも人間味が感じられてやりがいのある素晴らしい仕事なんだなって改めて思いました。

 マニュアルやラインにそっているいるだけでは作れない、まさに建築は人が住む芸術品ですね。
 今西くんや喜多村さんたち研修生が仕事の成功や失敗を通じて設計とは何かを学んでいく建築士としての成長ぶりが初々しくて、彼らに感化されて若い頃の情熱を蘇らせていく先輩たちの姿にも胸が熱くなる。
 いつだってやりなおせる、人生の設計を学べたような気がします。
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | このライトノベルがすごい!文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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