覇剣の皇姫アルティーナVII (ファミ通文庫) むらさきゆきや himesuz KADOKAWA/エンターブレイン 2014-10-30 by G-Tools |
ハイブリタニア軍から港町を奪還したアルティーナたち。しかし、敵軍の補給部隊はすでに出発した後だった。帝都を背負った要塞では第二皇子ラトレイユが、策士オズワルドの奇略により苦戦を強いられている。補給を届けさせるわけにはいかない…しかし、敵補給部隊の護衛は傭兵王の異名を持つ猛者だった。
帝国を背負って立つ者
読書狂の青年軍師と伝説の宝剣を振るうお姫様が織り成す戦記ファンタジー。
うわじじいつよい。一騎当千の英雄たちによる真っ向勝負のガチンコバトルが燃えます。
海路の封鎖に成功したものの、すでに港から出発していた補給部隊を止めるべく、アルティーナとレジス率いる帝国第四軍が名高き傭兵王ギルベルトを相手に策を練り、強敵を撃破する展開に手に汗握りました。
二人を取り巻く脇役たちも数が増え、味が出てきて、彼らの上に立つ存在になったんだと感動もひとしお。
すっかり軍師が板についてきたレジスですが、今回だけは相手が相手なだけに仕掛けを張り巡らせる間に何人もの戦死者を出してしまい、いまさらながら兵士の命を預かる重荷を感じてしまうのですが、その悲痛な雰囲気を解きほぐすアルティーナの存在に救われました。彼女も以前の無鉄砲さがなくなって落ち着きが出てきたのも、レジスを頼りにしているからだろうなと二人の信頼関係が窺えるところが微笑ましかったですね。
ギルベルトと超人的なバトルを見せるジェローム、修繕を終えた宝剣を命がけで運ぶエンツオ、工作部隊を仕切るフェルディナントといった現場で働く人々の姿にスポットが当てられているのもよかった。そして古参兵の惜しい人を亡くした……。銃なんて捨ててかかってこいよぉ!とハイブリタニア軍に言いたかっただけに、遠距離武器を見事に封じて乱戦に持ち込んだレジスの作戦が痛快でした。そして久しぶりの姫様無双イイネ!
しかし、帯が完全にネタバレなのは、もうちょっとどうにかできなかったのか! 次巻の帯にしようよ!
ハイブリタリニア軍の侵攻をまだ完全に追い返し切っていない状況にも関わらず、皇位簒奪を断行したラトレイユの行動が、ベルガリア帝国を窮地に追い込みはしないかと不安で仕方がないのですが、彼の容態からするとあっさり三日天下に終わりそうな気もする。アルティーナとレジスがどういう手を打つのかに期待。