![]() | 佳麗なるソードマスターと最強なる不肖の弟子 (電撃文庫) 蝉川タカマル 日鳥 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-09-10 by G-Tools |
地図にもない島からきた少年。暴漢に襲われている少女を助けようとするが逆に助けられてしまう。彼女こそ剣神と謳われた武人の娘ハルカだった。ハルカは大陸でも有数の大流派、武王流の宗主争いに巻き込まれていた。当然助力を申し出るシロガネだったが、その結果はハルカにまず弟子入りすることになり!?
零から始める最強への道
剣神と謳われた武人の娘と、その弟子になった少年が繰り広げる武侠ファンタジー。
ここまで血沸き肉踊るアクションものは久しぶりでした。古き良き武侠ものの王道ですね。
海の彼方の小島から大陸にやってきた主人公シロガネが、剣神と謳われた武人の娘ハルカと出会い、武王流の次期宗主争いに巻き込まれていき、現れる刺客との力と技のぶつかり合う武侠バトルが熱かった。
主人公もヒロインも、どちらも脳筋キャラなのでツッコミ不在で暴走しまくりで読んでて楽しい。
大陸に住む武人たちは皆『心』という気功術で肉体を強化してるのですが、そうとは知らない田舎者のシロガネが雑魚キャラに威勢よく啖呵を切って争いに介入したかと思えば綺麗に返り討ちにあう姿が可笑しい。
武人の娘ハルカの弟子となったものの、幼い頃より天才だったハルカは凡人に教えることが不器用で、けれど単純なシロガネは言う通りに従ってという、ズレているのか合っているのかわからない師弟関係が愉快。
武王流の次期宗主の座を巡り、ハルカの父カナタが命を狙われ、戦う力を失った彼の代わりにハルカとシロガネが刺客に立ち向かうのですが、相手も相当な凄腕で苦戦を強いられる展開は手に汗握りました。
刺客を倒すために修行を積み直し、リベンジを果たすハルカとシロガネの泥臭いまでの戦いぶりと瀬戸際の勝利は本当のアクションの魅力とはこういうものだと、思い出させてくれました。最近ないよこういうの。
ただ作者はファンタジーを目指して書き始めたらしいですが、結果的に武侠ものにジャンルの方向性が偏っていると思います。まあ、いいんですけど、ありがちなファンタジーよりこっちの方が面白いし個性的だし。
前作でも感じましたが今作は特に文章の文字運びが秀逸ですね。文章に詰まるところなくスムーズで違和感なくハイスピードなアクションに集中できて1時間で読み終わってしまいました。改めて才能を感じますわー。