Only Sense Online (3) ―オンリーセンス・オンライン― (富士見ファンタジア文庫) アロハ 座長 ゆきさん KADOKAWA/富士見書房 2014-10-18 by G-Tools |
夏のイベントの活躍で、ユンの店“アトリエール”の知名度は急上昇。知り合いからの頼まれ事が次々舞い込んで、図書館探索や合成MOB作りと、充実した生産ライフを過ごしていた―そんなユンに、最大難易度の依頼が。それは“生産ギルド”の立ち上げ!
クリエイターたちの戦場
このシリーズを楽しめているのは私だけなんじゃないかと思えてくる、そんな圧倒的地味さがいい。
知名度が上がり、お店を訪れる客も増えて経営も軌道に乗り始めた生産職プレイヤー・ユンが、同業者仲間と共に"生産ギルド"を立ち上げるべく、姉セイと妹ミュウと困難なクエストに挑む展開が燃えました。
ごくごく普通のMMORPGを普通にプレイしているだけなのに、どうしてこんなに気持ちが沸き立つのか。
「保母さん」の二つ名でプレイヤーたちの間で人気者になってしまったユンが可笑しいですね。
前回のイベントの報酬でクロードが受け取ったプレイヤーダンジョンはまさに某魔王になってダンジョンを作って勇者をやっつけるアレ的な面白さがあって、MOB製作なんて某魔物を合成させて育成する国民的ゲームタイトルの外伝の奴じゃないですか。これだけでも別ゲームとして遊べるのでは?と思える。
図書館に地下ダンジョンがあったということは、都市の中もいろいろな仕掛けがありそう。探してみたい。
女の子だらけのミュウのパーティが華やかで賑やかで個性あっていいわーこの子ら。もっと百合ください。
転売ヤーたちとのギルド証を巡っての経済競争は、バージョンアップ直後の物価大変動とかだとありがちですよね。なんとか転売ヤーの鼻をあかしてやろうと生産仲間たちで試行錯誤をする様子が微笑ましいです。
ギルドの立ち上げなんて、他はまずここまで掘り下げて描かないでしょう。メニュー画面を操作するだけの簡単な描写で終わらせてしまう作品がほとんどだと思います。ですが、こういう些末事にも高いハードルを設けて苦労させるからこそ達成感がある。こうしたユーザビリティをストレスと思うか、やり甲斐があるかと感じるかでゲーマーとしての廃人レベルが測れる。流行りからズレているからこそ、この本にしかない面白味がある。