【Amazon.co.jp限定】ジンクスゲーム 書き下ろし4PリーフレットSS付き (GA文庫) アダチアタル ニリツ SBクリエイティブ 2015-01-14 by G-Tools |
「罪の果実『毒りんご』を抹殺せよ」無貌の男・ロストマンの一言から、そのデスゲームは始まった。男が集めたのは五人の男女。その共通点は―ジンクス。五人は互いに異なる条件で発動し、命を問答無用で奪い取る、見えない凶器を持つ殺人鬼たちだった。
殺戮は死ぬまで終わらない
殺人の異能を与えられた生還者たちが生存を巡って殺し合うサイコ・スリラー
これは面白かった。登場人物たちが生と死の狭間の駆け引きが繰り返されて最後まで飽きさせない。
無貌の男・ロストマンによって殺人の異能ジンクスを与えられた主人公・藤枝蒼馬が、巷を騒がす謎の殺人鬼『毒りんご』の正体を突き詰め抹殺する殺人ゲームに巻き込まれ、ジンクス使いのライバルたちを相手にしての駆け引きが緊張感溢れていて引きこまれました。ヤバイ人たちしかいないので殺し合いを和やかに楽しめた。
ジンクスを使って人を殺すとポイントを貯められ、他人のジンクスで殺されたときにポイントを消費して防ぐことができ、ポイントは他人に与えることもできるなど、発動条件も様々で、やたらゲームじみた能力によって、相手の能力を分析したり、防いだり、弱点を突いたり、ジンクスにも強弱の相性があって自分の能力を隠したりとバトルに知的駆け引きが生まれていて、読んでて能力の攻略法に頭をひねる遊戯性が生まれている。
『眼を合わせたものを殺す』というジンクスを授かった蒼馬は、発動条件からしてかなり強いのですが、ジンクス使いとしてはビギナーもいいところで、極力人を殺さないようにと考える常識観が邪魔をして、他のジンクス使いに先手を打たれたり、出し抜かれたり、惑わされたり、毎回殺されそうになる度にヒヤヒヤしながらも、苦悩や葛藤の末に覚悟を決めてライバルと対等に渡り合うようになっていく成長ぶりが胸を打ちました。
蒼馬の葛藤や、他の登場人物たちにもそれぞれとしてドラマがあり、単純な殺し合いではなく各人の死生観や人生観の違いによる議論も興味深く、命と信念はどちらがより重いのか、というところも作品の見所ですね。
問題を棚上げにしたまんまだけど、一応、綺麗でイイ話に終わったな……と思いきや、最後にどんでん返しで、背筋をヒヤリとさせられる。うん、まあ「この娘ってひょっとして……」な予兆はあったよね。続きに期待