ダフロン

2015年04月15日

このラブリードールは俺の妹ですか?/芦屋六月

4048650629このラブリードールは俺の妹ですか? (電撃文庫)
芦屋六月 わだつみ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2015-04-10

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日々魅力的に成長していく妹への劣情を抑えきれない俺は、その背徳的なリビドーから逃れるように、偶然出会った自主映画製作チームに参加することにする。美しくも凜々しい乙黒監督、幼女にしか見えないもちこさんなど、個性豊かな人たちと映画作りに没頭していたある日、運命の出会いを果たす。

 ラブドールより妹がいい

 妹LOVEの少年が変人集団と自主映画作りに挑むコミカル青春ストーリー

 兄妹愛はこの業界では合法だから。むしろ兄妹は結ばれるべくして結ばれる運命だから。幼馴染?知らんな
 妹が好きすぎる不登校の主人公・恋木杳一郎が、ひょんなことから自主映画制作にたずさわることになり、アクの強いスタッフたちに翻弄されながらも他者との関わりを得て引きこもりから脱却していく姿がよかった。
 最近ラノベの妹ブームの再燃がキテる? いや、もはや定着したジャンルとして確立してるのだろう。

 両親の離婚や自由奔放な兄に代わって妹の世話をするようになり、そうした兄妹愛をこじらせて実の妹みさらに恋するようになって悶々とした気持ちに耐えながら妄想小説を綴る日々を過ごす杳一郎の姿が痛々しい。
 想われてるとは知らない妹のみさらもブラコン気味で、兄と同じく友達のいないゲームオタクのぼっちで、忙しくて構ってくれない兄に嫉妬したり、杳一郎も真に受けて狼狽えたり、微笑ましい兄妹関係が和みます。

 杳一郎を映画作りに誘ったスタッフも、ハゲのオカマだったり、ネットアイドルの衣装係だったり、合法ロリの音響担当だったり、レンズ越しにしか女性を愛せないイケメンだったりと変わり者揃いで、監督と主演女優が演技を巡って大喧嘩したり、大道具として妹そっくりのラブドールを使っていることが妹にバレてしまったりとハプニングに振り回されながらも映画製作に奔走し、仲間として受け入れられていく光景が素敵でした。

 ただ脇役の乙黒組の面々が濃すぎて、メインであるはずの杳一郎とみさらのキャラが負けているんですよ。
 題材やキャラや物語要素はいいのに詰め込みすぎて方向性がとっちらかってる感じが残念ですね。映画制作をテーマにしていたはずなのにキャラに焦点が当たりすぎて、撮影風景が駆け足気味で結局ダイジェストになってしまっているように思います。もう少し彼らが映画制作にかける思いや情熱を掘り下げて欲しかった。
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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