![]() | 十三矛盾の魔技使い (電撃文庫) 十階堂 一系 雛咲 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-11-08 by G-Tools |
「魔技」―それは世界を変える技術。その最先端を走る学園の首席称号「ソルヴァナイト」こそは、魔技の世界のトップ層であることを、最上の魔技使いであることを、何より雄弁に証明する。しかし、本年の学年最優秀生徒たる順位を得た生徒は―十三人もいた!?さあ、たった一人だけが勝ちぬけられる泥試合が始まる
一番よりも大切なもの
13人の魔法の天才児たちが最強の称号「ソルヴァナイト」を賭けて戦うバトルロイヤルマギアクション
登場人物が誰から、いつ死ぬか。そればかりを期待していた私は、どうやらラノベに毒されていたらしい。
魔技使いを育成するソルヴァ三道魔技学園の最優秀生徒『ソルヴァナイト』を決めるため、実践形式でのバトルロイヤルに挑んだ13人の天才児たちが繰り広げる友情と裏切りと駆け引きとガチンコ戦闘が手に汗握る。
登場人物みんなイイ奴すぎて好き。いや、若干、腹黒い人もいるけれど、みんな個性的で愉快でした。
ショタっ子にクール男にツンデレ美少女に、さらにナンパ師、ヤンデレ、人見知り、お嬢様、不良、悪役、根暗などなど、成績順位同着トップの天才児13人のキャラクターが際立っていてイキイキしていました。
強い情熱を持って『ソルヴァナイト』の称号を目指す者もいれば、それ以外の愛や友情など、それぞれの目標を胸に抱いて戦いに参戦する者もいて、裏切りと共闘を繰り返す先の読めないカオスな展開が飽きさせない。
魔法を使ったサバゲーといえば簡単そうに思えるが、魔法の選択と使い方次第では一発逆転がありえたり、相性によって優劣がわかれたり、作戦の立案も含めて参加者の考え方の違いが徐々に見えてくるのも興味深い。
ルールをひっくり返したかと思えば、さらにゲームそのものをひっくり返す。参加者達の発想の柔軟さ、機転を活かしたトリックプレーの数々に驚かされる。力や魔法の才ではなく知性でぶつかり合うから面白いんだ。
バトルロイヤルを通じて移り変わっていく人間関係も見所があったし、戦いで得たもの、失うもの、あるいは変わらないもの、どれもかけがえのないもので、バトルの一つ一つに素晴らしいドラマと感動があった。
そして戦いを終えた後も、誰一人として嫌いになるようなキャラがいなかった。皆強いところも弱いところもある人間味溢れるキャラだから嫌いになんかなれない。そこがこの作品の最も傑作なところだと思いました。