妹さえいればいい。 (ガガガ文庫) 平坂 読 小学館 2015-03-18 by G-Tools |
荒ぶる小説家・羽島伊月は、未だ見ぬ究極の妹を創造すべく日夜奮闘する現代のピグマリオンである。彼の周りには、作家やイラストレーターや編集者や税理士など個性的な人々が集まっている。それぞれ迷いや悩みを抱えながらも、賑やかで楽しい日常を繰り広げる。そんな彼らを見守る弟・千尋には、ある重大な秘密があって
自由な生き方のススメ
作家に絵師に編集者、ラノベクリエイターたちの面白賑やかな日常を描いたラノベ創作青春コメディ
相変わらず平坂さんの描くキャラクターはみんなぶっ飛んでて、些細な日常(?)シーンでも笑えるわ。
妹属性を愛してやまないラノベ小説家・羽島伊月が、変人だらけの友人のラノベ作家たちと繰り広げる非日常な日常の中で、遊ぶときも仕事するときも恋するときも全力でドタバタと賑やかな姿が微笑ましかったです。
っていうか、ラノベ作家ってフリーダムな生き方してんな! そこにシビれるあこがれるぅ!
妹キャラが大好きで自分の書く小説に理想の妹を投影しまくっている伊月の一芸特化した作風は嫌いじゃないですね。コミュ障で自信過剰な性格も大人としてどうかと思いますが、この業界でしぶとく生き残りそう。
変態だけど才能に恵まれた那由多や、向上心の塊のような努力家の春斗も、作家としてのスタイルが人間性にも現れていて、こういう奴の書いた作品なら絶対に面白いだろうから読んでみたい!と思わせる。
仕事して、ゲームして、酒飲んで、ふと思いついたら気軽に沖縄や北海道に旅行に行って、そんなとんでもなくユルい生活をしていて、自分の夢を心に持っていて締め切りにも縛られない生き方がとても羨ましい。
そんな彼らでも、ときにはどうしようもない才能の壁や恋愛の壁にぶつかって悩んだり苦しんだりする光景に親しみも湧き、それでも立ち止まらず思いを抱えて前に進んでいく姿に愛読者カードを送りたくなりました。
ところで他社さんのラノベ作品名がどかどか登場するのだけれど、巻末の作家陣の寄せ書き見る限り全部掲載の許可取ってるんだろうなぁ。前々から思っているんだけど平坂さんって、絶対にぼっちじゃないよね。ファッション・ぼっちだよね。お前のようなぼっちがいるか! このラノベ作家が愛されすぎててヤバイ……。
タイトルには番号がないけれど、表紙には@とあるから続くのだろう。千尋ちゃんの妹力がもっと見たい。