国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ (2) (富士見ファンタジア文庫) ツカサ ゆーげん KADOKAWA/富士見書房 2014-11-20 by G-Tools |
魔法大国フレアリアではアイシス姫の成人式典を控え人々が活気づく中、反体制組織によるテロが勃発する。対虚神用兵器『虚人』スピネルの命主となったエルク・リードは、ミラ・ルビーレッドと共に王宮での大規模テロを防ぐため調査を開始するのだが…。
世界を変える一矢
対虚神用兵器「虚人」の主人になった某国の皇子が、祖国を取り戻すため立ち上がる異世界ファンタジー。
アイシス姫って実在したんだ……。てっきりミラが姫本人で身分を偽ってるんだと思ってたわ。
フレアリアの王女アイシス姫との政略結婚を申し入れた主人公エルクが、彼女と本音でぶつかり合い、世界を作り変える共犯者として手を結び、王宮を狙うテロ組織の脅威に立ち向かう姿が胸を打ちました。
本人たちはシリアスな共闘関係を結んでいるんだけど、ハタから見ててベタベタなハーレム展開だったわ。
アイシス姫とエルクの会談は一悶着あったけど、世界に絶望(失望)していた彼女の本音と感情を引き出し、対等な協力体制を築くエルクの話術が光っていました。話が通じやすいのはやっぱり似た者同士だからか。
市中では反政府組織のテロが横行し、エルクの祖国エルファレス帝国の関与がチラついて…。革命家ってのは、どうしてこう現実が見えてないのか、現状を悪化させているのに気づいていないのかと呆れてしまいます。
テロ組織から大切な友人を取り戻すため、組織撲滅に乗り出すエルク達でしたが、ただ力づくで押さえつけるのではなく、ときに敵対する者の意見でも受け入れるアイシス姫の為政者としての度量の広さに惚れました。
自分たちを襲ってくる刺客を説得して仲間に引き入れようというのがエルク達の作戦ですから、そのためには捕虜の立場を保証する権力者が必要だったわけで、アイシス姫は共犯者として申し分なく最適だと思いますね。
立ち位置からも活躍ぶりからも、アイシス姫がメインヒロイン待ったなしな気がする。今回はスピネルもミラもイスカも下っ端の戦闘員程度の役割しかなかったから仕方がないですけど、エルクとアイシス姫の結束ぶりを見ると、ヒロインとして大きく差を開けられてしまったような。しかも、次回からフローラに双子もハーレム入りだとますます出番減らされますよね。せっかく可愛いヒロイン揃ってるんだし、ラブコメしようや……。