魔法科高校の劣等生 (16) 四葉継承編 (電撃文庫) 佐島勤 石田可奈 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-05-09 by G-Tools |
司波深雪の許へ、四葉本家から一族の有力者が顔を揃える新年の集い「慶春会」の招待状が届く。それが意味するものは、四葉家次期当主の指名。―自分が後継者に選ばれれば、兄も日陰者に甘んじなくて済む。―次期当主の地位にはきっと、それに相応しい「婚約者」が付いてくる。深雪の心は千々に乱れる。
氷の心に秘めし想い
近未来のエリート校である魔法科高校に入学した兄妹が繰り広げるマジカルバトルアクション。
表紙からにじみ出る少女漫画のバカップル臭。そりゃお前らもう婚約しちゃえよ!といいたくなりますよね。
四葉本家の新年行事「慶春会」への招待を受けた達也と深雪が、次期当主の指名を快く思わない分家筋から度重なる妨害を受けながら「慶春会」ヘ挑み、そこで明かされる兄妹の出生に関わる四葉の闇に驚愕しました。
冒頭の人物紹介と解説で25ページも使ってる、巻を重ねるごとに順調に長くなっているなぁ。
四葉の次期当主の地位には執着が無いが、お兄様の扱いが改善されるならばと思いつつも、お兄様以外の男性を婚約者に決められるのは耐え難い。口に出せず胸に秘めたまま散れ散れになる深雪さんの乙女心が切ない。
兄妹の「慶春会」出席を拒む分家にまんまと利用されるかつて達也に敗れた組織の残党の皆さんが哀れ。負けフラグを自分から立てていく出来たモブ。候補者たちも家のしがらみに巻き込まれていい迷惑でしょうね。
生まれてくる子供にドロドロした恨みを押し付ける四葉の大人たちの醜悪さが胸糞。身勝手だなぁと思いますが、十師族なら身内にも非情にならねばならないものかと、改めて常識の欠如を見せつけられましたね。
けど真夜さんの笑顔で周囲の人物を掌の上で躍らせる悪女感は好きですね。他人に翻弄される兄妹というのも珍しいし、深雪さんの思わぬ愛の告白に戸惑う達也が久しぶりに人間っぽくてニヤニヤしてしまいました。
達也と深雪の関係については、読者によって批判あるようですが、私は『別にいいんじゃない。そっちの方が人間関係がややこしくなって面白い展開なりそうだし』です。深雪さんが幸せそうだからいいんだよ!
ついに兄妹と四葉家の関係が世間にも明らかになり、知人友人たちの反応が楽しみでなりませんが、クリプリさんまだ諦めてなかったの……。いまのところ達也に勝ったためしがないのですがまた恥を上塗りするのか。