![]() | 【急募】賢者一名(勤務時間は応相談) (このライトノベルがすごい!文庫) 加藤 雅利 群青 ピズ 宝島社 2014-12-10 by G-Tools |
何の変哲もない退屈な日常。その陰で、「勇者」と呼ばれる存在は、密かに活動を続けている。人類の平和を脅かすべく魔界からゲートを開いてやってくる魔物たちを、人知れず退治しているのだ。これは、「賢者」の血筋に生まれた一人の平凡な男子高校生の物語である―。

異世界バトルは日常系の中で
女子高生勇者と平凡な男子高校生のじわじわ系日常ファンタジックコメディ
何をおいても女の子の脚にひたすら情熱を傾ける主人公が真理に達していてマジ賢者。
異世界の魔王が送り込むモンスターと戦う勇者の末裔・ミカゼのサポートをすることになった主人公・千早が、まったりしながらパーティの輪を広げ、日常を守るため仲間と力を合わせていく姿に和みました。
独特な空気感を持った作品で、一見すると淡白なんだけど、あとになってじわじわ笑いがこみ上げてくる!
本来は命がけのモンスター退治なのですが、先祖から伝わったチート装備のおかげで単純作業となっていて、賢者の末裔の千早の役目といえば勇者ミカゼを自転車で送迎するだけという夢やロマンのない現実の酷さ。
最初は特に親しくもない年頃の男子と女子の気まずい関係だったのが、学校生活というワンクッションを置くことで、徐々に会話をするようになって、パートナーとして距離を縮めていく姿が初々しかったです。
美少女だけれど無表情で無愛想で周囲から浮いているミカゼも、親しい千早の前ではお茶目なところや天然なところもあって、恐れを知らぬ百戦錬磨の勇者も、ちょっと不器用な普通の女の子なんだなぁと可愛かった。
千早にしても、しょぼいながらも魔法が使えるようになって、ミカゼのために仲間集めに奔走して、何もせずにいた傍観者から多少なりとも勇者を支える賢者になっていく成長ぶりが男の子だなと微笑ましくなりました。
その場のノリや成り行きで仲間になった子たちも、戦闘を繰り返したり、学校で一緒に過ごしたり、日常でいろいろグダグダやってる間に、いつの間にやら信頼し合える友情を築いているところが、心温まりました。
日常生活にファンタジー要素があっても余計で面倒なだけ。だけれどその面倒事をキッカケに生まれて、育まれていく人間関係もある。ありふれた日常の小さな可笑しさにクスリと笑えてほっこりできる作品でした。