![]() | 僕と彼女のゲーム戦争 (7) (電撃文庫) 師走トオル 八宝備仁 KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-09-10 by G-Tools |
ゲーマーたちが最も熱くなる季節、夏。岸嶺たち現代遊戯部のメンバーは、ゲーム大会への参加を繰り返していた。そんな中、みずからの実力不足を感じていた岸嶺は、デバックのアルバイトを通じて知り合ったプロゲーマーのもとへ教えを乞いに行くことを決意する。
勝利の道を見通す瞳
名門女子校のゲーム部に入部した少年がチームメイトと共に世界大会を目指すゲームライフラブコメ
まさにゲーム大会の中継を見ているかのようなライブ感が楽しい。やって楽しい、見て楽しい、ゲーム最高!
度重なる敗北に己の力不足を痛感した岸嶺がプロゲーマーの教えを請い、現代遊戯部の実績を残すため大規模FPSのゲーム大会へと挑戦し、またひと回り成長して、因縁の相手にリベンジを果たしていく姿が熱かった。
お互いにチームを率いての読み合いと駆け引きがリアルタイムで交錯する躍動感溢れる展開がたまらない。
新作ゲームのデバッガーのアルバイトを引き受け、初めての労働に勤しむ岸嶺が初々しくていいです。デバック経験者からするとテスト項目表作ってないのか!と思いますが、ゲーム業界ならないのかしらん?
岸嶺のアルバイトが現代遊戯部の活動に思わぬ危機を招いてしまって、天童の焦りを煽ることになり、勝って実績を残すためにゲームを楽しむという本質が忘れられてしまうのは虚しく思えて悲しかった。
汚名返上のために再びプロゲーマーに教えを乞う岸嶺ですが、この熟練者に教えを乞う行為は初心者が強くなるために一番手っ取り早い方法ではあるのですが、学ぶ側にもアドバイスを受け入れる姿勢がなってないと、いくら教える側がうまくて、まともな助言をしても意味が無いんですよね。岸嶺のゲームのうまさって、あの集中力もあるけれど、素直だから他人の意見を謙虚に受け入れて学習効率が良いというのもあるんじゃないかと。
対人戦でのコツは、経験や技術よりも読み合いと駆け引きというのも納得がいく。そして熟練者が一番怖れるのは素人の予測不可能な悪手だと、まったくその通り。相手の思考を読み切った岸嶺の策略は見事でした。
岸嶺のプレイこそ超能力じみて見えるのだけれど、誰でも努力と判断でやってやれないことはない範疇でのスーパープレイをやっているから、読み終えた後で自分もゲームをプレイしたくなる気持ちにさせてくれます。