ダフロン

2014年08月13日

トゥルークの海賊 4/茅田砂胡

4125012881天使たちの課外活動4 - アンヌの野兎 (C・NovelsFantasia か 1-67)
茅田 砂胡
中央公論新社 2014-08-07

by G-Tools

アンヌとの約束を果たすべく怪獣夫婦がテオドール・ダナーに子連れでやって来た。「子」の方が年長に見える「子連れ」だけれども。店には高名な投資家であるシメオン・パラデューがやって来たり弟子入り希望の料理人が押しかけて来たりで、かなり騒がしい。ところがある日、店主がダナーを息子に任せて行方不明に…?

 幸福は食卓に宿る

 宇宙最強の怪獣夫妻が見守る、おっさんと爺さんコンビが行くご当地食材グルメ紀行……なにこれぇ

 おっさんと爺さんコンビが行く『田舎に●まろう!』だったんですが、金銀天使でてこねぇじゃん! タイトル詐欺でしょ! 怪獣夫妻メインは海賊シリーズでやりましょうよ! うん、面白かったんですけれども!
 完全復活した名店『テオドール・ダナー』を抜けだしたテオを追いかけて行った義父のパラデューが、食材を育てる田舎の生産者の元を渡り歩き、自然と人間の付き合い方を学んでいく姿がほのぼの和みました。

 前回、あれだけ嫌っていたのに今ではすっかり娘婿のテオドールに心酔してしまっているパラデューさんのジジデレが萌えますね。70過ぎの爺様が無愛想な定食屋の親父の元に足繁く通い詰めるという、とんでもなく奇妙な光景なんですけども。料理だけでなく美術品の目利きまで神がかっているとなれば、美食家で美術蒐集家の彼としては、魅力的に感じるのもわかりますが、それにしても手のひらを返したベタ惚れぶりに笑う。

 そんなテオが勝手に店を休んで食材を作る生産者の元へ小旅行に出てしまうのだけれど、口下手な彼が行く先々で騒動を起こして、保護者として同行したパラデューを驚かせたり呆れさせたりする姿が可笑しい。
 普段は共和宇宙でも十指にはいる投資家として忙しく働いているパラデューが、田舎で過ごす農家や牧場主の生活を体験し、山の幸や自然の恵みを味わい、スローライフの素晴らしさに触れていくのも微笑ましかった。

 穏やかに旅を終えようとしたころ、怪獣夫妻の見ている前でテオが誘拐されてしまって、そこから始まる銀河を巻き込むドタバタ騒動はまた盛大に笑わせてくれましたね。胃袋を制するものは宇宙を制する。
 あからさまな前フリがあったので、事の真相は予想済みだったのですが、最後の最後まで無自覚に周囲の人々を驚かせる続けるテオの無茶苦茶っぷりは、リィや怪獣夫妻とは違った切り口からの面白味で楽しめました。

posted by 愛咲優詩 at 00:00 | TrackBack(0) | C★NOVELS FANTASIA | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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