ダフロン

2007年06月06日

奏でる少女の道行きは/細音啓

4829119187奏でる少女の道行きは
細音 啓
富士見書房 2007-05

by G-Tools

【夏の移動教室へきたクルーエルとネイトたち。クルーエルは、ウキウキする反面、名詠式への悩みを抱えて複雑な気持ちだった。そんな中、移動教室の近くの研究所で人が石化する事件が起きて】
「さあ、あなたの道行きを教えて」

踏み出す一歩が、道となる

若くして天才の称号を冠された祓名民の少女エイダ・ユン。
しかし彼女は、父親への反発から名詠士を目指すことに。
だが、その身に沁みついた生き方までは拭い去れず、
彼女は名詠士と祓名民、二つの道の狭間に迷い込みます。
今回は、ネイトとクルーエルの同級生エイダが主役です。

名詠を学びながらも、祓名民としての自分を捨てられず、
そんな自分一人だけが周囲から仲間外れのように感じ、
それでも明るく振る舞うエイダの姿が実に切ない。
葛藤を隠した笑顔から彼女の苦悩が伝わってきます。

ふと立ち止って自分の道に疑問を持つことは大切ですが、
そこで停滞してしまわないことが重要です。
ネイトと出会い、前進する勇気を得たクルーエルのように、
停滞から歩き出すためには、どんな道を歩むことになっても、
その自分を認めてくれる存在が人には必要なのでしょう。
祓名民としての自分が守るべきものを理解し、ようやく和解できた父と娘の会話に家族の温かさを感じました。

一方、強すぎる自分の力を持てあましていたクルーエルは、
一生懸命なネイトの励ましに、胸がきゅんきゅん鳴ってます。
あの恥ずかしいセリフを無自覚で言えるとは、末恐ろしい。
ネイトとクルーエルの関係は、今のところ「姉と弟」ですが、
彼女がショタの道に踏み出すのもそう遠くないでしょう。

前巻と比べてしまうとストーリーとしては地味めですが、
その分、伏線も絡めて物語の本筋がまとまってきました。
作中で奏でられる讃来歌は繊細で優美でやはり素敵です。
無事シリーズとして走り出したようで、今後も応援したい。

自分の進むべき道に迷っている人に、是非読んで欲しい。
愛咲が今期一番にオススメするシリーズです。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(2) | 富士見ファンタジア文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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