セントレイン戦記 1 ~七戦姫と禁忌の魔剣士~ (オーバーラップ文庫) 森田 季節 nauribon オーバーラップ 2014-11-21 by G-Tools |
“北境の麒麟児”と呼ばれる王族の少年領主、ジルス・セントレイン。彼のもとに従妹の王女、クランベルが逃げ込んできた。彼らの暮らすセントレイン王国では、有力な領主たちが群雄割拠し、王にとってかわろうと争っていた。ジルスも、クランベルとともに、国土統一を懸けた戦いに参加することを決断する。
姫騎士は麒麟を駆りて乱世に躍り出る
有能すぎるが故に北方に追いやられた少年と王女が乱世を鎮める世直しに立ち上がる戦記ファンタジー。
王国各地の領主が王位を狙って兵を挙げる乱世の時代。王族でありながら戦争とは無縁の北境州に左遷された少年太守・ジルスのもとに、従妹である王女・クランベルが助けを求めてやってきたことで、ジルスと北境も戦乱に巻き込まれていき、辺境で眠っていたジルスの才覚が表舞台で発揮されていく展開がワクワクしました。
あっ、これ、戦争ごとに敵の美少女総大将をデレさせてハーレム作って勝ってくタイプの戦記モノだな?
毎朝寝坊してはメイドを困らせる脳天気な少年領主ジルスですが、食事中も書類仕事をこなし、自ら現場に出向き、民からの信頼も厚く慕われていて、無理して格好つけずともキレ者ぶりが窺える様子が格好いい。
幼馴染の縁を頼りジルスに助けを求めたクランベルは、騎士として剣を振るうお転婆娘だけれど、気品に溢れてお姫様らしくもあり、逞しく成長したジルスに次第に惹かれていく女の子らしさも初々しくて可愛かった。
戦禍で乱れる故国の行く末を真に憂うクランベルの想いに応じ、兵を挙げると決めたものの兵の数に乏しく、おりしも近隣の州からの侵略軍が攻め上がってきていて、後手後手に回ってしまうのですが、量で圧倒する敵軍の慢心を突いて守勢からの逆転に転じる奇襲攻撃が燃えます。本人は戦わず兵士に指示するだけの軍師タイプもいいのですが、指揮官みずから敵軍へ斬り込んでいく殺陣シーンは戦記ファンタジーの華ですよねぇ。
クランベルもジルスもスーパーモード持ちの無双キャラなのがズルいといえばズルいですが、敵軍の指揮官とのタイマン決闘に辿り着くまでが見所です。いや、たった二人で斥候から交渉役から作戦立案から前線指揮官から何から何まで独力でやってることがまずスゴイんですよ! 働き過ぎワロタ。ハーレム要員のヒロインよりも有能な部下が欲しい。いくらジルスが有能でもオーバーワークで倒れそうな気がする。次回に期待。