フォルセス公国戦記 ―黄金の剣姫と鋼の策士― (富士見ファンタジア文庫) 至道 流星 Riv KADOKAWA/富士見書房 2014-11-20 by G-Tools |
皇暦1501年10月、領土への野心を隠さぬ教皇軍最高司令官チェザーレ率いる強大な教皇軍の侵攻により、屈辱の白旗をあげたフォルセス公国。絶望する公女エリザの姿に、行政官の少年リノは呟く。……ここからが俺の仕事だ、と。
敗北は勝利への第一歩
敗戦した小国の剣姫と策士が弁舌と機略で祖国を復興させる経済戦記ファンタジー。
内政フェチにはたまらない。軍事ユニットよりも建物だ! 戦争なんて技術が溜まるまでの暇つぶしだよ!
教皇軍の侵攻に惨敗した小国フォルセス公国の公女エリザと行政官リノが、敗戦国となった祖国を蘇らせるべく、詭弁と政略で技術開発と産業促進を行って国力を取り戻し、憎き教皇軍に再戦を挑む光景が燃えました。
やっぱり勝つために必要なのは経済力と技術力だよ! キャラクター紹介がゲーム的で、RTSに思えてきた。
天下無双のお転婆姫エリザと若き策士リノが率いるフォルセス公国なれど、教皇軍に多勢に無勢で惨敗してしまい、多額の賠償金を背負いながらも、敗北を教訓に公国の再建と改革を推し進めるリノの政策が興味深い。
世界情勢をうまく読みとって弁舌と交渉で資金を確保し、そのお金を土木事業、技術開発、産業育成に回し、それと同時に軍隊の近代化を進めて、国の経済力と軍事力を一気に作り変えていく展開がワクワクします。
事業が軌道に乗り始めた矢先、各地で教皇軍への反乱が勃発して、反乱軍に加わざるを得ない状況に陥って、なし崩しに戦争に突入してしまうのだけれど、屈辱を味あわされた相手にリベンジを決める姿が盛り上がる!
一矢報いたものの結束力の無さから瓦解してしまった反乱軍をまとめ上げ、知力と武力を尽くして決戦に挑むリノとエルザの勇姿が手に汗握りました。たとえ失敗しても何度でも立ち上がる二人の若さが眩しかった。
駆け引きでは勝っていながらも、軍事力や外交力など、毎回あと一手を詰められないところがもどかしい。
相手のためならば迷わず自分の命を投げ捨てるリノとエルザの互いを想い合う一途な恋心が素敵でした。
内政、外交、戦争のパートをしっかりと描きつつ、どれも疎かにしないバランスがいいですね。しかし、キャラが忙しすぎたので、次回はまったりした恋愛パートをもう少し加えて欲しいところ。戦争の次はまた戦争か?