ダフロン

2014年11月11日

サディスティックムーン/出口きぬごし

4048690442サディスティックムーン (電撃文庫)
出口 きぬごし そりむら ようじ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-11-08

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幸徳秋良は稀に見る美少女である。腰まで伸びた漆黒の髪はしっとりとした光沢を放ち、切れ長の瞳と端正な顔立ちは、男女を問わず人の心を惹きつける魅力がある。けがれのない白い肌は、ほのかに光ってみえるほど美しい。まるで月のように、艶めかしく。そう、彼女は美しい―薄気味悪く、かつイタイという点に目をつぶれば

 復讐は幸福の味

 卑猥で残忍で非情でとんでもなくイタい美少女に目をつけられた少年の学園復讐劇

 これは酷い……。一生分の『処女膜』という単語を読んだ気がして、処女膜がゲシュタルト崩壊する。
 自分自身を陰陽師と主張する美少女・幸徳秋良に理想の式神として見込まれた主人公・久遠久が、卑猥で残忍な彼女に脅されるまま、身勝手で無差別な復讐テロ活動に付き合わされ振り回される姿が苦笑を誘う。
 ことあるごとに男の股間を握ってくるメンヘラなマジキチ美少女に翻弄されたい真性のドM御用達です。

 ライバルだった双子の兄の死以来、無気力で性欲すら失ってしまった久遠久と、過去のイジメ被害からサディスティックな復讐欲求に傾倒し、卑猥さと残酷さに性格破綻した幸徳秋良の奇妙な関係性に魅せられる。
 見た目は清楚で大人しげな美少女なのに、エロ本を見せつけて股間を弄るわ、レイプ冤罪をでっち上げて脅迫するわ、それでいて独占欲が激しく束縛してくる、とんでもなく厄介で危険なヤンデレぶりにゾクゾクする。

 幸徳秋良の復讐に正義などありはなく、自分とは無関係な被害者と加害者の間に介入し、ひたすら自分勝手な報復と制裁を繰り返す姿は、『腹いせ』や『憂さ晴らし』以外の何物でもなく、学校内のDQN生徒達が災害のように唐突で理不尽な不条理に見舞われ痛い目に遭う様は、滑稽さと哀れさと、そして『シャーデンフロイデ(他人の不幸は蜜の味)』とでもいうべきドス黒いエクスタシーが否が応にも心を揺さぶりました。

 幸徳秋良の久遠久に向ける鬱屈した恋心は可愛らしいといえば可愛らしいのですが、想いと行動が掛け違えていて非常にもどかしい。DQNを懲らしめるだけで十分なのに、自主規制はやり過ぎててドン引きでしたわ。
 というか、こういう作品企画はガガガ文庫に持ち込もうよ! 電撃のピュア(?)な読者層にこんな問題作を読ませたらアカンやろ……。ガガガ文庫なら大ヒット待ったなしだが……他人に薦め難いんですよ!
posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | 電撃文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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